岩手県食の匠 令和2年度認定

ページ番号1062587  更新日 令和6年3月13日

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髙橋民恵さんの「みそがんづき」(認定番号278、矢巾町)

みそがんづき写真

昭和初期頃の矢巾町の農家では、水稲と合わせて自家用に小麦を栽培していました。小麦粉、黒砂糖、重曹でつくる生地を蒸して、黒ごまやくるみを散らした「がんづき」は短時間で簡単に作れることから、農作業や子どもの小昼(おやつ)等に食べられてきました。がんづきは、材料に卵、牛乳、酢などを使用して作り手による工夫が加えられ、家庭によって少しずつ味や食感に違いがあります。この「みそがんづき」は、地域産の味噌と米粉を加える等して、味噌の風味や、生地の目が細かくて歯に付きにくくしっとりとした食感が特徴のがんづきです。

薄衣ハル子さんの「けんちん汁」(認定番号279、八幡平市)

けんちん汁写真

「けんちん汁」は、安代地域では、年越しの頃に大量に作り、大みそかから正月にかけて食べられます。年末に作った「けんちん汁」を、屋外や縁側など寒い場所で保存しながら、温めなおして何日もかけて食べていました。地区によっては、小正月に食べられます。今では、正月のほかにも主に冬に、一般的に食べられる家庭料理です。安代地域の「けんちん汁」は、細かく刻んだ山菜(特にぜんまいやわらび)、だいこん、にんじん、潰して炒った豆腐を必ず入れ、その時にある食材を加えた、たくさんの具材を使った汁ものです。地区によっても入れる具材が変わり、しいたけやじゃがいもを入れる地区、くるみとささげ豆を入れる地区、すったくるみと昆布を入れる地区もあります。

佐々木京子さんの「麦まんじゅう」(認定番号280、岩手町)

麦まんじゅう写真

「麦まんじゅう」は、岩手町ではお彼岸の時に仏様にお供えしたり、こびるとして食べられる素朴な味のお菓子です。岩手町では昔は米がとれなかったため、麦が多く作付けされており、小麦粉を使って作ったまんじゅうが一般的でした。「麦まんじゅう」は中にあんが入っていることから、仏様への一番のお供えであり、お彼岸の親戚回りの際にはお重に入れて各家に持参しました。

小向幸子さんの「鎌焼きもち」(認定番号281、遠野市)

鎌焼きもち写真

春から秋にかけての農繁期に、田畑で食べる小昼としてつくられ、鎌に似た形であることから「鎌焼きもち」と言われます。昔はどの家庭でも囲炉裏で焼いて手軽に作れる小昼として、親しまれてきました。昔ながらの作り方では、小麦粉におかゆを加えて作りますが、最近では生地を柔らかく仕上げるために、もち粉を加え、冷めても美味しく食べられるように工夫しています。

平間美代子さんの「ひきな汁」(認定番号282、金ケ崎町)

ひきな汁写真

金ケ崎町では、正月料理として元旦の朝に食べる雑煮で、三が日の間は、来客へのおもてなし料理としてもふるまわれます。「ひきな」とは、だいこん、にんじん、ごぼうなどの野菜をひいて(細く千切り)、さっと湯がき、寒風にさらしたもので、冷蔵庫がなかった時代には、保存食として活用されていました。「ひきな」にすることで、食感を残したまま、具材に味が染みこみます。

沼田京子さんの「ごまゆべし」(認定番号283、大船渡市)

ごまゆべし写真

気仙地方では、お客様へのおもてなし菓子に「ゆべし」をつくり、婚礼や法事の際には「ゆべし」「がんづき」「ようかん」の3種を組み合わせたものを引菓子とする風習がありました。気仙の「ゆべし」は、棒状で切り分けて食べるのが特徴で、しょうゆ、梅、よもぎなど各家庭で様々に工夫されていますが、「ごまゆべし」は、その色から主に法事の際に作られました。

遠藤美喜子さんの「なべやき」(認定番号284、住田町)

なべやき写真

「なべやき」は、水で溶いた小麦粉を鉄鍋で焼いて作ったことからその名がついてと言われています。主に農作業の小昼や子供たちへのおやつ、時には主食として日常的に食べられてきました。玉砂糖を入れた「なべやき」は気仙地方では定番で、余りご飯を美味しく食べるために工夫されたもので、食べ応えたがあり、小腹を満たすおやつとして多くの家庭で作られてきました。このほか、かぼちゃやさつまいも、ごまなど、その時々に身近にある食材を使い、味噌や白砂糖を使用するなど、家庭によって様々ななべやきが親しまれています。

笹山ひとみさんの「てんぽ」(認定番号285、軽米町)

てんぽ写真

てんぽせんべい、もちせんべいとも呼ばれ、「てんぽ」は焼き方が足りないことを意味する方言「て(ん)ぼっけ」 から、もちせんべいは小麦粉をこねたものを「もち」と呼ぶことから名づけられたと言われています。二戸地方のほか、青森県八戸市や三戸郡でも食べられています。地域には多くのせんべい店があったことから、古くなったせんべいの焼き型を譲られ、家庭でも「てんぽ」を焼くようになりました。子どものおやつや農作業の小昼として、ごまやくるみ、えごま、えごまの葉などを入れてつくります。

長坂成子さんの「しだみだんご」(認定番号286、九戸村)

しだみだんご写真

「しだみ」とは、どんぐりなどのコナラの果実のことで、特にコナラやカシワの実が美味しいと好まれています。炭水化物等の栄養成分に優れ、腹持ちが良いこと、貯蔵性に富むことなどから、二戸地方を代表する貯蔵食であり、主食の不足を補うものとして昔から食べられてきました。

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