「いわて幸せ作戦会議(in九戸)」(令和2年12月16日)

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ページ番号1036570  更新日 令和3年1月26日

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日時
令和2年12月16日(水曜日)10時30分から11時50分まで

場所
九戸村公民館 2階 HOZホール

出席者

  • 参加者(敬称略)
    今村 有希(滴生舎・塗師)
    大村 友美子(まるこパン工房コパン 代表)
    岩渕 綾子(カフェこちゃや 店主)
    峠 友香(特定非営利活動法人いちのへ文化・芸術NPO 職員)
    荒内 雅美(一戸町地域おこし協力隊)        
  • 県側
    知事、県北広域振興局副局長、政策企画部長

開会

八重樫部長
 ただいまから県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in九戸」を開催いたします。
 皆様には御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、「食でつながるカシオペア連邦」を懇談テーマとし、二戸地区で食産業や地域づくり、地域文化等の分野で地域活性化に向けて取り組まれている皆様にお集まりいただいています。
 私は、本日の進行役を務めさせていただきます県の政策企画部長の八重樫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

八重樫部長
 それでは、開会に当たりまして、達増知事から御挨拶を申し上げます。

達増知事
 皆さん、おはようございます。県政懇談会は、岩手県各地、各分野で活躍する方々に直接お話を伺って、県政の参考にしようという企画であります。昨年度から「いわて幸せ作戦会議」という名前でやっておりますけれども、これは「東日本大震災の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」という、去年からスタートしている新しい10年計画、県の総合計画の基本目標から、この「いわて幸せ作戦会議」という名前を取っているものであります。
 今新型コロナウイルスの流行で、今年は様々社会活動、経済活動も制限がされたりしますけれども、一方で改めて地域の価値を見直す機会にもなっていると思います。遠くに行けなくなる、外国に行けなくなる分、身近な観光地でありますとか、身近な物産でありますとか、そういうところを改めて見詰め直して、どういう人たちがどういうふうに働いているのかとか、そういう働き方にまで配慮していくような、改めて足元を見直す、そういう機会にもなっていると思います。
 今日は「食でつながるカシオペア連邦」というテーマで、いわゆる二戸地域で様々な分野で活動し、地域での活動に取り組んでいらっしゃる皆さんにお集まりいただいております。皆さんのお話を県政の参考にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

八重樫部長
 それでは、この後の進め方についてですが、まず私から一通り御出席の皆様方を御紹介いたします。その後、お一人ずつ自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、お二人のお話があった後に知事がコメントをするというような形で区切りながら進めていきたいと思います。そして、最後に自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、座席表に従い、本日御出席の皆様を御紹介いたします。
 滴生舎塗師、今村有希さんです。

今村 有希
 今村です。よろしくお願いします。

八重樫部長
 まるこパン工房コパン代表、大村友美子さんです。

大村 友美子
 大村です。よろしくお願いします。

八重樫部長
 
カフェこちゃや店主、岩渕綾子さんです。

岩渕 綾子
 岩渕と申します。よろしくお願いします。

八重樫部長
 特定非営利活動法人いちのへ文化・芸術NPO職員、峠友香さんです。

峠 友香
 峠と申します。よろしくお願いいたします。

八重樫部長
 一戸町地域おこし協力隊、荒内雅美さんです。

荒内 雅美
 荒内です。よろしくお願いします。

八重樫部長
 県からは達増知事、県北広域振興局の松本副局長でございます。
 なお、本日は県議会議員の皆様にもお越しいただいておりますので、御紹介をいたします。
 二戸選挙区選出の五日市王議員です。

五日市県議
 よろしくお願いいたします。

八重樫部長
 皆様のお手元にお菓子と飲物を準備しております。召し上がりながら御懇談いただければと思います。カーリングのもぐもぐタイムのようなものですので、どうぞ食べながらお願いいたします。本日のお菓子を御紹介いただきます。

松本副局長
 本日御用意いたしました茶菓子は、この九戸村の小笠原菓子舗さんの「くのへとりみそサブレ」です。九戸村は、一大産地である鶏肉がございまして、鶏肉を混ぜ合わせた鶏みそをお菓子に使用するという新しい試みで生まれた商品です。九戸村産の甘茶パウダー、それからクルミ、蜂蜜など、地域の食材がふんだんに使用されています。今年の10月29日から11月15日まで九戸村で開催されましたオブチキ感謝祭に合わせて販売を開始いたしまして、オリジナルキャラクターをモチーフにしたパッケージも注目を集めているところです。
 それから、飲物は株式会社九戸村ふるさと振興公社の「あま茶」です。天然の甘み成分で、砂糖の200倍以上の甘さがありながら、低カロリー、ノンカフェインな体に優しいお茶です。九戸村は、国内有数といいますか、ほぼ1位だと思いますけれども、甘茶の産地となっております。
 それから、甘茶を入れている茶器といいますか、おわんですけれども、滴生舎の今村さんからお借りしました。浄法寺塗のねそりという名前のカップです。御提供いただき、ありがとうございました。
 それでは、皆さん、九戸の魅力が詰まったお菓子とお茶をどうぞお召し上がりください。

達増知事
 いろいろ入っている感じがおいしいですね。

八重樫部長
 これは道の駅とかで売っているのですか。

松本副局長
 あると思います。あります。

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
食でつながるカシオペア連邦

八重樫部長
 それでは、懇談に入らせていただきます。
 最初に、お一人2分程度で自己紹介をお願いいたします。
 お話しいただく順番は、今村さんから順にお願いいたします。
 それでは、今村さんお願いします。

今村 有希
 おはようございます。滴生舎から来ました今村です。私は、滴生舎で塗師、漆をおわんに塗る仕事と、あとデザインもまだ少しですけれども、担当しています。滴生舎に入ってまだ2年ほどしかたっていないので、まだまだできていることというのは少ないのですけれども、今、漆を塗ることと、そして販売すること、皆さんに漆のよさを伝えていくこと、イベントを開催したりだとか、そういうことも滴生舎みんなでやっています。
 前の仕事は、柳宗理のデザイン事務所で働いていまして、テーブルウエアやキッチンツール、家具など、そういう日常の中にある道具をデザインする事務所にいました。柳の考えとしては、日常でみんなが使うものが使いやすくて美しいものであることと、より素材を知って、その素材のよさだったりとか、作り手の工程だったりも考えてデザインをしていかなければならないということがありまして、それを学んだ後に、デザインだけではなくて、その作っている現場のほうに入って、より素材のことと工程のことを知って、その上でデザインをすること、よいモノづくりをすること、また漆を伝えていく仕事に、より漆に深く入っていきたいということもあって、こちらの浄法寺のほうに2年前に来ました。漆のことはまだまだ知らないことも多いのですけれども、この2年間で学んだこととかを含めて、いろいろお話していきたいなと思っています。よろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、大村さんお願いします。

大村 友美子
 大村と申します。軽米町の円子地区というところで、旧小学校の跡地に地区センターが建ったのですけれども、その一角に町でパン工房を整備していただいたところをお借りして、全員子育て世代のお母さんたち6人集まってパンを作っております。動き出したのはおととしぐらいなので、まだまだ全然初心者に近いパン屋なのですけれども、いろんな方から応援していただいて、頑張っているところです。
 私自身は、主人と結婚してから軽米に来て、出身は青森県の野辺地町という雪深いところです。大学が岩手の滝沢の県立大学に通わせていただきまして、そこで主人と知り合って、いろいろあって結婚して、こっちに来ました。ちょうど地区センターが建った時期は、私、第3子を妊娠していた時期で、全然こんなに当事者になる気なんて全くなかったのですけれども、いろんな方の後押しとか、いい先生に巡り会ったこととか、いろんなことが重なってここまで来たかなというところです。
 また何かあればお願いします。ありがとうございました。

八重樫部長
 続いて、岩渕さんお願いします。

岩渕 綾子
 私は、九戸村で小さなカフェを営んでおります。カフェこちゃやの岩渕綾子と申します。よろしくお願いします。
 私は、高校のときから盛岡に住んでいて、結婚を機に九戸に来ました。こちらに来る前は、短大卒業後から約13年間、病院や高齢者福祉施設、保育園で栄養士として勤めていました。栄養士は、とても大変な仕事でした。でも、その分やりがいとか楽しさも感じていました。九戸村に来ることになって、結婚もうれしかったのですが、通えないので、栄養士は泣く泣く辞めてきました。
 九戸村に来てから仕事を探そうと思ったときに、自分の中で食に関する仕事というのが絶対条件で、でも栄養士とか給食関係の仕事はもうやり切ったなという思いがあったので、ほかに何かないかなと考えたときにカフェが思いつきました。そのときは、私自身というよりも、夫が乗り気でした。夫が乗り気で後押しをしてくれたのですが、夫が九戸村の役場職員ですので、九戸村を楽しくしたいという思いがあったと思います。そのときちょうど家を建てる計画があったので、自宅兼カフェの方向で話を進めました。
 栄養士とカフェとでは全く違うものなので、カフェを始めるに当たり、まずお金をいただけるくらいのものを作らなければなりません。自信あるレシピは本当に少なくて、それだけでは本当に不安でしたので、料理教室とか、お菓子教室に通ったりして、あとはひたすら作ることを繰り返して、自分のレシピ、自信があるレシピを作りました。そして、晴れて2017年12月にお店をオープンすることができました。
 自己紹介は以上です。よろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、峠さんお願いします。

峠 友香
 御所野縄文博物館の峠と申します。普段は博物館で行っている土器作りなどの縄文体験の対応ですとか、あとはSNSでの情報発信の仕事などを主に行っています。
 私は、一戸町出身で、高校生まで一戸町で過ごしました。ちなみに、私が小学校5年生のときに御所野縄文博物館がオープンしまして、当時一戸町にオペレッタ劇団という劇をやる劇団があったのですけれども、それに参加していまして、ちょうどオープンのときに縄文時代の劇を御所野でやるというのに参加していたりですとか、あとは小学校でも中学校でも、学校の授業で縄文体験をする機会が本当に多くて、土器作りも粘土作りからやったりですとか、あと植物の繊維を実際に自分で取って、それでコースターを作ったり、かなり縄文漬けな小中学生を過ごしました。
 その一方で、私はテレビとか映像関係の仕事にちょっと興味があったので、大学ではそっちを勉強してみたいなと思いまして、メディア関係の勉強ができる関東の大学に進んだのですけれども、いざ就活となったときにちょっと私が頑張れなくて、関東のほうで働くつもりで出ていったのですけれども、一度ちょっと地元にも目を向けてみようと思って、真っ先に思いついたのが御所野縄文博物館というところで、本当にありがたいことに今博物館で働かせていただいているという状況です。
 今回は、食でつながるというテーマなので、博物館でも結構食に絡めた事業などもいろいろ行っておりますので、その辺りも後半お話しできればいいかなと思っております。本日はよろしくお願いいたします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、荒内さんお願いします。

荒内 雅美
 一戸町地域おこし協力隊の荒内雅美と申します。もともとは青森市の出身なのですけれども、いろいろあって、今、一戸で協力隊をやってもう3年目、今年度で任期が終わるというところなのですけれども、基本的な協力隊としてのミッションは、一戸町で行っています公営塾、小学生を対象とした塾の講師、あとは運営とかというのがメインのミッションなのですけれども、それにプラスアルファして、私が自分で食べ物を食べたり、作ったりするのが好きだというところがあって、町の雑穀だとか、乳製品だとか、果物だとか、その時期、時期で取れるものを使ったお菓子を、主にマフィンを焼いて、町で売ってという、地産地消マフィンの販売というのも地域おこし協力隊の活動を通してやらせていただいています。
 そっちに関しては、全然町から求められたものではないのですけれども、私が一戸で楽しく暮らす上で、ちょっと何かできないかなと思ったときにたどり着いたミッション、自分に課したミッションというところがありまして、実際塾にいて、子どもさんとか保護者さんと会っているだけでは分からない町のいろんなことがお菓子づくりを通して見えたりとか、いろんな課題だったり、いろんな面白いことにお菓子づくりを通して会えたというところがあるので、そういったところも今日はお話しできればなと思っています。よろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、一通り自己紹介いただいたところで、ここからは本日のテーマであります「食でつながるカシオペア連邦」に沿って、現在の皆様の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、県への期待なども含めて、お話をお願いします。先ほどの順番で、今村さんから、お一人5分程度でお願いいたします。お二人ずつお話をいただいた後、知事からコメントをしていただくという形で進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、今村さん、お願いいたします。

今村 有希
 お願いします。漆の器を作るに当たって、おいしいものをおいしい器で楽しんでいただきたいという思いの下で、日々製作をしています。おいしい器というのはどういうことかなというと、まず漆でしか見られないしとっとした質感だったり、手触りだったり、口当たりだったり、漆の器だから得られるおいしいという感覚を日々の生活に取り入れていただくことで、おいしい食事がより気分のいいものになるのではないかと思っています。
 また、その器自体には、ただ器があるのではなくて、そこには背景やストーリーがあって、浄法寺は漆が取れる産地で、漆掻きの職人がいることだったり、漆の苗を子どもたちが植木していたりだとか、浄法寺の漆器の考え方は天台寺の僧のおわんづくりから始まっているということであったりとか、その地域のストーリーでもあり、人のストーリーでもあり、またどういうふうに作られているかという工程だったりとか、そして私たち塗っている人間が、県外からも来ていますが、どういう思いを持って来ているのかという、その器1個に背景があって、ストーリーがあってということを知ってもらうことで、よりおいしい器になるのではないかなと思っています。
 その背景やストーリーを「学ぶ」「知る」という旅を昨年d design travelさんが企画してくださって、旅行が「学ぶ」や「知る」だったりとか、生産者や地元の人と話す機会になったりとか、交流する場として企画してくださいました。ほかの県になりますけれども、宿とマルシェが一緒になったレストランがあって、大きなテーブルを外から来た人と地元の人とが一緒に囲んで交流する場をつくったりとか、県外のシェフがここに来て、料理を作って地元の人たちに振る舞って、食べたい人が外からも来たりだとか、そういう外と地元の人が交流する場づくりというのだったり、今までのいわゆる観光地というものをつくらない、豊かな自然とおいしいものと、そういう地元の人たちにとっては当たり前のものを外の人と一緒に共有する場づくりという機会が今どんどんできてきているのではないかなと思っていまして、そうなったときに、「岩手イコール漆」が実はまだまだ弱いのではないかなと思っています。地元の人たちの生活、暮らしの中に、漆器がまだまだ当たり前になっていないので、当たり前になっていったらいいなと思っています。農産業とかで言う地産地消という言葉が漆でも、苗を作って、地元の小学生の子たちが苗を植えてくれて、漆掻きをして原料を取って、私たちが塗りをして物を作って、それを使い手まで、地元の人たちが使ってくれて、そういう輪みたいなのができていくと、より岩手に行ったら漆が当たり前にあってというその魅力、その土地を旅する魅力とか、強みみたいなものがつくれるのではないかなと思っています。
 今、滴生舎で作っているものとしては、暮らしの中に入っていく器というものを、日常生活の中で毎日使ってもらえるものというのを積極的に作っていますけれども、レストランだったり、カフェだったり、食堂だったり、さらにはアウトドアだったりとか、食のあるときや場所にフィットする器というのをもっと広く考えていければ、より漆が当たり前になじみやすくなっていくのではないかと思っているので、その辺も提案していきたいなとは思っています。
 先日インターンという機会で、大阪と山形のほうから学生が2人、滴生舎に漆を学びに来てくれました。その子たちは、漆への考え方もいろいろあると思うのですが、滴生舎を選んで、漆のものづくりをしていきたいという志をもって来てくれました。滴生舎の思いに共感して、賛同して来てくれる人たちに、そういう意欲のある子たちに、より来やすく、暮らしやすい、工夫だったりとか支援とかいうのを県に期待したいなと思っています。最後に、「岩手イコール漆」というこのブランド、岩手といったら漆だよねというのが広まるように、私たちも頑張っていきたいなと思っています。ありがとうございます。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 引き続きまして、大村さんお願いします。

大村 友美子
 私たちのパン工房で作っているパンは、岩手県産小麦100%、「銀河のちから」と「ゆきちから」というのを使って作っていまして、それを教えてくれたのが、かなり高齢なのですけれども、武山照愿さんというパンの先生で、私たちもそれを食べて、すごくおいしくて、びっくりしたのを覚えています。それで、プラス、パンに使う水も岩手県内で採水されたミネラルウォーターを使おうということで、オール岩手、岩手の地産地消パンということでアピールして、今頑張っています。
 あと、焼き菓子もたまに作っているのですけれども、そちらにも岩手県産の薄力粉「ゆきはるか」とか南部小麦の全粒粉ですとか、そういうのも使ったり、あとはもちろん軽米のおいしい食材もたくさんありますので、蜂蜜ですとか、季節のブルーベリー、リンゴ、いろんなものを使って、添加物もなるべく入れないように頑張って、私たち全員、幼児、中学生、小学生、みんな子どもがいるお母さんたちなので、ぜひ安心して召し上がっていただけるパンを作りたいなというふうに考えて、頑張っています。
 今年9月だったのですけれども、実は学校給食にパンを提供することができまして、それは私たちの最初からの夢だったのですけれども、そちらもかなえることができまして、実際お昼どきに小学校さんにお邪魔して、「おいしい」と聞いて、「おいしいよ」という声をもらったりして、ちょっとやる気につながって、これからも機会があれば頑張ってみたいねとお母さんたちでしゃべったりしています。
 あとは、最近感じていることとして、「食でつながるカシオペア」というテーマなのですけれども、割とツイッターとかインスタグラム、フェイスブックに力を入れて更新しているのですけれども、そっちからの反響が結構あって、軽米だけではなくて、八戸、一戸、久慈からもお客さんに来てもらって、やっぱりおいしいねという感想もSNSを通じていただいたりして、そういう反応もあったりして、すごくうれしく思っていました。
 あとは、やっぱり私たち、子どもが熱を出したりすると休まなければいけないお母さんたちが多くて、そうすると、今現在6人で活動しているのですけれども、1人はまず販売専門スタッフ、あとの5人の中の3人で1日回しているのですけれども、2人までは何とか休める体制にして、最初のほうにこういう体制で頑張ろうねということで、あまり無理をしないというのが割とあって、なので、お客さんには申し訳ないのですけれども、土日は完全に休みで、月曜から仕込みが動き出して、火、水、木、金というふうに営業させてもらっているのですけれども、それでも何とか来てくれるお客さんに支えられてやっています。それでもいいよという声、頑張ってねという声をすごくいただくので、ありがたいなと思っていました。
 まるこパン工房コパンというのが名前なのですけれども、コパンというのはフランス語で仲間ということから由来していまして、私たちも助け合いながらこれからも続けて、なるべく長く続けていけたらいいのかなというふうに思っていました。
 ありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、達増知事からコメントをお願いいたします。

達増知事
 今村さんには、滴生舎の塗師として活躍をいただいて、ありがとうございます。岩手県としても、漆の生産量が日本一で、クオリティーは世界一、そして浄法寺塗があって、県南のほうには秀衡塗があって、伝統工芸品の代表でもあるということで、去年、伝統的工芸品の全国大会もあって、改めて岩手の漆というのをアピールしようということで、そのときに製作した漆塗りのモニュメントが、さんさ踊りを踊っているような、CGで描いたような人型の、人間と同じくらいの背の高さの赤と黒の人形がメトロポリタンホテルニューウイング、盛岡駅の近くのホテルに立っていますけれども、いろんな機会を利用しながら、岩手イコール漆と認知してもらえるようにアピールしていきたいと思います。
 一方、今村さんがおっしゃったように、普段から使っていること、地元、県民が普段から使っているということがやっぱり大事なのだと思いますので、陶器とか、いろんな食器はあるのですけれども、漆器は軽くて、御飯を入れて手に持っても、御飯そのものの重さが感じられていいとか、あと唇に当たったときの優しさとか、そういうところもやはり広めていきたいと思います。
 そして、大村さんは、軽米町でパン工房を立ち上げられて、お母さん方、若い女性の皆さんが働きやすいように、子育てと両立できるような形でやっているというのが大変いいと思います。そして、岩手県産の小麦を使っていただいていて、ありがとうございます。岩手は、お米もいいものが取れますけれども、小麦のほうも伝統的に、ヨーロッパのような気候風土が特に岩手県北のほうにはありますから、小麦文化もありますし、パンが現代的な生活の中で地元でも喜ばれて、SNSでまたそれがあちこち広がっていくという形で、ぜひこの調子で進めていただきたいなと思います。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、岩渕さん、よろしくお願いします。

岩渕 綾子
 私は、カフェを始めようとしていたときは、九戸村のためとか、地域おこしをしようとは全く頭にはなかったです。葛巻町出身なのですが、若い人特有の田舎が嫌だなと思って盛岡に出たのですが、長年住んでいた盛岡が好き過ぎて、こっちに来てから九戸村やっぱり何もないなとか、盛岡に帰りたいなとか思ったほどでした。ですので、カフェをオープンしようと思った目的は、まず自分が仕事として楽しめるということが一番でした。そのために、お母さんが子どもを連れてきても、子どもとかが寝転がってもいいようにお店はフローリングにしようとか、落ち着いてくつろいでもらえるように木の造りにして、薪ストーブを入れようとか、どういうお店にしたいかは夫と相談しながら決めていきました。
 その頃、ちょうどお菓子を持って、地域のイベントにも出店させていただいていたのですが、そこでクラフト作家さんとの出会いもありました。そこで初めて、九戸とかカシオペア地域にもすてきに動いている人がいるのだなと思って、今までの栄養士としての出会いと全く景色が違って見えました。お店に地域の方々のクラフト雑貨を置いたら楽しいお店になるなと思って、知り合った作家さんたちにお願いして、置かせていただくことになりました。現在は、8名の方にお願いして、置いています。お店で使うテーブルとかは、九戸の地元のマルイさんの家具にしようとか、フォークとかスプーンは二戸のプラム工芸さんのものにしようとか、食器1つもこだわりを持って選びました。
 提供するおやつにももちろんこだわりは持っていて、こだわりは持っているのですが、ここのいいところは、どこかに探しに行かなくても、季節ごとにおいしい果物とか野菜が取れるので、自然に目にするもので作れるということが私としてすごく幸せな環境でした。
 お店を始めてからは、外でも「こちゃやさん」と声を掛けていただくようになって、九戸村に来たときとは全く違う自分がいました。心境の変化として大きいのが、今カフェをしている意味は、地元の方々に楽しんでいただくためと思っていることです。近くにアレルギーを持っている方がいらっしゃるのですが、普段はアレルギー対応のものは作っていないのですが、その方に御連絡いただいたときは、その方のアレルギー対応のおやつを作ったりですとか。
 また、地域の方々に楽しんでいただこうという思いは、このコロナ禍で強く感じるようになりました。2017年にお店をオープンして、実はすぐに産休と育児休暇でお店を休んだのですが、初めにオープンしていたときは、確実に、どこから来たのだろうというような若いおしゃれな感じのお客様が多かったのですが、今年の7月に再オープンしてから今までの現状は、御近所のおばあちゃんとか、私の顔見知りですとか、葛巻とか、二戸とか、近くのお客さんがほとんどです。皆さん自粛されているのだなと思って、お店にもすごく影響が出ていて、正直経営状況は厳しいところなのですが、それでも近くのおばあちゃんとかは車も運転できませんし、近くのお母さんが子どもを連れてきてくれているのを目の当たりにして、ここにカフェがあるから来てくれるのであって、なければ、おばあちゃんたちの出かけるきっかけもないですし、そういう姿を見て、ああ、よかったな、仕事楽しいなと思います。
 昔は、私も田舎が嫌だと思っていたので、もしかしたら九戸村の学生さんたちも、そういうふうに嫌だなと思っているかもしれないのですが、ないものはなくて仕方ないので、自分たちが少しでも、住んでいるところは楽しいところだなと思ってもらえるように、大人が動かなければと思っています。大人と子どもとでは、感性とか欲しいものが違うので、ちょっとそこは難しいところでもあると思うのですが。
 最近九戸村で、鶏肉生産量県内1位をアピールするキングオブチキンというキャラクターが動き出して、九戸を盛り上げようとしています。村長さんはじめ、保育園の子どもたちや高齢者、金融機関の方々も、九戸村を巻き込んでアピールの動画をつくったり、コロナの影響で経営不振の事業者や鶏肉生産者を応援するために、九戸村で買物をしようという特典つきの感謝祭を行ったり、明らかに九戸は盛り上がっているなという感じがするくらい盛り上がりました。私も子どもを連れて動画作成に参加したり、感謝祭のチラシを配りに行ったり、お店としては今はランチはお休みしているのですが、そのとき限定で鶏肉を使ったランチの提供をしたりと、カフェとしても協力させていただきました。いろんなPR活動の場に参加したのですが、活動をしている大人たちがすごく楽しんでいるなと感じました。そのような楽しいというのをみんなに共有するのは難しいことかもしれないのですが、大人が村のために何かやっているという動きは、多分若い人たちにも伝わっていたのではないかなと思います。若い人たちが求めるのは、物を増やしたり、お店とか便利なものとか、そういうことだと思うのですが、そういうことはできないけれども、自分たちができることをやって、子どもたちに刺激を与えられたらと思っています。
 今後なのですが、特にこれをしたいという大きいことはないのですが、今は子育てでいっぱいなところもあるのでランチをお休みしているのですが、ランチを望んでいるお客様もいらっしゃるので、落ち着いたらランチも始めたいです。たくさんの人に支えられてできたお店で、今も本当に支えられているなと日々実感しているので、私にとっても特別な場所ですので、細くも長く続けていければと思います。
 若い人たちが村から出ていくことは仕方がないし、一度は出たほうがいいとは思います。そうなのですが、一度出た経験を生かして、村内に戻ってきてくれる人が一人でも多くいればいいなと思います。そのために、私たちが村の活性化に一番動ける大人だと思いますので、住んでいて面白いところだなとか、帰ってきて何か活性化のためにやりたいと思ってもらえるように、私というか、カフェこちゃやも若い人たちに刺激を与えることができたらと思います。
 以上です。ありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続きまして、峠さんお願いします。

峠 友香
 よろしくお願いします。私からは、普段私が関わっていることについてお話しできればいいかなと思っております。
 先ほどもお話したのですが、私は普段縄文体験のほうを対応しておりまして、これまで食に絡めた事業を幾つか行っているので、そちらをちょっと御紹介したいなと思います。大変ちっちゃいのですが一応写真を持ってきたのですけれども、こちらの写真は、縄文土器で煮炊き体験ということで、春には山に山菜を取りに行って、その材料を実際石器で切って、縄文土器で煮て食べるという体験をやったりもしています。
 あと、縄文土器のクッキー作りという体験をやっていまして、最初に縄文土器、本物の土器のかけらを観察しまして、その観察したものを見ながら本物そっくりの土器のクッキーを作るという体験です。これが、実際の土器のかけらとクッキーの写真なのですけれども、どっちがどっちか分からないくらいすごくこだわって作ってくれていて、この左側がクッキーで、右側が本物の土器のかけらになります。どっちもおいしそうな感じなのですが、こういう体験も行っています。
 あと、昨年から縄文給食という事業を始めていまして、町の給食センターの方と博物館スタッフと相談しながら、縄文時代からあった食べ物を給食の中に取り入れて作ってもらっているものになります。町内の小中学校のみんなは、この日は全員この給食を食べるという形になっていて、食を通して縄文文化に触れてもらおうという事業になっています。
 あと、去年なのですけれども、荒内さんに博物館のほうに来ていただいてマフィンを販売していただくということも行っています。御所野縄文博物館はカフェがなくて、休憩できる場所はあるのですけれども、食べるものがないということで、今年はコロナでなかなかできていなかったのですけれども、去年から荒内さんに博物館の休憩コーナーで販売をしていただいたりということも行っています。やっぱり食とつなげてやると、参加者の皆さんもすごく楽しそうというか、生き生きしているなというのは感じますし、楽しみながら学べるのが食と関わることでできているのではないかなというのはすごく思います。
 さっきもお話したのですけれども、私は小さい頃から御所野遺跡に関わることがすごくあって、御所野で過ごした時間がすごく楽しかったという記憶が一戸町に戻ってきている理由になっているので、ちょっと話はそれるのですけれども、県外に出たときに「岩手出身です」というところまではしゃべれるのですけれども、「岩手の一戸町です」とはなかなか自信を持ってしゃべれないところが私自身はあるので、これからそう言ってくれる子どもが増えていくように頑張っていきたいなと思っていまして、そのためには普段の縄文体験の活動ですとか、学校で博物館に来たときに縄文とか御所野遺跡について学びつつ、それがすごく楽しい経験になればいいなというふうに思っています。その御所野で楽しかった経験が地元を好きになるきっかけになるようにと思いながら、日々取り組んでいるところです。
 あと、食と関係ないのですけれども、私がもう一つ主に行っているのが、SNSでの情報発信の仕事になります。御所野縄文博物館では、現在ツイッターとフェイスブックとインスタグラムのアカウントを持っていて、イベントですとか、日々の公園の様子などを更新しています。最近特に力を入れているのがインスタグラムの更新です。2018年から始めて、ちょっと細々とやり過ぎていたのですが、今年の10月から力を入れようということで、毎日投稿を始めて、何とか今フォロワーが730人のところまで来ました。今年の11月に、御所野遺跡の世界遺産登録を祈念して、町で打ち上げ花火を行ったのですけれども、そのときにインスタライブを初めてやってみまして、すごくたくさんコメントを皆さん打ってくださって、町内の方をはじめ、大阪とか、東京とか、岐阜とか、全国各地の方が見てくださっていて、常に50人くらいはインスタライブを見てくださっているというありがたい感じでやらせていただきました。
 あと、実は今年の4月からユーチューブの動画配信も始めまして、これはコロナの影響で博物館が臨時休館にならざるを得ないという状況になって、何かできないかとなったときにユーチューブの配信を始めてみました。内容としては、学芸員と一緒に縄文土器を見てみようですとか、あとおうちで縄を作ってみようみたいな、おうちでも楽しめるような動画をつくって、配信というのも始めたりしています。
 順調にいけば、来年には御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産になるかどうか審議される予定になっています。これから、より御所野の情報を発信していかなければいけないと思いますので、御所野でも発信していきますし、県のほうとも何か一緒にコラボしながら発信していければ面白いのかなとも思っています。あと、今日いらっしゃっている皆さんともすごくいろいろ関わっていけるのかなと思っていまして、漆は縄文時代からもう既に使われていますし、食の部分でもいろいろ関わっていけるかなと思いますので、御所野をぜひ皆さんにも活用していただいて、カシオペアの皆さんが集う場所とかになっていったらすごくいいのかなというふうに思っています。
 私からは以上になります。ありがとうございます。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からコメントをお願いいたします。

達増知事
 岩渕さんには、カフェこちゃやをオープンしていただいていて、そういうのはやっぱり地域にとって非常に大事だと思うので、私からも御礼を申し上げたいと思います。子どもが寝っ転がれるようにするとか、そういう現代に求められているような生活にマッチしたカフェで、大変いいのではないかと思いますし、あとは地元のものを使って、地元というのはカシオペアの視点を持つと実はものすごくいろんなものがあるというのは大事だと思います。この二戸エリアの中で見ていくと、何もそろわないというのが、何でもあるみたいな感じになっていくのではないかと思います。
 また、九戸村自体、実は結構季節ごとの野菜や果物がかなりあるということですけれども、この規模の、この面積やこの人口の村としてはかなり豊かなほうなのではないかなと思っていまして、ブロイラー、養鶏の産業の力もありますし、いろんな収入の道というのもあって、もちろんそれは都会的な経済力とは全然違うようなものではあるのですけれども、岩手県で県民の幸福度を高めようとか、経済指標、1人当たりの所得の高さとか、いろんなそういう数字は、それもあればあったでいいのですけれども、それだけが幸福の指標ではなかろうということで、いろんな幸福につながるような指標を設けて、それをそれぞれ高めようということでやっているわけですけれども、九戸村には幸福を高めるのに役立つものはものすごくたくさんあると思いますし、それは二戸エリア全体としてもそうなのだと思います。
 そして、峠さんは、御所野縄文博物館の職員ということで、自分の経験を基にしながら、子どもたちはじめ、縄文を伝えて広めていくというのは、非常にいいのではないかと思います。縄文クッキーというのもいいアイデアだと思います。そう言われると、縄文土器のかけらというのは、見れば見るほどクッキーのような感じがすると思います。縄文時代というのは、人類が人間としてやっていくのに成功し始めた時期で、その頃の食生活とか、衣食住ですね、それぞれ今でも役に立つとか、大事とか、人間の本質にぴったりするような部分がかなりあると思うので、やはり来年、世界遺産登録を確かなものにして、世界遺産登録される最大のメリットは関心を持ってもらえるということなので、今まで御所野のことを知らなかった人たちに知ってもらうために、やっぱり世界遺産という看板は非常に役に立つのです。これは平泉もそうだったわけなのですけれども。ですから、世界遺産登録を確かなものにして、それでより多くの人たちに知ってもらえるように県のほうも頑張っていきたいと思います。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、荒内さんよろしくお願いいたします。

荒内 雅美
 私は、一戸町に来るまでは盛岡に15年ぐらい住んでいたのですけれども、ちょうど仕事を辞めて、仕事を探しているときに一戸町の地域おこし協力隊、塾の先生を募集していますというのを見つけて、転職に伴う移住ぐらいの感覚で来たのですけれども、盛岡にいる頃は不動産の売買の仕事をしていまして、全然関係ない仕事をしていたのですけれども、そこから一戸町に来て、まず住むところと思って見たらば、そのときに空いている物件が2つしかなくて、2択の状態で、不動産屋さんに電話して「中見せてください。1時に行きたいんですけど。」と言ったら、「1時だとちょっと御飯食べているから、1時15分からにしてけろ。」と言われて、ああ、お昼御飯を私待たされるのだと思って、のんびりした感じにびっくりしたのがあって。
 実際一戸町に住んでみると、さっきこちゃやさんもおっしゃっていたのですけれども、クラフト、自分たちで手作りして、何でも作ってしまう方がいっぱいいらして、それがすごくプロ並みの作品だったりとか、しかもバラエティーに富んでいておしゃれだったりとかと、すごいなと、この辺に息づく手仕事の文化ってすごいものだなと思ったのですけれども、実際には作ったものは全部くれてやっているとか、特に商売にするということは考えていないし、「いやいや、そういうのじゃないのだから」と言って終わってしまうような、えっ、これってどうにかならないのかなというような面白いことがいっぱいあって、でも、そもそもこの地域の人たちが必要としてもいないのに、私が勝手に「これ商売にしたらいいよ」とか、「売ったらいいよ」なんて言うのもあれだし、もしかするとそういうお客さんの需要もあるのかな、ないのかなみたいなところで、自分も地産地消マフィンという名前でお菓子を売り始めてみたのですけれども。私は、「いちのへびより」という屋号を最初につくって、一戸で過ごす時間を楽しいものにできたらいいなと、そのお手伝いができるようなお菓子作りができたらいいなというところで始めたのですけれども、まずその自分のマフィンを幾らで売るかというところから、町のものというのはそんなに高いものはないし、例えば1個300円にして、スーパーに行けば150円で売っているのだけれども、300円のマフィンって売れるのだろうかと思ったときに、でも協力隊という仕事の中でやらせていただいているので、食いっぱぐれることはないからまずやってみようかと思って始めてみて、町の産業まつりで売ったのが一番最初だったのですけれども、そうしたらば、あのときは多分50個とか作ってみるのが限界で、作ってみたのが30分でなくなって、あっ、売れたと思って。そうしたら、いろんなところから、「じゃ、次はここに来てくれ。」と町の人から声がかかるようになって、町のお祭りとか、到底300円のマフィンなんか売れないようなところに持っていっても売れて、売り切れていって、峠さんにもさっき御紹介いただきましたけれども、御所野に持っていってみて、「マフィンを買ってくれた人にはコーヒーお付けしますよ。」とかと言って売ってみたら、なくなってしまうということが起こって、どうやら町の人は面白いことに飢えているし、自分たちの手仕事の、自分たちの文化のその価値に気づけば、これってもっと面白いことになるのではないかなというふうに思い始めたのがきっかけで、去年の今頃、「いちのへ手しごと市」というクラフトマーケットみたいなイベントを町内で企画して、主催してやってみたのです。町の人とか、県北の作家さんとか、いろんな方に声をかけたところ、30組だか40組だか、すごくたくさんの作家さんが集まってくださって、まず作家さんがこんなたくさんいることにもやっぱりびっくりしたし、そのイベント自体は土日で1,000人を超えるお客さんが来てくれて、それを求めている方もいるのだということにも気づいたので、これは町の大きな魅力なのだなということに気づくことができたというのが私にとっては、もしかしたら塾の運営の仕事だけしていれば気づけなかった話なのですけれども、やってみたことで分かったことがあったというところはすごい発見でした。
 そうやって、手作りのものというのは、食べ物にしても作品にしても何でもそうなのですけれども、人をつなぐものだなというふうなところが分かったので、ではそれを町の大事なものとして育てるためには、やっぱりそこは少しは売上げがあって、利益があって、稼げなきゃいけないよなということを思うのですけれども、そこになると町の人というのは結構、「いやいや、そんなのじゃないのだから」というところが根強くて、だから九戸のオブチキもそうですけれども、プロデュースしてあげるというか、あげるとか言うと上からなのですけれども、「こういうパッケージに入れてみないか」とか、「これ2個セットで売ってみないか」とか、「私と一緒に売ってみないか」とか、何かそういうような形で一緒につくり上げていけたらいいのかなというふうに思っていて。
 私は、お菓子を作るほかにも「いちのへごはん」といって、町のおいしいものをみんなで食べようよという御飯会を開催しているのですけれども、それもちゃんとお金を取って、それで町のものを食べると。町の人にとっては当たり前のものしか出てこないのだけれども、来るのかなと思って始めてみたらば、30人ぐらいは毎回集まってしまうということになっていて、やっぱりわくわくしたい人というのはいっぱいいて、その需要というのは経済をつくるのではないかなというところを協力隊として3年一戸にいて思うところなので。
 私も3月で協力隊の任期が終わって、その後はどうするのという話になっているのですけれども、できれば一戸町に引き続き住みながら、町のわくわく拠点をつくりたいなと思っていて。そうなると飲食店、カフェみたいなものになるのかなというところで、今検討しているところなのですけれども、私が一戸町の協力隊員の第1号なので、これから起業していくに当たって、やっぱり第一には自分が稼いで暮らしていくということが目的なのですけれども、ほかにも副業とかしていることがあるので、町で暮らせるよ、田舎でこれくらいの仕事をして暮らせるんだよという、そのライフスタイルを提案するということもしたいし、それがやっぱり移住の一つのきっかけになったりとかもするのかなとも思うので、起業することによって町のわくわく創造拠点みたいなのをつくりたい。あとは、「1号の人ってあそこで何だか面白そうに生きているっけよ」というふうな事例1になれたらいいなというふうに思っているし、そういうふうな拠点をつくることによって、また近隣の市町村の人たちともつながっていくのだと思うので、ちょっとまだ具体的な話は、そこまで決定した事項はないのですけれども、そういうような拠点をつくって、一戸町で楽しくおいしいものを食べて生きていきたいなと思っています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からコメントお願いいたします。

達増知事
 荒内さんには、一戸町の地域おこし協力隊、ありがとうございます。
 物を作って売るというとき、面白いことという感覚がやはり大事なのだと思います。地域振興の例でいろいろあるのですけれども、四国の山奥の自治体で、葉っぱビジネスですね、高齢者の皆さん、おばあさん方がきれいな葉っぱを集めて、それを京都とか東京の料亭で使う料理に添える紅葉の葉っぱとかで、それがビジネスになるなんていうのも、やっぱりやっていて面白いというのが大事みたいですね。
 岩手県内では、産直で餅菓子を作って売ったりとか、パンを作って売ったりとかというので成功しているところもあるのですけれども、やっぱり作ることが面白く、また売ることが面白いという、そういう面白さが大事なようであります。
 そして、地域おこし協力隊が終わった後のことというのは非常に大事なテーマで、オール岩手、また日本全体としても大事なテーマなのですけれども、地方の特色として、都会はどこか一つの組織に入って就職すると、それで食べていけるという機会がたくさんあって、地方はそういう何か一つで食べていくような雇用の機会は少ないのですけれども、組み合わせることですよね、やっぱり。幾つかの仕事を組み合わせるのが、兼業のやり方が地方だと可能になるし、それぞれ一つ一つだけだと食べていくのが難しいけれども、それぞれ時間的余裕が結構あるので、兼業、仕事を組み合わせることで食べていける、暮らしていけるというのが、地方暮らしの一つのメリットであるので、ぜひそういう方向で成功させてほしいなというふうに思います。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 皆様から一通り本日のテーマである「食でつながるカシオペア連邦」に沿ったお話をお伺いしました。キーワードとして、地産地消だったり、あるいは楽しい、楽しく暮らすといったようなことが出たというふうに思います。
 先ほど言い足りなかったことや、懇談テーマに関わらない御意見等でも何でも結構ですので、ここからは自由に御発言をいただきたいと思いますが、皆さんいかがでしょうか。
 皆さんそれぞれ移住だったり、あるいはUターンをされて帰ってきたりされているのですけれども、移住してみて感じた地域の魅力だったり、そういったところについてお話をいただければと思うのですが、今村さん、いかがでしょうか。

今村 有希
 私は、出身は岐阜県の岐阜市で割と名古屋に近い地だったので、その後東京だったりとかの場所からすると、岩手県には漆をやりたいというだけで、そのほかのことを何も知らないまま来たのですけれども、自然が本当に豊かで、地元の人たちにその話をすると、普通で当たり前過ぎて全然響いてくれないのです。そこで作られる食材がすごくおいしいですし、野菜だったり、肉だったり、すごくおいしいですし、自然もすごく豊かで、皆さん雪が降るのを嫌がるのですけれども、雪景色も、何もないから雪景色がすごくきれい。外から来ると、地元の人たちの当たり前でちょっと嫌な部分もすごくいいところだと思うので、これを強みに、漆をきっかけに来てくださった皆さんにも、そういうのも一緒に見てもらいたいなと思います。私が好きな写真家の作品で北極の写真を撮ったものがあるのですけれども、その景色の写真と似たものが見られるみたいなぐらい、すっごくきれいだと思ってて、ある種秘境とも思って、みんなに言ったりとかもするぐらいです。そんなすごくいい場所だと私は思っています。

八重樫部長
 ありがとうございます。
 大村さんはいかがですか。

大村 友美子
 私も軽米町のおいしいもの、さっき蜂蜜とか、リンゴとか、ブルーベリーとか言ったのですけれども、ほかにもサルナシというキウイの小さいもの、そういったもののジャムを使ってパンを作ったりして、あと軽米は雑穀の里なので、エゴマというちょっと健康にいい、でも風味もよくておいしいというものを、実はこんなものがあるのですよというふうに少しでも発信していけたら、地域で暮らす方々も少し自信を持つというか、なかなか田舎のほうだとちょっと気分も暗くなってしまうこともあるかと思うのですけれども、そういったところで、私たちはこんないいところで暮らしているのだよというふうに生活していければ、楽しく過ごせるのかなと思っています。
 あと、お母さんたちの中で、趣味がお菓子作りという方も結構いらっしゃるのですけれども、なかなかそういう力を発揮できる場というのはやっぱりなくて、パンに使う機械もすごく高いものが多くて、オーブンとか発酵の機械とか、何種類も、何百万もするようなものを、たまたま町で整備したところをタイミングよく借りることができたというところで、すごくありがたく思って、やらせてもらっていました。
 このまま、できればいろんな人に知ってもらいながら、続けていけたらいいなと思っています。ありがとうございます。

八重樫部長
 ありがとうございます。
 岩渕さん、いかがですか。

岩渕 綾子
 私は、移住というか、出身が葛巻町で隣なので、九戸村のことも小さいときから知っていて、結婚するといって戻ってきたとほぼ同じなので、先ほど今村さんがおっしゃったように、よいものを気づけなかった一部だとは思っています。でも、大人になってから雪きれいだなと思えるのですが、若い人たちにそれを、そうなんだよと言っても、分からないのではないかなと。分かる人もいるかもしれないのですけれども、そういう若い人たちの気持ちも、大人になってからでも、嫌だよねみたいな共感はできます。でも、私は食べ物を専門として今まで仕事をしてきたので、地元のおいしいものというのを、九戸にかかわらず、軽米ですとか、二戸ですとか、産直に行くと結構興奮したりするのですけれども、そういうのは本当に幸せな場所だなと思っています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 峠さん、いかがですか。

峠 友香
 私も戻ってきている感じなので、でも外に、県外に出るまで地元のよさとか一切感じたことなかったというか、山が見えないのがすごく寂しいとか、雪が降らないのがつまらないみたいなのは、本当に外に出ないと分からなかったので、戻ってきて、住んで、やっぱりここが自分に合っているなというか、住みやすいなというのは結構感じているところではあるのですけれども。でも、さっき「子どもたちにもっと自分の地域に自信を持ってほしい。」と言ったのですけれども、どちらかというと、私とか、もうちょっと上の世代とかのほうが自分の地域に全然自信持てていないなと思って、去年も結婚式で友人と会ったときに、「一戸なんて、二戸なんて、何もないしね。」みたいな感じでしゃべっていて、それがすごく切ないなと思ってしまったので、子どもたちに向けてもそうですし、同世代とかに向けても、今からでも自分の地元に自信を持ってもらえるように、御所野遺跡の世界遺産がそのきっかけの一つになればいいなと思いますし、ほかの面でもいろいろ働きかけていけたらいいなと今思いました。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございます。
 荒内さん、いかがでしょうか。

荒内 雅美
 皆さんもおっしゃっているのですけれども、一戸に来てみて思ったのは、その旬のときに食べるものがいっぱいあって、この辺で串餅の名人がいるという話を聞いて、おばあちゃんなのだけれども、「教えてください」と言ったら、「じゃ一緒に作るか」と言ってもらって、行ったときがあったのですけれども、やっぱり串餅とかはそこの家々でそれぞれに作るのだけれども、あの人の串餅が一番おいしいとかという串餅の匠みたいなばあちゃんが一戸町の奥のほうの部落にいたりとかして、「私、みそも造ってみたいんだよね」とかと言うと、そのおばあちゃんが「みそだばこの人だ」とか、「そばだばこの人だ」とか、「豆腐だばこの人だ」とか、「漬物だばこの人だな」みたいな、何かその人たちが一堂に会していて、食の匠みたいな人たちがわんさかいるというのはすごく宝だなと、魅力だなというふうに思いました。
 以上です。

八重樫部長
 皆さん、ありがとうございました。

知事所感

八重樫部長
 ここで、最後に知事からコメントをいただきたいと思います。

達増知事
 私も東京で働いたり、あとはアメリカのワシントンDCに2年いたりとか、あとはシンガポールに2年いたりとかしたのですけれども、アメリカで、ワシントンDCからさらにニューヨークに行って、ニューヨークにしばらく滞在したりとか、確かに一度は行ってみたいなと思って行くと、感動するし、また得られるものも多いのですけれども、ただずっとそこに暮らして、そこで人生を終える、そういう場所にふさわしいかと思うと、そうではないなと。それは、東京というところもそうではないなという感じがしたりしまして、やっぱり岩手のほうがいいなと思うところがいっぱいあるし、食べ物のおいしさというのはやっぱり大きいですね。岩手は、食べ物のおいしさについては、世界、地球上でも非常に傑出したところですので、これは比べると実感としてやっぱり岩手はいいなと思うのは食べ物でありますので、ですから普段からお金をあまりかけずにすごくおいしいものを食べることができますので、そういう生活を大事にしていかなければと思いますし、また子どもたちとか、次の世代の子たちにもこういう岩手のおいしい食べ物をちゃんと食べて、おいしさが分かるようになってほしいなと思います。
 岩手を県外に宣伝するとき、いろんな魅力があるのですけれども、食べ物のおいしさというのはその中でも非常に伝えやすく、分かりやすく、経験してもらうと一発で分かってもらえるところがありますので、これからもそこに力を入れていきたいと思います。
 ありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 皆様、本日は貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。

閉会

八重樫部長
 以上をもちまして、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in九戸」を終了いたします。ありがとうございました。

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