「がんばろう!岩手」意見交換会(平成27年2月3日 大船渡地区)

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ページ番号1000859  更新日 平成31年2月20日

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日時

平成27年2月3日(火曜)14時45分~16時00分

場所

大船渡市立博物館1階 多目的ホール

出席者

  • 参加者(敬称略)
    佐藤 悦郎(大船渡市立博物館館長)
    熊谷  賢(陸前高田市立博物館副主幹)
    藤井 静子(釜石観光ボランティアガイド会ガイド)
    佐々木康行(住田町観光協会森の案内人)
    小川 廣文(椿の里・大船渡ガイドの会会長)
    菅野コハル(陸前高田観光ガイド部会ガイド)
  • 県側
    達増知事、青柳沿岸広域振興局副局長、東大野秘書広報室長、藤田県北沿岸・定住交流課長

開会

東大野室長

 では、お約束の時間より若干早いのですけれども、県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催させていただきます。
 本日の意見交換会のテーマは、「三陸ジオパーク構想の推進」でございます。本日ご出席いただきました皆様には、ご多忙中のところ出席いただきまして大変ありがとうございます。私、本日の進行役を務めさせていただきます県の秘書広報室の東大野と申します。よろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


東大野室長

 それでは、開会に当たりまして、知事からご挨拶を申し上げます。

達増知事

 皆さん、こんにちは。本日はお忙しいところ、この県政懇談会にご参加をいただきましてありがとうございます。
 岩手県では、今年を「本格復興邁進年」と位置づけまして、東日本大震災津波からの本格復興に邁進するということで、まちづくり、暮らしの再建、産業再生等々進めていくとともに三陸ジオパークの推進や、また国際リニアコライダーの実現など未来につながる戦略的プロジェクトと位置づけられていることについても本格化させていく、そういう年として位置づけています。そして、県政懇談会は「震災からの本格復興」、「岩手の未来を切り拓く」、「若者や女性が躍動する岩手」をテーマにしながら、それぞれ取り組みにかかわる方々と意見を交換し、県が一体になって取り組むために開催しております。
 今日は、三陸ジオパークの教育普及やガイドなどの活動を通じて、三陸ジオパーク構想の推進に尽力していただいている皆さんにお集まりをいただきまして、改めて感謝申し上げたいと思います。そして、今日は皆さんの三陸ジオパークへの思い、日々の活動、そして課題や今後の取り組み、期待、夢などについてお話を伺って県政の参考にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

東大野室長

 それでは、早速ですけれども、本日の懇談会の進め方についてあらかじめお話し申し上げます。お手元に次第がございますが、この後、私から出席の方々のご所属とお名前を紹介させていただきます。その後、若干の時間をとりまして、お手元に地元のお菓子を用意してございますけれども、それを召し上がっていただいて一度、心を鎮めていただくという時間をとりたいと思います。その後ですけれども、皆様から改めて自己紹介をしていただく段取りにしたいと思います。そして、本日のテーマは「三陸ジオパーク」でございますけれども、これに関しましてご意見とかご提言をいただくという順序で進めてまいりたいと思いますが、最後に言い足りなかったこととか、出席のメンバーにさらに聞いてみたいこととか自由な意見交換の時間も設けたいと考えてございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日ご出席の皆さんを私からご紹介させていただきます。
 最初に、大船渡市立博物館の館長の佐藤悦郎様です。

達増知事

 今日は、この会場も提供いただきありがとうございます。

佐藤悦郎

 こちらこそありがとうございます。よろしくお願いします。

東大野室長

 次に、陸前高田市立博物館の主任学芸員でいらっしゃいます熊谷賢様です。

熊谷賢

 熊谷です。よろしくお願いします。

東大野室長

 次に、釜石観光ボランティアガイド会の藤井静子様です。

藤井静子

 よろしくお願いいたします。

東大野室長

 次に、住田町観光協会森の案内人の佐々木康行様です。

佐々木康行

 佐々木と申します。どうぞよろしくお願いします。

東大野室長

 次に、椿の里・大船渡ガイドの会の会長様でいらっしゃいます小川廣文様です。

小川廣文

 小川です。よろしくお願いします。

東大野室長

 次に、陸前高田観光ガイド部会のガイドをなさっています菅野コハル様です。

菅野コハル

 菅野と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

東大野室長

 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、県の出席者をご紹介いたします。達増拓也県知事でございます。

達増知事

 改めまして、よろしくお願いします。

東大野室長

 それから、青柳天沿岸広域振興局副局長でございます。

青柳副局長

 青柳です。よろしくお願いします。

東大野室長

 それから、県庁の担当部から、政策地域部地域振興室の藤田芳男県北沿岸・定住交流課長でございます。

藤田課長

 藤田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

東大野室長

 それでは、若干時間をとってお手元のお菓子を召し上がっていただきたいのですけれども、青柳副局長のほうからお菓子のいわれをご紹介させていただきます。

青柳副局長

 いわれというほどではないのですけれども、本日お配りしているお菓子、2つありますけれども、1つ、この四角いものが「酔仙酒ケーキ」というものでございます。名前のとおり陸前高田の地酒「酔仙」が使われておりまして、ほのかな酒の香りとしっとりした食感が楽しめるものでございます。大船渡の老舗菓子店であります菓子工房大浦屋が製造しております。この大浦屋さんでございますが、東日本大震災津波により店舗が被災しました。しかし、被災年の6月には空き店舗を借りて営業を再開し、昨年の7月には新店舗がオープンしております。
 あともう一つの「やわらかゆず塩ようかん」でございます。ご存じかと思いますけれども、陸前高田はゆずの北限と言われておりまして、沿岸広域振興局の地域経営推進費を利用して、ゆずの果汁や果皮を活用した商品開発が進められておるところでございます。昨年の12月に新商品の発表会で発表された商品がこの「やわらかゆず塩ようかん」でございます。野田産の天然塩とゆずの果皮により開発されたゆず塩を使用し、ゆずの風味が生かされた上品なようかんであります。陸前高田市の横田のあゆみ工房で製造、販売されておるものでございます。
 あとそれから、お茶受けにありますこれでございます。これでございますというか、コースターでございますけれども、これは住田町のヒノキを使用したもので、においもしっかりヒノキのにおいがします。住田町の観光協会が加工、製作されたものを提供いただきました。ぜひ持ち帰っていただいて使用していただければなと思っております。
 以上でございますので、ぜひ皆さんゆっくりとお菓子などをお食べになって。

東大野室長

 意見交換が始まってしまうと口にする機会を失ってしまいますので、ぜひ。

佐藤悦郎

 ついでといってはなんですが、皆さん、真ん中をごらんください。
 当市椿館からお借りしてまいりました。

達増知事

 今、椿まつりなのですよね。

佐藤悦郎

 はい。

達増知事

 やっぱり珍しいですね、白とピンクとまざった色など。

青柳副局長 

 550とか600種類ぐらいあるようです。

佐藤悦郎

 そうですね。

東大野室長

 さっき青柳副局長と話していたら、何で野田塩なのだと、何で宮古の塩ではないのだと沿岸局内部では批判されたようですが。私は、県北局にいたことがあるので、よく野田塩を使ってくれたと思っているのですけれども。

達増知事

 北と南の産物を組み合わせているということですね。
 どっちも香りがいいですよね。ゆずはゆずの香りだし、酒ケーキはお酒の香りがほのかにしますし。ゆずは、日本食材の一種代表みたいな感じで、アメリカとかヨーロッパとか日本食に使われたり、あとフランス料理とかイタリア料理で日本ぽくしようとするときにゆずを入れたりするんですっけね。ゆずは、かなり今国際的にはやっているからいいと思いますよ。

懇談

写真:懇談会の様子2


東大野室長

 それでは、これから意見交換を始めさせていただきますが、お手元のお菓子については、ころ合いを見ながら、ぜひ全部ご賞味いただきたいと思います。
 それでは、最初に自己紹介を兼ねまして、お一人1分、2分程度でお願いいたします。お話しいただく順番ですけれども、お手元に名簿ございますが、その名簿順で佐藤様からお願いいたします。

 佐藤悦郎

 一番年寄りだと思いますが、63歳になります。昭和の時代に、ここの博物館の学芸員、地質の学芸員をやっていましたので、ジオは大好きというところではあります。
 本日は、この大船渡の当博物館でこのような会を開いていただいて本当にありがとうございます。ジオに関しましては、県が非常に熱心で、積極的で、主導的で、継続的にやってもらっているということで、これについていかない自治体はないなと思っているところです。今日はよろしくお願いいたします。

東大野室長

 よろしくお願いいたします。
 では、次に熊谷様、お願いいたします。

熊谷賢

 陸前高田市立博物館の熊谷です。今日はよろしくお願い致します。
 陸前高田市は、大津波によって非常に大きな被害を受けました。文化財関連の施設も4施設あったのですが、それも全て壊滅的な被害を受けたということで、全国の方々からご支援をいただきながら現在被災資料の再生に取り組んでいるところです。今日は、お手元にこういう青い資料がございますが、これは今まで過去3年間、もう少しで4年になりますが、被災文化財の再生に向けた取組の成果と課題を今、東京国立博物館で特別展示をしております。もし東京に行かれた際には、ぜひご覧いただければと思います。
 ジオパークに関してですが、この特別展示は実は東京のほかに兵庫、宮崎の方でも同時に開催しておりまして、そちらでは陸前高田の地質資料も展示してあります。それから博物館の活動としましては被災したために通常の博物館運営ができていない状況なのですが、昨年ようやくジオパークの事務局の関さんらのご協力を得ながら、地元で化石観察会を開催することができました。今日はよろしくお願い致します。

東大野室長

 よろしくお願いいたします。
 次に、藤井様、お願いいたします。

藤井静子

 釜石観光ボランティアガイド会の藤井、静かになれない子と書きまして藤井静子、65歳です。よろしくお願いいたします。いつもガイドのとき、これが私のキャッチフレーズです。
 今釜石は、今年は世界遺産登録を目指して、そして2019年、ワールドカップに手を挙げましたというところで燃え燃えのところでありますが、しかしながらこのジオパークに関しても私たちガイドにとってすごい悩みの種となっているのが実情であります。しかし、今まで13年間立ち上げて頑張ってきましたが、八、九年は観光バス1台もなく、私のオファーも一度もなく、震災の後、震災ツアーがやってきてくれて今は本当に忙しい、今はオフになっておりますが、忙しい日々を過ごしてきました。それにつけ加え、3月のワールドカップ決定、それから6月の世界遺産登録と、どっちに転んでもこの際、しっかり頑張らなければなと心して本日はここに参った次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。

東大野室長

 どうもありがとうございます。
 では、次に佐々木様、お願いいたします。

佐々木康行

 それでは、住田町観光協会とすみた森の案内人に所属しております佐々木康行と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、ジオパークのことに関しましては、住田町としましては教育委員会と観光協会と、あと民間の皆さんとこの森の案内人と一緒に取り組みは進めているのですが、個人的に私も興味あって、去年、一昨年かな、糸魚川の世界ジオパークのところに個人的に行って、いろいろとどういった活動をされているのかなということをあちらのガイドの会の会長さんとお会いしてお話を聞いたりとか、いろいろあと地域をめぐったりとかさせていただいたり、すごく地質とかそういったものにかかわらず、それをもちろんベースにはしているのですけれども、いろんな地域資源をすごいおもしろおかしくお伝えしていただいて、これだけ広がりのあるものなのかなとか、地域資源の可能性をいろいろ広げてくれるものなのかなということを感想として得て帰りましたので、今後ちょっとそういったところも踏まえて住田町の今ある観光資源プラスアルファでそういう埋もれているものをうまく見える化しながら、もうちょっとうちの町にもお客さんが来るような形で努力していきたいなと思っておりました。
 あとそれ以外、うちの観光協会でこれから進めようと思っておりますのが、今現在も交流人口の拡大に向けた取り組みとしては教育旅行とか農家民泊の受け入れをしてはいるのですけれども、今後人口減少の問題が出てきますので、20年、30年先にどういうふうになっていくかということを見据えた上で、そういった観光及びツーリズムといったところもちょっと考えていきたいなと思っておりました。
 以上であります。

東大野室長

 よろしくお願いします。
 では、次に小川様、お願いいたします。

小川廣文

 大船渡の椿の里・大船渡ガイドの会の小川と申します。よろしくお願いします。
 私どもは、2010年6月からガイドの会を立ち上げて、全国椿サミットに向けたガイドをしましょうということで、大船渡市、または物産協会等々の指導によってガイドの会を立ち上げたのですけれども、震災によって椿サミットも中止ということになったので、ガイドの会の存続も危ぶまれたのですが、何とか踏ん張って頑張っていたのですけれども、仕事がなくて困っていたのですけれども、市とか県とかから震災のガイドしたらいかがでしょうかというお話があって、それ以来震災ガイドを現在は続けております。震災だけではなくて、震災から次は身を守る、命を守るガイドということに変えていきたいなと思いながらさまざまなガイドをさせていただいております。
 ジオのことに関しては、知らなかったということが一番大きくて、知らなかったことをどうやって私どもが知ったらいいのかということで、さまざまな勉強会を重ねてみたのですが、まだまだ浸透はしていませんけれども、何か夢があるジオだなと思いながら、もう少し多くの方々に知っていただいて、これを感じてもらうことができればいいなと思いながら活動しております。どうぞよろしくお願いします。

東大野室長

 どうもありがとうございます。
 最後になりましたが、菅野様、よろしくお願いします。

菅野コハル

 陸前高田市で語り部をさせていただいております菅野コハルと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私が語り部を始めましたのは、多くの方々が一瞬のうちにしてこのような大震災を受けてしまいましたので、語り継ぐことの大切さというものを痛感いたしました。そこで、語り部をさせていただきたいと願い、そして間もなく4年になりますが、5年目に向かっていくわけですけれども、頑張って微力ながらですが、伝えていきたいなと思っております。
 今、陸前高田市は市長選ということで、いろいろ市民の人たちは心が揺れ動いているときだと思います。このようにまち全体が一瞬のうちにしてなくなってしまった陸前高田市を何とか再生したい、こんなはずではないのだという思いが強いものですから、まだまだ陸前高田、そして沿岸全体なのですけれども、すばらしいところを発見しながらふるさとの再生、そしてすばらしい未来ある子供たちに受け継いでいきたいなと思っております。
 また、ジオパークについて思うこと、活動状況のことですけれども、自然豊かなふるさとということで興味を持ちながらいろんなところを発見して、人と人とのつながりを大事にしていきたいなと、このように思っております。まだまだ埋もれているところ、発見すればまだまだすばらしいところがたくさんあるなと痛感しております。よろしくお願いいたします。

東大野室長

 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 次に、意見交換、具体的な意見提言のほうに入っていきたいと思います。これ1人、三、四分程度をめどに意見をいただきたいと思います。普段の活動を通してジオパーク構想の推進についてさまざま取り組んでいらっしゃることがあると思いますのでそういうこととか、あとジオパークを生かしてこんな地域振興ができるのではないかとか、あるいは住んでいらっしゃる方々がジオパーク構想を進めていくのに、雰囲気づくりとしてこんなことをしたらいいのではないかとか、そういったようなご提言についてご発言いただきたいと思いますし、また、皆さんのこれから先に向けてこんな活動をしていきたいといったような内容でも結構でございますので、よろしくお願いします。
 発言ですが、先ほどの順番で、今度はお二人ずつ区切りを入れさせていただいて、その都度、知事からコメントや、改めてお尋ねとか、そのような進め方をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 あと具体的な県の取組についての疑問とか、こうあるべきみたいなことに関しては、私であるとか、青柳副局長、あと担当部からも職員が来ておりますので、そちらのほうからお答えする場合もありますので、あらかじめご了承ください。
 それでは、最初に佐藤様、熊谷様の順番でご意見、ご提言いただきたいと思います。よろしくお願いします。

佐藤悦郎

 最近ジオパークのことについていろんなことを目にすることがあるので、そういったことについてお話ししたいと思います。私はあるカード会社の会員で、機関誌が毎月送られてくるのですが、旅行の案内も随分入っています。その中で、ジオパークの大特集というのをやって、普通に「ジオパーク」という言葉でやっている。さらに、道路のドライバーサービス会員でもあるのですが、そこからも毎月機関誌が送られてきて、日本各地の観光地を紹介しています。茨城県ひたちなか市では観光地の一つとして、紹介が「白亜紀層」と書いてあります。何とか岬とか何とか町ではなくて白亜紀層。それから、高知、室戸の紹介では、岬の紹介が、「タービダイト層によってリップルマークが見える。」ジオの知識がないやつは来なくていいよと、そういったことになるのかもしれないと思うほど普通になってきています。
 もう一つは、災害についてです。広島の災害がありました。「真砂土」という言葉が出てきました。予想したとおり、役所から「真砂土、大船渡どうなの」という問い合わせがありました。常々思うに、職員が防災担当、土地開発、土木建築、あるいは企画部門、そういった職員、少しジオに関する知識というのは足りないのではないかなと。それぞれの部署、部署の研修の内容をちょっと変えてもいいのかもしれない。どの研修でも地球科学というか、ジオについての学習というのはほとんどない。これからはそれぞれの部署での仕事にも必要になってくるような気がしています。そういったことを考えるようになってまいりました。
 それから可能性ですけれども、ちょっと変わりますが、去年の春に多賀城市の東北歴史博物館というところで展示会があって、幕末の伊達藩主が気仙地方を巡視した記録絵図の展示会です。この絵図は、見れば、ものの見事にジオツアーなのです。海岸を見て、岩を見て、化石を見て、岩の壁を見て、気仙沼の潮吹き岩見て、世田米の畳石見て、日頃市の岩壁見て、越喜来、唐丹まで行って戻ってきている。それをたどるコースはジオツアーとしていいなと。150年前に伊達の殿様がジオツアーしているのです。これは1つの自治体だけではなくて、3つ、4つの自治体が協力してジオツアー構想をつくれる、そういった可能性があるのではないかなということを考えた次第であります。
 以上です。

東大野室長

 熊谷様、お願いします。

熊谷賢

 まず、このジオパークについてですが、非常に期待をしているという部分がございます。それは今回、多くの文化財が被災し救出活動を行いましたが、その中でいわゆる文化財というものには実は自然史資料というものが含まれないのです、現在の分類からいいますと。ただ、今回の場合は、私の個人的な考えとしては、ジオパークというのは本当に自然史のものしか扱わないのではないかというイメージを持っていたのですが、いわゆるジオサイトに指定されているところを見ますと縄文時代の貝塚群で入っていたりして、人文系のものも多く含まれています。これはすばらしい視点だなというふうに感じておりました。特にも三陸という場所は世界三大漁場の一つである三陸沖があって、その自然の豊かさを背景に育まれた縄文文化の一つとして貝塚があるということで、そこの部分、いわゆる自然から派生していって人の歴史、文化というものまで視点を広げているということで、ジオパークというのはすごい可能性を持っているなというふうに感じておりました。
 博物館としては、こういうことができないかなと思っていることは、子供たちにジオパークというものをよく理解していただけるような企画です。具体的には、学校のカリキュラムの中に取り入れることができないかということです。例えばジオサイトの中で、1年生はこのサイト、2年生はこのサイト、6年生であれば縄文の貝塚、中学生になったら地質というような形で、そのカリキュラムの中でジオが持っている可能性というものを当てはめていけないのかなということです。そうすることによって、より子供たちに身近なものとして捉えていただくことになって、ひいてはこれ全く絵そらごとというか、考えなのですが、例えば「スーパーキッズ」というのがありますけれども、「ジオキッズ」というようなものがあってもいいのではないかと考えています。それは、よく子供たちが観光案内というか、そういうことをやるというのもあるのですが、三陸ジオは北、中、南というふうに分かれていますので、それぞれの地域、地域でジオを題材にした自由研究というか、そういったものの発表会みたいなものを開催しまして、それぞれの代表を決めて毎年持ち回りでもいいので、ジオの研究発表会というようなこともやって、あなたはジオをよく勉強していますねということでジオ博士に認定したりとか、そういうようなものができて、だんだん子供たちに浸透していくのではないかと思います。そして、その子供たちが大人になったときに、「私のふるさとには何もない」ではなくて、「私のふるさとはすごくいい場所で、三陸ジオという日本一大きないいジオパークがあるんだよ」というふうにいろんなところに行って子供たちが自慢できるような、そういうようなものにつなげることができるのではないかと思います。
 あともう一つ、三陸ジオの大きいところというのは、単なる観光振興のためだけではなくて、ジオサイトの中に震災遺構というものが含まれています。これは三陸でしかできないことだと思いますので、将来的な減災というか、そういう震災遺構を活用した防災教育的なものをよりプログラム化していって減災につなげるということは、三陸ジオの一つのすごく大きな部分ではないかというふうに考えます。
 以上です。

達増知事

 ジオキッズ的なものは、クイズ大会などをやっていて、大人顔負けのすごい詳しいジオなキッズが実際にいますよね。確かに学年ごとにこのくらいまで覚えるといいとか、学ぶといいというのは、なるほど、そうだなと思います。もう何でもありみたいな中で、簡単にわかりやすいところもあれば、かなり応用編というか、中高校生向けみたいなのもあるので、小学生に何年生でこのくらいとかというのはグッドアイデアだなと思います。
 そして、改めてこの市立博物館という存在がこのジオパークを推進していくに当たって非常に心強い拠点になるなということを改めて感じました。地域の実態を把握し、また、いろんな説明のノウハウといいますか、そういうものもあって、前回、宮古で沿岸北部のほうのジオパーク関係の方に集まってもらったことがあったのですけれども、南のほうが博物館の体制が非常に厚いので、そこは地の利というか、人の輪でもあるのですけれども、ぜひそれを生かしてやっていくといいなということを思いました。頑張りましょう。

東大野室長

 では、引き続きまして、藤井様と佐々木様。藤井様からお願いします。

藤井静子

 皆様ご存じのように、釜石のジオは生活そのものであると思ったのです。1億2,000万年前にマグマが上昇して磁鉄鉱の山を残してくれたことによって釜石の歴史は始まり、160年の鉄の歴史、それで多くの人々がなりわいを連なってきました。しかしながら、市民はもとより、本当に地元の周りの人たちも釜石の鉄の歴史、磁鉄鉱の山を知らないで暮らしてきました。製鉄所で働いている人たちも、その奥さんも子供も孫も鉄の歴史を知りませんでしたというのが実のところであります。
 今、震災ツアーが多く来ていますが、駅前に大島高任の銅像があります。あるコースでは、必ずそこに10分時間をいただきまして鉄の歴史を語ります。もっと語りたい、もっといろんなことを知ってほしいと思うのですけれども、震災ツアーのほうがメーンとなって本当に残念でなりません。このカタログにも載っています、私の顔。私は、この鉄の歴史を知っていただきたく、自分で紙芝居をつくって自作自演で皆様に紹介しております。残念ながら鉄のコースのオファーは一つもないと言っても過言ではありません。これが釜石の現実です。
 しかしながら、世界遺産登録を目指している限り、市民はもとよりツアー客の皆様にも知っていただきたいと震災の語りだけでは終わらせたくない、本来の釜石の姿を知ってほしいのですと駅前の銅像で私が訴え続けて、そっちこっちの写真に載ってしまいましたけれども、本当にそういう気持ちで取り組んでいますが、本当のところ、この鉄だけのツアー客は一本もありませんと言っても過言ではありません。ですから、これから世界遺産登録に向けて私たちガイド員の資質向上はもとより、もっともっとこれに目を向けていただきたく、いろんな手を使っておりますが、私が体験した中で、これはいいのではないかなと思うことを申し上げてみたいと思います。
 実は、私、遠野市生まれなのです。高校を終わってから釜石に48年住み続けておりますが、釜石オンリーだけではなくて、いろんなグループが来たときに個人的に試してみました、4回。私、7時40分の列車で遠野駅まで出るから、遠野駅前にバスをとめていてちょうだい。行きます、乗ります、そして新しい新仙人を通らずして、青笹越えて、笛吹峠越えて橋野高炉を行きます。遠野生まれですから遠野物語、遠野の話を案内し、ちょうどタイミングがいいのは黄金色の秋です。それを語りながら来て、橋野高炉におろして、そしてこの2つの紙芝居、「そのとき鉄は生まれた」と「大島高任」。鉄鉱山があった、そこに大島高任があらわれて日本で初めての洋式高炉をここでやったのだよ、ここは大橋で成功して、そしてここは藩、あっちは民営、こっちは藩経営だよということで、ほとんどがシニア時代ですけれども、説明しますとえらく感動いたしまして、おひねりをいただいたりします。絶対に橋野高炉だけというと集まりません。コラボが必要です。遠野経由が最適です。
 東京のお客様から4年連続オファーがかかりました。リピーターです。仙人マラソンがあります。それのお客様です。心の中で仙人マラソンだけでは終わらせたくないという気持ちがありました。今年は新花巻まで迎えに行き、そして今年は107号線、私の実家は宮守インターの裏なのです。山中なのです。産直ともちゃんを通り、そして陸前高田に出て、陸前高田、大船渡、そして碁石海岸、三鉄に乗せて釜石着。その前は、遠野を1時間回って、そして釜石に入る。
 ですから、釜石というのではなくて、近隣もガイドできるガイドであって、そしてコラボさせて橋野高炉を盛り上げればジオ100%です、釜石は。仙人峠にしても磁鉄鉱の山、こっちから来ても磁鉄鉱の山。ジオだけではなくて、ジオだけで終わらせない。震災もジオも近隣の市町村も説明してあげられるガイドを目指して私は頑張っておりますが、ちょっと的を外れたかもしれません。私の体験談で終わらせていただきます。

東大野室長

 佐々木様、お願いいたします。

佐々木康行

 では、改めまして住田町観光協会の佐々木と申します。
 まず、先ほど糸魚川に行ったときの感想と、あとちょっと住田町のほうで去年かな、外国人の受け入れのモニターツアーをやったときに、いろいろと外国の方からお話をいただいたので、ちょっとその2点をお伝えさせていただきたいなと思うのですけれども。
 まず、糸魚川ではバスに添乗してご案内いただくのですけれども、主に地質的なお話とかはそれほどメーンには出てこないで、その辺の例えば橋の形が何とか山のモニュメントをあらわしているとか、例えばそこにはジオサイトとしての何か縄文石器の場所があるとか、あとは誰々さんが旅したときにのぞいた庭がここだとか、地質はもちろんベースにはあるのでしょうけれども、それ以上に地質の上でどういうふうに人々の生活が歴史の中で成り立ってきたかとか、あるいはそれにまつわるいろんな方々の逸話であったりとか、すごく切り口としてソフトで、いきなり地質から入るというよりは、こういう営みが、ではどうしてここにあるのかというところで地質の部分を出してくるとか、そういうふわっとした感じで非常にわかりやすかったです。
 なので、今現在、我々ベースとしてやっぱり基本的な地質の部分を勉強させていただいてはいるのですけれども、今後、住田町としては地質、我々の住んでいる場所は石灰質の場所なのですけれども、そういった土壌の上で我々のご先祖様がどういう営みを続けてこういった形で我々が今生活できるのかとか、実際自然環境を利用して我々がどういうふうに今、生活しているのかというところを、ちょっと生活、そこに住んでいる人たちの目線で来ていただいた皆様に伝えられるような取り組みをこれからしていきたいなと考えておりました。
 もう一点の外国人のモニターツアー、去年受け入れしたのですけれども、これ確か去年、観光庁の何か事業で外国人受け入れ環境整備モニターツアーみたいなのがありまして、それにちょっと手挙げをして、住田町と、あと塩釜だったか、あっちの宮城県のほうと、あと月山だったかな、何かその3エリアぐらい選ばれたのですけれども、住田町では初めに公共交通を利用して、上有住駅から滝観洞をご案内して、滝観洞から火縄銃、鉄砲隊を見ていただいて、その後、砂金とり体験をやって、その日は夜民泊をしていただいて、民泊した翌日は農業体験とかいろんなさまざまな住民の人たちと触れ合う体験をやって、その午後にさまざまな意見交換をさせていただきました。
 その際に、外国の方々から言われましたのが、やっぱり表示物がどうしても足りなくて、何を頼りに行けばいいのかちょっとわからないと。その方々は、実際は留学されている方々なので、何となくニュアンスとしてはわかるのだけれども、本来よそからいらっしゃる外国の皆様をもてなすにはちょっとなかなか厳しいのではないかと。
 あと例えば今回公共交通を利用して来てはいるのですけれども、実際のところレンタカーの利用とか自由に、滝観洞を案内したときに感じたのですけれども、外国の皆様というのは団体で来たとしても、基本的にはみんなばらばらに好き勝手動かれて、例えばそこの時間が40分だと思ってこっちのほうで一生懸命メニュー立てしても、実際は1時間ぐらい結局かかって、もうみんな本当に好き勝手に写真撮ったりとかするのです。それは、結局それだけ感動してくれたからありがたいことではあったのですけれども、ただいずれ皆さん、やっぱり自由に自分の興味のあるところを見て歩きたいというところで、そういうレンタカーとか、そういったものの利用を何か促進できるような取り組み、あるいは外国人向けに何かそれを案内するような仕組みがあるとすごくありがたいのかなと思いました。
 あとは看板ですか、表示が今、日本語と英語だけですか、もうちょっと4カ国語ですか、そのぐらいにしてほしいなという声がありました。
 あとは、ジオパークのことに関して、私は何回か住田町に来ていただいたお客様、団体で来た東京の例えばOLの人たち、40人とか50人ぐらいの皆様が年2回ぐらいずつ、2年間で4回とか来ていただいたので、そこの皆さんと東京に行って実際ツアーの感想を聞いたりとか、今後例えばどういったものがあったらいいですかみたいな、ちょっと意見交換会をさせていただいた際に、例えば「ジオパーク、聞いたことありますか」と聞いたら、正直な話、なかなか一般のお客様もまだ知らないと。私は、新幹線の中で、よくチラシみたいなのを見るので、あっ、ジオパーク載っているとかと気にはしているのですけれども、ちょっとまだ知らないということもあって、例えばなのですけれども、ジオパークの部分に関しては、まず日本人よりはむしろ外国の方のほうがすごく興味があって、今後国のほうではインバウンドとか、東京オリンピックに向けてすごい国際化を図って地方にも誘客をしたいということもお話しされていますので、その部分に力を入れていくのが必要なのかなと。私自身も町内のちょっとパンフレットとか、あるいは洞窟内の掲示物とかをちょっと多言語化しながら、危険がある場所は近づくなとか、そういったことを出していきたいなと思っているのですけれども、そういった取り組みが必要なのかなと考えましたし、あと実際のジオパーク、国内向けのジオパークに関しましては、私自身が実際に糸魚川に行ったりとか、逆に糸魚川の方々が、では三陸ジオパークに来てみたいとかというふうな形で、ジオの結局エリアに実際は営業をかけたほうが、その方々もジオパークに対してのすごい関心があるので、そういうジオ同士の交流、そういうサイクルを回していったほうがまずは一番誘客を図れるのではないかなというところを考えております。
 ちょっとまだこれからいろいろ町の部分、まちづくりの部分でももうちょっと観光というよりは、うちの町、やっぱり交流人口をいかに増やすかというところなので、そこをベースにしながらいろんなジオの取り組みとかも踏まえて検討していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

達増知事

 藤井さんがおっしゃった近隣市町村とのコラボというのは本当に大事だと思います。遠野から笛吹峠を越えて、橋野に入るというのはグッドアイデアなのだと思います。
 鉄については、今年、世界遺産ですね、そこに向けて盛り上げていって、晴れて世界遺産になれば非常に最初から頭に入りやすくなってくるでしょうから、まず世界遺産も目指して頑張るのですけれども、鉄とそれ以外の要素も絡めるというのはグッドアイデアだと思います。
 あとは、外国人対応、やっぱり表示物とかいろいろ課題はあると思っていますので、そういうのはやっぱり充実させていきましょう。
 あとジオパーク、一般の人はまだ知らないけれども、一方、既にジオパークになっているようなところの人たちはすごい関心が高いというのはそのとおりだと思います。教育旅行的な素材というところがあるので、そういうある程度わかっている人に営業をかけていくというのは大事だと思います。ジオパークというのがわからない人たちにも、わからないなりにジオパークというのは何なのか、見に行きましょうみたいな乗りで入門編みたいに集めて来てもらえれば、またそういうのもあるのだと思うのですけれども、でもジオパークの性質上、深く知りたいとか、最初から高い関心を持っている人たちにとって非常に楽しめるというところもありますし、そういうところも狙っていくのがいいと思います。
 あと糸魚川の例で地質の話以外のことも結構という、その地質の話とそれ以外の話とバランスはどんな感じに考えればいいでしょうかね。

藤田課長

 本当に好きな方は、本当に専門的に地質が好きだという方もいらっしゃいますし、私のように地質はちょっとわからないというのは文化であるとか、今までの成り立ちのほうが非常にわかりやすいということで、それぞれの方によってその捉え方、またリクエストとか、また逆に欲するものが違うという、結構幅広い対応が必要だというふうには言われております。

達増知事

 そういうことがあるようですが……

佐々木康行

 そうです。実際やっぱりこちらからお願いしますといったときに、どういうのを知りたいですかと言われて、こういう全体的なものをいろいろ教えてほしいですというお話をしたので、多分そうなったと思うのです。だから、もしそういうふうに地質のこととなれば、多分専門的にその部分のお話しできるかなと、やっぱりそういうお客様のニーズに対応できるような体制をつくれるのが一番いいですよね。

東大野室長

 では、続きまして、小川様と菅野様。小川様からお願いします。

小川廣文

 よろしくお願いします。ジオパークを生かしたということなのですけれども、私どもは本来は震災のガイドを始めていますので、その震災のガイドの前に地域の歴史とか文化とか、そういった観光のためのガイドの本来の椿サミットに向けた勉強会しか当初はしていませんでしたので、そのための勉強は何度かさせてもらっているのですが、先ほど言ったように震災のガイドをするということになってから、いろんな方々からいろんな提言をいただいているのですけれども、まずはわからないというのが先から始まっています。何がわからぬのかわからない、県のほうだけ進んでいろんな情報をいただいているのだけれども、私どもはわからないということで、勉強を何度も重ねてはおいたのですけれども、いまだかつてわからない点がいっぱいあります。それでもわからない中でもいろんな方々に来ていただいていますので、まずは2カ国語のガイド本をつくりました。英語と韓国語です。ガイド本をつくって、すぐなくなってしまいました。日本語もつけるととんでもなく早くなくなるのでやめろということで、2カ国語だけつくりました。欲する方が多くて、いろんな方が欲しいということで、1冊、2冊ではなくてまとめて10欲しい、全員分欲しいとか。なかなかその予算がないもので、いっぱいつくれなかったので、それがすぐなくなってしまったということがありました。ガイド本と同じように案内表示が不案内だということで、よく言われていますので、そういうふうなことも含めてもうちょっとわかるということを、まず最初に来やすいとかわかりやすいとかというものが必要なのではないかなと思っています。
 先ほどのように私もガイドをしていまして、この表題にありますけれども、地域振興にどんなふうに役立つのかということを考えると、これは役立つのではなくて役立たせていただかなければいけないのではないかなと思っています。これは、歴史というものをちょっと勉強させてもらうと非常に楽しいなと、おもしろいなと、夢が膨らむなということを考えるわけで、これをもうちょっとわかりやすく、もうちょっと具体的にしなければいけないのではないだろうかと。それは、県の方々に一生懸命やっていただいているのですが、これは市町村にもうちょっと落として、それのプロフェッショナルではないですけれども、そういった仲間づくりを多くしていただかないと、ガイドの会だけが一生懸命頑張っても、上のほうだけ頑張っても、なかなか広がっていかないのではないだろうかと。そういった意味では、知るということの楽しみをもうちょっと皆さんにわかるように、いろんな説明会を続けてみたり、今まであった成り立ちをもうちょっと考えてもらったりというところを進めていけば、興味を持っている方々が多く増したら観光の方々が多く増えてくるのではないかなと思っています。
 そんなことを考えていますので、この自然を生かした観光、それから同様に防災、減災にかかわる観光も含めた取り組みをしていかなければだめだろうと。私たちは、何となくここで住んでいますけれども、ジオの恩恵によって私たちの生活が成り立っているということも本当は気づかなければいけないのにいまだに気づいていないということがあるわけですけれども、そういったことも含めていろんな方々に知っていただくということが大事なのだろうというふうに思います。
 今そんなことを勉強しながら多くの方々にお話をしておりますが、まずはプロフェッショナルをつくらなければいけないだろうと、市町村の中でもプロフェッショナルをつくっていくといった意味で勉強会を重ねながら、先生ではなくて、先生ではないプロフェッショナルをつくりながら進めていかなければだめだろうと。それには、行政の方々も一緒に肩を組んで前に進まないとなかなか進まないのではないだろうかと思っていますので、その辺も考えていただきたいなというふうに思っています。
 この三陸をもう一回見直すと。今まで観光のガイドをしているわけですけれども、私はレストハウスも一緒にやらせてもらっていますけれども、観光のお客さんは来るのだけれども、何でこうなっているのかということまでなかなか伝えられないという現状があって、先日は旅行エージェントさんが十数名来ていただきました。そのときにちょっとガイドをさせていただいたのですが、そのときもジオのことを若干言いました。「ええっ」という返事です。あっ、そうなのということなのです。ですから、知らないというのが現実だと思います。ですから、それを簡単にわかる何かを提案できるとより楽しい、また興味を持ってリピーターになっていただくお客様が増えればいいなというふうに思っております。ぜひいろんな角度からもう一度見直すには非常にいい材料ではないかなと思っていますので、いろんな提言をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

東大野室長

 どうもありがとうございます。では、菅野様。

菅野コハル

 ジオパーク、ジオを生かしていくという点で、すごく奥が深いなと思うのですけれども、私が考えるには、人は自然とともに生きてきましたし、また生かされてきたのだなというところでは、小さなお子さんだけでなく全体的に、世代全体に体験というものをしていきたいなと思うのです。まずは、今回の東日本の震災がありましたので、避難訓練、これはまず第一に忘れてはいけない、命の尊さというものをもう一度考える場でもあるのではないかと思います。避難訓練、これが第1に挙げられます。
 それから、人が集まる場所、これはお祭りとか何かしらイベントなどがあれば人も集まって、そこでコミュニケーションをとったり、何か悩みがあったらそこで悩みを聞いてあげたり、元気をもらったりということも大事なので、そういったことも考えております。
 それから、陸前高田の場合は気仙大工左官伝承館が箱根山にございます。技術力のすばらしい職人さんのまち発祥地でもありますので、例えば陸前高田の場合は気仙杉などがありますので、その気仙杉を使って茶托、コースターをつくるとか、いろいろな子供たちに春休み、夏休み利用して手ほどきをしていただきながらつくる喜びを体感していただきたいということとか、それからあとは気仙川、ふるさとの川ですが、7月はアユ、それから秋はシャケが上ってきます、遡上してくる川として自然味あふれる川ですし、それから今申し上げました気仙杉をもう一度見直す。それから氷上山の場合は大変すばらしい水晶、それから花崗岩などが有名な山ですし、それからもちろん玉山金山として全国的にも知られている金の産地でもありますので、そして世界遺産登録になりました平泉に連携しながら、まだまだいっぱい発信していきたいなという部分があります。まずは体験をしたいと、体験というものが大事ではないかと。今は情報時代ですので、自分が体験しないうちに小さい子供さんたちは特に答えというものはすぐ出るので、そうではなくて少しずつ、ゆっくりでもいいので体験して、だからこうなのだねと答えが出るような、そういう時代というか、そういうのも大切ではないかと思います。行ったり来たりして済みません、よろしくお願いします。
 三陸のすばらしいところがいっぱいありますので、自分の中でももっともっと発信していきたいなと思っております。終わりです。

東大野室長

 知事、お願いします。

達増知事

 観光という入り口から入り、また観光ガイドとしてどう対応するかというところから入っていけば、必ずしもジオパークというのをメーンに据えるのではなくても、つけ加えるような形でもいいのだと思います。普通の観光に来たという感じの人たちでもジオパーク的な説明で、「ああ」というふうに強い印象を持ってもらえるという効果はあるのだと思います。あとは体験を中心にという組み立て方の中でジオパーク的なところに実際行ってみていじってみるとか、そういう形でジオパークというのを生かしていくというのがあるのだと思います。
 また、岩手ジオパーク、三陸ジオパークは津波災害、震災、防災という要素がやっぱり大きいので、それはジオパークから離れても震災のことを伝えたり、防災のことを一緒に取り組んでもらったりというところも、そこはジオパークの一環ではあるのですけれども、そこから離れたとしても大事なことなので、それは生かしていかなければならないなと思います。

東大野室長

 皆様から一通りご提言、ご意見をお伺いしました。これまでの皆さんのご意見、ご提言について、さらに言い足りなかったとか、あとは逆に県のほうにこういうことを聞いてみたいだとか、あるいはご出席の方々相互でこの点はどうですかとかいうところがありましたらお願いしたいと思いますけれども、いかがですか。

佐藤悦郎

 では、私から。
 皆さんおっしゃっているとおりなのだなと思ったのですが、ジオパークというのは実を言うと自分の住んでいるところの自慢のし合いっこでいいのではないかと。うちのお母ちゃんのでべそがもっと大きいぞという式の自慢でいいのではないか。自慢探し、プライド、矜持、自分のところのいいところを自慢し合おう。もっといいところはないかというのを探しましょう、もう一回見てみましょう。碁石海岸、実を言うとあったのです、一生懸命探したら。三角岩や、合掌岩と言われて、見ると確かに手をあわせたくなるような感じになる神々しい岩がありました。それから、小さな滝がありました、海に入る滝、梅雨限定。カタクリの群落ありました。海を背景にする。一生懸命みんなで探しましょう、それから自分たちの気づかないところはほかの人に教えてもらいましょうというのがジオパークの活動というか、運動ではないかなと思いました。
 以上です。

東大野室長

 ありがとうございます。
 そのほかにこの方に聞いてみたいとか、担当部の課長が来ていますので、どうするのと聞いてみたいでも結構ですので。
 はい、どうぞ。

菅野コハル

 NHKの朝ドラの「あまちゃん」がすごいブームになりましたよね。私も今も語り部をさせていただくときに、帽子のここに「あまちゃん」のバッジを今もつけて、じぇじぇじぇのバッジをつけているのですが、ブームに乗っかって、やっぱりあまちゃん、じぇじぇじぇと言っても、皆さん知っていますから、ああと言ってくれるので、ブームに乗って、プラスジオパークもどんどん、どんどんブームになってアピールしていきたいなと思うのですが。
 どうなのでしょうか、この「あまちゃん」が放送されてから、今まで若い人たち、余り朝忙しかったり、朝ドラ見なかったのだけれども、見るようになったというのも情報入っているのですけれども、波が来たときにそれを、そこの波にちゃんと乗っかれるかどうかというのを、一過性のものではなくて、ずっと続けていけたらいいなと思うのですが、知事さんが「あまちゃん」がブームになって手応えというものをどのように感じられましたでしょうかということを教えていただきたいです。

達増知事

 放映中は放映中で、それを生かしていろいろ乗っかっていけばいいですし、終われば終わったでDVD、ブルーレイとかも出ていますし、終わったがゆえにもう一回最初のほうを振り返って、あのせりふや、あの場面はこういう意味だったのだねというのが終わって初めて全体がわかるというところもあり、終わってから改めてファンの人たちもそういうところを語り合って楽しんだりとかもありますしね。放送中は、同じ三陸の海だということで、かなりNHKが朝の情報番組で9時以外も大船渡とか釜石、陸前高田のほうにも来たのではなかったですかね。だから、そういう何かかんか、「あまちゃん」に引っかけていろいろやるということは終わってからでもできますし、また今年4月からNHK―BSで再放送が始まりますので、また放送中と同じような感じのこともいろいろできると思います。
 夏目漱石の「坊ちゃん」というのがライバルだと思っていて、「あまちゃん」と「坊ちゃん」とかけているのですけれども、あれは100年前に書かれたものですから、100年前に書かれたもの、100年たっても夏目漱石の「坊ちゃん」と言えば愛媛県松山とか道後温泉が出てくるとか、だから「あまちゃん」も100年たってからも岩手だ、ウニだとか、三陸鉄道だとか、そういうふうに100年たっても宣伝材料になると思っていて、そういうふうにしていきたいと思います。

東大野室長

 県庁の各部でも、私は広報担当ですけれども、「あまちゃん」は非常に大きな素材、テーマとして捉えていますし、あと商工労働観光部ももちろん、それでみんな興味を示してくれるので、大きいなと、一つのきっかけ、テーマというふうに考えています。まさに今知事、100年たっても「あまちゃん」のお話をなさいましたけれども、利用できるものはきっちり利用して訴えていくという姿勢です。

菅野コハル

 ありがとうございます。

小川廣文

 ジオのことだけの話だろうと思うのですけれども、市町村によってジオに関する考え方に温度差が随分あると思うので、何らかのご指導いただいて、市町村でもうちょっとジオに関する、また観光振興に関することを、大船渡市だけ、高田だけとかではなくて、もうちょっと広範囲でそういった取り組みをしていただきたいなというふうに思っています。
 あとは、道路の標識の案内ですね。これがいっぱい出ているというふうには聞いているのですけれども、なかなか道路がわからないでいらっしゃる方が多かったりしておりますので、その辺ももうちょっと必要性があるならば考えていただきたいなというふうに思っています。
 あと先ほどもちょっと言いましたけれども、観光のプロフェッショナルみたいなの、何かそういったのはないと、我々のようなガイドもそうなのですが、行政の中でも3年か5年でかわらないような、この方だったら何でもわかるというのを随時足していくというふうな形で回っていくような形をしていただくとありがたいなと思います。何かちょうどなれてきたころに3年たったので、5年たったのでとかわってしまうと、また一からやり直しみたいな感じがあるので、行政のほうもそういったことがあれば、もしかしたらもう一度考えを新たにしていただいて、プロフェッショナルのような考え方を持って進めていただくと、いろんな形が前に進むのが早いのではないかなと思っていますので、その辺もご指導いただければありがたいなと思います。

達増知事

 ジオパークというのは、まずここからここまでジオパークだという中にジオサイトがあって、ジオポイントがあって、それぞれこれこれこれがジオサイト、これこれこれがジオポイントという、まずそういう大枠があって、それの説明というのがまずあるわけですけれども、それと並行して、それをどう活用するかという使い方のノウハウみたいなのをまた発達させる必要があるでしょうね。スマホとか、あるいはパソコンでもいいのですけれども、今は総合的な取扱説明書があって、一から始まって、まず各部の名前の説明から始まって、順番に全て解説していくような、これは比較的そういうものだと思うのですけれども、一方、インターネットをしたい人はどうすればいいかとか、あるいは飼っているペットとより楽しむためにはどうすればいいかみたいなスマホの使い方の説明書とかも、そういう使い道別の解説書というのもスマホとかにはあるわけでありまして、ジオパークについてもそういう切り口ですよね。やっぱり科学、理科の切り口からアプローチしたい人向きのさらなる解説、説明とか、あるいはある程度これもそういう目的別のつくり方もあって、食べ物ですよね、グルメ、おいしいものを食べたい、珍しいものを食べたいという人がどうアプローチしていけばいいかという説明も取り入れられているわけですけれども、そういう目的別のジオパークというシステムの使い方の活用事例研究みたいなのをそれぞれ分野ごと、また地域ごとに深めていくということを並行してやっていくことが大事だなと思いました。

東大野室長

 あと時間が、5分ほどになりました。申しわけございません。お二方くらいから。

熊谷賢

 ジオパークでこれから一番重要になってくると思われるのは、学術情報の蓄積だと思います。恐らく基本的な情報というのは皆さん、ガイドさんの方々も熟知されていたり、ガイドブック的なものも出されているのですが、より三陸の面白さを発信するためにも更なる学術情報の蓄積というものが必要になってくるのではないかと思います。極端な話ですが、震災後、東日本の沿岸部、特にも三陸というところに全国の目が、あるいは世界の目が注がれるようになったことによって、今まで広く知られていなかったものが再評価されてきたという経緯がありますので、従前の観光情報だけでは物足りなさを感じられている方々もいらっしゃるようです。ある程度の情報はもうできていると思いますが、多様化する観光客の方々のニーズによっては、「それは知っています。」、「我々が知りたいのはもうちょっと深いところの情報です。」となったときに、それをどうカバーしていくかということが重要だと思います。本当の意味での学術情報を、特にこの三陸ジオパークの場合は、地質学とか地形学だけではなく、考古学、民俗学といった人文科学とか、そういった関係する領域の部分も大きく関わりをもっていますので、いわゆる学際的な部分での学術情報の蓄積が必要になってくると思います。例えば関連する学会の最新情報を蓄積していくとか、あるいはジオパークに絡んでの学会を招致するとか、そういったことでの本当の意味での学術情報の蓄積というものをこれから推進協議会の方ではどういうふうに考えていくのかなという部分が気になります。そして、その蓄積した情報をよりわかりやすく、面白く発信する。それがないと相互のつながりというものがなかなか見えてこないのではないかという気がします。

達増知事

 それは、本当にそのとおりだと思います。
 肉づけをまた充実させていくことだと思うのですけれども。

佐々木康行

 では、済みません、ちょっと手短に。
 先ほど学術情報の部分もお話しいただいたのですけれども、実際私が糸魚川で体験したのは学術情報プラスエンターテイメントでした。結局学術情報だけを言われてもおなかいっぱいになってしまうので、本当に藤井さんのようなエンターテイメント性のあるお母さんが何かそれをおもしろおかしくお伝えいただくことで、すごく入りやすいというところもあるので、その辺をやっぱりガイドの皆さんと一緒に勉強していくようなことをできればいいのかなと考えておりましたし、あと学校教育の部分で、もうちょっとジオパークをすごく入れていただくと、あるいは例えば今40代、30代の若い人たち、結構個人旅行で動いてはいるのですけれども、その次の世代が心の中にジオパークというキーが残っているかと思いますので、未来を考えるとその部分で学校教育の部分にもうちょっといろいろ入れていただくとすごくありがたいのかなと。
 実際、今、例えば30代、40代の皆さんが、震災以降かとは思うのですけれども、結局例えばこっちに何回もリピーターで来ていただく場合は、別にそういういろんなエンターテイメントもいいのだけれども、そこにいる人たちに会いに来たいと、その人といろいろ会話したりとか何かをするのがすごく私にとっても癒やしになるのだというお話をいただいていまして、交流人口から関係人口を増やすというところをちょっとこれからテーマとして持っていきたいなと思っておりまして、それも私としてもこれからそれをまちづくりとか観光の部分でどんどん、地方消滅とかいろいろ言われているので、そこに結びつけられるような取り組みにしていきたいなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

東大野室長

 藤井さんはよろしいですか。

藤井静子

 単純なことなのですけれども、「ジオ」というと学識経験者とか学のある人は「おっ」と思うのです。しかし、来る人たちは一般の主婦とかシニア世代が多いです。ですから、私は客層を見て、このレベル、このレベル、このレベルというポケットを持っていて、そのときにだしを決めるのですけれども、私の基本は「ジオ」といっても小難しくなく、まして釜石は鉄、聞くだけでも嫌だという、そういう気持ちになるといくら話しても受け入れてくれません。ですから、ガイドとしての心がけは聞きやすく、わかりやすく、そして心のお土産にこれをゲットしたよと言われるような、そんなジオのガイドを目指していきたいと思います。小難しくなく、わかりやすく、楽しくがモットーとさせていただきます。
 以上です。

東大野室長

 皆さんからさまざまご意見、ご提言いただきましたけれども、お約束の時間が迫っております。最後に知事、お願いします。

達増知事

 やっぱり各専門分野ごと、また地域ごとに集まるというのはいいことだなと思いました。それぞれのところで見えているもので、ほかのところでは見えないものもあり、またそういうのを出し合うことで全貌がまた見えてくるということがあったのではないかと思います。県のほうでもそういったそれぞれの分野、またそれぞれの地域と連携をしながら、いろんなニーズに合わせて利用しやすいようなジオパークの運びというのを県のほうでも工夫し、そのために専門的に充実させていかなければならないような部分ですとか、一方では外から来る人たちにより楽しんでもらい、また勉強してもらい、認証を受けてもらうためにどういう工夫をしていけばいいかというような感じで、県のほうも教育委員会とか、あとは商工労働観光部とか、そっちとの連携もジオパーク担当のほうを中心にやりながら、せっかくこんないい自然と資源が岩手の沿岸にはあるわけですから、ぜひそれを活かしていきたいなと思います。
 今日は、ありがとうございました。

東大野室長

 本日は貴重なご意見、どうもありがとうございました。

閉会

東大野室長

 これをもちまして県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を終了させていただきます。

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