草の根地域訪問「こんにちは知事です」(平成20年10月24日)

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ページ番号1001026  更新日 平成31年2月20日

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訪問団体名:京津畑自治会
日時:平成20年10月24日(金曜日)10時30分から11時40分
場所:旧京津畑小学校(一関市)

開会

勝部局長
ただいまから県政懇談会「草の根地域訪問『こんにちは知事です』」を始めさせていただきます。
本日は私たちを快くお受けいただきまして、ありがとうございました。心から感謝申し上げます。
私は、きょうの進行役を務めます県南広域振興局の局長の勝部と申します。よろしくお願いいたします。

知事あいさつ

勝部局長
それでは、開会に当たりまして知事から一言ごあいさつ申し上げます。

達増知事
皆様、こんにちは。『こんにちは知事です』という企画で、京津畑自治会にお邪魔をいたしました。
草の根地域訪問という企画ですけれども、この草の根の自治会ですとか、町内会ですとか、そういうところに活気がないと、元気がないと岩手全体としてもうまくいかないということで、県としても地域のコミュニティがうまくいっているかどうかお話し伺いながら、またうまくいっている事例を広く全県に、あるいは県外にも紹介してほかのコミュニティにも参考にしてもらいながら、そうやって地域の草の根から岩手の暮らしや仕事をよくしていこうという、そういう県の方針のもとに行っております。
この京津畑自治会が選ばれた「元気なコミュニティ100選」、これは去年、岩手の自治会や町内会というのは全部で3,700くらいあるのですけれども、その3,700にアンケートしたり、市町村に調査、報告をしてもらったりして、そういう中から「元気なコミュニティ100選」を選ばせていただきまして、その選ばれたところの中から私が直接訪問するということをしております。そういう中で、ほかの地域にも参考になるようなすぐれた取り組みについて教えていただきたいと思っております。また、きのう閉会になりました県議会で、現在の総合計画というのがもうすぐ終わりまして、その次の新しい長期計画をつくるという、そういう予算も認めていただいたところでありまして、県の審議会にも諮問をしたところであります。これについては、県民皆さんから、10年後の岩手、私たちは10年後にこういうことをしていたい、こういうふうになりたいという、そういう希望をいただきながらつくっていきたいと思っておりまして、この「草の根地域訪問『こんにちは知事です』」の中でもそれぞれの地域やそこに暮らす皆さんから10年後にはこういうことをしていたいとか、10年後にはこういうふうになっていたいとか、そういう話も伺えればと思いながら、きょうはお邪魔をしました。どうぞよろしくお願いいたします。

勝部局長
本日の出席の名簿でございますけれども、一人一人紹介すればいいのですけれども、時間の関係もございますので、お手元の名簿あるいは座席表をごらんになっていただくことで割愛させていただきたいと思います。なお、本日は県議会議員の飯澤先生にご出席いただいております。

懇談

勝部局長
それでは、早速懇談に入らせていただきたいと思いますが、まず皆様のほうから活動内容の概要等につきましてご説明いただいて、その後意見交換に入っていきたいと思います。では、大体五、六分で。その後で詳しく。

団体員
その前に自治会長の歓迎のあいさつを述べたいということですので。

勝部局長
どうぞ、よろしくお願いいたします。

団体員
それでは、地区を代表いたしまして、一言歓迎の言葉を述べさせていただきます。
達増知事さんには本当にご多忙の中、ようこそ当京津畑地区においでくださいました。当地は一関市の最北端に位置する標高350メートルの山間集落であります。東は住田町に、北は奥州市江刺区に接し、県道10号線江刺室根線が南北に通っております。私は陸の孤島と名づけております。現在世帯数が56世帯、人口が164人、山あいの小集落であります。地区内の総人口に占める65歳以上の割合である高齢化率46%と社会的共同生活の維持が困難とされる限界集落に近づいておる現状であります。こうした中、自治会が中心となって何とか地域起こしに頑張らなければならないといろいろ取り組んでおる現在であります。
以上、当地を紹介申し上げ、歓迎のあいさつといたします。本日は本当にありがとうございました。終わります。

勝部局長
ありがとうございました。
それでは、お願いいたします。

団体員
事務局長ございます。よろしくお願いいたします。
先月9月20日に盛岡の盛岡劇場というところで「がんばろう!岩手2008地域活性化セミナー」というのがあったのです。それに私ども自治会が招待されまして、パネラーとして発表してきました。そのときのものを利用しながら、プロジェクターを使ってちょっと説明したいと思いますので、よろしくお願いします。
ここ京津畑地区は、新一関市の最北部北上山地の南に位置しておりまして、奥州市江刺区と住田町に接する標高350メートルの典型的な山間地です。このとおり、周りをぐるっと深い山々に囲まれた小さな集落ですが、人々が仲よく助け合って暮らす自然いっぱいの集落です。56世帯、人口が164人、高齢化率が45%、先ほど自治会長おっしゃったとおり、限界集落目前の地域です。ちなみに、一関市が29%、岩手県は25%の高齢化率です。
京津畑自治会は、平成3年9月に発足しました。それまでは過疎化に対する危機感とかあきらめの感情を抱いておりましたけれども、自治会が結成後、「こんなへんぴな場所でも住みいい部落にしていくべ」と、手探りの活動が始まりました。自治会の組織はこのとおりです。自治会長、副自治会長、事務局3名おります。あとは総務部、生活産業部、生涯学習部と3つの部で構成しております。
なお、活動のとっかかりですけれども、まず身近な困り事とか、環境の改善に対する対応です。何度も会議を開き、課題を共有します。そして、対策を考えてみんなに協力の依頼を行います。強制はしませんけれども、地域づくりを前面に出して、「まず動いてみるべ」という、これの繰り返しでした。例えばバス待合室の建設、それから神楽保存会の結成、そして延長9キロにわたる県道のクリーン作戦を毎年やっています。そして、ごみ捨て防止の看板コンクール、高齢者とか児童、環境保全に対する地域ぐるみの行動を起こしました。その後、平成12年度にふるさとづくり実践計画というものを策定しました。副題は、「緑と人の和で笑顔あふれる地域づくり」、計画の名前は「緑野京津畑結い結い(よいよい)計画」です。その計画を具体化にすべく、ごみステーション建設事業、不法投棄パトロール活動、除雪支援スノーバスターズ結成、公葬地の共同清掃、60年ぶりの小正月行事を復活させました。そのほかに神様探検とか標柱設置事業など地域の魅力を高めるための各種事業を活発に展開してまいりました。
中でも平成9年度から始まった「食の文化祭」は画期的なイベントとなり、10年間開催してきました。かつての山里の食に着目して、この地方で昔食べられていた食事はきっと価値のある宝物ではないかというふうに考えました。今のお年寄りたちが子供のころ、決して豊かではなかった時代に母親とかおばあちゃんたちの懐かしい味を再現したり、現代風にアレンジしたりして各家庭の台所から体育館のほうに陳列してもらいました。その“食の作品”をみんなで眺めて昔をしのびながら食談義に花を咲かせます。食の出品にはお母さんやおばあちゃんたちのみならず、ちびっ子料理やおやじのオシバテ(酒の肴の方言)、そういった世代を越えた楽しいメニューがたくさんあり、昨年は50世帯から210品もの展示があり、地域のまとまりを実感させられました。
最近、スローフードとか食育という言葉が出ていますけれども、それの精神に相通じるものではないかなというふうに考えます。そして、ステージの神楽や太鼓を楽しんで、昔おやつ、果報団子、そば切りの振る舞い、そして大試食会など会場を訪れた人たちは終日この山里でほんわか心温まる交流を堪能します。口コミとマスコミの紹介で年々すごい催しになりまして、県内外から人口の4倍、600人が訪れるほどの人気ぶりです。
この食の文化祭から学んだこと、これは地区民だけではなくて地区外の皆様もお呼びしておもてなしをします。それによって、今度はほかの地区外の皆さんから元気をもらっています。こういう多くの皆さん方から手紙、そして終わった後の電話、アンケートなどで感謝と感動のメッセージが多く寄せられました。そのときは苦労も疲れも吹き飛び、「ことしも開催できて、ああ、いがったなあ」というふうに思います。
また、記憶は一代、記録は末代と言われるように、次の世代にも伝えたいとの思いで記録史の三部作を発行しました。まず、老壮年の思い入れをつづった「あの頃、あの時代」、そして食の文化祭とか郷土食の記録をした「やまあいの絆」、それから小正月を60年ぶりに復活させた記念として、これらの記録を扱った、いわば地元学ですけれども、これの「やまあいの小正月」という作文を寄せてもらいました。この中には、既に他界された方もいらっしゃいますけれども、その方々の思いは記録となって貴重な地域の財産、地域の自分史として残っていきます。
一方、この食の文化祭をきっかけとして、平成13年度に京津畑郷土食研究会「やまあい工房」が誕生しました。この山奥で地元の山菜や農産物の加工と販売を通じて地域活性化に生かせないかとの熱い思いで女性たちがみずから立ち上がりました。7年間試行錯誤の毎日は今も続きますけれども、昔おやつ、漬物、お総菜、お弁当、お膳、またゆうパックなどは全国にファンが広まり、リピーターの注文が多く入ります。何よりお母さんたちが生きがいを見出し、彼女たちの生き生きとした表情がこの京津畑を元気にしてくれます。とはいえ、過疎地の困難な課題に歯止めはなかなかかかりません。
17年間の歩みから感じることは、ないない尽くしからあるもの探しと、そういう発想の転換、そしてこれを地域の資源としていきたいということです。なお、岩手の資源は人情と豊かな自然です。日本の心の原風景です。ますます高まっていく田舎の価値、岩手の価値です。そして、コミュニティの力というのは優しさだと思います。隣人への思いやり、結いの心を大切にしながら住民同士が助け合う。そんなずっと住みたい地域をつくっていきたいと、毎年開く京津畑の新年会ではお互いの健康を祈念しながら「ふるさとに生きていく意味」を確認して、こんな地域づくりの夢を語り合っているところです。
ご清聴ありがとうございました。

勝部局長
ありがとうございました。それでは、ここからは懇談を進めてまいりたいと思いますけれども、まず皆様のほうから自己紹介を兼ねて、それでふだんの活動内容あるいは活動するに当たってこんな工夫をしているという、そういうことも紹介していただくことも含めましてお話しいただきたいと思います。その後意見交換をしていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。また、その後で、先ほど知事のほうからもお話がありましたけれども、新しい長期計画の策定に向けて、今これから取り組んでいくわけでございますけれども、皆様のほうからも将来この地域がどうあってほしいか、そういうあたりも含めてご意見をいただければよろしいのかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。大体1人当たり五、六分の時間でお話しいただければよろしいかなと思います。
では、よろしくお願いいたします。では、会長さんから。

団体員
では、早速私のほうから申し上げます。私は、京津畑自治会の会長を仰せつかっております。どうぞよろしくお願いします。早速大きく2点ほど述べさせていただきます。
活動というよりも提言でございます、知事に対する。まず、大きく分けて2つでございますが、まず第1点目は限界集落対策として岩手県独自の活性化専門の課を設置及び岩手版担当サポート員制度の創設。2番目は、主要地方道の江刺室根線、県道10号線の整備についての2点でございます。
第1点目は、先日岩手日報紙にも上がりましたが、和歌山県ではことしの4月に限界集落対策などを重点的に取り組む企画部地域振興課を設け、局内に地域支援づくり課やUターンあるいはIターンを推進する地域交流課を新設したと聞きました。本県でも少子高齢化と過疎対策は喫緊の課題であり、放置すればコミュニティが衰退し、集落機能を果たさなくなると思います。岩手県内には準限界集落、限界集落が急激に増加するものと思われ、行政的対策が急がれます。
ついては、次のとおりご提案申し上げます。県と市町村が一体となりまして、縦横の組織を連携させ、これまで以上に過疎集落対策を進めていただきたいと。次に、自治会、町内会等のコミュニティ活動に対し、県と市町村が一体となりまして、財政的支援をされたい。3つ目は、地域のリーダー育成とコミュニティ育成のため、総務省の行う集落支援員とは別に岩手県版担当サポート員制度を設置し、地域に張りついていただきたい。
次に、2点目でございますが、地方道路でございます。主要地方道路「江刺室根線」の大中斉~砂渕区間は約2キロございますけれども、平成18年に県内初のローカルスタンダード方式によりまして一部改善されました。しかし、なお狭隘箇所が多く、根本的に危険コースの解消には至っていないと感じます。同県道は集落の生活路線であり、若者の定住のためにも道路整備は欠かせません。
ついては、次のとおり改良整備を要望いたします。1つ、2車線道路に整備のこと。2つ目に道路照明灯を増設されたい。3つ目は、地域内でございますけれども、岩の御殿橋~坂の下間約400メートルございますが、そこが狭くなっております。そこを拡幅改良をお願いしたい。
次に、冬期の江刺口沢~砂渕間約10キロでございますが、この区間の除雪を迅速に行われたい。除雪の出動時間が遅く、朝の通行時に支障を来しているためです。
次に、県道の草刈り管理の充実をされたい。できるだけ回数を多くお願いしたい。
以上、私の発言を終わります。

団体員
こんにちは。私は、今はやまあい工房の事務局として働いている者です。それで、私からの提案ですけれども、過疎地における岩手の「一集落一起業運動」の創設と、既存起業グループの支援活動、支援策についての提案をしたいと思います。
少子高齢化の過疎地に定住しながら、特に私たち女性は田畑を守り、子育てや高齢者のお世話に苦労しながらも頑張っているところです。時々くじけそうになりながらもこの地で夢を持って一生暮らしたいと思っております。その夢の一つとして、同じ地域の仲間と起業による魅力ある地域づくりをしたいと考えている人たちが意外と多いということです。そこで、岩手オリジナルの起業支援策として「一集落一起業運動」の創設を提唱したいと思います。
今、何を信じていいかわからないと食の不安を抱える消費者の皆様方に顔の見える生産、加工、販売を行政サイドからご支援していただきたいと考えております。当京津畑地区では、限界集落にはまだならないのですけれども、準限界集落という中で魅力アップと元気づくりのため、食のイベント、食の文化祭を10年間も続けてまいりました。このイベントをきっかけに、平成12年度に女性たちみずからが「京津畑郷土食研究会やまあい工房」を立ち上げました。ことしで8年目を迎え、試行錯誤しながらもお互い励まし合って何とか頑張っております。
それで、私たちの課題ですけれども、懸命の努力で需要も高まっているところなのですが、何かと施設が手狭となってきており、作業に支障が出てきています。そのために施設の移転を含めた改修を検討しているところですが、施設整備について、県の財政的支援を何とかお願いしたいなということです。そして、幅広い知識を持った発想豊かで行動力のあるアドバイザー支援などもお願いしたいなという気持ちでおります。
以上です。ありがとうございました。

団体員
東磐井地方森林組合長をやっております。昨年私が県森連の会長をやっておりました当時、知事室で森林組合長の懇談会を開催させていただきました。その席で知事さんにコミュニティ100選をうちの部落でもらったので、来ていただきたいというご案内を申し上げまして、早速来ていただきましてありがとうございます。
なお、私ごとですが、11月5日に平成20年度岩手県農林水産業表彰を私が受けることになりました。これは知事さんありがとうございます。今日は改めて先ずもって御礼申し上げておきます。これは森林組合長として長年努力し林業の活性化に努力したということで表彰を受けると、こういうことでございます。大変どうもありがとうございます。
私は林業に関して、ここの集落のことで御礼申し上げたいと存じます。ここは昔は薪炭関係でやってきて、その後終戦後造林を始めたわけですが、これも最初は、いわゆる学林をつくって中学校、高校とか上級学校に行く子供たちの学費をつくりたいというのが最初です。これはもう処分して、今は自治会の費用として貯蓄してありますけれども、それはそれとして、その後この集落は県行造林を大々的にやってきました。大体この集落の、上の共有林、下の共有林がありますが、上の共有林が850ヘクタール、それから下の共有林は200ヘクタールぐらいですけれども、私のところは400ヘクタールぐらいあるのですが、これは県行造林なのです。これカラマツなのです。今カラマツが物すごく値段がよくて杉よりも高いわけです。植えた当時はカラマツを盛んに植えてもらって、今ここで切っているのです。私の山ですけれども、毎月10ヘクタール県行造林を解除してもらってですね。半分以上カラマツなのです。カラマツは引っ張りだこで、石巻まで行っているのです。森林組合に私は県行造林の山をすぐ右左に売って森林組合に寄附させていただきました。今は木材が出てこないのです、全国的に。そういう中で、こういうふうに10ヘクタールきちっとありますので、全力を傾注して組織力を入れて、ずっと通して作業できると。本当に県のおかげさまだと、私が20代に植えた、おやじが植えたのですが、私も実際働いて。それが一生で1回切れるわけです。しかも、今はカラマツの値段がいいときに売れる、本当に県のおかげだなと感謝しております。
さらに、これがまた続けて300ヘクタールもありますので、毎月10ヘクタールなり20ヘクタールなり切っていく。それが集落の収入になってくる。こういう非常に恵まれた、しかも県では森林づくり県民税の創設もしていただいて、国、県の観光問題に対する予算というのは非常に多額について、本当に森林組合はやり切れないぐらいの仕事をおかげさんで出していただいている。本当に県、国のおかげだなと。ほかの農業関係、水産関係は非常に苦労していると思うのですが、その中で林業は国、県の大変な応援をしていただいて、非常に活性化、活発になっていると、こういう状況です。
それから、下共有の50ヘクタールは、民間企業に貸しておったのですが、松山は経営ができないということで返してもらったのです。土地が共有地です。地元の土地で造林を企業がやったのですが、これを無条件で返してもらって、森林整備活性化の交付金もらって、松は松くい虫にやられて値打ちがなくなって、これを切って自主転換事業ということを森林組合がやっています。ここで50ヘクタール500万円で木価代を払って、あとは杉、カラマツを再造林する。50ヘクタール全部やったのです。この費用は木材販売が6,200万円、それから再造林が6,300万円、1億2,500万円の事業を3年間で行っています。これ森林組合でやらせていただきました。ここに作業班をどんどん投入してですね、こういう大きな事業を中核として、いろんな事業を利用して森林組合はおかげさまで経営が健全化されている。こういうことで、私としては県の知事さんにわかっていただいて、改めて御礼を申し上げたいというふうに思います。今後ともよろしくお願いいたします。

勝部局長
ありがとうございました。それでは、次の方、お願いします。

団体員
自治会の生涯学習部長です。よろしくお願いします。
私のほうからも二、三ですけれども、お話しさせてもらいたいと思います。自治会の活動の中に生産組合というのがありまして、その事務局もやっていますけれども、きょうは中山間地と情報網、この辺の話をちょっとさせてもらいたいなと思います。
まず、中山間地の支払制度ですけれども、これは我々当集落にとって結構大きなインパクトのある、いい制度で活用させてもらっているということです。河川の掃除、雑木の整理作業とか、散布機械の購入で田畑の共同の防除作業とか、除雪機の購入で一人世帯や老世帯の除雪作業とか、この辺を団体で、みんなで仕事をやるということで、楽しく仕事ができ、地域として一体感をさらに強められるように、そんな支援策として活用させてもらっているということで、大変ありがたいと思っております。これは、国としては来年で終わりのような話もありますけれども、継続してもらいたいのですけれども、もしだめであれば岩手県独自のその辺、似たような制度をぜひ続けてもらって地域でも活力の支援としていただきたいなというふうに思っております。
あと情報通信に関してですけれども、現在は手紙、はがきの時代ではなく、情報も速さの時代になっているかと思います。インターネットの充実というのは、当地域でも願うところだなと思っています。地域でも、先ほどの活動のように春夏秋冬さまざまな活動を行っております。この活動をインターネットを使って動画として、この地から離れて暮らしている人たちに届けて、田舎のよさ、懐かしさ、そんなことを思ってもらい、さらに元気を与えられればなと思います。また、それをきっかけに田舎に戻って住んでみようかというような思いをしていただければもっといいなという思いを持っております。
また、先ほどあったやまあい工房のPRも全国的に行い、またこの校舎も改造をやって、ツーリズムを我々も今検討中なのですけれども、この辺のPR、インターネットを活用して、全国の人々とのかかわり、喜びをともに感じて充実感を味わえる、そんなような地域にしていきたいというふうに思っております。光通信が昨年順延になりました。当地まで来ているような話もありますので、役場関係と民間とが有効活用できるような支援を指導してもらいながら、我々もこれから市当局に働きかけていかなければいけないと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上のようなことを思っております。
もう一つ、テレビのほうですけれども、一部の放送局がちょっと入らない状況です。一昨年度、小学校もここから10キロ以上離れた興田の地に統合となりました。そこに子供たちが通っていますけれども、中で話を聞くと話が合わないとか、テレビの話はしたくないとか、できないとか、そんな話もですね。前は中学校はそんな話もちょっと聞きましたけれども、今回小学校もそんな話が聞こえたりします。間もなく地デジの放送も始まりますので、これを機会に県のほうからも現場の充実を図る放送局、民放関係ですね、指導いただければいいかなと、このように切に思っているところなので、我々もいろんな活動していきたいと思いますけれども、よろしくご指導をお願いしたいなと思っております。
まだまだいっぱい活動している内容を紹介したいところありますけれども、さっき事務局長が言ったように、すべてここにいるみんなもこの地で今まで、僕も53歳になりますけれども、住み続けてきてよかったと、そんな思いから今我々の子供、これからの子供たちもそのような、「ああ、いがったな」という思いを持ってほしいがために一生懸命やっているところなので、ぜひご指導、ご支援のほどよろしくお願いしたいと思います。
時間あったならば、さまざまなお話しさせてもらいたいと思うのですけれども、よろしくお願いします。

団体員
私は、自治会の役員ということと、あと今は校舎利用プロジェクトの代表をやらせていただいております。その中で、まず大きく2つお話ししたいと思うのですけれども、1つ目に廃校校舎の利活用ということと、2つ目には岩手県の廃校舎利用政策ということで提言させていただければと思います。
まず、1つ目なのですけれども、ここの小学校は平成18年3月で10キロほど離れた興田小学校というところに統合になったのですけれども、昔からここには集会所がなくて、京津畑小学校を集会所、集落のコミュニティの場としてずっと何十年も使ってきております。現在、それでここの学校というのは地域のシンボルでもありますので、その校舎を残しながらコミュニティの持続のためにこのようなプロジェクトで集会所兼グリーンツーリズム施設整備の検討作業を行っています。先月、先々月あたりからハッパかけて、多いときだと1週間に3回ぐらいとか集まっていろんな話し合いをしているのですけれども、大きく一番よかったなと思うのは、自分たちのこのメンバーだけの話し合いだけではなくて、地域の人たちの考えもちょっと聞きたいなということで、中学生以上を対象にアンケートをとって進めています。
それで、この施設をつくるに当たっては、農山漁村活性化支援プロジェクトという国の事業があって、その補助を受けてやるのですけれども、総額3,000万円、国が半分の1,500万で4分の1が市、ほかの4分の1、750万円が地元ということで、単純にそれを戸数で割りますとざっと15万ぐらいになります。ということで、限界集落間近と、先ほども絵がありましたけれども、そういう老世帯が多い中で、それもなかなか大変だということで、端的に申しますと県からぜひ整備資金なるものを幾らかでもよろしいので、支援いただけないかなということです。
もう一つは、話し合って中身を決めていくわけですけれども、アドバイザーですね、先ほどやまあい工房のほうからもあったのですけれども、そういう過去の慣習にとらわれない、前向きで明るいやる気のあるそういうアドバイザーの方の支援なんかもお願いできないかなということです。
あとは廃校舎の利用政策ということで、少子化による児童減によって地域のシンボルである学校が統合され、活力が減退する地域があちこちに見受けられるというのは、多分どこでも同じだと思うのですけれども、ここでも3年目になるのですけれども、学校があったときよりも自発的にやることが増えているような気がしています。学校があったときと同等のことをやっていれば、今みたいな元気はないのかなと思っています。
そういう、今を維持しているのもかなり大変なのですけれども、そういったところが、既に興田地区は5校がなくなって廃校になっています。町内でも三、四年後には10校ぐらい廃校となるというふうに聞いておりますので、この廃校校舎の利活用についてこのような過疎を逆手にとるというか、そういった元気創出のツールとなるべく県の過疎コミュニティ再生政策もプライオリティーの一番高いところに持っていっていただいて強力に進めていただけないかなということです。いずれ市だけで10校も廃校校舎を何とかするというのも大変だと思うので、そこのバックアップとして県のほうからもお願いできないかなといった内容です。
以上です。

勝部局長
ありがとうございました。いろいろご意見いただきまして、ありがとうございました。
この後、知事から、ただいまご発言、ご提言いただいた内容について、感想を含めてのコメントをいただきたいと思います。

達増知事
非常に充実した活動で対外的にもどんどん知名度が高まっていること、本当にすばらしいと思いました。
会長さんからいただいたUターン、Iターンとかの交流、定住促進については県のほうに既にその体制はありまして、岩手県のほうのUターン、Iターン交流定住紹介のホームページは、実は全国で第1位のアクセス数を獲得したこともありまして、かなり全国的にも知名度が高くなっておりますので、ますます力を入れていきたいというふうに思っています。
あとは人材育成等の担当サポート員ということですが、コミュニティ活性化あるいはコミュニティ経営のほうのアドバイザーということについては、去年の補正予算からスタートしております。去年から県のほうで人材を何人かお願いしていて、それは県立大学の先生だったりとか、あといろんなNPOの人だったりとか、そういう人にあっちこっち行ってもらうというのを始めたのですけれども、まだ数人しかいないので、ちょっとずつしか、3,700あるうちのまだ3つか4つぐらいのところしかまだ行けてないのですけれども、アドバイザー的なことについては、やっぱりもうちょい強化していかなければならないかなという感じがしています。
これは、この施設に対する補助、ここをやったときには国が2分の1、市が2分の1、地元2分の1ということで、地元負担をゼロにするわけにはいかないなと思っていまして、負担すればするほど愛着がわくというところもありますからね、また負担できないような格好になったり、それでもう疲弊し切ってしまってはまずいですから。ただ、何となく施設はやっぱり市町村立の学校だったこともあり、市町村で、そしてアドバイザー的な、ソフト的なほうを県でというのが何となくいいかなと。
あと県のほうでは、こういうところで市町村をまたぐようなイベントをやるときにそれを支援するというのがありまして、ただこれが市町村合併との関係で大東町と、例えば千厩とか東山とかの間での人の行き来があれば、かつてはそれでもう複数市町村という判定だったのですけれども、今は一関市になっていて。他の地域で、合併前の市町村で交流というのをやっていたのが今は合併して同じ自治体になっているから県の補助が出なくなった、さあ、どうしてくれるという話をされたことがあります。ただ広く外からお客さんが来るようなことについては県も柔軟に対応することを考えていますので、そういうどちらかというとイベント支援的なほうが、県は動きやすいかなという感じがするのですが、来年度予算の検討を11月に入ってから私も参加してだんだんやっていきますので、ちょっといろいろ考えたいなというふうに思います。
ちょっと順番ばらばらになるかもしれませんが、情報通信、テレビですね、これは何とかしなければならないと思っていまして、既に県と市のほうと連携しながらいろんな使えるスキーム、国でやっているものとか、あと県のものとか地域の特性に応じてどういうやり方で進めればいいかというのを市のほうと県のほうとでいろいろ相談しながら取り組んでいますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
テレビについても、放送事業者、つまりテレビ局のほうにはちゃんと満遍なく視聴できるようにということは言っているのですが、地デジに切りかえるに当たって、特に見えなくなるとかはないようにということは、私も直接各社社長さんに会う機会があって、行っているところではあります。
それから、県道10号、道路の整備ですね、これもちょうど国のほうの計画、10年ごとの見直しの作業の中で国のほうでもいろいろな議論があって、私が一番警戒しているのは財政も少ないのだから、過疎地を維持するために道路等にお金をかけるよりも、むしろ街場に引っ越してもらって、そういう奥のほうまで道路をつくらなくていいようにしようという考え方が結構議論の中で国のほうで出てきているのです。私は、やっぱりそれはよくないと思っていまして、住みたいところに住む、まして今までずっと住んでいたところに住み続けるというのは基本的人権の根本みたいな人間の人格にかかわるところですからね。だから、財政の論理でそういう「引っ越せ」みたいな話になるのはよくないと私は思っているのです。
そういう中で、いろいろ国のほうでも市街地と過疎地とで市町村単位で連携をする定住圏構想とかいろんな新しいアイデアを出してきています。県もいろいろ要望を伺いながら、まず地道に着実にではありますけれども、全県的な順番の中で要望いただいたところを着実に整備するというのが今の基本方針なのですけれども、やはりコミュニティ政策という観点をどれだけ生かしていけるかというのは予算編成の中でちょっと工夫をしていきたいなというふうに思います。
あとは森林関係は北海道を除けば全国最大の森林面積を誇る岩手県でありますから、林業関係がうまくいくというのが岩手全体にとっても非常に大事ですし、森の県民税もいただいて、これは一部森林、林業関係の方々の問題ではなく、岩手県民すべての共有の財産みたいなことで取り組んでいますので、林業がちゃんと業として回転していくというのは県民すべての願いでもありますから、カラマツの伐採がうまくいっているというのは非常にいいことだと思いますので、それがさらにうまくいくように県のほうでもいろいろ工夫していきたいと思います。
あとは、どこの過疎地型のコミュニティでも街場の人との交流がうまくいっているところは非常に活力があるのです。街場の人の交流には2種類あって、1つはそこ出身の人が町に出て働いたり、町に行ってそっちに家を持ったりしている、その人たちがしょっちゅう戻ってくるとか、そういう人たちとのつながりが維持されているということですね。さっきふるさとの映像を動画で、ネットでいつでも見てもらえるようにというのは、そういう意味でも大事なのだと思います。あとは縁もゆかりもないけれども、おもしろいことをやっているからというので、どんどん町の人が来てくれるという、特にイベントなどを通じてそういうのがあると活性化するのですが、この食の文化祭というのは、そういう意味ではすばらしいと思います。
私は、岩手全体を学びの場にしていきたいなと思っていまして、実際、修学旅行や体験旅行はすごくどんどんふえているのです。盛岡の町の中を歩いたり、あるいは田舎、農作業を手伝ったり、山の中で木に登ったりとか、そういうのがどんどん増えていきますし、子供だけではなく大人も平泉のような文化遺産を見るというのも学びですけれども、食育というのは大事だと思います。安心安全なそういう国産の食べ物、料理、こういうのもあるのだというのは、これからどんどん伸びると思います。
各県のこういう食べ物や食べ方があるとか紹介するテレビ番組がはやっているのですけれども、ああいうのはこれからどんどんはやると思います。ですから、食の文化祭や、やまあい工房というのは本当に軌道にどんどん乗っていくように県でもできることはしたいなと思います。
一集落一起業という話がありましたけれども、なかなか起業までできない集落がやっぱり多いですね。ですから、まずやれるところがどんどんやるということがいいと思うので、県としてもやれるところ、やっているところを応援するというところから……。そういうのがうまくいっているのを見てほかのところもどんどんまねしてみたらという感じになってくるのではないかなというふうに思います。まず、お話伺って気づいたところはこんな感じです。

勝部局長
だんだん時間も押し迫ってまいりましたけれども、きょうお伺いしている目的の一つに、先ほどもお話しありましたとおり、岩手県として大体10年後の岩手というものをイメージして、どういう地域づくりがいいのかというあたりについてもこれから県民の皆さんのご意見を伺っていかなければだめなのですけれども、そういう観点から岩手の将来の姿を県民の皆さんと一緒に考えていきたいという、そういう気持ちが今県のほうで思っております。そういう観点から、何かこういう地域でありたいなという、そういうご意見等があればぜひご提言いただければよろしいのですが、いかがでしょうか。

団体員
1つ先ほどから「限界集落」という言葉はわかりやすくていいのですけれども、どうも世の中ではイメージ的にどうかなというようなことで、先日も宮崎県知事さんが公募したら、何と藤沢町の方が応募した「いきいき集落」という言葉が選ばれたようです。岩手としても私は考えるのですけれども、ほとんどの集落ですね、確かに高齢化になっているのですけれども、数字だけではないのではないかというふうに思います。そういう意味で、例えばネーミングを前向きに、ふるさとを守っているのだぞというようなことで、例えばですよ、公募してもいいと思うのですけれども。「ふるさと守り人集落」とか。それは我々を指すのですけれども。あるいは「田舎(いなか)伝承集落」とか、そういった古里を残していくというような、そういう意気込みも込めて、限界集落では本当に限界になったらどうなるのということになりますから、その辺は岩手県として検討いただきたいですね。

達増知事
かえってほかより頑張っているという意味が出るような言葉がいいですよね。

団体員
そうですね、はい。
それから、第2点は地域のコミュニティも頑張っているのですけれども、先ほどもちらっと出てきたのですが、いい事例を紹介するとか、いろいろインターネットで調べてもいるのですけれども、やっぱりこれはこれで生の声を聞かないとだめなのですよね、実際に行ってみたり、そういう岩手県にはいっぱいいろいろやっているところもあるのですけれども、そういう方々と、あるいはNPOと連携できるような、そういうシステムを構築して、例えば県の県南広域振興局に相談すればすぐ紹介して出前してくれるというような、そういった仕掛けをしていただきたいなと思うのです。

達増知事
そういうネットワークづくりというのは、特に広域の振興局になると非常に得意になりますので、どんどんやっていっていきたいと思います。

勝部局長
ほかにはございませんか。

団体員
おわかりのとおり、ここの地域の活動の中心は若い人たち。こういう人たちがやってくれるということが非常に大事なことで、これを将来ともつないでいくという努力が一番大事です。いかにして後継者をつくっていくかということで、これはやっぱり自分たちの努力で解決しないと。他人にお願いしてやられるというのは限界がある。最終的には自分たちが解決すべきことなのです。そういう点で、私は可能性あると、若い人たちを加えて、自分の子供たちもできるだけ残そうというような考え方でやっている。これは大事なことです。
森林組合は今度一関と合併という問題も抱えていますけれども、私は今の組織は崩さないと。組合の本部の東磐井で職員が30名近くおる。それから、支所が5つある。各支所が組合員と連絡をとりながら、地域の昔からの室根であるとか、千厩であるとか、藤沢町、そういった役場の支所のあるところに森林組合の支所もあります。そこでその支所間で一体となって、組織は崩さない。そして、作業班も職員も地域から採用するというようなことで合併してもそれは崩さないと。地域と一体となって、知事さんがおっしゃった定住をきちっと守れるように、そして平和な農村が維持できるということが大事で、森林組合もそういう方向で運営、経営をしていくという考えで、何とかして我々としても林業は林業なりに後継者、それから地域、祖先からの森林を守っていく、将来に受け継がせるということをきちっと守っていく。そして、文化を守り、平和を守っていくということで頑張っていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

団体員
あとは、旧江刺市と住田町と旧大東町との間に三方境があるのですよ。あれがなかなか進展しないので、この間の十和田湖の境界というのが青森と秋田で、120年ぶりに解決したらしいですけれども、ここは明治28年から所有する京津畑の地域のところが昭和27年頃からちょっと江刺市に押されて筆界未定になっているところがあるのです、境が。面積で約41ヘクタール。これがなかなか、合併してからごたごたになってしまって解決していないのですけれども、そのうちに落ちついたら県の指導をいただきまして何とか円満な解決を支援していただきたいです。

勝部局長
わかりました。調べてみます。

閉会

勝部局長
大変ありがとうございました。時間がまいりましたので、これで意見交換の部を締めたいと思いますが、地域としての一体感あるいは地域の底力を感じたというのが率直な感想でございます。ありがとうございました。
なお、県では今県南地方で特に大きい話題として平泉の世界遺産が登録延期の形になりましたけれども、3年後には絶対これを実現させようということで頑張っております。平泉だけの問題でなく、特に県南地方全体がかつては平泉を支えていって、その上に平泉が花開いたというのでございましょうか、ぜひ皆さんのほうも強い関心を持っていただいて、応援していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
本日は大変貴重なご意見いただきましてありがとうございました。これをもちまして県政懇談会の「草の根地域訪問『こんにちは知事です』」を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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