「いわて幸せ作戦会議(in金ケ崎)」(令和2年11月20日)

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ページ番号1036047  更新日 令和2年12月23日

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日時
令和2年11月20日(金曜日)10時15分から11時35分まで

場所
岩手県立農業大学校農業研修館研修ホール

出席者

  • 参加者(敬称略)
    佐々木 佳陽(農産園芸学科 農産経営科 2年)
    武田 幸大(農産園芸学科 野菜経営科 2年)
    村上 一江(農産園芸学科 野菜経営科 2年)
    佐藤 日向(農産園芸学科 果樹経営科 2年)
    齋藤 健吾(農産園芸学科 花き経営科 2年)
    菅原 菜那(畜産学科 酪農経営科 2年)
    宮﨑 ミウ(畜産学科 肉畜経営科 2年)                 

 

  • 県側
    知事、県南広域振興局長、農林水産部長、岩手県立農業大学校校長、政策企画部長

開会

八重樫部長
 ただいまから県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in金ケ崎」を開催いたします。
 お集まりの岩手県立農業大学校の学生の皆さんには貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、「農業による自己実現とふるさと(岩手)への思い」をテーマとし、達増知事と意見交換をしていただきます。
 私は、本日の進行役を務めさせていただきます県の政策企画部長の八重樫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

八重樫部長
 それでは、開会に当たりまして知事から挨拶を申し上げます。

達増知事
 皆さん、おはようございます。菊池校長をはじめ学校関係者の皆さんには、お忙しいところをこのような準備をしていただいてありがとうございます。
 そして、郷右近浩議員、千葉秀幸議員、佐々木努議員、千田美津子議員にはお忙しいところ、御参加をいただきありがとうございます。
 県立農業大学校は、昭和56年の金ケ崎町六原の地に開校して以来、地域農業の担い手育成という建学精神の下、40年間にわたり多くの有意な人材を生み出してきました。卒業生の多くは高度な農業技術と専門知識を習得し、優れた農業者や指導者、そして地域農業のリーダーとして活躍しています。岩手県農業の発展に大きな役割を果たしていただいております。今後も農業の次代を担う人材育成の拠点として御尽力いただきたいと思います。
 県政懇談会は、いわて県民計画の基本目標、東日本大震災津波の経験に基づき引き続き復興に取り組みながら「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」という、これにちなみまして、「いわて幸せ大作戦」と銘打って開催しております。
 今日は、「農業による自己実現とふるさと(岩手)への思い」を懇談のテーマとしております。出席の皆さんからふるさと振興にかける思い、学生生活を通じての気づき、今後の抱負など伺って県政の参考にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

校長あいさつ

八重樫部長
 本日は、岩手県立農業大学校の菊池徹哉校長にも出席いただいております。
 続いて、菊池校長より御挨拶をいただきます。

菊池校長
 おはようございます。岩手県立農業大学校校長の菊池徹哉でございます。
 本日は、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」を達増知事をはじめ県幹部職員の皆様をお迎えして、この県立農業大学校で開催することができ、心から感謝申し上げます。また、御多用のところ、足元の悪い中、御出席いただいた奥州地区選出の4名の県議会議員の皆様にも心から御礼申し上げます。
 先ほど知事からお話がありましたけれども、この県立農業大学校は農業の担い手の育成を目的とした高等農業教育機関でございます。現在農産園芸学科と畜産学科の1年生と2年生を合わせまして100名弱の学生が全寮制の中、農業の知識と実践力を養うために日々講義と作物の栽培や家畜の飼養管理などの農業実習に励んでおります。
 農業大学校の卒業生の進路といたしましては、実家に帰って親と一緒に農業を行う者、また農業の生産を行う農業法人や農業団体、農業関係企業に就職する者、また近年4年制の大学に編入学し、さらに農業についての学びを深めようとする者などがおります。ここで学生の状況をちょっとお伝えいたしますが、現在学生の3分の1は県外の出身者となっております。また、近年女性の割合が増加傾向でございまして、やはり3分の1を占めております。学生の4割は農業高校以外の普通科や商工業系の高校の卒業生であり、学生の過半数は非農家出身というふうになってきております。非農家出身学生の割合が高まっていることについては、少子化が進み、農業高校の学生も年々減少している中、決してマイナスに働くものではないなと、農業分野に多様な人材が流入していく非常にいい傾向ではないかと感じているところでございます。
 さて、本日の懇談会、主要テーマはふるさと振興でございますが、さらに具体的なテーマとして、「農業による自己実現とふるさと(岩手)への思い」ということで設定させていただいております。この具体的テーマの意味するところについて、若干説明させていただきます。
 自己実現とは、自分らしい生き方をする、なりたい自分に近づくために努力し、成長することにより夢を叶えていくことというふうに考えてございます。農業を学びたい、将来農業に関する仕事に就きたいという大変意欲的な学生がこの岩手農大に集ってきてございます。本学で学んだ上で、この岩手県内の地で、また岩手県と深く関わりを持ちながら学生一人一人の持つ夢を実現することが自己実現であり、いわて県民計画のキーワードである幸福をつかむことにつながると考えて、このテーマを設定いたしました。
 本日農産園芸学科の農産、野菜、果樹、花き、畜産学科の酪農、肉畜の計6経営科から来春卒業する予定の2年生7人の学生が出席しております。それぞれの進むべき方向も決まっておりまして、胸を膨らませるとともに幾ばくかの不安も持っているというふうに聞いてございます。そうした学生の自己実現に向けた道筋ですとか、ふるさと岩手への思いについて発言が聞けることを期待しているところでございます。
 以上をもちまして、私からの御挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

八重樫部長
 
ありがとうございました。
 この後の進め方についてですが、まず私から御出席の皆様方を御紹介いたします。その後、お一人ずつ自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、お二人の話があった後に知事がコメントするという形で意見交換を進めていきたいと思います。そして、最後に自由懇談会の時間も設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、座席表に従い本日御出席の皆様を御紹介いたします。
 農産経営科2年、佐々木佳陽さんです。

佐々木 佳陽
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 野菜経営科2年、武田幸大さんです。

武田 幸大
 お願いします。

八重樫部長
 
野菜経営科2年、村上一江さんです。

村上 一江
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 果樹経営科2年、佐藤日向さんです。
 
佐藤 日向
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 花き経営科2年、齋藤健吾さんです。

齋藤 健吾
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 酪農経営科2年、菅原菜那さんです。
 
菅原 菜那
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 肉畜経営科2年、宮﨑ミウさんです。

宮﨑 ミウ
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 県からは達増知事、佐々木県南広域振興局長、佐藤農林水産部長、菊池校長でございます。
 また、本日は奥州選挙区選出の県議会議員の郷右近浩議員、千葉秀幸議員、佐々木努議員、千田美津子議員にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様のお手元にお菓子と飲物を準備しております。どうぞ召し上がりながら懇談いただければと思います。
 今日のお菓子を菊池校長から御紹介いただきます。

菊池校長
 本日お配りしておりますのは、今回の参加学生である野菜経営科の村上さんが実際農大の圃場で栽培し、卒業研究に取り組んでいるフルーツほおずきを原料に使って早野商店、これは岩泉町ですけれども、白石食品工業、それから岩手県立大学と連携して開発されたフルーツほおずきパンでございます。このお皿に乗っているのが食べやすいサイズに切っておりますので、それを食べながら聞いていただければと思います。
 フルーツほおずきというのはあまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、食用ほおずきは赤いのですけれども、フルーツほおずきもお皿の上に載っていますが、殻に包まれた小さな黄色の粒でございます。味は、南国系のトロピカルフルーツのような甘酸っぱさ、加えて味にコクがあるというふうに私は感じているのですが、そういったフルーツほおずきでございます。非常に様々な栄養価があり、スーパーフードというようにも言われておって、近年非常に注目を浴びているものでございます。形のあるお菓子も並んでいると思いますが、どうぞ皆さん食べながら、どうぞ食べながら。これをちょっと紹介させていただきます。
 1つは、ほおずきあんパンでございます。丸いやつです、袋に入ったものです。これは、菓子の生地に粒あんを包み込んで、中が見えるように中央部分の上のほうをカットしてございます。そこに、あんこの上にほおずきジャムをトッピングしたものでございます。
 もう一つのこのデニッシュ系のやつですが、丸ごとほおずきのカスタードデニッシュというものでございます。これは、デニッシュ生地にカスタード、それからほおずきジャム、ほおずきの生果をトッピングした上で焼き上げている、仕上げにピスタチオを乗せていると聞いております。
 ほかにもほおずきのクロワッサン、それから大人のほおずきブレッド、ほおずきジャムとパストラミのサンド、5つの商品が今回開発されて、今後販売していくのですが、そこの部分は村上さんの発表のところに委ねたいと思います。これが、まずパンでございます。
 また、お皿の上にはシャインマスカットが3粒ほど乗っていると思います。これも岩手農大で生産したシャインマスカットでございます。今日、この場には参加しておりませんが、果樹経営科の山田柚季という学生が卒業研究で取り組んでいるもので、シャインマスカットは非常に人気があり、今日本国内でブドウで一番売れているのがシャインマスカットになったと昨日の新聞に出ておりました。これまでは巨峰でしたが、シャインマスカットがそこを追い越したと。
 ただ、スーパーで売っているのを見ると1房2,000円前後とか非常に高価な、おいしいのですけれども、高価な果物でございます。これをもう少しお求めやすいように1房600グラムのものをその4分の1程度の150グラム程度で生産していくと、この右手にあるこれが校内産のシャインマスカットでございますけれども、そういう形で1個500円ぐらいで売るということを考えているものでございます。なっている大きな房を切り分けるのではなくて、もともと小さくして育てていくというものでございます。そのことによって、ここにフレッシュホルダーという水入りの容器がついておりますが、これをこの軸に着けることによって、鮮度を保持します。通常10月中旬に収獲すると1か月程度が賞味期限ですけれども、このフレッシュホルダーを使うことによってクリスマスまでもたせるということを考えているものでございます。
 10月31日に当大学校の農大祭、農業大学校の学園祭を開催しておりますけれども、その際にはこれを120袋500円で販売しましたけれども、15分で完売したということで、非常にお求めやすいサイズになると買ってくれるのかなと。ここにシール貼ってありますけれども、シャインマスカットの文字の下に「柚季の雫」という商品名までつけて、販売したところでございます。この山田さんも2年生で、今度卒業したら実家のブドウ畑の経営を継承するというふうに聞いております。
 あともう一つ、リンゴジュースをお手元に置いております。カップに「はるか」と「ふじ」と書いていると思いますが、2種類のリンゴジュースでございます。これは、昨日果樹経営科と野菜経営科の2年生の学生が農産加工実習の授業で作成したものでございます。「ふじ」は、ちょうど今収穫の時期になってきております。本県の主力品種「ふじ」、これも農大で生産したものですけれども「ふじ」と、それから「はるか」というのは黄色い品種で、知事のテーブルの上にあるのが「ふじ」と「はるか」でございますけれども、「はるか」は袋をかけて栽培しまして、冬場に「冬恋」というブランドで二戸、盛岡、県南など、高級品種として販売しているものでございますが、この2種類のリンゴジュースの味を飲み比べていただければなと。「ふじ」のほうが若干酸味があるかなというふうにも思いますけれども、そういったものでございます。
 お菓子の説明は以上になりますが、もう一つ、すみません、ちょっと長くなりますが、お花をテーブルの上に置いてございますけれども、これは本校の2年生の花き経営科の学生がフラワーアレンジメントとして夕べ5時から1時間半ほどかけて皆様のために作成したものでございます。もう聞き及んでいる方もいるかもしれませんが、今回の技能五輪全国大会にフラワー装飾の部に本校から2名の学生が岩手県代表として出場しておりまして、そのうちの1名、小泉玲那さんが金賞を受賞しております。これは1席でございます、最優秀賞ということで、本県初の快挙となってございます。そういうことで、小泉さんは2年後の世界大会に出場する権利も得たというふうに聞いておりますが、そういった技術の高い花きのフラワーアレンジメントも一緒に御覧いただいて、今日はパン、それからシャインマスカット、お花はお持ち帰りいただければと思っておりますので、すみません、ちょっと長くなりましたけれども、お菓子、ジュース、花の説明です。
 以上で終わります。

八重樫部長
 ありがとうございました。

 

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
農業による自己実現とふるさと(岩手)への思い

八重樫部長
 それでは、皆さんどうぞ召し上がりながら懇談をしていきたいと思います。
 最初に、お一人ずつ自己紹介をお願いいたします。お話しいただく順番は佐々木さんから順にお願いします。
 それでは、佐々木佳陽さんよろしくお願いします。

佐々木 佳陽
 農産園芸学科農産経営科2年の佐々木佳陽です。岩手県の大槌町出身です。
 農業大学校には両親の勧めで入学しました。自家は主業農家ではありますが、私は農業とあまり関わることなく生活してきたので、今農大で学ぶことがとても多いです。入学当初は不安なことだらけでしたが、今は楽しさを感じる場面も多くなりました。卒業までの残り少ない時間を充実させていきたいと思っています。
 今卒業研究では、酒米品種吟ぎんがを使った研究をしています。肥料の種類によって生育や品質がどう違うかを試験してみました。今収穫を終えて、調査結果を取りまとめているところです。卒業後、就農し、実際に自分が経営していくときにも参考にしたいと思っているので、農大の圃場と実家の圃場でも試験してみました。結果によっては、これからの肥料の選定に活用したいと思っています。
 卒業研究にはさまざまな人の手をかりてやらせていただいています。2年間の集大成としても最後まで頑張っていきたいと思います。
 終わります。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、武田幸大さんお願いします。

武田 幸大
 農産園芸学科野菜経営科2年の武田幸大と申します。出身は紫波町で、実家ではキュウリをはじめトマト、ネギ、水稲、原木シイタケ等を栽培しています。
 私は、将来実家の農業を継ぎたいと思っていたので、就農する前に農業高校よりも専門的な知識や技術を身につけたいと考え、農業大学校の野菜経営科に入学しました。農業大学校では、播種から収穫、出荷までの全ての作業を実習で経験することができ、圃場での野菜専門知識を学べるので、毎日がとても充実しています。また、時間にあまり縛られることがなく、寮内での生活もみんなで和気あいあいと楽しく過ごしています。卒業研究は、就農後に研究内容がそのまま生かせるようにキュウリを選びました。就農後は、農家派遣実習で学んだ有機質の肥料を使った栽培方法を取り入れたいと思ったので、施肥資材の比較試験を行っています。また、就農してから自分がやりたいと思っている栽培方法を試験を兼ねて1年前倒しで実施しているので、来年からの本番に向けて大きな自信につながっています。授業が終わった後や週末は短い間ではありますが、ガソリンスタンドでアルバイトをしながら就農資金を準備しています。また、友達と2人でバスケットボール部を立ち上げ、11人の部員と一緒に活動しています。大会に出場することを目標にしていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で参加ができなかったのが残念でした。大会の出場の目標は後輩に託したいと思います。
 以上です。

八重樫部長
 続いて、村上一江さんお願いします。

村上 一江
 農産園芸学科野菜経営科2年の村上一江と申します。出身は岩泉町です。
 私は、地元である岩泉町の農業振興に貢献したいと考えており、盛岡農業高校から学んできた野菜の知識、技術をさらに深めたいと思い、農業大学校の野菜経営科に入学しました。農業大学校では、県内外から集まった農業を志す仲間との学校生活や寮生活がとても充実していて、毎日を楽しく過ごしています。また、野菜経営科は人数も多く、それぞれが夢や目標の実現に向けて異なった野菜の栽培に真剣に取り組んでおり、とても刺激になっています。
 農業大学校を卒業後は、新潟大学で地域振興について学んだ後、岩泉町に戻りたいと考えています。現在岩泉町では、農業の担い手不足が深刻化しているので、地元の農家をはじめ地域を巻き込んで特産品であるフルーツほおずきの栽培体験を行う仕組みをつくり、若者を岩泉町に呼び込むことで地域を活性化したいと考えています。そのため、卒業研究は岩泉町におけるフルーツほおずきを活用した地域活性化方策の検討という課題を設定しました。枝管理や収穫など毎日の管理作業はとても大変ですが、同じ経営科のみんなに手伝ってもらいながら、11月初めまで収穫をすることができました。卒業研究で取り組んだ内容は、将来の夢の実現に向けた初めの一歩となる取組であり、とてもやりがいを感じています。また、卒業研究で御協力いただいている岩泉町の早野商店さんのお声がけによって、岩手県立大学、白石食品工業の直営店であるパノパノさんと連携した商品開発やニーズ発掘調査の活動も行っており、とても貴重な経験をさせていただいています。
 将来は農業大学校で学んだことを生かし、若い人に農業に興味を持ってもらうきっかけづくりに取り組み、新たな農業者の確保や岩泉町の農業振興につなげていきたいと思っています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、佐藤日向さんお願いします。

佐藤 日向
 農産園芸学科果樹経営科2年、佐藤日向と申します。私の出身地は秋田県横手市です。
 私の実家が果樹農家を営んでおり、幼い頃から剪定した枝の拾い方など手伝いをしているうちに、後を引き継ぎ、自分がつくった果物で消費者を笑顔にしたいと思いました。そして、そのことを実現するためには栽培する知識や技術が必要であり、実践に近い形でそれらを習得できるのがここ岩手県立農業大学校であったため、入学しました。
 私の卒業研究では、リンゴの各種資材による着色促進効果の検証と題しまして、一般に赤い品種のリンゴは、色がいいことが果実の食味がいいこととつながって認識されていることが多いため、さらに見栄えもいいことから高い等級として扱われ、高単価で取り引きされることがあります。過去の卒業研究では、リンゴの着色を促進する方法として水に解かして葉っぱにまく肥料の散布とリンゴの木の下に銀色や白いシートを敷いて日光を反射して色をつけるというものがあります。この2つの試験を行ったときの効果が過去の卒業研究で認められておりまして、私はこの2つの方法を同時に実施した場合の着色がどうなるかという効果を検証するとともに着色促進に効果があるとされる、これもまた水に解かしてまいて使う植物ホルモンに関係する薬なのですけれども、その薬剤の散布の検討も加えます。また、反射資材シートにつきましては、現在自家で使用しているシルバーシートとホワイトシートの比較を行い、その結果を確認したいと考えています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、齋藤健吾さんお願いします。

齋藤 健吾
 農産園芸学科花き経営科2年の齋藤健吾と申します。出身は八幡平市の安代です。
 私の実家はリンドウと水稲を生産している専業農家で、将来的には跡を継ぎたいと考え、農大に入学しました。農大では事例研究や農家派遣実習など様々な体験をしました。特に印象に残っていることは、フラワー装飾技能士2級の実技に合格できたことです。フラワー装飾技能士は、ブライダルブーケの製作やパーティー会場の装飾などを行うことができる国家資格です。フラワーアレンジメントは、この農大に入学しなければ自分はやらなかったと思います。練習はとても大変でしたが、アレンジメントを通して様々な種類の花に触れることができ、視野も大きく広がりました。花もちや茎がしっかりした花でないとアレンジメントをつくることができないので、消費者の目線で見ることができるようになり、将来生産する上でも役に立つと思います。
 私の卒業研究のテーマは、リンドウの株仕立て時期の検討です。リンドウは、春先芽が伸びると株仕立てという間引きをして品質の高いリンドウを育てていきます。その時期の違いで生育にどのくらいの差が出るのかを調べました。現在は調査のデータをまとめているところです。

八重樫部長
 続いて、菅原菜那さんお願いします。

菅原 菜那
 私は、畜産学科酪農経営科2年の菅原菜那です。出身地は北上市で、出身高校は黒沢尻北高等学校です。
 農業高校ではなかったため、農業について学び始めたのは農業大学校に入ってからです。私が農業に興味を持ったのは高校3年生のときでした。私は動物が好きで、動物関係を進学先にしたいと考えていました。私は、動物関係のことを学ぶなら、日頃私たちが食としてお世話になっている畜産分野を勉強したいと思いました。農業大学校入学後は、牛舎当番や専攻実習を通して飼育管理や飼養管理技術や餌の飼料の大切さを学んでいます。
 卒業研究では、牛舎で飼槽や水槽を汚しているハトの防除方法について研究しています。牛舎内の衛生管理を保つことも飼養管理の一つであるため、よい成果が出るように励んでいます。また、授業以外にもバドミントン部の代表をしており、毎週火曜日に農業大学校の体育館で部活動をしています。初心者も、経験者も楽しめるよう試合をやるなどの工夫をしています。女子寮の棟長も務めています。
 農業大学校卒業後は、弘前大学に編入学します。大学では、飼料学や飼養学についてより深く学びたいと考えています。さらに、大学卒業後は学んできた知識を生かし、畜産の盛んな岩手に戻って農業普及員になりたいと考えています。
 以上、私の自己紹介でした。本日はどうぞよろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、宮﨑ミウさんお願いします。

宮﨑 ミウ
 畜産学科肉畜経営科2年、宮﨑ミウと申します。出身は神奈川県川崎市です。
 私の実家は非農家ですが、家族と遊びに行った観光牧場での体験や農業高校での経験から和牛の肥育経営をしたいと考え、肉牛について深く勉強したいと思い、畜産が盛んな岩手県の農業大学校に進学しました。
 農業大学校で特に勉強になったのが畜産農家に2週間住み込みで研修を行う農家派遣実習でした。この研修では、現場の技術を学ぶことができましたし、農家の方のおうちで住み込みでお世話になるので、人間的にも成長することができました。また、現在黒毛和種の肥育に関する卒業研究に取り組んでおり、おいしいお肉を生産するために飼料用米を使った配合飼料を自分で調製し、食べさせる試験を行い、将来を見据えて研究に取り組んでいます。
 農業大学校卒業後は、岩手町で国産牛の保育、肥育事業をしているキロサ肉畜生産センターに就職します。将来的には自分の農場を持てるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。皆さんから自己紹介をいただいたところです。
 ここからは、本日のテーマ「農業による自己実現とふるさと(岩手)への思い」に沿って、先ほど御紹介のありました皆さんの活動や学生生活を通じての気づき、今後の抱負、地域振興にかける思い、卒業後のふるさととの関わりなどについてお話を伺います。
 先ほどの順番で佐々木さんからお一人ずつお願いしたいと思います。お二人のお話が終わった後、知事からコメントしていただくという形で進めてまいりますので、よろしくお願いします。
 初めに、佐々木さんお願いいたします。

佐々木 佳陽
 大学校生活では、実習を通して技術面を伸ばすことができていると思います。今は卒業研究を同じ経営科の学生と助け合いながら進めています。机に向かって学ぶことと並行して実習を重ねることでより理解を深めることができています。
 入学後、農大で学んでいく中で、農業や自分の将来に対する思いが強くなったと感じています。何かに夢中になること、努力することへの有意義さも感じています。また、寮生活においても生活力を身につけたり、友達とのコミュニケーションをとったり充実しています。様々な地域から来ている友人たちとともに過ごし、考え方や物の見方の視野が広がったように思います。休日には出かけたり、行事ごとのときにもたくさんの思い出づくりをしたり、楽しい日々の中で周りの意見を聞き、認め合うことの大切さに気づけました。卒業後、それぞれの道に進んでもここでの出会いを大切にしたいです。
 私は卒業後、自家就農する予定でいます。実家では、生産した酒米を地元の酒造業者である浜千鳥さんに出荷しています。また、父は地元の酒米研究会の会長で、私も地元の酒米生産をともに盛り上げていきたいと思っています。
 農大では、技術や知識の向上のほかに経営についても学んでいます。就農したら自分で管理する圃場も持つので、ここでの経験と父のアドバイスを受けながら品質のいい酒米生産を目指していきたいです。
 私は、これから農業をしていく際に地産地消を意識していきたいと思っています。これは、浜千鳥さんが地元のお酒を使い、地元で販売するということを参考にしました。私の住む地域は人口が少なく、高齢者が多くなっています。農業者人口も減少しています。そんな中でも新規就農や産直の活動を耳にすることがあります。地元にはどんな農家さんがいて、どんな農産物が生産されているのか、地元の消費者にもっと周知されて、自分たちの住むまちの農業に少しでも目を向けてくれたらいいのかなと思っています。そして、地産地消の農業によって、地元の農業を盛り上げていきたいです。
 卒業後、私は地元で農業を受け継いでいく中で、農家の皆さんがこれまで大切にしてきたことやなくしたくないことなどをもっと知りたいと思っています。それらを基礎に発展していく農業であってほしいからです。
 農業のやり方は少しずつ変化させていくことが大事だと思います。その一つとして、GAPの考え方の取り入れが思い浮かびました。GAPとは、生産者にとっても、消費者にとっても、安心安全な農産物の生産、消費ができるようにするための取組です。今私が所属する農産園芸学科でもGAPの取得に取り組んでいます。私も内部監査などに参加させてもらいました。GAPの中の整理、整とん、清掃などは私たちでも簡単に取り入れられる項目かなと感じています。考え方の一部を取り入れるだけでも変わってくると思うので、私も実家に戻った際には実践してみたいと思います。ただ、変化していく農業といっても全てを変えるというより、変えたほうがいいこと、変えなければならないこと、そして変えてはいけないこともあると思います。例えばこれまでの農業を通じた人々のつながりです。私の地元は、小さな町なので、農家さん同士のつながりがある程度持ちやすいかなと思います。また、今年はコロナ禍で行えなかったのですが、実家では毎年田植え祭りと稲刈り祭りを開催し、地域の皆さんと農業に触れる体験を実施しています。このような農業を通じた人々のつながりをなくさずに農業をしていきたいです。大まかな内容しか考えられていませんが、酒米生産を通じて沿岸地域の農業の発展や地産地消の営農活動の貢献していきたいです。
 終わります。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 引き続いて、武田さんよろしくお願いします。

武田 幸大
 私は、農大卒業後、すぐに就農しようと考えるようになったきっかけは、1年生のときに農家派遣研修でお世話になった遠野市の山口さんに出会ったことです。最初は、就職してある程度お金をためてから就農しようと考えていましたが、農業をやる基盤があるなら一年でも早く始めて経験を積んだほうがいいとアドバイスをいただき、自分の気持ちが変わっていきました。早速両親を説得しましたが、最初は農業は収入が安定しないからとお父さんに反対されました。でも、何度も説得を続けていくうちに祖父母も味方になってくれて一緒にお父さんを説得してくれて、何とか就農を認めてもらうことができました。就農後は、家族と相談し、キュウリを担当することが決まりました。キュウリは、夏場の管理や収穫作業がとても忙しく、大変な面もありますが、それ以上に農家派遣研修や実習で実際に作業をしていて、追肥や防除等が思ったとおりに効いたときはとてもうれしく、手をかければしっかりと収量として反応してくれるところにやりがいを感じたからです。
 農大卒業後、就農することが決まってからは、卒業研究は絶対キュウリをやろうと思っていました。試験の内容は、農家派遣実習で学んだ有機質の肥料を使った栽培方法を取り入れたいと思ったので、施肥資材の比較試験を行っています。また、紫波町で試験的に栽培されている品種についても興味があったので、品種比較試験も併せて行っています。現時点では、有機質肥料を使った試験区で新しい品種である蒼夏の成績が最もよく、単収も岩手県の技術指針の目標である10アール10トンを大幅に上回り、10アール18トンを超える実績を上げることができました。来年は、実家でキュウリを栽培しますが、自分がやりたいと思っている栽培方法を農大で1年前倒しで実施することができてとてもよい勉強になっているし、来年からの本番に向けての大きな自信につながっています。
 将来は、キュウリ栽培技術を追求し、トップレベルの農家になりたいと考えています。一日も早く露地キュウリ栽培で安定的な経営を実現して、まずはお父さんを安心させたいです。そして、今の若い人が持っている農業に対する疲れる、もうからないなどの消極的なイメージを自分が実際に楽しく農業をやり、もうかってみせることで楽しい、もうかるというイメージに変えていきたいと思っています。
 紫波町では、高齢化でキュウリ栽培を辞める人が増えてきているので、私がキュウリ栽培で成功し、身につけた技術や知識を若い人たちに広めていくことによって、キュウリの魅力を伝え、紫波町内の若いキュウリ農家をたくさん増やしたいと思っています。自分が生まれ育ってお世話になった紫波町に自分が農業をやることによって、少しでも地域の活性化に貢献できればと考えています。また、キュウリ栽培において自身も成長を続けることで、今まで指導してくださった方々や家族に感謝を伝えるとともに認めてもらえるような農業者になりたいです。
 終わります。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からお願いいたします。

達増知事
 佐々木さんは、御実家が酒米生産をされているということで、お父さんが研究会会長をされているということで、金沢と書いて「かねさわ」というそっちのほうですかね。

佐々木 佳陽
 はい、そうです。

達増知事
 酒米の生産が行われているというのは有名でありまして、ぜひ先人の方々の築き上げてきたものを引き継いで、さらに発展させていってほしいなと思います。
 日本酒は、東日本大震災をきっかけにして日本を元気に、みんなを元気にするための一つの代表のような役割を果たして、世界中で日本食ブームがどんどん広がっていくにつれて、世界的にも日本酒というのが飲まれるようになってきていて、将来性はあると思います。お米は、今年から来年にかけてはお米の食用米の生産量を減らさなければならないということになっているのですけれども、ですからいろんなお米の生産が、飼料米を数量に入れるという話もありましたし、そして酒米とか、そういった多様な米づくりがなされることがこれから特に大事です。
 あとGAPは、岩手においては農業大学校が頼りというところがあって、ここで岩手におけるGAPの最先端を切り拓いてもらっているので、ぜひそれを現場にも普及させてほしいと思います。
 岩手沿岸は、やはり復興のプロセスの中で、実は農業が盛んだということが知られるようになってきたと思います。米づくりもされているし、野菜や果樹も行われているし、復興の中で様々インフラ整備も農業関係で行われましたので、また復興道路もあって、お互い行ったり来たりもしやすくなり、また外への出荷とか、外から人に来てもらうというのもやりやすくなっているので、岩手沿岸の農業の未来というのは非常に可能性が多くなっているので、ぜひそれを切り拓いてほしいと思います。

佐々木 佳陽
 ありがとうございます。

達増知事
 武田君でありますけれども、キュウリでトップへということ、ぜひ達成してほしいと思います。やはり収益を上げて、所得を高めていく、そういう農業を岩手でも広げていく必要があります。10アール18トンというのはすごい数字だと思いますし、やはりいろいろ工夫すればやるだけ、量的にも、あるいは質的にもどんどんいい生産ができるようになっていくと思いますし、販売のほうもうまく工夫して、マーケティングなど工夫すれば野菜というのはかなり収入につながっていきますので、ぜひそれで紫波町をはじめ岩手の野菜の生産の先頭を進んでほしいなと思います。

武田 幸大
 ありがとうございます。

写真:懇談会の様子3

八重樫部長
 次に、村上さんお願いします。

村上 一江
 私は、将来地元である岩泉町に戻り、農大で学んだことを生かして岩泉町の農業振興に貢献したいと考えています。きっかけは、祖母が跡を継ぐ人がいないからという理由で酪農を辞めたことです。私は、小学生のときに岩泉町に引っ越してきたのですが、それまで農業に触れたことはなく、農業の楽しさは酪農を営んでいた祖母から教えてもらいました。そのため、祖母が酪農を辞めたことはとてもショックで、それ以来岩泉町の農業がなくなってほしくない、若い人に農業に興味を持ってもらえる活動がしたいと思うようになりました。
 農業大学校に入学して、地域振興方法について具体的に考えるようになりました。そして、農業を振興するためには、まずは若者を岩泉町に呼び込む必要性があると考え、岩泉町の地元の農家をはじめ地域を巻き込んで、特産品であるフルーツほおずきの栽培体験を行う仕組みをつくったらよいのではないかと考えました。
 フルーツほおずきは現在、岩泉町でも生産拡大をはじめ消費拡大と知名度向上にも力を入れている品目です。かわいい殻に包まれていて、殻をあけると甘い香りがし、食べると甘みと酸味の独特の食感を楽しむことができます。加工にも適性があり、最近はスーパーフードとしてビタミンAやビタミンBの一種であるイノシトールなど栄養面や美容面でも注目されているなど若い人に興味を持ってもらうにはこれ以上ないほどの可能性を秘めています。
 しかし、フルーツほおずきには栽培管理に手間がかかり、生産量がなかなか増加しないという生産面の課題のほか、知名度が低く、消費者ニーズが十分に把握できていないことなどの販売面の課題もあります。そこで、卒業研究では手間がかからず、よりたくさん収獲できるようにフラワーネットを使用した半放任栽培の試験と、若い人に興味を持ってもらうためのニーズ把握について研究を行うことにしました。その結果、まだ試験の途中ではあり、改善の余地もたくさんありますが、収量が増加し、労働時間も短縮することができる栽培方法が見えてきました。また、ニーズの把握については岩手県立大学、白石食品工業の直営店のあるパノパノさんに協力していただけることとなり、一緒に商品設計や試作品開発を行いました。完成した商品は、11月25日から30日までの期間、盛岡駅構内に出店し、実際に販売を行いながらアンケート調査を行い、ニーズ把握を行う予定です。まだ卒業研究は終わってはいませんが、今回の卒業研究の中で学んだことはもちろん、御協力いただいたたくさんの方々とのつながりを大切にして、私の目標であるフルーツほおずきで岩泉町の農業振興を実現できるようこれからも頑張りたいと思います。そして、いつの日か祖母が私に農業を教えてくれたように、今度は私がみんなに農業の魅力を伝えられるようになりたいと思っています。ありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、佐藤さんお願いします。

佐藤 日向
 私の地元横手市では、農家によって異なっており、一概にこうと言い切ることができないのですが、県外の農業者、同業者と情報交換がそこまで盛んになっておらず、多様な情報の行き来がほとんどないように思われます。栽培方法も岩手県で行われているような比較的木の形を小さくつくる矮化栽培ではなく、横手市ではかまくらに代表されるように雪が多く降るので、最高で3メートル程度まで積もることもあり、その積もった雪によって樹木にダメージが及び、枝が折れてしまうなどの被害があるため、そういった被害を抑えるために地上2から3メートルほどまで幹を伸ばして、その上部で大きな2本の枝に分ける栽培方法がほとんどの農家でとられています。
 私の私感ではあるのですが、そういった気候の影響によって、みんな同じ栽培方法であるがゆえにおのおのの生産物に区別性をつけにくく、また新しいアイデアが出にくいと感じます。
 そこで、在学中の2年間に実施した農家派遣実習や事例研究の視察受け入れ先の農家さんとの交流を絶やさずにつなぎ続けることで、その農家さんから伝ってまた別の農家さんとのつながりをつくったり、自分が就農した後も新しい品種やほかの農家がどんな果物をつくっているのか、今の消費者のニーズが地域によってどのように異なるのかといった新鮮な情報を共有できるパイプを築きたいと考えています。
 農大卒業後は、実家でつくっている生産物をブランド化し、ほかの生産者と差別化を図りたいと考えています。実家の屋号であるヤマサをブランドネームに採用し、シリーズ商品として、最初に加工品をつくって顧客を増やし、自家の果物と存在を知ってもらいたいと考えています。そして、次第に贈答品や生食の果物にも引き込むことを考えました。生食だとメジャーな食べ方ではあるのですが、工夫によって鮮度をもたせることができるとはいえ、生鮮食品です。長くもたないうちに傷んだり、また商品を遠くの地域に運ぶ際に箱の中でぶつかったり、送る状態では何ともなかったものが、着いてみたら内側が赤く変色していたりなどということが実際にあるので、手を出しにくいことがあります。しかし、加工することでそういった手を出しにくいというものから日もちする食品に変換し、アピールすることへのハードルを下げることができると考えています。といっても、ただ加工しては人は商品を見てもなかなか食いついて買おうと思うまでには至りません。リンゴの皮の濃い紅色のように果実本来の色、また完熟した洋ナシのとろっとしたような食感、これらの特徴や果実を搾った純粋なフルーツのエキスを使って果実そのままの味の繊細さを味わえるシロップに加工するなど果実の本来の持ち味を生かしながら高低差のある盛り付けに果実の色彩を組み合わせるなどビジュアルにもこだわって加工して、その加工品の写真をSNSに投稿することで若年層の方々をターゲットに情報発信するとSNSの発展した情報拡散力、強い情報拡散力を使って、より強くアピールできると考えています。
 さらに、地元の保育園や小学校の社会科見学、またグリーンツーリズムなどのイベントや事業を引き受け、より多くの子供や親が青々とした草一面の畑の中で自然の爽やかな風を浴びて育った果物を実際に収穫し、そして実際に体験してもらうことで私が感じた農業の素晴らしさ、うれしさなども一緒に発信したいと考えています。
 また、さらに私は実家に就農するということで、秋田県に就農するのですが、岩手県で築いた農家さんとのつながりを絶やさずにお互いにお互いの畑を行ったり来たりして、思ったこと、考えたことをその場で言い合って切磋琢磨できるような交流を深め、また「はるか」は岩手県の品種であり、「紅ロマン」もそうなのですけれども、そういった県の品種の食べ比べをしてお互いに交流を深めていきたいと考えています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からコメントをお願いします。

達増知事
 村上さんは、岩泉を大事にしようということで、フルーツほおずきですね、このパンも食べてみましたけれども、甘い味にフルーツほおずきの酸っぱい味が合わさって、非常においしいですね。驚いたのは、あんこに乗せても負けないくらいの強さがあるということで、あんこの甘さとフルーツほおずきの酸味が合わさった味というのは非常においしかったです。イチゴ大福なんて昔発明されて、はやったのですけれども、まさに酸味があんこと合わさったときのおいしさというものがすごいわけでありまして、食用ほおずきにもそれが勝るとも劣らぬパワーがあるなと思いました。食用ほおずきは、岩手県としてもぜひ広めていきたいなということで、知名度不足を補うように県も頑張っていきたいと思います。
 そして、佐藤君ですけれども、ようこそ岩手に来て勉強してくれていて、ありがとう。リンゴの勉強に来ているというのは非常にいいと思います。岩手は、昔から、明治時代からリンゴの試験栽培などが行われていたところですし、またいろんなリンゴが生産されていますし、生食志向の人たちもいますけれども、加工でも加工用リンゴの博士みたいな人がいますよね。

菊池校長
 サンファーム、都南の。

達増知事
 ええ。サンファームというところで東京の有名レストランなどでフランス料理とかで使ってもらえるような加工用リンゴなどを研究している人がいたりしますし、加工用の果実というのも、欧米風の料理の中で活用したりすると非常に活躍できるし、それを生かせば中華料理や和食においても重要な役割を果たせるのではないかと思います。ぜひ横手でもそういうのを広げて、広く秋田、岩手、青森とやはりリンゴの先進地となっていけばいいのではないかなと思います。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 次に、齋藤さんお願いいたします。

齋藤 健吾
 私は、農大を卒業後、花巻市石鳥谷町にある株式会社T&Gバイオナーサリーに内定が決まりました。T&Gバイオナーサリーは、リンドウのバイオ苗や切り花の生産を行っている会社です。
 私がこの会社を志望した理由は、栽培や出荷、品種など安代との違いを学びながら働けると思ったからです。私は、T&Gバイオナーサリーでリンドウの生産に携わり、たくさんの品種を見て生産や経営の知識や技術を身につけたいと思います。そして、数年後には家に戻り就農したいと考えています。
 私は、育種にも興味を持っています。私は、将来高温に強いリンドウの品種を育成し、安代リンドウのブランドを守っていきたいと考えています。リンドウは冷涼な気候を好む花ですが、安代ではここ数年の猛暑によって草丈が短くなったり、花びらに白い斑点が出たりする高温障害が問題になっています。高温対策として、昔から水路から水を引いて冷やす方法が取られていますが、日差しの強さと気温の上昇によって、逆にリンドウがゆで上がってしまったり、リンドウこぶ症を発生し、収量が減少してしまったりしています。リンドウは、露地の水田を利用して栽培するため、環境の影響を受けやすく、開花期もずれてしまうことがあります。花は、お盆などの物日に合わせて出荷しなければ単価が安くなってしまうため、売上げに大きな影響が出ます。そのため、高温に強いリンドウの育種開発が今後必要になると思うので、挑戦していきたいと考えています。
 農大に入学して、私と同じく将来リンドウの生産に取り組みたいという希望を持った友人ができ、とてもよい刺激になりました。彼は出身地の西和賀町でリンドウを栽培したいと考えています。西和賀町もリンドウの栽培が盛んな地域です。同じ夢を持った友人と情報交換をしながら、岩手県のリンドウ国内シェア日本一を守っていきたいです。
 岩手県は、リンドウの国内シェア約60%を占めていますが、地元である八幡平市はその中の約半数を生産しています。白リンドウは全てオリジナル品種で、育種、生産、出荷までを一貫した生産体制を取っています。そのおかげで、とても高品質なリンドウを国内外へ送り出すことに成功しています。しかし、八幡平市は少子高齢化が進んでおり、高齢化率は37%を超えて地元の母校である安代小学校の全校生徒数は100人前後、中学校では70人前後と少なくなってきています。空き家も増えてきていて、雪の重さで倒壊しかけた家、倒壊してしまった家もあります。リンドウ生産者も高齢化が進んでおり、いつまで国内シェア日本一の産地を維持できるか不安になってきている状況です。そのため、私は農業法人を立ち上げて、耕作放棄地を利用し、リンドウと水稲を栽培、新規就農者を研修で受け入れ、支援できる企業をつくりたいと考えています。これに当たり、独立を考えている研修生には空き家を利用したに移住の支援もできればいいなと考えています。しかし、それを実現するにはまだまだ多くの経験と知識が必要です。残り少ない学生生活で農業、経営に関する経験と知識を多く身につけ、就職後も栽培や経営の方法についてもっと深く学んでいきたいです。そして、地元に戻り、八幡平花卉生産部会の一員としてリンドウの日本一の産地を守っていきたいです。
 来年は八幡平市花卉生産部会の創立50周年です。安代でのリンドウ栽培は50年前、農家の収入を増やし、出稼ぎに行かなくてもいいようにするために始まったと聞きました。リンドウがなかったら、安代の人口はもっと減少していたかもしれません。私は、これまで先輩方が守ってきたリンドウの産地を100年、200年と続けていくことがふるさとを豊かにすることにつながると思っています。いろんな関わり方があると思いますが、私はリンドウ生産を通して八幡平市や岩手県に貢献していきたいです。
 終わります。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、菅原さんお願いします。

菅原 菜那
 私は1年半、朝、夕の乳搾り等の牛舎当番を通して、牛は飼い主の映し鏡であると感じました。牛の管理は酪農家任せであるため、毎日世話をしなくてはいけません。そのため、農業大学校では私たちが牛たちを安心安全に暮らせるようにしなければならないのです。牛たちが安心安全に暮らすためには、乳搾りや餌やりだけではいけません。日々の当番を通して牛の観察をすることが大切です。少しの変化でも気づいてあげることが牛の健康維持につながります。
 農業大学校では、毎回当番の終わりに異常がなかったかを点検します。けがや体調の変化を早期発見、治療することで牛への負担が変わってくると考えています。近年は、HACCPなどの取組をしている農家が増えており、農畜産物の安全性や危害要因への早期処置、対処が重要視されています。農業大学校でも、今年農場HACCP推進農場に指定され、生産工程管理をより一層強化しています。農場HACCPの認証基準に沿って進めていくことによって、ミルクを保管しているタンクの冷却ボタンの押し忘れ等のミスが減少しています。以上のことから精密な飼養管理がとても大切だと実感しました。
 私は、農業大学校で乳牛の飼養管理について学びました。農業大学校では、授業の50%が実習であり、実際に作業を経験することができます。実際に自分で体験することによって、作業の大変さや重要性を体感することができます。これらの経験は、将来の夢である農業普及員になるためには必要であると考えています。この経験もあり、私は飼養管理について興味を持つようになりました。もっと深く学びたいと思い、弘前大学に編入学することが決まりました。大学に入学後は、飼養管理学だけではなく、飼養学についても知識をつけたいと思っています。農業普及員になるためには多くの知識が必要です。そのためにも家畜の専門的知識を身につけていきたいと思っています。
 先ほども触れましたが、私は大学を卒業後は岩手県に戻って農業普及員になりたいと考えています。そのためには知識のほかに実践での経験も必要であると考えています。農業普及員は、主に農家に直接接し、農業技術の指導や経営相談など経営体支援をするのが仕事です。私は、酪農家の方々とともに課題を解決していく立場の人間は実際に技術を体験しておくべきだと考えています。そのほうが農家に寄り添って話せるだけではなく、農家からの信頼も大きくなると考えているからです。
 私は、農業大学校と弘前大学で学んだこと、学ぼうとしていることを生かし、農業普及員になりたいです。私は、慣れ親しんだ岩手県が大好きです。私は、岩手県で働くことが一番の地域振興であると考えています。現在農家の高齢化や、担い手の不足により戸数が減少しています。解決の手助けをするのも農業普及員の仕事です。私は、飼養管理の点から家畜が多頭いても快適に過ごせるようにしていきたいと考えています。将来畜産の盛んな岩手県で働けることを楽しみにしています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からコメントお願いいたします。

達増知事
 齋藤君は、花き、リンドウを中心にやっているということで、リンドウは岩手を代表する花きでありますから、大変頼もしく思います。最近県でもリンドウの品種改良に様々成功していて、いろいろ将来性のあるような新しいリンドウを生み出していますので、どんどん生かしてほしいなと思います。
 4年前の希望郷いわて国体のときに開会式場をはじめあちこちたくさんのリンドウで飾ったのですけれども、うんとたくさんバーンと使ってもすごく映える花だなと改めて思いましたので、家庭の中でかわいらしく使うのもいいし、でかいイベントのところにバーンと使うのもいいし、大変いい花だなと思っています。
 それから、フラワーアレンジメントの技能士2級を取ったというのは、これはすばらしいことでありまして、生産されたものが消費の現場でどのように生かされていくのかという消費の現場も意識しながら生産できるということは非常に大事なので、ぜひその調子でいってほしいなと思います。
 そして、菅原さんですけれども、農業普及員にぜひなってください。こちらからもお願いしたいくらいでありまして、また農業普及員はますます大事な局面で、生産者の皆さんに寄り添いながらも技術がどんどん新しくなっていますからね。特に最近は情報通信技術、ICTとか、そういうメガビッグデータ、ビッグデータとか、人工知能とか、畜産、酪農の現場でも牛を育てるのにどんどん活用しようということになっています。24時間、365日世話が必要だという牛をはじめ動物というのはみんなそうなわけですけれども、いかにそれをほかにいろいろ、ほかのこともしながらやれるようにするか、また技術的にもいろいろ高めていくかということで、牛飼い女子というのが岩手にはありまして、牛飼い女子でもそういう取組をして、農業におけるワーク・ライフ・バランス、働くことと生活することのバランスをよくとっていくというのは農業の分野でも大事ですので、牛飼い女子の活動でそういう面でも日本をリードしていきたいなと思います。
 来年は丑年ですので、岩手県としては「丑年は岩手の年」というキャンペーンをしていきたいと思います。これ12年前にひそっとやっていたのですけれども、MOWMOWプロジェクトと称して。高村光太郎という詩人がいまして、花巻に住んでいたことがあるのですが、「岩手の人」という詩を書いていて、「岩手の人沈深牛の如し」、岩手の人は牛のようだとバーンと書いているので、では、岩手は牛の県だと名乗ってよかろうということで、12年前にやって、結構うまくいったところもあるので、来年も大々的にやっていきたいと思いますので、そういうところも楽しみに参画してほしいと思います。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 次に、宮﨑さんお願いいたします。

宮﨑 ミウ
 私は、将来和牛の繁殖から肥育の一貫経営を行いたいと考えています。そして、経営が安定したら岩手県のどこかで肉牛の観光牧場を始め、管理作業の体験や牧場で肥育した牛肉の試食体験、触れ合い体験などを行い、多くの人に肉牛の魅力を伝えたいと考えています。
 私が畜産に興味を持ったきっかけは、小学生の頃に家族に遊びに行った観光牧場で乳搾り体験をしたことです。今まで牛を近くで見たことがなかったというのもあり、ふだん自分が飲んでいる牛乳がこのような形でつくられているのだと改めて知り、感動を覚えました。この体験がきっかけで将来私も牛に携わる仕事に就き、私が感動したように多くの人に感動を与えたいと思うようになりました。
 中学卒業後は農業高校に進学し、牛の飼養管理を行える部活動に入部しました。最初に興味を持ったのは、乳牛のホルスタイン種でしたが、黒毛和種の顔のほうが好みだったということもあり、だんだんと黒毛和種に興味を持つようになりました。この部活では、黒毛和種の肥育も行っており、肥育した牛は月に2回行われる販売会で牛肉を販売し、試食なども行いました。このとき私は試食した消費者の方から「おいしい」と言ってもらったことがとてもうれしかったので、将来みんなに「おいしい」と言ってもらえるようなお肉を生産する肥育農家になりたいと思うようになりました。
 そこで、私は畜産が盛んな岩手県で肉牛について深く学びたいと思い、岩手県立農業大学校に進学しました。学校では、現在卒業研究に取り組んでおり、私はおいしいお肉を生産するために黒毛和種肥育牛における飼料用米の給与が発育、肉質に及ぼす影響というテーマに取り組んでいます。牛肉は脂肪中のオレイン酸含量が多いとおいしいと言われています。そこで、通常肥育牛に給与する配合飼料に多く含まれているトウモロコシをオレイン酸含量の多い飼料用米に置き換えたオリジナルの配合飼料をつくり、肥育牛に給与しました。まだ牛肉の分析結果は出ていませんが、いい結果になることを期待しています。この研究を通じて学んだおいしいお肉をつくるための知識や技術を将来に生かしていきたいと思います。
 農大卒業後は、岩手町で国産牛の哺育、肥育事業をしているキロサ肉畜生産センターに就職します。キロサ肉畜生産センターは、おいしいお肉を生産するために配合飼料に飼料用米を配合しているので、私の卒業研究とも関連があり、興味を持って仕事ができそうなので、とても楽しみです。
 そして、将来は自分の牧場を持てるように就職先でも常に学ぶ心を忘れずに頑張っていきたいと思っています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 知事からコメントをお願いいたします。

達増知事
 牛を育てるということで、岩手を選んでいただいたのは正解だと思います。岩手は牛の県で、丑年は岩手の年でありますから、ぜひその調子で頑張ってほしいと思います。
 そして、奥中山ジャージー牛をやっている人は愛知県から来て、愛知県の若夫婦が日本のどこかで牛を育てたいとあちこち探して岩手がいいなということで、奥中山に来て、奥中山ジャージー牛をやっていたりしますから、広いですからね、多分土地はどこかにあると思いますし、またいろいろ近代的な牛舎で勝負していくとか、いろんなやり方もあると思いますけれども、やってほしいなと思います。
 そして、飼料米を配合した独特の飼料というのは非常に可能性が大事な分野だと思います。それは稲作の側からいってもそういういい形で飼料米に使ってもらうと生産のほうもしがいがあるということで、岩手にとって、岩手はいろんな農業の分野がバランスよくある混合農業という言葉がありますけれども、そういう農業混合県岩手でありますので、そういうふうにいろいろ活用してもらうといいと思いますので、その調子で頑張ってください。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 皆さんから一通りテーマに沿ったお話を伺いましたが、今までちょっと言い足りなかったこと、あるいはテーマに関わらない自分の意見等何でも結構ですので、自由に発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 皆さんの発言を聞いていまして、皆さん非常に意欲を持って担い手とならんとしている、あるいはUターンして大学に行った後も、また岩手に戻ってきて農業を通じて地域づくりをしたいという非常にすばらしいお話を伺いましたけれども、農林水産部長から皆さんへの期待だったり、あるいは何か質問等あればお願いします。

佐藤農林水産部長
 大変ありがとうございました。農業の関係、高齢化が進んでいるとか、就農者が減っているとか、こういう仕事をしているとなかなか暗いイメージの話ばかり多いのですけれども、今日は県の出身の方からお隣の県の出身の方、関東の方がいらっしゃって、本当にこれからの農業を自分たちが引っ張っていくのだという、そういう意気込みといいますか、そういうことを非常に感じまして、まだまだ岩手県、東北、日本の農業は大丈夫だなという気がいたしております。ぜひ自分の夢を実現するということを忘れないで、非常に環境に恵まれた農業大学校で勉強していただいたと思ってございます。コロナの関係等もあって、今年は農大の2年生は本当は日本の農業だけではなくて、アメリカのカリフォルニアのデービス校に研修に行っていただくプログラムもずっと組んでいたのですが、コロナの関係で今年は学生の皆さん行けないというのは非常に残念だなと思っていますけれども、いつかそういう機会もあると思いますので、ぜひ皆さんの横のつながり、それから農大のOBの方はいろんなところで活躍もしていますし、それからOBではない人たちでもいろんなところでつながりを持っていけば非常にいろんなところで頑張っている方々、刺激を受けると思いますので、ぜひ自分の夢を忘れないでこれからも頑張っていただければなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。今日は貴重なお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 すみません、私も実は北上のリンゴ農家の長男坊でありまして、佐藤さんのお話を聞いて、非常にすばらしいなと。私は、自分のうちの家業というか、もう両親は亡くなってしまいましたけれども、リンゴ農家というのは非常に豊かで、すばらしいなと気づくのに時間かかって、佐藤さんのように早く気づけばよかったなと思うのですけれども、さっきの秋田との気候の違いで岩手は矮化なのだけれども、秋田のほうはそうではないとか、そういうお話もありましたし、さっき齋藤さんがリンドウが高温化で大変だという話で、地球が温暖化していて、リンゴの適地もどんどん北に移っていたりするのかなとも思うのですけれども、その辺佐藤さんなんかはどう考えられますか。

佐藤 日向
 やはりここ数年ではリンゴの品種の移りとかはまだ実感できていないのですけれども、冬に雪があまり降らなくなる年が二、三年に1回ぐらいあったりすると、雪が1年の土壌の水分になるので、夏手前から7月頃になりますと地面が割れてきて、実が大きくならなかったり、品質が悪くなったりすることがありますので、高温化の影響はやっぱり大きいです。あと台風も時期がずれたり、進路が変わると、前にも青森でリンゴ台風なんて言ってリンゴが落ちたなんていうこともあるのですけれども、本当に収獲間際、あと明日取れるかなというリンゴが真横に飛んでいくという光景があったと聞いておりますので、やっぱり気候の変動の影響は大きいです。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 さまざまお話を伺いまして、ありがとうございました。

知事所感

八重樫部長
 ここで、最後に知事から総評をお願いしたいと思います。

達増知事
 自己実現とふるさと振興ということで、農業という分野はまず農業に携わってもらっているだけで、もうそれが地域振興になりますし、まして成功して収益を上げていってもらうと非常に地域振興の貢献度がさらに高くなります。私もいろんな地域振興論を聞いたりしてきましたけれども、農業をベースにした地域振興論というのは一番現実的で、かつ理念的にも自然や生き物を大事にして、それをベースに人や社会を大切にする地域づくりをしていくというのは失敗しないなと思っていまして、農業大学校で学んだ皆さんがそうやって農業の分野で自己実現を図っていってもらうことが大変いい地域づくりにもつながっていきますし、ひいては国づくりとか、環境にも優しい地球を実現することにもつながっていきましょうから、ぜひ自信と誇りを持って、さらに進んでいってほしいと思います。今日はどうもありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 皆様、本日は貴重なお話を頂きありがとうございました。

閉会

八重樫部長
 以上をもちまして、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in金ケ崎」を終了いたします。ありがとうございました。

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