「いわて幸せ作戦会議(in釜石)」(令和7年8月22日)

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ページ番号1091415  更新日 令和7年10月24日

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日時
令和7年8月22日(金曜)14時から15時20分まで

場所
釜石地区合同庁舎 4階 大会議室

出席者

・参加者(敬称略)

   石塚 佳那子(ココイロいわて 代表)

   菊池 隼(一般社団法人ゴジョる 代表理事)

   伊藤 将太(さともり株式会社 代表取締役)

   谷村 優布子(おおつち百年之業協同組合 事務局員(キャリアコンサルタント))

・県側

   達増 拓也 知事

   小國 大作 沿岸広域振興局長

   小野 博 政策企画部長

開会

小野部長
 ただいまから、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in釜石」を開催いたします。
 皆様には御多忙のところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。本日は、「復興のその先へ~三陸に新たな風を吹かせる~」を懇談のテーマとし、釜石地域で様々な分野で、地域の復興に向けて取り組まれている方々にお集まりをいただいております。
 私は、今日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

小野部長
 それでは、開会に当たりまして、達増知事から御挨拶申し上げます。

達増知事
 
「いわて幸せ作戦会議in釜石」ということでありまして、県政懇談会というのは、昔から知事が岩手県内各分野、各地域で活躍する人の話を直接伺い、県政に役立てるということでやってきたのですが、「いわて幸せ作戦会議」という名前にしているのは、今の県民計画(「いわて県民計画(2019~2028)」)の中で、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」というのを基本目標にしているので、「いわて幸せ作戦会議」という名前になっています。今日お集まりの皆様は、この釜石地域で、テーマ「復興のその先へ~三陸に新たな風を吹かせる~」ということにおいて活躍している皆さんでありまして、今日はそのお話を伺って県政の参考にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

出席者紹介

小野部長
 
ありがとうございました。
 それでは、この後の進め方について簡単に御説明いたします。まず、私からお1人ずつ、御出席の皆様のお名前を御紹介いたします。それに続きまして、大体1分程度で自己紹介をお願いいたします。その後、先ほど知事からも話がございました、今日のテーマに沿って、皆様から話をいただきたいと思います。お1人ずつお話が終わった都度、知事からコメントするというような形で区切りながら進めていきたいと思います。そして一巡いたしましたら、最後に自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日御出席の皆様を御紹介いたします。初めに、ココイロいわて代表の石塚佳那子さんです。

石塚 佳那子
 ココイロいわての石塚と申します。今日は、よろしくお願いいたします。
 私は出身が富山県でして、岩手にはゆかりがなかったんですけれども、東日本大震災の後のボランティアをきっかけに釜石の方に訪れました。その後、こちらに移住しまして、移住支援ですとか地域おこし協力隊の事務局など、そういった仕事を経まして、今年、釜石の甲子町の方で閉園していた公園と、レストランを承継いたしまして、8月から新たに農園、カフェ、遊び場という、3つの施設を併合した場所として、「ココイロこすもすファーム」という施設をオープンして営んでおります。本日は、よろしくお願いいたします。

小野部長
 
よろしくお願いいたします。
 続きまして、一般社団法人ゴジョる代表理事の菊池隼さんです。お願いします。 

菊池 隼
 本日は、お招きありがとうございます。一般社団法人ゴジョるの代表を仰せつかっております、菊池と申します。出身は北上市です。また、多様なご縁で震災後も14年にわたり復興支援を継続させていただいておりますが、現在も北上市民として、毎日160キロを往復して通っている身でございます。現在は釜石市の箱崎町で、生きづらさを抱える皆さんや、高齢者の皆さんと一緒に、薪を製造して販売をする、コミュニティビジネスを推進しております。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 
どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、さともり株式会社代表取締役の伊藤将太さんです。お願いします。

伊藤 将太
 本日は、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。さともり株式会社の伊藤と申します。よろしくお願いします。私は、都内の企業でコンサルティング関係の仕事をずっとさせていただいていた後に、地元が岩手県の北上市になりますので、そこで何か自分にできることがないかというところを思って戻ってきまして、その後に、地域おこし協力隊や行政と一緒に、企画などを制作する企業で働いた後に、自分が地域おこし協力隊になってみたいというところで、大槌町の第1期生として活動をさせていただきました。今年の3月に卒業しまして、活動期間中に設立した「さともり株式会社」という会社で代表をやらせていただきながら、農業に関係するお仕事や、あとは関係人口の創出に関係するお仕事をさせていただいております。本日は、よろしくお願いいたします。

小野部長
 
よろしくお願いいたします。
 そして、最後におおつち百年之業協同組合事務局員キャリアコンサルタントの谷村優布子さん、お願いいたします。

谷村 優布子
 おおつち百年之業協同組合の事務局員として働いております谷村優布子と申します。よろしくお願いいたします。私は、2022年の4月から大槌町の地域おこし協力隊として、移住促進の事業者、移住定住事務局に所属して活動をしておりました。その1年目に、総務省の特定地域づくり事業協同組合の制度を使った組合設立に向けた取組を行いました。活動2年目で組合が設立いたしまして、引き続き、その組合の事務局員として、地域おこし協力隊卒業後の現在も働いております。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 
よろしくお願いいたします。

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
復興のその先へ~三陸に新たな風を吹かせる~

小野部長
 
続きまして、皆様のお手元にお菓子を準備しておりますので、ぜひお召し上がりいただきながら、懇談を進めていきたいと思います。
 それでは、小國局長から今日のお菓子、それから、重要な懇談テーマについてお話をいただければと思います。よろしくお願いします。
 

小國局長
 
沿岸広域振興局長の小國でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。では、着座にて御説明いたします。
 今、お手元にお配りしているお菓子について御説明させていただきます。お手元の資料に1枚ものでお菓子の御紹介という資料もございますので、併せて御覧いただければと思います。まず、お菓子のクッキーですが、「釜石の橋野鉄鉱山クッキー」でございます。釜石市の就労移行支援施設、釜石ワークステーションで1枚1枚手づくりされているクッキーでございます。ちょうど本年度が、釜石鉄鉱山の世界遺産登録から10周年と節目の年でございます。市内では、様々な関連イベントなどが開催されております。このクッキーも、10年前に世界遺産登録をきっかけといたしまして、地域と一緒に釜石を盛り上げていこうと、そういった思いから開発されたお菓子でございます。盛岡市の菓子メーカータルトタタンの監修を受け、噛めば噛むほどおいしい、サクサク感が楽しめるクッキーとなっております。また、お飲物といたしまして、皆さんお馴染みかと思いますが、「仙人秘水」を御用意させていただいております。地下600メートルから採水された、おいしい天然水でございます。どうぞ、一緒にお楽しみいただければと思います。
 続きまして、本日の懇談テーマについて御説明させていただきます。本日の懇談テーマは、先ほどからお話しております、「復興のその先へ~三陸に新たな風を吹かせる~」とさせていただいております。岩手県では、「いわて県民計画(2019~2028)」の第二期復興推進プランにおきまして、参画、交流、連携を重視する視点とし、多様な主体とのつながりなどを強めながら、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すということにしております。釜石、大槌地域では、様々な企業・団体や、地域おこし協力隊員の皆様が、地域の内外、多世代の交流の場づくり、あるいは地域課題の解決に向けた新たな取組を展開してございます。本日の県政懇談会では、こうした新たな取組に挑戦されている皆様から、現在の取組、あるいは今後の展開、また、取り組まれている中での課題など、様々なお話を、御意見・御提言と併せていただければ幸いでございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 
ありがとうございました。それでは、早速ですが懇談に移らせていただきます。本日のテーマ、「復興のその先へ~三陸に新たな風を吹かせる~」に沿って、皆様の今の取組、課題、今後の方向、豊富、経営の期待なども含めて、様々お話をいただければと思います。それでは、それぞれ5分程度お話をいただいた後で知事からコメントという形で進めて参ります。
 初めに、石塚さんからお願いいたします。

石塚 佳那子
 
それでは、最初の自己紹介のときにココイロこすもすファームという施設を運営しているとお話をしたのですが、今回、震災復興からのその先へというテーマというところで、最初にこすもす公園の経緯だけお話した上で、今の私の取組を御紹介させていただければと思います。
 テレビなどで御存じの方も多いかとは思うんですけれども、甲子町の方にございます、希望と笑顔のこすもす公園という、震災後、遊び場のなくなった子どもたちのために、ボランティアの方々の力で、手づくりで作られた公園がございました。年間1万人以上も訪れていたと私も伺っているんですけれども、本当に沿岸地域だけではなく、内陸や関東の方からも様々な方々が訪れて、交流の場となっていた公園です。ただ、震災から10年経ちまして、老朽化ですとか関わる方の高齢化というのもありまして、2022年に閉園いたしました。その隣で農家レストランも運営していたんですが、そちらの方も閉店となりました。私が、最初にボランティアで釜石に来たきっかけが、こすもす公園でございました。私自身ボランティアに来たつもりが、本当にたくさんのものをいただいたり、つながりをいただいて大好きになり、何度も通ううちに、釜石で暮らしながら自分にできることをしていきたいと思い、移住をしました。ずっとボランティアで関わりながら、ここで結婚し子どもも今2人育てております。子どもを育てていく中で、こすもす公園のような、地域の方や多様な方たちが集まって、みんなで子どもをみてくれる環境って、岩手になかなかないというのを自分自身すごく実感しています。私と夫は、二人とも移住してきたものなので、親がこちらにいないというのもあり、本当に核家族で、何かあったら地域の皆さんに本当にお世話になっております。最近過ごしている中で、このこすもす公園のように、子どもを親だけがみるのではなくて、地域の方たち、皆さんで支え合って、子どもを育てていく、釜石は今100人を切るといわれているような出生数なんですけれども、その100人の子どもをみんなで育てていけるような場所、そういう地域を目指していきたいというふうに、自分も子育てをしながら思うようになりまして、その時に、やはりこすもす公園の食と自然と、みんなが集まれる暖かい場所、そういった場所をもう一度新しく作って、皆さんと集まれる場所にしたいという思いが大きくなってきまして、今年、クラウドファンディングの方を実施させていただきまして、多くの方に御支援をいただいて、リニューアルという形でこの場所を再開しております。
 具体的に、今後の展望といいますか、今の取組なんですけれども、現在は、農園とカフェと遊び場という三つの軸で進めておりまして、食は地域のものをちゃんと食べられて、地産地消を味わえるカフェ、遊び場は、公園のような地域の方たちが遊びに来て、ゆっくり自然の中で触れ合える遊び場、あとは観光農園のような形で、ブルーベリーを摘んだりですとか、自分たちで育てた畑のものを、ピザを作って食べたりですとか、そういった体験のできる場所も、あまり沿岸には多くないため、観光農園というような三つの軸でやっております。今後の展望としましては、コミュニティスペース作りもございまして、施設の一角に、今は使われていないプレハブがあるんですけれども、ちょっとこすもす(公園)、その施設の方が、屋外の施設が結構メインになっていまして、雨の日ですとか、天候の悪い日に使える屋内の広い場所がないので、屋内の場所も今後は改修して、コミュニティスペースとして、地域の方が集まれたりイベントを実施できたりですとか、そういう場所も作っていく予定です。こういった場所づくりを通して、今もお子さん連れの方たちがたくさんお店に来てくださっているんですけれども、みんなで子どもを支え合ってみていけるような場づくりを、持続可能な形で運営していくというところを目指して進めております。また、まずはカフェですとか、そういう場づくりというものではあるんですけれども、今後は子育て中の方ですとか、妊娠中の方ですとか、そういういろんな方を、もっとケアできるような場所でしたり、機会というのも作っていきたいと思っております。私のように、ここに移住して何か始めたいと思っている女性ってすごく多くて、私の方にもいろいろ相談をもらったりですとか、そういうことが多いので、そういうふうに何か起業したり、何か始めたいという方のコミュニティづくりといったものも、展望としてはしていきたいと考えております。やりたいことはいっぱいあるんですけれども、まずは、こすもすファームを着実に運営して、地域の皆さんが交流できる拠点となるよう、また、観光の拠点となるように進めて参りたいと思っております。以上になります。

小野部長
 
地域のみんなで子どもを育てていければ、そして食、自然、集まれる場づくりという形で様々な取組を引き継がれて、さらにそれを広げていく取組をされている石塚さんでございました。知事からコメントをお願いできればと思います。

達増知事
 
藤井夫妻が震災直後に、こすもす公園という公園を作って評判だったんですけれども、御高齢でいらっしゃることもあり、いつまでも続けるのは大変ということで、一時閉園、閉店ということになって、なくなってみて改めてあったほうがいいなというふうに、地域の皆さんもそういう感じになったんだと思います。そこで、思いを形にするということがないと、思いは形にならないので、そこを石塚さんがびしっと形にしてくださって、本当によかったなと思います。クラウドファンディングも効果的に活用して、農園とカフェと遊び場の3本立てで、なるほど、そういうふうに複合的に施設があると、子連れのお客さんや妊娠中の方々にも子育て支援的なこともできるし、また、起業をしようとしている人たちのコミュニティ機能もということで、いろんな機能ができるんだなと思います。カフェも、その子連れのお客が多いということで、遊び場もあって、子どもが来たくて一緒に来るというところがいいんだと思います。地方で働くメリットは、やはり働く場と生活の場が近いので、そうやって、起業したい方も子どもを一緒に連れてきて、仕事のことを話し合うとかそういうこともできるというのが地方の魅力でありましょうし、ぜひぜひそういう方向で発展することを期待します。ありがとうございます。

小野部長
 
ありがとうございます。続きまして、菊池さんからお願いいたします。

菊池 隼
 
改めまして、ゴジョるの菊池と申します。私たちの会社は2017年に設立を行いまして、東日本大震災の後、地域の中で見えてきた課題や、そもそも発災する前からある課題に対して、自分たちに何ができるのかというのを考えながら事業を展開しています。
 そもそも、私が釜石に来たきっかけは、(震災時に)北上の青年会議所に属しておりまして、北上青年会議所の支援対象エリアが釜石だったということがご縁で、ボランティアセンターの運営から地域のコミュニティ形成活動まで、微力ながらお手伝いをさせていただいておりました。その中で、沿岸領域の福祉領域の課題と、地域の中にある林産材、これはもう岩手県内の大きい話になってきますけど、林業分野での林産材の価値を上げていこう、いかなければいけないという課題に改めて気づかされました。
 それは、2019年に(三陸地域で)台風災害のボランティアセンター立ち上げ時に(山から)木材が流出してしまい、家屋が倒壊してしまうという事例が釜石市内でも見受けられました。(岩手沿岸部は)リアス式特有の(山林と里山が)近い環境にあるわけですから、この木質資源を使い、地域の中で課題を抱えている皆さんや、生活に困窮されている皆さんと一緒にコミュニティビジネスを作ることができないかという思いから、(間伐材や支障木を活用した)薪の製造販売事業にたどり着きました。今期で9期目を迎えるんですけれども、活動にあたっては、福祉領域で言いますと釜石市社会福祉協議会様をはじめ、各種相談窓口の皆様、林業領域では森林組合様などと連携や協働しながら、釜石市内の42名の(活動者の)方々に御協力をいただきながら事業を展開しています。昨年実績で980トンの薪を東北のみならず全国各地に販売し、一番遠いところだと滋賀県まで釜石産薪は着実に、広がりをみせています。近年は、脱炭素に絡んだ木質エネルギーの利活用も含めた活動も多くなってきまして、地域のお金が地域の中で回っていきながら、今まで手を差し伸べられなかった方々に対して、自己の尊厳を失うことなく自らの活動を通じて地域の持続性を高めていくという活動を行っております。
 今後は、釜石市も脱炭素先行地域に選定されたことから、木質資源のバイオマスでの熱利用というのも計画的に行っています。そちらの分野(環境やカーボンニュートラル・ローカルSDGsというワードを切り口とした林業分野)に関して、県内には豊富な木質資源があるので、木のエネルギーを使っていくっていうのは根付かないところではあるんですが、そのすそ野を広げていくことによって、地域の中で新しい価値が生まれていくのではないかなというふうに感じています。また、9年に渡って事業を継続させていく中で林業と福祉の連携という、(一見相いれない分野においての協働についての)知見が、弊社の中でも蓄積されてきておりますので、同様の課題を抱える県内の各地に活用していただけたらという思いで、(弊社スキームの水平展開を)進めております。来週は、一戸エリアで2回目の研究会を行って、福祉領域の方々と林産分野の方々と一緒に、同様のスキームでできないか検討を行いたいと思っております。以上でございます。

小野部長
 
菊池さん、ありがとうございました。東日本大震災津波の支援をきっかけにといったことで、今は薪の生産販売といった形で、林業と福祉を連携させ、滋賀県まで販売されているということでびっくりしました。県内外まで展開されているということで、さらに広がりが出てきている取組というふうにお伺いしました。それでは、知事からお願いいたします。

達増知事
 
農福連携という言葉は大分広まっていますが、林福連携ということでグッドアイディアだと思います。集中して作業をやるとか、定型的な作業を繰り返すとか、そういうところで結構頼りになっているわけですね。その辺、どんな状況か伺いたいです。

菊池 隼
 (一本の丸太から)薪をつくるって、ものすごく工数がかかるんですね。全自動でやるわけではないので、高齢者の皆さんがやるからといって、斧を持って薪を割るのではなくて、製造のラインに関しては、機械化をして、その間の薪を運んだりだとか、成形をしたり検品等の軽作業を高齢者の皆さんにお願いしていたり、連携している福祉作業所の皆さんに、商品の箱詰めをお願いしたり、ピッキングの方をお願いしたりというふうな形でやっております。

達増知事
 
なるほど、行程が多いんですね。一人で薪を割って、それを集めてというイメージでいたんですが、年間980トンも出荷するとなると集団作業になっていくということで、チームワークになっていくんですね。岩手は、森林面積が北海道に次ぐ都道府県第2位で、どう活用していくかというのが、もう県にとっての一大テーマでありますので、薪というのはすごくありがたいビジネスでありますし、最近はバイオマスの方もやっているということで、どんどんお願いしたいなと思います。昔は東北本線で、岩手の薪、炭などもどんどん首都圏の方に出荷されていたらしいんですけれども、当時は森林を木材に利用し、端材的なとこから薪や炭もでき、コストを低く、効率よくできていたのは過去のことで、今は簡単じゃないという状況があるんですが、一方で、薪がもうラグジュアリーな燃料として、ある意味、灯油とかよりも値段が高いけれど、やっぱり薪を燃やして暖をとりたいという気の利いたストーブ、薪ストーブを家の中に置いて使う人とか、そういうニーズがどんどん高まっていると思うので、そういう人たち向けにも出荷している感じなんですかね。

菊池 隼
 
当初、事業を開始したときは、薪は冬場しか使わないものなんだろうなって勝手に思っていたんですが、(岩手の薪炭文化を)いろいろ紐解いていくと、そもそも漁師さんなんかは、船の(冬期間の)暖房として薪を積んでいっていた時期もありましたし、もっと深掘りすると、釜石の製鉄時代も薪が大量に取れるから、このエリアで進んでいったっていうところもあって、意外でしたが、地域の中で、大体沿岸の人は海の方ばっかり見ちゃうので、これだけお宝があるのに気づかなかったっていうのもあります。
 (弊社の主な)販売先としては、DIYセンターさんがメインとなって販売をしております。また、本部事務局が東京にありますので、飲食業等のピザ窯をお持ちになっているピザ屋さんとかに営業を行っている状態です。長野県とかだとペンションとか保養地などでお使いになるのが大体8万件ぐらい件数としてあるらしいんですが、岩手の場合ですと、なかなかそこまで伸びていない現実があるので、地域の中で使える仕組みみたいなものも、併せて考えていければなというふうに思っています。

達増知事
 
県内の需要も高めていきたいところですね。ありがとうございました。

小野部長
 ありがとうございました。続きまして、伊藤さんお願いいたします。

伊藤 将太
 
改めまして、さともり株式会社の伊藤と申します。本日は、よろしくお願いします。
 弊社は、今年で3期目に入る形になるんですけれども、自分自身が地域おこし協力隊として大槌町で活動させていただいて、今年の3月に卒業した形になるんですけれども、地域おこし協力隊の任期中に起業したっていう形になりまして、各種メディアだったりとか、ところどころでちょっと取材をしていただいたりすることがあって、最近は知っている人もいるかなというとこなんですけれども、実際に何をしているのかは、ちょっと分かりづらいところもあるので、改めてお話をさせていただければなと思います。メインにやっている事業としては、耕作放棄地を借り受けて再生していく事業をさせていただいております。いわゆる農業になりますけれども、今は農業を中心にやっている形にはなりますが、耕作放棄地の使い方にはいろいろあるなと思っておりまして、例えば平飼い養鶏とかは、今後ちょっと視野に入れているところではありますが、今は農業を中心にさせていただいております。
 何で大槌でやっているかみたいなところについてですけれども、もともと移住をしてきて、最初は移住の支援だったりとか、協力隊の採用支援だったりというところで活動をしていて、法人を設立した後、それをやっていければなと思ってはいたんですけれども、いろいろありまして農業の方の分野にもちょっと興味が湧いてきたところもあって、家庭菜園からまず始めてみたっていうところが経緯としてあります。家庭菜園をやり始めたときに、たまたまお借りしていた地主さんが、もともと大きく花農家さんをやられていた方で、ビニールハウスだったりとかの跡地がすごく残っていて、シカがすでに歩いていたりとか、たまにはクマが出てしまうみたいなところで、ちょっとどうにかならないかなみたいな話をよくいただいておりまして、そういうところで、その地主さんから、できるんだったら少しずつやってみてもらってもいいかなみたいな、使ってみてもらってもいいかなって話をいただいて、ちょっと試しに自分も野菜を作って売ってみたいなという気持ちもあったので、多めに(土地を)借りて、耕していってっていう活動をしていくうちに、様々な地域の方々だったりとか、あともともとその移住の支援でつながりのあった都内の方とか県外の方々から見ていただけるようになって、体験に来ていただいたりとかしてという形でどんどんコミュニティ的な形で大きくなっていって、現在は、大槌町内で大体1ヘクタールぐらいの耕作放棄地をお借りして、実家が北上市にあるので、そちらの方でもこういう活動を大槌でやっているよって話をしたら、じゃあちょっと使ってくれないかみたいな畑が出てきて、そちらの方でも、大体50アールぐらい管理していて、合わせて1.5ヘクタールぐらいの規模でやらせていただいております。
 農業をするにあたってどういう形でやっていこうかなみたいなところも考えたときに、家庭菜園をやっていたっていうのもあって、もともと化学肥料だったりとか、農薬は使わず、環境配慮の形でやる農業をやっていたので、それをそのまま延長し、今もやり続けているというところで、いわゆる有機農法って形になりますが、将来的にはJAS認定だったりとかをとって、販路拡大を目指していきたいなというところで今活動しております。始めた頃は、耕作放棄地を再生するプラス、有機農法でやるっていう形がやっぱり難しいんじゃないかって話をすごくいろんな方々からお話をされたんですけれども、でもやってみないとわからないからと思って、本当に無鉄砲な形ですけれども、スタートしたところ、やっぱりその有機農法に強い作物だったりとか、この気候のときはこれを植えるだったりとか、そういう形でノウハウがたまっていって、今は大体70品種ぐらい育てているんですけれども、来年はもっとギュッと絞って20品種ぐらいで品目としては、もう5品目、6品目ぐらいでやっていこうかなというところでロット数を稼いでいくという形で、ちょっと営農スタイルを変えていこうかなというところで考えております。また、こういう形で活動していると若い方々だったりとか学生の方々から、そういう環境配慮型の農業で営農していくにはどうしたらいいんだろうみたいなところに興味を持たれる方が、最近だと、大学生の方々とかが増えてきていて、そういう方々の受け入れだったりとかをさせていただきながら、里山の振興だったりとか、結果的に再生につながるっていう形を目指して活動させていただいております。現在の活動としては、このような形になります。

小野部長
 
ありがとうございました。まずは、耕作放棄地の活用というところからスタートされて、先ほど出てきたシカ、クマというお話は、やはり大きな課題ですよね。そういった中で、農業に有機農法を取り入れられて、さらに里山再生をし、それが地域にとって非常にいい方向にも行くのかなというふうにお伺いしました。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 耕作放棄地だったときに比べて、農業が行われ人が出入りするようになると、やはりシカやクマはこなくなりますかね。

伊藤 将太
 大槌町内だと、ジビエ事業だったりとかが盛んに行われておりますが、農家として思うのは、やっぱり使っていない畑があると、そこがすみかになったりとか通り道になってしまうっていうところが一番の問題かなと思っているので、耕作放棄地が転々としたところが多いんですけれども、そこをお借りして何かしら作付けするだったりとか耕すことだけでも、十分獣害というか、その獣に対しての対策になって、里山と境界線が生まれていくという形を今考えてお借りしているという状況です。

達増知事
 
それが岩手県人で求められ、また、実際にクマで困っているのは東北、東日本が多いので、東日本中で求められていることなんですけれども、1ヘクタールというのは、ある程度分散しているわけですね。

伊藤 将太
 畑はほとんど分散している形で、今お借りしているところだと、12枚ぐらいの畑を管理させていただいている形になりますね。

達増知事
 
そういう耕作放棄地が、どんどん生産の場になってくるのは非常にありがたいことであります。県も、農業政策全体としても、沿岸の方で園芸作物というのは、夏に暑くなり過ぎず、冬にはそんなに寒くなりすぎないということから向いているんじゃないかということで、園芸作物を増やしていこう、強化しようというような政策があるんですけれども、実は有機農業にも向いているのかもしれないなと、今話を聞いていて思ったんですけど、大槌町の環境で向いているなと思いますでしょうか。

伊藤 将太
 そうですね。有機農法に適しているんじゃないかなと思うところについては、内陸部よりもやっぱり海風だったりとかが入ってきやすいみたいなところで、いろいろあると思うんですけど、基本的に常に風が強く弱く吹いてはいるっていうところで、湿気がたまりづらかったりとかもして、カビだったりとか、関係する病害虫とかはあまり発生しづらいのかなっていうのは何となくわかってきている一方で、やっぱり難しいのは、その風が強く吹きすぎるときももちろんあるので、そういうところの対策だったりとかは必要かなと思うところがありますね。

達増知事
 
ありがとうございました。

小野部長
 
ありがとうございました。それでは、4人目の谷村さんの方からお願いいたします。

谷村 優布子
 
改めまして、おおつち百年之業協同組合の谷村と申します。
 我々、おおつち百年之業協同組合は、令和5年の11月から事業を開始いたしまして、今年度が3事業年度目になります。特定地域づくり事業協同組合の制度を活用して設立したんですけれども、メインの事業として特定地域づくり事業、簡単に言いますと、地域内の事業者さんに時季を決めてそれぞれに人を派遣してお仕事をしてもらうという派遣事業の組合になります。派遣事業も行いながら、町との協働事業というのも行っておりまして、昨年度、2024年の5月から始まったんですけれども、クマだとか、あとはシカ、イノシシだとか大槌町内は、結構出没の件数が増えておりまして、そういった人的被害を防止する観点での緩衝帯整備という事業を行っております。この緩衝帯整備というのが、いわば町内の藪だったり、雑木林だったり、このクマだとかの通り道になるところを整備して、見通しをよくして、クマと人間とのすみかを分けようという事業なんですけれども、もともと町として、やっぱりクマが多いというのを課題として挙げていたんですけれども、我々当組合の組合員も事業者の方々も、やはりクマの被害に対して、人的被害ではないんですけれども、売り上げが落ちてしまったりとか、事業場にクマが出没してしまって、お仕事ができないという悩みを抱えていたんですね。その町の課題と、我々組合の事業、お仕事ができないという課題を合致させて始まったのがこの緩衝帯整備事業になります。実際、去年から始まったんですけれども、去年は一昨年に比べて、クマの出没が7割くらい減ったというところと、今年は、ちょっと去年よりは出没しているんですけれども、人的被害がゼロというのを現在も続いております。この整備によって、やっぱり見通しが良くなったことで、クマとの遭遇だとか、クマが出てもすぐに逃げられるっていうような環境整備ができているというのがこの事業になるかと思います。また、獣害対策だけではなくて、この整備、緩衝帯の藪の刈り払いだとか、あとは伐木だとかに関してなんですけれども、この当組合の組合員という事業者が、林業事業者であったりとか、あとは土木・建設事業者の組合も組合員に入っていますので、そういった事業者とのつながりというのを使って、機能的にこの藪の整備だとかっていうのを迅速にできるというのが当組合の強みかなと思っております。
 また、この緩衝帯整備の他に、今年度から始めた事業になるんですけれども、町の事業者さん、組合員以外の事業者さんとお話することが、よくこの緩衝帯整備であったんですけれども、その中でクマの悩みだけでなくて、働き方の悩みだとか、あとは人材不足と物価高によって、それぞれの経費が増えていくことによって経営がうまくいっていないというような、世間話程度ですけれどもお話を聞くようになったんですね。こういうところも我々で何か支援になることができないだろうかっていうことを考えていまして、町内の事業者さんに対する支援という事業を始めていきたいと思っていたんですけれども、「大槌町の方にどういう事業者さんがいるんですか」だとか、あとは「どういう事業があるんですか」っていうのを聞いてみたところやっぱり情報がない。その事業、産業っていうのが、何がメインなのかもまだデータがない状態でして、震災前のデータはあったりするんですけども、震災後にやっぱりそういった事業者さんのデータが少ないというところがあって、まず、この町内の事業者さんの調査をしようということで、町内事業者に対してどういう事業をしていますか、人材は足りていますかだとか、それぞれ事業者さんが抱える問題だとか、課題にしていることがそれぞれ違うので、あと事業者さんが本当に求める支援ができるような調査を現在行っているところであります。
 当組合は、町の課題とあとは事業者さん、それぞれをつなげるようなものと役割を担っていきたいと思いまして、こういった緩衝帯整備だとか、あとは町内事業の調査という事業を行っております。あと、特定地域づくり事業の派遣を並行でやりつつ、本当に町に求められることというか、町の課題というものを解決できるように、今後もやっていきたいと思っております。

小野部長
 
ありがとうございました。谷村さんからお話をいただきました。
 先ほど、伊藤さんは耕作放棄地を活用することで、シカやクマといった課題の解決にもつながるというお話をされていましたし、まさに谷村さんも同じ課題ということで、緩衝帯の整備といったことを、主要な事業の一つとして取り組まれているといったお話でございました。知事からお願いいたします。

達増知事
 
緩衝帯整備はありがたい事業でありまして、組合員に林業関係者や建設関係者もいるということで、そういう技術でどんどん緩衝帯を作っていき、人的被害がないというのはいいことでありまして、見通しがよくなることで、(クマやシカとの)不幸な出会いをしなくてすむという、それはすごく大きいと思います。
 そして、この特定地域づくり事業協同組合という、人と仕事のマッチングをやる中で、町内の事業者さんの悩みも自然に見えてくるので、そういう事業者支援もできるというのは、すごい発見なんだと思います。今、日本全体は物価高騰問題が影を落としていて、景気が良くて物価が上がっているわけではなく、海外から入ってくるものが高くなったがゆえの物価高騰なので、どんどん暮らしがきつくなるし、経済が縮小するということを引き起こすので、日本全体賃金を上げることで克服しようとしているんですけど、やはり賃上げだけでは克服できないというのは、実質賃金がいまだに下がり続けていて、去年はボーナスシーズンだけ上がったんですが、今年はボーナスシーズンも下がっているという統計が出ているので、物価上昇以上に賃上げをするというのは難しいんですけれども、昔オイルショックということが起きて、海外から入ってくるものの値段が高いがゆえに、物価高騰が起きたんですけど、それを乗り越えるのは、生産性向上なんですよね。そして、生産性向上をもたらすようなイノベーションで、当時の日本はオイルショックを克服したというところがあって、当時はオイルショックですから、石油をなるべく使わないような省エネや、そういう技術、あと社会の仕組みとかで、コストを安く抑えて、高く売れるものを作るということで物価高騰を克服していったところがあるので、今そういうことを地域の中からやっていくというのが求められているんだと思いますね。
 働く時間という面でも、もっと働きたいなという人たちもいれば、人手不足というのは、広くある問題でありましょうから、うまくそこをマッチングできて、効率よく働いて稼ぐことで、利益が上がって賃上げもできるということを地方から生み出していければ、今の物価高騰を地方から克服していくことができると思います。ぜひ、そこを大いに期待いたします。ありがとうございます。

小野部長
 ありがとうございました。4人の皆様から、それぞれ今の取組、そして今後の豊富なども含めてお話をいただきました。皆様それぞれアプローチは違うんですけれども、食や自然、あるいは森林資源であったり、土地であったり、そういった地域の魅力ある、あるいは活用可能な資源を生かしながら、人と仕事と福祉といったことがあるかと思います。地域をつなげて、それぞれの地域が抱えている課題の解決につながっていって、それがうまく持続可能性を持って、動いていけるということを意識されながら取り組まれているなというところに、本当に感銘を受けたところでございます。
 皆様から一通りテーマに沿ったお話をいただきましたが、ここからは自由懇談の時間にさせていただきたいと思います。1回目で言い足りなかった点もあろうかと思いますし、あるいはその他、せっかくなのでこの機会に、そういえばというお話でも結構でございます。何でも結構でございますので自由に御発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。他の皆様のお話も聞いて、こういった点もあるといったことでも結構ですし、あるいは事業の中で、今の取組や将来を含めてお話しいただきましたけれども、こういったところもやってみたいなという、今後のさらに新しい風を吹かせたいと思っている分野でも結構でございます。何か県への要望といったこともあるかと思いますが、いかがでしょうか。それでは、谷村さんお願いいたします。

谷村 優布子
 すいません、ちょっとまたお話しさせていただくんですけれども、県の皆様への要望っていうわけではないんですけれども、この特定地域づくり事業協同組合の制度というのが、おそらく県でも、いろんな他の市町村でも、立ち上げを検討しているというのが増えていると思うんですけれども、昨日もちょうど平泉の地域おこし協力隊の方から、「立ち上げたいんだけれども、どういうふうに立ち上げたのか教えて欲しい」というような要望があって、視察対応をしたんですけれども、私たち実際に立ち上げた組合が経験したものっていうのを、他の市町村の立ち上げを検討している皆さんに、もっとよりよく届けたいなと思いまして、なんかそういった交流の場だとか懇談の場っていうのがもっとあったらいいなと思います。この特定地域づくり事業の制度っていうのも、岩手県もそうですし、人口減少していってしまった地域という、そういった地域の人を呼び込む制度にもなるかと思うので、また新しい風というのがその地域に吹くのではないかなと思っていますし、実際に運営していて、とてもよい制度だなと思っていますので、ぜひ私たちが経験したこと、立ち上げのときにこれだけ苦労したというところだとか、実際に立ち上げて運営をしてみての感想だとか、こう感じているっていうところを、ちょっと皆さんに、よりよく届けたいなというのがありまして、もしかしたら難しいかもしれないんですけれども、そういった他の市町村の皆様にも、ぜひこの制度を使ってもらいたいというのと、それぞれの課題をこういった制度を使って解決に導いて欲しいということもありまして、ぜひそういった場を作っていただけないかなと思っております。

小野部長
 
ありがとうございます。県では、ふるさと振興部という部署で特定地域づくり事業協同組合について担当させていただいておりますけれど、谷村さんのところに加えて、確か県北の方にも立ち上がってきております。徐々に、これから(特定地域づくり事業協同組合が)立ち上がってきて、特にお話の派遣といいますか、(ノウハウをもった)人材をうまくマッチングできるということが、地域づくりや地域の産業といったところで、重要なテーマになってくると思います。人口減少の中で、おおつち百年之業協同組合さんのこの動きを、あるいはその御苦労や工夫を、広げていければというふうに考えております。これについては、持ち帰ってそういった機会ができるように話をしたいと思います。ありがとうございます。
 その他いかがでしょうか。何でも結構でございます。先ほど、(菊池さんは)ピザ屋さんに展開されているといったこともお話されていましたが、これからの方向性や需要など、何かございますでしょうか。

菊池 隼
 農業、林業、水産業など、現在では個別的に施策が遂行されていると感じているものが、各分野を連携することによって課題解決することも往々にしてあると思うんです。例えば、国産材の需要が少ない場合においては、木材を炭化して、CO2吸着をして、農業の方にすき込みをするような活動も展開できればというふうに思っております。地域の特性を生かして各分野で連携をしながら、事業が展開できればいいなというふうに思っております。特にも弊社、環境省さんと一緒に最近は仕事をさせていただいておりますので、釜石の場合だと、環境の部分に関しては、重要施策として進められているところもあるので、そういうものを作るために、各課において、大変御苦労されていると思いますが、(地域課題の解決に向けて各種の)連携をしながら、何か一つの課題を解決する仕組みというのができればいいなというふうに思っております。(岩手は自然資源の)ポテンシャルはやっぱりすごく高いので、どの分野においても、そのポテンシャルをうまく使いこなすっていうのを進めればなというふうに思っております。

小野部長
 
ありがとうございました。先ほどの木炭の農地へのすき込みというのは新たな取組で、非常に大きいと思います。ありがとうございます。そういった連携もこれから重要になってくるといったことでございます。
 いかがでしょうか。まだ時間ございますけれども、何かございますか。伊藤さん、例えば関係人口について、いろいろとお考えということですので何か良いヒントでもありましたらお願いできればと思います。

伊藤 将太
 協力隊の活動のときに、立ち上げたというか行っていた事業として「ワカモノカケル」という事業をやっておりまして、都内じゃない、県内の大学生だったりとか県外の大学生も含めてですけれども、大学生向けに、1週間のチャレンジプログラムみたいなものを実施しておりまして、今年春には実施しようかなというところで今準備を進めているところなんですけれども、大体毎回10名ぐらい参加していただけるって形で、中にはその活動を通して岩手で活動していきたいっていう方がいて、地域おこし協力隊をちょっと志している方が数名いたりだったりとかっていう形で、若者の関係人口づくりみたいなものは、今後より力を入れていきたいなというところで考えておりまして、そこに一次産業、自分が会社として農業やっておりますので、そこのなりわいづくりだったりとか担い手育成みたいなところとうまく絡めていけることが、何か企画として作っていけるんじゃないかなというところは、構想段階ですが、少しずつ考えているところでございます。

小野部長
 
ありがとうございました。先ほど異なる産業、農林水産業をうまく活用し連携させるというお話もありますし、関係人口においても、そういった農業を絡めることによって、さらに魅力が強まってくるのかなと思いました。ありがとうございます。
 その他いかがですか。では、石塚さんからお願いいたします。

石塚 佳那子
 私の取組も、農業、農園もあれば関係人口とか地域の方とか、いろんな人と一次産業みたいなところがあるので、皆さんの取組を今日伺っていて、すごく参考にできるところもありましたし、どんどん人口が減っていく中で、1団体だけで頑張っていても限界が見えるところが多くあるので、大槌釜石の近い地域で連携できるところは連携したりですとか、意見交換していきたいなというのも改めて感じました。あとは、県への要望ではないんですけれども、子育て支援というところで、釜石で子育て層の方と話していても子育て支援の有無で県外や市外に引っ越していく方もいて、今後の釜石の人口であったりとか、子どもの数の減少が気になっているところです。幸せとか希望とか、そういったところをテーマにしている県なので、子どもが育ちやすい、育てやすい地域というものをアピールできるような方向に、県がもっとこう進んでいくと、私も嬉しいですし、今後、移住を検討する方が居住地を選ぶときに絶対軸になる観点なので、ぜひ、取組を強化していただけたら嬉しいなと思っております。以上です。

小野部長
 
石塚さん、ありがとうございました。子育て支援、子育てが快適にできる場づくりといったことで、県の方でも様々な取組を進めておりまして、例えば、森林との関係でいいますと県産木材を活用して、公共機関や商業施設の中に、お子さんと一緒に遊べるような場づくりを、市町村と一緒になりながら取組を進めているといったこともございます。その他、まさに石塚さんが取り組んでいらっしゃるような食とか自然とか、農業、こういったものも絡めながら集まれる、あるいは子育てできる場づくりといったことも、大いに参考にして参りたいと思います。ありがとうございました。
 時間がまだ少々ございますけど、いかがですか。よろしいですか。

知事所感

小野部長
 
それでは知事から、最後にお願いいたします。

達増知事
 
石塚さんは富山県出身ということで、あと他の皆さんは岩手県出身ではあるんですが、出身地と違うところで活躍をされていて、それぞれ外から見る目線というもので、大きく地域貢献をしていただいていると思います。やはり外部からの目というのが、新しいことを地域で起こしたり、また成功させたりするのに非常に大事でありますので、ぜひ、その調子でお願いしたいなと思います。
 そして、行政の仕事は一次産業を、あえて農林水に分けて、またそれをさらにまた細かく分けて仕事をしているわけですけれども、思えば、昔の人は農業、林業というのを一体的にやっていて、農業をやりながら裏山で山の仕事をしていたし、海が近くにあれば農業をやりながら、漁業もやっていたということですし、そして農業をやりながら子育てをしていたりとか、分野を横断的に、生活と仕事というのが融合してというのか、それぞれの生き方の中でうまく組み合わせられて発展していくと、特定地域づくり事業協同組合は、そういう融合させたり組み合わせたりというのを制度的によみがえらせているんだと思いますね。そういう、地域地域での環境に合わせて、個人個人が自己実現していくにあたって、必要な仕事をして、そして生活を豊かにできていければ、それが日本全体の未来の姿、あるべき姿、それが地方でこそ実現できるということだと思いますので、ぜひ皆さん、この調子で頑張っていただきたいと思いますし、県もそれをしっかり応援していきたいと思います。今日は、どうもありがとうございました。

閉会

小野部長
 
ありがとうございました。
 皆様、本日は貴重なお話、御意見を頂戴し、本当にありがとうございました。いただいた御意見につきましては、県の関係部局と共有いたしまして、今後の県の施策にしっかり生かして参りたいと思います。本日は、「復興その先へ~三陸に新たな風を吹かせる~」をテーマに、釜石地区におきまして、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」を開催させていただきました。以上をもちまして、閉じさせていただきます。皆さん、本日は本当にありがとうございました。

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