「いわて幸せ作戦会議(オンライン)」(令和3年10月19日)

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ページ番号1048453  更新日 令和3年12月9日

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日時
令和3年10月19日(火曜日)13時30分から14時50分まで

場所
オンライン会議
 県庁舎 3階 第一応接室
 宮古地区合同庁舎 3階 大会議室
 釜石地区合同庁舎 4階 大会議室
 大船渡地区合同庁舎 1階 副局長室

出席者

・参加者(敬称略)
 
元田 久美子(一般社団法人宮古観光文化交流協会 田老の「学ぶ防災」ガイド)
 川崎 杏樹(株式会社かまいしDMC いのちをつなぐ未来館 ガイド)
 齊藤 美甫(一般社団法人マルゴト陸前高田)
 金野 万里(一般社団法人SAVE IWATE 事務局長、もりおか復興支援センター センター長)

・県側
 知事、復興防災部長、政策企画部長

開会

石川部長
 ただいまから、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議オンライン」を開催いたします。
 皆様には御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、「東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿の発信」を懇談テーマとし、県内4か所から、それぞれの地域に根差し、教訓の伝承と復興の取組をされている皆様をオンラインで繋いでおります。
 私は、本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

石川部長
 それでは、開会にあたりまして、知事から御挨拶を申し上げます。

達増知事
 
皆さんこんにちは。お忙しいところ、県政懇談会に御参加をいただきまして誠にありがとうございます。7月28日に開催を予定していたわけでありますが、台風8号の接近に伴い、延期ということで、本日の開催となりました。それぞれ中継ということで、オンラインでお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」は、「いわて県民計画」の基本目標であります、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」にちなんだ名前です。県内各地域、各分野で活躍する方々に直接お話を伺って、県政の推進の参考にしようという企画であります。
 新型コロナウイルス感染症は日常生活、そして社会経済活動に大きな影響を及ぼしていますが、そのような中、「新しい生活様式」の一つとして浸透してきているオンライン会議、これは、感染防止はもちろんですが、地域を越えた交流にも、極めて有効な手段であるなということを実感しております。
 今日は、「東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿の発信」というテーマで、宮古、釜石、陸前高田、そしてこの盛岡を拠点として、震災津波の教訓の伝承と復興の発信に携わっている方々にお集まりいただきました。それぞれの地域、また、岩手全体の幸福をどのように高めていくか考え、県政の参考にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

出席者紹介

石川部長
 
それでは、この後の進め方についてですが、まず私からお一人ずつ、御出席の皆様を御紹介しますので、続けて1分程度の簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話いただきまして、お一人ずつお話が終わった都度、知事がコメントをする形で進めていきたいと思います。そして、最後に、自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、名簿順に従いまして、本日御出席の皆様を御紹介いたします。一般社団法人宮古観光文化交流協会、田老の「学ぶ防災」ガイド、元田久美子さんです。お願いいたします。

元田 久美子
 本日はよろしくお願いいたします。宮古観光文化交流協会の「学ぶ防災」担当、元田久美子と申します。
 私たちは、この甚大な被害のあった田老地区で、防潮堤の上に上がって御案内をし、それから津波遺構となった「たろう観光ホテル」、もの言わぬ語り部として、語らぬ分、私たちが言葉で補足させていただく。この教訓を皆様に伝えることで、防災意識を高めていただくことを目的に、御案内をしています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

石川部長
 よろしくお願いいたします。続きまして、株式会社かまいしDMC、いのちをつなぐ未来館ガイド、川崎杏樹さんです。お願いいたします。

川崎 杏樹
 株式会社かまいしDMC、いのちをつなぐ未来館に所属しております、川崎杏樹と申します。
 私自身は、東日本大震災を中学校2年生の時に体験をしました。その体験を元に、現在は、いのちをつなぐ未来館で語り部として活動を行っております。現在は修学旅行生などにお話をする機会がとても多いですが、普段はそういった語り部のほかにも、防災のプログラムを制作したりしております。これは、私自身が体験してやって良かった防災の学習を元に制作をしていて、来ていただく方々、皆さんが楽しみながら防災に取り組めるように、そんな工夫を考えながら、プログラムの作成などにあたっております。
 本日はよろしくお願いいたします。

石川部長
 よろしくお願いいたします。続きまして、一般社団法人マルゴト陸前高田、齊藤美甫さんです。お願いいたします。

齊藤 美甫
 こんにちは。一般社団法人マルゴト陸前高田の齊藤美甫と申します。私は、今、陸前高田市で活動しておりますが、住んでいるのは大船渡市の三陸町に住んでおります。
 マルゴト陸前高田では、交流人口拡大のために、取組をたくさん行っているんですけれども、今年の7月から、観光協会さん主催のもと、パークガイドという制度がスタートしました。そちらの方にも、ガイドとして今年から関わらせていただくようになりまして、幅広く活動させていただいている最中です。どうぞよろしくお願いいたします。

石川部長
 よろしくお願いします。続きまして、一般社団法人SAVE IWATE 事務局長、もりおか復興支援センター センター長、金野万里さんです。お願いします。

金野 万里
 こんにちは、一般社団法人SAVE IWATE 事務局長をしております金野万里です。
 SAVE IWATEは震災の翌々日の3月13日に盛岡市内のまちづくり系の市民団体のリーダーたちが集まって立ち上げた団体です。県都盛岡から被災地や被災者の方々の支援をしようということで立ち上げました。当初は物資支援などを行っておりましたが、現在は、被災者さんの生業支援や、その他にいろいろな社会事業などを行っております。その同じ年、2011年の7月にですね、盛岡市が市内に避難してきた被災者の方々の生活支援の拠点として、もりおか復興支援センターを立ち上げました。私は2014年から復興支援センターの2代目のセンター長として、そこにおります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

石川部長
 よろしくお願いいたします。県からは、達増知事、それから、復興防災部の戸舘部長でございます。

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿の発信

石川部長
 それでは、皆様のお手元にお菓子を準備しております。お召し上がりながら御懇談いただければと思います。まず、戸舘復興防災部長から、本日のお菓子の御紹介と、懇談テーマの説明をお願いいたします。

戸舘部長
 皆様よろしくお願いいたします。
 本日お配りしております、お菓子についてまず説明させていただきます。お手元に茶菓紹介の資料がございますけれども、本日御出席の金野さんが所属されている、SAVE IWATEのオリジナル商品「くるびあんじぇ」を御用意いたしました。昔、岩手ではおいしいことを「くるびあんじぇ」(くるみ味)と言ったということで、私も母親からそういう言い方をよく聞いていましたけれども、この和ぐるみに甘味噌をコーティングしたものと黒糖をコーティングしたもの、2種類を用意させていただきました。どうぞお召し上がりいただければと思います。金野さんからも一言コメントいただけますでしょうか。

金野 万里
 本日は採用していただきありがとうございます。実は、SAVE IWATEではですね、2011年から「和ぐるみプロジェクト」をやっておりまして、くるみって、川の傍で生えるんですね。なので、川の傍でこうしたくるみがどんどん流れて、沿岸にたどり着くと。なので、沿岸は実はくるみの一大産地になっておりました。ただ、あの年(2011年)はですね、どなたも拾う方がいらっしゃらなくて、そのままになっちゃっているので、拾ってくださいとお願いして、23トン買い付けました。2011年は、くるみ大豊作の年だったそうです。多分春にですね、揺さぶられた木が、何とか子孫を残そうとしてたくさん実を付けたのではないかと、私たちはそう思ってるんですが、あれきりあのような大豊作の年はないんだそうです。
 ということでですね、盛岡市内の竹芳さんというお菓子屋さん、老舗のお菓子屋さんがありますが、そこの社長さんに作り方を教わって、被災者の方々が剥いたくるみ、これは野田と盛岡に工場があります。それを加工して商品にしています。
 「くるびあんじぇ」しますか。(くるみ味しますか。= おいしいですか。)

戸舘部長
 「くるびあんじぇ」。

達増知事
 おいしいです。

金野 万里
 おいしいですよね、はい。よろしくお願いいたします。

石川部長
 はい。金野さんありがとうございました。

戸舘部長
 それでは皆さん、そのままお召し上がりになりながら、お聞きいただければと思います。
 次に本日の懇談テーマについてですけれども、東日本大震災津波から10年が経過しました。岩手県は3月11日を、「東日本大震災津波を語り継ぐ日」とする条例を、今年の2月に制定しました。震災の事実と教訓の伝承、復興の姿の発信は、震災を次の世代に伝え、国内外の防災力強化に繋げていくという意味でも重要な取組であると考えています。今日の懇談テーマを、「東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿の発信」とし、今後の県の施策等に生かしていくために、伝承発信や復興に取り組んでいる、皆様のお話をお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

石川部長
 それでは、懇談に入らせていただきます。ここからは、本日のテーマ、「東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿の発信」に沿いまして、現在の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、県への期待なども含めてお話を伺いたいと思います。先ほどの順番で、元田さんからお一人5分程度でお願いいたします。お一人ずつお話をいただいた後、知事からコメントしていただくという形で進めていきたいというふうに考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは初めに、元田さん、よろしくお願いいたします。

元田 久美子
 はい。私たちは震災翌年の4月1日から御案内を始めました。ガイド4名で進めさせていただいて、現在はガイド5名になりました。最初の年は大体2万人弱の方に御案内をさせていただきましたが、翌年からはエージェントさんとの繋がりも出てきたので、3万2,000人の方に御案内させていただき、その年の次の年から、だいたい1万9,000人、2万人弱の方にお越しいただいていました。だいたい3割以上が学生さんだったんですね。エージェントさんの団体も結構多かったんですけど、だいたい、このエージェントさんていうのは、次にはまた別のコースを選ぶので、なかなか定着が難しいかなと。それでも、学生さんに結構お越しいただいていて、学生さんいらっしゃると、3年は続くんですけど、残念ながら北海道の新幹線が開通したら、ちょっと岩手県をそのまま通り越して東京の方へ行ったことで、ちょっと人数が少なくなったこともあります。
 ただ、教育旅行誘致説明会というのがあって、東京、それから北海道は札幌、函館、また、大阪、こういうところに、1年間に1度、お話をさせていただく機会があったので、そういった中で、やはり先生方が、子供たちはディズニーランドに行きたいけど、ディズニーランドって後からでも行けるよね、やっぱりこういう時だからこそ、こういう被災地に足を運んだ方が教育としてはいいんじゃないかって、だんだん認めていただいて、またさらに続けてお越しいただけるようになりました。
 残念ながら、昨年のコロナの影響で、ことごとく学校さんがキャンセルになったんですけど、これも、いい機会だったなと思えるのは、県内の学校さんが来てくれたからです。県外に出れなかった分、だったら、ああいうところに行ってみようかな、こういうところに行ってみようかなっていう、そのコースの中に含めさせていただいて、当初、沿岸から内陸に引っ越しをした子供たちもいたので、なかなか、こちらに来ていただきたいっていうことは言えなかったところが、さすがに10年経った今だからこそ、もう、津波の怖さを分からない子供たちが多くなってる年代になったので、これもちょうどいい機会だったかなと考えてます。
 今、県内の学校さんもいらして、また、5月6月にピークだったのが、今やっと10月11月に、延びていらしていただいている状態なので、もうこれがいいチャンスだったと、これからどんどん県内の子供たち、県内のお客様に、これから大切なのは何なのかっていうことを皆さんで考える機会を一緒に与えていただくことができたので、とてもうれしく思っています。
 田老はコンパクトな町なので、防潮堤の上に上がると、新しくできたグラウンド、道の駅、残っている学校、家、新しくできた住まい、そして残したい遺構、今作っている防潮堤、あそこに立つと、全部一目で見渡せるので、町全体を博物館として、1人でも多くの皆様に来ていただいて、あの日何があったのか、そして、これから何が必要なのか、共に一緒に考えるために「学ぶ防災」として、御案内をさせていただいているところです。以上です。

石川部長
 はい。ありがとうございます。それでは知事、お願いいたします。

達増知事
 はい。元田さんには私も御案内いただいたことあり、また、政府要人でありますとか、御皇族の方々、今の天皇皇后両陛下の御案内もしていただいて、そこに御一緒させていただいたりもして、岩手を代表する、この「学ぶ防災」、その場所でガイドをしていただいていること、改めて私からも御礼申し上げたいと思います。

元田 久美子
 いつもありがとうございます。

達増知事
 はい。人数もですね、実績を重ねて、そしてコロナ禍では、県内の修学旅行、学習旅行、教育旅行が増えているということで、それは大変よかったと思います。
 新型コロナウイルスもいろいろ影響があるわけですが、逆に、そこで普段、見逃しがちな地元へ目を向けるチャンスにもなっていて、それは東日本大震災津波とそこからの復興の方にも改めて、関心が動くという、そういう効果があったのが不幸中の幸いなんだったと思います。
 10年経って、ますます、これから伝承と発信が大事になっていきますので、さらによろしくお願いします。

元田 久美子
 よろしくお願いします。

石川部長
 
ありがとうございました。続きまして、川崎さん、お願いいたします。

川崎 杏樹
 はい。未来館の川崎です。私たちの施設では、同じくですね、震災の伝承ということで活動を行っておりまして、今現在はコロナ禍ということで、元田さんと同じような形で修学旅行生が多く来館いただいています。
 そのような修学旅行生の受入れを通して、気づいたことというのがありまして、というのは、県内の子供たちはとても素直な子が多い、っていうことに改めて気が付きました。直接お話をしていく中で、問いかけをしたり、何か投げかけると元気よく返事をしている子がとても多いです。その中で、その感想だったり質問をいただく際には、もし自分が災害に遭ったらこうしてみよう、家族の人たちに教えようと思った、というような、すごく前向きな言葉をかけてくれることが多いです。そのような子供たちを見ていて感じたことは、子供の時から、しっかりと防災について伝えていくことで、きっと、そのうち大人になったら、自分の身を守れるような大人になってくれるのじゃないかな、と感じました。
 ですが、それと同時に課題としてあるのが、震災後に生まれた子供たちにどのように伝えていくかというような点になります。やはり、心のケアというところも重要なことの一つで、なかなか震災についてありのままをそのまま全て教えるっていうのは、先生にとっての負担も大きいところです。そういった時に、私共のような伝承施設のスタッフを起用していただくことで、少しずつ、子供たちでも負担がない形で、伝承を続けていけるんではないかなと思うし、私自身が、震災当時、中学生だったっていうこともありまして、中学生だからこそできること、っていうようなことも生徒目線でのお話ができると思っています。こういった強みを生かしながらですね、子供たちを中心に伝承活動を伝えていって、語り継ぐということを、しっかりと実現していければなと思っています。
 そういったことを実現させるために、今後必要だなと思っていることが、各伝承施設との連携だと思っています。いのちをつなぐ未来館は、まだまだ日が浅い施設で、2019年にオープンしたばかりです。なので、まだまだ各施設との横の連携というところが浅いなと感じております。なので、ぜひ、皆さんの施設にお邪魔して、展示物だったり展示の方法、伝え方、あとはガイドの育成ということであったりを、情報共有をさせていただいて、岩手県沿岸全体で伝承活動をしていく、そういうような形になれば、すごく嬉しいなというふうに思っております。
 今後、いのちをつなぐ未来館としての復興の関わり方っていうところなんですけれども、この施設は、地域の拠点としても使われているところになっていますので、朝市であったりとか地元のものが買えるイベントの開催であったり、あと町のお祭りを行ってもらったりというような、町の拠点として使わせていただいて、そこから派生して防災につなげていくというような形で、復興に関わっていけたらなというふうに思っております。以上です。

石川部長
 はい。ありがとうございました。それでは知事、お願いいたします。

達増知事
 はい。川崎さんのこの、いのちをつなぐ未来館、そして、うのすまい・トモス、修学旅行生が来てくれているということで、大変いいと思います。元々、小学校、中学校があったところで、そして高台への避難ということが知られているところで、この子供たちが、自分事として話を聞くことができるところなんじゃないかと思いますし、川崎さん自身も、この災害を体験しているということで、身近にそういう防災も大事なところを共有することができるのではないかなと思います。子供の頃から、防災を伝えていくということは、その子供自身にとっても大事ですし、釜石市内の3.11の日の例として、大人たちがグズグズしているのを子供たちが率先して、学校で習ったとか、大きな地震があったら津波だから高台へ逃げようと、子供たちが親たちを引っ張ったところもあるということで、そういうことが期待できるんだと思います。
 それから、伝承施設の連携は、本当大事なポイントでありまして、先週土曜日、岸田総理大臣が、釜石市、大船渡市に来られた際にも国土交通省東北地方整備局長さんが説明に来ていて、陸前高田市にある津波伝承館で説明したんですけれども、各地のこの伝承施設をつなぐことが大事で、その連携というのに国土交通省も力を入れています、ということを説明してたんですけれども、これは日本全体にとっても大事なことでありますし、あと地元にとっても大事なことだと思いますので、県としても、伝承施設の連携に力を入れていきたいと思います。ありがとうございました。

石川部長
 
はい。それでは続きまして、齊藤さん、お願いいたします。

齊藤 美甫
 はい、一般社団法人マルゴト陸前高田の齊藤と申します。
 マルゴト陸前高田は2014年、陸前高田市の観光協会さんの中に、交流人口を拡大するために、いろんな体験コンテンツを作っていきましょうということで、協議会としてまず発足をしたのが最初の始まりでした。その後、交流人口を拡大するために、もっとどういうことができるだろうということで、2016年に独立しまして、一般社団法人マルゴト陸前高田として活動を開始させていただきました。その際は、教育旅行やインバウンド、企業研修の受入れなどを始めまして、「復興最前線」という形で震災のガイドもスタートさせていただきました。その時はですね、陸前高田市内に、町の嵩上げのために山から土を運ぶためのベルトコンベアがありましたので、そちらの見学希望の方がたくさん問い合わせがあったんですね。その際に、建設業者さんと相談をしまして、「復興最前線」という形で、大きな受入れはできないけれども、今の陸前高田の姿をお届けすることを大事にしようということで、震災のガイドを始めさせていただきました。そのあと、陸前高田市の工事現場っていうのは、どこの被災地でもやっぱりそうだと思うんですけれども、もう1週間2週間で、状況がすぐ変わってしまうので、その時その時の御案内を大事に、これまで御案内をさせていただきました。その際にですね、「復興最前線」ということで、ガイドをスタートさせていただいたんですけれども、マルゴト陸前高田のスタッフは移住者であったり、Uターンのスタッフがほとんどです。その際に、私たちみたいな、震災当時、ここにいなかった人間がガイドをしていいのかなっていうふうに、スタッフ一同悩みましたけれども、私たちは事業の中で、民泊体験を提供しておりましたので、市内の家庭さんとはすごくお話をさせていただきました。その時に、あの時のこの話は、いろんな人に伝えたいんだけど、自分で話すと泣いてしまうからしゃべれない、という方が、たくさんいらっしゃったんですね。なので、私たちが、その話を代わりにたくさんの人に伝えて防災に生かしたい、生かさせていただきますということで、この「復興最前線」のガイドをスタートしました。
 その際に、ガイドが増えまして、今年の7月、「パークガイド」という新しいガイドが発足しました。それは高田松原津波復興祈念公園内を御案内するガイドということで、陸前高田市の観光協会さんが元になって、ガイドの育成を図って、現在30人のガイドが登録しておりまして、復興祈念公園内のガイドをさせていただいています。これに関しては、東日本大震災津波伝承館さんと一緒に、大型の教育旅行の受入れを一緒に行っていまして、やっぱり大きい学校さんですと、120人、180人が当たり前になってしまってきているので、そういった学校さんを上手く、ローテーションを組んで、たくさんの場所を見てもらおうということで、パークガイドを7月からスタートしました。こちらの方は、今年はですね、県内の学校さんにもたくさん活用いただきまして、今日も盛岡から厨川中学校さんが見学に来ていただいております。その中でも、震災遺構として残されている気仙中学校は、内部の3階まで見学することが可能になりましたので、防災教育の場として役立てていただけるように、ガイドそれぞれ、語り部さんや、私たちみたいな震災ガイドで市内でこれからガイドを始めたい方々、いろんな市内の方々が協力して、このパークガイドを担っておりますので、その時その時、みんなのお話を聞けることが、このパークガイドの良いところだと思っております。
 お伝えする際に大事にしていることは、もちろん陸前高田市は、震災という大きい悲しいことがあって、辛いことがたくさんあったところではあるんですけれども、それは事実として受けとめていただいて、これからの陸前高田市を見ていただきたいと思っております。というのもですね、やっぱり来ていただいた校長先生が、今を見せるのも大事だけど、陸前高田市のこれからを生徒たちに見せたい、というふうにおっしゃってくださって、被災地に来て、やっぱり被災地は悲しい、暗いって思って、修学旅行を終えるのではなくて、いや、高田きれいだったよ、すごくいい町だったよと言ってもらって、帰ってくれることを目標に、ガイドの皆様と頑張っております。
 今年感じた課題としましては、これまで陸前高田市は県内の学校さんの受入れが多かったので、ちょっと県内の学校さんの需要が高まってきた際に、人数が少ない学校さんが多いことに気づきまして、私自身も、同級生小学校の頃、6人だったんですね。やっぱり少ない学校もあるよねってすごく感じまして、やっぱりガイド料金の部分っていうところが、大人数で県外で考えてた部分があったので、県内の人数が少なくても、震災遺構学習ができるような状況を陸前高田市で作っていきたいなと思っておりますので、次年度、この思いを成し遂げるよう頑張って活動していきたいと思います。以上です。

石川部長
 はい。ありがとうございました。それでは知事、お願いいたします。

達増知事
 県内の少人数の学校のことをもいろいろ考えてもらって、まず、ありがとうございます。
 そうですね、この津波伝承館の方で数えていて、40万人を突破しましたので、かなりの人数の方々が、この津波復興祈念公園としても訪れていただいてますから、大人数に見ていただくっていうところがあるわけですけれども、少人数の見学者、体験者の皆さんにも丁寧に対応していくということ、本当大事だと思います。そして、「復興最前線」ということで、移住者の方や、U・Iターンの方々、3.11東日本大震災津波を直接経験していない人でも伝えられるのかっていうことあるんですけれど、第二次世界大戦の経験っていうのが、もう直接経験した方々がだんだんいなくなってきて、それを聞いた人たちが、聞いた若い世代がさらに次の世代にどう伝えるかっていうことが戦争と平和については最近の大きいテーマになっていて、やはり大事な、そういう命に関わる出来事については、そのような直接体験してない人が体験を間接的に伝えていくっていうのは、非常に大事だし、なくてはならないことなので、そこのいろんなやり方を工夫してやっていただくと非常にありがたいなと思います。よろしくお願いします。

石川部長
 
はい、ありがとうございます。それでは続きまして、金野さん、よろしくお願いいたします。

金野 万里
 はい。まずSAVE IWATEの活動の方からちょっとお話したいんですが、3.11「祈りの灯火」という事業です。盛岡市内で支援活動を行っている、約30の団体が集まって、「もりおか復興支援ネットワーク」というのを作っておりまして、そこで毎年行っています。知事のお手元にもお届けしていますが、こういった見えますか、(注:「祈りの灯火」の写真をカメラに向ける)こんなに綺麗なんですね。牛乳パックを利用した灯籠を1万個、全国から募って、盛岡城跡公園の歴史文化館前広場に並べてですね、被災地の復興と犠牲者の鎮魂を祈る、3月11日の行事として行っています。実はこれですね、この1万個の灯籠を全国に募っているわけなんですが、そのうちの例えば今年の3月11日は1万1,423個集まっています。そのうちの2,500個は、実は東京海上日動グループ、全国の本支店、営業所など95店舗から集まっております。この東京海上日動グループだけではなくて、例えばNEXCO東日本さんとか富士ソフトさんとか、多くの企業さんや団体さんが、そこの会社などのCSRとして取り組んでくださっています。これは全国に伝えられていく、伝えていけるイベントとなっているということで、今年度からも継続してやっていきたいと思っています。
 また、岩手県は、郷土芸能がたいへん盛んなところです。これの発信を続けておりまして、2013年の5月に東京の明治神宮で行った早池峰神楽公演を皮切りにして、首都圏での郷土芸能の公演を実施しております。2014年からは、毎年、鎌倉の建長寺という古いお寺で、「岩手郷土芸能祭」というのを開催しておりまして、釜石の鵜住居虎舞、宮古の黒森神楽、普代の鵜鳥神楽とか、そういった沿岸の被災地の民俗芸能も御紹介しています。首都圏ではすごい大人気イベントになっています。三陸は郷土芸能の宝庫で、その郷土芸能や祭りの復活が復興の力になったということもお伝えしつつ、その元気になった姿を発信するとともに、これまでのこの首都圏、全国からの支援に感謝するという意味も含めてやっております。これも継続していきたいなと思っています。
 それから、復興支援センターの事業についてちょっとお話させていただくと、災害公営住宅が内陸にも建設されることになりました。復興支援センターではそれまでのお住まいへの支援を、アウトリーチでやっていたわけなんですけども、それに加えて、災害公営住宅とその周辺地域すべてを対象とした地域支援というのも一緒に行っていくために、常駐型の支援拠点として、「青山コミュニティ番屋」というのを設置したいということで、岩手県と盛岡市に要望をして叶えていただくことができました。今年の2月11日に達増知事も御出席された、南青山アパートの開所式、その時同時に、この南青山アパート内に支援拠点「青山コミュニティ番屋」を開設し、活動開始しております。入居者の困りごとなどに対して、家庭的な支援ということで寄り添い支援を心がけています。地域に対しては、コロナ禍でなかなか難しいところなんですが、ワクチン接種の予約サポート会などを開催しまして、地域の方々にも御利用いただいています。また、地域の福祉施設とのコラボレーションで、朝市とか、ご近所のIGRさんの御協力で県北ツアーを実施したりということもしています。こういった個別世帯ごとの課題を解決する支援と、それから、地域支援の両輪の支援のモデル化を示せるように、今チャレンジ中と、始まったばかりですが、そういうところでございます。
 それから、実は復興支援センターには、今、コロナで少なくなりましたが、視察が結構多いんですね。2015年頃から愛知、岐阜、愛媛などからの視察が増えまして、特に南海トラフの被災が想定されている地域の市町村や、その内陸部の市町村の議員団の方々の視察が増えております。そういった地域では、いわゆる広域避難、遠隔地避難、事前防災、この辺りについて本格的な検討が始まっているなという印象を受けております。盛岡市は、実は、まさにそういった広域避難とその後の支援を実施した都市としての先進地となっているんだなということを感じていて、発災後の物資支援とか住居支援とかもありますが、その後の暮らしの再建とか心のケア、コミュニティ形成とか、そういったところを10年の経験をしっかり伝えていけるようにできないかなと思っています。今回の震災では、岩手でたくさんの伝えるべき教訓も生まれたと思うんですが、この広域避難とその支援、そういったことも一つの伝えるべきものとして取り上げていただけるといいかなと感じております。以上です。

石川部長
 はい。ありがとうございます。それでは知事、お願いいたします。

達増知事
 はい。金野さんのSAVE IWATEには、培われた様々なノウハウと、そしてネットワークですね、全国にも繋がるネットワーク。これらをフルに活用して、いろんな新しいタイプの支援もしていただいていること、本当にありがたく感じております。また、災害公営住宅、盛岡市内にある災害公営住宅にも拠点を設けていただいて、一人一人の支援と、この地域支援の新しいパターンということで、非常にいい感じに進んでいると思います。そして、この「祈りの日」、大手企業も巻き込んで、多くの人の気持ちを形にしてくださっているっていうのは非常にありがたいことでありまして、いろいろなところで、岩手から遠く離れたところでも何かしたいという思いはあるけれど、その思いを形にするというのは、そういう仕組みがないと形にならないところ、こういう企画は非常にありがたいと思います。鎌倉建長寺での郷土芸能というのは大変ありがたいことで、これは首都圏の郷土芸能ファンの人たちの間で非常に評判になっていて、そういう観点から岩手の郷土芸能を首都圏の皆さんに広めるということで貢献いただいて、ありがとうございます。

石川部長
 はい。ありがとうございました。
 それでは、皆様からテーマに沿ってお話を伺いました。ここからは、自由に御発言をいただきたいというふうに思います。先ほど言い足りなかったこと、あるいは懇談全体を通しての御感想、懇談テーマに関わらない御意見でも結構でございます。御発言のある方は手を挙げていただきまして、こちらから御指名させていただきますので、御発言をお願いできればと思います。いかがでございましょうか。

金野 万里
 (挙手)

石川部長
 どうぞ、お願いします。

金野 万里
 他のお三方さんのところの活動は本当にありがたくて、盛岡にボランティアの方がいらっしゃって御紹介する時に、こういった形がちゃんとできていることは本当にありがたいです。伝えるべきものが伝わると思っています。
 私から、今、このフリートークで申し上げたいのは、皆さんのところではあまり関係ないかもしれないんですが、さっきの支援拠点のことなんですけど、これまで多くの、というか全県の市町村社協が中心として担ってきた生活支援相談員、そういう人材がいて、アウトリーチのノウハウがそこにある、これを生かすこと。それから仮設住宅の集会所のような地域での人の繋がりを作って、住民一人一人に光を当てていける場所をつくっていくことで、そこから地域の課題を見つけて、皆でそれを解決していくことができるんじゃないかと、経験から思っています。また、現在、地域支援というのは、町内会とか民生児童委員さんがその多くを担っていて、基本的にはかなり大変な状況になっていると私は見ています。行政の方の福祉部署もかなりたくさんの課題を抱えて大変だということを知っています。そういったことに関してですね、その地域にそういった支援をする拠点があることが、その解決の糸口になるし、例えばそういった一般施策に繋ぐにしても一つのクッションになると思っています。いわゆる弱者支援ばかりではなくって、その支援をする人への支援についてもこういった拠点があることが大変有利だというふうに思っています。私はこの震災でこのアウトリーチと、お茶っこ会、これが被災者を救ったっていうところは大きいと感じていて、これこそ震災で得た大きな教訓の一つではないかなと思っているんです。ぜひこれはですね、今後の一般の福祉施策とか、地域づくり、そっちにも生かしていただければありがたいなと考えています。よろしくお願いいたします。

石川部長
 知事からいかがでしょうか。

達増知事
 はい。そうですね、伝統的には、行政の福祉というのは、いろいろ受け身の形で、申し込まれればとか、届け出があればとか、申請があればということが伝統的にあったわけですけれども、現代の複雑な社会の状況に対応するには、行政の側や、またこの行政のパートナーになってくれている人たちが、現場に入っていって、問題課題を発見していくようなやり方こそが効果的ということで、アウトリーチとお茶っこ会ですね、それが、東日本大震災津波のこの復興のプロセスの中で花開いたし、また効果的だったって本当その通りだと思います。これは、引き続き、沿岸の復興の流れの中で続けて行きたいところですし、また、それ以外の岩手のどこであれ、地域支援の発展的な形として、作っていきたい形だなと思います。

石川部長
 ありがとうございます。それでは、他に皆様から御発言ございましたらばお受けしたいと思いますが、手を挙げづらければまた順番で、元田さんいかがでしょうか。

元田 久美子
 聞いていて、やっぱり私たち、みんな共通点ですよね、命を守るために、何ができるのかって言うのを改めて、ネットワークをしっかり繋げていかなきゃいけないなというふうに思いました。
 マルゴト陸前高田さんの方ですけど、30名のパークガイドさんがいらっしゃるっていうことで、事業内容っていうかどういう形で、やってるんでしょうか。

石川部長
 齊藤さんいかがでしょうか。

齊藤 美甫
 はい。ありがとうございます。パークガイドは今回募集制でですね、観光協会さんがまず募集をかけて、30名希望者が集まって、そのうちが元々私たちみたいに震災ガイドをやっていたスタッフ、あと半分が語り部ガイドさんをやっていた方々、あとは市民の方々の有志の方が手を挙げていただいてるんですけども、30時間授業を受けまして、市役所の方の各課の方の授業とか、津波伝承館さんの授業を受けた上で、認定をされたガイドになります。それぞれ夜7時から8時半に授業を皆受けて、最後テストがあったっていう形です。

元田 久美子
 ありがとうございます。
 また、料金の設定の方が、少ない学校の生徒さんたちに向けるような設定を考えなきゃないなっていうお話だったんですけど、元々そのガイド料の設定ってどのようになっているんですか。

齊藤 美甫
 そうですね、基本的に人数で金額を定めていまして、今、パークガイドの中で言いますと、小学生は550円とかにしてるんですね。でも、中学生になってくると、1,100円なんですけど、人数が19名を切ってしまうと、一式料金として、どうしてもガイドさんにお支払いする分のガイド料金を確保しなきゃいけないので、最低料金として1万9,800円の税込っていう形に今なってしまってるんですね。でも、これはちょっと協会さんの部分なんですけれども、今年始めたばかりなので、今年の様子を見て、来年度は相談していきたいねと、ちょうどお話をしていたところでした。以上です。

元田 久美子
 ありがとうございます。

石川部長
 はい。ありがとうございました。川崎さんは何かございますでしょうか。

川崎 杏樹
 はい。私からは復興の観点について、1点だけ気になっていることというか、私自身も抱えてる課題なんですけれども、実は釜石市の人口減少率が12.8%と県内では最も多くてですね、せっかく町がきれいになって活気が戻ってきたなっていうふうに思ったけれども人がどんどん減っているという、ちょっと切ない状況になっております。私も、普段、生活をしていても、ああ、若い子少ないなっていうふうに感じる部分がすごく多いです。そういったところでも私自身も普段活動している中で、こういう仕事の選択肢があるんだっていうところをこの子供にも姿として見せられるように頑張ろうと思っているんですが、他の施設の方にもちょっと聞いてみたいですが、こういった伝承施設が地域にもっともっと還元できるようなことを、地域の人たちが地元に残るような選択をしてもらえるためにどういった工夫が考えられるのかっていうのを、ぜひ御意見だったりアドバイスいただければなと思います。以上です。

石川部長
 なかなか難しい課題でありますけれども、今日御参加いただいている皆様、何か御意見ございましたらば、頂戴したいと思いますがいかがでしょうか。

金野 万里
 実はですね、SAVE IWATEは盛岡でまちづくりをしている団体のリーダーが集まって作ったっていうことを言いましたが、私は盛岡の歴史を生かしたまちづくりをやっている、「文化地層研究会」っていうのをやっておりました。2000年にできたんですけど、これはですね、地域のことを地域の人が知ることによって、その地域に愛着をもってさらにその誇りを持って暮らしていく、そこで町がどんどんですね良くなっていくっていうことを目指してやっていったものなんですね。なので、もしかしたらですね、地元の方に伝えるということも必要なのかなと思います。もちろん皆さん被災体験があってなかなかしんどいところはあるかと思うんですが、やっぱり震災後に生まれた方々もいらっしゃるし、あまり、震災時にいなかった方もいらっしゃるかと思うので、まず地元の人たちが、地元の震災だけではなく、その前の歴史からですね、その地域のことを知るということが、その地域に根差していくというかですね、好きになっていく、そこのアイデンティティをもって暮らしていける一歩かなっていうふうに感じています。もし参考になればです。

川崎 杏樹
 ありがとうございます。

石川部長
 知事からは何かコメントございますでしょうか。

達増知事
 はい、地域の知られざる歴史とか文化とか、またいろんな魅力、それから地域資源といわれるようなもの、そういうのを発掘して、取り出して、みんなでそれを確認していると、その辺にいろんなビジネスのチャンス、生業のチャンスが出てくるというのはあると思います。震災の翌年から撮影して、そして震災の2年後ですね、テレビドラマで「あまちゃん」、朝ドラでやってたわけですけれども、あれでインスピレーションを得まして、「ローカルダイバー」っていう言葉を、国の復興推進委員会、当時は復興構想委員会で提案し、3年目ぐらいの報告書に書いてもらったんですけれども、この地元に潜るということですね、地元に深く潜って、そこにあるいろんな魅力、文化、歴史、地域資源、そういったものを浮かび上がらせて、みんなで確認し合う中で、いろいろビジネスができるとか、観光の魅力っていうのは、まず直接的にありますよね。やはり地元のことをよく知るっていうところから色んな可能性が広がりますので、伝承と発信っていうところを軸にしながら、そういう地元の新たな魅力発掘っていうことをやっていけばいいんだと思いますね。

石川部長
 はい。ありがとうございます。それから齊藤さん、先ほどお答えはいただいたんですが、齊藤さんの方から何かございますか。

齊藤 美甫
 はい、そうですね、川崎さんのお話の中でもあった通り、震災ガイドをしているうえで、やっぱり岩手県内の他のガイドの方、そういった遺構が残っている地域とか、「うのすまい・トモス」さんだったりとか、そういう場所を改めてガイドが知るっていうことはすごく大事だと思ってまして、あとその地域連携っていうところですか、陸前高田に来る前、来た後に、宮古、釜石の方に寄っていただいた後にも来ていただくんですけれども、それぞれの地域でどんなことを話して、どういうお話を伝えてるのかっていうことを知らないと、やっぱり陸前高田市でのお話っていうのも考えていかなきゃいけないんだろうなって感じておりますので、ぜひ伺いたいと思ってるので、御案内いただければ幸いです。よろしくお願いします。以上です。

石川部長
 はい。

金野万里
 はい、いいですか。ちょっと思ったんですけど、実はさっきの「文化地層研究会」の方で、私、盛岡市内のガイドやってるんですよね。ガイドサミットみたいなのを1回、県の方で音頭取りをしていただいて、みんなで勉強し合い、それぞれの良いところを吸収していくってのもいいんじゃないでしょうか、はい。ぜひお願いします。

戸舘部長
 おもしろいですね。

石川部長
 復興防災部長が来ていますので、何かコメントを。

戸舘部長
 いや、とても面白いアイディアだと思いますし、お互いによく学び合うっていうのが、すごく大事だと思いますので、参考にさせていただきます。

石川部長
 はい、他に皆様からございましたらば、言い足りなかってことってございますか。もしありましたらばお受けしたいと思いますがいかがでしょうか。

戸舘部長
 一つ、いいですか。

石川部長
 ええ、どうぞ。

戸舘部長
 コロナの関係でなかなか大変だというふうなお話もありましたし、特にこの8月9月、おそらく、なかなか動きにくい状況があったと思うんですけど、沿岸の方の宿泊施設さんのお話を聞くと、だいぶ戻ってきてるなというふうなお話をされる方も結構いらしてですね、今、どんな感じなのかなっていうのをちょっとお聞きしたいのと、もしくは最近入ってこられた、ガイドされた方々の中でですね、何かエピソード的なものがあれば紹介いただければと思うんですけどいかがでしょうか。

石川部長
 それでは、また元田さんからお願いできますでしょうか。

元田 久美子
 一旦キャンセルになった方たちが、コロナがちょっと落ち着いてきたので、行ってみようかなあっていう感じで、ちょっと10月11月にバタバタさせていただいてる状態です。ちょっと話はあれですけど、うちの場合にはお1人様からでも、ガイドが空いていれば当日でも、即御案内可能になっていて、1人の案内でも40人の案内でも、ガイド1名につき4,000円なんですね。だから、40人の団体が来ても4,000円で、お1人から4,000円取るのってどうなのかなっていうようなお話もあったんですけど、それでも、今まで来ていただいてる方々には、4,000円支払っても価値があったっていうか、それ以上のものが得られた、っていう感じでお話いただいてました。
 今、私たちは1時間コースが防潮堤と「たろう観光ホテル」なんですけど、教育旅行向けに、これプラス避難道ってどういうところなのか、実際に歩く体験型があります。田老第一中学校の生徒が、あの日、どうやって命を守ることができたのか、実際に避難道を歩いてみる。避難道っていうのはちょっと険しくできていて、これは昔の人の知恵で、一旦逃げたら戻る気にならないように、っていう意味もあるんだそうです。だから実際歩いてみるっていうことがいちばん大事で、ひとつ、赤沼山を越えていくと、小学校の裏に津波の記念碑があります。そこまで歩いていくっていうコースがプラス30分。その津波の記念碑って、昔から伝えていくために石に刻んでたものですけど、田老にある大海嘯記念(だいかいしょうきねん)っていうのは、本当に言葉が明確で、今の子供たちでもわかりやすく書いているので、今は学校が守ってくれる、家族が守ってくれるけど、社会に出たらどこで暮らすか分からないよ、そういったときに、田老に来たときの、その文言を胸に刻んでいただいたら、絶対役立つはずだよって、いうことで、ちょっと歩く体験型があります。で、もうプラス30分で、過去何回も津波が来るところに、どうして人が住むんだろう、どうして高台に行かないの、っていう、よく質問があるんですね。それを紐解くためには、三王岩という景勝地を入れています。怖い津波の海だけではなくて、生業の海、この海に育ててもらったんだよ、っていう、この本当に素晴らしい海を皆さんに知っていただきたい、っていうことで、ジオパークに認定されてるので、ちょっとジオに関したお話と、生業の話と、日本で初めて恐竜の化石が見つかったのはお隣の小本だけど、この辺りにも生息してたんだよねっていう、ちょっと自然のお話をさせていただく2時間っていうのがあって、90分から2時間で1万円なんですね、ガイド料金。なので、先ほど、お話が齊藤さんからあったように、料金の設定も当初始まったときからの設定なので、これからちょっと見直していかなきゃいけないかな、それには、来年度に向けて、今から考えなきゃいけないんだろうなっていうところが、今ちょっと課題になってるところでもあります。

石川部長
 はい。ありがとうございます。川崎さん、釜石の方は、状況はどうでしょうか。

川崎 杏樹
 
はい、そうですね、緊急事態宣言が明けまして、人数は結構戻ってきてるかなという印象はあるんですが、実は、釜石は割と通過点の一つ、そういうコースとなっていることが非常に多くてですね、団体のお客様は多ければ多いほど釜石に泊まりづらいっていう現状があります。結構ホテルはあるんですけれども規模感がそんなに大きくないホテルが多くて、特に修学旅行の団体のお客様ですと、沿岸ぐるっと回ってきて、結局内陸に泊まるっていうパターンが非常に多いので、個人のお客様、少ない単位だけが釜石に宿泊してるということで、なかなか宿泊施設の方々は、もうちょっと大きい団体も入れるようになりたいね、っていうところが、課題としてあるそうです。
 未来館の中で、お越しになった方々と接してるときに、結構印象に残っているエピソードとしてあるのが、震災当時、ボランティアに来ていて、やっと久しぶりに帰って来れた、っていうような方が結構多く見受けられることが、すごく私的には印象的なもので、何かあそこにボランティアで瓦礫の撤去作業お手伝いしたんだけど、今、全然違ったね、っていうとこだったり、もう全然町の雰囲気が変わっていて、何か嬉しくなったよ、っていうな声も直接聞こえてきます。その反面ですね、昔の雰囲気なくなっちゃって少し寂しいね、っていう声もはい、聞かれたりもします。確かに私もですね、その小さい頃から住んできた、この釜石の鵜住居っていう地域の風景っていうのは、残念ながらやっぱり年が経てば経つほど、忘れてしまうっていうところがすごく切ないな、っていうふうに思う部分だったりとか、地域の方々からもですね、よくおじいちゃんとかおばあちゃんとか未来館に遊びに来る方もいらっしゃるんですが、そういった方々からも、昔の写真を広げて、「うち、ここさあったんだよ」っていう、会話が聞こえてきたりとかもしますので、何かぜひですね、この新しい町っていうところも素敵なものなんですけども、昔の町並みっていうところも大切にしていきたいなっていうふうに来館いただいた方だったりとか、地域の方々とお話していくうえで、感じた部分になります。以上です。

石川部長
 はい、ありがとうございました。それでは齊藤さんから、気仙の方の状況どうでしょうか。

齊藤 美甫
 
はい、そうですね、他の地域の皆様と同じように、今月の中旬以降から11月、12月上旬にかけて、ようやく忙しさを取り戻してきておりまして、ありがたいぐらい、受入れ施設の方でもちょっと悲鳴が上がりつつ、やっぱり釜石の川崎さんとちょっと同じような悩みで、陸前高田市はこれまで、震災のガイドに関しては、大人数の対応ができたんですけれども、食事の場所も宿泊する場所も、大人数に対応することができなかったんですね。やっぱり内陸に行ってしまう、気仙沼に一回戻ってしまうっていうパターンがすごく多かったんですけれども、今年に関しては、食事場所もワタミオーガニックランドさんの方が、200人まで食事ができるようになったので、食事までは陸前高田市で移動時間とかの短縮も含めてやっていただけることにはなったんですけれども、あと宿泊施設も、野外活動センターさんが、ようやく今年の7月から開所しましたので、何とか市内で補えそうな部分はあるんですけれども、やっぱり住田、陸前高田、大船渡、この気仙地域の部分で、もっとうまく回して連携していかないと、地域としては発展というか盛り上がらないんじゃないかなみたいな声をちょっとあったりします。あとはちょっと道路状況が新しくなりすぎて、皆さんちょっと分かりづらいというところで、津波伝承館さんから町中に行くアクセスが、なかなかわかりづらくて、修学旅行の団体のお客さんは、津波伝承館さんを無料で見学はできるんですけれども、町中の方に足を運んできてくれないので、メリットとしてはちょっと感じづらいかなという状況ではあります。ただ、お蔭様で忙しくはなってきております。
 ちょっと長く話し過ぎましたね。面白いガイドさんのお話としてはですね、こうやって外の子たちと触れ合うことがやっぱり楽しいと、今まで静かにしてたけど、やっぱり外の子たちの声聞くと楽しいねっていう声をやっぱりどのガイドさんからも聞けるようになりました。以上です。

石川部長
 はい、ありがとうございました。間もなく予定の時間であります。最後にこれだけは、というお話がございましたらば、挙手をしていただければと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ元田さん。

元田久美子
 
釜石さんのところは、未来館さんに、地元の方も結構いらっしゃって、なんかすごい懐かしんでるっていうのが聞けたので、私まだ行ったことがないんですよ。そういう建物ってなかなか地元の人が入れないんじゃないかなと思ったら、何か違ったので、すごいアットホームな感じですか。

川崎 杏樹
 
はい。ありがとうございます。いのちをつなぐ未来館のいいところは、正直あまり大きくない施設で、割と皆さんがふらっと立ち寄れるような雰囲気で。建物自体も木が多く使われているので、やっぱりそういった雰囲気が、皆さんが足を運んでいただくきっかけになってるのかなっていうのと、あとずっと未来館に常駐しているスタッフがなかなか少ないということで、施設の周りの草刈りだったり、そういった時には、地域の方々のお力を借りて、草刈りなどクリーン作戦を行っております。そういった、けっこう地域の方々と関わる機会がすごく多いっていうところからも、皆さんが私たちスタッフを助けるような形でお力添えをいただきながら、運営を行っているっていうところもあるので、皆さんにすごく気にかけていただいているような形になっております。

元田 久美子
 ありがとうございます。それともう一つ、高田さんの方ですけど、民泊ってどのぐらいの人が泊まれるような感じなんですか。

齊藤 美甫
 はい。コロナ前の人数なんですけれども、マックス1度の受入れで360人受入れをしておりました。でもやっぱりこのコロナに入って、この1年って、やっぱり60代70代の方にとって大きくて、一気に卒業してしまったので、以前のような受入れはちょっと今後厳しいかなと思っております。以上です。

元田 久美子
 ありがとうございます。

石川部長
 はい。ありがとうございました。

金野 万里
 盛岡でも実は、語り部活動を進めています。盛岡に避難した方々の中で、語りたいという方がいっぱいいらっしゃいまして、手記集も作っていただいて発行もしたりしたんですけども、今、数名の方がですね、語り部をしていて、盛岡に修学旅行で来た生徒さんにはですね、ホテルに出向いて、夕食後に30分から1時間程度、そういったこともやっています。

石川部長
 県外からの学生さんなんですか。

金野 万里
 そうです。なので、内陸に移住した方々も、震災のことを忘れずに伝えていますよ、ということを皆さんにもお伝えしたかったです。以上です。

石川部長
 はい、ありがとうございます。

知事所感

石川部長
 
それでは、そろそろ時間でございますので、最後に知事からお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

達増知事
 
はい、皆さんありがとうございました。東日本大震災津波からの復興は、発災直後から伝承や発信っていうのはいろいろあったわけですけれども、10年経って改めて、より強化して、発展させていこうという時期になってきていると思います。新型コロナウイルスの問題があるわけですけれども、うまく感染対策をしたり、そして、できることとか、やれる、やりたいこととか、そういったことを工夫しながらやっていくこともできますので、そういう時にこの連携や協力が非常に大事だなと改めて思いましたので、皆でうまくやって参りましょう。今日はどうもありがとうございました。

閉会

石川部長
 皆様、本日は、貴重なお話をいただきまして本当にありがとうございました。この機会に、またお互いの施設をお互い訪問し合うとか、そういう機会にできればなというふうに思います。
 以上をもちまして、本日の県政懇談会を終了いたします。ありがとうございました。

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