令和元年12月18日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1025817  更新日 令和1年12月25日

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令和元年12月18日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 県立博物館における文化財への不適切行為事案調査の経過報告について

質疑応答

(教育企画室)

 ただいまから、教育長記者会見を始めます。

 本日は、教育長からの発表はありませんので、幹事社の進行により進めて参ります。よろしくお願いします。

 

(幹事社)

 記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から事前通告している質問がありましたら、お願いします。

 

(記者)

 県立博物館の不適切行為事案について、3点お願いします。まず、16日付けでき損届を文化庁に提出したということで、当該学芸員に対する今後の懲戒処分の見通しと、県教委側から刑事告発の考えがあるか。具体的な詳細について伺いたいと思います。

 

(教育長)

 今後の懲戒処分の見通しについてでありますが、今回は、調査途中の中間的な報告ということで、現時点では全容解明には至っていない状況です。このため、処分については、この段階で申し上げるべきではないと考えています。

 なお、当該学芸員は、平成30年3月末で県教育委員会を定年退職し、現在、県教育委員会との間に任用関係がございません。県教育委員会としては、当該職員に対する懲戒処分等を行うことは困難と考えています。

 どのような対応が可能なのかについては、現在の任用関係にある文化振興事業団とともに考えて参ります。

 また、刑事告発等についてですが、文化財保護法の規定を踏まえ、文化庁に対してき損届を提出したところです。その後の必要な手続については、文化庁と相談しながら、文化庁の指導に従って対処していく考えです。

 

(記者)

 今はどういう立場で文化振興事業団に任用されているのか。

 

(教育長)

 文化振興事業団と雇用契約を結んでいるという状況です。

 

(記者)

 事案の発生は、専門性の高い業務で詳細を容易に理解できる人が限られていたことや、当該学芸員のコンプライアンス意識の欠如があったとされているが、再発防止に向けた具体的取組の詳細と教育長の決意を伺います。

 

(教育長)

 再発防止に向けた具体的な取組ということですが、県立博物館、文化振興事業団、県教育委員会事務局の関係職員はもとより、関係団体や市町村にも呼びかけ、文化財という公共財を扱う意識の高揚を図るための研修、モラル研修などですが、これに加え、組織マネジメント、危機管理対応等の対応力を高めるための管理監督者研修などを年度内に実施したいと考えております。

 具体的には、文化庁や有識者アドバイザーの助言等をいただきながら、検討していきたいと考えています。

 これらの研修は、今年度に限らず、今後、来年度以降も随時開催していくことも検討していきたいと考えています。

 私の決意ということですが、今後、関係事案の全容解明に努めていきたいということと、信頼回復のために全力で再発防止、コンプライアンスの徹底に努めていきたいと考えています。

 

(記者)

 年度内に県外の重文は結果を公表するとした。具体的なスケジュールと、その他の文化財の調査方針について伺います。その他の対象は膨大な数に上り、1年、2年で終わるものではないと思いますが、全てやる覚悟なのかをお伺いします。

 

(教育長)

 今後のスケジュール等ですが、現在、他の団体からの委託の調査を進めてきたわけですが、中でも重要文化財である北海道枝幸町の目梨泊遺跡の重要文化財については、既にX線写真撮影を終了し、今後、有識者アドバイザーに助言等をいただくこととしています。

 同じく北海道上ノ国町の勝山館跡の重要文化財については、年内に北海道内でのX線写真撮影を予定しています。

 また、青森県八戸市の丹後平古墳群及び福井県の一乗谷朝倉氏遺跡の重要文化財については、年明けにX線写真撮影をしたいと考えていますが、日程等については、現在調整中です。

 その他の文化財については、現在、契約書類と博物館に残されている資料等の突合作業を進めておりまして、そうしたリスト化の作業を行っているわけですが、重要文化財の調査の動向を踏まえながら考えていきたいと思います。

 それから、県内での無断切取り事案ということで、奥州市、紫波町、軽米町の文化財についても指摘がございますが、これらの調査も進めていきたいと考えています。

 なお、調査対象が6,000点という膨大な数に上るということもございますので、博物館、文化振興事業団、県教育委員会事務局の職員の協力のもとで調査を進めていかなめればならないと考えておりますが、膨大な数ですので、文化庁の指導や有識者アドバイザーの助言等を頂きながら、どういった形で調査を進めていくことができるか、判断を仰ぎながら適切に対応していきたいと思います。

 

(記者)

 重文を除く他の文化財に関しては、簡略化した方法も想定されると考えてよろしいでしょうか。

 

(教育長)

 相手方との協議もあるので、一律にとか、効率性を優先するということはないと考えています。大事なのは、契約書類であるとか、関係する資料等と突合しながら相手方に確認し、調整しながら、丁寧に対応していきたいと考えています。

 

(記者)

 詳細について、1点確認させてください。枝幸町の目梨泊遺跡の蕨手刀1点と、上ノ国町の勝山館跡の鉄塊ほか9点は、既にX線写真撮影を終えているということですか。

 

(教育長)

 目梨泊遺跡については終了しました。勝山館跡遺跡の出土品については、今月中に撮影を予定しています。

 

(記者)   

 それぞれどこで撮影したか、もしくはどこで撮影予定か伺います。

 

(教育長)

 目梨泊遺跡については、資料が脆弱なため持ち出せないということもありまして、移動撮影車に枝幸町へ出張していただきまして、そこで撮影を行いました。それから、勝山館跡については、北海道内の撮影を行える所に移動して撮影を行う予定としています。

 

(記者)  

 最後に1点ですが、中間報告の時点で今回の柳之御所などの76点についてですが、県博の方に残されていた溶液サンプルや樹脂詰めサンプルを突き合わせて判断されたということですが、現時点でこの76点を除くサンプルというのは何点程度確認されているのでしょうか。

 

(教育長)

 私も現場に行って、保管状況などを見させていただいたのですが、かなり膨大な数でありまして、平成16年以降の書類で確認されているものについては269件という対象の件数がありますが、溶液サンプルや樹脂詰めサンプルは、それ以前から残されていたということで、その数が余りにも多くて、それと契約書類だとか、色々な作業の残っている資料との突合がかなり大変な労力となりまして、調査チームには大変苦労をかけているのですが、博物館の職員の方にも膨大な作業をやってもらっています。サンプルそのものは、おそらく当該学芸員が従事してきた期間は、ほとんどそうしたものが残されていた可能性があります。数について、具体的な数字については把握できておりません。

 

(記者)

 サンプルの数が膨大だということですが、いずれ問題となっているのは、所有者の承諾がなかったという部分ですよね。

 

(教育長)

 そうですね。はい。

 

(記者)

 承知いたしました。ありがとうございます。

 

(記者)

 X線写真撮影について、目梨泊遺跡は撮影が終わっているとの話がありましたが、これが具体的に無断切取りに該当したかということについてはこれからということですか。

 

(教育長)

 撮影は済んでいるのですが、これまでの調査についても、まず撮影をして、撮影後の資料でもってアドバイザーの皆さんが内容を見て、それぞれの知見に基づいて意見を出し合って、一つ一つ確認をしてもらっています。枝幸町の蕨手刀については、アドバイザーの協議は今後となっていますので、アドバイザーの意見を踏まえて判断ということになります。

 

(記者)

 他県の計68点4箇所の公表は一括で行われる予定ですか。

 

(教育長)

 今回、まず平泉の重要文化財を年内ということで進めさせていただき、中間報告をさせていただきました。可能であれば、今度は県外の重要文化財ということで、可能な限り早期に結果をまとめさせていただき、今回のように報告させていただければと思っています。

 

(記者)

 当該学芸員の件についてですが、雇用関係が県教委とはないということで、処分は難しいという話がありましたけれども、今、文化財レスキューの関係で当該学芸員が携わっていると思いますが、そういった部分で人手が足りなくて、なかなか変わり手がいないという現状もあるようなのですが、そういったところで、県教委として他の人材を新たに雇用する考えはあるのですか。

 

(教育長)

 文化財レスキューの対応ですが、被災ミュージアム再興事業ということで対応していますが、現時点で数字的なところをお話させていただきますと、対象となる文化財の資料が46万点というこれもまた膨大な数になっておりまして、そのうち今年度末で処理が進む見通しが24万5千点ということです。そうしますと残りが21万5千点ほどということで、まだまだ膨大な数が残っていまして、その内容をさらに見ていきますと、紙製の資料、あるいは古文書、それから民族分野のものでは、陸前高田市ですから漁具、農具、工具等といった資料が、どういった形で処理を行うか、知見も技術も確立されていない中での対応をしなければならないといった状況にあります。そういった中で、文化財レスキューに関わる人手というのは、少ない状況にあります。ただ、一方で、今回、当該学芸員の行為は、文化財の保存修復あるいは維持管理を担当する学芸員として、県民の共有する重要な財産である文化財を無断で切取りを行うというようなことは、これはあってはなりません。県民や文化財を扱う多くの関係者の信頼を損なう内容であります。非常に残念でありますし、今後の対応については、文化振興事業団とよく相談をしながら、実際に文化財レスキューの対応の方も県立博物館で対応をしておりますので、そこは相談をしながら対応していかなければならないと考えております。

 

(記者)

 人員を増やすことなどを含めて、今後、後継者を作っていくということでしょうか。

 

(教育長)

 当該学芸員は金属関係の分析が専門でしたけれども、震災のあと、文化財レスキューの方にも、これまでの知見や技術を生かしてきたという面は当然あります。当該学芸員に頼りすぎるということは、やはりあってはならないと私は考えておりまして、そういった意味では、後継者というよりも、今後まだまだ残されている膨大な数の資料を、この文化財レスキューをどう進めていくか、多くの専門家の方々が手探り状況で進めているというのが実態ということでありますから、国立科学博物館などの多くの関係機関の学芸員や研究者といった方々との協力体制もとられていますので、そういったところとの連携を図りながら、今後の対応についてしっかり取り組んでいくような体制を作っていかなければならないと、そこが重要なことだと認識しています。

 

(記者)

 文化財レスキューは、文化庁の補助金で行われている事業だと思いますが、当該学芸員が関わっていることで文化庁から今後の方針などについて、指導等は特にない状態でしょうか。

 

(教育長)

 文化財レスキューのことについての指導等は特にありません。

 

(記者)

 今回、国の重要文化財2点について、無断で切り取られていることが断定されましたけれども、それについて定例委員会等おいては、教育長からいろいろ発言がありましたけれども、改めてどういうふうに受けとめているのか、あと県民に対して何かあれば教えてください。

 

(教育長)

 先ほども触れましたけれども、文化財を扱う学芸員が国民、県民が共有する貴重な財産、これを無断でき損したということは許されないことだと思います。それが結果として、国民、県民、それから文化財を扱う多くの関係者の信頼を損ねてしまったということ、また、私どもとしても県立博物館を所掌しているわけでありますので、本県の文化財行政についての信頼も損ねてしまったということで、県民に対してもお詫び申し上げますし、今後はこういったことが2度と起きてはならい、そういう点でコンプライアンスの徹底、それから再発防止に向けてしっかり取り組んで、そして信頼の回復に努めていきたいと考えています。

(記者)

 県外の重文で、八戸のところと福井の一乗谷のところを年明けにしたいという話でした。具体的な見通し、年度内とか、所有者とこの時期にできればという見通しがついていれば教えてください。

 

(教育長)

 年明けの予定としてございますけど、八戸市の丹後平古墳群の出土した資料については、1月の下旬を目途にX線写真撮影を行うということで、内々には調整が進んでいます。それから福井県の一乗谷朝倉氏の遺跡から出た資料については、まだ、所有者、これは福井県でございますけれど、協議を継続している段階でありまして、まだちょっと調整が整っていないということがございますが、年明け早々には相手方の福井県と調整を進めて、なるべく早期に撮影ができるように進めて参りたいと考えています。

 

(記者)

 当該学芸員の処分に関しては、もう雇用関係にないのでなかなか難しいというお話でしたが、今お話を伺っても、膨大なマンパワーとお金と時間とこれだけ調査にかかっているわけですが、例えば、処分が難しいとしても、損害賠償請求をするとか何かそういった形で責任をとるというような考えはお持ちなんでしょうか。

 

(教育長)

 冒頭の質問の際にお答えしましたけれども、現時点においては、まだ調査の途中の中間報告という形で説明させていただいておりまして、全容解明に至っていないというようなこと、それから膨大な経費も、これからどの程度の費用を要するか、時間も労力も当然なのですが、そういったことも見極めていかないと現時点でそういう内容について、現段階ではまだ、申し上げる段階にはないと思っています。

 

(記者)

 現段階ではもちろん、まだ途中だということで明言するのは難しいとは思いますけれども、ある程度全容が明らかになってきた段階でそういったことも選択肢に入れるというお考えはありますか。

 

(教育長)

 検討しなければならないと思っていました。

 

(記者)

 今の件ですが、金額面の話なのですけれども、基本的に県内は重文の調査は終えたということなのですけれども、今の時点でどのくらいの調査費用がかかっているのかという、金額が分かれば。重要性が県民に伝わりづらいという面があるものですから。

 

(教育長)

 事案が6月に発覚して、そのあと重要文化財を優先に取り組んでいくということで、8月の早々には予算計上には間に合わないので、これは、予備費充用という形で5,392,000円だと思いますけれども、それを総務部の方と調整をしまして、調査に着手をしてきました。若干、一部当初予定していたところから増えている部分もございまして、例えば、X線撮影をする際に、資料を搬送するのに丁寧に扱わなければならないということで輸送にかかわる経費が増えたりしておりまして、現段階で今年度に要する経費は約800万円ぐらいだったと思います。予備費と既定の予算から一部流用をしまして、だいたい今年度の執行は800万円程度というふうに見込んでおります。ただ、今後の調査内容や相手との調整等について、どのような形で進むかにもよりますけれども、現時点ではそういった見通しを持っておりました。

 

(記者)

 800万と聞くとなかなか大きい金額と思いますけれども、そういった金額を出しながら、当該学芸員はいまだにお金をもらいながら働いているというそういった部分もあると思うのですけれども、県民の税金がそういうふうに使われているということについても受けとめをちょっとお伺いしたいですけれども。

 

(教育長)

 不適切な行為が調査に要する経費を発生させているということですから、これは、本来あってはならないことが起きていることと、ただ、一方で平成26年に以前の事案が発覚した時に文化振興事業団が調査を行ったのですけれども、結果として調査不足のところがあって、今回に至っているわけですが、今回は6月に事案が明るみに出て文化財行政を預かる県教育委員会として主体的にやっていかなければならないと、県立博物館と県の文化財行政の信頼を回復するためにもやむを得ない部分もありまして、そこは行政の立場として取り組まなければならない所要の経費という面もあるのかなと、これはきちんと県民に調査をして、県民に説明責任を果たす上でという意味であります。

 

(教育企画室)

 本日の記者会見はこれで終了します。

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