「いわて幸せ作戦会議(in宮古)」(令和2年9月25日)

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ページ番号1034335  更新日 令和2年10月29日

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日時
令和2年9月25日(木曜日)10時30分から11時50分まで

場所
イーストピアみやこ 2階 多目的ホール

出席者

  • 参加者(敬称略)
    馬場 陸(種市南漁業協同組合定置乗組員(いわて水産アカデミー第1期生))
    藤倉 結城(東部定置漁業生産組合(いわて水産アカデミー第1期生))
    佐々木 快昌(かき養殖従事者(広田湾漁業協同組合、いわて水産アカデミー第1期生))
    岡田 薫省(いわて水産アカデミー第2期生(ほたて養殖(越喜来漁業協同組合)))                                               平子 昌彦(株式会社 隆勝丸(ほたて養殖(宮古漁業協同組合)))                          

 

  • 県側
    知事、沿岸広域振興局副局長、政策企画部長、技監兼農林水産部水産担当技監兼水産振興課総括課長

開会

八重樫部長
 ただいまから県政懇談会を開催いたします。
 皆様には御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、「地域漁業の未来像」を懇談テーマとし、いわて水産アカデミーを修了され、本県で漁業就業された方々、また現在アカデミーで研修中の方々にお集まりをいただいております。
 私は、本日の進行役を務めさせていただきます県の政策企画部長の八重樫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子2

八重樫部長
 それでは、開会に当たりまして達増知事から御挨拶を申し上げます。

達増知事
 皆さん、おはようございます。忙しい中、また雨とか、風とか大変な中、今日のこの「いわて幸せ作戦会議in宮古」に参加をいただきまして、誠にありがとうございます。そして、漁業の世界で頑張っていただいていること、大変心強く感じております。漁業、水産業はこの気候変動が背景にあると指摘されていますけれども、漁獲量の激減という現象が起きておりまして、サケ、サンマ、イカなどなど捕れなくなったりして大変なわけでありますけれども、一方岩手の漁業、水産業は東日本大震災津波からの復興で基盤が整備されているということ、また様々な技術を生かして、特に養殖などいろいろ新しいことが可能になってきているという希望が持てる部分もあると思います。また、北米やヨーロッパなどでは漁業、水産業という分野が若い人たちが一定以上の所得を得るためのなりわいとして人気があるというところもあります。今日は、この漁業、水産業の今と未来について、その最先端で活躍している皆さんのお話を伺い、県政懇談会、県政の政策形成の参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

八重樫部長
 それでは、本日の懇談会の進め方についてですが、まず私から一通り御出席の皆様方を御紹介いたします。次に、お一人ずつ自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話を頂きますが、お二人のお話があった後に知事がコメントするというような形で区切りながら進めていきたいと思います。そして、最後に自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、座席表に従い、本日御出席の皆様を御紹介いたします。いわて水産アカデミーを修了され、現在洋野町で定置網漁業に就業された馬場陸さんです。

馬場 陸
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 同じく現在釜石市で定置網漁業に就業された藤倉結城さんです。

藤倉 結城
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 
同じく現在陸前高田市でカキ養殖に従事している佐々木快昌さんです。

佐々木 快昌
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 続いて、現在アカデミー2期生として研修中で、将来大船渡市でホタテ養殖に就業を希望されている岡田薫省さんです。
 
岡田 薫省
 岡田と申します。よろしくお願いいたします。

八重樫部長
 先輩若手漁業者として地元宮古市からホタテ養殖業を営んでいる平子昌彦さんです。

平子 昌彦
 よろしくお願いします。

八重樫部長
 県からは達増知事、沿岸広域振興局の滝山副局長、農林水産部の石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様のお手元にお菓子と飲物を準備しておりますので、召し上がりながら御懇談いただければと思います。まず、本日のお菓子を紹介していただきます。

滝山副局長
 それでは、私のほうからお手元のお菓子を御紹介させていただきます。皆様には食べながらお聞きいただきたいと思います。
 お菓子の名前はミヤブランと申しまして、パッケージもこのようにおしゃれなものになっております。昨年12月に宮古市の菓子店西野屋さんと岩手あかもく生産協同組合さんのコラボにより開発をされました。海藻のアカモクとホワイトチョコレートという意外な組合せではありますが、海藻独特の食感をあえて売りにしないでアカモクをパウダー状に加工し、チョコレートに混ぜ込んだということで、ほんのりとした塩気がチョコの甘さを引き立たせるように工夫したとのことでございます。アカモク自体も以前は不要なものとして捨てられていたということですが、現在では豊富な栄養素を含む食材として注目され、需要もかなり伸びてきております。このミヤブランですが、海の恵みを生かした三陸の新しいお土産品として定着していくことが期待されております。
 飲物は龍泉洞のじっ茶ばっ茶でございます。御賞味いただきながら懇談いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
地域漁業の未来像

八重樫部長
 それでは、懇談に入らせていただきます。
 最初に、皆さんから自己紹介をお願いいたします。
 お話しいただく順番は、馬場さんから順にお願いいたします。
 それでは、馬場さんよろしくお願いいたします。

馬場 陸
 御紹介ありましたとおり、岩手県の洋野町から参りました種市南漁協の定置網乗組員の馬場陸と申します。6月で二十歳になりました。自分は途中、高校卒業後、アカデミーに通いながら地元の定置乗組員として働き、今年で2年目になります。今年は去年よりも天候が悪かったりがあって、休む日にちも多いのですが、去年先輩に教えてもらったことを生かしながら今年はもっと多くのことをやれるようになったり、昨年は本船での仕事だったのですが、小さい手船の船での作業を任されるようになったり、今年も来年も頑張っていきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、藤倉さんお願いいたします。

藤倉 結城
 御紹介にあずかりました藤倉結城です。私は、高校を卒業してから海上自衛隊に入隊しまして、そこで8年間潜水艦に乗らせていただきました。そこでレーダー関係の仕事をしていましたが、東部定置漁業生産組合の会長から、今ちょうど漁業について学び始めると10年後、15年後、20年後、将来に向けて大きく成長するというか、今だったらチャンスだと、若いうちだったらチャンスで、仕事を大きくしようと思うのだったら、今うちに来ないかと誘われまして、私は漁師、定置網の道に進むことになりました。
 今は2年目でまだ全然仕事も慣れていないのですが、少しずつ船の操船や機械の扱い方など先輩方から学んでいる最中なので、将来的にはもっともっと自分の働いているところを大きくしていきたいなという気持ちがあります。よろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、佐々木さんお願いいたします。

佐々木 快昌
 佐々木快昌と申します。陸前高田市から来ました。陸前高田市の前は千葉県で仕事をしていまして、全く別の業種をやっていました。数年前から関東のほうで広田湾産のカキを食べるイベントがありまして、そこで師匠のカキを食べた際にひどく感銘を受け、去年こちらに、陸前高田市に移住して、アカデミーを受講しました。今年は2年目なのですけれども、1年目と違って、コロナのこともあったりとか結構厳しい1年だったのですけれども、去年よりはできることも増えて、あとは自分のやりたいこととか、自分がどういうふうな漁師になっていきたいかという方向性が見えてきたりだとか、地域の問題がいろいろ見えてきて、ちょっとなじんできたというか、いろんなことを考えられる余裕も出てきたなと思っています。将来的には自分で自立してカキ養殖をやっていきたいと思っています。今日はよろしくお願いします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、岡田さんお願いいたします。

岡田 薫省
 改めまして、お疲れさまでございます。いわて水産アカデミーの第2期生ということで勉強させていただいております岡田薫省と申します。出身は東京です、東京都から参りました。
 まず初めに、県の水産振興課の皆さんにはアカデミーの関係で大変いろいろ御協力、御尽力をいただいて、サポートいただいていること、本当にありがとうございます。改めてこの場をかりて感謝申し上げたいと思います。
 本年4月から大船渡市の三陸町の越喜来に参りまして、ホタテをメインに、あとワカメ、ホヤの養殖の勉強を今させていただいております。8月、9月はメインにホタテの水揚げの手伝いというか、御指導いただきながらやっております。
 漁業を志したきっかけは、前職が観光会社におりまして、そのときに農家の方あるいは漁家の方、複数の生産者の方々との交流がありまして、その中で自分も皆さんのようなおいしいものをつくり、育てる仕事に挑戦してみたいと、そんな思いからこの道へ入りました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続いて、平子さんお願いいたします。

平子 昌彦
 株式会社隆勝丸代表の平子です。私は、宮古市日出島漁港でホタテ、ホヤ養殖、そして釣り船を行っています。私は、盛岡市出身の脱サラ漁師で宮古に移住して15年たちました。25歳のときに妻の実家がホタテ養殖を営んでいて、そして義理の父親の下で修行をしていました。その後の大震災により父が行方不明になり、船や養殖施設、資材など全て流されました。一度は諦めかけたのですが、再起を決意し、独立後は先輩漁師や家族、行政の皆様、そして地域の皆様に支えられて、独立から7年後、漁業をもっと魅力あるものにしたいと思い、法人化をしました。今後は、宮古や岩手の漁業発展、そして担い手育成に少しでも力になれるように事業を行っていきたいと考えております。本日はよろしくお願いいたします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 一通り自己紹介をいただいたところで、ここからは本日のテーマである「地域漁業の未来像」に沿って現在の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、県への期待なども含めてお話を伺いたいと思います。
 先ほどの順番で馬場さんからお一人5分程度でお願いしたいと思います。お二人ずつお話をいただいた後、知事からコメントしていただくという形で進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、初めに馬場さんからお願いいたします。

馬場 陸
 自分は、今のところもともと目標にしていた地域の子どもたちに漁業のことを話したりということが、コロナの状況もあってなかなかできていないのですけれども、自分に後輩ができまして、その人に分かりやすく仕事を教えたり、その人に自分の考えを話したりしながら、これから入ってくる漁師たちがやりやすいように環境をつくったり、あとは魚が捕れなくなってきているので、どうやったら金額が上がるかなと考えたり、最近は水揚げした魚をそのまま揚げていたことが多かったのですが、魚をちゃんと並べて水揚げをしたところ、金額が多少ですけれども、上がったことに気づいたり、あとはやっぱり漁師の高齢化が進んでいるので、小学生とか中学生とかに漁業に興味を持ってもらえるように下の層からどんどんと話していって、漁師って大変だと思っていたけれども、こういういい面もあるんだなとか、大変だけれども、やってみたいなと、そう思える子どもたちがもっと増えてほしいなと思って、自分はこれからはそういう子どもたちに漁業に関して話していったりという活動をしていきたいなと思っております。
 組合のほうにも実際昨年からそういう話をさせてもらっていて、今年はできなかったのですけれども、新巻鮭づくりとか鮭とばづくりとか、あとは自分の地元はウニが有名なので、そういうこととかも子どもたちに話したり、自分の父親も漁師をやっていて、実際自分もその影響もあって漁師を志したのですけれども、子どものときから父親と一緒に働いたり、手伝いをしたりというのもあって、定置の目線だけではなくて、自分で船を持って操業する人たちの流れとか気持ちを多少なりとも分かっていると思うので、そういうところを生かしながら、今後漁師をやりたいなと思う人が増えていけばなと考えております。
 あとは今自分も資格が欲しいなと思っているのですけれども、やっぱり自分から探したりとかというのが難しかったりするので、自分が去年アカデミー1期生だったのですけれども、アカデミーさんのほうでお金を補助してくれとは言わないのですけれども、そういう窓口になってもらえたらなというところが考えていたところでした。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続きまして、藤倉さんお願いいたします。

藤倉 結城
 私は、去年いわて水産アカデミーのほうで縄の結び方とか、操船技術、無線の資格などいろいろ学ぶことができてよかったということがたくさんありました。
 私はアカデミーを通して補助金を受け取ったのですが、この補助金が結局年2回の補助金だったので、自衛隊を退職してから最初の6か月間、次の6か月間はあれだったのですけれども、漁師の仕事を始めるまでに生活のほうが大変きつくなってきて、私は自衛隊だったので何とか、実家もすぐそこだったので、実家の補助を受けながら補助金をもらうまで生活できていたのですが、2期生、3期生とかの新しく外から職業を変えて何も漁師のことを分からないけれども、アカデミーに入ってくる人たちがいると思うのです。その人たちに対して補助金が云々という話ではないのですけれども、生活できるための基盤づくりのためにもう少し動いてほしいなということがありました。私が聞いている中で1人、生活がどうしても立ち行かなくなって漁師の道を断念したという方がいるので、そのことを踏まえて、まず案としては余裕のある漁業関係の、養殖だったり、定置網をやっているところに声をかけて、本人の了承を得てというか、新しく来て新人の人の意思次第ですけれども、やりたいこととは別に、こういう漁業もあるんだよということを勧めて、それも生活のためだったらちょっと手を出してみようかなということを説得というか提案して、そして収入の安定化をしてほしいなと思いました。そうすることによって、漁業に対しての就業の継続等になっていくと思うので、そういう金銭的な面からも補助というわけではないのですけれども、提案ないし受け入れ先の交渉をぜひともやってほしいなと、アカデミーをこれからやるのだったらやってほしいなと思っていました。
 あとそれと関連というわけではないのですけれども、まず住むところが大事になってくると思います。収入がない中で、今復興住宅とかを安く借りられるという話は聞いているのですが、そこに入ったとしても、どんどん収入がよくなるにつれて賃金が上がるという制度と聞いているので、そうなってしまうといくら自分が一生懸命もうけようとして仕事に取りかかっても、そこでどんどんお金が削られていったら、意欲もそうですし、金銭的な、これから投資したい、新しく船をやってみたい、独立したいという人たちがいた場合、足かせになるのではないかなということがありまして、それだったら最初から何年間は安く借りさせるとか、そういう面でも提案というか、していったほうがいいのではないかなと思います。
 なので、私の提案としては、これから新しく他県、もしくは岩手県のほうから職を変えて漁業をやってみたいなという人たちに向けての提案でした。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からお願いいたします。

達増知事
 馬場さんも藤倉さんも今は定置網の漁業をやっているということで、私も一度だけですけれども、定置網、サケを捕りに行くのに、あれは山田町の大沢漁協さんでしたけれども、組合長さんが指揮を執る船のブリッジに横に乗せてもらって、組合長さんが指揮を執りながら船団を操ってサケを引き揚げて帰るというやつを見させてもらったことがあるのですけれども、いろんな個々の船の操作から、網の操作、魚の扱い、また船団としての動きとか非常にこれは勉強になる分野なのだと思いますので、今やっていることというのはこれからどういう方向に進んでいくにせよ力になることだと思います。
 そして、馬場さんが子どもに漁業を語るということをやっているということで、漁業と関係ないところから参入してほしいというところもありますけれども、もちろん子どもの頃から漁業の現場を見て、そして漁業になじんでもらって、またそのよさを感じてもらって、漁業者を目指すということも非常に大事なので、どんどん後輩とか子どもたちに漁業を広めてほしいと思います。
 そして、藤倉さんもそうですね、生活費問題については、これはやはり困窮するのではなかなか漁業も身につかないでありましょうから、やはり困窮しないような仕組みにしていく必要があるでしょう。そして、住むところ問題、岩手は沿岸がそうですし、あとそれ以外の岩手全体としても若い人たち向きの賃貸住宅というのがちょっと不足しているというか、あるいは手頃なのがあまりないというか、そういう問題があって、それは大きい課題なのですけれども、仕事に参入したばかりとか、これから仕事をするとか、また仕事を始めたばかりとか、そういう若い人向きの住宅の確保というのが県としても、特に沿岸を中心に進めていきたいと思います。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、次に佐々木さんお願いいたします。

佐々木 快昌
 僕は岩手県久慈市出身でして、久慈も漁業を結構盛んにやっていたと思うのですけれども、僕は高校生まで久慈に住んでいたのですけれども、そのときには漁業に全く触れることなく育ちまして、漠然とワカメがおいしいなとか、ウニ、アワビが捕れるのだなというぐらいしか思っていなかったです。
 震災後、関東のほうでイベントがあって、広田湾のカキを食べる機会、広田湾のワカメを食べる機会があって、そこで、初めてカキが岩手県の中で捕れるのだということを知りまして、そこで漁師さんとつながっていろんなお話を聞くことが多々ありまして、漁業に興味を持ち、そして何度か陸前高田に足を運んでいって、2年前に漁師になるということを決めて陸前高田に移住したのですけれども、この新しい時代を切り拓くというテーマで話すと、まず岩手県に住んでいる子どもたちにもっと漁業を知ってもらえたほうがいいのではないかなと思いました。漁業を身近に感じるだとか、イメージとして漁業はきついとか、つらいとか、大変だとか、生活するのも結構厳しくなってきたというイメージがすごく出てくると思うのですけれども、そういうマイナスなイメージ、ネガティブなイメージだけでなく、やりがいのある、ではどこにやりがいがあるのだということを教えられるような、広くみんなに分かりやすく提供というか、こんなことがあって楽しいのだよとということを関東のイベントで感じたので、あとそこにおいしさ、岩手県、東北とか海のもののおいしさというものをアピールしていくとか、あとは漁師さんが外に出向いていって、消費者のところで自分の捕ったもの、つくっているものというものを消費者の人たちの目の前で提供したりとかというのをするということをやっていけたらなと思っております。
 僕の師匠というか、兄弟子がちょうどそういうことをやっていまして、すごく魅力のある仕事に見えて僕は移住したのですけれども、そういうことがどんどん必要になっていくというか、やっぱり外向きに漁業をもっとやっていかなくてはいけないのではないかと今のところ思っています。
 それと、僕は移住して、こっちに来て初めて漁師をやるということになっています。さっき藤倉君が言ったようにいきなりぽんと来て、家があるわけでもなく、漁業の「漁」の字も知らないような者がそこでいきなり漁業をやるというところのハードルが結構高かった。アカデミーがあったので、アカデミーに入って、そこは解消されたのですけれども、住むところという問題が結構ネックかと。僕はカキ養殖をやりたかったので、住むところも、例えば米崎という地区でカキをやりたいとなったときには米崎に住まなければいけないという漁業権の問題があります。そこに、賃貸でも、空き家でもあればいいのですけれども、なかなかうまくいかず、取りあえず今のところは広田町というところに住んでいますけれども、将来的には漁業権を取って自分でやっていくといったときにはそっちに行かなければいけない。広田に住んでいて、米崎ではできないとかという問題があるので、そこがもうちょっとやわらかくなってくれればなというものが強くあります。そういう縛りというものがもうちょっと緩くなっていけば、例えば僕のようなよそから来た人間とかがもっと漁業をやりやすくなったりだとか、あとは若い子たちですか、中高生とかに漁業はこうやって変わっていったんだよ、こうやってやりやすくなってきたんだということをアピールしたりということもできるのではないかなと。昔のままのやり方を続けても、多分ちょっときつい、時代にそぐわなくなってきたのではないかなと1年やっただけですけれども、ちょっと思っていまして、そこがネックかなと思っています。
 ただ、僕が去年1年やって思ったのは、アカデミーの中で養殖業、あと漁船漁業を勉強したのですけれども、そのときに定置に乗せてもらったときに定置のよさだとか、そこも感じ取れましたし、そういう体験というか、漁業に興味を持てるようなイベントや授業を組むとか、やってみて面白かったなと僕は思ったので、僕のような感じ取れるような人がまだいっぱいいると思うので、どんどん積極的にイベントとか、教室だとか開いていったら担い手の問題の解決にはなるのではないかなと思っています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 続きまして、岡田さんお願いいたします。

岡田 薫省
 まず、現在の状況ということで、大船渡に来まして約半年が過ぎまして、転職、それから移住についてはやはり多くの不安がありました。しかしながら、今お世話になっている親方漁師さん、それから周りの漁師さん、あるいはまた今住んでいる地域の方々にも大変よくしていただいておりまして、非常に感謝しております。
 自己紹介で申し上げたとおり、前職は観光の仕事をしておりましたので、まずはお世話になっている漁師さんたちには、教えてもらっていることを一通りできるようになるということが最大の恩返しというふうには考えています。その上で、将来的には今までやってきた観光の仕事の商品企画であったり、地域振興であったり、農泊にも絡まった経験もありまして、やっぱり観光は大きな力を持っているものなのだなと、旅行ではなく、いわゆる観光ですね、漁業と観光を掛け合わせて、今度は、漁師として生産者の立場から漁業の魅力やお世話になっている越喜来の情報発信をさせていただければなと思っております。
 今はやっぱり高年齢化というか、引退を考えていらっしゃる漁師さんもたくさんおられて非常に寂しい思いをしておりますし、また今お世話になっている親方もそうですけれども、漁師さんはいろんな知恵とか、技術とか、そういったものもたくさんお持ちなのです。このままだと、それがどんどん失われていくような、非常に不安というか、寂しい気持ちもありますので、そういったことも何か発信して、伝えられればなというところもあります。微力ながらではありますけれども、そういったことも今後はやっていけたらなと思っております。
 あとコロナ関連ということで、本日のテーマにもありましたけれども、昨今、ニュースで拝見しましたが、人材派遣のパソナさんが淡路島に本社を移転するという大胆なこともやっておられますし、世の中は会社もテレワーク、リモートワーク、会社に行かなくてもいろんな仕事ができる仕組みがどんどん進みつつあって、だんだん地方に分散していく、いわゆる分散型の社会が、どんどん加速しているのかなと思います。と同時に、家の中で仕事をしている人たちは改めて自分たちの生きがいとか、働きがいへの関心や気持ちの変化というのがあって、地方に来る人が今後増えていくのかなと思っています。やっぱり地方は1次産業なので、先ほど担い手の話もありましたけれども、そういう意味では漁業を目指す人というのが、増えていくのではないかなと思っています。私も移住してきている身で、まだまだこれからですけれども、そういったことについても何かできることがあれば率先してやっていきたいという思いもあります。またそういう仕組みがもう少し、いわゆるもう一歩突っ込んだ、そういう方々を受け入れる仕組みがあればもっとすばらしいのではないかなと考えております。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からお願いいたします。

達増知事
 佐々木さんからは、やはり子どもに知ってもらうのがいいと、地域に住んでいる人たちにも見てもらって、また自分自身が関東でのイベントがきっかけになっているということで、うまく紹介する機会があればそれでもう、よしっ、じゃ、漁業で働こうと決断する人も出てくるということで、そういうのをうまくやるのが大事だとやはり思います。
 岡田さんは、地域振興の観点からも漁業が大事だということで、多くの人に見てもらい、また参加してもらいながらやっていくことで、そういう中から本気でなりわいとして、仕事としてやっていこうという人も出てくるみたいなふうに、開かれた形で地域振興の中で漁業がちゃんと役割を持つということはやはり大事なのだと思います。
 そして、漁業権と住所の関係ですね、これは私もいろいろ聞いていて貸家住まい、アパート住まいをしなければならないときに漁業をやる場所には適当な住宅がない、特に若い人にはそういうことが多いということで、私は盛岡に生まれ育っているので、その辺の話を聞く機会があるのですけれども、農業の場合だと、盛岡市に住んでいて田んぼは花巻にあるとか、そういうのはもう普通にありますからね。特に沿岸は復興道路で結構峠を越えて隣の町に行くのもすぐみたいにもなってきているので、漁業権と住所の関係についてはいろいろ考えれば住所を自由化したときにそれを悪用してもうかりそうな漁協のほうの住所だけ取って、そっちで漁業をやるような悪知恵にも使えるのかもしれないのですけれども、それを防ぐ手段はいろいろありますでしょうから、既に漁協のメンバーになっている人の推薦が必要とか、一人でも二人でも推薦があればオーケーとかやれば、若くして住む場所がそこにないから仕方がないという事情を既に漁協に入っているメンバーが推薦状とかで明らかにして、そういう正当な理由があるというのを明らかにすれば住所がそこになくても漁協に入れる、漁業権を取れるみたいな工夫はやっぱりしたほうがいいですね。そこはしましょう。
 では、まずこのラウンドはそういうところで。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、平子さんよろしくお願いします。

平子 昌彦
 現在当社で取り組んでいることなのですけれども、ホタテ、ホヤ養殖を軸に遊漁船業なり、今後はマリンレジャーや観光、飲食など海をフル活用した事業を行っていきたいと思って、今取り組んでいる最中です。
 去年養殖施設を増設して、生産量を拡大しました。理由としては、やっぱり皆さんがおっしゃるとおり漁師になりたいといっても雇い入れるところがない、面倒を見るところが少ないですよね。やっぱり高齢化が進んでいて、現在漁師で現役でやっている方々が人を雇い入れるという意欲がそもそもない状態ですので、やりたい、漁師になりたい、でも行くところがない、問い合わせるところがない中で、いわて水産アカデミーができたのですけれども、やる気のある方々を受け入れたいというのもありまして、そうなると経営規模を拡大して利益を上げて、人を雇い入れるような体制づくりが必要と考えて生産量拡大、施設増大、設備投資しました。
 法人化したきっかけは、担い手の確保、あとは漁業者を増やすという意味で法人化したのですけれども、そのほかに、ありがたいことに所得が増えまして、ただただ増えても、ここで言っていいかどうか分からないですけれども、税金が多額に発生して、払いたくないわけではないですけれども、でもこれだけ所得があるのであれば、みんなで分配したほうがもっとより漁業に携わってくれる人たちも幸せになってくれると思って、そういう意味もあって法人化しました。
 やっぱり漁師はきついし、汚いし、危険だし、それこそ今漁獲量も減ってきている中で、給料が安いというわけではないのですけれども、やっぱりイメージが悪いので、就業体系とか労働環境などを改善しながら新しい漁業の在り方を目指した取組をやっていきたいと考えています。
 私も盛岡市出身で、内陸から来たのですけれども、海の恩恵というのはすごいと思うのです。山もそうなのですけれども、畑もそうなのですけれども、それを考えると海はやり方次第では無限大に広がると思っています。その中で、私は漁業一本という選択肢もあると思うのですけれども、せっかく海があって、活用できるのはいっぱいあるのにそれを生かし切れていない現状を考えると、漁師になりたい人も受け入れますし、漁業に携わる人たち、例えば営業であったり、広報であったり、マリンレジャーでいえばインストラクターであったり、こういった漁師以外の方たちも抱き込んでやっていこうと考えています。そのほうがより持続的に続くのではないかと考えています。
 近年漁獲量が天然資源の減少で厳しい状態が続いているのですけれども、去年漁業法が改正になって漁獲規制枠が拡充されたところなのですけれども、知事がおっしゃったノルウェーとか北欧のほうは成長産業で若い人たちのなりたい職業ランキング1位になっています。相当もうかっています。
 そこで、何でそうなったかというとやっぱり漁獲量を厳しく制限していたのです。何百種類という魚種に対して漁獲量の規制をがっちりかけて、その船に対しても個別に漁獲量を制限して、徹底的に管理をした結果、今大型魚が捕れて、資源も増えて成長産業化しているという現状なので、確かに気候変動などの要因もあると思うのですけれども、やっぱりそれを指をくわえて見ているのではなくて、こういった法改正もされた中で、地域漁業もそこはきちっと管理していけば10年、20年後天然資源が増えて、量も上がって成長産業になり得ると思います。
 最後に漁業権、私もこれは問題があるなと思っていまして、行く行くは漁業者は絶対減っていく中で、漁場の有効活用を考えたときに各漁協が管轄している漁場を、そこはどこの住所に住んでいても捕りに行ける、養殖ができるという体制をつくってやらないと漁獲量も上がらないですし、資源保護管理という点においてもメリットはないかなと考えているので、住所要件と、あとは種目ですね、養殖種目、これも漁業権改正のたびにどんどん、どんどん水揚げしていない種目があれば、それは削られていっている状況なのですけれども、それをやってしまうと環境が変わったときに、では違う種目をやろうといったときにその種目が削られて、養殖できないとか捕れないとなってしまうと本末転倒だと思うので、そういう時代に合った、時代を見越した漁業権改正というのを考えていかなければならないと思います。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 では、知事からコメントをお願いいたします。

達増知事
 法人化というのはやっぱりいいですね。法人化で経営の感覚で全てやるようになると人材の確保、育成というところも、やっぱり責任を持ってきちっとやっていくというふうになり、やはりそういうのが増えていくのがいいなと思いましたね。
 企業の参入というと、県外の大きい企業が入ってくるということがよく話に上ってくるのですけれども、地元の人がどんどん法人化していくということがやっぱり望ましいのだと思います。そして、ノルウェーなどがうまくいっている理由が漁獲量の制限ということで、やっぱり資源の保護管理をしっかりやるというのが必須なのだと思います。これ日本は全体としてまだまだなところがあるので、国のほうにも提言、要望しながら資源の保護管理をしっかりやって、漁業をなりわいとする人たちがしっかり稼げるようにしていきましょう。
 それから、漁業権の様々な問題点は全くそのとおりだなと思いますので、この辺もできるだけ運用で制限、改革できるところは改革し、法律の改正が必要であれば、これも国にきちんと要望、提言していきましょう。

 

八重樫部長
 皆様から一通りテーマに沿ったお話をお伺いしました。ここからは自由懇談ということで、先ほど言い足りなかったことあるいは他の参加者の発言を通しての御感想だったり、懇談テーマに関わらない御意見でも何でも結構ですので、自由に御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、先ほどアカデミーの修了された方々からの中で提案とか様々意見いただきましたので、その関係あるいはアカデミーへの期待も含めて石田水産担当技監からお話しいただいてよろしいでしょうか。

石田技監兼農林水産部水産担当技監兼水産振興課総括課長
 それでは、今皆様からいただいた御意見、大きく私のほうで簡単に整理して2つだけ。
 1つはアカデミーの就業の関係ですけれども、アカデミーを就業するときに研修支援金ということで国の制度を活用して毎月十数万というお金を頂きながらやるという制度を使っていただいたのですが、その資金が出るタイミングが、半年ぐらいのサイクルなので、そうなると生活費の確保というのがなかなか大変ですから、ここは国のほうにも要件緩和を要望していきたいと思います。
 もう一つ、あと住むところなのですけれども、特に沿岸のほうは被災してそもそも住むところがあまりない中で、空き家とか、あとは空いているアパートを訪ねるのがちょっと大変な状況が現実問題としてありますから、大分家も建ってきたり、アパートも増えてきましたので、そこのところはよく地元の市町村とうまくあっせんできるよう工夫していきたいと思います。また、地元の市町村の中では家賃の補助をしてくれる制度も同時にやっているところもありますから、うまく活用して、いわゆる地方の移住促進という面も含めて応援していきたいと思います。
 もう一つは、漁業権のお話ですけれども、国が漁業法の改正で大幅に漁業権の要件を緩和して、今まで漁協さんだけが優先順位だったのが企業も漁業権を取得できるように同時並行な形で制度を見直して、この12月から運用が開始されるということになりました。ただ、今地元の現役の漁師さんたちが一番拒んでいるのは大企業が、いわゆる落下傘部隊でどんと岩手に来て漁場をせしめて、そこで稼いでいなくなるような、そういう運用はやめてくれというような声がやっぱり大きいわけです。ですので、先ほど知事が言われましたように、同じ法人であれば平子さんのように地元がしっかり漁場を利用することを優先していくような制度にすることによって、新しく漁業から参入する方が雇入れで入りやすいような形で漁業の法人化、それから規模の拡大をしていくという流れが私は一番よいだろうと思っています。
 もう一つ、漁業権で住所の要件ということがありまして、例えばここの養殖漁場で稼ぐ人たちはこの地域に住んでないとだめですよというような内部のルールがあります。これは、漁業権の法律の問題ではなくて、漁協さんの中である程度解決できるような問題ですので、今度漁業権の改正が令和5年にありますから、これだけ人も減ったり、地域の出入りが多くなっている状況においては地元地域の要件緩和をどんどん進めていくような話をしていかなければいけないと思っていました。
 ただ、無責任になってはいけないのは、盛岡に住んでいて宮古での漁場を稼ぐ権利は俺があるのだよということになりますと、漁場の管理とか、いざ災害が起こったときの対応とか、全く無責任になってしまいますので、地元の方たちは、それはやっぱり駄目だという声は大きいです。ですので、宮古市であれば宮古市のどの地域に行ってもこの漁場で稼げるとか、そのぐらいの緩和は十分にできると思いますので、地域といろいろお話ししながら皆さんが稼げるような環境をつくっていきたいと思います。
 私からは以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。今石田水産担当技監のほうから提案を受けてのお話、移住促進しっかりしていきたいというお話でございました。
 藤倉さんはUターンをされたわけですし、佐々木さんも県出身で陸前高田のほうにJターンという話、久慈から。岡田さんは、まさに移住をしていただいたと。実際に移住あるいは帰ってきてみていかがですかという、そのところを藤倉さんのほうからちょっとお話ししてもらってよろしいですか。

藤倉 結城
 私が岩手県を出たのはちょうど震災の年で、本当に街がぼろぼろの状態から8年で戻ってきたのですが、釜石で言うところだと古い小さいお店が流されて、再建できないということは悲しくなりましたが、釜石にイオンとか大型の建物ができたのは若いというか、中学校、高校世代としては行く場所が増えたという面ではありなのかなと。
 私は、漁師については全くゼロの状態で来たので、漁師については分からないのですが、震災明けの間数年はサケも結構捕れていて立て直しができたということなので、どう変わったかというのは、若者に対して、お店ができたので、いい傾向だと。これもただ復興の作業とかいろいろ進んだので、よかったのかなと。ただ、ここから釜石においでよというのはまだ魅力がまだまだアピールする要素が足りないのではないかなという部分があります。もう少し漁業以外でも人が増えれば釜石の若い人口から集まってきて、漁師も魅力があるよと言いたいので、そういう受入れの方法というか、ルートがあると思うので、それに向けては岩手県、私は釜石に住んでいるので、釜石のことなのですけれども、釜石のよさをどんどんアピールできるようなことをしていきたいなと、ほかの市で言うと市のアピールをどんどん積極的にやってほしいなという面もあります。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 佐々木さんいかがでしょうか。

佐々木 快昌
 僕は高校卒業から関東のほうにずっと行っていて、そのときには僕は岩手では暮らす気はないなと思っていたのですけれども、都会に比べていろんなお店がなかったりとか、遊ぶところがないということをずっと思っていて、震災以降陸前高田に通うようになって、田舎では暮らせないなと思っていたのがだんだん薄らいできたというか、薄まっていって、住めるんじゃないかなと思った理由が、陸前高田に若い人たちが結構よそから来ているなというイメージはありました。地域おこし協力隊や、あとは漁業に興味あると、しかもそれが女の子だったりというのがあったり、田舎暮らしをしたくて来ている人たちも多いし、田舎の魅力を知ろうとして来ている人たちもいて、その人たちと話していくうちに自分の感覚もだんだん、別にこっちで暮らせないと思っていたのは、自分が地域に目をやっていなかったからだという感覚がすごくあって、ぱっと見渡すと遊べるところというか、興味が持てるようなところが実はたくさんあったのだなというふうに僕は思えるようになってきて、そこを僕と同じように捉えられる人が多分まだいるとさっきも言ったのですけれども、もっとアピールしていけばどんどんいるのではないかなと。それがこっちに移住してきて思ったことです。面白いことに目をやるとか、今まで気づかなかった部分というものが出てきているのではないか、岩手県はと思うのです。どこの田舎も多分そういう働きをしているから、見やすくなってきているのだろうと思うのですが、そこで僕は1次産業とかももっとアピールしていけばもっともっと人口は、従業者が増えていくのと、あとはいろんな意見が出ることが大切だなと思います。新しい人が1次産業に入ってきて、その人たちが今の時代と昔のやり方と今のやり方を考える環境、そこからみんなで考えて、新しいやり方を出していかないと、新陳代謝をよくしていかないと発展がうまくいかないとは思っています。だから、全部つながっていて、高齢者の方から技術をもらって、知恵をもらって、それを自分の中でかみ砕いて、では今の時代こういうふうになってきているから、こうしようというふうなことを発信しようとか、それがやりやすいようになっていけばもっともっと人口とか、実際漁業に入ってくる人たちとかも増えていくと思うし、地元で育った子どもたちも自分たちの地域というのは、こういうものが特産なのだと、これって自慢できることだなと思えて、他県の大学に出ていった先でうちの地元はこうなんだよと説明できることが望ましいというか、全部がアピールにつながっている気がします。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 岡田さん、なぜ岩手だったのか、また岩手に移住してみてどうでしょうか。

岡田 薫省
 私の中では移住というのは最低限なければならないのは2つかなと思うのですけれども、1番はそこで食べていけますか、それから、住むところがありますか、この2つはどこに行くにも大前提だと思います。住むところ、特に沿岸で空いている物件を探すのは震災の関係もあって非常に厳しかったかなと思います。しかし、住んでみると意外と空き家というのはあるものなのです。空き家バンクとかにはなかなか登録したくないというか、知らない人に住んでほしくないのか、そういうのがあるのかなと思いますので、そういうところがもう少し改善されたら2つの条件に当てはまっていくと思います。また移住者も移住先として考えやすくなるのかなと思います。
 私は出身は東京で、その後会社の関係であちこち転勤してきました。実は岩手に来る前に岩手県の方はみんないい方が多いという話を聞いておりまして、そのとおりでした。別に変な意味ではなくてですね、何かこれを売りにするのはおかしいかもしれないですけれども、やっぱり人に優しい岩手県なんじゃないかなと今でも思っていますので、そんなところでしょうか。
 あと意見ですけれども、先ほどの生活支援金とか補助金の話についてですけれども、現状では国の年齢対象制限がありまして、私は実は50歳なのですけれども、補助金を受けられるのは45歳までなのです。なので、生活支援金とか新しい用具を買うお金の補助金などを一切受けられない状況で頑張っております。年齢も大事だと思うのですけれども、今後についてはやる気とか頑張りとか人を見て御判断をいただけるような仕組みがあったらいいのではないかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それでは、平子さん、法人化をされて就業体系も改革しながら新しい漁業を目指していくということで、まさに担い手育成を実践されておられると思うのですけれども、漁業の担い手育成の観点から必要なこと等その辺をお話しいただければと思うのですが、お願いいたします。

平子 昌彦
 一番心配になるのは、多分独立となったときの資金だと思うのです。やっぱり漁船漁業をやるにしろ、養殖業をやるにしろ、まず船がないと始まらないわけで、恐らく何年かすれば中古船は出回ってくるのでしょうけれども、そうなればそうなっても年数がいった船とか30年後になるのか何十年後になるかちょっと分からないですけれども、中古船を購入するにしろ何百万円という資金も必要ですし、漁具や資材なんかも本当に生活していく規模でとなると何千万とかかってくるでしょうし、養殖施設に関していえば今使っているところが空きがないとなれば空き漁場にまた設置するとなれば、それも何千万という資金が必要になってきます。そのほかに運転資金ですよね、生活費。生活もあるし、養殖にしてみれば販売までに1年、2年かかるので、その間の運転資金が必要ですし、なかなか独立ということに関してはハードルが高いので、全部が全部補助金というわけにはいかないので、融資制度の近代化資金というのもあるのですけれども、そこで賄い切れないものは多分出てくると思います。独立の観点から見れば、雇用型であれば全く問題なく生活できるような体制をつくりたいと思っています。
 以上です。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それと先ほど平子さんのお話の中で、まさにマリンレジャーとの観光なり、水産業との融合というお話もありました。岡田さん、観光と漁業を掛け合わせて、漁業の魅力発信のお話をされていましたけれども、観光の観点なり漁業と観光の掛け合わせのようなところで少し岡田さんからお話を。

岡田 薫省
 日々仕事をしている中で、これって観光のコンテンツになるのかなというものが実はたくさんあると思います。
 あともう一つは、どうしても1次産業は外的環境の変化に弱いじゃないですか。なので、自然災害とかいろいろあって、ある程度複合的に事業としてやっていくということも必要なのかなというふうに思っています。あと日々思うのは、このすばらしい環境を見てもらって、こういうところでつくったものがあって、そしてそれをその場で食べてもらうという体験が実現できると、多分来た人は地元に帰った後でも、もう一回行きたい地域、もう一回食べたいあの何々という思いになると思うのです。そういうのを水揚げしながら実感しているので、どうやって伝えていくかということを考えながら漁業と観光、これを掛け合わせて何か地域の振興に少しでもお役立ちできるものがあるのではなかろうかなと思っていますので、そこはぜひ実現したいです。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 それと10年後、20年後、まさに漁業が成長産業となって希望の持てるものとなっていくということで、馬場さんから地域の地元で育った子どもたちが漁業に目を向けてくれると、漁業のことをそのために地域の子どもたちに話していくということをお話しいただきました。その子どもたちが、そうしたお話をいただいて、まさに漁業なり、地元に目を向けてくれるようになってきているのかどうか、その辺をちょっとお話しいただければ。馬場さんからお願いいたします。

馬場 陸
 
みんながみんなそういうわけではないのですけれども、中には今の子どもたちは結構ゲームとかが好きな子どもとかも多いと思うのですけれども、漁業を見たりという中で、自然で遊ぶほうが楽しいとか、自然にしかない楽しさがあるなというのを思ってくれたり、直接漁業につながっているかといったらそうではないかもしれないのですけれども、自分が自然と遊んでいく上で漁師もいいなと思ったりもしたので、それは大事な一歩なのかなというのを思ったり、あとは岩手県内ではないのですけれども、自分の弟が今福島の巻き網船に乗っているのですけれども、岩手県の自分の後輩が、そちらのほうに就職したいという話をされて、いろいろ相談に乗っていくうちに、俺やってみるとなって、来年から乗るのが決まっているのですけれども、その人に限らず結構そういう漁師やりたいのだけれども、どうかなとかという相談を受けたりするので、学生のときからそうやって漁師に興味あるとか声かけができてよかったのかなとは思っています。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 皆さんから様々な御意見いただきました。ありがとうございました。
 

 

知事所感

八重樫部長
 最後に、知事からお願いしたいと思います。

達増知事
 今日は非常に参考になる話、また元気が出るような話も頂いて大変よかったと思います。
 そして、いわて水産アカデミーですね、まずいい感じでスタートできたのではないかなと思います。つくってよかったなと思っております。
 馬場さんが最初に資格なども紹介してもらったりするといいという話をしていましたけれども、一つは情報センターとして漁業をなりわいとして生きていこうとする人たちにとっての有益な情報がそこに行けば得られるというような機能をやっぱり水産アカデミーというのは果たしていくべきだと思います。まず、漁業、水産業ということを柱にしつつ、でも住む場所とか、あといろんな生活資金、また独立のための資金とか、生活とか、あるいは経営とか、そういう情報にもどんどん広げていければいいのだと思います。
 去年三陸防災復興プロジェクトというのをやって、いかに岩手沿岸、この復興道路で便利になって、三陸鉄道も一貫通行になり、そしてそれぞれの港、津々浦々でもう全国有数、世界に通用するようなものが水揚げされて、そういうのをスペインとかフランスの一流のシェフに見てもらって、これはすごい、これはすごいとお墨つきを与えていただいて、今年に入って、それをさらにまた売り出していこうと、オリンピック・パラリンピックで東京に来た外国人にも岩手沿岸にも来てもらって見たり食べたりしてもらおうということだったのですけれども、コロナの関係で直接来てもらえないような部分についてはいろいろインターネットの活用とか、三陸ガストロノミー会議は規模は縮小しますけれども、やることはやりますので、そういう岩手の海の幸の宣伝というのはコロナの下でもしっかりやっていこうと思います。そして、そういうなりわいとしての漁業、水産業への関心も高めていって、コロナの流行については大東京のような人口密集地に住むリスクの高さというのも何か痛感されているようで、人口移動が何年ぶりかで東京から人口流出のほうが多い月が出たとか、岩手含めて東北からの人口流出に歯止めがかかっているとか、地方で暮らし、地方で働くほうがいいのだという、そういう認識もコロナの流行のせいで広がっているところもありますので、その辺を入り口にしながら、海や山のすぐそばでそういう自然の中で働いたり、暮らしたりするということがいかにいいことかという、そういうのも改めて全国に広げていって、岩手の漁業、水産業を盛り上げていきたいと思いますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。

八重樫部長
 ありがとうございました。
 皆様、本日は貴重なお話を頂きまして誠にありがとうございました。お伺いした意見を水産アカデミーの運営をはじめ今後の県政運営の参考とさせていただきたいと思います。

閉会

八重樫部長
 これをもちまして、県政懇談会を終了させていただきます。本当にありがとうございました。

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