第52回放送分 大船渡市と陸前高田市の松林の再生(平成30年9月)

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ページ番号1014067  更新日 平成30年9月27日

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写真1
収録風景です。

今回は、大船渡農林振興センター森林保全課の野口陽平技師が出演しました。

特集テーマ「大船渡市と陸前高田市の松林の再生」

大船渡市と陸前高田市の松林の再生について

 県では東日本大震災により流失した陸前高田市の高田松原地区、大船渡市の吉浜地区、合足地区の松林再生事業を行っております。今回は県で行っているマツ林再生事業の概要とその進捗についてお知らせしたいと思います。

どのような場所で事業が行われているのか

 東日本大震災津波前、県が管理する海岸防災林のマツ林は県内24ヶ所にありました。ですが津波により、そのうち23箇所のマツ林が被災しました。県ではそのうち水没してしまった場所や防潮堤用地となる6箇所と市へ移管する1箇所を除いた17箇所のマツ林を再生する計画としました。
 大船渡農林振興センターではそのうち大船渡市の合足地区、吉浜地区、そして陸前高田市の高田松原地区の3つのマツ林の再生を進めています。計画として大船渡市の合足地区で0.4ha、吉浜地区で2.1ha、陸前高田市の高田松原で8.2haのマツ林を再生することとしています。

マツ林の再生はどういった方法で行われているのか

 マツ林の再生にはまず津波によって流出してしまった土壌基盤を盛土によって造成します。使用する土砂は高台移転の際に発生した土砂など、周辺の復興工事で発生した土砂を利用しています。そしてその地盤に苗木を風から守る防風柵の設置をしながら、マツの苗木の植栽を行い、その後草刈りや蔓切、密度調整などの手入れを行っていきます。そうして50年かけて潮や砂を含む海風から街や農地などを守るマツ林を再生する計画となっています。

マツを植えるにあたって検討した点

 植栽するマツの種類と基盤盛土の造成方法です。マツについては県の事業では基本的にマツクイ虫に対して抵抗性のあるマツを植栽しています。元々岩手県内ではマツクイ虫に抵抗性のあるアカマツは開発されていましたが、クロマツの苗は作っていなかったので、他県から種を提供してもらい、苗を生産しました。
 マツの種類については、以前の高田松原に生えていたマツにはアカマツとクロマツ両方の遺伝子を持っているものもあったため、アカマツとクロマツ2種類のマツを植栽しています。ちなみに奇跡の一本松もアカマツとクロマツ両方の遺伝子を持っていたことが分かっています。
 マツの配置としては潮や飛砂に対し強い性質を持つクロマツを海側に、アカマツを陸側に植栽しています。混合した遺伝子の苗木はありませんが、今後長い時間をかけて交配が進むことによって、元々生育していた一部のマツのように遺伝子が混ざっていくと思います。
 盛土の厚さについては当初国が示した地下水から2.9mの高さとなりましたが、生長した木が倒れないよう根が育つ基盤盛土をどのように作るかが課題となっていました。そのため土の締め固めが根の生長にどういった影響を与えるのか、盛土がどのような性質変化をしていくのか調査するために試験植栽を行って、それから検討したうえでで本植栽を行いました。何しろまったく土地が無いところに海岸林を再生させるといった前例はほとんどなかったことから、当時は苦労したと聞いています。

マツ林の再生事業は現在の状況

 高田松原では平成26年度からマツ林に係る盛土を開始しまして、約25万m3の盛土を行った後、平成28年度に試験植栽を行い、平成29年度から本格的な植栽を行っています。平成29年度までに2.3ha約1万2千本のマツの苗木を植栽し、今年度から平成31年度にかけては残りの3.6ha約1万8千本の苗木を植栽する予定です。
 吉浜地区については今年海水浴場が震災後初めて開かれたことで話題となりましたが、吉浜のマツ林の再生も今年から開始しています。今年度は盛土を行い、平成31年度末までに2.1ha、約1万1千本の苗木を植栽して事業完了の予定です。合足地区は平成29年度に0.4ha約2千本の植栽を行い事業を完了しています。植栽を終えた各地区については手入れを行いながら、育成を進めていきます。

最後にリスナーのみなさんに

 土地づくりから始まるこの事業も、平成31年度で植栽が完了します。しかし、以前のようなマツ林に育てるにはこれから50年・100年といった単位で時間もかかりますし、人の手入れも必要です。今後も地域のみなさまの協力を得ながら育成を行ってまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。また、派遣元である神奈川県職員一同も、高田松原、吉浜海岸の復旧を心から願っています。そして私個人としても、海岸林の復旧を願うとともに、海岸林の生長をまた何度も、見に来たいと思っています。

【パーソナリティ】FMねまらいん 菅野 真美恵さん
【出演者】大船渡農林振興センター森林保全課 技師 野口 陽平

振興局からのお知らせ

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パーソナリティ菅野さんと記念撮影です。
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(注) 「気仙ふっこう スマイル通信」では、番組についての皆様からの御意見や御感想をお待ちしております。下記のフォームにご記入いただくか、お電話など、お気軽にお寄せください。今後の番組制作の参考とさせていただきます。
電話番号は、0192-27-9911です。

添付ファイル

第52回(平成30年9月)放送分

第52回(平成30年9月)放送分の音声ファイルです。

第52回(平成30年9月)再送分

第52回(平成30年9月)再送分の音声ファイルです。

このページに関するお問い合わせ

沿岸広域振興局経営企画部大船渡地域振興センター  地域振興課
〒022-8502 岩手県大船渡市猪川町字前田6-1
電話番号:0192-27-9911(内線番号:305) ファクス番号:0192-27-1395
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