「がんばろう!岩手」意見交換会(平成30年1月19日 盛岡地区)

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ページ番号1000823  更新日 平成31年2月20日

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日時
平成30年1月19日(金曜日)10時30分から12時00分まで

場所
コワーキングプレイスArukoko

出席者(敬称略)

  • 参加者(敬称略)
    淺野 聡子(株式会社モリノバ 代表取締役/株式会社ソーファデザインデスク 代表取締役)
    青谷 耕成(株式会社小松製菓 執行役員 営業統括部長)
    茂庭 裕之(スターブリッジいわて株式会社 代表取締役)
    千葉 真弓(一般財団法人北上市文化創造(北上市文化交流センター さくらホール スタッフ))
    遠藤 眞世(釜石リージョナルコーディネーター協議会(釜援隊))
    神尾 真大郎(岩手大学農学部 3年生)
  • 県側
    知事、盛岡広域振興局長、政策地域部長、秘書広報室長

開会

保室長
 皆様、おはようございます。それでは、ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催いたします。
 本日は、お寒い中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 今日のテーマは、「未来を切り拓き、県民の幸福を守り育てるために」ということでございます。県内各地で様々な活動をされている皆様にお集まりいただきました。
 私は、本日の司会進行を務めさせていただきます県の秘書広報室長の保でございます。どうぞよろしくお願いします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


保室長
 それでは、開会に当たりまして知事から一言御挨拶をお願いします。

達増知事
 皆さん、おはようございます。
 県政懇談会「がんばろう!岩手」という名前でやり始めたのは、東日本大震災以降なのですけれども、様々な地域、分野で、復興の最前線で活動する皆さんの意見を伺って、県政に反映させるということで、この復興も後半に入ってきて、いわゆる地方創生でありますとか、また基本的な地域振興でありますとか、そしてそれぞれを成功させるための若者活躍支援、いろんな政策的な方向も取り入れながら発展してきたところであります。
 今日は、様々な地域、また分野からの代表の皆さん、特に先端的な事業を展開している皆さんのお話を伺って、岩手の未来ですね、次の総合計画、10年計画を平成30年度中に策定しなければならないというところにあるのですけれども、その次の総合計画、10年計画の策定にも生かしていきたいと思っております。
 コワーキングプレイス、Arukokoに今日はお邪魔しておりますけれども、私は肴町で生まれ育って、小さいころは肴町に住んでいましたので、この中ノ橋通とか、葺手町というのは活動範囲だったのですけれども、このビルも大分昔からあるビルで、昔はたつみビルと言って、私の祖父が生け花の先生をしていて、このビルの会議室で定期的に生け花を教えていたりとかもして、そういう知的生産の場としては昔から定評のあるビルでもありますので、「がんばろう!岩手」意見交換会にふさわしい場所だと思いますので、よろしくお願いします。

保室長
 それでは、本日の進め方でございますけれども、この後、私から一通り今日の出席者を御紹介したいと思います。その後、名簿に従いまして順次お一方ずつ自己紹介をお願いいたしたいと思います。一巡いたしました後は、本日のテーマに沿ったお話をいただきますが、お二方ずつ区切って、その間に知事からのコメントを挟みながら進めていきたいと思います。最後に、自由懇談の時間もございますので、是非御活用いただきたいと思います。
 それでは、名簿に従いまして御紹介したいと思います。
 それでは、こちらのほうから株式会社モリノバ、株式会社ソーファデザインデスクの代表取締役の淺野聡子さんでございます。

淺野 聡子
 よろしくお願いします。

保室長
 株式会社小松製菓の執行役員で営業統括部長をお務めの青谷耕成さんでございます。

青谷 耕成
 青谷と申します。よろしくお願いします。

保室長
 スターブリッジいわて株式会社の代表取締役の茂庭裕之さんでございます。

茂庭 裕之
 茂庭です。よろしくお願いします。

保室長
 それから、一般財団法人北上市文化創造、いわゆるさくらホールですね、千葉真弓さんでございます。

千葉 真弓
 千葉でございます。よろしくお願いいたします。

保室長
 釜石市からお越しいただきました釜石市リージョナルコーディネーター協議会、釜援隊でございます。遠藤眞世さんでございます。

遠藤 眞世
 遠藤です。よろしくお願いします。

保室長
 そして、岩手大学農学部の3年生、神尾真大郎さんでございます。

神尾 真大郎
 神尾です。よろしくお願いします。

保室長
 県側の出席者でございますけれども、達増知事のほか、私のこちらの隣から、地元盛岡の広域振興局の宮野局長でございます。

宮野局長
 よろしくお願いいたします。

保室長
 それから、今日のテーマに関連、深く関わるということで政策地域部長の藤田部長でございます。

藤田部長
 藤田と申します。よろしくお願いします。

保室長
 それでは、よろしくお願いします。
 それから、前置きが長くて恐縮ですが、お手元には様々おいしそうな食べ物がございます。まず、県のほうから用意した分につきまして、宮野局長から御紹介をお願いします。

宮野局長
 それでは、御用意させていただいたお菓子について御紹介をさせていただきます。
 本日は、盛岡市の中野で高次脳機能障がい等をお持ちの方々の就労の場、あるいは復学、復職を目指す方々の訓練の場となっております就労継続支援事業所、生生学舎アダージョさんで製造販売されているピッツェルを用意させていただきましたので、早速お召し上がりになりながらで結構ですので、お聞きください。
 ピッツェルというのは、御案内のとおりイタリア生まれのサクサクとした和風クッキーのことでございますが、アダージョさんでは地元の食材にこだわった商品開発をされているということでございまして、クッキーの原料の小麦粉には岩手県産の「ゆきはるか」を使用して、岩手大学との共同研究で商品開発されたと伺っております。クッキーの生地の中に岩手県産のアワ、ヒエ、キビを練り込んだ雑穀ピッツェルや、陸前高田市の八木澤商店さんの醤油を使用した醤油味のものとか、バレンタイン用に開発したチョコレート味のものなど、現在8種類の味が楽しめるということでございます。本日、皆さんのお手元には8種類の中から、いずれか2種類をお配りしておりますので、パッケージの裏に商品名とか原材料が記載されておりますので、御覧いただければと思います。ちなみに知事にはセサミとチョコレートが行っていますか。

達増知事
 はい。

宮野局長
 これは、アダージョさんで「全国障害者スポーツ大会」の岩手大会、と愛媛大会にフライングディスクの選手として参加されている根澤 奨磨さんという方がつくられたということで、今一生懸命こういったクッキーづくり、商品づくりに励んでいるということですので、後で若干知事のコメントもいただければと言われておりますので、よろしくお願いします。

達増知事
 そうですね、僕はごく最近たまたま食べたことがあって、ピッツェルというのは初めて見て、調べたらイタリアせんべいということで、イタリアでは普通に昔からあるもののようですが、日本では余り食べる機会はないのではないかと思い、なかなか珍しいけれども、おいしいものですよね。地元の材料を使ってくれているのですよ、ありがたいと思います。おいしいですよ。

宮野局長
 ありがとうございます。今、知事からお話がありましたけれども、施設の愛称の「アダージョ」というのはイタリア語で、遅いテープのことを指す音楽用語でもあるということで、「ゆとり」とか、「くつろぎ」、「余裕」、あるいは「心地よさ」、「優しさ」、「ゆったりとした開放感」など、利用者自身が心地よさを感じるテンポを大切にしようと、そういうことでアダージョと命名して、頑張っていらっしゃる施設でございます。
 アダージョさんのほうでは、このピッツェルを作業所のほうで販売もされておりますし、デリバリーもしていらっしゃるということでございますので、何かの機会に御利用いただければと思います。
 
保室長
 ありがとうございます。
 それから、これは青谷さんがわざわざお持ちいただいて、ありがとうございました。
 では、簡単に御紹介いただければと思います。

青谷 耕成
 余り商品アピールにならないように手短に。南部せんべいといえば丸い胡麻せんべいイメージと思いますが、今は大分進化しておりまして、1つはいずれ割って食べるということに着目しまして、中に、断面にも味がしみ込んだ岩手県産の素材を使った割りせんべいでございます。もう一つが、今南部せんべいはチョコレートになっていまして、約3ミリに刻まれた胡麻せんべいが中に入っております。岩手県の素材としては、野田塩が入っており、南部せんべいの形をした板チョコでございまして、中にメッセージが、隠れメッセージが書いておりまして、もし解読できる方がいれば、後でお知らせください。
 
保室長
 何か怪しい謎があるみたいな話です。楽しいですね。ありがとうございました。
 この懇談の時間中、適宜飲んだり、食べたりしながら進めておりますので、そのように進めていただければと思います。どうぞお召し上がりながらお願いいたします。

懇談

写真:懇談会の様子2


保室長
 懇談のほうは進めさせていただきます。
 最初に、お一人2分ぐらいで自己紹介をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。恐縮ですが、淺野さんからお願いします。

淺野 聡子
 皆さん、こんにちは。淺野です。手元にこんな紙を配らせていただいていると思うのですけれども、私がやっていることをちょっと説明しにくいので、何となく紙にしてきました。今日はこのような機会をいただいて大変うれしいのですけれども、私は正確に言うと岩手県に住んでいるわけではないので、よそ者ということになると思います。なので、よそ者としてのお話ができればいいなと思っています。
 2つの会社の名前で御紹介いただきましたが、1つがウエブの制作会社、ホームページをつくっています。お客さんは東京と岩手と半分、半分ぐらいで始めたのですけれども、去年からは岩手のお客さんのほうが多くなってきました。
 事例を3つぐらい載せています。業種は本当に様々で、ちっちゃいお一人でやっている、マスターが一人でやっていらっしゃるような喫茶店もありますし、大手の銀行さんが運営しているミュージアムのwebサイトをつくらせていただいたりとか、本当にいろいろなものをさせていただいております。
 もう一つ、左下の部分にあるのが「盛岡さんぽ」というものなのですけれども、これは趣味でつくっているもので……

達増知事
 いいものをつくっていただきました。

淺野 聡子
 御存じですか。

達増知事
 ええ、持っていますよ。

淺野 聡子
 えっ、ありがとうございます。すごくうれしいです。ありがとうございます。本当にこれは自分の好きなものだけを集めてつくった本で、私は神戸出身なのですけれども、盛岡に初めて来たときに余りのまちのすばらしさにすごく惚れてしまって、自分が独断と偏見でいいと思うものをひたすら紹介しているというウエブサイトと、あとは自費出版というと聞こえはいいほうで、同人誌みたいな、全部自分で手づくりした本というのをつくっています。
 そこからの流れで、盛岡のいいところを一生懸命発信してきたけれども、よそからの目線で足りない部分とかも見つかる、ちょっと気がついたりするような場面があったので、まちについて話す会というのを開催するようになりまして、「盛岡さんぽ会議」というのを今年から去年にかけて1年間で5回開催しています。毎回100人ぐらいの方に来ていただいたので、この盛岡というまちの方々のまちに対する意識がすごく高いのだなということがよくわかりました。
 その流れで、もう少しまちが楽しくなるきっかけをつくりたいという思いから、築100年ぐらいの建物をリノベーションして、小型の商業施設を運営しています。ここから歩いて500メートルぐらいの商店街の逆側、抜けたところなのですけれども、十三日町というのが旧町名なのだそうなので、その十三日を「とみか」と呼んで、実際「とみか」と呼んでいたらしいのです、近所のおじいちゃん、おばあちゃんに教えていただいたのですけれども。その「とみか」という名前をつけて、カフェと肉バルとギャラリーとシェアオフィスが入った小型の商業施設というのを運営しています。ざっとこんな感じです。今日はよろしくお願いします。

保室長
 よろしくお願いします。ありがとうございました。
 では、青谷さん。

青谷 耕成
 二戸市にあります株式会社小松製菓、青谷と申します。南部せんべいの巖手屋あるいはチョコ南部と申し上げたほうがおなじみかもしれません。
 私は秋田出身でして、Jターンのような形で岩手県に住み、15年になります。岩手のソウルフード南部せんべいの伝統を守りながらも、若い方あるいは女性の方にも食べていただくためにチョコ南部を開発しました。一昨年には、チョコレート工場のオープンをきっかけに南部せんべいの里と名づけた観光地を目指した取組を行っております。今日は、そちらの話を絡めてお話しさせていただければと思います。
 
保室長
 どうもありがとうございました。
 では、茂庭さんお願いします。

茂庭 裕之
 茂庭と申します。よろしくお願いします。手元にちょっとかた苦しい資料をつくらせていただいていますので、そちらを御参照いただきながらお話しできればと思っております。
 まず、1ページ目ですが、スターブリッジいわてと申しまして、花巻で主に3つの事業を行っております。私自身は、花巻出身で、その後東京で5年間ぐらいITコンサルティング、ITを用いた業務コンサルティングを行う会社に勤めておりまして、Uターンして起業しました。
 事業内容は3つございまして、一つは地元企業様のITの顧問ですとか、コンサルティングを行っており、最近は人手不足や働き方改革のような機運がありますが、そちらITを用いていかに効率化するか、自動化するかというようなことを行っております。
 もう一つは、岩手県産品の販売、ネットショップや実店舗もやっておりまして、もう一つは自社サービス運営を行っています。
 会社のミッションを一番下に記載させていただいておりますが、岩手の産業の課題というのをITのバーチャルと現場に即したリアルな力で、かつ補助金等に頼らないビジネスで解決して、それで面白い仕事で雇用を生んでいくことを目指している会社です。
 次のページですが、岩手県産品の販売の事業でして、花巻に実店舗「いわてのギフト」という実店舗を運営しております。また、資料の右側はネットショップで、岩手の県産品、岩手という縛りであれば工芸品から食品から何でも扱っています。
 実は、「銀河のしずく」の記者会見で達増知事がお持ちになっていた小久慈焼の茶碗は、うちのお店から県に御購入いただいて、お届けさせていただいたものでした。
 3ページ目が、これが今立ち上げ中の「いわてのあそび」という自社サービスです。最近注目されている体験・アクティビティや観光の予約管理サービスを立ち上げておりまして、3月上旬にリリースする予定で進めております。
 4ページ目が地元企業様にITの顧問や、コンサルティングの事業についてで、いかにITを使って効率化や標準化を行っていくかということを行っています。資料は細かい内容になっているので割愛させていただきますが、もし御興味あれば御覧いただければと思っております。
 
保室長
 ありがとうございました。
 では、千葉さんお願いします。

千葉 真弓
 北上市にあります北上市文化交流センター、さくらホールの指定管理をしております一般財団法人北上市文化創造で企画事業課に所属しております千葉でございますが、ついここ最近2つ大きなニュースがございまして、おとといですけれども、全国公立文化施設の皆さんが集まる大きなアートマネジメント研修会のほうで開かれた劇場ということでプレゼンをさせていただきました。それから、今日なのですけれども、一般財団法人地域創造さんの総務大臣賞を29年度で受賞いたしまして、その授賞式で北上市長と、それから理事長が伺っておりまして……

達増知事
 おめでとうございます。

千葉 真弓
 はい、2つ大きなニュースがあったので、自分のことよりも先にさせていただきます。
 私自身は、アートマネジメントを大学で専攻しまして、東京都八王子市出身なのですけれども、さくらホールで働きたくて、1人で移住をしてきて、そのまま鬼剣舞の御縁でそのままこの後もずっと北上市にお世話になると思います。ということで、日常的に文化芸術が市民や住民の皆さんの生活をどう潤していくかというところをテーマに活動しています。
 
保室長
 どうもありがとうございました。
 それでは、遠藤さんお願いいたします。

遠藤 眞世
 釜石リージョナルコーディネーター、通称釜援隊というのですけれども、釜石市の復興支援団体で活動しております遠藤眞世と申します。
 私自身は、東京都の三鷹市というところの出身なのですけれども、父が奥州市で、母は釜石の出身なので、祖父母や親戚のいる岩手には毎年遊びに来ていまして、第二の故郷と思っておりました。
 前職では2年間ブラジルで日本語教師として日系のブラジル人をはじめ、現地の方に日本語を教えたりですとか、あとは衰退していく日系のコミュニティーの活性化を目指して、そういった日本文化を継承したり、または発信していったりというようなイベントの企画等をして活動しておりました。
 2014年に帰国して、祖父母に会いに2年ぶりに釜石を訪れたのですけれども、そのときに復興半ばの様子を見て、改めてこれから先のまちづくりについて考えさせられる機会になりまして、小さいときから大好きだったこのまちのために何かできることがないかなという漠然とした思いで移住を決めてこちらに来ました。
 2015年から釜石に移り住みまして、この釜援隊として、釜石市の平田という地区があるのですけれども、そこの担当として地域コミュニティーづくりの活動をしております。
 主な業務としては、コミュニティーづくりの一環として放課後子ども教室を立ち上げて、そちらの運営をしていたりですとか、あと平田には県営の大きな災害公営住宅があるので、その中の自治会を伴走支援するような形でコミュニティーの中で人と人がつながるような取組をできればということでやっております。
 今日は、被災者の皆さんを身近なところで支援する中で感じたことなんかも含めてお話しできたらと思っております。よろしくお願いいたします。

保室長
 ありがとうございました。
 では、神尾さんお願いします。

神尾 真大郎
 私は、岩手大学農学部共生環境課程というところに所属しています、大学3年生の神尾真大郎と申します。出身は、何人かいらっしゃいましたけれども、県外で茨城県のつくば市というところの出身で、中学校3年生までいて、高校の3年間は長野県の佐久市というところで3年間いて、今は岩手県に移ってきて3年間という感じで転々としていました。
 大学での研究は、住民参加型のまちづくりということを研究テーマとしてやっていまして、今大学3年生なのですけれども、卒業研究は住民参加型まちづくりにどうやって若者というか、子供たちを参加させていけるかなというところを研究テーマにして研究活動をやっていこうかなというふうに考えています。
 あと大学外の活動としては、サークルで、紹介文のところにも記載していただいていたまちづくり研究会という活動を、サークルの活動をやっていて、それでは雫石と、あと被災地の陸前高田というところでイベントの開催だったりというところをやっています。
 そんなところで、今日は学生としての目線から幸福について話していければいいなというふうに思っていますので、よろしくお願いします。

保室長
 皆さん、どうもありがとうございました。それでは、ここからは本日のテーマに沿って進めていきたいと思います。「未来を切り拓き、県民の幸福を守り育てるために」というテーマではございますけれども、皆様それぞれお感じになっている岩手の未来について、こうしたらいいのではないか、ああしたらいいのではないか、こうなったらうれしいなと、いろいろあるかと思います。たくさんあるかと思いますけれども、恐縮ですが、まず4分程度でおまとめいただければというふうに思います。
 では、また最初に戻って淺野さんからお願いいたします。

淺野 聡子
 幸福というのはなかなか難しいテーマだというふうに思ったのですけれども、人それぞれ感じるものが違うので、定義しにくい部分もあると思います。ということで、今からお話しすることは私が思う幸福というのでお話しさせていただければと思います。
 幸福は何かな、どんなものかなと考えると、逆に幸福ではない、幸せではないなとか、不幸だなと思うのはどういうところがあるのかなと考えたのですけれども、いろんな要因があると思うのですが、健康だったり、住んでいる環境だったり、それってほぼ変えられないものばかりです。その中で、人は幸せだと感じたり、そうではないと感じたりするというのは、常に比較でしかないと思うのです。あの人は私より持っているとか、あの人がやっていることは、私はできないとか、比較でしか、実は比較することで幸せと感じていたり、そうではないと感じていたりすることがあるのであれば、残念ながら人は比較せずには生きていけないと思うので、もし比較でしか感じられないのだとすれば、いい部分も見つけられるはずなのです。そのいい部分を見つけて、幸せを感じることができるというふうに定義すると、幸福というのは見つけるものなのではないかなと私は思っています。
 いろんな幸せの形があると思いますけれども、環境に左右されるもの、住むという土地という環境に左右されるものとそうでないものが2つ大体分けられるような気がするのですけれども、今回私が東京と盛岡は月に1回来ていて、下手すると半分ぐらいいることがあるのですけれども、その2つの場所で生活しながら、東京とあえて比較することで、こっちで見つけた自分が思うここで暮らすこと、ここにいることの幸福が何かというものをお話しできればと思います。
 この話をすると本当は2時間ぐらい話せるぐらい盛岡大好きっ子なのですけれども、ちょっとここはひとつ一番代表的だと思うものから。1つは食文化ですね。これは、健康であるとかのもとになるものなので、とても大きい理由になると思うのですけれども、自然が本当にすぐ横にあるような環境の中にまちがあって、岩手山があって、白鳥が飛んでいて、夕日が見れるというのも東京ではなかなかできないことで、それもすばらしいことだし、もちろん空気はきれいだし、そういうすばらしい環境の中で過ごすことができて、そこでとれた野菜をすぐ食べられるとか、お米も物すごくおいしくて、地元の方にお聞きすると、「えっ、野菜普通じゃないの」と言われるのですけれども、東京から来た人たちとか都会の方なら分かっていただけると思うのですけれども、野菜の味が全然違うのです。産直とかに80円ぐらいで売っているシイタケとかがものすごく感動的においしい。多分東京とかで買ったら、1,000円ぐらいで売れそうなぐらい本当においしいです。あっ、シイタケってこんな味がしたんだって、初めて知るような感動がありました。そういうおいしいものが食べられる。
 ホームズ総研さんが2年ぐらい前に出した、まちの本当の魅力みたいなものを新しく見つけ直す指針を発見するような取り組みで、センシュアス・シティというのをご存じだと思うのですけれども……

達増知事
 色っぽいという感じの言葉ですよね、センシュアス。

淺野 聡子
 そうです、官能都市です。その項目がいろいろあって、その中の食文化で盛岡は4位なのです。それぐらい標準が高くて、でもそれ本当にそのとおりだと思います。野菜とかもおいしいですし、あと飲食店とかでも丁寧につくられているものが出されていたり、お料理とかもまじめできちんとつくられているもので、一つ一つ豊かさを感じられるようなものがあるので、「盛岡さんぽ」にもいっぱい書いてしまっているのですけれども、いいお店とかも多くて、それはすばらしいところだというふうに思っています。
 自分でいいところを見つけていくのが私の幸福だと思いますので、例えば盛岡の足りないところがあるとするならば、それをいいふうに変えていける努力みたいなのを一人一人の個人の単位でいいので、何かできるものがあって、それを一つ一つできることはちっちゃいかもしれないですけれども、それが大きい流れみたいなのになって、少しずつまちが良くなっていくような流れができればもっと盛岡は楽しくなったり、岩手がいい県になっていったりするちっちゃいきっかけになっていくのではないかなというふうに思っています。
 
保室長

 ありがとうございました。
 では、青谷さんお願いします。

青谷 耕成
 私は、ふだん仕事を通して、また南部せんべいを通して、どうお客様に、また地域にお役立ちできるかを考えておりまして、そんな中で平成26年に二戸市と民間企業がタイアップして、世界の中心でありますニューヨークのほうで二戸ブランドを海外に発信して、それを国内外にフィードバックしまして、二戸市の魅力を国内外にアピールするというプロジェクトに参加させていただきました。
 実は、このことがきっかけになりまして、伝統を守りながらも進化させなければならないという部分だったり、また更なるチョコレートの融合で新しいものを見つけるということを次の南部せんべいに次ぐ第二の柱であるチョコレート工場を立ち上げたということになりまして、本日着ているものはその工場とお店の衣装、名前なのですけれども、ツードアとしておりまして、これ2つの扉で「にのへ」、おわかりでしょうか。もちろん……

達増知事
 直訳。

青谷 耕成
 直訳でございます。二戸を田舎ではなくておしゃれにしたいという思いもあって、ツードアという命名をしまして、もちろんチョコレートと南部せんべいとか、次の扉とか、そういう意味もこもっています。
 おかげさまで1年が過ぎましたけれども、観光の団体のお客様がバスで御来店いただくようになりまして、想像もつかないことだったのですけれども、そういった効果があります。二戸市とのコラボによりまして、うるしまつりもうちの施設で開催しまして、コラボレーションできまして、お互いに新たなお客様との出会いだったり、喜び、発見が生まれたということを思っています。
 課題としましては、お客様の声を聞きますと宿泊先の絶対数がちょっと少ないという声をよく聞きます。もちろんすぐには難しくとも、旧施設あるいは古民家、この会場もそうですが、そういったところを活用したリノベーションや民泊を少しずつ取り組んでいければいいのではないかなと思っています。
 続いて、県民の幸福度を守り育てるというテーマに関しましては、私は2つのことを考えておりまして、1つは地元行政との共生だと思っておりまして、国よりもずっと近い、人々に近いからこそ地域社会のニーズを酌んで地域の特色を生かした政策に取り組むべきと考えておりまして、今回の我が社の例ですが、漆とのコラボだったり、ライブだったり、自社の利益に関わらないことも一緒になって取り組むことを今やっております。
 2つ目は、質素、シンプルに生きるということだと思っていまして、ブータンのGNHの考え方から見ますと、今の時代は客観的な幸せから主観的な幸せに変わっておりまして、日本は物があふれておりますけれども、幸福度指数では上位ではないものですから、物質至上主義といいますか、そういったところがちょっとあるかなと思っていまして、他国を見ましてもシンプルな暮らしをしておりますが、すごく幸福度が高い、中身が豊かであるとか、そういったことなのだなと思っています。なので、シンプルに暮らすということは自分の生活、暮らしを見つめ直すことであって、お金に頼らず、自分の生活と向き合って自ら選択できるようなことだと思っております。そうするとすべきことが、本来人間に必要な行動になりますし、それに関わる地域コミュニティーが生まれるというふうに考えております。
 具体的です、月並みですが、挨拶から始まって、日本人が本来持つ思いやりですとか、そういった無料でできることがいつも周りに存在しておりますので、資料とか、定義にないことが誰でもできる幸せの入り口なのではないかなというふうに考えております。正に希望郷いわての基本目標なのではないかなと、そういうことを仕事を通して実感しております。

保室長
 ありがとうございました。
 では、ここで知事から。

達増知事
 淺野さんから、盛岡は自然がすぐ横と、食べ物がおいしいと、岩手全体そうだと思うので、このことは県民でその良さを確認し、対外的に発信していかなければならないと改めて思いました。
 幸福について、変えられないというか、自分あるいは自分たちで動かせないところにこだわっているとなかなか大変で、自分たちで見つけられるとか、増やせるとか、変えられるところに集中することで幸福になったり、幸福度を高めたりとかできるのだなと改めて思いました。
 そして、青谷さんからはニューヨーク体験がこのツードアにつながっているということで、良かったですよね。

青谷 耕成
 ありがとうございます。

達増知事
 宿泊先不足問題というのはあると思います。一方、ホテルを建てたりするのには、ものすごい資本がかかって、またリスクも高いから、やはりリノベというのがものを言うのだと思います。民泊もあるわけですけれども、民泊施設のためにもリノベの手法を使うというのがありなのでしょう。そうですね、地元行政との共生という話もありましたが、リノベは正に民間力と自治体のコラボみたいな感じでやれるところでもありますし、そういう宿泊先不足というところにもリノベの手法を使っていくというのはいいアイデアだなと思います。

保室長
 では、次に茂庭さんからお願いいたします。

茂庭 裕之
 お手元の資料の5ページから御覧いただきたいです。本日お話しする内容において幸福度という言葉を、どのように定義して話すかというところで、お話しさせていただければと思っております。
 1つは、幸福度の多くは仕事面に関連していると認識しております。といいますのも、事前に頂戴した資料の16ページの項目の一番左のところに赤枠つけたのですが、3位、7位、9位、10位が大体仕事に関係する項目ですよね。また、青枠を付けた友人関係という項目も、仕事を通した友人というのもでき得ると思っておりますので、このトップ10に入るうちの大半が仕事に関するものだと判断できるので、幸福度に一定の相関があるのではないかなという前提でお話しします。
 次の6ページを御覧いただきまして、頂戴した資料にもう一つソーシャル・キャピタルというお話があったのですけれども、それに対して、私達の世代であるミレニアル世代のソーシャル・キャピタルというのは、旧来のものとプラスしてクリエイティブ系とか趣味趣向系のコミュニティーが代替し得るのではないかなという、最近の私の肌感覚のもとでお話しさせていただきたいと思っています。
 理由としては、このいただいた資料では、ソーシャル・キャピタルは60歳、70歳以上が高いという評価になっていますが、青枠をつけさせていただいたところは、全国平均より低いのです。なので、若い世代はそこまで既存のソーシャル・キャピタルを感じてないのではないかということもありまして、では私たちがそういうつながり、それに代替するようなものとは何かと最近考えますと、SNSとかが発展して、趣味趣向でつながりやすくなった、発信しやすくなったということで、そういうものが新しいソーシャル・キャピタル的なものになっていくのではないかなという実感がありまして、この2つを前提に幸福度をお話しさせていただきたいと思っております。
 次の7ページにいかせていただきます。この仕事の面の幸福度を上げる、プラス私ども世代のソーシャル・キャピタルというのから、どのように幸福度を上げていくアプローチをとるかといったときに、私の見解としては岩手に魅力ある仕事を増やすということ、もう一つは魅力ある仕事を生み出せる人を集積するというこの2つが重要だと思っていまして、弊社のビジョンもそれに伴ってやっております。理由といたしましては、その下に記載していますが、仕事に関する幸福度というのは、仕事自体楽しければ幸福度は高まりますねという話と、先ほど申し上げた私ども世代のソーシャル・キャピタルに関しては、魅力ある仕事に携わる人ですとか、生み出す人が公私問わず活動して、そういったいい雰囲気、コミュニティーをつくるのではないかなと思っておりまして、それこそ淺野さんとかは公私問わずそういうコミュニティーをつくって、盛岡さんぽ会議をなさったりとか、そういうことが起き得るのではないかなと思っております。
 次の8ページに移らせていただきまして、魅力ある仕事とは何かということと、それに対する弊社の取組というのをお話しさせていただきたいと思いますが、私も前職はITだったということもあって、岩手でやるべき仕事って何かというのをずっと考えております。といいますのも、ITに関しますと岩手だとほとんど首都圏の二次請け、三次請けの仕事が多いのです。そういう中で、地方でITをやり続けることにどんな意義があるのかということをずっと考えておりました。
 その中で、弊社が取り組んでいることが青枠の中にありますが、まず岩手でやるべき事業、仕事、という表現は、魅力ある仕事という表現に置きかえられると思いますが、それは地場に根差したものやそこでしかできないもの、そこにビジネスの中心がある産業であることと、地元発であるということだと思っています。もう一つは、つくり出す側であること、メーカーであること。もう一つは、とはいえ受託ということは多くありますので、その場合はプライムという一次請けであること。二次請け、三次請けではなくて、ビジネスの課題の中心近くに入れるということ、直接的に課題を解決しているという実感を得られること。もう一つは稼げるというもの。これが魅力ある仕事ではないかなと思って、弊社としてはそういうものをつくれるように取り組んでいます。その実現のためにはどうするかというのも考えていますが、資料のその下の緑枠部分ですが、プレーヤーとしてチャレンジする人を歓迎したり、そういう人を育てる土壌、雰囲気というのをつくっていく必要があるのではないかなと思っております。最近はこういう機運もありますけれども、こういったものというのは民間と、あと行政も補助金出すとかということではなく、そういう雰囲気をつくる、おもしろそうだ、そういう人が多いという印象をつくる。それこそ保さんのイングレスではないですけれども、そういったおもしろいという雰囲気があることでも人は集まりますので、そういったものが必要なのかなと思います。とはいえ、ゼロイチで新しいものを生み出すのというのもなかなか成功確率が高いわけでもないので、やっぱりやる気のある地元の企業さんをもっともっと伸ばしていくというアプローチ、こういうことでおもしろい仕事が生まれる確率を高めていくことが必要なのかなと思っております。結局ビジネスとは一定確率論の世界であると思っているので、やっぱりチャレンジする人が多ければ、一定の失敗する人はいるとはいえ成功例も出てくるでしょうし、失敗したら失敗したでそれはまた体験談として後世につないでいけばいいのかなと思っております。
 こういったトライ&エラーの積み重ねで魅力ある仕事と魅力ある仕事を生み出せる人というのが集まると、仕事自体も魅力が集まり、そういう人が生み出すコミュニティーで新たなソーシャル・キャピタルができて、幸福度が上がるのではないかなというのが本日の私の見解でございます。
 
保室長
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして千葉さんもお願いいたします。

千葉 真弓
 幸福という考え方ですけれども、政策の理念として幸福の追求というのはすごく当然で、すごく価値のあることだと思いました。
 それで、私は文化畑の人間ですので、同じようなイメージとして、文化権というものを住民全員が持っているというふうに信じて……

達増知事
 なるほど、権利の「権」ですか、文化権。

千葉 真弓
 そうですね、権利の「権」ですね。誰もが持っていて、文化的な生活を送ることができるのがやはり幸福につながっていくということを信じていますし、宮沢賢治さんがおっしゃっているような芸術文化論みたいなのもすごく大好きで、宮沢賢治さんはもう住民一人一人が芸術家にならなくてはいけないというふうにおっしゃっていて、本当にそのとおりだと思いますし、今こうやって外から入ってきた人間としては、本当に民俗芸能が多彩に息づいている岩手というのは、宮沢賢治さんがおっしゃっていることに非常に近いのだなということを感じています。
 それで、文化を活用して文化的な生活を送っていくと一口に言いましても、文化というのは生活文化、歴史文化、それから文化芸術。本当にいろいろな、文化芸術でしたらデザインとか、娯楽もそうですけれども、音楽療法ですとか、あとはコミュニケーション能力の向上の教育ですとか、本当にいろんな可能性があるのです。この表を見て……、見てというのはあれですよ、済みません、これいただいて、事前に勉強してきたのですけれども、文化歴史16位で、北上のこういった調査も絶対低い。単体で考えると歴史文化を生活の中の幸福度に直結すると考える人は低いのですけれども、それはすごく納得はできるのですが、やはり先ほどお話ししたように横断的にまちづくりですとか、教育とか医療、福祉分野とか、連携して協働して、文化単体ではなくて、協働することでやはりこの幸福感を感じる部分の上位に上がっていくこともできますし、地域課題の改善にやはり役立つのではないかと。縦割りではなくて、横断的に文化の力を活用して、改善していくとか、幸福感を高めていくというのは取り組む価値が非常にあると思っています。
 それで、具体的にはやはりモデル事業みたいなものを企画して実施していきたい、すぐに何か施策としてやるのは非常に難しいと思うので、モデル事業として、例えば演劇のコミュニケーションを活用して小学校でコミュニケーション能力を向上していくような事業をやるとか、あとは支援学級の子どもたちにアーティストの本当にたぐいまれな表現力がありますから、そういった出会いを通してボーダーレスアートの部分で自分がこれでいいのだと思ってもらえるようなモデル事業をやるとか、そういったことで横断的な協働事業で幸福感を上げていくモデル事業をぜひ実施していただきたいというとすごく他人ごとのようになってしまうのですが、実施したいと思っていますし、そういったことに活用していければ幸福という理念に直結していくのかなと思いました。

保室長
 ありがとうございました。
 では、知事。

達増知事
 茂庭さんからは、論理立てて具体的な政策まで展開していただいてありがとうございます。やはり魅力ある仕事を増やすことと、それを生み出す人を集積するというのが鍵だと思います。仕事については、二次請け、三次請けではないような仕事にできるだけしていくということがやっぱり大事だと思います。
 そして、人ですね、クリエイティブ系とか、趣味趣向系とか、私が思い出すのは、私が中学生のころ、1970年代の半ばなのですけれども、日本にアニメブームというものが生まれ、定着した時期で、それまではテレビ漫画と言っていたものが宇宙戦艦ヤマトとかガンダムが出てきて、テレビ漫画というのではなくてアニメと呼ぶようになったころに中学時代だったのですけれども、IBC岩手放送で「たむたむたいむ」という番組があり、岩手大学の学生で狸小路秀麿という名前で岩手大学の学生がラジオでIBCに出てがんがん当時はやっているアニメの主題とか、あとアメリカドラマ、日本でまだ知られていないようなアメリカドラマを紹介したりといった、非常に先端的な番組をやっていたのです。岩手県には、そういうクリエイティブとか、趣味趣向でものすごく先端的なところを走る人が昔からいたし、今でもいるし、思えば江戸時代とか近代以前においても、やっぱり岩手ぐらいの広さや、それなりの歴史文化の集積があると、そういう人は出るので、そういう人を大事にし、また現代においては首都圏で活躍していたり、いろんなところで活躍している人たちとネットワーク的に行ったり来たりしていただくのもすごくいいですし、また年に何回でも、あるいは時々でも来てもらったりとか、そういうのが大事ですね。
 南部鉄器が南部鉄瓶、お茶の道具として岩手に定着するのも方長老だかという、日本の別なところから岩手に来た人がはやらせて、定着させたりしたというのもあるし、やっぱりそういう人のつながり、またそれがビジネスにつながったりしているところもあるので、そういうところを大事にしていきたいなと思います。
 千葉さんの文化権というのは、やっぱり大事だと思いますね。憲法改正するならそういうあたりを改正すればいいのではないかと思うし、変えなくてもちゃんと文化的生活という言葉は既に今の憲法にもあるから、それを今の時代にふさわしい解釈をし、文化、さらに芸術でかなり幸福度は高まったりもするものだと思うので。でも、アンケートとるとそれが下位に来るというのは、文化芸術というものが何か政策的に動かせるものだということを知らない人が多いのだと思うのです。変えられない所与のものだと思っているから、余りそこに関心が行かないのだけれども、実はそういうホールの運営ということだけでもかなり地域を変える力を持っていて、文化芸術についてはかなり政策的に動かせるもので、かつ個人としてもそこに参加することで自分の幸福度を高めるのにもいいツールというか、いい分野であるという理解を広めていくとそういうものがアンケートの中でも重要度を高めていくのではないかなと思うので、そういうふうにしていきたいと思います。

保室長
 ありがとうございます。
 それでは、遠藤さんお願いします。

遠藤 眞世
 今回幸福度というテーマがとても難しいなと頭を悩ませたのですけれども、私の活動を振り返って、地域住民さんと接する中で、この瞬間皆さんは幸福を感じてくれたのではないかと感じたことについてお話しできたらと思います。
 自己紹介で少し触れた県営の災害公営住宅なのですけれども、県営ということで、釜石市以外の市街地からもたくさん入居されている方がいまして、高齢者の単身世帯も少なくないようなところです。釜援隊として私が着任した2015年のあたりは、皆さんが入居されて1年ちょっとたったころだったのですけれども、そのころ住民の皆さんから、仮設にいたころの方が人のつながりがあって楽しかったというようなお話や、ドアを閉めたら全然外の音が聞こえなくてすごく寂しいというようなお話をされる方も多くいまして、ついのすみかとしてここを選んだ方もいるだろうという中で、すごく寂しい思いを感じたまま住まれているというのがすごく悲しいなと私自身、これはすごく大きな課題だなということを感じました。
 また、それと同時に感じていた地域の課題として、復興の途中段階なので、土地のかさ上げなんかもあるので、子どもの遊び場が不足しているというようなことだったり、あとは自治会だったり、その地域の活動に若い世代が余り参加していないというようなことが課題として感じていましたので、こういったものをまとめてというか、解決に近づける何かがないかなというようなことを考えて、放課後子ども教室を立ち上げるというようなところに至りました。これには、私自身の震災当時の経験が影響しているかなと思うのですけれども、その当時は東京にいたのですが、釜石の祖父母の安否がまだわからないというようなときが数日ありまして、すごく家族みんな不安な気持ちで、自然と一つの部屋に集まって眠れぬ夜を過ごしていたのですけれども、その中に生まれてまだ5日ぐらいの甥っ子がいたのです。その赤ちゃんを囲むときだけはみんな幸せな気持ちになれるというか、その不安を忘れることができたというようなことが、子どもが周囲に与えるポジティブなパワーを私自身体感したときだったので、そういったような子どもの地域に与える力をこの平田でもつくれたらなというふうに思いました。
 放課後子ども教室のほうでは、季節に応じていろいろイベントを企画しているのですけれども、その企画をするときには子どもだけでなくて保護者だったり、高齢者を巻き込んでいくことで、その若い世代が地域活動に参加するようなきっかけづくりになったり、あとは高齢者の生きがいづくりになればと思い、異世代交流を念頭に置いて企画を立てております。その中で、立ち上げ直後に初めて行ったイベントが災害公営住宅の中を歩いてお菓子を探すというハロウィンに合わせたイベントだったのですけれども、その様子が、ちょっと写真をお持ちしたので、百聞は一見にしかずでちょっと見ていただけたらなと思います。
 このやり方が、災害公営住宅の中の協力してくれる方のドアに目印を張っておいて、それを探しながら子どもが歩いて行って、ピンポン押して、お菓子をもらって交流するというすごくシンプルなものなのですけれども、そこの写真にそのときの様子がいろいろ写っているのですが、すごく皆さんいい表情をされていて、この瞬間皆さんは幸せを感じてくれたのではないかなと私は信じております。子どもと接することで、高齢者に生きがいを生み出すということだけでなくて、様々な世代の人がつながるということは、子どもにとってもすごくいい影響があるのではないかなと思っております。
 相互に子どもも、高齢者もみんな見守り合える地域であれば、高齢者の見守りということだけでなくて、子どもも地域の中で安全に過ごすことができますし、家庭の外のほかのいろんな大人からたくさん学びを得る機会ができるのではないかなと思っております。この活動の中にはそういった思いも込めております。
 被災した当時、私の祖父母もまだ釜石にもちろんいたのですけれども、東京にこのまま引っ越してきたほうがいいのではないかという話をしたことがあったのです。2人とも後期高齢者なので、これから先どういうふうに生活していくかというようなことを考えて、これを機に東京へというような話をしたのですけれども、祖父母も自分の生まれ育った土地で、顔なじみがいっぱいいるところでこのまま生活したいということで、釜石での生活をそのまま選んだのですが、そういうところも見て利便性の高いところに住んで、買い物しやすいとか、病院に行きやすいというところが必ずしも幸せな暮らし方ではないのだなというふうに感じます。自分の愛着のある土地で、好きな人たちに囲まれて過ごすという、自分らしくその人が生活できるというところが幸せな暮らしのあり方の一つなのではないかなということを個人的には感じております。
 私が関わっている災害公営住宅はもともと愛着のある土地で被災されて、そこを離れて釜石市に移られた方も多くいらっしゃいますので、そういった方が新しい場所で新しい生活を自分らしく幸せに暮らしていけるようにということで、これからもこういった放課後子ども教室なんかを通して活動していけたらなというふうに思っているところです。
 
保室長
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました、神尾さんお願いします。

神尾 真大郎
 まず、幸福というところで、今回お題としてあった幸福について考えてみた中で、幸福というのは人それぞれ変わってくる多様性というところがあるからこその幸福なのかなというところが、まずそこを大前提とした上で考えてみたのですけれども、まず人生の中で必ず関わってくる要素として重要となってくるのが教育と、あと仕事、そしてそこに暮らす家とかがある地域という、その3つのポイントがあるのではないかなというふうに自分の中で思いました。その中で、いかに幸福というところを追求していけるかというところを考えた上で、3つの視点からちょっと今回お話をさせていただければいいのかなというふうに思います。
 まず、先ほど挙げた3つのポイントの中の地域と教育についてなのですけれども、やはり先ほど知事のお話にもあったとおり、テレビに学生が出るであるとか、あとピッツェルに岩大の学生が関わっているであるとか、やっぱり一つの地域が一つの博物館である、それだけ多様性があるというような話も大学の講義の中で聞いたことがあるのですけれども、まず地域全体を一つの教育機関というふうに捉えて、大学だったら大学の中の大学の施設の中だけでは終わらせられないような、そういった幅広い教育の方向性というところもあってもいいのではないかなというふうに思います。
 自分が大学で活動していた中で、いわてキボウスター開拓塾という、岩手県にいる若手の実業家さん、起業家さんと大学生のグループ等が一緒になって、起業家さんが提案している課題に対して一緒になって考えて、何かしら方向性というか、事業計画であったりだとかというところを立てたりするというものの企画があったのですけれども、そういったような感じで、地域で活動している方だったり、あとは地域にいる人、地域にある産業というところと教育というところを結びつけられるようなことができればいいのかなというところが一つと、あともう一つは先ほど遠藤さんがおっしゃっていた、赤ちゃんがいることによって、みんなが幸福になるというような話もあったのですけれども、まだ大学生もぎりぎり子どもなのかなというふうに思っている中で、僕たちが例えば地域にあるワークショップとかに行くとどうしても地域の中では行政区ごとに利害関係とかもあったりして、なかなか大変なところなのですけれども、若い人がいると、これは僕らけんかしてられないなみたいな感じでうまく丸く収まるというところもあるので、そういった中で地域に教育が入っていくというところの利点も地域側にもあるのかなというところを思いました。
 あともう一つ、2つ目なのですけれども、仕事と教育というところで、やっぱり今の寿命は80、90というところですけれども、今後もうちょっと寿命が延びて100年ぐらい寿命があったとすると、そのうちの仕事にかける時間というのは大体50年で、この前調べたところで企業の平均寿命というところを調べたのですけれども、それは24.1年ということで、50年のうちの半分しかその企業は持たないというふうに考えると、これまでのように大学卒業して、1つの企業に入って、ずっと一緒の企業というのももちろん一つの選択肢としてはありだというふうに思うのですけれども、やっぱりインターネット社会になって、働く場所的な制限がなくなって、あと企業の平均寿命的な観点から、働く期間的な制限がなくなったというふうに考えると、もうちょっと大学を卒業した段階で得られる選択肢としては多様なものがあってもいいのではないのかなというふうに思います。そこで、岩手ならではのところ、例えばダブルワークであるとか、あとは岩手県は農業が盛んですので、農業と普通の一般企業とのかけ合わせであるとかというようなところであるとか、あとは僕が大学で取り組んでいたプロジェクトのように起業を志す若者がいてもいいのかなと。そういったような、ただ大学を卒業して一般企業に就くという選択肢のほかにも多様な選択肢というのがあってもしかるべきなのではないかなというふうに思います。
 そして、3つ目についてなのですけれども、仕事と地域のかけ合わせというところで、自分自身大学で住民参加型のまちづくりについて研究しているのですけれども、そこの中で問題となってくるのはどうしても住民の住民活動、町内会であるとか、行政区であるとかの活動に参加するのというのは、基本的には高齢者が多くて、やっぱり若者の参加が少ない。若者の役員やってくれる人が少ないというところで、なぜかというところへ行くと、これまでだったら基本的には農家さんだったら、その地域に職場があって、地域に住居があってなのですけれども、やっぱり職と住というところがばらばらに離れてしまっていると、どうしても地域の活動に参加する時間がなかなか持てないというところもあるので、そういったところではやはり働き方改革というところが言われていますけれども、時間的であるとか、あとは働く場所であるとかというところをもうちょっと地域に寄せていってあげることができれば、もうちょっと若者の地域活動への参加というところも取り入れていくことは可能なのではないかなというふうに自分の中で思います。
 今まで述べてきたその3つの視点の仕事、あと教育、そして地域というところの岩手の中でのいいところというのをうまくかけ合わせて、多様性という中での幸福というところをもうちょっと取り入れていければいいのかなというふうに自分の中では思います。
 
保室長
 ありがとうございました。
 それでは、知事からお願いします。

達増知事
 東日本大震災の後、釜石に残るか、東京に行くかというような、そういう決断を迫られるというのは多くの人たちにあり、また行政としてもあれだけの被害があり、破壊の後で、それを元に戻す、あるいは前よりいいまちをそこにつくるという、結果そっちを選んでいるのですけれども、災害直後にはやはり大移住みたいな、もうそこを復旧復興させるといっても、10年では終わらないのではないかみたいな話もあったりして、そうなるとその間ずっと待ち続けるよりは移住みたいな感じで、結構いろんな都道府県とか、大きな市からどんどん移住してくださいみたいな働きかけもあったりして、特に都会の人たちの間にはもう移ってもらったほうがいいのではないかと。福島は福島で、また原発事故という別の事情があって、また別の悩み方をしているのですけれども、津波被害だけでも発災直後にはそういうことが判断しなければならないこととして浮かんでいたのですけれども、やっぱり沿岸で被害に遭った人たちがそこにとどまろうという思いは予想以上に強かったですね。そして、実際がれきの片付けとか、そこからいろんなものを探し、見つけ、そして避難所生活から仮設住宅に入りながらもなるべく地元で仕事を見つけて、そして地元のコミュニティーの維持、発展、そしてその年の夏、秋のお祭りをやるなんていうのも予想以上に、夏祭り、秋祭りがどんどんその年から復活していて、それでもうこれはやっぱり地元をよみがえらせていくような、そういう復興を本気でやっていかなければならないなと知事としても判断したところがありますね。
 それは、やはり子どもという要素も大きくて、そういう孫子の代によみがえった、前より安全になった町や村を引き継ぎたいという、そういうこともあって、自分たちのことだけではないので、未来、ふるさとが消滅しないで続けば100年、200年とか、ずっとその先にまで、それを今判断して諦めて、どこかに移住というわけにはいかないというところが全体としてそういう判断をしてやっているというところがありますね。
 子どものパワーは本当に大きく、子どもは子どもでやっぱり子どもなのだけれども、子ども扱いできないというか、大人になる前の未熟で劣った人間以前の段階というか、劣った人間みたいに見るのではなくて、それはそれで人間の一つのある段階のある種完成された姿であって、子どもというものをそういうふうに見て、やっぱり尊重したり、また対等な関係として大人としても子どもと一緒にやっていかなければならないなと思いますよね。大分助けられているところもあるし、一方大人でもいろんな支援を必要とする人がいるように、子どもというのは大体支援が必要だから、支援はしていかなければならないのですけれども、そういう対等な関係ということでやっていくとうまくいくのだと思います。
 神尾さんの話は、学生らしく論理的に整理した話をしていただいて、助かります。学生の力も子どもの力に劣らず、また学生は学生で就職前の未就職人とか、そういう劣った低いものというふうに見ることはやっぱりできないので、学生は学生として一つの完成された人間として活躍してほしいなと思います。
 昭和高度成長時代は、仕事は仕事、地域は地域とか、はっきり分かれ、また仕事も一旦、特に大企業就職モデル、一旦入れば年功序列、終身雇用みたいなのが、そういうイメージが昭和にあり、ただ実際はそうはなっていないわけですからね、昭和の大企業もどんどん途中で破綻したり、潰れたりしているから、終身雇用モデルというのは実際にはそうはなっていないところが当時からあるのですが、これからはますますそのとおりでありましょうから、多様性の中で自己実現というのは本当にそのとおりだと思うので、そういうことを前提にしながら組み立てていかなければならないと思います。

保室長
 ありがとうございました。
 皆さん、様々おもしろい話をありがとうございました。ここまでで一通り皆様からのお話は頂戴したわけですけれども、まだ時間も少しございますので、もう一つこれは言いたいとか、ほかの方のお話を聞いてこういうふうなことをもう少し考えたということとか、自由時間ということになりましたので、良かったらお話しいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
 それでは、今日お集まりの皆様、神尾さんはまだ学生さんではありますけれども、今お話あったみたいに就職するだけが、自分の仕事あるいは収入のもとではないのではないか、これからはそういう多様なことを少し考えるようなことをどんどん広めなければいけないのではないかというような話もあって、実際に皆さんのこれまでのお仕事の接し方とか、お仕事に就いている経過とか、Uターンされたり、Jターンされたりというようなことからしますと、皆様方いわゆる知事がおっしゃったような昭和型の、就職して一緒の会社で終わるみたいなこととは違う生き方をされているなというふうに私も思うのですけれども、そういうことを一つのこれからの岩手の生き方、岩手の人たちの生き方になるのではないかということを考えたときに、こういうふうなことをもう少しやらないと、そういうことが実現できないのではないかと、こういうことをやるともう少し今のような、自由なというか、多様な職業の選択の仕方がもっと楽になるのではないかと、可能性が高まるのではないかとか、そういう面での話としては何か御自身の経験とか、そういうことを踏まえてあるのだったらいただきたいなという気もするのですけれども、どうでしょう。
 私のほうからテーマ振って済みませんけれども。

達増知事
 でも一方、終身雇用は、可能ならそれにこしたことはないところもあり、ただやっぱり世の中変化も激しいから、そう簡単にはいかない中で、手探りで自己実現を図るということなのだと思います。

茂庭 裕之
 今の問いに真っ正面からの回答になるかはわからないのですが、私の発表の中でもお話しさせていただきました、事業がうまくいくかどうかは一定確率論だと思っているということに関連しますが、岩手にすごい成功者の人があらわれれば、そういう方を目指す人も出てくると思うのです。
 とはいえ起業をみんなに勧めるわけではなく、やっぱり会社を立ち上げてやっていくのは大変なので、良い会社にあればそこに勤めるというモデルがあればいいと思うのです。ただ、そういういい会社も誰かがつくらなければいけないわけですので、ではどのようにそういう企業が生まれる確率を増やすかというところを考えてみるのですが、岩手はプレーヤーとなる人が少ないなと感じています。私が言うプレーヤーというのは、自分でゴールを決めに行く人なのですけれども、岩手というのはどうしても優秀な方は、サポーターに回ってしまうじゃないですか。要は、県に勤めるとか、もちろん行政というメーンのプレーヤーではあるのですけれども、シュートを決めに行くというよりは、パスをつなぐとか、環境を整えるという方々……

達増知事
 やっぱり行政はリスクを冒してはならないという大原則があるから、そういうリスクをとりに行くという、そういうプレーヤーにはやっぱりならないのですよね。

茂庭 裕之
 はい。あとは、岩手だと銀行さんとかもですけれども、銀行さんもどちらかというとサポートする側で、事業を起こして大成功を狙うみたいな人というのが、やっぱり少ないイメージがあります。それは事業に関してだけではなくて、NPO的な活動であったり、何かコミュニティーつくるのであっても、そういうのも自分から何かを生み出すという動きをする人が少ないイメージがあり、そういうチャレンジするプレーヤーを増やしていく雰囲気なり、土壌というのができるのがいいのではないかなと強く感じていますし、私たちもそういうふうに少しでも貢献できるように動いていきたいなと思っています。

達増知事
 日本全体リスクをとりに行こうという人が足りないから、ここ二、三十年景気が悪いのだと思うのです。グローバル化とか言って、いろんな仕組み、制度はアメリカ型にどんどん変えて合わせているけれども、でもアメリカ人のどんどんリスクを冒しながらチャンスにかけていくという行動様式に比べると、日本人はどうしてもリスク回避型の傾向が強いのだけれども、でもそれがここ二、三十年の停滞の原因になっていると思うので、特に地方からバンバンそういうリスクをとりに行ける人が増えるといいのですよね。チョコ南部なんてリスクだったのではないですか。

青谷 耕成
 まさに最大のリスクで、私は学がないもので、すごく簡単にしか表現できませんが、我が社の会長がちょうど幸せは何かということを最近話したことがあって、簡単に言うと不安じゃないことだと言うのです。茂庭さんの話にあったように、私も仕事をする方が生活するためにお給料を稼いで、御両親だったり、お子さんだったりを育てるわけで、仕事がないと、雇用がないとものすごく不安になる、あらゆることに波及すると思っていて、そうしたときに会社、民間だったり、組織は皆さん自分のおうちと同じなので、自分のうちをとにかく守ろうとする中で、私はいろいろ資料で勉強させていただいたのですが、岩手の基本目標というのがすごくそこに最後は行き着いて、県の皆さん、市の皆さんがその自分のおうちを、各おうちをつないでいただいて、新しい事業が生まれたりということを本当に体験したので、それが豊かさに結果的につながっているというふうに考えておりましたので、そういった県、市の皆さんのつなげるための導きがすごく心豊かに結果的にしているのではないかなというふうに思います。

達増知事
 植村直己さんという冒険家がいて、最後は亡くなってしまうのですけれども、ただいろんな冒険というのは無茶をすることではなくて、非常に緻密にリスクを計算して準備して、危なくないようにしてエベレストに登るとか、南極を横断するとか、そういうことに挑戦するので、チョコ南部もやっぱり理にかなっていたから成功していて、それは事前に成功するような準備があった上で、だから形式的にはリスクを冒しているけれども、実質的には危険がないような道をちゃんとやっていたという、そういうことがどんどんできればいいというところもあるのでしょうね。そういう事前の準備に関しては、行政もいろんな情報の提供とか、そういう形での、いろんな形の協力はできるのだと思いますね。

保室長
 遠藤さんは東京からいらして、今釜援隊ということではありますけれども、これからどうしようか、岩手でどうやって生きていこうかみたいなところに何か不安とかそういったものは。

遠藤 眞世
 復興支援員も時限的なものなので、確かに雇用を思ったときに心配というのは正直あるところではあるのですけれども、でも地域の魅力とかを見たときに、釜石は離れないでいようというふうには思っています。
 釜石にいる同じように活動している方というのは、結構皆さん外から来ている人が多いのですけれども、やっぱり釜石に来ていろいろ地域の方と触れ合うことですごい魅力を感じる方が多くて、私も小さいときから来ているので、余り最初はぴんと来なかったのですけれども、もうなれてしまったので。やっぱり地域の皆さんの温かさだったり、淺野さんもおっしゃっていた食の豊かさみたいなものだったり、そういう魅力で人が集まってきて、茂庭さんもおっしゃっていたみたいに、プレーヤーが釜石は多分多いほうだと思うのです。そういう頑張っている人たち、先端に立って頑張っている人たちのことも、そういう人がいるところなのだよというのを発信していけば、それがイコール地域の魅力にもなると思うので、そういう人材、もともといる人たちを輝かせるというのが魅力を上げるものになるのではないかなと思っています。

保室長
 どうですか、何か言いたそうにして、大丈夫ですか。

千葉 真弓
 私もどちらかというと助成金いただいて、それを使わせていただきながらやっているほうなので、余りリスクは冒せない。どちらかというと、それよりも社会包摂的な受け皿をどうつくって、みんなが多様性を認め合ってどう幸せに生きていくかというほうをやっているので、今のリスクは冒せないなと思いながら聞いていたのですけれども、リスクを冒していく人と、私のように多様性をつくりながらみんなで傷ついた人も、そうでない人も一緒に生きていくというのもあっていいかなというところで聞いておりました。

達増知事
 守りに回る側も、守る側で、やっぱり多様性を尊重するという発想でないと切り捨てとかになってしまいますからね。切り捨てない、取りこぼさないという、そういう守りの側は守りの側で多様性を受け入れていかなければならないような方向性なのですよね。社会的には多様性というのは、そういう守り育てていくような感じで、経済の分野で多様性というのが攻めのリスクを冒してでもという感じになっていくのかなと思います。

保室長
 淺野さん、十三日をやられてみてどうですか、その可能性というか……

淺野 聡子
 私なんかはリスクの塊みたいな感じで、自分でお金借りてリノベーションしているので、どちらかというと楽しいことが何より大事だと思っているのですけれども、リノベーションの話が今日ちらちらと出てきたのですけれども、青谷さんのおっしゃっていたゲストハウスみたいなのって、私もすごくあればいいなと思っています。
 茂庭さんがおっしゃっていた中ですごくいいなと思ったのが、チャレンジする人を歓迎する、育てる土壌、雰囲気をつくる。その雰囲気とか、気分というのは実はすごく大事なことで、そういうのをつくっていくことでやってみようとか、岩手というのは、こっちで生活して思ったことが、成功するとちょっと目立ってしまうから余り成功したくないというわけではないのですけれども、成功しづらいような雰囲気があるのではないかなと思うところがあるので、それをしていいんだよではないですけれども、みんなで成功しようではないけれども、そういう新しいことを始めやすい雰囲気をつくるのはすごく大事なことかなと思っていて、その中でゲストハウスは是非広めていったらいいなと。いろんな人が定住ではなくても、混ざり合うような感じで、風土というのは土の人、風の人の、その風の人の部分がたくさん岩手に流れてきて、出ていってもいいですし、新陳代謝が起こるためにはなかなか岩手って来にくい部分があって、その理由の一つはゲストハウスがないのです。私もお友達に盛岡に来てほしいからいろいろお誘いするのだけれども、「泊まるところあるの」と聞かれると、ビジネスホテルしか盛岡はなくて、ちょっと行きにくいなとか、では花巻に泊まろうかになってしまうとすごくもったいないなくて、ゲストハウス、これ確かな情報ではないのですけれども、東北6県の中で県庁所在地にゲストハウスがないのは岩手だけと聞いたのです。それはなぜかというと、岩手ではゲストハウスの運営がしにくい何かがあるのか、状況があるのかみたいなことをちょっと聞いたことがあって、民泊法とかあると思うのですけれども、そこら辺がもし改善されれば、ゲストハウスをやりたいというのが今回青谷さんだけではなくて、実はすごく聞くのですけれども、やりにくいみたいなので、では岩手以外でやろうみたいなところがあって、それもすごくもったいないので、是非何か岩手でゲストハウスがつくりやすいような風潮とかあれば多分わっと増えるのではないかなと、やりたいと思っている方非常に多いのではないかなというふうに思っています。

達増知事
 岩手は、盛岡だけに人口が集中しているわけではなく、花巻とか、10万人規模の市がぽんぽん、ぽんぽんとあるので、盛岡っていまいち集積度が他の県庁所在地に比べると低いのかなというところもあって、だから盛岡でなくてもいいかもしれないのですけれどもね。

淺野 聡子
 もちろんそうです。

達増知事
 でも、集積度が低いとはいえ30万人規模のまちだから、そうですね、紫波、矢巾とか、滝沢とかの力も加えれば結構大きい力にはなるだろうから、あってもいいですよね。
 制度的にはバリアはないのだと思うのですけれどもね。

淺野 聡子
 そうなのですね。

達増知事
 ええ。特に厳しい条例があるわけでもないし、厳しい運用をしているわけでもないし、ビジネスホテルなんかは新しいのがぽこぽこ建ったりしているくらいで、だから何かそういう宿泊施設の新規参入が難しいわけではないのですけれどもね。

保室長
 ちょっと考えてみてもいいかもしれませんね。

淺野 聡子
 はい。

保室長
 あと皆さんよろしいですか、最後に若い学生さん、今までの皆さんの話聞いて、よし、俺も何かやってやろうみたいな、そういう感じはどうですか。

神尾 真大郎
 でも、確かに皆さん言ったように、挑戦する上でもただただリスクを冒せばいいというわけではなくて、ちゃんとした下に安定した依存先であるとか、受け皿であるとかというところをしっかりつくって、下準備をしっかりした上で何か事を起こすというところの必要性というのは今回お話を聞いていてよくわかったので、参考にできればなというふうに思います。

保室長
 ありがとうございました。

達増知事
 あと失敗を失敗に終わらせないというのが戦略論的にはあって、やろうとしていたことがそのとおりにならなかったとしても、そこでいろんな人脈ができり、信頼が蓄積されたりはして、淺野さんは結構当初思っていたとおりにはなっていないけれども、でも当初想定しない形でうまくいったなんていうことがあるのではないですか。

淺野 聡子
 余り決めないようにはしています。

達増知事
 なるほど。

淺野 聡子
 余白を残す感じです。

達増知事
 事業というのは、環境との関わりの中で成功したりする、主体と環境のかかわりの中で成功したり、成功しなかったりするものだから、そこを要領よくやると、成功に成功を重ねていくような形で展開できるのだと思いますよ。

保室長
 どうぞ。

茂庭 裕之
 私の発言がすごくリスクとろうぜとなっていたら、あれだなと思っているのですが、もちろん民間側は比較的リスクとっているわけですが、リスクとる云々というよりは、私は理想論の話になってしまうかもしれないのですけれども、一人一人がちょっとプラスで頑張るということの積み重ねが全体としてすごくいい方向になると思っていて、みんなが個人のできる範囲、それこそいろんな事情があって身動きとれない人もいるでしょうし、何でも自由にできる人もいるでしょうし、その立場ごとでできることプラス何か世の中が良くなりそうだなとか、自分がおもしろいなと思うことを一つつくり出す努力を積み重ねるのがいいなと思っている、という根底があるのです。なので、みんなリスクとろうぜというよりは、みんなのそれぞれの立場で良くなるというのを考えて、少し頑張るということの積み重ねで、全体として良い雰囲気なり、その幸福度というのにつながるのではないかなと思っています。

知事所感

保室長
 何か上手に締まったところで、最後に知事に一言いただいて。

達増知事
 大いに参考になりました。またこのメンバーでこういうふうに集まるという予定はないのですけれども、いろんなところでまた私と一緒になることがあるのではないかと思いますし、何かあればいつでも県の担当のほうにでも、あるいは私に直接でもいいので、皆さんが今やっていることはそれぞれ本当に成功してほしいと思うので、頑張ってまいりましょう。今日は本当にありがとうございました。

保室長
 ありがとうございました。

閉会

保室長
 それでは、これをもちまして本日の懇談会は終了したいと思います。皆さん大変長時間ありがとうございました。

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