平成25年9月19日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020163  更新日 令和1年5月8日

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平成25年9月19日(木曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 学校における災害対応及び被害状況について
  • 全国学力・学習状況調査について
  • 土曜日授業について
  • 日本の近代化産業遺産群の世界文化遺産登録推薦について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。

本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
8月の大雨、今度の台風18号と続きましたが、県教育委員会管轄の学校や教育施設などで災害が起きた場合の対応と、今後さらに深めていくような取組などあればお聞かせ願います。

教育長
東日本大震災津波の教訓を受けて、いろいろなケースを想定しながら防災教育にしても防災訓練にしても実践的なものにしていかなければならないというのがあります。沿岸では津波による大災害があったわけですが、内陸でも今回のような大雨災害、洪水災害があり得るので、それぞれの状況に応じて実践的なものにしていかなければならないというのが一つ目の大きな課題です。

もうひとつは、学校だけではなくて地域と一緒になって取り組まなければならないというのがあります。市町村の防災関係機関や地域の自主防災組織と一緒になって子どもたちを守っていかなければならないというのが二つ目の大きな課題だろうと思います。

そのため、震災後、実践的なものに防災教育を移行していこうということで、岩手大学の堺先生や越野先生にご指導いただきながら、学校の取組をレベルアップしていこうという取組を行っており、こういったことを今後続けていかなければならないと思っています。

また、さきほど行われた台風18号被害に係る政府調査団への要望の後に、県土整備部長からそういった取組の連携について相談したいという話がありました。

やはり地域の中核になるのは学校であり、今回のような洪水被害に関して、学校と河川管理者との連携にこれから取り組んでいきたいという話を県土整備部長からいただいたので、より連携を広げることのできる大きな契機になるのではないかと思っています。

もう一点の地域と一緒になった防災について、今年6月に学校関係者だけではなく、市町村の防災関係の職員も一緒に集まっていただき、総合防災室と県教委の合同の研修会を開催しました。改めて、学校と地域が同じ視点で子どもたちの防災に対応しようという契機になりましたので、こうした取組をこれからも続けていきたいと思いますし、こういった取組がそれぞれの地域状況に応じた災害対応に力を発揮していくのではないかと思っています。

記者
今の話に出た県土整備部長との話についてもう少し具体的にお聞かせ願います。

教育長
2、3分の立ち話でした。今回は急に大雨が降って河川が氾濫したという状況であり、たまたま学校が休みの日で子どもたちの被害は最低限に抑えられたと思っていますが、これが例えば学校が休みではなかったら、校庭まで浸水した学校もあったので、その場合どうやって子どもたちの命を守っていくのか、河川管理者との連携の在り方をどうしていくのかということは今後の課題になり得るだろうと思っております。

県土整備部長も今回のような急激な氾濫が起こった時に、学校との連携をどう図っていくのかという問題意識を持っているようであり、その通りだと思いますので、我々も進めていければと思っています。

記者
全国学力・学習状況調査の結果について、中学校の数学が引き続き低い傾向にあるようですが、これに対する対策、具体的な取組などについて考えをお聞かせ願います。

教育長
中学校の数学は従前からの大きな課題です。質問紙調査を含めた諸調査によると、子どもたちの家庭学習の時間は少しずつですが伸びてきており、授業がわかるという子どもたちの割合も少しずつ増えてきているので、トータルとしてはいい方向に向かっているとは思いますが、課題はあると思っています。これからも子どもたちの学力向上に向けて市町村や学校と相談しながら取組を続けていかなければならないと思っています。

こうした学力調査はやって終わりでは意味がないので、結果をどう分析して、それに対する対策をどう打っていくか、県がやれる対策もあるし、市町村にお願いしなければならないものもあるし、各学校がそれぞれ子どもたち一人ひとりの状況に応じて取り組まなければならないこともあるので、これまでも取り組んでいますが、そこにベクトルを合わせてこれからもやっていかなければならないと思います。

県は先生方の授業力の向上に引き続き努めていきますし、県が実施する学力調査も含めたトータルな実態把握にも努めていきたいと思っております。また、それを受けて学校ごとの課題が明らかになった場合に、対策について市町村や学校と連携しながら一緒に取り組んでいくなど、地道な取組を続けていくしかないと思っています。

記者
静岡県では成績下位の校長名を公表するという話がありましたが、これに関する所感をお聞かせ願います。

教育長
報道されているような内容しか承知していませんので、静岡県知事が成績の低い学校を公表するような発言をされているようですけれども、その趣旨は競争させるということなのか、どういう意図をもってやろうとしているのかよくわからないのですが、学校のトータルを比較して高い低いというよりは、子どもたち一人ひとりにどういう課題があってそれをどう解決していくかという一人ひとりに着目した取組のほうがより大事なのではないかと思っています。

学校トータルで良い悪いという議論ではなくて、平均点が良くてもそれぞれの学校には課題を抱える子どももいるわけですから、平均点が良いから良い学校、平均点が悪いから駄目ということではないと思いますので、全国学調の意味合いは子どもたち一人ひとりに着目して、どこでつまずいているのかを見つけたうえでそれに対策を講じていくというのが目標だろうと思います。

本県としてまず各学校に取り組んでほしいのは、学校の平均点が上がるのに越したことはないのですが、平均点を上げるというより、こうした機会を活用して子どもたち一人ひとりの状況を捉え、一人ひとりに応じた取組をより強めて、課題を抱えている子どもが一人でも二人でも少なくなるような取組であり、その結果として本県の平均正答率が上がっていくというのが本来の望ましい姿だと思っています。

ですから、得点の低いところだけ公表するということについては、他県のことでもありコメントは差し控えますが、今、本県が取り組んでいる方向性とはちょっと違うのかなと思っています。

記者
台風18号による学校の被害と、自宅が被災した子どもが県内にどれくらいいるのか状況をお聞かせいただきたいのと、政府がやろうとしている土曜日授業について県教委の見解をお伺いします。

教育長
台風18号の被害状況については現在調査中で、全容がまだ明らかになっているわけではありません。今のところの教育施設の被害状況は、9月17日10時現在で15施設、被害額は調査中です。

幸いにも児童生徒に身体的な被害が及んだという報告はまだ受けていませんが、住家が被災したことによって教科書が流されたお子さんがおられるようで、現在は学校にある教科書で対応しているようですが、そういったところも含めて調査を進めていきたいと思っています。

土曜日授業の関係については、7月に文部科学大臣が大槌町にお見えになった際、土曜日に通常の授業をやろうと思っているわけではなく、地域の方々にボランティアで参加していただいて地域の持っている力を子どもたちに伝えていただくなど、地域人材を活用して子どもたちに色々な体験をしてもらうということを考えているのだというお話をされていました。

本県においてもいわて型コミュニティ・スクールを通じていろいろな取組がなされていますが、土曜日を活用した取組というのはそんなに多くないだろうと承知していますので、これから国の動向なども見ながらということになるだろうと思いますが、いま子どもたちが置かれている状況を学校や市町村から伺ったうえで、土曜日にそういった活動のニーズがあるかどうか、それに対応してどういったことができるのかということをベースのところから検討していかなければならないと思っています。

記者
ニーズを把握しながらという話でしたが、例えば中学生は部活動などで土曜日も相当忙しい状況かと思いますけれども、そもそも土曜日にボランティアとか地域の人々に協力してもらいながら色々な体験をするということが岩手県でどれくらい必要なのか、都市部との状況の違いもあり、やろうとしていることのギャップがあるのではないかという話もあります。その点について教育長のお考えをお聞かせください。

教育長
やはり今の岩手の子どもたちが置かれている状況をしっかり把握して、何が必要なのかということに取り組んでいかなければならないと思います。おっしゃるとおり中学生や高校生は部活動で忙しいので、土曜日・日曜日くらいゆっくりさせてほしいというお子さんもいるでしょうし、土曜日・日曜日も部活動に取り組んでいるお子さんもいます。一方、都市部などでは土曜日・日曜日はずっと家にいるお子さんがいるというような課題もあるようです。

岩手の子どもたちが置かれている状況をしっかり把握し、学校や市町村から色々なニーズを伺ったうえでどうするか、地域人材の活用の問題もあるし、施設の活用ということになると施設の管理者である市町村とも相談しながら進めなければならないし、教員も含めた学校のマンパワーがどう関わっていけるのか、勤務条件との関わり合いがどうなのか、課題も多いですので、そういった点も含めて検討していかなければならないと思っています。

記者
橋野高炉を含めた産業遺産群が世界遺産登録へ推薦されることとなりましたが、県教委としての今後の取組について教えてください。

教育長
正式には近日中に連絡会議が開かれてそこで決定されるようですが、橋野高炉を含む近代化遺産群が世界遺産の国内候補に選ばれたということは大変素晴らしいことだと思いますし、官房長官も記者会見でおっしゃっていたようですが、被災地である岩手県、特に釜石市にとっては大きな希望だろうと思っています。

今後のスケジュールとしては、まずは今月中に推薦書の暫定版を提出して、来年の2月までに本推薦書を提出、そのあとにイコモスの現地調査ということが想定されますので、平泉の時もそうでしたが、まずはイコモスの現地調査にしっかり対応していかなければならないと思います。

我が国で稼働資産を世界遺産登録に推薦するというのは初めてのケースになりますので、それについてどうご理解いただくか、また、九州・山口が資産の中心で、本県が一番離れた箇所にある資産ですので、橋野高炉が我が国全体の近代化の中で果たした役割というものをしっかりと説明していかなければならないと思います。そこの関連をしっかりと理解いただくため、釜石市と一緒になりながら、また、全体の取りまとめ役である鹿児島県とも一緒になって、橋野高炉の価値を世界にご理解いただけるような努力が必要だろうと思っています。

記者
平泉の時は岩手県が単独でやっていたのでやりやすい部分もあったかと思いますが、今回は事務局が鹿児島県で複数県にまたがっており、難しいところもあるかと思います。連携などの部分で課題はありますか。

教育長
釜石は協議会には後から入ったのですが、やってみて関係県との調整に苦労しているということはありません。

構成資産を持っている県が、自分たちの資産の価値をどう訴えていくか、どう保全していくかということをまずは一生懸命取り組んだうえで、それからトータルで日本の近代化のためにこれらの資産が果たしてきた役割というものをみんなで訴えていくということになろうと思います。

関係県との役割で苦労するということよりは、関係県と一緒になってそれをどう世界に訴えていくのかということを同じ視点でやっていくということになるだろうと思っています。

記者
県教委の組織の話ですが、平泉や御所野遺跡の関係で世界遺産の関連の担当を設けていますが、これを受けて橋野高炉の担当を設けるということはありますか。

教育長
県教委の担当はあくまで世界遺産担当で、そこで平泉、橋野高炉、御所野遺跡の3つを担当していますので、今後の業務量を推計したうえでそれに必要な人員等を配置することになるかと思いますが、組織的にはまずは今の組織で今年度の当面は進めて、来年度どうするかは来年度の業務量を見ながら検討することになるかと思っています。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

このページに関するお問い合わせ

岩手県教育委員会事務局 教育企画室 企画担当
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