7 退職するときは、研修費用を返還しないといけないのか。

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ページ番号1015782  更新日 平成29年8月3日

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 会社の研修制度を利用して、会社の負担でビジネススクールに進学し、1年前に経営学修士号を取得しました。個人的な事情により退職したいのですが、就業規則で、研修終了後3年以内に退職する場合には研修費用を全額返還しなければならないとされています。退職する場合、会社から就学費用の返還を求められたときは、支払わなくてはならないでしょうか。

 就学費用を返還しなければならないか否かは、業務との関連性などの事情によって判断されます。

 裁判例では、海外のビジネススクールへの留学費用の返還について、次の事情などから、会社の請求が認められたものがあります(東京地判平成14年4月16日 野村證券事件)。

  • 研修が従業員の応募を前提としたもので、かつ、留学の方法は従業員の強い意向によることなどから、留学が形式的には業務命令の形であったとしても、実態としては従業員個人の意向による部分が大きいこと。
  • 留学先での科目の選択や留学中の生活については従業員の自由であったこと。
  • 留学と業務とは直接の関連性がないこと。
  • 返還免除までの就労期間が5年間であること。

 一方、次の事情などから、業務性を認め、留学終了後5年以内に自己都合退職した場合の留学費用の返還を定めた会社の規程が、労働基準法の規定(16条)に違反するとして、会社による返還請求が認められなかったものがあります(東京地判平成10年9月25日 新日本証券事件)。

  • 会社の留学規程では専攻学科を会社の業務に関連のある学科とするよう定めていること。
  • 留学中の待遇を勤務している場合に準じて定めていること。

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