「がんばろう!岩手」意見交換会(平成26年8月19日 大船渡地区)

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1000866  更新日 平成31年2月20日

印刷大きな文字で印刷

日時

平成26年8月19日(火曜日)10時30分から11時45分

場所

大船渡地区合同庁舎

出席者

  • 参加者(敬称略)
    菅野 秀一郎(菅久菓子店 代表)
    河野 通洋(株式会社八木澤商店 代表取締役社長)
    佐々木 淳(綾里漁業協同組合 小石浜養殖組合ホタテ部長・小石浜青年部部長)
    佐々木 博子(大船渡インターホテル椿 代表)
    松本 直美(陸前高田市観光物産協会 職員)
    森下 航生(森下水産株式会社 取締役本部長)
  • 県側
    達増知事、青柳沿岸広域振興局副局長、東大野秘書広報室長

開会

東大野室長

 おはようございます。それでは、ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催させていただきます。
 本日御出席いただきました皆様には、御多忙中のところ時間を割いていただきまして誠にありがとうございます。
 私、本日の司会進行を務めさせていただきます秘書広報室の東大野と申します。よろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


東大野室長

 それでは、開会に当たりまして、知事から御挨拶申し上げます。

達増知事

 皆さん、おはようございます。県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会、これは東日本大震災発災以来、復興の現場で各地域、あるいは各分野で活躍しておられる皆さんの意見を知事が直接聞いて、県の復興政策や県政全般に役立てるという趣旨でやっております。
 今年度からは、復興のためにも若者の活躍、女性の活躍が必要と、若者、女性活躍の支援という視点も加味しています。そして、復興を通じて若者、女性が活躍できる岩手というのをつくっていくことができれば、復興の先の岩手も希望が持てる、希望に満ちた岩手になると思います。そういうことで女性の活躍、若者の活躍という視点を重視しながら復興に取り組んでいるところでございます。今日はこの部分についても御意見を伺うことができればと思います。
 県議会議員の方々、ようこそ。お忙しいところおいでいただき、ありがとうございます。
 よろしくお願いいたします。

東大野室長

 本日の懇談の進め方ですけれども、次第には、申し訳ございません、懇談としか書いておりませんので、具体的な進め方を説明させていただきます。
 この後、私から出席者の方々のお名前と所属を御紹介させていただきます。その後、お手元にお菓子を用意してございますが、すぐに始めてしまうと召し上がっていただく機会を失ってしまいますので、若干時間をとらせていただきます。用意したものの紹介は、青柳副局長から後ほど紹介いたします。若干時間をとった後に、皆様から自己紹介をお願いします。その後、皆様から普段の活動や、活動を通じての御意見・御提言についてお話をいただくという流れとなります。また、今日は人数が6人なので、時間がとれるかどうか不安があるのですけれども、最後に今度は全体として自由な意見交換の時間を設けたいと考えております。
 それでは、本日の御出席の皆様を御紹介いたします。
 最初に、菅久菓子店代表の菅野秀一様です。

菅野秀一郎

 秀一郎です。よろしくお願いします。

東大野室長

 失礼しました。申し訳ございません。

菅野秀一郎

 よろしくお願いします。陸前高田でお菓子屋をやっております菅野と申します。普段は毎日ケーキをつくって、あとは七夕からお盆の期間中は一本松茶屋とか物産センターにマドレーヌを卸したりしていますので、どうかよろしくお願いします。ほかの役職としては、陸前高田商工会青年部の部長を仰せつかっています。それから、今復興に関してです。商工業復興ビジョン推進委員会という商工会、行政、UR、中小機構の四位一体で、新市街地の形成、それからかさ上げした後のまちづくりを一生懸命行政と一緒になりながらつくり上げていこうという動きをしております。よろしくお願いします。

東大野室長

 失礼しました。申し訳ありません。
 次に、株式会社八木澤商店代表取締役社長の河野通洋様です。

河野通洋

 河野です。よろしくお願いいたします。陸前高田で醸造業を営んでおります。震災後、一関市の大東町さんにお世話になって、工場はそちらのほうに、県の方にもお世話になりましたが、移転をして、そこで製造業として再開をしております。会社の役職以外で言いますと、中小企業家同友会の気仙支部の幹事長を務めております。それと、別会社でなつかしい未来創造という復興まちづくり会社という民間の会社で、インキュベーションカンパニーを目指そうと、起業家を育成してなりわいを取り戻していこうという活動も別途やっております。今日はよろしくお願いいたします。

東大野室長

 よろしくお願いします。
 それでは次に、綾里漁業協同組合小石浜養殖組合ホタテ部長、そして小石浜の青年部の部長さんでいらっしゃいます佐々木淳様、お願いいたします。

佐々木淳

 佐々木でございます。お久しぶりでございます。三陸町の小石浜という地区で漁業に従事している普通の漁師でございまして、震災前から取り組んでいた6次産業化に、震災後はさらに大きくしようと奮闘している毎日でございます。そしてあとは、地元にある三陸鉄道さんとのコラボレーションという形で、いろんな動きをしながら地域おこし、町おこしにつなげられればなという形で奮闘している日々でございます。今日は、ちょっとした食の関係の1次産業の食の話などできればと思っておりました。よろしくお願いします。

東大野室長

 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 次に、大船渡インターホテル椿代表の佐々木博子様です。

佐々木博子

 こんにちは。お世話になっております。震災前は旅館海風苑として海側で営業をしておりました。その後、姉妹館でありますホテル福富のほうを立ち上げ後、旅館海風苑を海側から山側のほうに移転いたしまして、名前を変えて昨年の9月1日にホテル椿としてオープンしたところです。今回の復興に当たりましては、大変グループ補助金に助けられまして、宿泊業を中心とした「恋しケセン」観光産業復旧・復興プロジェクトグループという異業種が25社、プラス関連業者、合わせて35社の代表を今務めさせていただいております。それぞれ業種は違うので、みんなで得意分野を生かしながら、今よりもさらに成長することでまちづくりに貢献しようと、一丸となって頑張っているところです。よろしくお願いします。

東大野室長

 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 次に、陸前高田市観光物産協会、松本直美様。

松本直美

 今日はよろしくお願いいたします。御紹介にあずかりました陸前高田市観光物産協会、松本直美といいます。私のほうは、震災前の10月に観光物産協会に入ったのですけれども、震災のあった3月にすぐに被災してしまいました。震災後はまず物産のPRに力を入れておりまして、次に観光ということで、今何とか陸前高田市を皆様にPRしております。よろしくお願いいたします。

東大野室長

 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 最後になりました、森下水産株式会社取締役本部長の森下航生様です。

森下航生

 よろしくお願いします。森下です。弊社は大船渡で水産加工業を始めまして、今年で32年を迎えました。東日本大震災では、3つある工場全てが被害を受けましたが、皆様の御協力の中で、現在は100名のスタッフとともにサンマやイカの唐揚げ、フライ、イカそうめんなどを製造しております。この9月には全国にお店がある讃岐うどんチェーン店で、新商品としてサンマの天ぷらが発売されます。県内にもお店がありますので、ぜひ皆さん、9月1日発売開始ですので、うどんにサンマの天ぷらをのせて食べていただければと思います。11月には市内に新しい工場がオープンしまして、さらに気の引き締まる思いでおります。森下水産は、「大船渡から世界に向けて」をスローガンに水産のまち大船渡で頑張っております。今日はよろしくお願いします。

東大野室長

 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、県からの出席者、先ほど御挨拶申し上げました達増知事です。

達増知事

 よろしくお願いします。

東大野室長

 青柳沿岸広域振興局副局長です。

青柳副局長

 よろしくお願いいたします。

東大野室長

 なお、先ほど知事も挨拶の中で紹介していただきましたが、大船渡地区選出の県議会議員、田村誠県議でございます。

田村議員

 御苦労さまでございます。

東大野室長

 よろしくお願いします。
 それから、陸前高田選出の佐々木茂光県議でございます。

佐々木議員

 どうも御苦労さまでございます。

東大野室長

 大船渡市と陸前高田市から御出席いただいております。よろしくお願いします。
 それでは、先ほど少しお話し申し上げましたけれども、お手元に飲み物とお菓子を用意してございますので、若干時間をとりたいと思います。副局長からお菓子のいわれ等について説明させていただきます。

青柳副局長

 この丸い菓子が陸前高田忘れえぬマドレーヌということで、本日出席いただいております菅久菓子店様でおつくりいただいているものでございます。震災前から地域の方々に親しまれてきました商品でございます。人気商品の一つと伺っております。震災後、営業を再開いたしまして、復活させたマドレーヌのカップには一本松がデザインされており、復興への願いが込められています。
 あと、もう一つは、はな椿でございます。これは大船渡市の老舗和菓子店の壺屋田耕様が製造されたものでございます。昨年の7月、天皇皇后両陛下が気仙管内に参られたときにお食べになられたお菓子と伺っております。良質なバターを使ったサブレ生地にスライスアーモンドを入れ、香ばしい最中の皮に詰めて焼いています。
 それからあと、お茶でございます。これは気仙茶でございます。御存知のとおり、気仙茶は江戸時代にさかのぼって、陸前高田及び大船渡地区で自家用としてつくり育てられてきたものでございますが、近年生産が減少しておりました中で、震災によりさらに激減しているということで、消滅の危機に瀕しております。本日お出しするお茶は、こうした状況にある気仙茶を後世に守り継いでいくために御尽力いただいております「北限の茶を守る気仙茶の会」様から御提供いただいたものでございます。お茶の在来種というものがこの気仙茶は多いようでございますが、通常の日本茶は、在来種という、もともとあるものは今の日本全体では1割にも満たないようですが、気仙茶は7割ぐらいが在来種と言われているものでございます。味の特徴として、爽やかな渋み、香りがよく、余韻が甘いということがあげられます。
 紹介は以上でございます。よろしくお願いします。

東大野室長

 意見交換が進む中でも召し上がっていただくことは結構ですので、なかなか人が話ししているときには食べにくいのですけれども、そこはお互いさまなので、せっかく用意しましたので、ぜひ召し上がっていただきたいと思います。

達増知事

 おいしいですよ。

菅野秀一郎

 ありがとうございます。

達増知事

 ふわっとして口の中で溶けていくような感じで、口当たりがいいです。

菅野秀一郎

 まだまだだと言われています。

東大野室長

 では、そろそろ次に進めさせていただいてよろしいですか。

懇談

写真:懇談会の様子2


東大野室長

 では、本番のほうの意見交換に移らせていただきたいと思います。
 時間、1人3分程度をめどに皆様のお話を伺いたいと思います。復興に向けて今大切に思っていること、あるいは現在取り組まれていること、そして今後取り組んでいきたいと思われているようなお話をいただきたいと思っております。先ほどの順番で、今度はお二方ずつ、菅野さんと河野さんにお話しいただいた後で知事がお話し申し上げ、そして次に、佐々木淳さんと佐々木博子さんのお二人のお話を伺うと、いうように進めさせていきたいと思います。
 お話の中で疑問点などお尋ねあったものについて、具体的なものについては私や青柳副局長から申し上げることもありますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 それでは、最初に菅野さん、よろしくお願いします。

菅野秀一郎

 一応お菓子づくりに関してお話しします。先ほど佐々木さんから話もあったように、グループ補助金とかも、今仮設で営業していますので、申請を出して認可をいただいておりますが、市街地のかさ上げがまだ終わっていませんので、単年度、単年度で延長をかけているという状況です。これは私だけではなくて、市街地に出店を希望している人にはかなり多い状況ですので、何とかその辺も、いつまで続くかというのは、ちょっと県としては答えづらいでしょうけれども、そこを加味していただければなと思います。
 それから、やっぱり今日、知事が来ていただいて、こういう会を開いてもらえるというのはすごくありがたい場です。我々陸前高田ではかさ上げも含め大規模な堤防の工事もあります。そういった中で、市民、我々が、これは国や県が勝手にやったのだという感じで、将来そういう意見を言いたくないので、ちゃんとみんなで考えてこういう町づくりをしたのだと。津波が来たことによって全てがだめになったというわけではなくて、我々はもう既に子供たち、孫たちのために新しいふるさとをつくっていかなければならないと考えていますので、ある程度我々は生きている限り我慢をしなければならないのではないかなと思っています。後ろを振り返ることもありますけれども、どうしても今後ということを考えた上での陸前高田の町づくりをしていかなければなと思っています。
 それから、昨日たまたま当市の青年市長会の仲間であります茅ヶ崎市の方々と交流する機会がありまして、あちらは本物の湘南ですけれども、こちらは岩手の湘南と言われるところで、互いに似た部分がありまして、どうしてもやっぱり陸前高田というのは海と共生していかなければならない。津波の怖さもありますけれども、やっぱり陸前高田と高田松原というのは切っても切れない関係だと思いますので、その辺の堤防を含めた形での運動公園、それから祈念公園という形での復興を早期に実現してもらいたいと思います。それによって、イベントや交流など、人口減少はなかなか食いとめられないとは思うのですけれども、緩やかなカーブにして、交流人口を増やしていこうというような思いで私はいます。このような点でも、やっぱり県と市が一緒になって頑張っていけたらなと思っていますので、よろしくお願いします。

東大野室長

 ありがとうございます。
 次に、河野さん、お願いします。

河野通洋

 今現状で言いますと、会社の復旧度合いは、売り上げで大体7割ぐらい。やっと損益分岐点が今期超すぐらいになってきています。実際に沿岸地域にある企業の抱えている課題のフェーズがだんだん変わってきていまして、今沿岸地域の中で特に食品製造業の人たちが抱えている、最大の問題は、雇用の問題ですね。有効求人倍率、この大船渡地域も直近で1.75倍という状態で、就業人口が震災前よりも増えてしまっていると、雇用保険にかかっている人の人口が。人口減少が何千人かあって、働いている人の人口が同じことを考えると、これは何らかの手を打たないと中長期的な課題として解消されないだろうと思います。それが原因で経営をおかしくしてしまう会社が出てこないとは言い切れないというようなことも考えられます。陸前高田もコンビニエンスストアが結構建ちましたけれども、つい先だってやっとオーナーの人が見つかりましたが、セブンイレブンも、建物は建っていますけれども、経営者募集の看板がずっと立っており、オーナーすら見つからないというような状況なのです。危機的な状況ではあるのですが、働くところがあるということは、住むところがあれば人口がもとに戻る。これは確かに復興の特需で仕事が増えているという見方もありますが、恒久的に仕事が減っていくということは、実は考えていません。なので、この問題は復興の特需が終わった後もずっと解消しないのではないかと考えます。働く人の人口が、18歳人口が65歳を超える、いわゆる団塊の世代、人口が多い人たちが働く職場から抜けていく人口に全く間に合っていませんので、ここを補う何らかの施策を組んでいく必要があるのではないかと考えています。
 それと、我々中小企業家同友会の中で今やっている運動として、県の方にもいろいろヒアリングをこの数週間のうちに何度かしていただきましたけれども、振興条例の問題です。岩手県の企業総数の中の99%が中小企業であると。この中小企業がきちっと地域の経営課題、自分たちの持っているマーケット、市場の持っている問題、こういうことをきちっと捉えた上で新しい価値を創出していかないと存続し得ないだろうと考えます。後継者の問題もあります。なので、今後時代がどんどん変わっていくにつれて、その業態が流動的に変わっていく可能性があるということも踏まえて、ぜひこれを中小企業の経営者、産業と学識経験者、金融機関、行政の方が一緒に地域の課題を克服するという場所、円卓会議を開いていただいて、できちゃった条例ではなくて、理念条例、理念も大事なのですが、具体的にその4者が集まって、どうやって地域の抱える、人口問題もしかりですが、解決していくかというふうな場を定期的につくっていただきたいということを要望しております。
 もう一つが、これはぜひ税制面で反対していることを御承知おきいただきたいのですが、外形標準課税が、中小企業も適用になるだろうと。ということは、赤字の会社も税金を徴収される形になると、これも廃業、倒産に拍手をかける問題になります。各中小企業で今反対の署名運動をやっておりますが、これがなかなか世の中に知れ渡っていませんで、国が本気になって決めるときは、静かに、そして早くやりますから、これは十分に気をつけなければいけないなと。この秋の国会が勝負だなと、今その反対運動をしております。よろしくお願いいたします。

達増知事

 そうですね。まず、外形標準課税の話は、法人税減税の見合いで、財源を同じ商工関係から取るという流れの中でできており、本末転倒だと思います。日本全体の景気をよくする、特に地方を再生するというのは、むしろその逆をやったほうがいいくらいですし、県としても気をつけていきたいと思います。
 菅野さんも河野さんも人口問題について深く考えていて、頼もしいなと思いました。人口減少ということがあるけれども、一方では交流増大の時代でもあるので、交流人口で地域を盛んにしていくというのはやっぱり基本になると思います。
 陸前高田市は、大震災の前の年には人口流出、流入については、確か1桁だけれども、流入になっていたと記憶してまして、地域の求心力、人口求心力というのは実はあるところだと思います。一方、出生率低下による、又は少子化による人口減少というのは、それはそれで日本全体のトレンドが陸前高田、大船渡にもありますから、それを補うような施策が必要になってきているので、そこはしっかりやっていこうと思います。
 人口減少時代の中で、人手不足経済というのが構造化されていく、一時的な減少ではなく、都会のほうでも牛丼チェーン店で人手不足で大変なことになっているということで、復興需要だけの問題ではないのだと思います。1つは、さっき御指摘いただいたように、泊まるところ、住むところさえあれば人口が増え、減少に歯止めをかけることができるのだから、そうしなければだめだと、そのとおりだと思います。東日本大震災発生直後は、働く場がなくてどんどん人が出ていくということを何とかとめようということで、グループ補助金もそうなのですけれども、とにかく働く場を確保するということを、まず住む場所は仮設住宅でいいので、働けるようにというような大戦略がありました。今はむしろ人手不足ということが課題になっていると思います。いろいろ住む場所についても、そこは県の復興関係の会議や経済雇用関係の会議でも、会議するたびに住む場所対策について議論になっており、市町村との連携が大事なので、陸前高田市、大船渡市とも連携を図り、ちゃんと住む場所を確保しながら働く人を確保していくということをやっていきたいと思います。
 あとは、1人当たりの生産性を高めて、少人数でもきちっと商売が成り立つようにしていくというのは大事だと思っています。それで、8月の上旬、厚生労働省の岩手労働局が、県も一緒にやるのですけれども、労働条件、労働の環境改善運動ということで、給料を高くしようとか、あとはできるだけ正社員にしようなど、このような運動を始めています。これは経営者の観点からすると、そう簡単ではないところがあると思いますが、ただ地域全体として考えれば、給料を高くできるくらい生産性を高くして稼いで、そして給料が高くなればその分のお金がまた地域の中に回って、お菓子をもう少したくさん買おうだとか、そういう好循環になっていきますので、復興のプロセスを通じて未来の岩手をつくっていくに当たっては、それで中小企業振興条例とも絡むのですけれども、地場の中小企業が高い生産性を持って、ある程度いい条件で地元の人を雇用できるようにして、地元だけではなくUターン、Iターンも雇用できるようにして、地域経済にも貢献していくというような構造を地方の中につくっていくということが肝心だと思っています。これについては、経済同友会のサービス業改革委員長に冨山和彦さんという県北自動車や浄土ヶ浜パークホテルなどの再生を手掛けたみちのくホールディングスのさらに親会社の社長さんがなっていて、そういう地方の中小企業のいわば構造改革。ポイントは、グローバル企業の構造改革はとにかくコストカットで、給料はできるだけ安くしたほうがいいみたいな話になってくるのですけれども、地方の経済においては、むしろ給料はある程度高いほうがかえって地域経済にもいいし、そのような生産性の高い企業がしっかり生き残れるような競争になっていくということです。こうしたことを経済同友会の場でも発言していまして、今度県北自動車の会議に出席するときに、そうした方向性を学びながら、給料を上げる前提にはちゃんと生産性を高く、生産性が高いというのはつくったものが高く売れるということが生産性の高さを保証しますので、ある程度高くても売れるようなものについては県も対外的な宣伝、PRを行っていきたいと思います。高くても売れる岩手の産品、これは農林水産物もそうなのですけれども、いいものがそれなりの値段で売れて、それで働く人の所得も高まってくるというような地方経済をつくっていくようにこれからしていきたいと思います。

青柳副局長

 御存知だとは思いますけれども、防潮堤は今工事中でございます。平成27、28年に入るかもしれませんが、その頃には完成する予定でありますし、松原の再生につきましては、今年度の後半から動き出すという予定となっております。また、復興祈念公園につきましては、国土交通省と県と市も含めて基本構想といいますか、基本計画といいますか、そういうのを今立案しつつあるところでございます。県とすれば、できるだけ早く工事着手したいと思っているところでございます。

菅野秀一郎

 よろしくお願いします。

東大野室長

 後ほど自由に意見交換の場を設けたいと思います。
 次の方に進ませていただきたいと思います。
佐々木淳さん、お願いします。

佐々木淳

 我々の三陸町地区は、陸の孤島的な峠がいっぱいあって、なかなか交通の便が不自由なところであります。震災後はどうなるかなという状態のところが、三陸鉄道の早期復活、そして県道の、仮称ですけれども小石浜トンネルの工事ですとか、そういったことに視野を向けていただいて本当にありがとうございます。
 我々の産業ですけれども、今現在は人的被害がなかったということもありまして、8割程度の生産量に戻ってきているところにあります。生産量はもとに戻っても、どうしても買い受ける業者さん、2次加工業者さんというのが震災前と同様に復活をできていないという状況にありまして、もう既に物がだぶつくといった現状になってきてございます。その中で、我々は当然震災前から取り組んでいた6次化的産業をどんどん出していかなければというふうに余計思わせられましたし、またちょっと海外のほうにも視野を向けていきたいなというふうにも考えているところでございます。
 そこで、一例ですけれども、旧県議の方がNPO法人で立ち上げた東北食べる通信という、東北開墾という団体の方々が毎月の購読料で1次産業生産物をサンプルとしてお届けするという事業をやっています。それにうちのほうのホタテもおつき合いいただいたのですけれども、ああいう形というのがやはり生産者と消費者を直接つなげるものと思います。まだ見たことのない首都圏の方々ですとか、我々的にはPR活動としてそちらに出向いて、例えばホタテ焼きでお客さんと対面するとか、そういった形はずっとやっていたのですけれども、あのように消費者の方々と生産者とを結びつける、そういった方向に力を入れていかなければと考えております。岩手県は水産業だけにあらず、農業のほうでも林業のほうでも、とにかく多分世界一であろうと思われるぐらいおいしいものがたくさんあります。そういったものがまだまだ世の中に出せていない現状があるなというのが、少し世の中を見ていて感じたことでございました。なので、そういった食の関係、本当にいいものとか、生産者が頑張れるような、そして未来の担い手につなげられるようなおもしろさ。とにかく大漁して、いっぱい物とって付加価値を下げるのではなく、その逆も考えながらとか、そういった感じで食のほうを生産者とつなげるような取り組みという方向にもう少しアグレッシブに力を注いでいかなければなと思っております。よろしくお願いします。

東大野室長

 ありがとうございます。
 次に、佐々木博子さん、お願いします。

佐々木博子

 気仙の宿泊業は、震災により半数近くに落ち込みましたところ、今現在95%ぐらいのキャパシティに戻っていると思います。最近では、大船渡温泉さんがオープンいたしまして230人ぐらいの収容人数を誇っておりますし、それから恋しケセングループで復興してまいりました、個人でやっている小さい旅館さんや民宿さんなども一つ一つ順番に戻ってきているところでありますので、それで今現在95%ぐらいとなっております。
 現在は、工事関係者含め大変込み合っておりますけれども、その復興需要もいつまで続くかわからないということで、どちらかというと控え目な気仙人の方々が観光産業に積極的に力を入れられるように、最近ではBCPなどの勉強会を開催する中で意識を高めていこうとしているところです。
 私個人としては、若者の育成が大変大事だと思っております。現在フロントをやっているのは10代、20代を中心とした若者たちです。それを50代以上の年配者が支えていくというような形をとって経営をしているわけなのですけれども、その中で感じるのは、若い人たちがどういう職場で働きたいかというのを考えたときに、楽してお金をいっぱい欲しいというのではなくて、自分を高められるような、成長できるような職場があって、そこでお金をもらいながら自分も成長できるという、そういう職場を求めているのだなというのを感じます。なので、単なる労働力という形ではなくて、育成するという観点から若い人たちを地元に根づかせ、雇用問題が少しずつ解決に向かうような、小さい積み重ねですけれども、やっていきたいと思っています。そのために、何をどうしたらいいかなと考え始めているところなので、具体的には大きく活動という形ではありませんが、まずはグループ補助金の宿泊業を中心としたグループの中で勉強を重ねながらというところです。それが1点。
 それから、うちの場合は海側から山側のほうに移転したので、津波とかかさ上げの問題はないのですが、例えば姉妹館でありますホテル福富や、その近辺でいち早く復興を遂げた飲食店などがまちづくりのためにもう一度そこを立ち退かなければならないということで、今一度復興した方々がもう一度復興するためにとても苦労されているのですけれども、皆さん60代、70代という高齢の中で、時間がない中でそれをやっていかなければならないという焦りと、大変な状況だなというふうに感じています。それをどういう形かで何とかできたらいいなと思っているところです。
 以上です。

東大野室長

 ありがとうございます。

達増知事

 佐々木淳さんは、よく恋し浜の駅で会うことが多いのですが。

佐々木淳

 そうですね。

達増知事

 三鉄のほうの応援もしていただいてありがとうございます。佐々木博子さんは、恋しケセンの情報発信をずっとやってくださっていて、その調子でと思います。
 東北食べる通信の活動は私も聞いていまして、何か食のデアゴスティーニとか言っていたのを思い出すのですけれども、いかにこの食べ物がすばらしいのかというのを、情報とセットで都会の人に提供することで、ファンの心をがっちりつかんでいるというのはすごくいいアイデアだと思います。おっしゃっていたように、岩手の農林、水産、そういう食は、世界一と言っていいような世界有数のものなので、本当どこに出しても恥ずかしくないので、それをしっかり伝えることで少しでも高く売れるように導いていくということが大事なのだと思います。
 佐々木博子さんの人材育成に力を入れているというのは、すごく大事だと思います。やっぱり地方経済は人間力が勝負で、一人一人の人間が志を持って、またふるさとへの愛情を持って、そしてより自分の力を高めて、自分の生産性を高める、より高い値段で売れるようなものをつくるとか、より高い値段で売れるようなものをとってくる、また、より高い料金を取れるようなサービスを提供するということですよね。こうして自分を高めることで生産性を高め、収入を増やし、そしてこのお金を地元で使えば地元経済が高まっていくという、いい循環をつくっていくというのが大事なのだと改めて思います。
 再立ち退き問題は、大船渡市さんの復興計画との兼ね合いで、そういう例があちこちあるというのは聞いていまして、県のほうでも大船渡市さんともいろいろ相談しながら、市としての復興計画の推進というのが一つ基本だと思います。「なりわいの再生」という、そういう商工関係支援というのは県の任務でもありますので、うまい手がないかということについては常に県でも努力をしていきたいと思います。

東大野室長

 それでは、次に松本さんと森下さん、最初に松本さんからお願いします。

松本直美

 お先に失礼いたします。よろしくお願いいたします。私、陸前高田市観光物産協会ということで、まずはちょっと観光のほうからお話しさせていただきたいと思います。やはり陸前高田市といえば一本松です。高田松原が今はないような状態で、一本松には県外の方々がたくさん来ているのですけれども、あの45号線の動脈があるために、中に入ってきていただけないお客様がたくさんいらっしゃいます。お食事処はどこですかや、お買い物をしたいのだけれどもなど、今、一本松茶屋というものができましたけれども、あと飲食店も2軒できましたが、陸前高田市の中に入っていただきたいという思いで、今何とかインフォメーションボードという形で飲食店など、来たお客様を何とか市の中に入って頂き、菅久さんであったり、あと八木澤商店さんの本社のほうに足を伸ばしていただきたいと観光のほうでは考えています。陸前高田市さんと一緒になり茶屋をうまく活用しながら、あと避難誘導であったり、またそういった飲食店など、陸前高田のお店に何とか足を運んでもらおうと、考えている最中でございます。
 また他の面では、現在鉄道がないのでBRTが走っているのですけれども、陸前高田駅というのが市役所のところにあり、お客様が着いたはいいけれども、位置がわからなくなってしまい、今ここどこですかという問い合わせが結構あります。タクシーを御利用になって一本松のほうに行かれたりする場合もあるのですけれども、月曜日とかになりますと高齢者の方々も病院に行く際に御利用になり、タクシーも結構いっぱいとなります。徒歩で行かれる場合もあります。陸前高田駅に来たお客様に対してちょっと申しわけないことをしてしまっております。
 あと、県外からの観光、交流人口ということで、観光のお客様を何とか陸前高田に滞在していただきたく、私ども観光物産協会の中にもう一つ組織ができました。「まるごとりくぜんたかた協議会」という、陸前高田のいいところ、漁業体験、農業体験、また陸前高田の市民のお母さんなど、いろんな方々と交流をしていただきたいと思い、「まるごとりくぜんたかた協議会」を立ち上げました。陸前高田でいろいろと体験をしてもらいながら、漁業の方々、農業の方々にもお金が落ちるような形にはしているのですけれども、一関からのアクセスが1時間半、雪が降る冬場になると、大東のほうから陸前高田に来る時、ループ橋回りになると雪で皆さん来られないということで、気仙沼回りになるのです。そうなると、お客様はやっぱり「1時間半か。陸前高田に行きたいのだけど、この1時間半あったら何かほかにできるんじゃないか」という逆の返しになってしまいます。そこを何とか私どもでも陸前高田のいいところを皆様にPRしながら、1時間半でアクセスは悪いけれども、来ていただきたいということで、今ちょっと陸前高田のいいところを何とか皆様に紹介をしていこうと考えております。
 あと、物産に関しましては、陸前高田市青年市長会さんという会があり、震災後そういった会の方々に協力をしていただき、自分たちの市のお祭りのイベントだったり、そういったところに、売値のまま買っていただいております。なおかつ、その送料も着払いでお客様負担という形なのですけれども、やはりその被災者支援という形もなかなか、徐々に1年・2年たつと、やっぱりなくなっていきます。そういった中、銀河プラザさんや、地方の岩手ショップにも物産を流したいけれども、やはりマージンがちょっと高かったり、送料もこっち負担になると、菅久さんであったり、賞味期限の短い商品というのが返品されるなどしたら、なかなかそちらのほうに御紹介ができないメーカーさんもたくさんおりまして、そういったことも物産ではちょっと悩みどころかなというところであります。私どもで何とかチラシやインターネットで、紹介できるところでは協力し、陸前高田市観光物産協会、地域と一緒になりながら協力していきたいと思うのですけれども、やはりそういった意味で、何とか県の方々や、皆様の御協力を得ながら、陸前高田のお手伝い、大船渡市さんや住田町さんなど近隣の方々のお手伝いをしていただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。すみません、悩み事をちょっと言ってしまいまして。

東大野室長

 では、森下さんお願いします。

森下航生

 三陸の水産業の課題につきましては、皆さん御承知のとおりで、山積みにされております。ただ、私がその中で復興に向けて大切にしていることは、チャレンジしていくことではないかなと思っています。というのも、同年代の皆さんが新聞やインターネット・雑誌などで頑張っている姿、チャレンジしている姿を見ると、私ももっと頑張らなければと、多くの刺激を受けます。そういう刺激を受ける人をどんどんふやして、この気仙地域がチャレンジ精神あふれた、そういうエリアになっていくことが活性化にもつながるのではないかと思います。
 私は、ホタテを育てられないし、お菓子や醤油もつくれないですが、魚を仕入れ、加工し、多くの皆様にお届けするという自分の得意な分野がありますので、そこでのチャレンジ、より価値のある商品をつくる、より多くの人に商品を届ける、この地域をアピールしていく、いろんな人とつながっていく、そういういろんなことにチャレンジし、いろんな人に刺激を与えていく、それが人づくりや後継者の育成、そういったものにもつながっていくのではないかと感じています。
 多くの課題はありますけれども、まずは前を向いて果敢にチャレンジしていくことが自分にとって必要なことだと感じています。

東大野室長

 知事お願いします。

達増知事

 陸前高田市は、これはもう東日本大震災で被害を受けた青森からずっと千葉のほうまで、そういう全体の中でも最も深刻な被害を受けた市町村でありますので、そこからの復興というのはやはり時間もかかるし、やらなければならないことがたくさんあって大変な状況です。ただそのプロセスを全国の人たちも注目しているので、そこを一緒に体験してもらうというようなこの復興のプロセスをたどっていけばいいのだと思います。陸前高田市の知名度は、大震災によって飛躍的にアップして、ある調査で市町村別の知名度の伸びは、陸前高田市が何か全国で圧倒的に伸びたというような統計の数字を見た記憶があります。日本中の人たちが陸前高田市、そして一本松ですよね。一本松は、もう岩手のみならず、東日本大震災全体の象徴になっていると言ってよく、高田松原の辺りにできる追悼施設、メモリアル施設というのは、これはもう東日本大震災全体を象徴するような施設として国もお金を出し、県と市も力を合わせてつくっていこうということになっていますので、陸前高田市は、できるだけ多くの人たちに来てもらわないと困るという必要性と、あとは可能性ですよね、それだけの可能性がある、全国の人たちを求心力を持って集める力があるという、そこを最大限に生かすことが大事なのだと思っています。
 県としても、陸前高田市の復興というのが、やはり岩手の復興の中でも特別な復興となると思っていますので、やらなければならない事業のスケールや、そこにかかる時間の問題など、一方で全国から注目されていて、そこで地元の底力とさまざまなつながりの力が合わさってくる、復興の力になってくるということが陸前高田市でうまくいけば、岩手全体の復興にもすごい力になっていくという、そういう位置づけにある陸前高田市なので、県としてもぜひ頑張っていきたいと思います。
 観光で来る人たちへのサービスや、物産の販売は、復興のプロセスが日々いろいろ変わっている、まちの様子も日々変わり、そこで生産されていく財やサービスも、昔ながらのものもあれば、新しいものもどんどん出てくるという中で、常にその変化に対応した見せ方や売り方をしていかなければならないと思いますので、そこは県のほうでも一緒に力を合わせてやっていこうと思います。

松本直美

 よろしくお願いします。

達増知事

 大船渡市は、全国で活躍する企業がひしめく市でありますから、その力は今の復興のプロセスの中でも非常に強力に発揮されていて、水産加工の分野もそうだと思います。讃岐チェーンでサンマの天ぷらをのせるというのは、すごいことで、やはりこれも岩手全体の代表として全国にアピールしていただけるなと思います。
 そういうことで、全国とつながりながら、地元の底力を最大限に引き出していくような復興を、気仙は、さっき気仙の人はおとなしいという話があったのですが、岩手全体からすると一番発信力のある地域だと思うので、気仙からの発信というのが岩手全体としても非常に大事で、住田町の森林、山林の発信力なんかも、坂本龍一さんが目をつけてやってきていたりとか、やはりすごいものがあるので、気仙からの発信というのを岩手全体の力になるように県も頑張っていきたいと思います。

東大野室長

 一通り皆さんから御発言いただきましたけれども、ここからは皆さんの御意見、さまざまお話を聞いて、もっと言いたいなど自由発言にしたいと思います。言い忘れた点でもいいですし。

河野通洋

 ちょっと、今の一本松周辺の交流人口って年間どれぐらいになっているかというのは、誰かカウントしているのですか。

松本直美

 カウントはしていませんね。私どもで把握できているのは、観光ガイドの人数。

河野通洋

 なるほど。

東大野室長

 震災前で恐らく通年でタピック、海水浴場含めて100万ぐらいあったかもしれない。ただ、通っただけでも。

河野通洋

 あれってどうやってカウントしているのでしょうか。多分ものすごい人数なのです。もしかすると、相当な人数になっている可能性がありますね。それをうたいにするだけでも、呼び水になりますよね。年間何百万人行っていますとか、1,000万人行っていますみたいなことがわかって、それをオープンにするだけで、そんなに行っているのだったらみたいな、外国人もどれぐらい来ているかとか、そういうデータ収集というのは、多分民間ではできないと思うのです。でも、PRとしてはものすごく強い。ダークツーリズムとしても、先ほど知事がおっしゃったように、東日本大震災のやっぱり象徴的な場所になっているので、広島の原爆ドームとか、沖縄のひめゆり、あれは自然災害ではなくて戦争の問題ですけれども、あそこに毎年のように修学旅行生が来たり、企業の研修が入ったりというのは、それなりに意味があると思うのです。そこに我々BtoC(Business to Consumerの略:企業と消費者間の商取引)でどうやって事業を継続してきたかというふうなことをオープンにすることで企業研修も受け入れることができるのです。震災後に陸前高田市で起業家が生まれた率も物すごく高いはずなのです。これも一つPRになる。こういう的確な数字を情報発信するというのは必要なことなのではないかなと。ものすごい変化が生まれているのです。アメリカのハリケーン、カトリーナが、やっぱり全米から起業家が集まって、そこで生まれて復興して全く新しいまちに生まれ変わったのと同じようなストーリーブランディングができると思うのです。これは、宝物だと思います。ぜひその数値が知りたい。いろいろ全国に今呼ばれてしゃべっているので、こうなっていまっせというのを、うそっこなしの話として出したいのです。

東大野室長

 きっちりしたのは、かなり無理があると思うのですけれども、かかる手間ということを考えると。ただ恐らくこれぐらいというのは……。

達増知事

 何かやり方があるのではないかと思いますよ。平泉に年間200万人とかというの、あれどうやって数えているのかということもありますが・・・。あと、さんさ踊りで今年は130万だとかというのもどうやって数えているのかという、そういう観光振興的な入り込み数の数え方というのをうまくやれればいいのかなと。

河野通洋

 リピーター率も高いのですよ。自慢げに言うのですが、私今回、陸前高田は震災後4回目ですとか、5回目ですみたいな。最初はボランティアですけれども、今はもう観光で来ていますみたいな。

菅野秀一郎

 いますね。

河野通洋

 そういう人たちの生の声を聞いて、陸前高田の変化がこういうふうにおもしろいというふうにしていかないと、いつまでも悲しい場所、いつまでもつらかった場所、いつまでも助けなければいけない対象ではないと思うのです。今度陸前高田の変化が世の光に変わっていくというふうなフェーズに変わりつつあるのではないかと、そういう情報発信に変えていったほうが、皆さん来やすくなる。いまだに自分は何もしなかったから行ってはいけないのではないかと思っている人も相当数あります。ぜひそのPRを、行政、広報のほうでもお願いします。

達増知事

 菅野さんは、最初、子供たち、孫たちのためにも前を向いてやり抜きたいという話をし、そのとおりだと思うのです。それで、戦略を考えていくには、その孫子の時代のところから、未来から過去を振り返るような視点が大事だと思います。孫子の時代には陸前高田市というのはもう世界最大級の、世界最高の復興都市になっているわけですけれども、あれだけの大災害から一定の年数はかかったけれども、目の覚めるような復興をなし遂げて、もう近未来的な都市として全国有数、また世界的に見てもそんな成功例はないみたいなところになっている。そこに行くまでのプロセスというのは、世界の人々にとっても、それはかけがえのない記録であり、体験であり、そこを共有できる、その途中の何年目のときに自分は陸前高田に行ったんだよ、そのときはまだ盛り土が始まったばかりだったとか、ベルトコンベヤーが動き始めたばかりだったとかというのは、それこそ孫子の代まで語って聞かせられるような話として、世界中の人にそういうチャンスが開かれているので、そういう発想と視点に立って今の復興のプロセスを充実させていくということが大事だと思います。

東大野室長

 アピールの仕方については、勉強させていただきます。

河野通洋

 はい、ぜひお願いします。

東大野室長

 そのほか。森下さん、何かございますか。

森下航生

 先ほど八木澤の社長さんもリピーターの話をされましたが、1度だけではなく、この地域のファンになって何回も来られる方が結構いて、弊社にも相模女子大の方やボランティア経験者の方がいらしております。この地域の人や場所に愛着を持って来てくれるのだと思います。第二の故郷みたいにすごく思ってくれる人がいるので、そういう雰囲気をこれからも大切にして、来たときにいろんな体験ができる場所、滞在できる場所、そういう工夫が必要なのかと思います。
 そういう意味では、今回の新しい大船渡魚市場も、水揚げの施設だけではなくて、魚のこと、捕り方、加工の仕方を見学できる展示ブースがあり、眺めのいいところに地元の魚を食べられるレストランがあります。弊社も工場をオープンにして体験していただいたり、テレビの「シルシルミシル」みたいに、この商品がこういうふうにできていますよというようなところも見ていただくとか、そういうことをやっていきたいと思います。そういう意味では、小石浜のところに、ボビーさんですか……

佐々木淳

 バレンタインさん。

森下航生

 バレンタイン監督が来たりとか、フェイスブックを見ているといろんな人がしょっちゅう来ているので、すごい場所だなと思っていました。

佐々木淳

 フェイスブックはかなり利用価値がありまして、こっちの発信にはとてももってこいなので、とにかく来るたびに載せようかなと思っております。今森下君が言ったように、リピーターという話では、大船渡市の事業で「飛鳥2」の招致ですとか、そういったときにいろんなコースがあって、我々の海岸に来て、遊覧船コースみたいなものがあるのですけれども、漁業体験ですとか、そこにもうかれこれ今回で4度目だよと、つえをついたおじいさんや、酸素を吸ったおじいさんが乗ってくれるのです。それでも来たくなるのかなというのは、やっぱり何かあるのかなと。何がいいのかというのは、自分たちが一番わからないという、そういった状況ですけれども、観光面で、産業と観光と一体化したのをどんどん進めていきたいなと思っております。

達増知事

 交通が発達して、世界全体が豊かになっていけば、交流というのはどんどん増えていくはずなので、戦略的に交流増大を図っていくようにしていくのが大事ですよね。

菅野秀一郎

 やっぱり佐々木さんがさっき言ったとおり、我々にはわからないのだけれどもというのは、当たり前のよさというか、震災によって当たり前の生活を失った我々は、改めてその当たり前に対する感謝とか幸せな部分というのを感じたわけなのです。だから、復興も大事だけれども、その当たり前を取り戻していく作業もすごく大事で、それがリピーターとか外部から観光に来た人にとってはすごく付加価値が、価値が上がっているところがあるかもしれないということに気づかされた部分があります。やっぱり前にも進まなくてはいけないけれども、多くの犠牲の上に今の我々がいるということも忘れてはならないし、そういう意味でも、子や孫に伝えていかなければならない仕事だと思っていますので、それはもう我々気仙管内だけではなくて、やっぱり県内全域同じ気持ちを共有していただいて、岩手県に人を呼び込むということにつながっていくと思います。

東大野室長

 そろそろ予定の時間が近づいているのですけれども、もう一方、言い足りないという方は……

東大野室長

 では、佐々木さん、お願いします。

佐々木博子

 知事を初め皆さんの意見や考えを聞いて、森下さんではないですけれども、逆に刺激を受けて、本当にみんな熱い思いで復興に取り組んでいるのだなというのを感じました。
 それから、全国からいろんなお客様が御宿泊されるのですけれども、やっぱり今の当たり前のよさではないですが、豪華なものではなくて、そこでしか味わえないもの、そこでしか味わえないことを体験したくていらっしゃっているのだなというのは肌で感じています。

東大野室長

 最後に知事から一言お願いします。

達増知事

 大変参考になる意見、また思いをたくさんいただくことができまして、私にとってもますますやる気が出てきたという感じであります。またこれからもいろいろやりとりしながら、こういう形の会議をまた開くというのはできるかわからないのですけれども、これで終わりではないので、何かあればいつでも県のこちらの振興局に言っていただくか、あるいは私に直接でもいいですし、県のほうにも何かあれば言っていただいて、みんなで力を合わせて復興を充実させ成功させていきましょう。ありがとうございました。

閉会

東大野室長

 それでは、これで本日の意見懇談会を終了させていただきます。ありがとうございました。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 広聴広報担当(広聴)
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5281 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。