高病原性鳥インフルエンザ・侵入防止の徹底を(鶏病性鑑定事例の紹介5)

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ページ番号1007986  更新日 平成31年2月20日

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渡り鳥が飛来する季節を迎えています。高病原性鳥インフルエンザは飼養規模に拘わらず発生します。小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者も本病の侵入防止に努めてください。

小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者に、県内の鶏にどのような病気が発生しているかをお知らせする目的で、過去に実施した鶏の病性鑑定事例を順次紹介しています。

今回、紹介する病気は「鶏痘」です。

発生状況

平成17年11月に、1採卵鶏農場(8群で100,000羽を飼養)で発生しました。発生は24ヶ月齢の1群12,000羽中100羽(0.83%)に認められ、沈鬱、鶏冠の褪色、羽毛への高度のダニ寄生を呈し、4日の経過で死亡しました。発生鶏群は鶏痘ワクチンを接種された後3ヶ月齢で導入されていました。

検査成績

24ヶ月齢の異常鶏10羽を検査しました。肉眼的に、顔面、頚部および総排泄口周囲の皮膚に痂皮形成、丘疹が確認されました。病理組織学的に、好酸性細胞質内封入体を伴う表皮有棘細胞の過形成が認められ、他に、肝臓の多発巣状壊死が観察されました。病原学的に、主要臓器からブドウ球菌が分離されました。なお、気管およびクロアカ粘膜から赤血球凝集ウイルス(鳥インフルエンザ、ニューカッスル病)は分離されませんでした。

診断

以上の検査成績から本病を鶏痘と診断しました。ワクチン効果が有効でなかった原因は不明ですが、重度のダニ寄生が誘発要因として考えられました。また、肝臓に壊死巣が存在し、主要臓器からブドウ球菌が分離されていることから、皮膚の鶏痘病変の二次感染菌が全身へ播種し、死亡羽数が増加したことが推察されました。

予防法

鶏痘ウイルスは皮膚や粘膜の創傷部から感染するため、本病の予防には、蚊、ハジラミ、ダニなどの吸血昆虫の駆除、埃や糞の飛散防止、野鳥の侵入防止、消毒の励行などの衛生管理の徹底が必要です。また、鶏痘ワクチンが有効ですので、1週齢から2週齢、3ヶ月齢時に接種し、接種部位に発痘が十分に形成されない場合には再接種します。
本事例では、吸血昆虫駆除、鶏舎の消毒および導入鶏への適切なワクチン接種を指導し、再発を防ぎました。

(病性鑑定課)

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このページに関するお問い合わせ

岩手県中央家畜保健衛生所 中小家畜課
〒020-0605 岩手県滝沢市砂込390-5
電話番号:019-688-4111 ファクス番号:019-688-4012
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