牛のクロストリジウム感染症の発生

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ページ番号1007930  更新日 平成31年2月20日

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Clostridium chauvoeiに起因する気腫疽、C. septicum、C. perfringensあるいはC. novyiに起因する悪性水腫、C. perfringensに起因する出血性腸炎やエンテロトキセミア、C. sordelliiに起因する急死疾患は県内で散発し、ときに短期間に数十頭の規模で流行している。また、C. tetaniに起因する破傷風も周期的に発生している。平成20年7月に悪性水腫が、10月に気腫疽および破傷風が県内で単発した。ここでは各事例の発生状況および病性鑑定成績を述べる。

悪性水腫

交雑種130頭を飼養する肥育農場で、7月6日の夕方に27カ月齢の1頭が急死し、翌朝、全身皮下組織に捻発音が観察された。同一牛房内の6頭を含む他の飼養牛に臨床的異常は認められなかった。剖検により、全身皮下組織における膠様浸潤が観察され、頭頚部、背部および大腿部の骨格筋の出血を伴っていた。肝臓、腎臓および骨格筋の細菌検査により、直接塗沫上、多数の芽胞桿菌が存在し、C. novyiに近似する形態(単在あるいは2連鎖の両端が鈍な大型桿菌、菌端に楕円形の芽胞を伴う)を示す菌が優勢に観察され、全検体からC. novyi およびC. septicum遺伝子が検出された。

気腫疽

黒毛和種800頭を飼養する肥育農場で、10月14日の早朝に18カ月齢の1頭が死亡し、全身皮下組織に捻発音が観察された。他の飼養牛に臨床的異常は認められなかった。剖検により、頭頚部から臀部におよぶ全身皮下組織に膠様浸潤が観察され、肩部、大腿部および臀部の骨格筋に出血と気腫が多発した。細菌検査により、骨格筋の直接塗沫上、C. chauvoeiに近似する形態(単在あるいは2連鎖の両端が鈍な中型の直桿菌、菌端に楕円形の芽胞を伴う)を示す菌が多数観察され、同検体からC. chauvoei FA抗原が検出された。

破傷風

黒毛和種成雌牛とそれらの子牛計32頭を飼養する農場で、10カ月齢の1頭が牙関緊急、後弓反張、四肢の硬直および鼓張を示し、同日剖検された。病理検査により中枢神経系を含む全身諸組織に著変は認められず、細菌検査により主要臓器および脳から有意菌は分離されなかった。重篤な強直性の神経症状から破傷風と診断したが、起因菌の侵入経路は特定されなかった。

予防策

悪性水腫および気腫疽の発生農場に下記の対策を指導した。

  1. 牛舎の継続的な清掃と消毒
  2. ワクチンの接種
  3. 第一胃アシドーシスを予防する飼養管理の励行

(粗飼料の給与後に濃厚飼料を給与する、濃厚飼料を毎日数回に分けて給与する)。

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このページに関するお問い合わせ

岩手県中央家畜保健衛生所 病性鑑定課
〒020-0605 岩手県滝沢市砂込390-5
電話番号:019-688-4111 ファクス番号:019-688-4012
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