「がんばろう!岩手」意見交換会(平成29年7月11日 県南地区)

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1000829  更新日 平成31年2月21日

印刷大きな文字で印刷

日時
平成29年7月11日(火曜日)10時30分から11時55分まで

場所
金ケ崎要害歴史館 多目的室

出席者(敬称略)

  • 参加者(敬称略)
    土井 啓子(土井牧場/金ケ崎Dairy Mother'sIII 代表)
    高野 寛子(紅果園)
    高橋 賢(うるおい春夏秋冬(ひととせ)/北上4Hクラブ 代表)
    小松代 真由美(有限会社旅館アイリス悠 代表取締役/平泉ほっとする食のプロジェクト 代表) 
    松本 数馬(株式会社イーハトーブ東北 代表取締役/一般社団法人一関平泉イン・アウトバウンド推進協議会 代表理事)
    遠藤 靖志(西和賀町地域おこし協力隊)
  • 県側
    知事、県南広域振興局長、秘書広報室長

開会

保室長
 皆さん、おはようございます。ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催します。本日はお暑い中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 今日は、県南エリアでそれぞれ御活躍いただいております皆様にお集まりいただいておりますが、テーマを「食によるふるさと振興」と設定をさせていただいております。
 私は、本日この懇談会の進行役を務めます秘書広報室長の保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


保室長
 それでは、開会に当たりまして知事から一言御挨拶をお願いします。

達増知事
 皆さん、おはようございます。この県政懇談会といいますのは、知事が県民の皆さんの声を直接聞いて県政に役立てるということでやっているのですが、東日本大震災津波の後、特に「がんばろう!岩手」という名前をつけてやるようになりました。東日本大震災津波からの復興の関係で活躍している皆さんの声を伺うというところから、いわゆる地方創生、まち・ひと・しごと創生、ふるさと振興で活躍する皆さんの声を聞くというように最近広がってきているところです。今日は食をテーマにということでありまして、この東日本大震災津波からの復興も、またいわゆる地方創生もふるさとを消滅させない、また孫子の代に誇りを持って引き継ぐことができるような地域づくりというようなところが共通しておりまして、震災や地方創生などがなくても岩手として取り組んでいかなければならない永遠のテーマでもあると思っておりますので、今日は皆さんのお話を聞いて、ぜひ県政に役立てていきたいと思います。
 県議の皆さんも、今日はお忙しい中、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

保室長
 それでは、この後、私の方から一通り御出席の皆様の御紹介をいたします。その後、今日お集まりいただきました6名の皆様にお一方ずつ自己紹介をしていただきたいと思います。その後は、今日のテーマでございますふるさと振興ということにつきまして、お二方ずつ区切りながら、知事のコメントも挟みながら進めていきたいと思います。最後に自由懇談の時間も設けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、名簿に従いまして、御出席いただいた皆様を御紹介いたします。
 初めに土井牧場、金ケ崎Dairy Mother'sIII の代表の土井啓子さんでございます。

土井 啓子
 よろしくお願いします。

保室長
 よろしくお願いします。
 紅果園の高野寛子さんでございます。

高野 寛子
 よろしくお願いします。

保室長
 「春夏秋冬」と書いて「ひととせ」と読むそうでございます、うるおい春夏秋冬(ひととせ)、4H倶楽部の代表の高橋賢さんでございます。

高橋 賢
 よろしくお願いします。

保室長
 有限会社旅館アイリス悠代表取締役でございます、また平泉ほっとする食のプロジェクトという活動の代表の小松代真由美さんでございます。

小松代 真由美
 よろしくお願いします。

保室長
 続きまして、株式会社イーハトーブ東北代表取締役でございまして、また一般社団法人一関平泉イン・アウトバウンド推進協議会代表理事も務めておられます松本数馬さんでございます。

松本 数馬
 よろしくお願いします。

保室長
 西和賀町の地域おこし協力隊の遠藤靖志さんでございます。

遠藤靖志
 よろしくお願いします。

保室長
 県からは達増知事のほか、私の左隣には県南広域振興局の細川局長が出席をいたしております。
 よろしくお願いします。

細川局長
 よろしくお願いします。

保室長
 それから、本日は、皆さん、背中の方になって大変恐縮ではございますけれども、県南エリアから選出されております県議会議員の皆様にも御出席いただいております。大変恐縮ですが、着席順に御紹介をしたいと思います。
 関根 敏伸 議員でございます。
 高橋 孝眞 議員でございます。
 佐々木 朋和 議員でございます。
 佐藤 ケイ子 議員でございます。
 菅野 ひろのり 議員でございます。
 佐々木 努 議員でございます。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。

保室長
 ちょっと前置きが長くて恐縮ですが、皆様のお手元に今日は飲み物とお菓子のほかにリンゴもございますね。ちょっとだけお菓子の御紹介をいただいて、その後、リンゴの御紹介もしていただきたいと思います。

細川局長
 では、私の方から茶菓の御紹介をさせていただきます。
 茶菓の一つは、西和賀町の工藤菓子店でつくって販売されております「わらび粉みるくぷりん」というもので、黒蜜をかけて食べていただければと思います。
 それから、お飲み物ですけれども、これは北上市の更木ふるさと公社というところがつくっております「更木桑茶」という桑のお茶でございます。
 この「わらび粉みるくぷりん」ですけれども、西和賀の特産品であります西わらびですね、本日遠藤様から資料でいろいろと頂いておりますけれども、西わらびの根茎、根の茎、土の中に潜っている部分の根のような茎の部分からとれるわらび粉がございますけれども、そのわらび粉と湯田牛乳公社の牛乳を使ってつくったみるくぷりんでございます。湯田牛乳公社の方は、今日遠藤さんからいろいろ御紹介、資料を用意させていただいております。
 わらび粉というのは、根茎の部分からわずかしかとれないということでございまして、貴重だということで国産のわらび粉は国内でもほとんど流通されていないということだそうでございます。県の農業改良普及センターで支援する形で地元の生産拡大、それから販路拡大に取り組んでいるところでございます。
 それから、湯田牛乳公社につきましては、本日参加されております土井様が酪農されております金ケ崎の和光地区からも搾られた牛乳が出荷されているということでございます。よろしくお願いしたいと思います。
 それから、更木桑茶ですけれども、こちら北上市の更木地区はすぐれた桑が生育しているところでございまして、更木ふるさと公社から開発された商品でございますので、どうぞ御賞味いただければと存じます。

保室長
 これはうまいですね、これは幾らで売っているのですか。

細川局長
 ちなみに、値段は248円です。

保室長
 おおっ、意外と。貴重な粉の割には。

細川局長
 そうですね、西和賀町の工藤菓子店ということで、それ以外では今のところ販売されていないんでしたっけ。

(県南広域振興局)
 わらび粉は町内の流通を優先しているということで、外には出していないとのことです。

保室長
 行かないと食べられないという。

遠藤 靖志
 一応ネットでも売っていますので。

細川局長
 御賞味いただきたいと思います。

達増知事
 なるほど、わらび餅っぽい感じのもちとろ感というのでしょうか、それが普通のプリンにプラスアルファでおいしいですね、ミルクの香りも十分漂って。

保室長
 またこのお皿が秀衡塗という、県南尽くし。
 それから、リンゴは高野さんから提供いただいたということなのですが、簡単にちょっと。

高野 寛子
 済みません、急遽出させていただいたのですけれども、この品種は10月中旬に収穫した奥州ロマンというリンゴになります。
 うちでは育種といって、新しい品種の開発もしていまして、それで一番出た新しい品種で、今の時期なかなかリンゴはスーパーでも少ないのですけれども、スマートフレッシュという貯蔵技術を使って今はできるだけ一年中リンゴの販売をしています。

保室長
 すごくパリパリしていますね。

高野 寛子
 そうですね。

達増知事
 本当だ。いやいや、新しい感じがします。

高野 寛子
 去年のリンゴになります。

懇談

写真:懇談会の様子2


保室長
 それでは、皆さん十分に食べながら、飲みながらというところで、本当に無礼でも何でもなく、そのとおりで結構でございますので、食べながらということで進めたいと思います。
 それでは、自己紹介ということで、土井さん。

土井 啓子
 よろしくお願いします。地元の金ケ崎で、和光地区で酪農を夫と2人で営んでいます。現在Dairy Mother'sIII という部落農家の3世の女子だけのグループの代表を務めていて、今和光地区で6次産業化に力を入れていて、それに向けた商品開発とか、あと地域の子どもたちに牛乳を使った料理、お菓子のつくり方を教えたりしています。
 
保室長
 ありがとうございます。
 それでは、高野さんお願いします。

高野 寛子
 江刺でリンゴをつくっています紅果園の高野寛子と申します。
 私は、神奈川県出身で、リンゴづくりがしたくて岩手に嫁いできました。嫁いで14年か15年ぐらいで子どもが3人いて、ふだんはお母さんとして、あとは農家の経営者として主人とともにやっています。岩手大学で農業経営の勉強をしてアグリ管理士を取らせていただいたり、最近では県南広域振興局さんでキャリア教育サポーターといって、地域の小、中、高校生に職業としての農業を教える機会をいただいていまして、そういう活動もしながら地域に農業をどんどん勧めていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

保室長
 よろしくお願いします。ありがとうございます。
 それでは、高橋さんお願いします。

高橋 賢
 北上市で農業をしております高橋賢と申します。
 うちでは、多品目の野菜をつくっておりまして、年間四、五十種類はあるとは思うのですけれども、そういった珍しい野菜とか、普通にキャベツとか、ブロッコリーなどもつくってはいるのですが、そういった野菜はほとんど北上市内に出荷しているような形になります。市内の産直からスーパー、あと飲食店20軒近くに出荷しています。直接お客様が見えるような形で販売をしたいなと思って、こういった形態をとっているのですけれども、そういったことで飲食店ともこれからいろんなコラボしながら企画をやっていきたいなと思っています。よろしくお願いいたします。

保室長
 ありがとうございます。
 では、小松代さんお願いします。

小松代 真由美
 平泉の方で旅館アイリス悠の女将をしております小松代真由美と申します。
 昭和48年に祖父母が旅館を始めまして、平成25年7月から私がオーナーになりまして、有限会社旅館アイリス悠と改名して営業しております。7月13日で丸4年になります。
 私自身としましては、9歳と7歳と5歳の子育てをしながら仕事をしています。
 食についての取組は、昨年6月、平泉町内の女性有志の方たちと一緒に結成した平泉ほっとする食のプロジェクトの活動をしております。訪れた人が安らぐ、ほっとする平泉の魅力を探求して発信しています。歴史、観光、健康の視点で平泉らしい食を研究しています。よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 松本さんお願いします。

松本 数馬
 よろしくお願いします。イーハトーブ東北の松本と申します。
 私は、今旅行業と飲食業をやっております。もともと一関市で生まれまして、大学卒業後、ずっと東京で働いておったのですけれども、金融機関で働いておりました。たまたま2011年の1月に仙台支店に転勤になりまして、そのわずか1カ月後に地震を、被災を受けまして、仙台で法人の担当としてお客様対応ですとか、ボランティアをやっておったのですが、そのときにふと地元を見てみますと人口が今一関市は12万人を切ったところなのですが、1,500人ぐらい減っているよということがありまして、やはりここで何とかしないと自分の地元がどうなっていくのだろうと物すごく不安感がありまして、地元で何か伸びているマーケットで勝負していきたいなということを思いまして、そこから観光ということに力を入れまして、今年の2月に旅行会社を立ち上げたということでございます。
 今地元の仲間とこの地域をどのような形で稼ぐ地域にしていくかということを話し合いまして、ごま摺り団子の松榮堂さんですとか、世嬉の一酒造さんですとか、こういったところの仲間たちと5社でイン・アウトバウンド推進協議会というのを立ち上げまして、活動をスタートしているというところでございます。よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、遠藤さんお願いいたします。

遠藤 靖志
 西和賀町から参りました遠藤です。結構皆さんに「にしわがちょう」と言われるのですけれども、実は「にしわがまち」でございまして、まだまだ知名度が低いですね。
 それはさておいて、私はもともと盛岡出身で、大学から東京に行って、大学卒業後はずっと東京で働いておりました。現在西和賀町の地域おこし協力隊に入って3年目なのですが、東京にいて、ずっと故郷のために何かやりたいなと思ってまして、それで帰ってきました。何で縁もゆかりもない西和賀に入ったかというと、人口が減少していて、高齢化が進んでおり、岩手県で真っ先に消えるかもしれない町だと言われてました。やっぱりそういうところに入って課題が何なのだろうかということを実体験して、いろいろ考えていこうと思いました。
 詳細は本日お配りした資料で御確認頂きたいのですが、現在は第三セクターの西和賀産業公社と湯田牛乳公社を主にサポートしております。内容的には、ネットでの情報発信、販路開拓、社内の業務の改善のサポート、商品開発のサポートをしています。商品開発のサポートというと聞こえはいいですが、実は食べてばかりなのです。食べる専門家という形で、食べていろいろああだ、こうだ言いながら地元の方たちといろいろなことに取り組んでおります。よろしくお願いいたします。

保室長
 今日のテーマにぴったりの遠藤さん初め皆さん、ありがとうございます。
 今も様々お話がございましたし、お手元においしいリンゴもございますけれども、食によるふるさと振興ということで、様々皆さん取り組まれていらっしゃるかと思います。ここからはお一人4分程度で現在の取組あるいは課題、それから今後の方向ですとか、あるいは行政に対する期待、そういったものも含めましてお話をいただきたいと思います。
 それでは、恐縮ですが、また先ほどの順番でいきたいと思いますので、土井さんの方からお願いいたします。

土井 啓子
 現在私たちは、さっきも言いましたけれども、和光地区で6次産業に向けた取組をしているのですけれども、その中で何をつくったらいいのかという話になって、酪農だけやってきた地域だったので、何をつくったらいいかというのが全然わからなくて、それで話し合いをした結果、ジェラートをつくろうという話になったのですけれども、近くにカウベルという結構有名なジェラート屋さんがあって、あと割と県南、ジェラートが有名なところがあって、そことどう差別化していくのかという、そこに今ぶち当たっているというか、悩んでいるところです。
 今洋野町の企業に委託してジェラートをつくってもらっている段階なのですけれども、そこで決まったレシピがあって、そのレシピどおりでしかつくれないという話になったらしくて、それでいいのかなとちょっと思ったりもしています。
 あと金ケ崎、アスパラガスを売り込んでいるのですけれども、アスパラよりも酪農の方が先なのです。何で金ケ崎、アスパラを売り込むのかなという。北上もアスパラ有名ではないですか。北上に絶対負けているなと、ちょっと思っているのですよね。なので、そこをちょっとこっちから頑張って売り込んで、牛乳を有名にしたいなと思っています。
 あと、子どもたちもちょっと牛乳嫌いという、酪農家ですけれども、牛乳が嫌いという子どもが結構いて、知り合いに。やっぱり朝飲まないとか、そういう子が多いです。そういう子どもたちに牛乳を使った料理とかお菓子が簡単につくれるのだということを教えて、牛乳はこんなにおいしいのだというのを教えてあげたいなと思っています。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、高野さんお願いします。

高野 寛子
 私は、リンゴ農家の嫁でして、面積として大体9ヘクタールぐらいやっているので、どうしてもリンゴの場合、人手がかかるので、まず今の時期でも20人から30人使ってやっています。
 今どこでも言われているのですけれども、やっぱり人材不足というのが年々本当にひどくなっていまして、私自身が地域の職業安定所に、職安に行って求人出してくるのですけれども、今年ほど応募が来なかった年はなくて、年々時間帯を縮小したり、募集の緩和をしているのですけれども、今年何とかぎりぎり2人来てくれて、でもやっぱりその方たちも最低時間の4時間ということなので、やはりちょっと厳しいなというのは感じています。県でもスマート農業とか、あと海外研修生の導入など、いろんなことをしていただいているのですけれども、もちろんそういうことも取り入れながら、それでもやっぱり今日、明日の人手不足というのに追いつかないというのが現実でして、そういう意味でも人手がかかる農業は規模拡大ではなく、もちろん利益率がよければいいことなので、うちとしてはちょっと今のところ規模を縮小して、利益を確保して、最近よく言われるトヨタ式のカイゼンを導入したりとか、スマート農業もそうですし、そういうものを導入して、今はそういう方向で行かないと、現実的には無理かなというふうに思っています。
 あとそれと、ここ最近の温暖化ですけれども、うちでは江刺区の愛宕というところでして、よく夏の時期に県内でも一番気温が高くなることもあります。昨日も35度5分という中で、やはり今までの品種に頼っていたら産地としてつながらないという現実がありまして、そのためにうちではこういった育種といって、新しい品種の開発なども行っています。うちでは、できたらリンゴを一年中食べてもらいたいという思いから貯蔵技術を、スマートフレッシュというものを入れて、本当に毎日、今でも産直に出していて、ありがたいことに売れていまして、やはり11月、12月のいっぱい競合の方が産直にいる中で、今の時期独占して販売できるので、キロ単価としては本当に最盛期よりもいいので、売り上げとしてはかなり助かって、このようなこともやっています。
 あと、先ほど言いましたキャリア教育サポーターとして農業人口を増やしたいという思いがあるので、子どもたちに農業はおいしいし、楽しいよということをすごく伝えるようにしています。地域の小学校も総合学習の時間で年4回我が家に来てもらっていて、そういう体験をしてもらったり、あと最近では本当に観光客の方を取り入れたり、あとは小学校とか幼稚園の遠足などもうちに来てもらっています。できるだけそういうこともして、知ってもらうということがやっぱり大事なのだなと思っていまして、情報発信の中にも肌で感じてもらうということの印象の強さというのは、子どものうちにたくさん経験してもらうとやっぱり違うのかなと思うので、そういうことをしながら地域の産地としてつながってもらいたいなというふうに思っています。
 
保室長
 ありがとうございます。
 では、知事からお願いします。

達増知事
 岩手は日本有数の酪農産地でありますし、まず牛乳というのを飲んでもらって、そして牛乳でも売っていきたいし、また加工品もいろいろ展開したいというのは県としても同じ方向性です。
 ジェラートは、いろんな種類をつくれるところが、いろんな味のジェラートというのをつくれるところがまた魅力でもありましょうし、いろいろ工夫して差別化とかはできるのかもしれません。ソフトクリーム、アイスクリーム、ジェラート、乳製品の可能性は非常に大きいので、チーズとかもそうですし、またお菓子の方向性もありますし、このわらび餅と混ぜるという、思いつかないような手もありますし、乳製品をベースにした6次産業化というのは非常に可能性があると思うので、県としてもいろんなことを一緒にやっていけるようにしていきましょう。
 あと、子どもの頃から牛乳好きになってもらうというのは大事ですよね。私は、結構湯水のように牛乳を飲んでいた方で、家には常に牛乳が冷蔵庫の中にあって、クラブ活動とかして帰ってきて疲れたときに、水のかわりに牛乳を飲むみたいにしていたのですけれども、牛乳はたくさん飲んだ方がいいと思うので、体質的に飲めない人というのもいますけれども、でも食わず嫌いみたいな感じで嫌いというのは本当にもったいないので、そうですね、お菓子みたいなところから始めるのもアイデアだと思いますし、やっぱり子どもに好きになってもらうというのは大事だと思います。
 高野さんも、農産物、やっぱり子どもの頃からそういう食の大切さを教えるというのは、本当に大事だと思います。農作業体験などは、1回やっただけで結構農業、農家に縁がないような子どもたちにとっては、特に一生の思い出、一生記憶に残ることでもあり、ですから観光客の方にもそういう体験というのは非常に意味があるなと思うので、そういうのはいいと思います。
 夏のリンゴニーズというのはありますから、やっぱり夏でも食べたい人たちはいるし、夏のリンゴを売れる体制というのは非常に有利だと思います。
 人材不足の問題は、これはもう日本全体人手不足時代に突入してしまっていて、人口構造からして若い人の数がどんどん減っていく構造になっていますから、今年より来年、また来年より再来年と、先に行くほど人手不足はきつくなっていくので、少人数でもやれるような工夫とか、あと海外研修生とか、そういう今までと違った形での人手の確保というのも模索する必要がありますし、規模縮小というのも、これは合理的な経営としての一つの選択だと思いますので、利益を確保していくためには、そういう選択もありだと思いますし、いずれ人口減少時代で人手不足時代になっているというのは、県としてもそれをきちっと前提としながら、産業構造をそれでも大丈夫なようにしていかなければと思っています。

保室長
 6次産業化とか、新しい商品開発なんかは、局の方でも大分応援していると思いますし、いろいろ県にも相談いただければと思います。
 それでは、続きまして、高橋さんお願いします。

高橋 賢
 先ほど自分も飲食店に野菜を納めているという話はしたのですが、自分はもともと飲食業出身なので、そういったところに取り組んではいるのですが、先ほど人口減少というお話もありましたけれども、我々生産者もそうですし、飲食業も、胃袋の数でマーケットの大きさが決まってしまう業界なので、それがこれから数が減っていく、さらに高齢化、小さくなっていくということが将来確実になるということがわかっている中で、このままだと自分たちがどんどん、どんどんマーケットが小さくなっていく中で奪い合いをしていくことになっていくのではないかと思っています。北上というまちは皆さんご存じだと思うのですが、ちょっと前までは人口比率当たり日本一飲み屋の数が多いまちと言われていたのですけれども、大体ちょっとした居酒屋とか、スナックとか、そういった店が多かったのですが、最近若いシェフなんかがお店なんかを出してきて、ちらほらおいしいお店が結構あちこちにできているよねという話も聞くのですが、そういった若い世代が新しく店を出していくのに、これからマーケットが小さくなっていく中で、ではそれを自分たちも含め、自分たちがそれを奪い合っていくのかということではなくて、もっと全体のパイを大きくして、みんなで利益を分かち合っていきたいと思いまして、やっぱり地産地消といいますと、どうしてもマーケットは減っていく一方だと思うのですが、そうではなくてもうワンステップ上がって地産来消ということで、外から来てもらって消費してもらう。そのためにはどうしたらいいのかということをずっと考えていまして、ここ数年ずっと飲食業の方々とコミュニケーションをとったり、納品していく中で、そういった布石を置いてきました。去年の秋から「タヴェルナ収穫祭」というイベントをさせてもらったのですが、近隣の農家さんとか生産者の生産物を集めて、ビュッフェ形式でイベントをやることにしたのですが、その中でも課題があるのは、やっぱり域内の小口物流をどうするのかということもありまして、それに関しては今回6月にあったイベントで、講師として日本農業総合研究所の社長に来てもらって、そういった物流システムを持った物流はどういったものかという勉強会をして、講演の後にこういった前夜祭という形で生産者とか流通の方々と交流を設けて、意見等をさせていただきました。秋にも、また別な形で講師の方を呼んで、そういった勉強会をしながら生産者と流通業者を交えて、どうやったらそういった域内で物を回せるのかということを考えていって、北上の中で回すだけではなくて、もうちょっと広域に広げてもっと素材を北上に集めて、北上はやっぱりこんなにおいしいものがあるのだと、こんなにおいしい料理があるのだというものをもっと外に発信したいと思っています。
 そうして、北上はこんなに食文化、食生活が豊かなまちなのだなということを外の方々に認知してもらえれば、やっぱり外から人が集まってきますし、またそんなところで店をやりたいという人も増えてくるのではないかと思いまして、時間がかかることかとは思うのですが、自分としてはやっぱりそうしていかないと先々しぼんでいくマーケットに黙って座して見ているわけにはいかないので、生産者も、自分の4Hクラブの後輩も20代、30代の若手がすごく多いので、やっぱりそういった方々もどんどんみんなで盛り上がっていけたらなと思って今やっています。
 それと、この6月のイベントに関して、もう一つ企画として入れ込んでいたのが、ビュッフェに来たお客様に、希望者に私がつくっているイタリアン丸ナスという特別なナスの苗をプレゼントするということを企画で入れていたのですが、これをプレゼントして、お客様がおうちで育ててもらって、できたナスをタヴェルナさんに持ってくると、特別に料理してもらえるという企画をしているのですが、やっぱり自分が飲食店に物を納めて、料理して出てくるとすごくうれしいのです。そういった気持ち、楽しさとかうれしさをお客様にも分かち合ってもらえれば、自分もこのイベントに参加しているのだという気になってもらえるのではないかと思いまして、やっぱりイベントというのは供給者側が開くだけでは、常に新しいものという、手を替え、品を替えというふうにやっていかなければいけないと思うのですが、お客様が参加しているということに付加価値を持ってもらって、一緒にイベントを大きくしていこうということで、北上というのをグルメなまちにしたいなということで、こういった企画も入れました。祭りもそうだと思うのですが、見ているよりも参加した方が楽しいという声もありますので、やっぱり市民の方も参加して盛り上がっていけたらなと思います。
 こういったイベントを小さく始めながらも、大きく育てていけたらなと。最終的にはちょっとあれなのですが、今世界一グルメなまち、スペインにサン・セバスティアンとあるのですが、ああいった形で市民も参加した形の本当に食生活が豊かなまちにしたいなと思っています。
 
保室長
 ありがとうございます。
 では、小松代さん、お願いします。

小松代 真由美
 平泉のほっとする食のプロジェクトでは、歴史と観光と、あと健康という面からいろいろ考えてきているのですけれども、まず食と歴史については奈良女子大学の前川佳代先生の御指導をいただきまして、平安時代の食を再現する勉強会をしています。現在でも春日大社に奉納されている「ぶと」というものがありまして、それをもとに「平泉ぶとまん」の商品開発をしております。冬、今年の1月20日に平泉町で二十日夜祭というお祭りがあるのですけれども、それに合わせて平泉町内の農家さんがつくっているリンゴと、ホウレンソウと、カボチャ、小麦粉を使ってぶとまんをつくって、100食、3種類つくって、アンケートを書いてもらうように試食会をしました。たくさんのアンケートに答えてくれた方にも好評で、でもまだまだ改良が必要だったので、試行錯誤しながら、どのような生地にしていったらいいのかとか、中身はどのようなものを入れていったらいいのかというのを今考えながらやっているところです。
 平泉町内といっても、野菜はつくっていますけれども、やっぱり限られてきてしまっているので、広い目で見て、やっぱり岩手県内のものを、野菜だったり、あと沿岸の方のものを使って、ぶとまんができたら、平泉町内だけではなくて、岩手県の人たちにも食べていただける機会も増えていくのではないかなと思って、これから一番目指しているところは平泉、私の旅館でまず今つくっているところなのですけれども、それを「平泉ぶとまん」をつくりたいという飲食店をどんどん平泉町内で増やしていって、ぶとまんがどこの飲食店で食べられるマップというのをつくって、食べ歩きをしてもらえるのが目標です。
 食と観光については、このお手元にあるパンフレットを御覧いただきますと、毛越寺の早朝座禅会というのが7月15日から開催されるのですけれども、それに合わせて平泉町内で朝御飯を食べられるように飲食店の方たちに御協力をいただきまして、去年2週間ほどだったのですけれども、平泉朝食堂というイベントを開催しまして、11店舗の飲食店の方に参加していただいたのですけれども、今年は17店舗に増えまして、たくさんの方に町内の飲食店で朝食を食べていただいて、朝の平泉を満喫してほしいなと思っております。
 昨年旅館でも平泉朝食堂に参加しまして、地元の方と、旅館で宿泊していただいているお客様が一緒に朝食を食べる機会があったのですけれども、そのときに平泉町の情報だったりとか、お話をする機会があって、お客様も喜んでいただいていたので、今年もどのような反響があるのか楽しみにしております。
 食と健康についてですが、2月に「平泉ほっとする食午後まつり」というイベントを開催しました。その中で、マリアージュというところの総料理長さんで、国際薬膳調理師の千葉俊博さんから御講演をいただきました。大変たくさんの方にいらしていただいて、健康の面から食を考えていけたらいいなというので、今年も6月、8月、10月と勉強会を開いていく予定です。
 今後も平泉らしい食について、歴史、観光、健康の視点で研究を進めていき、まずは地元の方から、そして平泉を訪れた方にもほっとする食を提供できるよう活動していきたいと思います。私たちいつも4人で話をしているのですけれども、まず自分たちから楽しみながらやるのが一番だなということをいつも話しているので、まず楽しみながら、そうしているとやっぱりみんな見ている方たちも一緒にやりたいなと思ってくれる方が増えていくのではないかなと思いますので、これからもそのように進めていきたいなと思っております。よろしくお願いします。ありがとうございます。

保室長
 ありがとうございます。
 では、知事からコメントをお願いします。

達増知事
 高橋さんは、まず北上4Hクラブを率いて生産の側と、あと消費の側、レストランとか、まとめていただいていて、ありがとうございます。祭りということで、広域的に、また外から人も呼び込んでやるというのは大変いいと思います。人口減少時代ではあるのですけれども、交流人口は増やせるのではないかというところがありますから、外から食べに来てもらうとか、参加してもらうとか、やがてまた外の方にも買ってもらったりということにもつながりますので、生産する人手を確保するのは難しいのですけれども、消費してくれる人を確保していくということは工夫次第でまだいろいろ可能性があるので、そういう祭りの企画は大変いいのではないかなと思います。スペインのサン・セバスティアンを目指すというのもいいと思いますね。
 小松代さんの方は、ぶととか、ぶとまんという平安時代の食の再現というのは非常にいいと思います、平泉らしいですし。薬膳というのも平泉らしいですからね。それから、なるほど早朝座禅会が6時半から7時半までなので、その後の朝御飯というのはいいわけですよね。やっぱりこれもお寺とともにある平泉ですから、グッドアイデアだと思います。
 世界遺産ですからね、昨日、一昨日でしたか、宗像大社とか、また日本から世界遺産になりましたけれども、やっぱり世界遺産というのはなるのは大変なので、なった以上、やっぱりそれを生かしていくように頑張っていきましょう。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、次に松本さん、お願いします。

松本 数馬
 よろしくお願いします。お手元に資料をおつくりしておりました。そちらをちょっと御参照いただければと思います。
 私、イーハトーブ東北ということで、先ほどお話をさせていただいたのですが、旅行業と、それから地元食材を使った飲食店と、これから古民家を改装した宿泊施設を運営するということで、農水省の方で今農泊事業というのをかなり力入れておるのですが、そこにもこれからちょっと取り組んでいこうということ、おかげさまで事業の採択にもなりまして、これから一関と平泉の両エリアでやっていこうということで今進めているところでございます。
 私自身は、まさに交流人口の増加という話がありましたが、そこにもチャレンジする企業ということでございまして、最終的には雇用をつくっていくということが大事だろうということを念頭に動いている、そういう会社でございます。
 今回、食というテーマでございますので、飲食事業について少しお話をしたいと思うのですが、下の部分でして、もともと親がやっておった飲食店の経営を私の方で移しまして、地元食材を使った形で、地域の情報を発信する飲食店という形で今動いております。
 例えばなのですけれども、下にちょっとありますが、三陸のワカメ、岩手というとワカメがおいしいと言われることが非常に多くて、今CASの冷凍を使った早採りワカメというのがありまして、これを内陸でも、要は一年中通してワカメのしゃぶしゃぶが食べられるという体制をちょっととりたいということで、これを今取り組んでおりまして、やはり観光客の方は比較的こういったものを頼んでいただきやすいなというふうには思っています。これに一関の餅をしゃぶしゃぶにつけて提供しているといったようなものでございます。
 隣が餅パフェというもので、これは資生堂パーラーというところの監修を受けてつくっておるのですが、一関には餅膳だけではなくて、さまざまな餅料理を常に食べられる店というのが、これからどんどんもっと増やしていこうという動きがありますので、これをやっておりまして、台湾のラーチーゴーというメディアがあるのですが、今こちらに掲出していただいておりまして、これから順次台湾にもアプローチをどんどんやっていきたいというような取組をやっているということでございます。
 裏面になりますが、先ほどありましたイン・アウトバウンド推進協議会でございますけれども、こちらは一関の駅前で地域活性化スペースというのをつくっておりまして、7月1日にオープンしたというところでございます。ここを拠点としながら、様々な地元の企業さんですとか、地域を活性化したいという人をつないでいくような、横串を通すような場をつくっていきたいということで、こちらをつくっております。
 先ほど申し上げた松榮堂さんですとか、世嬉の一さん、もともと事業者でもありますが、今の社長さんがちょうど私と同じぐらい、三、四十代が経営者ということもございますので、これからは競争というより、ともにつくる共創という形で、さまざまな事業をここでつくっていきたいなというふうに思っているということでございます。
 それで、今日せっかく知事にお会いできるということだったので、いろいろと抱負とか、それから岩手に望むことという宿題があったものですから、ちょっとそれを入れたのですが、抱負という点では、平泉は200万人国内観光客が来ているのですが、インバウンドはまだ3万人といったようなレベル感でございまして、ここはやっぱりどんどん、どんどん増やしていかないといけないなということなのですが、どうしても滞在していただくのがちょっと少なくて、通過型と言われておりまして、花巻温泉に行かれたり、若しくは南に行くと秋保温泉に行く、松島に行ってしまうということもありますので、泊まっていただく、若しくは滞在時間を増やすという取組をどんどんやっていきたいと思っております。なので、まさに朝食みたいな、ああいった朝のイベント、それから夜のイベントというのをどんどん、どんどん観光コンテンツとして入れていくということが大事だろうというふうに考えております。
 それから、もう一つ、インバウンドへの取組ということで、実はこの一般社団法人なのですが、これからDMOの取組をやっていこうという動きをしております。今年は、委員会の運営をやらせていただく予定になっておるのですが、そういった意味で、ただ観光というテーマだけではなくて、その周りの農業の1次産業の方ですとか、若しくは住民といったところも含めて、ではこの地域をどうやって維持していけばいいのかといったところの議論をこの一般社団法人を中心にやっていきたいというふうに考えているという次第でございます。
 ちょっと最後に、望むことということで3つ挙げさせていただきました。地域ブランドをどうするかという議論が今非常にあると思うのですけれども、これちょっと数字として、数字というか、グラフを出して大変申しわけないのですが、これグーグルのトレンズというのがありまして、言葉を入れるといわゆる地域の検索数がどうなっているかというのが誰でも無料で見られるサービスでございます。これは、大阪と秋田と岩手と京都と宮城というのを入れてみたのですけれども、実は大阪とか京都はこれ上の青とか緑なのですが、秋田というのはその真ん中にありまして、その後が宮城になっていて、下をはいつくばっているのが岩手という現状になっています。これは、県の方が頑張っていないとかそういうことを言うつもりは一切ないのですけれども、現状としてそうなっていると。
 何でこんな秋田が上なのかといったところを見てみますと、やっぱり秋田犬なのです。言葉で、グーグルでAKITAと入れて、画像で調べていただくと、秋田犬がばっと出てくるのです。すると、岩手と出てくる、なかなかそういったシンボリックなものが今ちょっとないよということで、やはりネットの世界で見ると、単純にそのワードがどういったものが想定されていくかというところは、まだ取組が弱いと。何でもあるのですけれども、逆に言うと何もないというようなことにネット上の世界はどうしてもなってしまうので、そこは非常に苦労するところかなと。
 私自身思うのは、うまく岩手のブランドを出すのも大事なのですけれども、相手のブランドをうまく利用するというようなのはありだなというふうに思っていまして、例えばなのですが、一関でメガソーラーの案件がありまして、タイのいわゆる国営企業が出資してやろうという動きがありまして、今度王室の方がいらっしゃるのではないかという話がちょっとあるようです。
 そこで、我々がやろうとしているのは、地元の一関、平泉の食材とタイの例えば有名なメーカーさんと組んで、何か新しい商品をつくって、その王女さんなりに食べてもらおうということでPRをしていくといったような方法もあるのではないかなというふうに思っていまして、これから県もかなりタイの方に物を売っていこうという動きがあると思うのですが、例えばそういった相手のブランド力をうまく使いながら、同時に岩手のブランドも引き上げていくみたいなところをやっていっても僕はいいのではないかなというふうには思っております。
 それから、知事も非常にやっていただいた定期便ですね、これは本当に市民もどんどん行かなければいけないなと思っていまして、やっぱり来てくれるだけではなくて、行かなければいけないということだと思いますので、例えば週末小籠包を食べに行こうよみたいなツアーとか、こういったものを使いながら、LCC、タイガーですとか、ピーチというところを呼んでいくということをやっていきたいなと思っております。
 それから、最後ですけれども、農泊とか二次交通とか手ぶら観光というのがあるのですが、要は人口減少という話がありまして、どうしても人手が不足するといった中で、岩手は広いですので、そこの物流だとか、そういった観点でいくと、お互い持っているものをどんどんシェアしていくという時代、いわゆるシェアリングエコノミーというものが絶対出てくるだろうと、これはもう間違いなく岩手は取り組まなければいけない事項なのではないかなというふうに思っていまして、例えば相乗りみたいなものだったり、それから物流も人と物を混載するみたいなものだとか、こういったものを現実的にもうやらないとなかなか地域を維持できなくなってくるという可能性がすごくあるのかなというふうに思っていまして、こういったところについては我々も取り組んでいきたいと思っていますので、是非いろいろと御支援等々をいただければありがたいなというふうに思っております。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、遠藤さん、続いてお願いします。

遠藤 靖志
 細かいところは資料を見ていただくとして、まず西和賀産業公社と湯田牛乳公社が今どういうことをやっているかというところを御紹介させていただきたいと思います。
 まず、西和賀産業公社ですが、第三セクターとして6次化の推進をやっています。よく、6次化と言葉だけは飛び交っていますが、やっぱり何かどこでも同じようなものをやったり、とってつけたようなものをやっていて、実際は売れていないというのが実情だと思います。
 西和賀町は何をやっているかというと、やはり西和賀町の気候風土が生んだ山菜とか農産物、また昔から地元で食べていた食文化が養ってきた郷土料理とか、加工技術をコラボして、加工品としてブラッシュアップして出していくというようなことをしています。やっぱり地元の地域資源を活用して、地域一体型で6次産業を推進しております。その結果、若者が結婚して定住できるための雇用と所得、あと休みがとれるようにしていかないと、やっぱり人は来ないかなというのを今実感しております。
 また、ご存じのとおり、西和賀町というのは65歳以上が46.9%を超えており、高齢化というよりも高齢社会でございまして、町を歩くとかなりお年寄りが多いです。でも多分ほかの地域よりもかなり元気です。何で元気なのかなというと、コミュニティーがあって、ちょっとした農作業を一緒にしたりとか、みんなが共存共栄で生きていこうという文化があると思っています。やっぱりそういうお年寄りが元気で活躍しながら、安心して暮らしていけるような町をつくっていかなければいけないかなと思っています。
 西和賀産業公社の代表的なものとしては、西わらびと大根の一本漬けというものがありますが、西和賀ってもともと春は山菜、秋はキノコ王国です。その中でもあくとか筋が少なくて、やわらかくて粘りのあるワラビを西わらびと呼んで、今ブランディングしてやっております。
 ワラビというと、多分皆さんのイメージというのは山に収穫に行っていると思われているかもしれないですが、西和賀の場合は実は違っていまして、お米をつくっていたところを転換していって、平地でワラビをつくっております。このワラビをつくるために実験をかなり繰り返しましたが、その結果、全国から御注文を頂ける状況になりました。西わらびというのは、実は店頭に並ぶと西和賀の町内でも袋詰めで400円です。大体ほかの地域のワラビというのは、普通に売っていても200円ぐらいで、倍の値段なのです。でも、その倍の値段でも買っていただいているわけです。それは何でかというと、やっぱり品質のよいワラビを出荷して、安定した価格の取引を実現するため、まず収穫するときには、収穫前に目ぞろえ会というものを開催しており、地域の生産者の方に商品規格の御説明をして、商品規格等の統一を図っております。やっぱり栽培を続けていただくためには、買い取り価格をきちんと維持しなければいけないので、重点的に頑張ってやっております。
 あとは、やっぱりお年寄りが多いので、集配につきましては、持ち込めない生産者の方もいらっしゃいます。そういうところには西和賀産業公社の社員が1日2回、自宅まで集配に行って、手間のかかるところをサポートしております。その集配したものを今度は選別して、あく抜きして、煮るという手間がかかる作業をやっています。それを最終的にパッキングして販売しております。お客様は店頭で西わらびを見かけたら、それを買っていただければ、もうあとは水にさらせばそのまま食べられると、手間いらずのため、倍の値段でも購入していただいております。
 西わらびにつきましては、年々受注が増加しております。今年は郵便局の全国的なネットワークで取り扱っていただき、あとネット通販でも販売しました。郵便局の方は年々増加しており、去年が4,500セットだったのですが、今年は6,600セット販売し、かなりの伸びになっております。
 大根の一本漬けにつきましては、漬物というのはどこの地域でもありますが、西和賀町は漬物文化が物凄く優れているところです。大根を一本丸ごと漬け込んで食べているという食文化があり、一本漬けて、それを食べるときにざくっざくっと切って、ぱりっと食べる食文化です。ただ日もちしないので、以前は西和賀町から出ることがほぼなかったのですけれども、やっぱりそういう食文化を何とか外に出したいということで、いろいろ実験をしました。ただ、漬け込みをやって、見込み生産したとしても、やっぱり商売として成り立ちませんので、事前にオーナー制という方式をとり、前金で御注文をいただきまして、前金でいただいたオーナー様に食べる分だけ分割してお送りするようにしております。商品をお送りするときには、西和賀ならではのちょっと演出も入れまして、発泡スチロールに雪を詰め込み、常温品で送る方式です。お客様は、送られて来た発砲スチロールをあけると、あっ、雪が入っているというサプライズがあり大好評です。販売を開始した初年度は3,000本限定で販売しましたが、わずか4日間で完売しました。昨年度は1万9,000本売れて、お客様からはもう買えないのというお声を多数いただきました。
 やっぱり乳酸菌のことも調べなければいけないということで、いろいろ西和賀産業公社内でも実験していたのですが限界がありました。昨年度は県の工業技術センターの担当者の方にもいろいろ御指導いただきまして、西和賀の大根の一本漬けにはこういう乳酸菌がついていて、この乳酸菌はこういうふうにすれば日持ちするし、つくるときの手間も軽減できることがわかりました。今年は3万本に挑戦すべく、今から準備を進めております。
 もう一社の湯田牛乳公社は、今日のお話を聞いていても、そのまま録音したのを湯田牛乳公社の人たちに聞かせてあげたいお話ばかりで、うれしかったのです。湯田牛乳公社は、実はもう50年続いている会社です。この「厚子」という牛乳、多分あまり見かけないと思います。販売は西和賀町内の直営店とネット通販のみです。牛乳が苦手な方に飲んで頂くと、これなら飲めますとよく言っていただきます。なぜかというと、この厚子という名前自体珍しいと思うのですが、これ高橋厚子さんという酪農家のお母さんが子どもたちがごくごくと飲める安心、安全な牛乳を提供したいというところから始まって、その厚子さんの思いをこの牛乳の商品名にしております。
 湯田牛乳公社の牛乳は集乳してから24時間以内に製品にしている、朝採れ野菜のような最も新鮮な牛乳です。全国農協乳業協会の「生乳鮮度重視牛乳」の認証を取得しています。その牛乳は、やっぱり飲んですごくおいしいのですけれども、逆に手間暇かかっている分だけ値段が高くなってしまいます。例えばこの厚子の場合は、金ケ崎と西和賀の2拠点の契約酪農家さんから仕入れた牛乳を63度、30分で丁寧に低温殺菌している牛乳です。多分このレベルのものをやっているのは全国でも13社ぐらいです。大手メーカーは一切やっていないのです。どうぞ、これ(牛乳パック)回していただいて。
 湯田牛乳公社は牛乳をメインにしてやっていたのですが、実は6年前に経営危機になりまして、もう人員削減も検討しなければいけない切羽詰まった状況でしたが、人員削減することなく、経営の見直しを行い、今もち直しております。昨年度の状況を言いますと、売上高20.3億で、利益が6,100万出るようになりました。
 何を変えたかというと、だめだった理由というのが、皆さんスーパーとかに行くと、牛乳のコーナーがあると大体100円台の牛乳が占めていると思います。やっぱりそこに200円以上の牛乳は、まず並べてもらえない、買ってもらえないというのが実情でした。では、何をやったかというと、低温殺菌した、いい生乳を持っている、それが武器で、ヨーグルトのマーケットが広がり始めたので、ヨーグルトの比率を高め、社内のリソースをつぎ込んでチャレンジしました。
 その結果、牛乳以外の比率というのが30%を超え、採算ラインを超えるようになってきています。ヨーグルトというのは、現在4,000億マーケットで、盛岡は全国一のヨーグルトの消費量で激戦区です。その激戦区を勝ち抜いていって、今度は全国にチャレンジしております。いろいろ説明の仕方とか見せ方もあるのですけれども、まず県内において継続的なブランド構築活動をしまして、皆さんも一度は聞いたことあるかもしれないのですけれども、IBCのラジオで毎週水曜日に生放送している「ごくっとおいしい湯田牛乳」という番組をやっていまして、これが放送200回を超えており、皆さんにこの番組の話をすると聞いたことがあると言っていただけます。やっぱり身近に感じていただくということと、湯田牛乳の話だけではなくて、西和賀町ってこういうところなんだよということを毎回毎回繰り返して情報発信していると、だんだん、その聞いたものをちょっと食べてみようかなという感じになりまして、食べてみると、何だこれは、おいしいじゃないですかという話になるわけです。最初は興味を持っていただいて、次にリピーターというか、ファンになっていただきます。その次はサポーターになっていただいて、このおいしいものを人様に勧めたい、自分の家族もそうだし、自分の友達とかにも送りたいというふうになって、商品を広めていただいています。
 湯田牛乳の商品は、岩手県内でもおかげさまでかなり売れているのですけれども、全国的にも売れています。特にコストコとか、アマゾンフレッシュではスタートからお取り扱いいただいたりしています。ネット通販は、最初はかなり苦戦しましたが、ホームページを私自分でサポートしたり、売り方を変えたりいろいろやりまして、そうすると徐々にお客様がついてきてリピーターのお客様にギフトでも使っていただけるありがたい状況になっています。6次化は、ブランディングとマーケティングが重要と思っております。

保室長
 ありがとうございました。
 では、知事お願いします。

達増知事
 松本さんには、イン・アウトバウンド推進協議会、社業プラスそういったところもやっていただき、DMOというのは非常に頼もしいと思います。
 今朝ドラの「ひよっこ」という番組に一関出身という設定の登場人物が出ていて、かなりコアな朝ドラファンの人たちの間で話題になっているみたいで、やっぱり一関というのは特別だということが全国的にも知られるいいきっかけになるのではないかと思います。主人公は茨城県の北部の奥茨城村という架空の村出身ということになっているのですが、主人公以外の出身地はほとんどが県単位でしか言われていないのです。秋田出身、青森出身は県でしか言われていないのだけれども、なぜか岩手出身の人は一関市出身という、そういう独特のキャラとして描かれていて、やっぱりちょっと難しいところも、ちょっと面倒くさいところもあるけれども、でもすごい、いざというときリーダーシップを発揮できるとか、よく物を知っているとか、そういう一関というエリアが持っている特徴があのキャラクターにすごく出ていて、岩手ブランドのことも心配いただきましたが、一関ブランドを日本に広める今チャンスかなと思っています。
 県の観光課から聞いた話で、岩手にまつわる観光キーワードでネットによく出るものには、平泉というのがあったりする中、「あまちゃん」というのがいまだにかなり高い数値で出てくるということも最近聞いて、やっぱりテレビの影響力は大きいなと思いました。
 遠藤さんの話の中でも、ラジオのコマーシャルとかインターネットとかも活用して、非常にローカルな西和賀というのを県内、全国にどんどん広めていて、すばらしいと思います。西和賀町、ここには、どこにもない四季と湯の里と書いていますけれども、やはり和賀川が生んだ奇跡の桃源郷というか、わらび源郷というか、非常に奇跡のような西和賀バレーですからね。和賀川がなければ奥羽山脈であったところにちゃんと谷ができて、人が住んで、立派な歴史と文化があって、こういう独特の産物もあるということで、非常にポテンシャルが高いところだと思いますが、それをフルに発掘、磨き上げていること、大変すばらしいと思います。
 あとは、松本さんの抱負、岩手に望むこと等は非常に参考になると思いました。

保室長
 どうもありがとうございました。
 ここまでは、皆様からいわゆる食でふるさとを何とかしようというような話で一通りお話をいただいたところですけれども、一通り皆さんのお話を伺って、何かこの際、ここからもう自由でございますので、いかがでしょうか。どちらかというと、土井さんとか高野さんは素材系でございますし、あとの皆さんはどちらかというと、それを上手に使ったり売ったりするというようなことで、このメンバーだけで何か1つか2つかプロジェクトができそうな、何かそんなような、おいしい牛乳、おいしいリンゴを使ってみたいな、そういうこともありますし、そんなことでも何かもしよかったらどうですか。

松本 数馬
 先ほどの西和賀の方もちょっと、実は行ったのですけれども、鳥肉の方の冷凍、CASをたしか始めるという話をちょっと聞いていまして。

遠藤 靖志
 ありがとうございます。南部かしわを西和賀町で飼育しておりまして、実は6年間練習していました。練習というのは、世に出ていなかったということですが、その間、実質は山人という高級旅館でのみ提供しておりました。世に出せなかった理由として鳥の処理場がなかったため、処理コストがかかり、キロ当たりの価格が高くなっておりました。もう一つの理由は、やっぱり今からそのまま出してもブロイラーに勝てない、勝つためにはどうしたらいいかということをいろいろ研究してました。今お話があったとおり、処理場とCASを設置しました。今年の8月ぐらいから出荷予定ですが、西和賀町の処理場で処理したものをCASで冷凍して出荷します。朝絞めしたものをいつでも同じ状態でどこでも食べられるというふうな価値をつけて売ろうとしております。
 西和賀町は中山間地域ですけれども、実は沿岸の越喜来の方でやられている三陸とれたて市場の八木さんにもいろいろ御指導いただいております。将来的には、お客さんに岩手のマップから沿岸と内陸部の美味しい食材を好きに選んでいただき、岩手県内のどこかに集めてワンストップで提供し、一番いい状態で全国どこでも食べられるようにしたいと考えております。みんなでシェアして、大きなマーケットに共同配送すれば、物流コストを下げられると考えております。
 あわせてそのCASというものを鳥肉用に入れたのですが、西和賀町には乳製品など日持ちしないものが結構あるので、今いろいろ実験していまして、CASを使って付加価値をつけて新しいマーケットを開拓していきたいと考えております。ありがとうございます。

松本 数馬
 飲食店としては、日持ちするものというか、冷凍しているものの方が出すときにすごくあれなのですけれども、そういう点も品質が落ちてしまっては意味がないので、今回の鳥なんかは、岩手の食材の30選みたいなところで、私もちょっと西和賀の方からいただいたのですけれども、せっかくのいろいろな素材があるので、そういったものを冷凍技術で、まさに高野さんのやっていらっしゃることもそうだと思うのですが、うまくこれを使って岩手の食の魅力を発信していくことに対して、ぜひ何か御支援みたいなのをやっていったらいいのではないかなと思ったりしています。

達増知事
 その冷凍技術が発達して、ワカメをそうやって内陸でもしゃぶしゃぶ用に食べられるようにしているということですよね。これは、非常にチャンスだと思いますので、県でもマークしていきましょう。

保室長
 今日お集まりの皆さんから、市町村を越えての取組の話があったり、実際に取り組まれていることも西和賀の特産品をいろいろ出すということもありますけれども、いろんなつながりで、さっきのお話みたいに、では県として外にでっかいマーケットに打っていくという、そういうような方向性というのもあるのではないかというお話だと思いますので、何かいいのではないですか。振興局も取り込んで。

細川局長
 かなりの食産業事業プロジェクトができそうな気がしてきました。

高橋 賢
 お話に出ているのは、物流がどうしても壁になって、いいものを集めたいというときにどうやって物流をするかというので、自分たちも生産者のいいものをどうやって点在しているところから集めるのかというようになるのですけれども、それで今もう静岡の方で野菜バスという形で循環しながら低コストで共同配送で集荷場を停留所ということにして、そこに集荷ととりに来る人という場所をつくって、掛川、菊川市だけだったのがどんどん静岡全域に広まっていっているというのもビジネスベースでやり始めているので、今度自分たちがやるイベントのときに講師として呼ぼうとは思っているのですが、それで、その物流を誰が担うのかといったときに、岩手雪運さんに話を持っていったら結構もう既にネットワークが岩手県内に広まっているので、これからそういった今度女性ドライバーを雇ったりするということに関して言えば、そういった小口流通をする、大型トラックではなくて小型トラックで流通を回すには、そういった新しいビジネスの考えがいいねというものを常務に感触がいい答えをもらっていたので、自分たちとしても岩手という、北上だけではなくて岩手でというときに、ではどうやってその物を集めるのかというのを真剣に考えなくてはいけないなと。
 外から来てもらうといったときに、やっぱり内陸だから、内陸のものでとかというふうに自分たちは思うのですけれども、外から来ると三陸も内陸も多分距離感がつかめない。自分たちが四国に行ったときに、鳴戸の鯛と道後温泉、どのぐらい距離があるのかなんて全然わからないとは思うのですけれども、観光で来たときに、そういった岩手というのがわかるような形で物を集約できるような形をしていければ、もっともっと外から来てもらえるのではないかなと。

保室長
 どうでしょうね、牛乳だったりリンゴだったりというのからすると、今の物流の話というのは何かやっぱりあれですかね。

高野 寛子
 そういうことをしてもらえると、全てがスムーズにいくので、本当にいいことだなと思いますし、いろんなお話聞いていて、いかに私たちが欲しい労働を体験に変えていくかというのがやっぱり大事かなというのを本当に思いました。
 あと次につなぐ子どもたちに対して、どのようなアプローチをするかというのも意外と大事かなと思っていまして、もちろん外から入ってくるのも、私自身が外から入ってきたので、すごく岩手のいいところを感じた、そして入ってきたのですけれども、意外と地域の子供たちが地元の物を知らないということもすごく多いので、そういう場をもっともっとつくっていただいた方が地域活性化に結局はつながるのではないかなというのはすごく思います。

達増知事
 リンゴの摘果、花摘むというのは、僕もやらせてもらったことありますけれども、あれはいろんな人にやらせたいなと思います。子どもたちもやってもらうといいなと思います。

保室長
 子どもたちの牛乳のお菓子なんていうのは、どんなお菓子なんですか、具体的に今やられているのは。

土井 啓子
 去年つくったのは、わらび餅みたいな感じで牛乳餅をつくりました。

保室長
 牛乳餅。

土井 啓子
 はい、つくりました。

保室長
 やっぱり喜んでやるという……

土井 啓子
 ですね、楽しんでいました、子どもたちは。あと牛乳を使ってバター、ペットボトルに牛乳入れて30分くらい振ってもらうとできるのですけれども、それもバターがどのくらいできるかという大変さも体験してもらいました。

保室長
 どうでしょう、あと何か皆さん。
 
遠藤 靖志
 労力が少なくなってくるということは、やり方を変えなければいけないということもあるのです。何でもかんでもITかというと、そういうわけではないと思うのですけれども、ITを活用できることはどんどん活用していけばよいと思います。例えば酪農家の話をすると、実はこの厚子牛乳の原料の生乳を御提供いただいている酪農家が、今西和賀で7軒、金ケ崎で8軒まで減ってきているのです。危機的状況なのですけれども、湯田牛乳公社の商品はおかげさまで今全国的に売れて出口はできました。では、今度入口の方を何とかしなければいけないということで、全国的に見て、酪農家って減っているかというと、実は北海道のあるIT企業がサービスを提供しているのが、今まで人海戦術、紙の世界だったものを、首輪をつけた通信機器を入れて、状態管理をして、それを全部クラウドに入れて、それをいつでもどこでも見られるようにしましたと。何か問題がある場合はしきい値というのを設けて、アラームが上がったときだけ現場に行けばいいということで、24時間、365日張りつかなくてもそういう監視が楽になって、稼げて休めるようになっていくわけです。そんな話も全国的には広まりつつあるので、西和賀町でも湯田牛乳がそういうところのサポートも含めて、若手酪農家の育成をして、ちゃんと稼げて休めるという環境を整える必要性があると思うのです。
 先ほどバスの話もあったのですけれども、バスも停留所でとまるというのが今までの常識だったかもしれないのですけれども、今はGPSと通信機器を搭載していれば、どこでも見られるわけですし、今何をどう積んでいるかというのも多分情報管理はできるので、そういうものをうまくマッチングさせてやっていければいいのではないかなと思います。一つの会社とか、一つのグループだけではなくて、みんなでそういうものはシェアして、例えばシステム利用料とか監視とか、そういうものはみんなでシェアして、低コストでやっていければいいのではないかなと思います。

高橋 賢
 システムがないと物流が動かないと思うので、やっぱりもう実証をしてビジネスベースでシステムを動かしているところがあるのであれば……

遠藤 靖志
 あります。

高橋 賢
 やっぱりそれを参考にしていく必要があるのではないかと。

遠藤 靖志
 あとやっぱり人だけ運ぶとか、物だけ運ぶと、今までそうだったのですけれども、人と物を一緒に運ぶというのが、西和賀町から実は始まっていて……

高橋 賢
 ヤマト運輸さん。

遠藤 靖志
 そうです、そうです。

達増知事
 ああ、そういえば。

遠藤 靖志
 そうです、組んでやったのです。要は高齢化とか、いろいろ課題があると、何とかしなければいけないと、そういうアイデア出てくるのです。

達増知事
 必要に迫られ……

遠藤 靖志
 そうなのです。かつ西和賀町というのは旅館も多くて温泉町なのですけれども、一つのホテル、旅館だけでバス持っていてもしようがなくて、みんなでお客さんを受け入れて、そこを巡回していけばいいだけの話だし、その巡回するバスがあれば、買い物に行くために乗れたりとか、もしかしたらそこに積載量ちょっと変えて、ここら辺にはもう野菜入れて持っていこうかとか、そういうシェアしていくというのがこれから絶対必要なのかなと思います

保室長
 そのシェアというのは、ひとつ相当なキーワードになりそうな感じはしますね。野菜をたくさんつくっていらっしゃって、何か具体的にこういうシェアがあるのではないかみたいな話はありますか。

高橋 賢
 
まだ自分で配達して回るのが主力なものですから、自分の取組で町全体にというのは、ビジョンを提示して、それに共感してくれる人たちでどんどん、どんどんやっていく必要があるので、どうしても結果平等を求めてしまうと、もう身動きがとれないので、機会平等ということにかえて、この町をもっとにぎやかにしたいのだと、もっと盛り上げたいのだというビジョンについてこられる人からまず始めていくのがいいのではないかなと。それで、結局全体のパイが大きくならないと、奪い合うだけなので、シャンパンタワーに例えられて、実際そんなの起きないのだという批判も来ますけれども、その注ぐシャンパンがボトルなのか、樽なのかで下にこぼれていく利益も違くなるとは思うので、全体のパイをとにかく大きくしたい。今本当に格差が広がっているというのは、結局GDPが成長していないから奪い合っているので、多くなるところは多くなるし、減るところは減るというようになっているのではないかというふうに自分は考えているのですが、そういった今後縮小していくマーケットに対してどうやって対応していくのかということに対してのビジョンを提示して、それでついてこられる人をどんどん集めたいなと考えています。

保室長
 何か今みたいなテーマで研究会でもやったらいいのではないですか。

細川局長
 いろいろ物流のコンビニ化ではないですけれども、確かにそういった一つのヒントになるかなと思いますね。

高橋 賢
 
あとは、市民の方にもっと参加してもらって、岩手といっても都市部に住んでいる人は農作業なんて全然したことがなくて、もちろん大都会の人なんて農作業なんて贅沢品だと言われるぐらいになっているような状況なので、体験というものを売れとよく言いますけれども、本当に自分も今も収穫体験とか料理教室とか、小さいコミュニティーキッチンみたいなのを少しずつやっているのですが、本当にちょっとした収穫するだけで、ちょっとした作業するだけでも喜んでやるので、そういったことが今都市部の人たちにとっては贅沢品なのかなと。生まれてから、自分たちはまだ欲しいものがいっぱいありましたけれども、昔の三種の神器だとか言われるものはもうないので、生まれたときからもう既に、物心ついたらスマホがあって、ある程度物があふれているのであれば、では違うものに生きているということに対するアイデンティティーを求めているのではないかなと。それで、今若い人たちが農業やりたいとか、NPOをやりたいとか、自分たちが社会に出た頃とは時代の流れが変わっていて、20代、30代の若手の農家もやっぱり自分が団塊ジュニア世代なのですけれども、団塊ジュニア世代から上というのは余りいないですし、親がやっていたから仕方なくというイメージが多いのですが、今の20代、30代前半の農家というのは、自分から選んで農業をしているので、モチベーションが違うのです。時代の流れもあるのではないかな。自分らが社会に出たときは、まだバブルの残り香があったようなところなのですけれども、今の20代とか30代前半はもう社会に出たときからずっと不景気で、企業で働けばブラック企業だとか、使い減らされて、使い捨てられるだけだみたいな、だったら自分の裁量を持ってやった方がいいのではないかというふうに思い始めているのではないかと。それは、若い人たちを見ていてそう思います。

保室長
 ありがとうございます。
 ちょっと時間も押してまいりましたので、最後に何かもし一言、よろしいでしょうか。

知事所感

保室長
 では、知事から。

達増知事

 岩手は大変クオリティーの高い農林水産物がとれるのでいいのですけれども、更にそれを生かしていくための情報通信を活用した工夫でありますとか、働き方とか、いろんな人とのつながりの仕方をまた工夫していくとか、そういういろんな工夫を重ねていくことで、やはり食というのは岩手の大きな力になるなということを改めて感じました。
 また、高橋さんの最後の話にもあったように、若い世代が持っている、そういう上の世代にないような視点とか覚悟とか、そういうのは期待できるなと思うので、そういう若い人たちに活躍してもらえるような岩手にしていきたいなと思います。

保室長
 まさに今日お集まりのような皆さんがどんどん元気で活躍できるような岩手にしたいと、そういうことで。
 そのほかにもいろいろお話がありました。人手不足の問題、シェアリングエコノミーの問題ですとか、体験をどうやってみんなで広げるかとか、様々課題がございましたけれども、今日お話あったことは県で持ち帰って、振興局でもそうですけれども、県庁でも共有して今後の政策づくりに生かしていくということにしたいと思います。

閉会

保室長
 本日は、長い時間、本当にどうもありがとうございました。では、この場でなくても、こんなことがしたい、あんなことがしたいというお話に関しては、振興局の方でがっちりと引き受けますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

細川局長
 何でも御相談に乗ります。

保室長
 今日はどうもありがとうございました。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 広聴広報担当(広聴)
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5281 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。