「がんばろう!岩手」意見交換会(平成29年9月8日 大船渡地区)

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ページ番号1000827  更新日 平成31年2月21日

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日時
平成29年9月8日(金曜日)10時30分から11時50分まで

場所
住田町役場 町民ホール

出席者(敬称略)

  • 参加者(敬称略)
    金田 愛(アローリンクス株式会社コンテンツ事業部 主任)
    越戸 浩貴(一般社団法人マルゴト陸前高田 理事/特定非営利活動法人高田暮舎 副理事)
    前川 十之朗(みんなのしるし合同会社 代表社員)
    松田 千秋(図書ボランティア「ま~ぶる」 代表)
    松本 玄太(特定非営利活動法人LAMP代表理事/一般社団法人SAVE TAKATA理事)
  • 県側
    知事、沿岸広域振興局副局長、秘書広報室長

開会

保室長
 それでは、皆さんおそろいですので、ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催いたします。
 今日御出席いただきました5名の皆様、大変お忙しいところ、朝からありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
 今日は、「定住意識向上に向けた地域の魅力発信」ということを懇談のテーマにいたしまして、この大船渡地区で様々な活動をされている方々にお集まりをいただいております。今日はこのように、木の香りも非常にかぐわしいこの住田町の役場をお借りしまして進めさせていただきたいと思います。
 本日の司会進行役を務めさせていただきます県の秘書広報室長の保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


保室長
 それでは、開会に当たりまして知事から一言お願いします。

達増知事
 皆様、おはようございます。県政懇談会、この県民と知事の懇談会ですけれども、東日本大震災津波の後、この「がんばろう!岩手」というテーマをつけてやるようになっています。復興の現場、また復興支援の現場それぞれの地域や分野で活動している皆さんのお話を伺って、県政に役立てるということでやっておりますけれども、復興というテーマにいわゆる地方創生、ふるさと振興、そういうテーマも重なってきています。また、ILC国際リニアコライダーでありますとか、2019年ラグビーワールドカップのような新しい要素も岩手の未来に加わってきて、そういったことを混ぜながら懇談会を重ねておりますけれども、今日はここ気仙地区で、定住意識向上に向けた地域の魅力発信という視点で活躍をされている皆さんにお集まりをいただきました。お話を伺って、県政の参考にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

保室長
 それでは、今日の懇談会の進め方でございますけれども、この後私から皆様方を一通り御紹介いたします。その後、お一方ずつ自己紹介をお願いいたします。それが一回りいたしましたら、本日のテーマに沿ってお話をいただきたいと思いますけれども、お二方ずつ区切りながら、その間に知事のコメントを挟みながらということで進めていきたいと思っております。最後の方には自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速でございますが、名簿に従って本日御出席の皆様を御紹介してまいります。
 初めに、アローリンクス株式会社コンテンツ事業部の主任の金田愛さんでございます。

金田 愛
 よろしくお願いします。

保室長
 一般社団法人マルゴト陸前高田の理事で、特定非営利活動法人高田暮舎の副理事も務めていらっしゃいます越戸浩貴さんでございます。

越戸 浩貴
 よろしくお願いします。

保室長
 みんなのしるし合同会社の代表社員の前川十之朗さんでございます。

前川 十之朗
 よろしくお願いします。

保室長
 地元住田町で図書ボランティア「ま~ぶる」の代表を務めていらっしゃいます松田千秋さんでございます。

松田 千秋
 よろしくお願いします。

保室長
 特定非営利活動法人LAMPの代表理事で、あわせて一般社団法人SAVE TAKATAの理事を務めていらっしゃいます松本玄太さんでございます。

松本 玄太
 よろしくお願いします。

保室長
 県からは達増知事のほか、こちらに座っております沿岸広域振興局の桐野副局長も出席をいたしております。

桐野副局長
 よろしくお願いいたします。

保室長
 なお、本日は陸前高田選挙区の選出の県議会議員でございます佐々木茂光議員にも御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、少しリラックスしながらいきたいと思いますので、皆様のお手元にお飲み物とお菓子を用意してございます。ちょうど10時も過ぎたところでございますから、おやつということでお召し上がりながらということで。
 それでは、お菓子の紹介などをちょっと桐野さんの方から。

桐野副局長
 それでは、お菓子の御紹介をいたします。こちらが、書いていますが、住田銘菓のかっこうでございます。ここ住田町の下有住にございますケーキ&フーズイマノさんで製造されたものです。住田町の花でありますアツモリソウ、これ別名かっこうと言うのですが、その花の形をクッキーに見立てたものです。平成6年には全国お菓子大博覧会の金賞を受賞しました住田を代表するお菓子です。サクサクしてアーモンドの香りが香ばしいお菓子です。
 もう一つが焼きドーナツです。こちらです。こちらは、大船渡市のケーキ屋さん、西欧菓子ロレーヌさんで製造されたものです。震災前は、大船渡の茶屋前商店街で営業されていましたが、震災後に赤崎町に移転されました。ケーキ屋さんなのですけれども、生菓子だけでなくこういう焼き菓子なども販売されています。何種類かあるのですが、今回は焼きドーナツのチョコ味を御用意いたしました。
 それでは、どうぞお召し上がりください。

保室長
 ぱりぱりしていておいしいです。どうぞお召し上がりながらお話を聞いたりしていただければと、随時お口に運んでいただければと思います。
 どなたかお話ししているときに失礼ではないかというようなお気持ちもあるかもしれませんが、余り気になさらないで。
 それでは、そういうことで進めていきたいと思います。

懇談

写真:懇談会の様子2


保室長
 最初に2分ぐらいで自己紹介をお願いしたいと思いますけれども、順番に行きたいと思います。
 恐縮ですが、金田さんからお願いします。

金田 愛
 皆さん、おはようございます。大船渡出身の金田愛と申します。アローリンクス株式会社という会社の中で、IT企業になるのですけれども、そちらで今「おおふなこポータル」という大船渡情報サイトの業務を企画から行っております。
 私自身は大船渡出身で、学生時代は県外に出たりということもあったのですが、やはり大船渡の魅力というのを出て初めてわかったということもたくさんありまして、地元に10年前に戻ってまいりました。帰ってきた当時はいろんなお仕事をさせてもらったのですけれども、2014年に今の会社に入社しまして、ちょっと遅い、年齢的にも入社といっても新入社員ではないですけれども、そこから今までの経験を生かしてこういうことができないかなというのを社長に話しましたところ、私たち大船渡に住んでいる以上、大船渡の魅力というのは私たちが一番よく知っていると思うのです。そちらの中で発信サイトがあってもいいのではないかということがきっかけで「オオフナコ」というサイトを立ち上げました。こちらの方は、現在では大船渡市の方で委託業務となりまして、現在の「おおふなこポータル」となりました。
 プライベートでは、主人と息子が1人、1歳4カ月になる息子がおります。6月に復帰したばかりなので、まだちょっと戻っていないのですけれども、これからどんどん頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

保室長
 ありがとうございました。
 続きまして、越戸さんお願いいたします。

越戸 浩貴
 おはようございます。マルゴト陸前高田という法人と高田暮舎という法人を兼任しています越戸と申します。ちょっと変わった名字です。よろしくお願いします。プライベートは独身で猫1匹を買っています。
 ずばり私がやっていることとしては、交流人口を増やすということと交流人口から移住定住につなげると、この2つかなと思っています。私自身は久慈市出身で、今陸前高田で活動しているので、移住者ということになります。
 陸前高田は、震災のときに岩手大学の大学院にいたということもあっていろんなゼミ単位であったり、様々なことで縁があって陸前高田で何か仕事をしたいなと思って2013年に移住してきています。今もやっていることとして、交流人口の増加ということで行政とも一緒にやらせていただいているのですけれども、陸前高田などでという言葉が正しいのかどうか、陸前高田でしかないゼロからのまちづくりの風景であったりだとか、そこにある難しさ、その展望みたいなものであったりだとか、あとは震災というものがあったからこその人々の経験とか思いみたいなものを乗せた深い交流みたいなものができるプログラム、コンテンツをつくって人を、交流人口を増やしていこうということをしています。その最たる例が民泊を使った修学旅行かなと思っていて、今年は1,500人の子どもたちが関東から来てくれています。
 そういったところで、さらに最近地域の仲間と協働ということを意識して始めた別の法人が暮舎というものになって、こちらが移住定住の促進ということで、今始まったばかりですね、7月から業務を開始しています。その交流人口というところと移住定住の流れを、さっき協働という言葉使ったのですけれども、一体的に、戦略的に共同という形をとりながら促進していくというのが私の役割かなと思っていますので、そういう目線から今日は話せればと思いますので、よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 続きまして、前川さんお願いします。

前川 十之朗
 初めまして、前川です。私は、ベルリンというところで舞台活動をやっておりまして、そのときに震災が起きたのですけれども、ベルリンで活動できたのも日本人の先人が結構いろんなことを残してくれたので、非常に文化活動がやりやすかったのですけれども、そういう中で被災、海の向こうからこちらの被災を体験して、あとちょっと東京が嫌いでして、実は福井県出身なのですけれども、東京が一番長いですね。18から44ぐらいまで東京におりまして、もう東京だめだなと思っていた矢先にドイツに行って、ドイツは地方分権なので非常にいろんな文化とか、過疎がないとか、若者、あるいは大学の研究所がいっぱいあって、地方に行ってどこも個性的なのですけれども、今はどの地方に行っても東京のうり二つみたいなまちばかりが広がっているので、何とか自分の感覚で自分のスキルを生かして被災地に入って何かできないかということで、2012年3月10日に帰ってきまして、4月1日から東京大学と防災科学技術研究所の駐在員としてこちらの被災者の証言を約100人ぐらいとらせていただいて、大体身内を亡くされている方が多かったのですけれども。
 そんな中で、これはこちらでちゃんと起業してやらせていただきたいなという思いで「みんなのしるし」という会社をつくりまして、集落の魅力を発信する。沿岸は独特な、これを述べると長くなってしまうので、沿岸の太古から続いているような独特な暮らし、あるいは絆、つながり、あるいは芸能といったものを表に発信しようと思って、こちらに移住しました。よろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、松田さんお願いします。

松田 千秋
 住田町で図書ボランティアをしております松田千秋と申します。正式名称は、住田町図書環境コーディネーター「ま~ぶる」という仰々しい名前をつけて活動しているのですけれども、活動するときになぜ「コーディネーター」というふうにつけたかと申しますと、人と本をつなげる役割をここ住田町でやりたいなということがありまして、環境コーディネーター、環境を整えていこうよと、住田町はまだ図書室の段階なのです。図書室に人を持ってきてくれて、子どもから大人までみんなが本を読んで世界を広げてほしいなということで活動しています。
 そういう目的が最初の活動だったのですけれども、震災前から私は実は越戸さんと同じで、生まれが久慈市なのです。久慈から平成にちょっとなる前に嫁いでまいりまして、そのころ住田町という町も、申しわけないのですが、同じ県内でも知らなかったのです。来てみて、あらっ、随分違うんだわねということを感じまして、それから住田町という町はどういう町なのか、どういう歴史があるのかというのにちょっと関心をもちまして、それをやりながら図書室で活動しております。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、次は松本さんお願いします。

松本 玄太
 おはようございます。陸前高田市の特定非営利活動法人LAMPの代表理事及び一般社団法人SAVE TAKATAの理事を兼任しております松本と申します。
 僕自身は広島県出身なのですけれども、2012年の4月に陸前高田に移り住んで、SAVE TAKATAの方で活動を続けておりまして、その中で米崎リンゴに関わる事業を進めてきて、その事業を今年の4月に分社ということで、NPO法人LAMPを設立いたしました。
 活動といたしましては、米崎リンゴに関わる仕事を増やし、そして仲間を増やして後世につないでいくということを目的に活動しております。現在は自社農園として農地を借り上げての生産及び販売、あとは担い手の創出ということで、その一環として、主に陸前高田市内のニートや引きこもり状態の無業の若者の自立支援としての農業体験を受け入れております。行く行くは本当に米崎リンゴが陸前高田市のちょっとした宝として、米崎リンゴで食べていける、一つの家族が食べていける仕事を残していくことと、米崎リンゴを通して様々なチャレンジをして、これまでにないちょっとエッジの効いたような楽しいことをしていけたらなということを考えております。よろしくお願いします。

保室長
 皆さんどうもありがとうございました。
 一通り皆様から自分の話をいただきまして、ここからは「定住意識向上に向けた地域の魅力発信」という本日のテーマがございますので、恐縮ですけれども、お一人大体4分ぐらいでいろいろ日ごろからお考えになっていることをお話いただきたいと思います。先ほどの順番ということで、またぐるっと最初に戻っていきたいと思います。お二方ずつお話をいただいた後、知事のコメントも入れながらという形で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速でございますが、金田さんお願いします。

金田 愛
 私は、大船渡で、さっきも松田さんがおっしゃっていたのですけれども、同じ県内でも住田のことがよくわからなかったということがあったのですが、大船渡も割とそういうところに位置するのかなというふうには思っていました。ただ、震災があったことによって、震災が、津波が来たまちというふうにインプットされているのかなというのがちょっと悲しいかなというのがありますし、また住んでいる私たちが小さいまちながらも楽しんでいるということをどんどん発信していくことが口コミではないですけれども、そういうことが必要なのかなという実際の声というのですか、そういうことが大事かなと思いました。
 私のネットワークというと女性が多いのですけれども、女性が楽しむまちというところにはおのずと人が集まってくるのかなということは常々思っていて、そんな大したことはないことかもしれないけれども、工夫しながら私たちはこんなふうに楽しんでいますよというふうなことを発信することによって、人がついてくるのかなと思いました。
 今現在「おおふなこポータル」というふうな投稿型のサイトがあるのですけれども、前身は「オオフナコ」という、本当に私たち女の子、女性メンバーで女性の目線で見た大船渡ということでサイトがあったのですが、そちら本当に私たちの日常です。要するに女子会みたいな、部活と言ったらいいのですかね、女子会みたいな本当に雑談から始まって、アイデアを持ち寄って、このお店がこういうふうだったよというふうなことから、じゃ、取材に行こうかという、彼女たちは彼女たちでそういう自分たちの一言がこんな形になるのだということがやっぱり楽しい、そういうちょっとしたことかもしれないのですけれども、そういう気持ちというのは人に伝わり、外の人に伝わりやすいのかなと思いました。
 私は女性で、結婚があったり、子どもを出産したりとか、いろんなことで生活スタイルが変わることがあるとは思うのですけれども、やろうと思って、その目標に向かってやるからにはどういう方法があるのかな、できない方法ではなくてやれる方法を考えるとなると、やっぱりいろんな人を巻き込んでみんなで一緒に動きましょうと、うまく言えないのですが、何かそういうことができるまちなのではないかなと、今取材だったりも実際私たちが行っているのですが、人と触れ合うことで、では一緒にやろうよという、そういうコミュニケーションが生まれ、ネットワークがどんどん広がっていき、女性で始まったサイトなのですけれども、行く行くはこのまちのみんながつながっていって、こういうまちなのだなというふうなものが外にも伝わればなと思っています。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、越戸さんお願いします。

越戸 浩貴
 交流人口を増やすということと移住定住を増やすということをしているのですけれども、どちらも目標ではあって、目的ではないのかなというのを思っています。交流人口が増えて、人々がたくさん来て、陸前高田の良いところを知っていく、それをもって好きになってくれた人が移住するというのは、それで何を成し遂げたいかというと豊かな地域をつくることだなというのはずばり思っています。そこに対して、すごく最近大事だなと思っているのが地域の人は交流人口であったり、移住者を通して、最近難しい言葉でシビックプライドとかとよく言ったり、郷土愛みたいなものなのですけれども、もっと主体的な、能動的な人間としての地元への愛着みたいなものです。そういったものが醸成されるというのを目指したいなというところと、あとはやっぱり先ほど金田さんも一言が形になるとか、前川さんの集落の魅力みたいな話があったのですけれども、そういう外の人が来て感じるもの、その感じるものを通して、特に若い人なんかは心の育ちというか、感性の育ちみたいなのがかなり促進されるなと思っていて、その往復、そのシビックプライドの醸成みたいなもの、心の育ちみたいなのがどっちも総合的な作用をもたらして地域がつくられていくというのが大事なのではないかなというのを思っています。個別にやっていることはいろいろあるのですけれども、企業研修とか、教育旅行とか、大学生の授業とか、移住定住の方だと空き家をどうコーディネートするかとかやっているのですけれども、そういう考えのもとやっていますというところで、すごく偶然なのですが、狙ってないのですけれども、ちょうど良い本を持ってきていて、まさにそこにいい文章があって、「いたずらに格差を嘆き、都市と比べて無い物ねだりの愚痴をこぼすより、この土地を楽しく生きるためのあるもの探し、それを私は密かに私は地元学と呼んでいるのだが、要はこれからの家族の生き方、暮らし方、そして地域のありようをこの土地を生きてきた人々から学びたいのである。性急に経済による解決を求める人間には、ここには何にもないと見えてしまうだろうが、自然とともに我が地域を楽しく暮らそうとする地元の人々の目には資源は限りなく豊かに広がっているはずである」と、こういう考え方だなと思っていて、なので事業としての継続性という部分はもちろん発展継続性はありつつも、それをいかに本当に地域に根差して生きている人たちに価値として落とし込んでいくかというのが多分陸前高田というか、気仙地域のオリジナルの価値観の醸成というのにつながるのではないかなということで考えてやらせてもらっています。
 そういう中で、一つ形としてやったのが最近私の住んでいる地域で、17世帯しかない地域で15年ぶりに盆踊りのイベントを復活させるという結構無茶なイベントをやったのですけれども、そこに関東から20人ぐらいの若者たちが来てくれて、17世帯50人しかいないはずなのですけれども、盆踊りには総勢100人以上が来てくれて、そこなんかでもまさに関東では日々大きな会社で疲れて仕事をしている若者なんかがここに来て喜んでもらって盆踊りを復活させるということにすごく生き生きとしたり、地域の人たちもこんな地域何にもないのだというところが、自分たちの盆踊りってすごくいかに価値があるかというものを感じたり、そして一番うれしいのは、その盆踊りに関わった若者の中から1人移住を決意した人間がいるということで、そういう交流人口とか、地域での動き、移住というものをつなげていければなというふうに思っています。

保室長
 ありがとうございました。
 では、知事から。

達増知事
 この「おおふなこポータル」は、来る途中タブレット端末でちらちらと見てきたのですけれども、まず「オオフナコ」と書いてやっていた、そういう女子会時代があって、今は「おおふなこポータル」で、より大規模にやっているのですね。こちらの頭についているのはツバキの花、これは松の木でしょうか。

金田 愛
 はい。

達増知事
 こんな感じのリアス式海岸によく生えている松の木ですね。

金田 愛
 はい。

達増知事
 女子会的にスタートしたこれというのは何人ぐらいでやっていたのですか。

金田 愛
 そうですね、最初は6人とか、どんどん増えていって、本当にちょっとふざけている感じかもしれないのですけれども、例えばこの子だったら楽しくできそうと思う子がいると、じゃ、一緒にやりませんかとか、そういうスカウト的なところで行って、私たちのミーティングの中で今度はこういうお店があったので紹介しようかとか、観光地もいろいろ検索すれば観光場所は出てくるとは思うのですけれども、実際に本当に行ったらどうなるのだろうというところまで私たちが体験して伝えることによって、同年代の女性だったりがもっと身近に感じてもらえるのかなと思いました。
 「オオフナコ」時代のサイトはなるべく風景、写真をいっぱい使うようにしました。というのは、やはり進学だったりで県を離れてしまう学生さんたちというのは少なからず自分の地元って田舎だというふうに、離れていく気持ちでいるのかなと、良さに気付いている子ってなかなかいないのかなと私は、自分が実際そうだったのですけれども、行った先で、例えば自分の地元がどういうところなのと聞かれた際に、口で説明してもなかなかイメージが湧かないので、例えばこういうところなのだよというふうに、私たちだったら名刺みたいなもので写真で見てもらうことによって、あなたの地元ってすてきなんだねという、そういう一言で変わると思ったのです。なので、学生だったり、出て県を離れている皆さんにも地元を感じてほしくて地元の紹介だったりとかに使ってもらえればということで、そういうサイトにしました。

達増知事
 本当に写真がいっぱいで、またきれいな写真が使われていていいホームページだなと思いました。

金田 愛
 ありがとうございます。

達増知事
 また投稿型ということで、どんどん投稿してもらって、体験したものが重なっていくと。

金田 愛
 そうですね、ええ。

達増知事
 私が小さいころは、岩手県というのはテレビ局がNHKのほか民放は1つか2つしかチャンネルがなかったのですけれども、その後4つに増えて、地元のことを取り上げる番組もどんどん増えていって、それでかなり岩手の社会の雰囲気も変わったと思うのです。やっぱり情報を発掘して、お互い確かめ合う、見せ合うというのはすごく大事で、今やインターネットやパソコンなど活用すれば市町村単位でもきめ細かくかつ格好よく大々的に情報発信できるから非常にいいなと思います。

金田 愛
 そうですね、やっぱり視覚って大事かなと思いまして、ITといってもどうしてもパソコンカタカタやっているのでしょうというイメージだったのですけれども、私たちは実際足を使って、やり方はとても古風というか、実際に人に会って本当にちゃんとした話を聞くというか、そういうところに力入れたいなと思いました。というのは、景色はきれいだよと言っても、やっぱり人の魅力には勝てないなというところに私は気付いたというか、あとは地元の人にいかに自分の地元はすごくすてきなところなのだよというふうに気付いてほしいという気持ちもあります。自分の地元が好きにならない限りは個々で発信もできないだろうし、そういう意味では、こういうサイトがあるのであれば伝えやすいのかなというふうにもありますよね。

達増知事
 あと越戸さんの活動で、地元学という言葉が象徴的だと思うのですけれども、伝統的には文字通り伝統的には地域社会というのは自意識を持ってなくて、今改めてわかってやるというところが大事だと思うのです。昔は、盆踊りはやらなければならないものみたいに、いや応もなくやるのだという、そういうのに反発して出ていってしまう人もいたのが伝統的な地域社会だったと思うのですけれども、そこをちゃんとほかの地域とかとも比較して、よそでやってないようなことを実はうちはやっていたとか、そういうのをちゃんとわかった上で、やるやらないを主体的に決断して、やるのだという、それがシビックプライドというやつなのではないかなと思いますね。
 そういうやり方は外とつながっていくようになるので、自意識なしで無意識で地域の行事をやっていると、それはもう地域の中で完結してしまうのだけれども、17世帯で盆踊りやって100人集まるというふうにちゃんと外ともつながる形でやるのがいいと思いますね。岩手県内人口が少ない過疎の地域で、それでも活力があるところというのは大体都会との結びつきが何かかんかあって、都会というのは盛岡みたいなところから始まって、東京とかいろいろあるのですけれども、ふるさと出身でそういうところにいる人とつながったり、あるいは縁もゆかりもないのだけれども、何かかんかつながって、そういう人たちに企画もやってもらうとか、いろいろ手伝ってもらうとか、そして来てもらうとかすると活力が出ますよね。そういうのが軌道に乗っていていいのではないかと思います。

越戸 浩貴
 そうですね、交流人口と移住定住というのはどんな地域でもすごく大事なことだなとは思いつつ、一見矢印にはなっているのですけれども、つなぐのというのはなかなか難しいじゃないですか。というところのそこをつなげるようなものを深い交流人口の体験から好きになってもらって、主体的に地域に関わってもらってという、そこのつなげる輪みたいなものがやっぱり大事なのだなというのを最近気付いているので、ちっちゃい動きからではあるのですけれども、そういう動きを都会の若者なんかと地域の人に提供して地域づくりというのもできていくのかなというのが少しずつ形がちょっと見えてきたかなというところです。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、前川さんお願いいたします。

前川 十之朗
 先ほどお伝えしたように、研究員としてこちらに入ったのですけれども、その中で集落、特に緊急避難所、仮設住宅の話の中でご老人とか働き盛りの人とかがいい顔して、あのころは良かったというのです、災害公営住宅に移動して、その方々に取材をまたすると本当に楽しかったと。そういうところというのは亡くなった方が少なかったり、あるいはご病気になる人が少なかったりするのです。その中で、何がこの人たちを結びつけているのだろうというところが、それは祭りだったり、郷土芸能だったりしたのです。郷土芸能を、例えば我々アーティストとかクリエーターという種類の人間が東京から、あるいは海外から来るときに上から目線で何か教えるとか、マッサージするとかではなくて、単純に地元のことを習いましょうと、地元の資源としての芸能、しかも沿岸の芸能は内陸みたいに交流がないので、非常に古い形で残っているのです。それを2013年、文化庁と一緒に組ませていただいて、「習いに行くぜ!東北へ!!」というのをイギリスあるいはアジアだとインドネシアの有名な、著名な振り付け家を呼んで、それに参加していないのですけれども、住田町のショーネットというのは柿内沢鹿踊りに年間半分ぐらい来ていますね。長期定住ではなくて、短期移住というのでも相当お金が落ちることがわかっているのです。1カ月で大体30万円ぐらい落としていくので、家賃とは別に。そういうことを始めて、いろんな方々のニーズを聞いているうちに、これ世界に発信しようねということで始めたのが後ろのポスターのこちらの三陸国際芸術祭、2014、2015、2016、2017と、来年で5年目になるのですけれども、そういったものをしていまして、やりながらいろんな感覚が変わってきまして、芸能は芸術なのかというのは、まさに営みの中に生まれる芸術なのだとしまして、もちろん内陸の芸能も花巻だの、北上だのから参加していただいているのですけれども、基本的には沿岸の、今年だと黒森神楽、金沢神楽、あと鮫神楽と、ちょっと県もまたいでやっていますけれども、そういうことでやっています。
 どうしたらコミュニティーを、小さい集落の魅力を外に発信するか、あるいは外から短期移住者を呼ぶかと。大体1カ月から2カ月間スタッフが大船渡に住み込みで仕事してもらっています、大体30人ぐらい。そのうちの1家族が芸能に、それも制作者であり、奥さんが振り付けなのですけれども、吉浜というところに4人で引っ越しまして、今年そろそろ10月の2日か3日かな、五年祭があるのですけれども、そこに地域の芸能の伝承者として参加すると、今そういう流れになっていまして、今日ここで全部お話するには余りにも大きな課題を背負いながら前へ進んでいるのですけれども、今年初めてこの資料、これ実を言うと大船渡市から共催を4年間もらえなかったのです。それで、大船渡の市長も今年奥様といろんな会場を回っていただいて、これはすばらしいと、大船渡市長に関しては海外に非常に、特にアジアに非常に詳しい方で、今年はマレーシアとインドネシアの芸能を呼んだので、その人たちと交流しながら、市長も習っていましたね、芸能を奥さんと一緒に。ということで、来年の内定をいただきまして、大船渡市だけではなくて、釜石、宮古というところは、もちろん陸前高田にもやらせてもらっていて、あと住田でもやらせていただいているのですけれども、沿岸の世界にとどろく芸術祭、世界中の地域芸能が根差す場所にしたいなと考えています。

保室長
 ありがとうございます。
 では、松田さんお願いいたします。

松田 千秋
 今まで皆さんのお話を聞いていて、図書ボランティアがここに来て大丈夫かしらというのが正直な感想なのですが、まず私たちがつくりました「住田いいとこカルタ」というのがあるのですけれども、こちらを皆さん。
 先ほども申し上げたとおり、私は久慈市出身で、何もわからず住田に来たものですから、まず住田ってどんな町というところから始まったのです。「ま~ぶる」のメンバーに聞きましても、実際自分は住んでいるのだけれども、住田のいいところというと、例えば滝観洞とか、大きい種山ケ原とか、観光地は出るのですけれども、あれっという感じだったのです。それじゃ、みんなで自分の中のお勧めはこの場所よ、こういうところよというのを一つずつ出していってもらって、カルタにしてしまおうよと、最初はそういう軽いのりから始まりました。
 子どもたちにカルタをやってもらいながら、例えば昭和橋はこういう橋なんだよ、例えば昭和7年、8年につくられたコンクリートの橋なのですけれども、そこには穴があいていて、釜石の空襲があったときに住田もここをやられちゃったんだよとか、そういうことを子どもたちにも話して聞かせられるようになったんですね。それなぜ進めるかといいますと、皆さんよそから移住の方々をまず考えていらっしゃると思うのですけれども、私は自分たちのこの町から子どもたちが都会に行ったまま帰ってこない状況がとても寂しいなと思いました、自分もそうなのですけれども。
 住田のいいところ、ここは好きというのがあったら、例えば向こうで仕事していてもある程度の期間たったら帰りたいな、こっちにまた戻ってきたいなという、そういう人がいたらもっと楽しくなるのではないかなというのが本音です。よそから来てとても刺激受けて、一緒にやるのも物すごく、私たちもこういう活動をしていますとなぜか全然知らない千葉の方からお電話いただいて、その方々がご家族みんなで住田に来てくださったり、あと年に何度も横浜から来てくださるというメンバーもいたりして、だんだん知らないうちによその人たちが入ってきてくださるのです。そういう関係というのはなぜかというと、住田で暮らしている私たちが住田を好きで、にこにこしているというのです。おじいちゃん、おばあちゃんがこの町はすごく多いのです。高齢化率も四十何%という非常に若い方を探すのが難しいような町なのですけれども、来るとおじいちゃん、おばあちゃんが笑っているというのです。そういう町をよそから見ればとても魅力的だというふうに言ってくださって、先ほどお祭りの話が出ましたけれども、お祭りのときに山車を引っ張りに来てくださったり、夏祭りにもちっちゃい町なんだけれども、物すごいことやっているねと。都会では盆踊りとか、本当にちっちゃい単位ではやるらしいのですけれども、町全体で、町の人が全員出てきてやるというのは余りないっていうのです。それに自分も参加したいということで来てくれたりします。そこでも全然知らない人たちなのですけれども、住田町内の方たちはとてもいつもここにいる人たちのように接してくださるのです。そういう環境というのが、これから観光地だけをピックアップするのではなく、人とのつながり、先ほどおっしゃいましたけれども、そっちの方がもしかすると岩手の魅力なのではないかなと思います。
 そういうこともやりながら本のね、どうしても私が生まれた久慈市というのはあのころとても山あいで、差別ではないのですけれども、ちょっとさげすまれたような山の僻地というふうに言われていたのですけれども、本を通すとそれが全然一切もう国境もないし、遠い道というのは関係ないのです。そういうのを住田の子どもたちに伝えたいし、住田のいいところ、君の一番好きな住田を発見してというところを伝えたいなという、そういう思いで活動しています。
 移住とはちょっとかけ離れているのですけれども。

保室長
 いやいや、そんなことないです。ありがとうございます。
 では、知事からコメントお願いします。

達増知事
 今「住田いいとこカルタ」をぱらぱらと拝見しましたけれども、種山ケ原とか有名なところもありますけれども、その昭和橋とか、初めて知るようなところもあって、すごくいいなと思いました。やっぱりまず自分たちの住んでいるところを知るところから始まるのだろうなと思います。
 この間の週末には「いわてとワタシゴト展」という岩手で働こうフェアみたいなのと、それから「いわて若者会議」というのを続けてやって、どっちも岩手で働く、岩手に残るとか、岩手に帰ってくるとか、また岩手にやってくるとか、そういうことをテーマで話していたのですけれども、東京と比較して、東京はニューヨークにあるものが東京に来ているとか、ロンドンにあるのが東京に来ているとか、そういうすごさはあるのですけれども、東京の土地や歴史に根差したものが育ってきて何か花開くというようなことについていえば、これは岩手の方がよほどそういう地域資源というものが豊かだよという話で盛り上がったのですけれども、住田もそうなのだと思いますね。これもうっかりしていると、さっきの自意識、無意識の話で、無意識にそういう地元のものに接していると言葉にしないまま、気付かないまま一生を終えたりもしてしまうのですが、一度意識化して外の人にも語って聞かせられるようになり、また自分たちでも確かめられるようになるというのが、それが地域の力の始まりで、また地域外とつながっていくことの始まりでもあって、やっぱり知ることが大事なのだと思います。ありがとうございます、そういうのをつくっていただいて。
前川さんはすごいですよね、この……

前川 十之朗
 ぜひ県にも助けていただければ。ちょうど今文化庁と国際交流基金……

達増知事
 赤澤の剣舞とか笹崎鹿踊、あとは中野七頭舞もインドネシアのチルボン仮面舞踊とか、マレーシアのバジャウ族伝統舞踊とかと本当に対等に一緒に演じられて、地元のすごさと、またそれが外とつながるというのを郷土芸能というものを通じて実現してくださったのは大変すばらしいことだと思います。

前川 十之朗
 ありがとうございます。
 これ文化庁と国際交流基金で、外務省の団体ですけれども、メーンの予算はそこなのですけれども、そこが2つ組むということはほとんどなくて、国が見ているのはオリンピアードの年、あとワールドカップ、オリンピアード等、沿岸で何をすべきかということを、復興庁も絡めて今相談していまして、やっぱりある程度長い期間、観光という考え方よりも定住に近い考え方がありまして、沿岸というのは本当に海外の人の力がないと今かなり担っているのです、海外の方々が。そういった方々がちゃんと交流できるような地盤をつくるのも一つですし、あと国が災害から立ち上がっている日本あるいは沿岸というものを見せるには郷土芸能がコアになるといいのではないかというところで今行ったり来たり、嫌いな東京に行ったり来たりしていますけれども。

達増知事
 最初の自己紹介のとき、集落の魅力云々のところで太古からの生活が残っているという、実際そうなのですよね。やっぱり陸の孤島などと昔言われ、内陸と険しい山で隔たっていた、また隣の集落とも険しい峠でも隔たっていたりして、古いものが残っているものが三陸、岩手沿岸部にはあって、それは非常に貴重な財産だし、本物志向が強い外国のそういう趣味のいい人たちというのにとっては非常にいいなとなりますよね。

前川 十之朗
 毒されていないというか、古い日本の美意識みたいなものが生きていますから、日本のコンテンポラリーと言われているようなダンサーとか、芝居の人たちが体を学びに来ているのです。これを年間通して4回ぐらいやっているのです。

達増知事
 体を学びに来ていると。

前川 十之朗
 そうですね、音楽もそうですけれども、基本的には体が、鵜住居とか、あそこら辺とか大槌とか宮古、もちろん七頭舞も、もっといえば黒森山もそうですけれども、根っこがおもしろいですよね、独自に育まれている感じがありますね。

達増知事
 それはいいですね、ぜひこの調子でよろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしました。松本さんお願いいたします。

松本 玄太
 我々は陸前高田で栽培されている米崎リンゴというものを後世に残すということで、担い手を増やす、外からの就農者を増やすということも考えたりはしているのですが、それによって陸前高田市の移住定住者が増えることにはつながるのですが、今の状態で呼んできたとしてもよっぽどの物好きか変わり者じゃないとやらないと思うのです。なぜかというと、米崎リンゴで食べていける、仕事になるという保障がないからなのです。
 今考えているのは、震災後何人か米崎リンゴに関わる若手、20代から40代が四、五名ですけれども、ちょっと増えてきていて、我々の法人ではなく、そういった関わっている若手を中心に毎月意見交換というか、情報交換というか、米崎リンゴで何かできるかみたいなことでいろいろ話をしたりする中で、この今関わっている人たちがまず食べていける仕事をつくることが先決だなということを考えております。そこに仕事ができていき、人が増えていくということで。あと僕はもともと考えていたのは、僕自身も移住者ではあるのですけれども、住み始めて6年目になるのですけれども、正直陸前高田での住みづらさとか、活動を続けていく上のちょっとやりづらさみたいなのは感じてきてはいるのです。もちろん外からのもの、何か大きなものを取り入れたり、人を増やすということは重要なことなのですけれども、それよりも今住んでいる、そこに住んでいる人たちが生き生きと安心して暮らしていることが一番大事なのかなと。
 僕が見ていて、外への情報発信というのも必要なのですけれども、そっちに割合がすごく大きくとられていたり、外とのやりとりが最近目立っているなみたいなのは感じていて、我々なんてずっと120年ほど前からつくられている高田にある小さな米崎リンゴというものの活動をやっているのですが、そこで今やっている人たちがちょっと生き生きと楽しく活動していけなければ、多分米崎リンゴが一大生産地になることはできないと思うのです。やっぱり土地柄の制限もあったりするので。だったらちょっと何か外から見て、あそこ何かおもしろそうなことをやっているなみたいな、ちょっとあそこで参加してみたいなと思えるものをその地域につくることだと思って今活動を続けています。
 なので、今そこにある小さなエネルギーというものを大切にして、少しずつ大きくしていく、それがうちの活動としては米崎リンゴという小さなものを少しずつ大きくしていくことが産業の発展だったり、まちの発展、そこに人が増えていくきっかけになればなと思っています。
 農業という視点からすると、今農地の貸し借りの手続きとか、あと1人横浜から移住してきて個人でリンゴ農家にという22歳の若者がいるのですけれども、彼ともちょっといろいろ最近話をする中で、いろんな新規就農者向けの補助金ですとか、就農に対するいろんな手続きとかあるのですけれども、物すごく大変なのです。これちょっと多分個人でリンゴやりますと入ってきてやると、多分一人じゃなかなか出来るものではないなと感じています。彼は本当にすごく頑張っているなと思って、なのでやっぱりそういうところのハードルを下げて、入ってきやすくするということも我々の仕事ではあるのかなということも思っていて、実際僕なんかも前職は東京で、ちょっと音楽関係のピアニストとかやっていて、農業とは全く関係ないところから入っているので、一からというか、ゼロから全部諸先輩方に教わりながらやっているのですけれども、それをちゃんと受け継いでいくこと、そして間口を広く、ハードルを下げるということで、幸いにも行政とか農協、組合とか、農家の諸先輩方には非常に受け入れていただいていて、いろいろ教えていただく環境ではあるので、そういったところでもっと就農者が増えるといいかなと思っています。
 あともう一個だけ、今自立支援として無業の若者を受け入れているのですけれども、今年の5月に陸前高田市内全域にチラシを配布したのです。そうしたら、10件以上の問い合わせがあったのです。この小さな陸前高田市でこれだけの引きこもりというか若者、その若者がこんなにいい素材があるのに生かされていないというか、担い手として地元の若者をまずは地域の担い手として、本当にあわよくばリンゴ農家に全員なってほしいと思うぐらいなのですけれども。そうですね、そこからかなと思っております。

保室長
 ありがとうございます。
 では、知事お願いします。

達増知事
 岩手県の強み、岩手で稼いで働いて生活しようという強みとしては、職業選択の範囲が非常に広く、農林水産業でやっていくという可能性が非常に大きいというのがあると思うのです。ですから、活躍の場がない若者たちに働きかけて、米崎リンゴで働けるようにしてくれていることは非常にありがたいことでありまして、工場で働くとか、サービス業とか向いていない人でも農業については非常に上手にやれるというのはあるのだと思うので、非常にありがたいと思います。
 あとは横浜から移住してきた人の件で、手続きが物すごく大変というのは、これはもったいない話ですからね。基本的に行政側の事情でそうなっているのだと思うので、そういうのがハードルになって移住定住が少なくなってしまったりするのは非常にもったいないので、そこは県で解消できるところはすぐ解消し、また国の手続きだったら、国に要望するとかして……

保室長
 そうですね、後でまたこれはお話よく伺ってですね、少し地元の方で伺っていただいて、どういうふうな形ができるか考えていきたいということで。

達増知事
 そうしましょう。

保室長
 ありがとうございました。
 今まで一通り今日のテーマに沿ったお話をいただいたわけですけれども、ほかの方のお話あるいは知事のお話なんかを聞いているうちに、また何かひらめいたというようなこともあるかもしれません。ここからは、まだ時間もございますので、今日のこのお話の中から気がついたこととか、さらにまた何か先ほどお話しいただいた中から、もう少しというようなことがあったら少し自由にお話しいただきたいと思いますので、ここからは特にもう順番ということはございませんので、合図をいただければという感じですが、どうでしょうか。
 いつもそうなのですけれども、こういう場で自由時間をつくって、さあ、どうでしょうかというとなかなか発言がでないのですが、私の今日の受けとめとしては、皆さん共通してお話ししていたなと思ったのは、地元の人たちが地元の良さを自らちゃんとわかって、自分たちは実はとてもいいところにいて、毎日の暮らし楽しいじゃないかというようなことをつくっていくことが、そしてそれを上手に外に出していくことにつながれば、自然と知らないところからつながりができたり、やってくる人が増えたり、求めに応じて来たりということもあるかもしれませんが、そういうことが少し肝なのではないかということを感じたわけなのですけれども、ひとつ地元にもともといた金田さんとか松田さんがいわば掘り起こしみたいなことをやられていて、後から外からいらした方が、何だ、すごいじゃないかと言ってそれを何とか芸術祭に結びつけたりとか、いろんな形でやられているというようなこともございましたけれども、これからこれをよく地元の情報と自分たちが外に発信していくということとのうまい循環にしていくという観点で何か皆様からこういうことをやっていますが、体験的なこととか何かもしあったらお話しいただけるかなと思いますけれども、どうでしょう。

越戸 浩貴
 そうですね、僕は交流人口、定住人口とサイクルでと考えています。さっき玄太さんが、松本さんがおっしゃったとおりで、既存の移住者が生き生きと生きていることというのもすごく大事だなと思っていて、なかなかいないじゃないですか、ピアニストやっていてリンゴ農家をやっている。その人自体がこういう陸前高田みたいなちょっと特殊な経験をした地域でオリジナルな地域づくりの動きをしているという自体が僕の仕事の目線からいくと、それ自体が交流人口の呼び水になるなと思っているのです。陸前高田というのは、一般の観光が少ないかわりに、やっぱりいまだ学びであったりだとか、視察見学みたいなところも含めてなのですけれども、今そういうことがあった地域で何が起きているのかとか、どういう展望があるのかとか、そういうことへの興味を持つ方は多いというか、それは多く維持したいなと思って発信はしているのですけれども、実際に移住者がおもしろい動きをする、それが交流人口のそういった学びのための交流人口の呼び込みみたいなものにつながるみたいなサイクルは、ぜひやっていきたいなというのは一つ思っていますというか、小さいながらもやっているかなというところではあります。
 そこでいくと大事なのが協働という考え方が結構大事かなと思っていて、まさにここの協働もなのですけれども、発信していく主体とか、誰に発信するのというときに、例えば行政の方とか含めて、これって誰の役割なんだっけみたいなものって整理しないと、それぞれがそれぞれ移住定住っていいことだよねといってばらばらと取り組んでも余り成果が出るものではなくて、この役割分担、協働の考え方というのは行政含めちょっと整理していった方がいいのかなというのは最近思っているところです。

保室長
 ありがとうございます。
 地元のカルタというのは、やはりそれはみんなが参加できる地元の良さを発見できるための一つの手段ということでカルタを選んだということだと思いますけれども、何かそういう地元の人たちが、何だ、俺たちすばらしいなというふうに思ってもらうための仕掛けということに関して、何かこういうことを通じてやるといいんじゃないでしょうかというような話はございますか。

前川 十之朗
 今も随分やってきましたけれども、やはり市民が自分のもののように芸術祭という、国際芸術祭というだけで大体引くのです。なので、それをどういうふうに巻き込んでいくかというところで、美術というのを今年は非常に重んじて、12月から美術家を呼んで、井上信太という、この表紙になっていますけれども、ここに写っていますけれども、井上信太はちょっとまれな国際的な美術家なのですけれども、子どもたちとか親御さんも含めて、もうむちゃくちゃさせるのです。むちゃくちゃさせるのだけれども、それをうまいことコラージュしたときにアートになるという不思議な美術家でして、それで今年延べ2,400人の子どもたち、あるいはお父さん、お母さんが参加して、学校でも、学童でも、あとキャッセンで新しいまちができたあそこで延べ10日間ぐらいやったのですけれども、それでかなりあそこに巣箱があったり、レリーフがあったり、マグネットアートがあったり、まちに来ていただければわかるのですけれども。ただ、このアイデアも1年間通すのです。短期的なものではなくて、そのアーティストをどうやってこちらで、それこそ細部事情ですけれども、どうやって彼の謝金を出して、彼の探究心を持っていけるかというのが僕らの仕事だったり、あるいは30人ぐらいの東京とか仙台のスタッフが来て芸術祭やるのですけれども、やっぱり地域の人とやりたいのです。その人たちをどうインターンシップしたり、あるいはこれはちょっと松本さんとは違うパターンなのですけれども、一本釣りというのですかね、本当にできる人しかできない仕事なので、非常に特殊な仕事なのですけれども、地域でそういうリーダーシップを張れる人をつくるのが、僕は営利会社なのですよ、なので、行政がやれないことを逆に僕がやるということで、行政ができない、もう一本釣り的な、底辺を見るのではなくて、どんどんリードするような人を見出していくというのがうちの仕事で、それをいろんなワークショップを通じて目を光らせているわけですけれども。

保室長
 そういう人づくりということですね。

前川 十之朗
 そうですね、どっちもすごく大事だと思います。役割分担、それこそいろんなところで、いろんなものがちょん、ちょん、ちょんとやっていてもしようがないので、どうしたら力を集結できるのかなというところです。

保室長
 そういう話もありますね、確かにね。
 あと地元で育った子どもたちがどうしても仕事の関係、進学の関係で地元を離れて出ていってしまうのですけれども、出ていったきりになってしまうみたいな、そういうことに対して皆さん多分危機感をお持ちで、金田さんなんかもお戻りになってからそういういろんな活動しているということですけれども、その活動がもう少し実を結ぶためにはどうしたらいいかということについて、何かもしお話ありましたら、どうですか。

松田 千秋
 例えば私たち「ま~ぶる」で、これをつくったときに住田の都会に出ていった方たちの集まりというのが2年に1度かな、あるのです。そういうところにこういうのを出品させてもらって、幾らかでもこういうことを住田でやっているんだよとか話したり、あとネットとかでも、今ネットの方が結構反応が多いのです。流したりしているのです。そうやって地道な活動ではあるのですけれども、行った人たちに小まめに今私たちがこの場でやっていることを教えてあげるというのも必要なのではないかと思います。それが少ないのかなと思います。大きく全国に発信することはできるのかもしれないのですけれども、実際に住田から、久慈から、高田から向こうに行った人に直接発信できたらいいのかなと思います。

保室長
 ありがとうございます。
 まだ少し時間もありますから、いろいろあれこれ申し上げて恐縮ですけれども、最後に松本さんからお話があったせっかく携わろうとしてやってきてくれる人、やっていきたいと思っている人たちが食べていけるということに関しての課題も大きいと思うのですけれども、それに関してこういうふうに今後やった方がいいとか、こういう形ができたらいいというようなお話がいただけたら少しお話しいただきたいと思いますけれども、今必ずしもそうではなくても、これからこういうふうにしていった方がいいのではないかみたいなお話があったら、どうでしょう。どなたでも。
 
越戸 浩貴
 さっきの話の中ではしなかったのですけれども、空き家を使った事業とか民泊の事業というのは、いわゆるスモールビジネスと思っているのです。新しい仕事を増やすとか、そういう新しいビジネス、大きなビジネスをつくるというのもすごく大事、そこで雇用を増やすというのも大事なのですが、それが爆発的に一気に増えるということはないなと思っていて、そのうち毎年いろいろな高校生が卒業していって、地域に戻るようなチャンネルをなくしてしまうわけじゃないですか。というときに一つの経済的な意味とか、あとは地域に関わるおもしろさみたいなのを提供するのがスモールビジネスみたいなところかなと思っていて、民泊の活動なんかもちろん民泊の受け入れで謝礼金みたいなものが発生します。3人中高生を泊めれば1泊で1万5,500円ですかね、陸前高田の場合は。それを4回、例えば三、四回、月に泊めるというだけで陸前高田の賃金の水準から考えたら結構ですね。そして、さらにふだん別の仕事をしていると関わるはずのない地域づくりみたいな動きに関わったりだとか、そういうこともできる。これは高齢者の人にももちろん意味があるなと思っているのですけれども、リタイヤした世代の人が民泊、泊めるということで生産世代に帰ってくるというか、生産人口に立ち返るみたいな。移住の方もそうで、空き家というのは震災で流されたとはいえ、結構あるなというのが今調べていてわかってきていて。

達増知事
 ありますか。

越戸 浩貴
 そうなんですよね。使っていいよ、使っちゃだめだよという意思はとりあえずは置いておいてではありますけれどもね。そういうところもインバウンドのゲストハウスみたいな需要が僕らみたいな仕事をしているとあるなというのはすごく感じていて、まだ手をつけられてはいないのですけれども。そういった利活用みたいなものは、こう使いたいんだよみたいな声は結構市内から聞こえていて、それも一つ大きいビジネスにもなり得るし、所有している家族からしたらスモールビジネスにつながる可能性もあるなということで、そういういろんな食べ方というか、いろんな楽しみの見つけ方みたいなのは地域に人を定着させるための一つの大事なポイントなのかなというのは思っています。

達増知事
 Iターン、Uターンする若者の住むところがないという問題は市町村長さんたちからは聞かされていて、岩手にいて住むところを失ったわけではないので、そういう方向けのいろんな災害公営住宅とか、そういうところには入れずに、市町村によっては仮設住宅の空いたところに住んでもらったりというケースもあるのですけれども、いつまでも、特にプレハブのところに住んでもらうというのもなんなんで、そういう空き家をうまく活用できればいいですよね。

越戸 浩貴
 はい、そうですね、さっき玄太さんからもあったとおりで、やっぱりそうだなと思っていて、同じ世代で移住してきた人たちが結構厳しいと感じているのだなというのは最近ひしひしと感じているので。

達増知事
 民間アパートが少なく、かつあっても復興工事の関係の人たちがもう入ってしまっていて空いていないとか。

前川 十之朗
 そのかわり高価なのですよ、コストが高いのですよね。

達増知事
 ええ、また高くなってしまっていると。

前川 十之朗
 そこら辺で上がっていて、それが当たり前になっていて、どんどんアパートはつくっているのですけれども、普通に移住希望する人の収入ではなかなか借りれる金額ではないですね。

越戸 浩貴
 しかも、松本さんもそうですけれども、こっちで結婚してもらって、さらに子どもが生まれてという人も結構増えて、そうですよね、こっちに来てからですよね。

松本 玄太
 でも、こっちの人ではない、結婚相手もこっちの人じゃないし。

越戸 浩貴
 でも、こっちに来て暮らしているんですよね。

松本 玄太
 そうそう、連れてはきて。

越戸 浩貴
 というときに住居の問題とかというのは出てくるなというのは最近感じています。

松本 玄太
 僕は幸いにも夫婦2人で5LDKの一軒家を貸していただくことができて、その方は、今管理されている大家さんは、逆に珍しく貸したいということだったのです。僕が住んでいる集落に坂道が一本あったら、その上から下の間にあと4軒空き家があるのですよ。そこは何でしょう、荷物が片づいていないからとか、姪っ子が年に2回帰ってくるからとか。

前川 十之朗
 仏壇置いてあるとかね。

越戸 浩貴
 そうそう。

松本 玄太
 仏壇が置いてあるからとか、やっぱり家もそのままだと朽ちていってしまうし、その貸したことでまた収入がとか、地元の人たちにそういう視点というか、そういう価値観みたいなのを持っていただけると結構そういう問題も解消していくのかなというのは思います。

達増知事
 大家といえば親も同然ということわざがあり、そういうところに入ったら姪御さんが帰ってくるならそのときはちゃんと姪御さんが泊まれるようにしますとかやりようだし、かえって楽しくなるかもしれないのですよね。あるいは仏壇にちゃんと毎日御飯を上げる、水を上げるみたいな、それも含めて借りるというのもありかと思うし。

松本 玄太
 うちは仏壇を、そんなに大きくなかったのですけれども、運び出してくれました。

越戸 浩貴
 家財の撤去みたいな問題等はやっぱりありますね。あと仏、先祖がいるという問題とか、あとは最近あるのは、僕らは今空き家を探していて、そういう約束をとりつけるという仕事をしているのですけれども、家主までなかなかたどり着けないという、神奈川にいるらしいぞ、娘がみたいな。というところもちょっとまさにさっきの行政と役割分担みたいなところで、多分僕らだけでそれというのはすごくコストばかりかかって効果が薄そうなのでというところで。

達増知事
 行政のどこかには情報があって、税務部局とかにはちゃんと誰が税金払っているのかでぴしっとわかったりするのでしょうが。

保室長
 今日は奇しくも最後は住まいの話になりましたけれども、ひとつ住まい以外にも様々ほかにも皆様お感じのこととかたくさんあると思いますので、ぜひ地元でも県の広域振興局というところが様々いろいろな活動をして、皆様のお手伝いすると思いますので、その辺はひとつ今後よろしくお願いしたいと思います。

知事所感

保室長
 ちょうど時間もまいったようでございますから、最後は知事からまとめていただきたいと思います。

達増知事
 非常に心強いお話を聞くことができて、良かったですし、また改めていろいろ新しく知ったことも多いので、私にとっても意義のある今日の意見交換会でした。ぜひこの地域資源豊かで、またいい人もたくさんいる地域ですので、盛り上げていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

閉会

 保室長
 皆様、本当に大変長い時間ありがとうございました。
 本日はこれをもちまして、この懇談会終了ということにさせていただきたいと思います。

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