「がんばろう!岩手」意見交換会(平成29年8月8日 岩手医科大学)

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ページ番号1000828  更新日 平成31年2月20日

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日時
平成29年8月8日(火曜日)10時30分から11時50分まで

場所
岩手医科大学矢巾キャンパス 本部棟4階 大会議室

出席者(敬称略)

  • 参加者(敬称略)
    千田 喜子(医学部 3年)
    菊池 煕人(医学部 6年)
    東根 まりい(歯学部 6年)
    馬場 陽久(歯学部 6年)
    岡谷 智英(薬学部 4年) 
    櫻 直也(薬学部 4年)
    柴田 妃菜(看護学部 1年)
    山田 ひなの(看護学部 1年)
  • 県側
    知事、盛岡広域振興局長、秘書広報室長、保健福祉部副部長兼医療政策室長

開会

保室長
 それでは、お時間になりましたので、ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を始めたいと思います。
 今日は、「医療を通じた地域への貢献」ということをテーマにいたしまして、岩手医科大学の学生の皆さんにお集まりをいただいております。お集まりいただきました学生の皆さん、夏休み中の何かとお忙しいところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。
 私は、本日の司会を務めさせていただきます秘書広報室長の保と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


保室長
 それでは、開会に当たりまして知事から一言お願いいたします。

達増知事
 皆さん、おはようございます。今日は、県政懇談会に参加いただきまして、誠にありがとうございます。そして、岩手医科大学におかれては創立120周年、大変おめでとうございます。明治30年の創立以来、時代の要請に的確に応えながら120年の長きにわたって多くの有為な人材を輩出され、岩手県、さらには日本の医療の発展に寄与されてきたことは岩手県民の誇りとするところであります。今後もすぐれた教育や特色ある研究の展開、充実した医療の提供に引き続きご尽力いただきますようお願いいたします。
 さて、今年度の県政懇談会では、復興、ふるさと振興、未来を切り拓く取り組みといったテーマでそれぞれの分野で活躍する人たちと意見交換をしています。県では、高齢化の進展等に伴う医療需要の変化に対応するため、将来の目指すべき医療提供体制を定める岩手県地域医療構想を昨年3月策定して病床機能の分化連携や医師を初めとする医療従事者の養成、確保などに重点的に取り組むこととしています。
 今回は、「医療を通じた地域への貢献」というテーマで御出席の皆さんから日ごろの活動の中で感じていることや今後の抱負、御意見などを伺って県政の参考としていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

学長あいさつ

保室長
 続きまして、岩手医科大学の祖父江学長様より御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

祖父江学長
 おはようございます。本日は、達増知事をはじめ岩手県幹部の皆様方が矢巾キャンパスにお越し賜り、誠に感謝申し上げます。
 知事がおっしゃいましたように、今後岩手県が県政をどのように進めていくかという中で、医療面、特に地域医療等について学生諸君から県に対して是非に意見を述べていただければありがたいと思っています。
 知事は非常に本県の歴史についてはお詳しいので、知事の前で申し上げるのははばかられますが、昨年に開かれた国体ですが、そこで「希望郷いわて」という言葉が出ておりました。当初、私はちょっとなじめない気が致しましたが、国体開会式のセレモニーで、奥州藤原の映像が出てまいりました。あれで私は納得したのです。
 諸君は阿弖流為という人物をご存じだと思いますが、陸奥蝦夷の頭領でした。阿弖流為から安倍一族、そして奥州藤原、殊に初代の清衡までのまさに400年に亙る朝廷との独立戦争の末に、清衡が樹立した平泉を中心とした奥州藤原時代が始まりました。当時、奥州は日本で最も広大な土地を領し、豊穣な国だったと言われています。国体の映像にも出てまいりましたけれども、仏国土という言葉が出てきます。平和で安寧な生活ができ、それを仏に感謝する国、仏国土はある面で言えば現代の桃源郷とも言えます。仏国土は当時の奥州の民の精神的支柱でした。それが、いわて国体のキャッチフレーズの「希望郷いわて」であるというふうに私は理解しています。非常にうまいキャッチフレーズを作られたと思って感心しています。
 そういう意味合いでも、諸君はもう一度岩手の歴史を見返しながら、岩手の将来の医療を担うホープとして、是非に岩手、北東北、東北さらに日本から世界にかけて大いに飛躍し活躍する人材と成って頂ければありがたいと思っています。
 知事がお見えになっておりますので、今日は存分に諸君の思いを述べ、大いにディスカッションして頂ければありがたいと思います。本日はありがとうございます。

保室長
 どうも大変力強いお話ありがとうございました。
 祖父江学長につきましては、この後業務がございますので、ここで御退室なさいます。どうもありがとうございました。

達増知事
 ありがとうございました。

保室長
 それでは皆さん、暑いですので、少し上着を脱がれたりして、リラックスをしてください。
 この後、私のほうから一通り皆様のお名前をご紹介いたします。その後、お一方ずつ自己紹介をお願いいたしまして、さらにその後今日のテーマでございます「医療を通じた地域への貢献」ということにつきまして、お一方ずつお話をいただくというようなことで進めていきたいと思います。
 それでは、本日の出席の皆様を私のほうからご紹介をしたいと思います。
 初めに医学部の3年、千田喜子さんでございます。

千田 喜子
 よろしくお願いします。

保室長
 同じく医学部6年の菊池煕人さんでございます。

菊池 煕人
 よろしくお願いします。

保室長
 続きまして歯学部の6年、東根まりいさんでございます。

東根 まりい
 よろしくお願いいたします。

保室長
 同じく歯学部6年の馬場陽久さんでございます。

馬場 陽久
 よろしくお願いします。

保室長
 続きまして、薬学部4年の岡谷智英さんでございます。

岡谷 智英
 よろしくお願いします。

保室長
 同じく薬学部の4年、櫻直也さんでございます。

櫻 直也
 よろしくお願いします。

保室長
 続きまして、看護学部1年の柴田妃菜さんでございます。

柴田 妃菜
 よろしくお願いします。

保室長
 同じく看護学部1年の山田ひなのさんでございます。

山田 ひなの
 よろしくお願いします。

保室長
 よろしくお願いいたします。

保室長
 県からは達増知事、そして私の隣、盛岡広域振興局の宮野局長、保健福祉部の野原副部長兼医療政策室長が出席してございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元においしそうなものが届いておりますので、宮野局長から御紹介をお願いします。

宮野局長
 冷たいものですので、早速、召し上がってください。
 では、私の方から、今日、お出ししたスイーツについて若干御説明をしたいと思います。今日お配りしたスイーツは、地元矢巾町で花や野菜、お菓子などを生産されて、直売もなさっている農家の喜助堂さんで製造販売されている「喜助堂のプリン」でございます。
 食べたことがあるという方はいらっしゃいますか。初めてですか。そうですか。この近くの役場からもう少し西の方に行ったところに農家があって、無人販売所になっていて、普段からこういったプリンやクッキー、野菜などを売っていらっしゃいます。
 このプリンですけれども、純国産の鶏、モミジという茶褐色の鶏がいるのですが、そのモミジの卵と、県北の低温殺菌牛乳のおおのゆめ牛乳、それと砂糖、生クリーム、バニラでのんびり、ゆっくりつくられたもので、濃厚で非常にクリーミーな味わいとなっているということでございます。もともと農家さんで今もそうですけれども、御自身がおいしい「『こびる』を食べたい。」と思ってつくられたのが始まりなそうです。「こびる」ってわかりますか。この辺りの農家では農作業の合間に食べるおやつみたいなものをよく「こびる」と言うのです。食べたいと思ってつくったのが初まりで、それが評判を呼んで、今こういった販売もしているということで、当盛岡広域振興局でもスイーツフェアといったイベントを毎年開催しているのですけれども、そこでも大変人気のスイーツになっているということです。
 食べてみてわかるとおり、最近のプリンというととろっとしたやわらかいプリンが主流なのですけれども、このプリンはスプーンですくっても形が崩れないほどしっかりとした固さがあり、喜助堂さんではそういった昔ながらの正統派のプリンを意識してつくっていらっしゃるということでございます。今日、初めて食べた方もいらっしゃるようですので、ぜひごひいきにしていただければと思います。今日は、知事も来ていますので、リラックスして、肩の力を抜いて御懇談いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

懇談

写真:懇談会の様子2


保室長
 ありがとうございました。私は早速食べてしまいましたけれども、皆さんどうぞ食べながら、飲みながらということで進行のほうは進めたいと思います。
 それでは、最初に自己紹介ということで、千田さんからお願いしたいと思います。

千田 喜子
 岩手医科大学3年の千田喜子と申します。今日は、よろしくお願いいたします。
 私は、出身は岩手県の滝沢市です。地元ということで、私は地域枠の制度を使って岩手医科大学に入学いたしました。
 医療関係に進もうと思い始めたのは中学生の頃なのですが、その後、高校に進学して、医学部の対策講座なども開講されるようになり、徐々に医学部に対する意識も高まっていき、今回地域枠という制度があったので、将来は岩手で私は働きたいと考えていたので、岩手医科大学に入学いたしました。
 地域枠という制度については、私だけでなく、両親や親戚も喜んでくれていています。私としては、地元岩手の大学に進学するということで、岩手の医療事情をより近いところで知ることができ、岩手で働くという気持ち、意欲も高まってきておりますし、両親も経済面だけではなくて、やはり娘が近くにいるという点でも喜んでいますので、地域枠という制度を設けていただいて感謝しています。本当にありがとうございます。
 学業のほうは、3年生ということで、本格的に疾病の勉強も始まってまいりました。現在は、研究室配属をしていて、内丸キャンパスでも勉強しています。研究室配属は講義よりも先生との距離が近くなるので、本当に貴重なお話を聞かせていただいています。5・6年生からは、病院での臨床実習が始まりますが、今から楽しみにしていて、気持ちが高まってきました。今日はよろしくお願いいたします。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、菊池さんお願いします。

菊池 煕人
 医学部6年の菊池煕人と申します。よろしくお願いします。
 出身は花巻市石鳥谷町で、僕も地域枠生として本学に入学いたしました。地域枠生を目指したきっかけは、僕が幼い頃両親が共働きだったこともあり、祖父母の家で育てられました。そんな祖父母に対して何か恩返しができたならと思いました。また、祖父母が住む新堀という地域は高齢者の方が多いのですが、皆さんとは親しくさせていただきました、その方々にも将来的に何かしら恩返しができたらと思い、地域に貢献できるような制度である地域枠生として入学することに決めました。
 実際に入学してみて、自分が進みたい診療科ですとか、自分がやりたい研究ですとか、授業や実習、研究室配属を経験していく中で自分の中でやりたいことがいろいろ変わってきているのですが、もともと持っていた地域に貢献したいという気持ちとの兼ね合いをどう整理するのか、来年からは初期研修医として地域に出ていくので、それまでに自分の中である程度整理をつけて、自分が今後やりたいことと、元々やりたかったことを上手くできればと思っております。よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、東根さんお願いします。

東根 まりい
 歯学部6年の東根まりいと申します。よろしくお願いいたします。
 私も岩手県の盛岡市出身で、ずっと盛岡で育ってまいりました。もともと違う学部を目指していて、歯学部に入った当初はやはり他の学部に行きたいという思いが強くありましたが、父親から「口というのは口内炎ができただけでもすごく痛い繊細な器官であること、話したり、笑ったり、食べたり、いろいろな機能があるのが口であるということで、すごく大事な部分だから、そういう部分の学問を究めるのもいいのではないか」というアドバイスを受けまして、徐々に歯に関心が高まってきて、勉強をしっかり始めるようになりました。
 また、個人的に研究に興味がありまして、岩手にいながらにして最先端の医療を学んだり、個人的に講座の門をたたけば先生にすぐそばで教えてもらえたりするメリットもあったので、ここで研究をしたいと思い、2年生か3年生ぐらいのころから解剖学教室で研究の手ほどきを受けてまいりました。今は、6年生になって、受験勉強、国家試験の勉強という日々を送っています。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、馬場さんお願いいたします。

馬場 陽久
 歯学部の6年、馬場陽久です。出身は、北海道の札幌市です。
 岩手医大に入ったきっかけは、父が岩手医大の歯学部出身で、母が岩手県の出身で、また、それでおじが医師であるので、医療のことを小さい頃から見ていて、高校生のときに自分が将来何をしたいかということを考えたときに、歯科を勉強してみようと思ったため、岩手医大に入学しました。
 5年生の臨床実習で、様々な診療科を回らせていただいて勉強してきた中でだんだん自分が将来歯科医師としてどういうことがしたいかということが見えてきたので、あと半年国家試験の勉強を頑張って、自分が目標としている歯科医師像になれるように勉強しています。よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 それでは、続きまして岡谷さんお願いします。

岡谷 智英
 薬学部4年の岡谷智英と申します。よろしくお願いします。
 私が岩手医科大学の薬学部を志望した理由は、出身が沿岸の大槌町であり、被災地ということもあって、予てから医療職に従事したいと考えていました。3.11の震災で自分も実際に被災して避難所で生活していたのですが、そのときの衛生状態ですとか、高齢者の方、慢性疾患の方で薬が手元にないような方々が徐々に具合が悪くなっていって、集団の免疫力も下がっていく中で、大阪の薬剤師の方が支援で駆けつけてくださり薬を処方していただいたのですが、その時に一気に免疫力も上がって回復していく様子を見て、薬の可能性であったり、薬剤師の魅力であったりを感じて薬学部を受験することを決めました。
 現在は、講座配属が今年から始まりまして、生体防御学講座に配属しており、線虫の研究をしております。また、今年は、CBTという大事な試験もありますので、その対策と研究の2つを目標に活動しています。よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、櫻さんお願いします。

櫻 直也
 薬学部4年の櫻直也と申します。よろしくお願いします。
 私は、岩手県の盛岡市出身で、岩手高等学校のほうからこちらの大学に進学しました。この大学に入学した理由としましては、幼いころよりぜんそくを患っていて、運動もあまり行えず大変でしたが、薬のおかげで何とか発作も抑えられ、現に治療することができたので、薬の魅力に引かれて、もっと薬について学ぼうと思い、この大学に進学することになりました。
 現在は、来年度の5年次の実務実習に向けて、患者さんと接するに当たって必要な知識とか技術を学んでいる最中です。講座配属もされてはいるのですが、まだ余り研究については学んでいないので、そちらのほうも今後いろいろと学んで行きたいと思っています。
 将来は、岩手県内の薬局か病院か、まだどちらか決めていないのですが、そちらのほうで地域の方々にしっかりと接しながら活躍していきたいなと思っております。本日は、どうかよろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、柴田さんお願いします。

柴田 妃菜
 看護学部1年の柴田妃菜と申します。よろしくお願いします。
 新しく看護学部が設立されるということで、4学部合同の学びができるということで、楽しみに岩手医大に進学いたしました。私が医療に興味を持ったのは中学生の頃で、家族の入院などが重なった時期でした。その時に面会で病院に行く機会が多くて、医療人は素晴らしいなという魅力があったので、看護師になりたいと思うようになりました。今は、部活動で女子バレーボール部に所属しております。先輩方や他の学部の人たちとの交流を楽しくしております。
 学業のほうは、今は専門的な部分はまだ入っていないのですけれども、基礎的な部分を頑張っております。よろしくお願いいたします。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、山田さんお願いします。

山田 ひなの
 看護学部1年の山田ひなのです。よろしくお願いします。
 私が看護職を目指そうと思ったきっかけは、人々の健康増進に貢献したいということもありましたが、まず第一は患者や、その家族の皆さんの心の不安というのに気づくことができるのが看護職だと思ったので目指しました。例を言うと私の父や祖父は余り健康ではなくて、父も今メタボと言われているような感じで、母も、祖母も何も言えないので、そういった家族の不安や、家族が言えない健康のことを看護職がわかりやすく説明することができると思い、看護職を目指しました。
 岩手県は、全国的に見ても健康寿命が低いと言われているので、地元岩手で地域の方々の健康増進に貢献して、少しでも健康寿命を伸ばせるように看護職として学んで貢献できたらと思っています。
 学業では、基礎的なこともたくさん学んでいますが、1年生のときは余り学ばないような災害看護などについても学んでいます。新設の学部ということもあって、ほかの大学では学ばないようなことも1年生のときから学んでいます。個人的には軟式テニス部に所属していて、看護学部は先輩がいないということで、医学部や他の学部の先輩方からさまざまなことを学んで、日々刺激を受けて生活しています。本日は、よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、一通り自己紹介が終わりましたところで、ここからは今日のテーマでございます「医療を通じた地域への貢献」のテーマに沿って進めていきたいと思います。お一人4分程度で、このテーマに沿ったお話をお伺いしたいと思いますけれども、ここからはお二人ずつお話をいただいた後、知事からコメントをいただくということで進めていきたいと思います。
 それでは、最初に戻りまして、千田さんからお願いします。

千田 喜子
 抱負なのですけれども、私は今地域包括ケアシステムというものにとても興味がありまして、きっかけは今年新しく大学に新設された救急・災害・総合医学講座のゼミがありまして、そこで地域包括ケアシステムについて説明をしていただきました。その話を聞いて、地域包括ケアシステムというのは、地域の中で住まいを中心として医療がかかわっていくという形なので、やはり今の医師の分布を見ると、その地域との仲介みたいな位置に存在する医師は少ないのかなと思いまして、そちらの道に進んでいけたらなと今は考えております。まだ3年生なので、全然臨床のこともわかっていないので何とも言えないのですが、最終的には、患者さんのご自宅に私が行って、縁側で世間話をしながら体の調子をうかがったりするなど、そういう感じの地域の立ち位置にいるような医師がいいのではないかなと思っています。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、菊池さん、お願いいたします。

菊池 煕人
 先ほども入学したときの動機とか述べさせていただきましたが、自分の中で地域に貢献したいという気持ちと、大学に戻ってきて最先端の治療を自分で学び研究したいという気持ちの両方今持っておりまして、その兼ね合いをどう整理していこうか、バランスをどの程度とっていこうかというのが自分の中にあるのですけれども、現在、地域枠出身の先生方が実際に初期研修医、後期研修を終え数年経った中で、新たな専門医制度がこれから始まって、地域枠の学生を新専門医制度、専門医の資格を取得させるシステムにどう組み込んでいくかということが、僕たちも注目しているところなので、今後様々移り変わってくるところだと思うのですが、偏在化の解消のために、例えば若い医師を沿岸の地域に配置していくことももちろんのことですが、それだけでなく、ある程度年数が経ったなら大学に一回戻し、その時々の最新の治療法や新たな知識や技能をアップデートするようなシステムを整備し、そこで得たものを再び地域に還元するということが大事なことであると思っています。そうすることで、県内全域にあらゆる治療の選択肢を様々な患者さんに提供できることに繋がっていくと思います。今後、研修システムが移り変わっていくと思うのですが、一度大学の外で研修を積み、その後大学に戻り勉強するという軸を維持していただけたらなと思っています。自分もその様な形で勉強したいという思いがあります。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、知事のほうからお願いします。

達増知事
 まず、地域包括ケアシステムの関係ですけれども、医学は学問でもあり、またテクノロジー、技術というところもあって、着実に進歩しています。70年前、戦争直後ぐらいだと1人のお医者さんが外科も内科も何でもやっていました。また、昔はちゃんと手を洗って食事をするみたいなところからおぼつかなくて、そのような保健衛生指導をやれば、かなり病気が減るみたいな、そのような時代は診療所に1人お医者さんがいれば、そこで村の面倒も見れたみたいなところがあるのですけれども、どんどん医療も発展して、現在は、逆に1人の患者さんを診るのに多くのお医者さんや、また医療関係者、そして医療だけではなく介護や保健衛生の人材など、大勢の医療、介護、福祉関係者で1人の人を世話、ケアするというような時代に入っています。内科も外科もどんどん分かれて、内科も循環器や、呼吸器、それから手術するときには麻酔は麻酔科というように分かれてきています。また高度な命にかかわる手術が必要になってくると、そのようなお医者さんがたくさんいる病院、設備もいろいろある病院というのが必要になってきて、1人のお医者さんだけで解決できない部分でも、今は大勢で、昔治せなかった病気も治せる、できなかった手術もでき、命をより助けられるようになっており、そのような中で患者さんや患者予備群の一人一人を専門家と地域で支えていく地域包括ケアというのがこれから大事になっていきますので、そのような最先端で地域医療を切り開いていってほしいと思います。
 一人一人のお医者さんについては、より深い専門性、高い医療技術が求められており、またそれが可能にもなっているわけですので、地域医療への貢献と医師としてのキャリアアップというのは、考え方としては分けて両立させるように、両方きちっと見なければならないのですが、理念としてはもうそれは一体不可分のものであって、どっちかを選ぶというものではなく、医師としてのキャリアアップをしてもらったほうが地域医療的にも貢献できるし、また地域医療への貢献を考えた場合にも医師としてのキャリアアップも必要ということで、地域枠等の奨学金制度利用のお医者さんの配置については、県、岩手医科大学、医療局、国保連とで相談して決めている中で、地域医療への貢献と医師のキャリアアップの両立というのが一大基本方針になっており、新専門医制度が導入されることになった場合でも地域医療への貢献とキャリアアップの両立という観点から、配属を決めていきますので、その辺は安心しつつより高い理想を目指して頑張ってもらえればいいのではないかと思います。

保室長
 ありがとうございました。
 次に、東根さん、お願いいたします。

東根 まりい
 最初は、少し抱負になってしまうのですが、まず私が歯科医師になってきちんとできるようになりたいと思うことは、診断をしっかりできること、そこからだと思うのです。それから大学の実習と授業で習った基本的な技術、診療技術をきちんと患者さんに提供できる、そういう基本的なことをしっかりできる歯科医師を、最初の5、6年は目指したいと思っています。
 ここからまた少し話題は変わるのですが、5年生のときに臨床実習で地域医療体験実習というのがありまして、奥州市の病院に行かせていただく機会がありました。また、普段の5年生の診療実習で見ていても思ったことなのでが、やはり高齢社会の今、圧倒的に患者さんというのは高齢者が多いわけです。となると、高齢者ということは、ほとんどの人は有病者であるということで、歯科医師に求められるのは、単に歯の、口の治療をするだけではなくて、全身を考えた知識と技術が必要だということです。高血圧ですとか、糖尿病ですとか、麻酔1本打つのにもそういうところをきちんと考えて、例えば麻酔を打つ前に血圧をはかってもらって、その日の調子を聞くといった配慮が必要になってくる時代だと思います。全身疾患についてきちんと歯科医師も知識を持って診療に当たることが事故の防止や、患者さんのケアにつながると思います。
 また、震災を踏まえ災害時医療という観点から言いますと口腔ケアですね。よく言われていることだとは思いますが、患者さんが避難所に避難してきて、「あっ、持ってくればよかったと」思うものの一つに歯ブラシが上がっているという話を聞きました。避難所で食べているものというのはラーメンやおにぎりなど、栄養が偏ったものですので、免疫力が下がったり、避難所でのストレスもあったりして、口の中の状態も悪くなってくる。そうなると、歯周病だとか、う蝕の発生率も上がりますし、感染症にもかかりやすくなる。お年寄りだと、口の粘膜だとか、舌についている細菌によって誤嚥性の肺炎を起こすリスクも高くなってきます。災害時医療の健康の第一線に立って、まず患者さんや被災者の人の健康をケアするという意味では、歯科医師の役割は非常に大きいと思うので、そのあたりを震災を振り返って生かしていけたら、今後の災害時医療につながるのではないかと考えております。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、続いて馬場さんお願いします。

馬場 陽久
 私は、昨年の臨床実習で配当していただいた患者さんが、最初は入れ歯をお持ちではなかった患者さんでした。全身疾患が多い患者さんだったので、指導の先生と私でその患者さんにどうしたらいいかを考えて治療を行いました。最後に入れ歯を入れて、すごくよかったということを言われたことが印象に残っています。そのことがきっかけで入れ歯や摂食嚥下、高齢者の分野に大変興味を持ちました。歯科医師になった後は、それについて勉強していきたいなと考えております。
 高齢者を診るに当たって考えなければならないこともたくさんあるので、基礎的な知識を勉強し医師や看護師、薬剤師の方とも連携していかなければならないと思います。歯科医師がそういったところでかかわることとしては、特に栄養をとる方法だと思います。医科では栄養のとり方に様々な方法があると思いますが、歯科としてはやはり口から栄養をちゃんととれるような状況を患者さんにもつくってあげたいというのを考えています。そのために、使ってもらえるような入れ歯作りや、口腔ケアを行っていきたいです。地域医療では侵襲の大きいことは患者さんの状態や設備を考えると難しいかもしれませんが、小さいことからでも地域医療にかかわっていけるような歯科医師になりたいなと考えております。

保室長
 ありがとうございます。
 では、知事からお願いします。

達増知事
 私は、1964年の東京オリンピックの年に生まれていて、今年53歳になるのですけれども、そのころの子供というのは子供イコール虫歯みたいな、虫歯時代というような時代で、小学校のクラスで虫歯がない子供というのは1人か2人しかいなかったような時代でありました。私も乳歯の段階でひどい虫歯になり、歯医者さんで乳歯を抜かれたりしたことで永久歯の生え方に影響が出て、歯並びで今でも悩みを抱えており、爪楊枝なしでは生きていけない体になり不自由を感じますし、しゃべるとき歯並びがよければ、もっとしゃべるのも苦にならないだろうし、英語を話すときに舌を歯に挟む、thの発音とかももっとうまくしゃべれるだろうとも思います。歯はまず食ですよね。高齢者が口から食べて栄養をとることは大事だと思います。人間にとって生きることのかなりの部分が食べるということですし、口はしゃべるということでコミュニケーションの手段でもあるから、そのような点からも歯のケア、口腔ケアというのはすごく大事だと思います。それは、実際今さまざまな現場においても高齢化社会で高齢者の方々の口腔ケアというのがすごく大事で、これは肺炎とか、命にもかかわるようなところが口腔ケアで命を守ることにもつながったりしますし、クオリティー・オブ・ライフを維持することにもつながります。また、災害の現場での口腔ケアも大事ですし、最近は障がいのある人たちの口腔ケアもよりきちっとやっていかなければならないのではないかということで、岩手でも県と歯科医師会が連携しながら口腔ケアを多くの人に広げていくような取り組みもやっているところです。
 在宅医療として、在宅の歯科診療、口腔ケアということもますます注目されているところで、地域包括ケアの中でもそのような歯科医療や口腔ケアは大事になってくると思います。いろいろと新しい展開のある分野なので、大学でしっかり学びながら、そのような現実の世の中の動きにきちんと対応し、新しい世界を広げていけるような力をどんどん身につけていってほしいと思います。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、岡谷さんお願いします。

岡谷 智英
 自分も最初は抱負のようになるのですけれども、自分が薬剤師になったなら、最初に目指したいと思う薬剤師像というのが情報の発信と収集、あと多職種の中心となる薬剤師になることが最初の目標というふうに思っています。
 そのように考えた理由としては、薬剤師というのは医薬品を扱う上で、医薬品は情報がついて初めて使うことができる医療機器の一種でもありますし、あとは多職種連携においても情報というのはやはり大変重要なウェイトを占めると思うのですけれども、薬剤師は、医師、歯科医師、看護師、ケアマネジャーなど、様々な職種の中でも中心となって関われる貴重な職種だと自分の中では思っていましたので、その中心になることが地域においても、都市部においても、地域包括ケアシステム、この中心となるのが薬剤師なのではないかと自分は思っていました。
 話は変わりますが、先日、被災地見学バスツアーという企画に参加させていただきまして、自分の郷里は大槌町でして、ツアーでは大槌・釜石地区を見学をさせていただきました。その時に、被災地が抱える幾つかの問題点を、薬剤師の先生や医師の先生から講演いただきまして、例を挙げますと釜石地区では高齢化率が37%ということで、日本の中でもかなり最先端で高齢化が進んでいるため対策を講じなければならないという話をいただきました。数字だけ見るとそうでもないと個人的には思ったのですが、その後に復興住宅に移られた高齢者の方で、その復興住宅に住んでいる率は60%と聞いたので、単に数字だけではない問題がそこにはあるのかなと感じました。
 その高齢者の方を面倒見ているのは、医療従事者ではなくて、周りに住んでいる若い人たちだったり、近くに住んでいる親戚の人だったり、周りの人たちで支えているというのが現状だったので、そういうところを行政だったり、地域の医療従事者が踏み込んでいって、満遍なくケアするシステムが必要なのではないかと思いました。
 その中心になると考えるのが薬局でありまして、授業でも学んだばかりなのですが、かかりつけ薬局という制度が国のほうで進められていると学んだのですが、薬剤師の先生の方々とお話ししている中で、かかりつけ薬局はどういうふうに、患者さんの中でどうやったらかかりつけ薬剤師になって、どのようにかかりつけ薬局になっていくのですかと質問したら、実際は土地柄的に昔からかかりつけ薬局のようなことはしていたようで、実際かかりつけ薬局を進めていく中で、今度は医療点数がついて、今までやっていたことなのに、さらに料金が上乗せされてしまって、患者さんにそれをどう説明したらいいのかというようなギャップがあるという話を伺ったので、そういう面も薬剤師の説明力というか、情報を伝える技術なのかなと考えました。
 岩手医科大学は、医学部から始まって4学部が揃う全国でも数少ない大学ですので、残りの学生生活の中で多職種連携の練習のような環境に自分もいますので、その環境をフルに生かして、現場に出たときに多職種の中心となるような活動ができたらいいなと考えています。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、櫻さん、お願いします。

櫻 直也
 薬剤師ができる地域への貢献としては、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師がとても重要になってくると思います。岩手は、比較的ご高齢の方が多いので、どうしても多数の病院にかかったりして、薬の管理が大変になるので、かかりつけ薬剤師が薬を一元管理することで、患者さんがより安全に安心して服薬できるようにすべきだと思います。また、在宅医療も増えてきて、患者さんの負担が大きく、家族の方々もどういうふうに対応すればいいのかわからないことも多々あると思うので、そのようなときに信頼のできる薬剤師がしっかりと親身になって相談に応じることで、地域の方々に高い医療を提供していくことができるのではないかと思います。
 ただ、そういったかかりつけ薬剤師とかという概念は、私自身、大学に入ってから最近授業で習って初めて知ったので、どうしても地域の方々に広く知られていないのではないかと思いますので、これから先、そのような考え方や体制そのものをしっかりと地域の方々に深く理解してもらって、広めていくことが大事ではないかと思います。
 また、病院薬剤師と薬局の薬剤師とが連携して、いろいろと情報提供しているため、病院の薬剤師を介して、医師や看護師等とかかりつけ薬剤師がしっかりと情報交換をしていくことで、患者さんの体調が悪化して病院に来たときなども高い連携ができ、患者さんにもより良い治療を行えると思うので、私はかかりつけ薬剤師をもっと普及させるべきだと思いました。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、知事お願いします。

達増知事
 かかりつけ薬局は、最近注目されている考え方ですけれども、昔から近所の薬屋さんというのが非常に大事な機能を果たしていたと思います。私も息子が小さい頃、ドアに指を挟めて、指の厚さが半分ぐらいになるくらい跡が残り、これは病院に行かなければならないかと思ったのだけれども、日曜日だったこともあり、近所の薬屋さんに相談してみたところ、これは冷やしておけば治りますよと言われ、薬を買うこともなくアドバイスだけもらって帰って、氷で冷やしていたら、だんだん治ってきたことがありました。骨に異常があればどのようになるかとかということを薬屋さんが知っていたから、問題はなかったということで、病院に駆け込まずにも済んだので、そのような最初に相談に行くところとしてすごく大事だと思います。
 岩手のように、特に医療資源が足りないという言い方をしますけれども、医師不足であるとか本格的な病院が近くにない地域とかも多くある中で、かかりつけ医と並んでかかりつけ薬局というのが、まず最初の段階で命や健康を守る、そういう入り口としてすごく大事だと思います。
 あと、岡谷君から情報の収集、発信の司令塔役みたいな話があったのですけれども、最近病院の薬局に情報室というのをつくるようになっています。病院経営の観点からいっても、薬局が患者さんに関する情報の一つのセンターになっているので、そのような情報機能を強化するような仕組みとして大槌病院とか、最近新しく建てた県立病院では、医薬品情報管理室をつくっています。まさにまちの中でも、病院の中においても薬局、薬剤師という存在が情報の一つの結節点になって、大事な役割を果たすので、その調子で頑張ってほしいと思います。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして看護の関係です。柴田さん、お願いします。

柴田 妃菜
 まだ大学に入って数ヶ月しかたっていないので、専門的な知識とかはまだ全然ないのですが、私がなりたい看護師像というのが、患者さんの心と家族の方の心を診れる看護師になりたいと思っています。やはり病というのは、精神面での影響もすごく大きいと思うので、そういう面で支えてあげられるのは、患者さんと家族の方に一番寄り添うことができる看護師であると思うので、今まで私がかかわってきた看護師さん、私に夢を与えてきてくれた看護師さんのように私も次の世代に、看護師という職業はすばらしいなと思ってもらえるような看護師になりたいと思っています。
 あとは、先ほど言うのを忘れたのですが、出身が岩手県盛岡市で、生まれてから少し経って祖母の家に行きました。祖母の家は、二戸市の浄法寺町にあります。そこは、高齢化がとても進んでいて、病院に行くにも二戸市に車で20分か30分しないと行けないという場所で、とても高齢者が多くて、病院が必要なはずなのに、やはりそういうところで時間がかかってしまいます。盛岡市であればインターネットで調べて、近くの病院をすぐ受診できますが、そういうことができない地域にいる人の配慮もこれから考えていくべきだと思いました。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。山田さん、お願いします。

山田 ひなの
 私は、将来地域の保健師になりたいと考えています。保健師としてできることのまず第一として、地域の方々の健康に対する意識や考えの増進だと思っています。喫煙や飲酒が体に及ぼす影響だったり、食生活や睡眠、運動、あと手洗い、うがいなど、基本的なことからわかりやすく、子供から高齢者までさまざまな年代の方にわかりやすく説明することが保健師の役割だと思っています。
 私の考えとして、病院で、やむを得ず事故や病気にかかってしまった方の治療に専念するために、高血圧などで病院に行っている患者さんを減らすために、地域で保健師がそういった食生活などを指導して、健康管理をすることが、そういった方々の治療の専念にもつながりますし、岩手県の健康寿命を延ばすということにもつながると思っています。
 私が保健師としてもう一つ力を入れたいと思っていることが、児童虐待問題を減らすことです。地域の保健師ですと、保健センターなどで赤ちゃんの健診や地域の方々の健康診断など行うのですが、赤ちゃんの健診であれば、お母さん方の心の不安に気づいてあげたり、健康診断のときであれば地域の方が不安を相談しやすいような環境をつくることに力を入れたいと思っています。
 着目をすると、母親の心の不安というのに気づいて、増え続けている児童虐待問題を減らすことにもつなげたいと思っています。ニュースでも余り取り上げられないのですが、見えていないだけで、児童虐待というのはたくさんあって、今ネグレクトという、周りの人からも気づきにくいものが多くあるので、そういうことにも保健師として気づいてあげられたらと思っています。
 このような形で地域の方々と接するというのは、保健師だけではなくて、病院の看護師もです。医療職の中で一番患者さんとの距離が近いのは看護職であるので、患者さんやその家族の方々とのコミュニケーションや、良好な関係を築いていって、チーム医療の土台のようなものを看護職がつくっていけたらと思っています。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からお願いします。

達増知事
 看護師さんは、患者さんに一番長く接する身近な存在でもあり、患者の家族も含めて、気持ちの問題とかにも配慮しながら接していくことからチーム医療の大きな役割を果たすし、また地域包括ケアというようなところでもなくてはならない存在だと思います。
 岩手でも看護師さんが足りないところもあるので、まず志してもらったことは非常にありがたいですし、あと保健師さんもすごく大事な仕事で、医療の前の段階の保健衛生というところで、県民の皆さんを守り、またいろいろ教えるということはすごく大事だと思います。
 医療というのは、県民一人一人が、まず自分が主人公になって、自分の命と健康は自分で守るというところから出発して、でも命や健康というのはかなり専門的で難しいところもあり、病気やけがというのは、専門家でなければ治せないところもあるので、その必要に応じてまずかかりつけ薬局に行ったり、かかりつけのお医者さんに行ったりして、そして病院に行かなければならないときは病院に行くし、また命にかかわる高度な手術をしなければならないときにはそういう病院を利用するなど、いろいろな医療、専門家の人たちと協力し合って、ともに病気やけがと戦っていくという仕組みができていかなければうまくいかないと思うので、まず最初の段階で県民の皆さんが医療や保健衛生ということをきちんと考えてもらうというのを看護職や、また保健師さんたちがしっかり伝えていくというのがすごく大事だと思うので、この調子で頑張ってほしいと思います。

保室長
 ありがとうございました。
 ここまでは、皆様から一通り今日のテーマに沿ったお話をいただき、また知事からは御自分の御経験も踏まえ、岩手県が今地域でどのように医療を盛り上げていくか、また、取り組んでいこうかといった方向性についてもお話をいただいたというように思っております。
 ここまでは地域の医療ということでお話ししてきましたけれども、ここからは、まだ時間もございますので、そのことではなくても、ちょっとそういうことから離れても結構です。皆様がふだんから学生生活を送られている立場で、この岩手という地域をどうしたいか、もっとこうなったらいいのではないかなとか、それから実際に臨床のご経験もされたりしながら、先ほどからお話のあったとおり、非常にお年寄りが多いだとか、高齢化率の問題もお話しありましたけれども、もう少しこのようにしていった方がいいのではないかとか、気がついたこととかがもしございましたら、この機会に少しご披露いただくとうれしいなと思うのですけれども、どうでしょうか。特に、高学年の皆さん、実際にいろいろ臨床とかやられてみて、そういったところでのお話、少しあったらいただけたらと思いますけれども、どうでしょうか。
 急に振って申しわけないですけれども、さっきのお話をもう少しかみ砕く、もう少し深くということでも構わないと思うのですが。

東根 まりい

 例えば同じ開業医に行くとして、医科と歯科で何が違うかといったら、けがをした、おなかが痛いなど、何かあったときに行くのが医科だとして、歯科は定期的に歯を磨いてもらったり、病気がなくても行くところというのがまず歯科だと思うのです。となると、例えば内科的にコントロールが必要な患者さんも来ることはあると思いますが、そこで最初に何かこの人違う病気ではないかな、お医者さんの助けが必要ではないかなと気づくのが歯医者である可能性もあります。健康を維持する、コントロールしていくなかで、早期発見、早期治療につなげていく役割の一つとして、歯科医師が大事なのではないかなと個人的には思っています。そこではやはり医師との連携も必要ですし、地域ぐるみでのつながりというのは、今後大事になってくると思います。

保室長
 ありがとうございます。
 ほかに何か、皆さん、御感想とか、もし今の話の件でも結構ですし。
 今のお話、特に地域での……患者さんというのはふだんそれぞれの住まいにいらっしゃるわけだから、そういう方々との接し方が、一番最初は歯科医師、歯医者さんだったかもしれないけれども、でもやっぱりいろんな職種の方とつながっていかないとうまくいかないということですよね。

東根 まりい
 そうですね。それこそさっき児童虐待の話が出ましたが、極端に虫歯が多い子の虐待、ネグレクトを疑う場合に児童相談所をはじめ、保健師さんとも協力が必要になってくることもあります。本当にいろんな連携が必要になってくる時代なのかなというのは、5年生のとき臨床現場を見ていても思いました。

保室長
 どうですか。お医者さんとか薬剤師さんの方の立場から。

菊池 煕人

 医師の領域ですと、それぞれで専門性が高まっていて、自分の専門以外の疾患領域だと診察などが難しいというのは問題であると言われる中で、例えば、糖尿病をコントロールすることについては、実は歯科医師と共通のこともあります。例えば歯周病とか口腔内の状況が悪いと、それだけでも糖尿病のリスクになるということもあります。自分の領域だから、自分の領域で完結できるというわけではなくて、いろいろなリスクファクターが様々なところで共通していることもあるので、そのような観点でも他の職種との繋がりが重要であると思いました。

保室長
 ありがとうございます。
 どうですか、せっかくですから。

岡谷 智英
 薬剤師も、先ほど言ったように他の職種との連携が重要だとお話しさせていただきましたが、医師だったり、歯科医師の先生方は、自分の病院とかクリニックがあって、そこから離れるということが多分難しいと思うのですけれども、薬剤師や看護師、ケアマネジャーなどは在宅で、自宅に出向いて簡単に血圧だけはかったりとか、副作用が出ていないかバイタルサインチェックをしたりとか、そういうことができる可能性もあるので、他の職種の領域だからといって勉強しなくていいというわけではなくて、一歩踏み込んで積極的に学んでいくことがこれからは必要なのかなと思います。
 これまで薬剤師の印象というと、調剤室で薬を調剤しているだけという感じだったので、そういうところを患者さん、消費者の方々だったり、他の職種の人たちにも理解してもらえるように、学会にも自分から赴いていって、薬剤師はこういうこともできますよという、そういうようなプレゼンをしたり、薬局では患者さん向けに薬剤師や薬局はこんなこともできますよというようなアプローチを自分からどんどんしていかないと、薬剤師は今後活躍の場が少なくなってしまうと思います。

保室長
 ありがとうございました。
 後輩のさまざまなお話を聞いて、もし先輩から何か。

達増知事
 医療政策室長として。

野原保健福祉部副部長兼医療政策室長
 はい、皆さん頼もしいというか、言葉をいただいて、頼もしく思いました。患者さんのためにとか、地域のためにとかという、そこが一番の原点だと思うのです。やっぱり何か困ったときとか、目の前の患者さんのためにというのが原点で、そのために自分で勉強しなければ患者さんのためにできないし、自分一人ではやっぱり無理だから、ほかの職種の人たちの力をかりなければならない。でも、皆さんはそれを既にわかっていてそれを目指しているということが、発言を聞いてすごく頼もしく感じました。今日は、とってもうれしかったです。

保室長
 ありがとうございました。
 何か皆様からこの際もう少しお話ありますか。いいですか。

知事所感

保室長
 それでは、最後に知事の方からまとめて一言何かお願いできればと思います。

達増知事

 地域包括ケアシステムというのは、みんなで1人の人をケアしようという発想で、これは世の中が複雑になってきて、一方でそれぞれの専門の人たちのできることがより高度化してくる21世紀においては、いろいろな分野においてもそうなのですよね。最近の話題で、犯罪被害者を支える仕組みということで、岩手県にははまなすネットというものがあるのですけれども、犯罪被害者というのは、まず加害者が捕まるかとか、裁判にかかるかとか、そういうことで警察や裁判所とのやりとりというのも必要になるし、また自分の心の傷を癒やすためにカウンセラーとか、場合によっては精神科のお医者さんにかからなければならないというような相談、それからお金に関しては弁護士さんに相談とかもありますね。そういう県のそれぞれの専門の団体の代表がこの間一堂に会して、犯罪被害者を支えるはまなすネットをきちっとやりましょうということを決めたりもしました。就職支援みたいな分野でも、学校教育現場、それから働き手を必要としている経済団体、そして就職のノウハウを持っているハローワークとか、あとは行政もそこに入って、そして1人の若者をみんなで就職支援するような体制になってきています。その中で、一番考え方が発展して、その体制も具体的に構築されつつあるのがこの医療関係の分野の地域包括ケアシステムになります。これがいろいろな分野の中で一番発達しています。それは医療の本質が人間本意であって、患者さんあるいは患者予備軍の人間一人一人というのを診ていかなければならないものだから、そうなっているのだと思います。それは、まず自分一人一人の専門を磨いていくと同時に、ほかの専門の人たちがどういうことをやっているのかとか、どういうことができるのかというのをよく知って、あるときはチームで、またネットワークとして仕事をしていくというのがこれからどんどん求められると思います。
 岩手医科大は、4つの学部が1つの大学にあって、学びの段階からそういうアプローチができるので非常にいいと思うので、ぜひこの調子で進んでいっていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

保室長
 どうもありがとうございました。
 これまで、皆さん、さまざまお話しいただきましてありがとうございました。お話の中であった、例えば将来に向けての不安ですとか、あるいは多職種連携の取組の行政としての役割ですとか、そういうものにつきましては、今日担当の部署の者も来ておりますので、持ち帰って県のほうでも具体的に取組を進めていきたいと思います。

閉会

保室長
 それでは、これをもちまして本日の県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を終了ということにさせていただきたいと思います。どうも、皆さん、大変ありがとうございました。

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