高病原性鳥インフルエンザ・侵入防止の徹底を(鶏病性鑑定事例の紹介2)

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ページ番号1007983  更新日 平成31年2月20日

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渡り鳥が飛来する季節を迎えています。高病原性鳥インフルエンザは飼養規模に拘わらず発生します。小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者も本病の侵入防止に努めてください。

小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者に、県内の鶏にどのような病気が発生しているかをお知らせする目的で、過去に実施した鶏の病性鑑定事例を順次紹介しています。

今回、紹介する病気は「封入体肝炎」です。

発生状況

平成18年11月に、1肉用鶏農場(5鶏舎で56,000羽を飼養)で発生しました。発生は9,400羽を収容する1鶏舎に限局し、12日齢から17日齢までの6日間に沈うつおよび翼の痙攣を示して569羽(6.1%)が死亡あるいは淘汰されました。

検査成績

13日齢の異常鶏6羽を検査しました。肉眼的に、5羽の肝臓は腫大、褪色し、出血巣が散在していました。病理組織学的に、これらの肝臓および膵臓に好塩基性核内封入体を伴う巣状壊死および軽度の線維素化膿性漿膜炎がみられました。他の1羽には肉芽腫巣を伴う重度の線維素化膿性漿膜炎が観察されました。病原学的に、全例の肝臓からグループ1トリアデノウイルス遺伝子が検出され、重度の線維素化膿性漿膜炎を示した1羽の全身諸臓器から大腸菌が分離されました。なお、気管およびクロアカ粘膜から赤血球凝集ウイルス(鳥インフルエンザ、ニューカッスル病)は分離されませんでした。

診断

以上の検査成績から本病を封入体肝炎と診断しました。程度は様々ですが全例に線維素化膿性漿膜炎がみられた事実から、本病の誘発因子として同菌の感染が疑われました。

予防法

ワクチンは市販されていません。したがって、ウイルスの侵入防止と誘発要因(鶏貧血ウイルスや伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスなどの他の感染症)の除去が予防対策となり、基本的な飼養管理の徹底が重要です。
本事例では、誘発要因として大腸菌症が示唆されたことから、発生鶏群に抗生物質を投与して被害の拡大を防止しました。

(病性鑑定課)

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このページに関するお問い合わせ

岩手県中央家畜保健衛生所 中小家畜課
〒020-0605 岩手県滝沢市砂込390-5
電話番号:019-688-4111 ファクス番号:019-688-4012
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