岩手県食の匠 平成29年度認定

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ページ番号1022114  更新日 令和6年3月13日

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岩持幸子さんの「重っこ料理(わらび寿司)」 (認定番号260、雫石町)

写真:重っこ料理(わらび寿司)

 雪深い奥羽山系に位置する雫石町は、昔から山菜、きのこなど山の幸に恵まれ、旬の時期だけでなく塩蔵や乾燥などの保存技術により一年中食べられている。わらびも塩蔵により保存され食される山菜の一つであるが、ほろ苦さとぬめりの食感を生かしたわらび寿司は、祖母・母から受け継いだ山菜料理の一つであり、冠婚葬祭における、特に仏事での精進料理としても重宝され、山菜の風味を生かし工夫を凝らした料理である。雫石町では、冠婚葬祭や農村行事、集落の寄合いなどの際に、山菜料理や赤飯など様々な料理を重箱に詰めてお互いに持ち寄り、皆でまわして食べるという「*(じゅう)っこ料理」の文化が受け継がれている。
 「*重っこ料理」は重箱一段に料理一品、各戸持ち寄る重箱の段数も決められている地域もある(各戸二段の場合、集まる人数に応じて、一品を二段の時もあれば一段一品ずつで二段の時もある)。また冠婚葬祭を営む折、本家では多数の料理を準備し提供する慣わし。

立花怜子さんの「手打ちそば」 (認定番号261、八幡平市)

手打ちそば画像

 八幡平市安代地区は昔はあまり米が収穫できず、そば粉を使った料理が主食だった。なかでも手打ちそばはご馳走で冠婚葬祭には欠かせないものであった。そばは、秋から冬の料理で、温かいつゆで食べることが多かった。そば粉100%で、しっかりとこね、じっくりとゆであげたもちもち食感が特徴。

千葉靜子さんの「かぼちゃけっこ」 (認定番号262、岩手町)

かぼちゃけっこ画像

 秋から冬にかけてよく食べるおやつであり、冬至には必ず食べていたというかぼちゃの入ったおかゆ。おかゆは、岩手町内では、うるち米、もち米、麦、ヒエなど地域によって材料とする素材が異なっているが、かぼちゃと、時には小豆またはささげ豆を一緒に煮て、かぼちゃの形が残り、あまり米つぶが崩れない程度のおかゆとしているのが特徴である。昔は、てっぱつ椀という木の器で食べるのが一般的であった。家によっては、砂糖を加えず主食として食べているところ、またおやつ用に砂糖で甘くしているものと様々である。今は、なつかしい昔のおやつとして冬至に作り食べている。

菊池紀美子さんの「串だんご」 (認定番号263、花巻市)

串だんご画像

 花巻地方では、粉に水を加えて練る「しとねもの」が日常食、晴れ食として重要であり、種類も多い。粉の種類によって日常食か晴れ食かという位置づけが変わり、くず米や粃米(未熟米)の米粉を使った串だんごは日常食となる。米が貴重だった時代には、くず米や粃米も農家の貴重な食材であり、米粉にしておき、農作業の際の小昼や、子供たちへのおやつとして、串だんごが作られてきた。
 うるち米粉100%でつくる串だんごは、弾力がありしこしことした食感で、米の甘みを感じる素朴な味わいがある。

千葉安子さんの「ツルクビのいものこ汁」 (認定番号264、一関市)

ツルクビのいものこ汁画像

 材料となるツルクビは、一関市川崎町で栽培されている在来種のさといもで、芋の形が鶴の首に似ているところから命名された。一般的なさといもより水分が多く、ぬめりとなめらかな食感が特徴で、収穫量が少ないことから貴重な食材として伝わってきた。このツルクビを使ったいものこ汁は、稲刈り後など農作業が一段落した際のごちそうとして、また、身体を温める料理として振舞われたりしていた。
 出汁は、気仙沼の行商と物々交換して手に入れるかつお節をたっぷりと使い、昔はどこの家でも飼っていた鶏をさばいて入れる。また、昔から各家庭で手づくりされている豆腐が入り、特別な日に食べられるご馳走である。現在は、地元産の大豆を使った地元生活研究グループの手づくり豆腐を使っている。

高橋美穂子さんの「山菜の白和え」 (認定番号265、住田町)

山菜の白和え画像

 住田町では魚が手に入りにくい地域がら、地域で栽培した大豆が貴重なたんぱく源で、地元の豆腐屋で加工してもらい、家族で豆腐料理を御馳走として食する習慣があった。現在も地域には、豆腐を慶弔の際に親戚・近所の方々が持ち寄って、郷土料理を作る慣習が食文化として受け継がれている。また、面積のほとんどを林野が占める地域であることから、食材として山菜を使った料理も多く、山菜と豆腐を材料とした当料理は、冠婚葬祭や家庭でのもてなし料理として振る舞われ、地域ならではの食として親しまれてきたものである。
 大豆の豊かな甘味とコク、そしてゴマの香る軟らかな衣の中に、出汁がしみ込んだ山菜のほろ苦さ、たけのこのシャキシャキ感など各具材の風味・食感を味わえるのが特徴。祝い事には人参、弔事には大根と具材を使い分ける。

熊谷裕美子さんの「ワカメの茎の佃煮」 (認定番号266、田野畑村)

ワカメの茎の佃煮画像

 田野畑村の沿岸部では昔から、収穫したワカメを保存のきく佃煮に加工し各家庭で食していた。当該地域のワカメは、湾外の荒波で育てており、自生種から種苗を取り養殖を行っているため、肉厚でしっかりとした歯ごたえが特徴である。塩蔵ワカメの技術が導入された昭和54年頃から、ワカメを収穫する旬の時期には、商品価値が低い「茎の部分」を佃煮などに加工し、家庭用に保存食としていた。
 認定料理は、茎の部分の歯ごたえを活かすように、水出しの時間や炒める火力を調整している。また、原木の干ししいたけと小女子の旨みにより、料理の風味が増している。

土畑登美江さんの「鮭のあら汁」 (認定番号267、久慈市)

鮭のあら汁画像

 岩手県の鮭は本州一の漁獲量を誇り、豊富なたんぱく質を含み、栄養価が高い。久慈地域もまた県内有数の水揚げ量を誇り、鮭は昔から地域で親しまれてきた食材である。秋から冬に旬を迎える鮭を用いた鮭のあら汁は、久慈の漁家で慣れ親しまれてきた郷土料理で、仲間や親族の集まる日、新鮮な鮭が手に入った際に食べられてきた汁物であり、昔から大勢で楽しみながら食べられてきた。鮭を三枚におろし、頭は氷頭なます、身は煮物、焼き魚、白子はから揚げ、はらこは紅葉漬けなどにして食べられているが、残ったあらはあら汁として、頭と骨の部分まで無駄なく使い、地域で捕れた鮭や野菜がふんだんに入っている。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当
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