(3)自然生態系

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ページ番号1067622  更新日 令和5年12月15日

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【陸域生態系】

  ア 陸域生態系(高山・亜高山帯)

(現状)

 全国的に、気温上昇や融雪時期の早期化等による植生の衰退や分布の変化が報告されています。

(将来予測)

 気温上昇や融雪時期の早期化により、植物種・植生及び動物について分布適域の変化や縮小が予測されています。

  イ 陸域生態系(里地・里山生態系)

(現状)

 気温の上昇による、モウソウチク・マダケの分布上限及び北限付近における分布拡大が報告されています。

(将来予測)

 モウソウチクとマダケについて、気候変動に伴う分布適域の高緯度・高標高への拡大が予測されており、4℃の気温上昇を仮定した場合、分布北限が現在より約500km北上する可能性があるとされています。

  ウ 陸域生態系(野生鳥獣)

鹿
早池峰山で確認されたニホンジカ(資料:岩手県)

(現状)

 全国的にニホンジカやイノシシの分布と、積雪深の低下に伴い、越冬地が高標高に拡大したことが確認されています。本県においてもニホンジカやイノシシなどの野生鳥獣の増加、生息域の拡大により、農林業被害が生じています。

 ニホンジカの増加は積雪深の減少に加え、狩猟による捕獲圧の低下、土地利用の変化など、複合的な要因が指摘されています。

(将来予測)

 気温の上昇、積雪量の減少や積雪期間の短縮化は、ニホンジカ等の野生鳥獣の生息域を拡大させる懸念があります。

 ニホンジカについては、気候変動による積雪量の減少と耕作放棄地の増加により、2103年における生息適地は、国土の9割以上に増加するとの予測があります。これにより、自然植生への影響や農林業の被害が増大することも想定されます。

【淡水生態系】

  ア 淡水生態系(湖沼、河川)

(現状)

 湖沼において、1900年代初頭~2000年代にかけて、全国の湖沼における水草の種構成が変化しており、この変化には気温及び降水パターンの変動が影響しているとの報告があります。

  また、河川において、魚類の繁殖時期の早期化・長期化や暖温帯性・熱帯性の水生生物の分布北上等、気候変動に伴う水温等の変化に起因する可能性がある事象についての報告が見られます。

(将来予測)

 湖沼においては、水温上昇によるアオコを形成する植物プランクトンの増加と、それに伴う水質の悪化や、水生植物の発芽後の初期成長への悪影響等が予測されています。

 また、河川については、平均気温が現状より3℃上昇すると、冷水魚の分布適域が現在の約7割に減少することが予測されています。

  イ 淡水生態系(湿原)

(現状)

 本県においては、気候変動による明確な湿原の保全や生態系への影響は確認されていませんが、全国の一部の湿原で、気候変動による湿度低下や蒸発散量の増加、積雪深の減少等が乾燥化をもたらした可能性が指摘されています。

(将来予測)

気候変動に起因する流域負荷(土砂や栄養塩)に伴う低層湿原における湿地性草本群落から木本群落への遷移、蒸発散量の更なる増加等により、生物相の変化や生息環境の悪化が危惧されます。                                  また、積雪量や融雪出水の時期・規模の変化による、融雪出水時に合わせた遡上、降下、繁殖等を行う河川生物相への影響が想定されます。

【沿岸生態系】

  ア 沿岸生態系(温帯、亜寒帯)

(現状)

 本県の沿岸生態系については、東日本大震災津波や復興の過程において、生態系に変化が生じていることが示唆されていますが、気候変動による明確な影響は確認されていません。

(将来予測)

 生態系の変化により減少している種がある場合、気候変動がさらなる影響を及ぼすことが危惧されます。

【生物季節、分布・個体群の変動】

  ア 分布・個体群の変動

(現状)

 本県は、優れた自然環境に恵まれており、多種の希少野生動植物が生息していますが、一方で、早池峰山において、ニホンジカによる希少な高山植物の食害が確認されています。

 また、全国的に、気温上昇や融雪時期の早期化等による植生の衰退や分布の変化が報告されています。

 昆虫や鳥類などにおいて、分布の北限や越冬地等が高緯度に広がるなど、気候変動による気温の上昇の影響と考えれば説明が可能な分布域の変化、ライフサイクル等の変化の事例が確認されています。

 ただし、気候変動以外の様々な要因も関わっているものと考えられ、どこまでが気候変動の影響かを示すことは難しいとされています。

(将来予測)

 気温の上昇、積雪量の減少や積雪期間の短縮化は、ニホンジカ等の野生鳥獣の生息域を拡大させる懸念があります。これにより、希少な高山植物をはじめとする自然植生への影響や農林業の被害が増大することも想定されます。

 気温上昇や融雪時期の早期化により分布適域の変化や縮小が予測されていることから、本県においても、希少野生動植物の生息域の分断等、生息環境が悪化することが危惧されます。

 気候変動により、分布域の変化やライフサイクル等の変化が起こるほか、種の移動・局地的な消滅による種間相互作用の変化が更に悪影響を引き起こすことや、生息地の分断化により気候変動に追随した分布の移動ができないことなどにより、種の絶滅を招く可能性があります。加えて、外来生物の分布拡大や定着を促進することが指摘されており、今後、外来生物による生態系への被害のリスクが高まることが懸念されます。

このページに関するお問い合わせ

環境生活部 環境生活企画室 グリーン社会推進担当
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