「がんばろう!岩手」意見交換会(平成25年10月31日 釜石・大槌地区高等学校)

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ページ番号1000878  更新日 平成31年2月20日

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日時

平成25年10月31日(木曜日) 11時30分から12時30分

場所

岩手県立釜石商工高等学校 大会議室

出席者

  • 参加者(敬称略)
    三浦 完(岩手県立釜石商工高等学校)
    久保 静樺(岩手県立釜石商工高等学校)
    菊池のどか(岩手県立釜石高等学校)
    佐々木伊織(岩手県立釜石高等学校)
    東谷 周(岩手県立大槌高等学校)
    兼澤 茜(岩手県立大槌高等学校)
  • 県側
    達増知事
    水野秘書広報室長
  • 司会
    猿川 泰司(岩手県立釜石商工高等学校副校長)

開会

猿川副校長
それでは、ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催いたします。

本日ご出席いただきました生徒の皆さん、また県議会の先生方にはご多忙の中、お越しくださいましてまことにありがとうございます。心から感謝申し上げます。

私は、本日の進行役を務めさせていただきます岩手県立釜石商工高等学校副校長、猿川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


猿川副校長
それでは、開会に当たりまして、知事から一言ご挨拶をお願いします。

達増知事
皆さん、こんにちは。学校も何かと忙しい季節だと思いますけれども、そういうときにこのように集まっていただきましてありがとうございます。引率、またこの準備に当たられた先生方もありがとうございます。

小野、岩崎両県議会議員もありがとうございます。この県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会というのは、県政懇談会というのは前からいろんな形でやっていたのですが、特に「がんばろう!岩手」という名前でやっているのは東日本大震災津波の後からでありまして、この復旧・復興、それぞれの地域で、またさまざまな分野で頑張っている皆さんの意見を聞いて、岩手県の復興政策に役立てようというものです。高校生の皆さんは、まず高校生として勉強しているということ自体、それがもう地域の復興でありまして、未来に向かうその力をつけてもらうこと自体、もう既に復興なのですけれども、さらにいろいろ復興関係の活動などにも取り組んでいる高校生の皆さんがたくさんいるので、心強く思っています。

また、NHKの朝ドラ「あまちゃん」も地元の高校生が主人公のドラマだったわけでありますけれども、高校生がさまざま活躍しているというのは、これは地域を盛り上げる大変大きな力であります。そういう意味で、復興に限らずいろんな活動を地元で、また全国あるいは外国につながるような、そういう活動をやってもらっているということはこの地域振興、地域起こしという観点からも大変ありがたい、そういうことも含めて今日はいろいろ話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。

猿川副校長
ありがとうございました。

それでは、本日ご出席の皆さんをご紹介します。まず最初に、岩手県立釜石商工高等学校、三浦完さんです。

三浦完
お願いします。

猿川副校長
同じく岩手県立釜石商工高等学校、久保静樺さんです。

久保静樺
よろしくお願いします。

猿川副校長
岩手県立釜石高等学校、菊池のどかさんです。

菊池のどか
よろしくお願いします。

猿川副校長
同じく岩手県立釜石高等学校、佐々木伊織さんです。

佐々木伊織
お願いします。

猿川副校長
岩手県立大槌高等学校、東谷周さんです。

東谷周
よろしくお願いします。

猿川副校長
同じく岩手県立大槌高等学校、兼澤茜さんです。

兼澤茜
よろしくお願いいたします。

猿川副校長
県からは達増知事。

達増知事
改めてよろしくお願いします。

猿川副校長
それから、水野秘書広報室長でございます。

水野室長
よろしくお願いします。

なお、本日は県議会議員として小野共様。

小野共県議
よろしくお願いします。

猿川副校長
それから、岩崎友一様。

岩崎友一県議
よろしくお願いします。

猿川副校長
お二人の方にもお越しいただいております。

それから、本日は皆さんのお手元に飲み物と、それからお菓子を準備しております。お菓子のほうなのですけれども、震災で被害を受けたお菓子屋さん、流されたというお菓子屋さんがもう一度店をやろうということで、シープラザのほうに店を構えているということで、頑張ろうという気持ちを込めてのお菓子なようですので、もしよろしかったならば召し上がりながら、それからお飲み物のほうを飲みながら会のほうに参加して発言していただければと思います。どうぞリラックスしてお話しいただければと思います。

懇談

写真:懇談会の様子2


猿川副校長
それでは、早速懇談に入らせていただきます。初めに、自己紹介を兼ねまして、お一人4分ぐらいで、今皆さんが学校や地域で取り組まれていることなどお話しいただきたいと思います。

それでは、名簿の上からの順で三浦さんからお願いします。

三浦完
こんにちは。私は、釜石商工高校2年C組、三浦完です。役職は生徒会長と男子バレーボール部の主将を務めています。

震災当時は釜石中学校2年生で、そのときは3年生を送る会の直後でした。私の地域のほとんどの方とそれ以来連絡がとれず、友達や身内にも家族が亡くなったりした人が多くいました。それでも何とか私たちの地域にいつでも帰ってこられるよう、只越町にあるカトリック教会の方々は朝早くから夜遅くまでごみ拾いから町おこしのイベントまでたくさんの活動をされています。時には牛乳を配ったり、豚汁を配ったり、バスツアーなど震災直後では大変貴重な体験を無償で実行されていました。

私たち釜石商工では、震災後から今日までさまざまな活動をしてきました。釜石商工にはボランティア委員会という委員会があり、主な活動内容は地域のごみ拾い、イベントの後片づけ、みんな集まれB1(ビーチ)プロジェクトというイベントにも参加するなど多くの活動を行っています。これからの活動にはクリスマス献血キャンペーンに参加する予定を立てています。

震災後は、釜石商工へ被災地支援として多くの団体から物資などたくさんの援助をしてくださいました。援助していただいた方々に商工という人文字を全校生徒でつくり、商工生は元気に生活していますというメッセージを伝えました。全校生徒が協力することにより、商工生の士気も高まったと思います。そして、7月下旬に兵庫県相生産業高等学校の人やアメリカの高校生と交流をしました。アメリカの高校生の方には日本を知ってもらい、釜石を知ってもらい、被災地を知ってもらいました。そうすることによって、災害の恐ろしさを発信することにつながりました。相生産業高校さんとは2年連続で交流をさせていただいており、今回は釜石の郷土芸能である虎舞を披露したり、被災地を案内するなどとても濃密な時間を過ごせました。

そこで、私は震災当時の状況や心境を語り、どのような行動をとったかとか、人間の愚かさ、醜さなどを伝えました。その話に真剣に耳を傾けていただき、人の善の心が見えた気がしました。何より1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の被災地にある学校なので多くの共感を得られて、この災害を後世に言い伝えたいと話されたので、とてもよかったです。

釜石商工は、これからも復興に向けた取り組みをしていきたいと思います。ありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございました。

それでは、続いて同じく釜石商工高校の久保静樺さんお願いします。

久保静樺
私は、釜石商工高校総合情報科2年、生徒会議長、弓道部部長を務めています久保静樺です。

今地域で取り組んでいることの一つとして、震災の影響で実施することができなくなってしまっていた釜石よいさなどのお祭りをまた開催しようとしていることが挙げられると思います。震災前の釜石は、伝統芸能がたくさんあり、お祭りなど盛んに行われていました。そのお祭りをまた開催することによって、釜石全体が元気づけられ、震災前より活気あふれる町になっていってほしいと思います。

学校で取り組んでいることとして、先日8月24、25日に宮城県で行われたハイスクールサミットに釜石商工の代表として私も参加し、元気なまちづくり、道づくりを考えるというテーマについて、全国から集まった高校生と意見交換をしてきました。そこで、私は自分たちの理想の町にするためには自分の町の良さを知ることから始まると思うという意見を発表してきました。

話し合った結果として、元気なまちづくりには大人だけの力に頼るのではなく、これからの世代を担っていく私たち高校生の力が必要になってくるという意見が多く出ました。この意見を踏まえて、私はまだ高校生の私たちにできることは少なく、限られているかもしれませんが、今できることから取り組んでいくことが良いまち作りの第一歩になっていくのではないかと思いました。

今回サミットに参加し、話し合って、そのまま終わるのではなく、釜石市長さんを始め市役所職員の方々とお話ができる時間を設けていただいたので、参加してみての感想発表や話し合いの結果、地域の現状などを話すことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。さらに、総合情報科2年生の経営コース選択者がグーグル会社の方々を始めとするたくさんの方の協力のもと、地元の企業の方々のホームページの作成のお手伝いをするという活動も月1回程度のペースで行っています。ホームページを持っている企業と持っていない企業とでは売り上げの伸びが違うということから、ホームページを利用し、それぞれの企業をたくさんの人により良く知ってもらい、地元の企業を活発にしようという目的で、私たちはこの事業を行っています。

第1回の事前講習では、グーグル会社の方々を始め、もう既にこの事業を行っていた徳島県の徳島商業高校の生徒を招き、ホームページの作り方などを学びました。徳島商業高校の発表を聞いて、同じ年代の人が地域に貢献する活動をし、結果も出していることを知り、とても感銘を受けました。私たちもこの事業を行っていくことによって、地元の活発化に貢献できればいいなと思います。震災直後、私が中学校3年生のときは仮設住宅を訪問し、日用品の支援物資を届けたり、大平中学校の伝統であった大平ソーランや合唱を披露したり、避難所の清掃といった活動を学校全体で取り組んできました。高校に入学してからは地域の方々と直接関わる機会がなくなってしまったけれども、先日のサミットのようなたくさんの人たちと意見交換をできる機会があれば積極的に参加し、地域のことなどに関して違う視点からの意見を取り入れ、これからも何らかの形で地域と関わり、役に立つことができればいいなと思いました。ありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、続いて釜石高等学校の菊池のどかさんお願いします。

菊池のどか
こんにちは。私は釜石高等学校3年の菊池のどかと申します。本日は知事とお話できることができて大変うれしく思っています。

私は、いわて希望塾の卒業生で、高校ではボクシング部に所属し、岩手県代表として全日本大会で優勝してきました。また、高校生平和大使として日本国内外に被災地の現状を伝えてきました。本日は、釜石の奇跡と呼ばれる釜石東中学校で行っていた防災活動についてお話ししたいと思っています。

私たちの学校は、まず大槌湾という海のすぐそばにありました。ですから、普段から津波に地域全体で取り組み、備える必要がありました。大きく分けて2つの防災活動を行っていました。

1つ目は安否札の配布です。安否札というのは、当時の中学生が発案したもので、オレンジの紙に「避難しました」と書いてあるものです。これを災害時に家の玄関にかけて避難することで避難できずにいる方を視覚的に見つけ、避難時間の短縮を行うことができます。この活動は、夏休みの地区行事で行っていました。地区で行った理由としては、学校以外で一番長い時間を過ごすということ、また一軒一軒を回ることでどの家に、どのような人が住んでいるのか、またその人は一人で避難ができそうなのかということを知り、災害弱者の孤立を防ぐという理由があります。

2つ目は、防災ボランティーストです。防災ボランティーストというものは、整備委員会が発案した10項目の実践的な防災のプログラムから好きなものを選んで、地域の方に協力していただきながら総合的な学習の時間に取り組んでいくものです。内容としては応急処置、炊き出し、風水害、海難救助、救急搬送、フィールドワーク、防災ずきんづくりなどが挙げられます。目的としては、災害時に自分にできる、自分に一番合った救援方法というものを見つけること、そして災害時に迷いなく行動に移せるように、まずは自分で体験をしてみること、そして全校の縦割り班で行動して、仲間意識を高め、つながりを強くすること、助けられる人から助ける人になること、地域の人にも防災意識を持ってもらうことが挙げられます。

このような活動を全力で取り組んできたことで、釜石東中学校と鵜住居小学校、そして周りの住民の方々の命は助かりましたが、それでもやはり震災によって多くの命が奪われてしまいました。震災後、津波が来たから防災活動をやってももう意味がないという声を聞くこともあります。しかし、それは絶対に違うと思います。これからは、未来の人たちがいかに高い確率で助かることができるかという防災活動に目を向けるべきだと思います。私は、そのことについて絶対にあきらめないで、これからも釜石を守るために一生懸命活動していきたいと思っています。ありがとうございます。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、続いて同じく釜石高校、佐々木伊織さんお願いします。

佐々木伊織
釜石高校理数科2年の佐々木伊織です。本日はよろしくお願いします。

私は、サッカー部に所属し、ディフェンスをしています。サッカー部は、来年釜石高校は100周年を迎え、そのときに記念事業としての盛岡商業高校と対戦することになっているので、今はその試合に向けて、そして高総体に向けて毎日練習を頑張っています。

僕は生徒会でボランティア活動の担当をしているので、学校のボランティア活動について紹介したいと思います。まず、現在釜石高校では桜の木プロジェクトという震災関連の活動をしています。以前釜石高校では、根浜海岸という海岸の清掃を行っていたのですが、東日本大震災が発生してしまい、活動できなくなりました。これは、そのかわりの活動で、桜の木を植えることによって、釜石高校の復興の象徴として、そして震災の記憶を風化させないといった目的や役割があります。

この桜の木なのですが、3年ほど前に植樹したばかりだったのですけれども、昨年鹿に食べられてしまい、全て枯れてしまいました。それで、今年、盛岡の自治体から桜の苗木の支援をいただき、今年の生徒会でそれを植えました。10年後、20年後に桜の木が咲いて、視覚的に復興の象徴として捉えることができるように整備活動を行っていきたいと思っています。

また、9月に行われた専大北上高等学校の学園祭に釜石高校と大槌高校が招待されました。そこで、内陸の方々の震災への意識や記憶が風化し始めているということを聞きました。これは、内陸だけの問題ではなく、釜石や県内全域で見られることだと思います。

震災後の生活にだんだん慣れてきた人が増え始めてきたからだと思います。私はこの風化を押さえたいと思っています。そして、一緒に参加した大槌高校の生徒の中に被災地案内のガイドをしている方がいるということを知りました。まだ釜石高校内での計画ではあるのですが、専北と大槌高校、釜石高校、商工の合同ボランティアや震災学習を計画しています。これは実際に被災地を訪問し、その被災地で何が必要なのか、被災地で暮らしている住民は、何をしてほしいのかなどを学び、そして訪れただけではなく被災地の清掃などを行い、美化活動を行いたいと考えています。

それと、私が中学校のときには実際に避難所運営のボランティアをしたり、地域を訪れてボランティア活動を行っていたのですが、やはり高校に入ってからは地域の方々と接することができなくなっています。ですので、この合同ボランティアをぜひとも実施し、地域の方々と強い絆で結ばれながら活動を盛り上げていきたいと考えています。

以上です。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、続きまして大槌高校、東谷周さんお願いします。

東谷周
私は、大槌高校2年の東谷周といいます。今年の8月から大槌高校の生徒会長を務めています。

生徒会で活動する中で、県内外の高校生と交流する機会がたくさんあり、震災や復興に対してそれぞれの立場から意見交換を行っています。そのほかにも本校の学園祭に招待したり、他校の学園祭に招待していただいたりと積極的な交流を図っています。その際には、他校の生徒へ向けて私たちのプレゼンをさせてもらう場をいただいています。そのときに発信しているのが震災当時の本校の避難所運営の様子と、生徒会が今まで取り組んできた活動の内容です。

震災当時の避難所運営では、炊き出しや物資の配給などの活動を生徒たちが中心となって取り組んでいました。自らの家が流された人もいたにもかかわらず、積極的に手伝いをしていました。本校の生徒の強さが見られた瞬間で、そうした強さは2年半を過ぎた今も感じられます。生徒会の活動では、県内での学校と復興について話し合うなどしています。震災から2年半以上が過ぎた今、防災意識などが低下しているのが現状です。そういった震災の記憶や経験の風化を防ぐことが大切だと思います。そのために、震災の経験をより多くの人に伝えていくことが私たちにできる大きな役割だと思います。そうした思いで県内外の学校と積極的に交流しています。

今年の5月から東京大学の協力のもと、大槌の復興を考えるまちづくりという活動を大槌高校の2年生が中心となって行っています。これは、町を活気づけるためにはどうしたら良いのかや、自然を生かしたまちづくりはできないかなど多方面から大槌の復興を考えている活動です。そして、最終的には町に考えた内容を提言し、良いものには予算をつけてもらい、実際に施策として取り組んでもらうという話になっています。この活動は、私たち高校生が今の状況を知り、大槌の未来のために力を発揮できるすごく意味のある取り組みです。高校生という次の大槌の将来を担う若い力が今から行動を起こすことはとても重要だと思います。

今年度、本校では復興研究会を立ち上げました。約80名の生徒が参加を希望し、生徒交流や復興活動に力を入れています。4月から約26もの取り組みをしました。自分たちにできることをしっかりとやり、全力で地元の復興のために力を尽くしていきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、最後に大槌高校の兼澤茜さんお願いします。

兼澤茜
こんにちは。私は、大槌高等学校から参りました2年生の兼澤茜と申します。8月に生徒会の書記に任命され、また部活動では野球部のマネジャーを務めています。本日はよろしくお願いいたします。

私は、今年、第16代高校生平和大使として核兵器の廃絶と平和な未来の実現のために全国の高校生平和大使や実行委員会とともに活動しています。そして、今年の8月、スイスのジュネーブにある国連欧州本部やその他施設を訪問し、平和に対する思いを英語のスピーチを通して発表してまいりました。

また、私は被災地代表ということでもあったので、被災地の震災時の様子や、そこから考えた平和について発表してきました。その際に、私が住んでいる大槌町の震災時、震災後の写真を見せながらスピーチをしたところ、多くの方に、東日本の大震災で多くの被害を受けた皆様に心から敬意を表しますというお言葉をいただきました。

ベルン州で街頭署名活動を行った際には、東日本大震災の被災地へのメッセージカードの呼びかけも行いました。1時間という限られた時間の中ではありましたが、46枚ものメッセージカードを集めることができました。

こちらが実際に集めたメッセージカードとなっております。「スイスから応援しています」、「スイスから日本のことを思っています」、また「強い気持ちを持って」などと書かれたカードがあり、中には日本語でメッセージを書いてくださった方も数名いらっしゃいました。

日本から遠く離れたヨーロッパでこんなにも私たちのことを心配してくださったり、気にかけてくださる方々がいることに私はとても感動しました。また、署名活動中には自らの戦争体験を話してくださる方がいた、原発反対派の方と意見を交わすことができたなどというメンバーもいて、私たちのしている活動には意味があると再認識することができました。

平和大使のほかにも私は学校で復興研究会に所属しています。先月の9月15日、今年の4月以来、2回目となる大槌町の定点観測を行いました。全部で100カ所以上の観測地点をグループで分かれ、地域ごとに撮影しました。私は、赤浜、安渡地区を担当し、前回の撮影ポイントと同じ写真になるよう角度なども調整して撮りました。場所ごとに風景が変わっているところもあれば、そのままの状態にされているところもあり、一概には復興しているとは言えない状況でした。そして、地点ごとに、そこには何があったのかや、その場所の思い出などを記入することになっていたのですが、なかなか思い出せず、記憶の中から前の大槌町の風景が徐々に消えていることに気づき、怖くなりました。ですが、そのような状態になっている人は私だけではなく、ほかの人もそうでした。これ以上記憶を風化させず、大槌町を見詰めていくためにもこのような活動をしていく必要があると思います。ですので、これからもこの定点観測、そして復興研究会としての取り組みに積極的に取り組んでいこうと思いました。

これからの未来を担うのは私たち若い世代です。復興に向かって少しでも力になれるように取り組んでいきたいと思いました。よろしくお願いします。

猿川副校長
ありがとうございました。

それでは、ここまでのところで知事のほうから何かご発言お願い申し上げます。

達増知事
皆さんそれぞれ地域振興や、あるいは復興関係のことに積極的に取り組んで、また多くの成果を出しているということ、感銘を受けています。

三浦完君は、生徒会長としてボランティアの取りまとめとか、あと被災の状況の案内、交流活動の先頭に立って被災や復興についてしっかり伝えているところ、大変良いと思います。

久保静樺さんは、グーグルと一緒に地元商店街のお店のホームページを作るということで、すごいと思います。良い経験になると思うし、また今現在すごく役立っていると思います。あとハイスクールサミットで自分の町の良さを知るということを発言したということですけれども、それは本当にそのとおりだと思って、僕も知事としてまず岩手の良いところを知るというところから始めなければと思っていて、NHKの「あまちゃん」も北三陸の良さを知る、琥珀があるとか、まめぶがあるとか、海女さんがウニを採っているとか、それをいろいろインターネットも使って外に発信していくというのが一気に町おこしを軌道に乗せるというのにつながっていて、地元の良さを知るということと、あとそれをインターネットでも発信するというのがとても大事だと思います。

菊池のどかさんは、学校全体として防災に取り組んでいて、片田教授と一緒に防災についての講演もしたということで、大変すごいと思います。釜石が経験した東日本大震災のことは、もうこれは人類共通の財産と言いますか、本当に大事な教訓なので、これをしっかりまず自分たちのものにしながら、また外に発信していくということはとても大事だと思います。

佐々木伊織君は、桜の植樹というのは根浜海岸のあたりでやっているのですか。

佐々木伊織
釜石高校の裏側にある汚泥処理場というところの空き地に植えております。

達増知事
そうですか、良いですね。鹿が食べてしまったというのはひどい話で、鹿対策は県としてもしっかりやらなければと思っているのですが、なかなか後手後手になっているところで申しわけなく思いますけれども、今度の桜がうまくいくことを期待しています。それから、専大北上の文化祭に行っていたのをきっかけに地元の高校と、あと専大北上と合同でいろいろやっていこうというのはなかなかいいアイデアだと思います。そういう学校間連携とか、学校間交流というのはとてもいろいろ勉強になるし、得るもの、与えるものが多いと思います。

東谷周君は、大槌高校の震災プレゼンテーションというのは、これはもう全国、さらに世界にとっても大事なプレゼンテーションで、先輩方からそれをしっかり引き継いで、また復興研究会というのも立ち上げているそうで、そうした成果も生かしながら大槌高校の震災プレゼンテーションというのを充実させていってほしいと思います。僕も先輩がやっていた、先輩の生徒会役員の皆さんがやってくれた大槌高校の震災プレゼンを見たことがありますけれども、これは本当に大人たちにも役に立つ、全ての人たちに役に立つ、これも人類共通の財産なので、しっかり引き継いで発展させていってほしいと思います。

兼澤茜さんは、スイスで核廃絶のことと、それから震災復興の報告をしてきたということで、大変良かったと思います。スイスも国連の一大拠点でありますので、まず国連にとってもありがたいことだったと思います。国連も平和の問題、それから防災ということも近年ますます日本もそうですが、アジアを中心に世界中で自然災害が増えているようなところがあり、犠牲者もたくさん出ているので、国連もこの防災ということにはものすごく関心が高まっているところでありますので、そういう国連に地元の体験をもとにメッセージを発信したというのはとても良いことだったと思います。それから、赤浜、安渡とか、そういう地元の写真を定点観測で撮っていて、記憶が薄れる、これ風化の問題と関連して、みんなに共通する問題かとも思いますけれども、私のいろいろ経験や、またいろいろ調べてみた結果からしますと、記憶というのはいつかふっと思い出したりするということはあって、一度経験したこととか、一度見聞きしたことというのは頭のどこかには残っています。これ何かの拍子に思い出すということがあって、あるときには思い出せない、ほかにいろいろ忙しいことがあったり、疲れていたりすると思い出せないというのが、でも何かの拍子に思い出すということはあるので、思い出しにくくなることはあるのだけれども、思い出せなくなることはないというふうに考えて、忘れないようにするにはしょっちゅう思い出していると忘れにくくなる、思い出しやすくなるということがあります。ですから、定期的に思い出すということがやっぱり大事で、いろいろほかにやらなければならないこと、考えなければならないこともあるので、常に一日中思い出しているということはできないし、やっぱりほかのことをやったほうが良いというところもあるのですが、時々思い出していると忘れにくくなると思います。これは勉強もそうで、忘れたくないと思うことは思い出す練習をしていると忘れにくくなります。覚えよう、覚えよう、頭に詰め込もうとしてもなかなか大変なのですけれども、思い出す練習をしていると勉強したことを必要なときに思い出せるようになりますので、思い出す力を高めるということですね。記憶力ということにこだわるよりも思い出す力、漢字3文字で言うと想起力、想起する想起力というふうに言えるのですけれども、思い出す力を高めると良いと思います。

勉強の話にも及びましたが、以上です。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、後半のほうに行きたいと思うのですけれども、かなり口のほうも緊張で乾燥しているかと思うので、どうぞ飲み物のほうも飲みましょう。

どんなお菓子が良いのかなと思っていろいろ考えたのですが、余り開けにくかったり、高すぎたりもどうかと思い、甘い物好きが選んだものですので、よろしかったらば食べながら、話聞きながら進めていきましょう、せっかくのこういう機会ですので。と言いつつも、それでは後半のほうに入っていきます。

それでは、続きまして、お一人4分くらいで今度は皆さんが地域の復興も含めて、これからの岩手に望むこと、あるいは自分の夢、将来どのようなことをしていきたいかなどをお話ししていただきたいと思います。先ほどの話と被ってももちろん構いません。

それでは、名簿の上からということで、また釜石商工高等学校、三浦さんからお願いします。

三浦完
私たちは、東日本大震災でさまざまなことを学びました。そして、震災後、日本は急ピッチで被災地を支援していきました。しかし、被災地はとても面積が広く、支援が間に合わなくなっているのが今の被災地の現状です。

そこで、私が被災地復興に必要不可欠だと思うのが、地域の方々がもっと積極的に被災地復興に携わっていくべきだということです。被災された方や身内を亡くし、金銭的に苦労されている方もいます。そのような方を放っておく、切り離すことなどできません。ならば、私たちが自らその方々を助けてあげなければならないということと思うのです。

では、私たちにできるのは何か。それはボランティアだと思います。奉仕活動は個人がより良く生き、より良い社会を作ることにつながります。自分の人生を豊かにするためにも奉仕活動は重要だと思います。被災された方々は辛い思いをして生活しているのはわかります。そして、後世に言い伝えなければならないのもわかります。しかし、いつまでも過去にとらわれず、気持ちを切りかえ、前向きに歩んでほしいのです。今は過去を振り返るときではありません。やり直すべきときなのです。

私の将来の夢は、現在学んでいる溶接や旋盤などの実習作業のノウハウを生かし、県外の具体的に関東の大企業に就職したいと考えています。そして、家庭を持ち、最終的には親孝行をしたいと思います。親孝行をするために生まれ育ったここ釜石へいつか帰ってきて両親を養い、釜石に感謝の気持ちを込めて奉仕活動をしたいと思っています。私は、商工の見本なので、高いところからの視点を大切にし、それを言葉で表したいと思います。要するに、地域の活性化に、仲間に声をかけ、協力し、私たちのような工業科でしかできないことをしていきたいです。過去の例を挙げるとバス停のベンチを加工して整備したり、仮設の学校の渡り廊下に必要なすのこを製作したりしました。そして、私が思うのは、老人が住みやすいまちづくりをするために工業の技術を生かして壊れているガードレールを直したり、車いすを製作したりしたいと思っています。そこで、私たちのような工業科の高校生で橋渡しをして、中心になって地域活性化を目指し、奉仕活動をしたいと考えています。ほかにも商工会議所などで地元のお祭りも含めさまざまなイベントに携わりたいと思っています。そのために、今やらなければならないことを考え、正しい選択をしていきたいと思っています。

今回の懇談会で、私の意見を発言できたことに感謝しております。そして、これからの社会を担う運命にあるのは、私たち高校生であるということを肝に銘じてこれからの生活を送りたいと思います。今日はありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、同じく釜石商工高校の久保静樺さんお願いします。

久保静樺
私がこれからの岩手県に望むことは、震災前より賑やかで活気あふれる岩手になってほしいということです。そのためには、まず岩手県の良さをもっと全国の皆さんに知ってほしいと思いました。岩手県は、小岩井農場や龍泉洞など自然豊かであり、石川啄木や宮沢賢治など歴史や文化も豊かなところです。ブランド牛などといった有名な食べ物もたくさんあります。また、釜石においても自然が多く、魚介類に恵まれていたり、鉄で有名だったりと自慢できるところはたくさんあると思います。岩手や釜石、それぞれの地元の良さをうまくアピールして観光客を集め、さらに賑やかになっていってほしいです。

釜石の復興には、企業が活発化になることも大切になってくると思います。そこで、地元に残りたい、地元に戻ってきたいと思う人を増やし、若者を定着させることでたくさんの雇用が生まれ、地元の会社が元気になってくると思います。また、若い人たちの都会進出を少なくすることで、岩手県の人口増加にもつながり、そこから活気あふれる岩手になっていけばと思いました。

私は、高校卒業後、釜石に残って就職したいと考えています。震災の影響で変わり果ててしまった釜石や、たくさんの地域を見てきたので、今度は復興していくのを見届けていきたいと思いました。釜石に残ってやりたいことは、私が今グーグル会社から学んでいるホームページ作りを生かして釜石のホームページをよりたくさんの人に見てもらえるように工夫し、作成し、釜石の良さを全国の人に発信し、観光客を集めるということです。その活動を地元釜石から始め、最終的には岩手に広げ、岩手県全体を賑やかにしていきたいと思っています。今後、その中でボランティア活動に参加するなど多くの場面で復興に携わっていきたいと考えています。

今回このような会に参加することができ、普段は考えないことも改めて考えさせられ、とても良い経験になりました。ありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、釜石高校、菊池のどかさんお願いします。

菊池のどか
私は、岩手県立大学に入学が決定し、法律、行政を中心に学び、土地利用の観点から復興に携わりたいと考えています。

震災後、テレビでよく聞かれるようになった「風化」という言葉には、実は2つの意味があります。1つは、跡形もなく忘れ去られること。そして、2つ目は浸透した文化となり、当たり前になることという意味があります。私たちが目指す防災というのは、後者の意味で風化させることです。しかし、私たちがそうであったように、いつか震災の記憶が昔のことになってしまう。前者の意味の風化してしまう日は必ず来てしまうと思います。そのような時でも未来の人たちが助かるような土地の利用方法、そして普通に生活している時点で既に避難が完了しているという状況にすることが今の私たちが未来の人たちにしてあげられる限られたことだと思っています。地域の人の意見を多く取り入れて地域を再生するために、そのことに時間を多く使って迅速な復興につなげていくため、手続の簡略化などで時間を短縮させるというのが私がやりたいと思っていることです。ですので、法律の中でも民法を中心に学習したいと考えています。

また、大学でも防災の活動を続け、阪神・淡路大震災の被災地である神戸市の仲間を中心に全国、そして世界の仲間といつでも情報を交換し、すぐに助け合えるネットワークを作っていきたいと考えています。

岩手にお願いしたいこととしては、私たちにはできない公共施設、そしてインフラの整備、それからインターネット以外での情報の公開、そして自然を大切にすること、それから人命の安全を第一に復興を考えることです。インフラの整備という点では、主に避難所にすることができる市民会館や体育館を私たちは必要としています。そして、インターネット以外でという理由は、高齢者の多くがインターネットを使うことができない状況、そして釜石市では震災後、インターネットを解約した方が多く、そして中高生はフィルタリングなどがかかっていて、ツイッターやフェイスブックなどが見れない状況になっていることが挙げられます。人命の安全を第一にという点では、やはり時間やお金で人の命の行方を決めないでほしいということが挙げられます。また、震災後、さまざまな土地に行くことがありましたが、やはり釜石はどんな状況になっても私の代えられない大切なふるさとだということに気づかされました。

私たちの先祖が便利さや都市化に流されずに代々守ってきたこの自然、そして私たちも今守ろうとしている自然、そしてこの流れで自然を守ってきたということを未来の子供たちにも残してあげたいというふうに考えています。

県の職員の方々が復興に対して本当に頑張ってくれているのに本当に申し訳ないことなのですが、ここに住む私たちにとっては実際のところ県の方々がどこでどのような復興に携わっているのかということがなかなか見えてきていないので、具体性に欠けていたり、もしかすると県に対してするべきではないお願いも含まれているかもしれませんが、先ほど言った4つのお願いということが私の今の率直な意見です。

そして、地域のことというのは、私たちが本来中心となって行うべきところなので、これからもっと勉強して、そして地域を担える人間になりたいと考えています。それから、もし知事から私たち高校生、そして未来を担う世代へ要望や望むことがありましたら、ぜひ教えていただきたいと考えています。本日はありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、佐々木伊織さんお願いします。

佐々木伊織
これからの岩手に望むこととしては、釜石では仮設商店街での営業が始まってしばらく経ちますが、どこの地域でも見られると思うのですが、開店したころよりもかなり活気がない、落ち込んでいるように見えます。ですので、経済的な面で支援をしていただいたり、商店街のチラシの作成などを行って釜石市内、県内に発信していってほしいなと思っています。

また、実際にお店の方々の話を聞く機会が持てないので、お店の方々の気持ちや要求をぜひとも高校生である私たちに知らせていただきたいと思います。地域の経済を支える、これから伸ばしていく人材である私たちは、店の方々の意見を聞くことが将来どのような活動をしていけば良いのかということにつながると思うので、ぜひとも行なってほしいなと思います。

また、私の将来の夢は、岩手県内の学校の先生になりたいと思っています。それは、震災の時にも素早く的確な判断で私たちの命を守ってくれた先生方が格好良く、自分もあのような人たちになりたいと思ったからです。しかし、ただ格好良いからなりたいという思いだけではありません。私たちの命を守ってくれた先生方だけでなく、私が行なった地域でのボランティアを支えてくれた地域の方々に感謝の気持ちを伝えたいからです。間接的ではありますが、自分ができる最大の恩返しだと考えています。ぜひとも先生になって、復興を支える人材の育成を行っていきたいと思っています。そのほかにも復興学習や震災関連の学習に力を入れ、一人でも多くの命を守り、完全復興を成し遂げるような人材の育成にもつなげていきたいと考えています。ありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございました。

それでは、大槌高校、東谷周さんお願いします。

東谷周
今私たちにできて必要なことは、知ることだと思います。先ほどから何度か出ていた防災意識や震災の記憶の風化ですが、それをさせないためには震災当時の過去の状況を発信するとともに防災に関する知識などを新たに学ぶ必要があると思います。そのためには、学校などでの授業に防災についての教育を取り入れ、小さい頃から常識として知っていることなどが有効だと考えます。

子供たちに教えるという点でいえば、高校生という私たちのより近い目線で作るテキストや絵本、ポスターなどがとても活用できると思います。また、防災に関する知識で作るカルタなどはゲーム感覚で楽しめ、さらに効果的だと思います。こういった活動は、高校生でも十分取り組むことができますし、携わることで自分たちの知識も増えるという利点があります。しかし、子供に限らず大人でも地震や津波などに関するメカニズムを熟知している人は多くないと思います。そこで、岩手の各地域で説明会を行うなどの取り組みに力を入れてやっていってほしいというふうに強く感じます。こうすることで、震災が起こった時の対応を向上させるのはもちろん、防災意識の風化を防げると考えます。

高校生の私たちにできることはたくさんあります。それは、生徒会活動での発信です。生徒会で交流している多くの高校に震災状況だけでなく、風化防止の対策なども同時に伝えていきます。そうすることで風化の防止とともに防災意識を各地に広めることができます。風化防止の対策としては、約3つの考えがあります。1つ目が本校で行われている復興研究会と生徒会が協力し、復興研究会の活動を全校や地域に発信する復興研究会だよりというものを作成することです。そうすることで、取り組みに参加していない地域の人なども知るという形で参加することができます。2つ目が沿岸の被災地の高校とサミットを開くということです。県内外の高校と今までたくさん交流してきましたが、被災した学校同士での交流というのは余り多くありません。そこで、岩手、宮城、福島の3県の被災地の学校と交流することで防災についての意見を多く交わせると考えます。3つ目は、SNSやウェブサイトを使った情報の発信です。高校生にはフェイスブックやツイッターなどソーシャルネットワークシステムを使用している人がたくさんいますし、ウェブサイトなども手軽に使えます。それを利用して、防災についてや復興研究会の活動を発信すれば全国や世界にも伝えることができます。

このように高校生の自分たちにできることはたくさんあります。それをフルに活用していき、そしてより多くの人に今の現状を知ってもらいたいと思います。今日はありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございます。

それでは、最後に大槌高校、兼澤茜さんよろしくお願いします。

兼澤茜
私は、防災教育の推進がこれからの岩手にとって大切なことだと思います。なぜなら、平和大使として長崎や広島を訪れ、研修する中で教育を受けるということの大切さを強く感じたからです。原子爆弾を落とされ、被爆地となったこれら2つの県は、もう二度と核兵器を使わせない、あの時の記憶を風化させないという思いから被爆者の方々が講話を開いたり、集会やイベントを開いて世代交流をしたりなど、平和について見詰め直す機会が多くありました。そして、市民一人一人が平和についての価値観をしっかりと持っていて、自分の言葉でそれを話せる人が多くいました。幼い頃から平和教育を自然と受けているからこそそういったことができるのだと思います。このことは岩手県でもできることだと考えます。長崎や広島では、核兵器や平和についてですが、岩手県では防災を対象にした教育ができるのではないかと思います。具体的な防災教育としては、地域で防災について話し合う機会を設け、ハザードマップを作ったり、避難訓練を重点的に行うなどです。いつ来るか分からない自然災害に備えて、普段の生活から災害に対する意識を高く持ち、心構えをしていくこと、家族や学校、地域ごとに被災時の対応に対する共通の理解を持つこと、そして次の世代に記憶を風化させないように伝えていくことは震災を経験した私たちがやらなければならない義務だと思います。長崎や広島のように世代交流をする集会を開いたり、津波被害を語り継ぐための講演会をするなどして大槌町全体、そして大槌町以外の地域にも知ってもらう必要があると思います。

私もこれから復興研究会の一員として活動していく中で、定点観測以外にも高校生主催の防災に関するイベントを開いたり、講習会を開いたりなどして新たな取り組みを展開し、この活動を活発化させていきたいと考えています。

また、震災後、これまで沿岸部の高校は内陸の学校との交流が多くありました。ですが、沿岸部の高校同士で交流するということは少ないと思います。私は、沿岸の被災地の高校同士でサミットを開き、防災教育や風化防止、地域への貢献などをテーマに情報交換をする場を設けたほうが良いと思います。同じ境遇に遭っているからこそ考えを深められると思いますし、一緒に全国、世界へ被災して学んだことや実情などをアピールできると思います。

高校生は、周りに影響力を与えることができる存在だと思うので、一つ一つの活動が大きな力になると信じています。本日はありがとうございました。

猿川副校長
ありがとうございました。

この後、いろいろとご意見ということを考えているのですけれども、もう時間がありませんので、いろいろ皆さんが提言ということをお話しいただきました。そういう中で、県へ、あるいは知事のほうへということを、今回のこれをまとめていろいろと実行していただくという形になるのかなと思いますけれども、また今回こういう形で3つの学校が集まって、この学校が手を結んでできることということも何か提言としてあったやに聞きました。そういうことの第1回目ということでも良い話し合いになったのではないかと思っております。

知事所感

猿川副校長
知事さんのほうからお願いいたします。

達増知事
皆さんから県に対してさまざま要望や意見があったことは極めて妥当な意見、提案だったので、これは県でもしっかり受けとめて対応していきたいと思います。

それから、皆さんの一人一人の夢というのは大変頼もしいと思いましたので、ぜひその方向で、今も非常に良い感じで高校生活を送っているので、この調子でさらに高校の次のほうにも進んでいってほしいというふうに思いました。

それから、私から皆さんへの要望ということがあったのですけれども、私が思いつかないようなことをしてほしいというところがあります。中国に「後生畏るべし」という孔子が言った言葉があるのですが、後生というのは後から生まれた人で、やはり後から生まれてきた人たちは、先輩たちの成果をもとにして、先輩たちを乗り越えるようなことを考えたり、行動したりできるし、先輩たちが思いつかなかったようなことを思いついたり、行動したりできるので、そういうところをやはり期待したいと思います。

あと敢えて1つ期待することを言うと、好きだという感覚を大事にしてほしいです。ふるさとが好きだ、自分が今やっている勉強が好きだ、この間あそこに行っていろいろやったことが好きだとか、そういう好きだということが次の自分の行動にいろいろつながっていくと思います。ですから、好きなものをどんどん増やすということが大事です。これは、自分の住んでいる地元の中に好きなものをどんどん発見していくということも含まれます。好きなものを増やす、今好きなものをより好きになるということを心掛けていれば、皆さんのような感覚と向上心を持っていればこの先、決して悪いようにはならないというふうに思いますので、そういうふうにこの調子でやっていってほしいと思います。

以上です。

猿川副校長
ありがとうございました。

閉会

猿川副校長
それでは、皆さん本日は貴重なお話をいただき本当にありがとうございました。これをもちまして、県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を終了いたします。

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