(2)水環境・水資源

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ページ番号1067484  更新日 令和6年3月13日

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【水環境】

  ア 湖沼・ダム湖

(現状)

 本県の水環境は良好な状態が保たれていますが、全国の公共用水域(河川・湖沼・海域)では、水温の上昇傾向や水温の上昇に伴う水質の変化が指摘されています。

 1981(昭和56)~2007(平成19)年度にかけて、全国の湖沼における265観測点のうち、夏季は76%、冬季は94%で水温の上昇傾向が確認されています。

(将来予測)

 2℃上昇シナリオ、4℃上昇シナリオいずれの場合も、国内37のダム湖のうち、富栄養湖に分類されるダム湖が2100年代で増加し、特に東日本での増加数が多くなるとの予測例があり、S-8研究では、御所湖におけるクロロフィルa濃度注1は、全ての気候モデルにおいて上昇すると予測されています。

 東北地方のダム湖の例では、4℃上昇シナリオの場合、将来の流入量の増加に伴う浮遊物質量の増加によって、濁水の放流が長期化することが予測されています。ただし、気温上昇及び日射量増加が貯水池内濁水現象に与える影響は、年間湖水回転率注2の大小によって異なる可能性も示唆されています。


注1 クロロフィルa濃度:植物の光合成において、基本的な役割をしているクロロフィル(葉緑素)のひとつ。ダム湖では、クロロフィルaの濃度が年平均値8μg/L、年最高値が25μg/Lを超えると富栄養湖に分類され、水質的な問題が発生する可能性が高まる。

注2 年間湖水回転率:湖沼の貯水量に対する単位時間当たりの流入または流出水量の比率。逆数の滞留時間と共に、湖沼の水循環に関する指標として用いられる。

  イ 河川

(現状)

 1981(昭和56)~2007(平成19)年度にかけて、全国の河川の3,121観測点のうち、夏季は73%、冬季は77%で水温の上昇傾向が確認されています。

(将来予測)

 水温の上昇によるDO(溶存酸素量)の低下、DOの消費を伴った微生物による有機物分解反応や硝化反応の促進、植物プランクトンの増加による異臭味の増加等も予測されています。


注 DO:水中に溶けている酸素の量( Dissolved Oxygen)のこと。DOは数値が大きいほど良好な水質であることを示す。

  ウ 沿岸域及び閉鎖性海域

(現状)

 全国207 地点の表層海水温データ(1970年代~2010年代)を解析した結果、132地点で有意な上昇傾向(平均:0.039℃/年、最小:0.001℃/年~最大:0.104℃/年)が報告されています。

 なお、この上昇傾向が見られた地点には、人為的な影響を受けた測定点が含まれていることに留意が必要です。

(将来予測)

 水温の上昇によるDOの低下、DOの消費を伴った微生物による有機物分解反応や硝化反応の促進に加え、植物プランクトンの増減によるDOや異臭味への影響等、水質の変化が予測されています。

【水資源】

  ア 水供給(地表水)

(現状)

 本県では、近年、重大な渇水被害は発生していませんが、全国では、短時間強雨や大雨が発生する一方で、年間降水日数は減少しており、毎年のように取水が制限される渇水が生じています。

(将来予測)

 無降水日数の増加や積雪量の減少による渇水の増加が全国的に予測されており、気候変動により、渇水が頻発化・長期化・深刻化し、さらなる渇水被害が発生することが懸念されています。

 農業分野においても、高温による水稲の品質低下等への対応として、田植え時期や用水管理の変更など、水資源の利用方法に影響が見られ、気温の上昇が農業用水の需要に影響を与えることが予測されています。

 また、融雪時期の早期化による需要期の河川流量の減少、これに伴う水の需要と供給のミスマッチが生じると、水道用水、農業用水、工業用水等の多くの分野に影響を与える可能性があり、社会経済的影響が大きくなります。

  イ 水供給(地下水)

(現状)

 気候変動による日降水量や降水の時間推移の変化に伴う地下水位の変化の現状については、現時点で具体的な研究事例は確認できていません。

 一方で、国内には地盤沈下が続いている地域が多数存在していることや、渇水時における過剰な地下水の採取により地盤沈下が進行することもあります。特に臨海部では、地下水の過剰採取によって帯水層に海水が浸入して塩水化が生じ、水道用水や工業用水、農作物への被害等が生じている地域があることも報告されています。

(将来予測)

 胆沢川扇状地を対象にした研究では、2081~2100年にかけて稲作のかんがい期における地下水位の低下が予測されています。

 渇水に伴い地下水利用が増加し、地盤沈下が生じることについては、現時点で具体的な研究事例は確認できていません。

このページに関するお問い合わせ

環境生活部 環境生活企画室 グリーン社会推進担当
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