平成25年12月19日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020159  更新日 令和1年5月8日

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平成25年12月19日(木曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 全国学調の結果公表について
  • 退職手当支給制限処分取消判決確定について
  • 高校再編について
  • 一年の総括について
  • 滝沢市の誕生について
  • 岩手大学の次期学長について
  • 教育委員会制度改革について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
文部科学省が全国学力テストについて学校別の成績公表を市町村に委ねる方針を出しましたが、それについての所感と、岩手県教委としての対応をお聞かせください。

教育長
全国学力状況調査はもともと学校が自校の分を公表することは認められていて、市町村全体の分、県全体の分についてはそれぞれ公表できていたわけですが、逆に市町村がそれぞれの学校の分を公表することは実施要領の中で禁止されていたということで、その禁止が解除されたものです。文科省としては公表してください、とは言っていないのですが、公表したければどうぞ、という風に改めるということですので、市町村に判断が委ねられた、市町村の判断により公表が可能になった、ということだと思います。今、それぞれ各市町村議会で色々なご質問等が出されていて、お聞きしているところでは従前の方針を維持されるという答弁をなさっている市町村教育長さん方のご発言は聞いています。
私どもの立場としては、全国学調の実施主体である小中学校を所管されている市町村教委の意向に反して県独自で公表するということはやらないですし、制度的にもできません。ですから、市町村のご判断を最大限尊重して取り組んでいくことになります。
一方で、全国学調の目的である、子どもたち一人ひとりのしっかりとした学力保障をしていこうという、単なる平均正答率だけではなく、調査結果を踏まえてそれぞれの学校なり市町村なりが、県を含めて、色々な工夫をしながら子どもたちの力を伸ばしていかなければならないので、そちらの方は、市町村、学校共々、取り組んでいきたいと思いますし、県としてもできることを最大限努めていきたいと思います。

記者
懲戒免職に伴う訴訟で、懲戒免職自体は認められましたが、退職金を支払う判決が確定しました。この判決に伴い、県教委としてどのような退職金支払いの対応をするのか、また、今後、懲戒免職自体の制度の見直しがあるのか含めてお聞かせください。

教育長
今回、懲戒免職の処分と退職金の全部を支給しないという処分の、2つの処分を県教委は行い、その2つが争いになったのですが、退職金を全部支給しないという処分は取り消すべきだという盛岡地方裁判所の判決が最終的に確定しました。したがいまして、私どもとしては、退職金をどうするかという処分を改めて行わなければならなくなったということです。もう一度事案の中味、裁判の判決例などを勘案して、当該懲戒免職をされた教員の方に、退職金を全部支給するか一部を支給するか、改めて処分を行わなければなりません。全部不支給という処分は取り消されたので、残るのは、全部支給するか、一部支給するかという、改めての検討となると思います。
全国的にも、懲戒免職を行った事案に対して退職金を支給する事例というのは、そんなに多くありません。恐らく県としては初めてのケースになると思いますので、その辺は、退職金の制度を所管している総務部とも、どうあるべきか、県としてどう整理するべきか、色々と議論させていただいた上で判断させていただきたいと思います。判決が確定しましたので、早急に協議を整えた上で改めて処分を行いたいと思っています。
退職金制度をどうするかということについては、最終的には地方公務員制度、国家公務員制度、公務員制度全体に係る話ですので、制度を所管している国とも協議する格好になると思いますが、県教委とすれば、懲戒免職を行った場合に、今までは全部支給しないというのが通常だったわけですが、それを支給する場合、どういう場合に支給することがあり得るのかということを、色々な事例を積み重ねながら検討していくことになると思います。

記者
今回に限らず支給するケースが出てくる可能性があるということでしょうか。

教育長
裁判所からは、今回の事例については、全部不支給という処分が取り消されましたので、制度的にも一部支給できる規定はありますが、どういった場合に支給するのかという事例の積み重ねがなかなかないので、今回は全部不支給というのが取り消されたので、どういった場合に支給するのか、支給する場合どのレベルで支給するのか、今までも個別の事案を議論してきましたが、これからもこういった事案を含めて、しっかりと議論していかなければならないと思います。

記者
高校再編について、整備計画の凍結状態が続いていますが、年度内に動きがあるのかどうか、お聞かせください。

教育長
本県の高校教育をどうするべきかという、かなり大きな問題というか、議論を要する内容だと思いますので、結論からいうと、既に高校入試が目前に迫っている今年度内において、再編の議論を始めようということについては教育委員会内部でも議論いたしておりません。結論的には、今年度内は、まずは現行制度で子どもたちにしっかりと高校を目指してもらうことになります。
一方で、県議会で様々な議論もいただいていますし、今、県内の高等学校を訪問して校長先生方とも意見交換をしていますが、異口同音に仰っているのは、これからの少子化の中で、どう子どもたちに高校教育をいい環境の中で受けてもらえるかということで、それぞれ学校が非常に悩んでいます。そういったことで、やはり、本県の今後の子どもたちがどういう環境の中で育っていけばよいかということについては、議論をせざるを得ない時期が来ると思います。

記者
今年最後の記者会見だと思いますので、一年の教育行政の総括をお願いします。今年の漢字などあればお聞かせください。

教育長
今年非常に印象に残っているのは、岩手の若い世代、子どもたちがすごく頑張ってくれたということです。国民体育大会、全国高総体、全国高文祭、それから今日も来てくれましたが、全国の文芸コンクールで最優秀に選ばれた子が3人もいらっしゃいます。もう少し上の世代では、プロ野球で銀次選手が活躍してくれました。今年は岩手の若い力が岩手全体を盛り上げて活躍してくれたことがうれしかったです。
一方で、県内の各学校を回って色々なお話を聞くと、震災3年目を迎え、色々な心配も出てきていると、仮設での暮らしが長きに渡って、色々な子どもたちの動揺というのも、震災直後の震災を経験したことによる直接的な心の痛みというよりは、むしろそれ以降の生活環境、学習環境全体を含めたサポートが必要だというお話をいただいていますので、子どもたちのサポートにこれからも全力で尽くしていかなければいけないと思います。
今年の漢字ということですが、委員長は国語の先生ですので相談しましたが、私と思いは同じで、若い力を表せればいいね、ということで、若い力が活躍、躍動してくれたということで、「躍」です。

記者
1月1日から滝沢市が誕生します。子どもたちの教育の上で、小学校の話などもでていますが、県教委として、滝沢市に変わって、どういった教育の姿になってほしいかテーマとして思っていらっしゃるか、また具体的にこう変えていければ、というものがあればお聞かせください。

教育長
こう変えていくというイメージは持っていません。それぞれの地方公共団体、特に市町村におかれて、地域の子どもたちをどう育てるかというビジョンを持って小学校教育、中学校教育に取り組んでいます。それを受けて私ども県教委として高校教育ということになると思います。
滝沢村、滝沢市においても、村長さん、村教育長さんともお話する機会がありますが、滝沢の子どもたちをこう育てていきたい、という想いをもって色々教育に取り組んでいますので、県教委としては、たまたま村から市に地方公共団体としての制度は変わりますが、そこにいる子どもたちは変わらないので、引き続き滝沢村、滝沢市が育てようと思っている子どもたちの姿を目指して、一緒に取り組んでいけたらなと思います。

記者
昨日、岩手大学の次期学長に堺氏が選ばれましたが、県教委として、新しい学長に期待することなどお聞かせください。

教育長
堺先生には、発災直後から防災を中心に、私どもとしても学校としても大きなご支援をいただいています。それから今、本県の復興教育の中で、防災という大きなテーマで取り組んでいまして、岩手大学からは、堺先生をはじめ大変なご支援をいただいています。
これまで一緒にやってきていただいた先生に岩手大学のトップに立っていただくということで、これからも非常にご支援をいただけるのではないかと期待感を持っています。
堺先生とは何回もお話する機会があるのですが、防災という切り口から岩手の子どもたちに震災から立ち直って、安全安心の中で暮らしていってもらおうという思いを先生は強く持っていますので、これからもそういう先生のご支援をいただきながら岩手の子どもたちの安全安心のために尽くしていけるのかなと思います。

記者
学力テストについて、県で独自に小中学校と高校の学力テストを実施していますが、これに関する成績の公表のあり方の見直しなどは考えていらっしゃらないでしょうか。
また、問題行動調査の結果について、昨年度、高校生の自殺が6人あったということについて、教育長はどう考えていますか。原因がなかなかわからないというのが4件ほどありましたが、県教委として、高校生の自殺防止対策をどのようなことをお考えですか。

教育長
小中学校については県学調と、高等学校については、基礎力確認調査というのがあります。特に県独自で行っている調査については、市町村、小中学校で行っていただいているので、極力、全国学調と連動する格好で子どもたちが力を伸ばしていってほしいと思っていますので、全国学調の公表のパターンと県学調も合わせていくのがいいかと思いますので、その辺については、実際にやっていただいている市町村とよく相談していきたいと思います。
県の基礎力確認調査については、小中学校の流れも受けて、県としてどう対応すべきか課題意識は持っています。したがいまして今後、高等学校で受入れた子どもたちを毎年どう伸ばしていくかということについて、それぞれ学校なり県として、どう説明責任を果たしていくか、今後検討させていただきたいと考えます。
自殺の関係は、私どもとして非常に重く受け止めていまして、非常に残念なことだと思っています。先ほどお話いただいたとおり、原因がなかなかわからないという事例もあるのですが、一方で何とかこれを防がないといけないと思います。
県全体でも自殺防止に取り組んでいますので、福祉・健康サイドと一緒に取り組んでいくとともに、もう一つは、本県が独自に取り組んでいる心とからだの健康観察の色々なデータを駆使して、一刻も早く子どもたちに対する相談体制を充実させて、何とかそれを防ぐ手立てを多方面から講じていければな、と思っています。心とからだの健康観察はこれからもしばらく続けていきたいと考えていて、外からなかなかうかがい知れない子どもたちの心の動きについて、当然一義的には教員が色々な観察から把握するとともに、もう一つはそうしたアンケートを活用しながら、子どもたち一人ひとりの心の動きに対して、適切な教育相談を行える体制を整えていきたいと思います。

記者
公表パターンを合わせるというのは、県学調についても市町村教育委員会が学校毎の成績を公表できるようにするということですか。

教育長
そこまではまだ市町村と一切議論をしていません。私どもの考え方としては、県学調も、実施しているのは市町村ですから、市町村教育委員会の意向を把握し、十分摺合せた上で、対応していきたいということです。県が実施主体のテストですから、公表をどうするかは市町村のご判断で、というのも乱暴ですから、実施していただく市町村と十分摺合せた上で、極力、全国学調とも齟齬のないように努めていきたいと、現段階ではそのように考えています。

記者
学力テストについての議論がなされている中で、保護者の観点からすれば、学校別の成績を公表してほしいという意見も少なからずあるかと思います。改めて県として保護者の方へのアンケートとか保護者の声を聞く機会はあるのでしょうか、あるいは今までにやっているのでしょうか。

教育長
直接的なアンケート調査というのは行っていないと思います。現行制度でもそれぞれの学校は自らの学校の結果を公表することは認められています。今議論になっているのは、市町村が所管する学校のデータを、市町村で全部公表することについてどうするかという議論ですが、確かに保護者の方々が、自分たちの子どもたちを学校でどう育ててくれているのか、1年間でどう成長したのか、そういうデータを欲しいというのはおっしゃるとおりだと思われます。
これから考えなければならないのは、一律に公表して平均正答率だけでこの学校よりこの学校が高いということではなくて、1年間かけて子どもたちがどう成長したのか、どう改善していくのか、というところがわかっていただけるように、保護者にどう説明責任を果たしていくかという観点で議論しないとならないと思っています。
その辺については、学校によって色々な取り組みをやっている学校もあって、学校だよりの中でこういう情報を出している学校もあれば、そこまで踏み込んでいないという学校もあるので、こういう制度の変わり目で、ちょうどいい機会だと思います。これから、私どもとしても、市町村共々、保護者の方々にお伝えするデータとして、どういう出し方が学校としての説明責任を果たすのかについて、議論しないといけないと思います。

記者
先日、中教審で教育委員会制度改革の方針案が出されて、今年はかなり全国的にも教育委員会制度にまつわる動きが大きかったと思いますが、首長の権限が強くなる印象を持っていますが、所感をお聞かせください。

教育長
中教審の最終答申案として、教育行政の最終責任者を首長とした上で、教育委員会を特別な附属機関とする制度の答申案が示されましたが、中教審自体も示しているとおり、色々な制度的な議論がこれから必要だろうということですから、その状況は注視しないといけないと思います。
何よりも、子どもたちの教育について、地域、保護者の方々、県民の方々のご理解をいただきながら進めないと教育行政はうまくいかないと思いますので、こういう議論が出てきた背景に教育委員会制度に対する色々なご意見、批判があるのだろうということはしっかり受け止めながら、知事とも十分教育委員会として意思疎通を行いながら、岩手の子どもたちをどう育てていくのか、そのために知事と教育委員会とでどう役割分担していくのか、知事部局と同じ思いを持って進めていくことが、今必要だと思います。
ただ、知事か教育委員会か、どちらかということではないと思います。県の計画の中に教育が位置付けられているもので、県の総合計画に基づいて教育分野の計画をしているわけなので、県全体が目指す方向を教育が全く知らんふりをしていることはないので、復興についてもですが、同じ思いを持って進めています。これからも知事部局、知事と教育委員会が同じ思いを持って進めていくことが、岩手の教育に必要だと思います。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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