子牛の群編成時における飼養管理上の留意点

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ページ番号1007938  更新日 平成31年2月20日

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子牛の群編成は、発育や月齢を斉一化するために必要な飼養管理法ですが、子牛にストレスを与えます。しかし、そのストレスの程度や持続期間について、詳細に検討した報告はみられません。そこで、群編成後の子牛の免疫機能を評価し、群編成時に留意すべき点を検討しました。

6か月から8か月齢の乳用雌子牛を用い、試験1では、5頭から6頭からなる一群のうち高月齢の2頭から3頭(移動牛)を、より高月齢の他群に移動させ、残った2頭から3頭(対照牛)と比較しました。この試験を3回実施しました。移動後の順位決め行動(頭突き、押し合い、追い出しなど)により、移動牛は低い序列を示し、1日から3日後の同牛の血漿コルチゾル濃度、1リンパ球あたりの好中球比は上昇し、リンパ球幼若化能は低下しました。遊離脂肪酸(NEFA)濃度は7日後まで上昇しました(図1)。

試験2では、移動時に牛呼吸器病5種混合生ワクチンを接種した牛を試験1と同様に移動させ、同試験を2回実施しました。移動牛は獲得抗体価に影響はみられませんでしたが、ワクチン接種後のCD21(成熟B)細胞数の増加の程度が対照牛と比べて低位に留まりました(図2)。

以上の成績から、子牛は移動3日後までストレス状態下にあり、細胞性・液性免疫機能が低下することが示唆されました。また、NEFA濃度の上昇はストレスや低い序列による不十分な飼料摂取の結果と推察されました。移動後1週間は注意深い観察や感染症を防ぐ衛生管理が求められ、ワクチンは移動前に接種するのが基本ですが、移動後に接種する場合には4日後以降の接種が望ましいように思われました。

(岩手県中央家畜保健衛生所 病性鑑定課)

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