岩手フロンティア・フレッシュトーク(平成19年12月11日)

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ページ番号1000926  更新日 平成31年2月20日

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対象地域:県南広域振興圏
開催場所:奥州市

県政懇談会「岩手フロンティア・フレッシュトーク」懇談記録(県南広域振興圏)

  • 日時 平成19年12月11日(火曜日)13時40分から15時00分
  • 場所 奥州地区合同庁舎 1階 第1会議室B

開会

酒井局長
ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア・フレッシュトーク」を始めさせていただきたいと思います。
皆様には、大変ご多忙のところをおいでいただきまして、ありがとうございました。
きょうのフレッシュトークの司会進行役を務めさせていただきます県南広域振興局長の酒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

酒井局長
それでは、開会に当たりまして、知事ほうから一言ごあいさつをお願いいたします。

達増知事
皆様、こんにちは。日ごろからそれぞれの会社や地域で活躍して、それぞれの会社や地域のためのみならず、岩手のためにも大きく貢献をしてもらっておりまして、ありがとうございます。
「岩手フロンティア・フレッシュトーク」、私もあちこち就任以来回って歩いているのですけれども、特に若い皆さんの地域に根差した仕事や、また暮らしの中でいろいろ気づいたこと、思っていることなど教えてもらいながら、これからの岩手、特に県南がどういうふうになっていけばいいかということで、そういう一種の作戦会議をしたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

酒井局長
どうもありがとうございました。
それでは、本日のご出席の皆様をご紹介申し上げたいと思いますが、今日ご出席いただいた方は、県南広域振興局で地域協働委員というのをお願いしている方々がございますが、今日おいでいただきましたのは、その協働委員になられている方から、若い皆さんをご紹介いただいて、お願いしたということでございます。
それでは、名簿がございますので、名簿に沿ってご紹介申し上げたいと思います。
まず、久保田龍介様、志戸平温泉ご子息。

久保田龍介
よろしくお願いします。

酒井局長
次は、民宿とおの、佐々木要太郎様。

佐々木要太郎
よろしくお願いします。

酒井局長
次は、東京エレクトロン東北株式会社の高橋和士様。

高橋和士
高橋です。よろしくお願いします。

酒井局長
次は、農業ということになっております。高橋清文様でございます。

高橋清文
よろしくお願いします。

酒井局長
世嬉の一酒造株式会社の吉田博幸様。

吉田博幸
よろしくお願いします。

酒井局長
あと、今日、谷村電気精機の谷村康弘さんにご出席いただく予定でございましたが、ここに向かっている途中に会社のほうから急用が入ったということで戻られましたので、今日は残念ながら出席できないということになりました。よろしくどうぞお願いいたします。

懇談

酒井局長
それでは、早速懇談に入りたいと思いますけれども、懇談の冒頭にとりあえずお話のきっかけになるかなということを考えまして、お配りしております「新しい地域経営の計画案」というのがございますが、これと、それから「産業振興戦略」という冊子を、これもあらかじめ送付しておりますけれども、それを私のほうから、時間も短いようですので、簡単にご説明申し上げた上で懇談を進めていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、恐縮でございます、座りながら説明させていただきます。
まず、新しい地域経営計画の関係でございます。1枚表紙のコピーがありますので、これをとっていただいて、2枚目からでございます。ここで1と2について、圏域の目指す姿というものを書いています。この中で、1番上のところなのですが、県南広域振興局というのは、本県内で最も工業集積が進んでいる地域であるという、県全体の約65%、製造品出荷額の65%はこの県南圏域、北上川流域を中心に集積をしております。工業がその65%を担っているという状況にあります。
それから、本県有数の農業地帯でもございます。農業の生産額でいいますと、約42%ぐらいですか、そのぐらいの県南圏域で生産されているというふうな状況でございまして、いずれ農業と工業がバランスよく融合している地域であるというところでございまして、やはりこの県南広域振興局の振興を考える場合は、こうしたことを地域の強みというふうに認識をいたしまして、これを生かした産業振興、そういったことに取り組むことが重要だというふうに考えておりまして、それを生かしながら、一層さまざまな分野で世界に誇れる岩手というものを牽引する地域を目指したいというふうに考えておるところでございます。
それから、少し白丸を3つ飛んでいただきまして、下から2番目の丸でありますが、これは地域の方々と、あるいはNPOなどと、当然企業ですね、そういった方と協働によりまして環境の維持保全、あるいは公共施設、農業施設の維持管理、こういったことを、今も行われておりますが、こういったことも行いますし、産業振興という面でも、この行政と民間、それから官と民、それから民と民、民間同士が連携をして、この地域の社会が充実できるような取り組みがなされている地域ということを目指したいというふうに考えています。
下のほうに、連携と協働による地域の自然を生かしながら世界に誇れる岩手をリードする地域、これはキャッチフレーズといいますか、キャッチコピーであるわけでございますけれども、こういったことをこの圏域の目指すところといいますか、キャッチフレーズとして掲げた計画をつくっているというところでございます。
この意味というのは、連携というのは、ネットワークということでございまして、要するにつながって協力をし合って物事を行いながら、協働し次に進んでいく。そして、世界に誇れる岩手をリードしていこうと、そういった地域を目指していくということでございます。
右側のほうをご覧いただきたいと思いますけれども、圏域の施策の基本方向ということでございまして、大きく2つの基本方向を掲げ、そしてそれぞれ7項目14の重点施策というものを掲げた計画としております。
2つの基本方向というのは、1つは1で囲みで書いてあります。地域のあらゆる資源を生かしながら、世界に通じる技術と個性ある地域素材が織りなす強い地域産業が躍動する社会の構築ということで、まさに地域産業の振興に関するものでございます。
重点施策ということで、下のほうにゴシックで濃くなっておりますけれども、世界に通用するものづくり基盤の構築、2番目が観光産業の振興ということで、以下7項目の重点施策を掲げているところであります。
それから、2として助け合う風土や豊かな自然を大切にしながら、安全で安心して暮らせる住みよい地域社会の形成ということで、これは暮らしに関することと言えると思いますが、これにつきましても重点施策として下のほうに、8番から14番までございますけれども、勤労者が健康で安心して働ける環境づくり以下まちづくりの推進まで、この2番目に関しましても7つの重点施策を掲げて計画としているところであります。
この関連の中で、今日お配りしました、1枚めくっていただきますと、大きく表がございます。県南広域振興局における各種ネットワークでございますけれども、これがその県南広域として8つのネットワークを昨年以来つくり上げております。一番上が北上川流域のネットワークということで、これはいわゆるものづくりの人材を育成するということを中心としたネットワークということでございます。これには、構成員として189機関、団体、うち企業が130社ですけれども、このぐらいの企業が入ったネットワークをつくって、人材の育成をしているわけでございます。
それから、以下、全部の説明は、省略いたしますけれども、ちょっと中のほうあたりは、岩手県南広域観光産業振興推進協議会ということで、これは管内の市町、あるいは観光協会、それから若干民間も入っていただいておりますけれども、そういった団体、機関で岩手県南の広域の観光振興をするための取り組みをいろいろ提供する組織をつくっているところであります。
それから、その下に南いわて食産業クラスター形成ネットワークというのがございまして、食産業というのは、農業、それから食料品製造業、それからいわゆるレストランとかホテル、旅館とか、そういった3次産業でありますけれども、いずれそういったものを食産業というふうに言いまして、この食産業振興をクラスターというものの形成を目指しながら進めていって、この地域の食産業振興を図っていこうというようなことで、こういったネットワークをつくっているところでございます。
それから、一番下のところに北上川流域観光地域づくり協議会とございまして、これは国土交通省の観光地域づくり実践プランというもの、今年この圏域が認定をされましたので、このプランに基づくアクションプログラムというのを策定してございますが、要するに北上川を観光資源として活用して、この地域の観光を中心とした地域振興を進めようということで、いろんな構成員によってこういった協議会をつくっているというところでございまして、こういったネットワークを中心に、今日は農業関係の方、それから観光関係の方、それからものづくり関係の方に来ていただいておりますので、そういったことを進めていこうというふうな体制を県南地域ではとっておるということでございます。
それで、あとは「産業振興戦略」というの、前にお配りしました冊子を簡単に、ご覧いただきたいと思いますが、時間がありませんので、説明は省略をさせていただきたいと思いますけれども、これの2ページというところがございます。2ページに1、2で工業振興戦略というのがありますけれども、そこで右側のほうに目指す姿というものがございます。ここは、いわゆるものづくり、工業についてのこういったことを目指した工業振興、ものづくり産業の振興を図っていこうということがこの2ページのところに書いているところであります。詳しい説明は、時間がございませんので、大変恐縮でございますが、省略をいたしますが、ビジュアルに書いてございますので、何となくイメージはつかんでいただけるのではないかなと思っております。
それから、ちょっと飛びます。6ページのところが観光産業の振興というところでございまして、この目指す姿として大きく3つ考えてございますけれども、1つはやはり観光産業、ホテル、旅館とか観光産業そのものの経営力をつけるということが大切だろうということで、観光産業の経営改善ということについても取り組むということでございます。
それから、地域資源を生かした地域ぐるみの観光が展開されているというところで、そこに平泉文化だとかいろいろ書いて、あるいは食の文化とか、そういうのを書いてございますが、こういった地域資源を生かした観光振興、それから、未活用資源の活用ということで、先ほど言いました北上川だとか、平泉関連、それから産業振興というのは、いわゆる工業とかそういった産業を観光に活かし産業観光と、こういったところでございます。
それから、10ページをご覧いただきたいと思いますけれども、10ページは食産業振興ということであります。これは、先ほど食産業クラスター形成ネットワークというお話をしましたけれども、イメージとして、こういった産学官民から成るいろんなセクターが集まってクラスターというものを形成していって、付加価値の高い食産業振興を図ろうということを目指すというところを絵でイメージで出しております。
それから、最後14ページ、農業の話をしたいと思いますけれども、14ページには持続可能な地域農林業の確立ということで、今日は農業の方においでいただいて、高橋さんにおいでいただいているところでございますけれども、基本としては、いわゆる担い手対策というものをしながら、米というものに過度に依存しない、水田農業に加えて園芸とか畜産、そういった複合経営を目指すような地域、そしていわゆる食産業、食にかかわる2次産業、3次産業と連携をした1次産業の振興を図っていこうというふうなイメージで考えているところでございます。
ちょっと簡単でございますが、以上、この圏域として産業振興に、今日おいでの皆さんに関連することを簡単に説明させていただきました。
あと、以下は、今私が申し上げましたことに関連しても結構でございます。あるいは、全くこれを離れても結構でございますので、知事と自由に意見交換をしていただければと思います。

達増知事
というわけで、県南という範囲でいろいろやっていこうということでありまして、今までも県や市町村がそれぞれ産業振興とか生活関係の対策でありますとか、やってきたのですけれども、それぞれ県も市町村も財政的に厳しくなっている中で、従来型の縦割りで予算を使って事業をしていくということは、むしろ規模を縮小せざるを得なくなっている状況となって、しかし一方では民間の力、地域の力というのも大分ついてきていて、うまくそれを伝えていけば、いろいろ今までできなかったことができるような時代にもなっているので、そういう「新しい地域経営の計画」というタイトルがついているのですけれども、みんなで地域を経営しようではないかということなわけです。行政による統治というような発想ではなくて、県も市町村や団体や企業等々と一緒になってみんなで力を合わせていこうということなのですけれども、こういった新しいやり方についての疑問とか、あるいは自分たちがやっていること、自分がやっていることに絡めて、こういうこともあるのではないかとかというのがあったら出していただきたいのですけれども。
では、順番に名簿順、この出席者名簿の順番で久保田君からお願いいたしましょうか。

久保田龍介
地域計画の世界に誇れる岩手というのがすごくいいなと。私は、個人的なあれなのですけれども、岩手がすごく大好きで、この自然の中に北上川1本背骨があって、そこに農業とか商業とか観光というものが生み出されている、そういう岩手がすごく大好きで、世界に誇れる、世界に誇っていい文化がまだまだ眠っているのではないかなと。私は、観光のものの中でまだまだアピール、PRできる部分が眠っているのではないかというふうに思いますので、世界に誇れるというのは、観光に関して言えば、世界中からお客様を、観光客を呼べるような、そういう地域になればいいなと、ちょっとこれを見て、率直にそう思いました。

達増知事
志戸平温泉は、外国からのお客さんというのは結構来ていますか。

久保田龍介
はい、台湾からも。台湾は、秋の紅葉シーズン、やっぱり多いです。紅葉を見て、喜んで帰っていきます。

達増知事
台湾には、紅葉はないのでしょうね、暑いところなので。

久保田龍介
調べたことはないのですが、多分、ないと思います。

達増知事
では、佐々木要太郎君。

佐々木要太郎
自分もどちらかといえば観光産業、食産業にかかわっている者なのですけれども、今ちょうど自分が遠野に帰って4年ちょっとになるのですけれども、やっぱり肌で感じていることというのが、待っていたら外からお客さんは来ないなという時代に間違いなくもう入ってしまっていると思うのですね。あくまでこれはすごく個人的な意見なのですけれども、よく遠野って観光地、観光地というふうに全国的にも取り上げられたりとか、今年に関してはNHKの「どんど晴れ」という番組ですごく大々的に取り入れられたという部分があったのですけれども、実際僕が感じているというのは、余り観光地的にうまいこと動いていないのではないかなというのがすごく肌をもって感じるのですよね。それは何かといったら、ある一定の観光施設に関しては、例えば足をとめて寄っていってくれるお客さんが数多くいらっしゃるとは思うのですが、ではその遠野市内の町なかという部分に関して見ると、やっぱり素通りしているのが現状なのかなという気がすごくしているのですよね。だから、今はやっぱりどこをどう改善しなければだめなのかなと、こう思ったときに、まず真っ先にやらなければだめだと思ったのが、その遠野という地域、もしくは特産品とか、例えば遠野の生産者の顔というものをいかに市外、県外の人たちにアピールできるかというのがまず1つのポイントになってくるなというのはすごく感じて、そういうのも先立っていたときに特区というものがあって、どぶろく特区というのは遠野が認定されて、それで私が取り組むようになったのですけれども。そういうふうな流れもあって、真っ先に瓶に詰めて外に持ち出せるような環境をつくってアピールしなければなというのがまず第一に思ったことではあったのですけれどもね。
だから、まずは生産者の顔というものをやっぱり、あくまでも生産者が主役になれるような環境ということが、実際今の自分の店も踏まえて遠野市内というか、遠野ということを踏まえて、今真っ先に必要なことなのではないかなと、帰ってきて、率直にすぐに感じたことではありました。

達増知事
観光スポットみたいな、カッパ淵とか、ともすればそういうところと点でしか人が来ないというような嫌いがあって、エリアとしての遠野に滞在するとかという、今までは少なかったのかもしれないですね。

佐々木要太郎
そうですね。

達増知事
「どんど晴れ」で遠野に滞在するみたいな、テレビのドラマでやっていたけれども、ああいう長期滞在したからあちこち見て歩くというようなことの1つの拠点として民宿の意見ですね。
では、高橋和士君。

高橋和士
お話しの中で感じましたのは、官と民と、民と民との連携というところなのですが、私が勤めている東京エレクトロン東北は、官への依存度が比較的低い産業と感じておりまして、産業によって官への依存の多いところと少ないところ、民同士の取引で自立しているところといろいろあると思うのですが、そこに対して産業の要求度合いに応じた行政のサポートをどういうふうに展開していけるかということが重要かと思いました。

達増知事
行政のサポートが必要な分野というのは、例えば建設とかそういう、公共発注のあるところということですかね。

高橋和士
生活に直結するような産業などはそうだと思うのですが、私の勤める会社は産業用機械を扱う会社ですので、地域に対しては余り活動成果が貢献しない産業ですので、言い方が難しいですけれども、地域に貢献するような、直接的なものとして、サービスとして供給できるようなところに対しては行政のサポートが積極的で、製品やサービスが広く展開されるというところに対しては、多少手薄でもいいのではないかということが感覚としてはあります。

達増知事
確かにいろいろ岩手の産業にまつわる統計を見ていて1つ驚いたのは、レンタルリース業というのが売り上げが360億円くらいになっていて、岩手の農業の総生産高が2,500億、そして漁業が400億ぐらいで、林業が1,500億ぐらいだったかな、そういう漁業や林業の400億とか150億とかに比べて、DVDのレンタルとか、あとはレンタカーとか、そういう大きいのも合わせて360億だけれども、そういうレンタル業などというのは、県も市町村も何の支援もしていないということもないけれども、いろいろ間接的にはあるのだけれども、一種自力で、自立でそういうぐいぐい伸びているような分野もあるのだけれども、ただそういうのをお互い知るというのがすごく大事ではないかなと思って、東京エレクトロンさんみたいな会社についても、地域のいろんな中小企業にとってはすごいヒントとか、一緒に仕事を何か感化させてもらう中で、つくっているのをそっくりまねられると困るだろうけれども、そう簡単にまねできないようなものをつくっているわけでありまして、何かそういう相乗効果みたいなものが地域の中で出てくるといいと思いますね。
では、農業代表の高橋清文君。

高橋清文
私は、農業でも田んぼの水稲をやっております。面積は6町歩近くあるのですけれども、あと作付はその半分ぐらいなのですけれども、あと和牛のほうで繁殖牛が43頭ほどと肥育牛90頭ぐらい飼っているのですけれども、いずれ農業は今農業だけではないのですけれども、目まぐるしく情勢が変わりますし、国の方針とかもすぐ変わるというか、特に変わると言えば、集団での作業をせざるを得ないというか、そうではないと補助金出さないよといったことで、ちょっと自分は畜産のほうに力を入れているもので、どうしても若手が少なくて、それでもいるほうの地域なのですけれども、どうしてもそっちのほうに引っ張られて、自分のやりたい仕事ができなくなっているというのが、実際ちょっと厳しいところかなと。結局断り切れなくて、いつもそっちのほうに狩り出されて、畜産のほうの規模拡大もしているのですけれども、ちょっとそれ以上できなくなっているという実情もあります。
また、あとこの辺で、この辺でというか、去年からいわて奥州牛ということで、この地域でブランド、新ブランドを立ち上げて1年半ほどになるのですけれども、大分地域にも浸透し始めてきていますし、関東のほうとかでもある程度特化されてきています。今日は、旅館とかされている方もおりますけれども、やっぱり地産地消というか、それをもっと強くアピールして、逆にこっちからも宣伝といいますか、アプローチかけたりもしているのですけれども、積極的に新しいブランドにも目をつけてもらって、例えば岩手ならすぐ前沢牛と走りがちですけれども、まだまだいい新しいブランドとかあるので、そっちのほうにも目を向けてほしいですし、行政のほうでも橋渡し役もやっていただければ、なお互いに発展するのではないかなと、このように思っています。

達増知事
そうですね、そういう岩手ブランドのヒット商品をどんどんふやしていくことは、すごく大事だと思うので、対外的なアピールをしていくためにも、地域で愛されているということがすごく大事だと思うので、そういうのはやっていきたいですね。
あと、集団で作業をしなければならないというのは、畜産はやっぱり手間暇かかるわけで、自分のところでやっているやつをやっていくのも大変だと思うけれども、どういう作業を求められているのですか。

高橋清文
大豆刈りとか、あとは耕畜連携の、草のほうはしようがないかなという面はありますけれども、あとは稲刈りとか。それは、これからなおさら深刻な問題になっていくのかなと感じていますし、今のところは何とかかんとかやっていますけれども、採算的には、もう採算割れしていてもやらなければならない状態になっているのが本当に厳しい状態です。

達増知事
米は、やっぱり価格も下がってきていると……

高橋清文
そういう意味でも、米もやっぱり地産地消はもちろんですけれども、もうちょっと何らかの形で付加価値を高めて販売するとか、転作の大豆にしてもですけれども、何かやっていかなければいけないのかなと強く感じています。

達増知事
では、吉田博幸君。

吉田博幸
うちは、造り酒屋なのですけれども、お酒の工場をちょっと移動しまして、その蔵でレストランをやっておりまして、郷土料理を主体にして、午前中なんかは観光客の方々を対象にしてお餅とか、そういう郷土料理を出しているのですけれども、3年、4年くらい前からだんだん観光客が減ってきているというのが事実でございまして、意外とお酒の配達なんかに行っても、観光地とされているところも今ちょっと寂しいなと、こう個人的にやっぱり気になっていて、今平泉の世界遺産がもう少しで登録になるかもしれないということで、個人的にも期待をしているといいますか、にぎやかになれば遠くの東京とかあっちの都会のほうからお客さんにどんどん来てもらって、にぎやかになればいいなと思うのですけれども。
どうしても平泉の観光というのは、私の勉強不足かもしれませんけれども、そんなに見るところがないなという話、毛越寺とか、中尊寺とか、あっちのほうを見て、すぐもう気仙沼のほうに行ってしまうという、一連の流れがちょっとないというお客様からも聞いて、すぐもう宮城県に行ってしまって、そこで宮城県で1泊をして、あとはもう帰ってしまうというような、何かいろんな、ほかにも岩手県にもっといいところがあったりとか、おもしろいもの、楽しいところとか、そういうのがあるのに何かもったいないなという気持ちもあります。そういうところで何か一連の流れという、ここも見どころがありますけれども、ツアーみたいなこういうのがあれば、もっと岩手県もにぎやかになって、滞在型、泊まっていただければさらにもっとにぎやかになるのかなと、そういう思いが個人的に思っているところであります。

達増知事
ここ三、四年、観光客が減っているというのは、一関周辺の厳美とか、猊鼻とかのことですね。
岩手県は、実は観光客入り込み数は全体としても徐々に下がっていて、東北6県では一番少ないですよね。だから、来年は平泉世界遺産登録をぜひ実現して、それをてこにして、世界中から平泉に目が向くので、平泉以外にも花巻とか遠野とかにいいところがいっぱいあるよというアピールをぜひぜひしていきたいですよね。
ちょっと平泉世界遺産登録に関して、久保田君のあたりでは、何か期待とか取り組みとかあれば紹介してください。

久保田龍介
期待しています。今までもNHKの大河ドラマとかで平泉とかを取り上げられたこともあります。そのときも、やっぱりそれなりに観光客はふえていますので、世界遺産の登録となれば、もちろんそのネームバリューも全然違いますし、期待できるのではないかなと。ちょっとでも、先ほどおっしゃいました平泉を見て、その後どうなるのかなと、そのルートを考えたときに、平泉を見て、次に有名なのって松島に行ってしまうのではないかなと。平泉に来て松島に……

達増知事
奥の細道。

久保田龍介
私なんかも東北、岩手で生まれて大学は仙台、それ以外住んだことないので、余り関西のほうとかはわからないのですけれども、あっちのほうに行くと、最初におりた空港が例えば大阪の空港だったら、兵庫県に行っても大阪にいるような気分、土地勘がないので、それと同じようなことが観光に来るお客様にも起こっているのではないかなと。宮城県におりたら、例えば平泉に来て、松島に行くというのは、岩手に入ったという感覚すらないのではないかなと。ルート、平泉のあたりまで、要するに宮城県だと思われたら、ちょっと岩手としては立場ないかなという。岩手に来たら、花巻の賢治見て帰るとか、さっきおっしゃっていただいた遠野を見て回って帰るとかして、岩手を堪能してほしいなという思いがありますね。

達増知事
東京のほうの人たち、やっぱり平泉というのは宮城県にあると思っている人が時々いますね。そういう人たちに遭遇することがあって、仙台空港とか便利なので、向こうからどんどん平泉に入ってきてくれる人がふえる分にはいいと思うけれども、岩手は岩手でやっぱり平泉をきっかけにして岩手に来る人をふやす工夫をしていかないとだめですよね。

久保田龍介
世界遺産をきっかけにして、岩手のいろんなところを知ってもらえる1つのきっかけになるのではないかなというふうに……。

達増知事
遠野のほうは、平泉に効果とか期待や何か取り組みとかはありますか。

佐々木要太郎
そうですね、やっぱり登録されることによって、外からのお客さんも県内に呼び込める、それに伴ってやっぱり遠野とか、あと温泉地である花巻とか、あとうまいこと何らかの絡みがあって来るんじゃないかなというのは、すごく今自分個人としては思ってはいます。

達増知事
ストーリー性なんでしょうね。松島に行ってしまうというのは、奥の細道、平泉イコール奥の細道、松尾芭蕉で、だから松島にも行こうとか、実際宮城県知事さんとか仙台、宮城のほうの人たちの話を聞くと、全体そういうつながりで宮城のほうを回ってもらおうとか、あとは山形県の人たちは、松尾芭蕉は山形のほうにも行っているから、そっちにも平泉の後は山形に来させようとかということをしていますしね。
岩手として平泉をアピールする際に、ユネスコの世界遺産登録のその申請書にも書いているのだけれども、平泉の価値というのは、1つは人と人とがともに生きる、敵も味方も一緒に前九年の役、後三年の役、えみしも源氏も区別なく命の尊さ、死を悼み、平和を祈るという、そういう人と人とがともに生きるという、人と人との共生という価値、理念があるのと、もう一つは人と自然の共生ということで、「浄土思想を基調とする景観」というサブタイトルが世界遺産登録申請書についているのだけれども、インド、中国で発達した浄土思想というのの浄土のイメージは、人工庭園みたいなやつで、池も四角いプールみたいな池にハスの花が咲いているというイメージなのだそうだけれども、それが日本に入ってきて、自然の山や川、自然の池をそのまま浄土のイメージにするという一大転換が日本に入ってきて行われる、その一つの頂点をきわめたのがあの毛越寺の浄土庭園とかなので、そういう人と人との共生、人と自然との共生、そういう価値が実は平泉が突然変異的にそうなったわけではなくて、岩手には昔からそういうのがあったというのをアピールしたいと思っていますね。
それで、宮沢賢治のああいうどんぐりと山猫とかがしゃべったり、山猫が出てきたりとかという世界もつながっているし、遠野みたいにカッパが出てきたり、座敷わらしが出てきたりというのも、そういう人と自然が一体になって生きてきたから、そういう岩手の風土があったからああいう平泉ができたのだという説明をして、だから平泉も見たなら宮沢賢治記念館にも行きなさいとか、遠野のほうに行って、カッパや座敷わらしに会えるかもしれない、そっちにも行きなさいとか、そういう宣伝をしたいと思っていますね。
あとは、そういう人と自然が一つになって生きてきたというのは、そういう人たちがつくる農産物というのは、これはほかのところでつくっているやつとは違うという、そういう農産物の質の高さとか安心安全の丁寧さとかもアピールできると思うし、あとものづくりというのも、結局あれは物に心を込める作業で、そういう人と物とが一体になるみたいな、そういうほっとけば物でしかないものに魂を吹き込むような作業が物づくりの原点であり、真髄だと思うので、そういう岩手の風土のもとに生産されている工業製品というのは、質が高いのだよというような、そういうアピールにもつなげたいと思っておりまして、そういう平泉というのをきっかけにして、岩手が持っているそういう本質、あらゆる産業の基盤になっている岩手の心みたいなやつをぜひアピールしたいと思っていますよね。それが、観光はもちろんなのだけれども、農林水産業とか商工業でもひとつ弾みをつけていくきっかけに平泉をしたいと思っています。
では、高橋君にもう一回聞きますけれども、そういう中で岩手の物づくり産業、特に県南における元気、エレクトロニクスとか、あとは自動車関連とかというのは、今や岩手の新しい顔と言ってもいいと思っていまして、やっぱりそういう分野が岩手の中で伸びて活躍するということで岩手全体を牽引していく非常に重要な分野だと思っているのですけれども、その辺行政に期待すること、あるいは岩手に対してこういう貢献をしたいとかあればお願いします。

高橋和士
まさに振興戦略に書かれている基盤構築というところなのですが、半導体ですとか、そういう先端的と言われている産業からいうと、地元で調達したいという状況であっても、先端的な技術が要求されるところに対して、対応が困難であるために、遠く離れたところに発注しなければいけないというのがやはり多々あると思います。ここに書かれているように、ものづくり基盤という、例えば旋盤加工だとか、そういうところに対して底上げを図るというような対応が非常に急がれているのだと思っております。
ニーズを酌んでいただいて、地場産業を盛り上げていただくというのは非常に重要なところかなと思っております。

達増知事
岩手の地場産業、時間と手間暇さえかければクオリティーの高い部品、製品をつくれるとは思うのですけれども、ただそれを低コストで大量につくってもらう必要があるわけですよね。だから、そういうシステムにするところが今必要なのですかね。

高橋和士
量産力だけではなくて、技術力が必要と思っています。いろいろな部品に、求められる技術に対して、企業が県外にしかないとすれば、ジレンマを感じるところもあると思われます。

達増知事
まず、大体、観光、農林水産業、商工業と話は一巡したのですけれども、それぞれの分野からの発言でもいいですし、またそれにこだわらず、一若者としての意見でもいいですし、この岩手をよくする、特に県南をよくするということについて、ああしたらいいのではないか、こうしたらいいのではないかという、そういうアイデアをいろいろ出してもらうと助かるのですけれども、何かないでしょうか。
何かありそうな吉田君にちょっと。

吉田博幸
難しいなとは思いながら。

達増知事
さっき観光で人が来なくなるという関連で、何かいろいろこういうのがあればいいのではないかみたいなことを言っていたと思うのですけれども。

吉田博幸
お客様に対して説明し、お客様にわかっていただける、その説明する知識というのが意外と自分の生まれ育ったところというのは余り関心がない、今までは関心がなかったというので、そこにあるのが当然ですので、そこまで詳しく調べないというか、興味が持てなかった自分がいて、最近東京のほうなんかにもちょっと外販、販売会とかで出張に行くと、余計岩手のよさというか、初めのころは、本当に田舎は嫌なところだと思っていたのですけれども、都会に1週間、2週間といるにつれて、逆に田舎のよさというか、何かそういう第二の人生を田舎で暮らしたいというのをよくテレビで見ますけれども、そんなばかなと思っていたのですけれども、実際にそうやってみて、本当の田舎のよさ、田舎というか、郷土のよさというか、そういうよさがわかってきて、それまで先ほど言ったように、平泉の知事が言ったようなことなんか全然、実際どういうために世界遺産になるのかというのが頭に入っていなくて、ただ世界遺産というだけ、その内容も知らずに何だ何だと、何となくそういうことだけだったので、やっぱりもうちょっと学生とかそういう若い人たちにも、なぜ世界遺産なのか、なぜ中尊寺がそんなにいいところなのだなんていうのももう少し教えてもらったら、郷土に誇りが持てるというか、だから世界遺産になれるのだぞと、都会の人なんかにも威張れるように、県南なんかもそういう威張れる顔をつくってほしい、自慢できるところを持ってもらいたいという部分もあります。そういうのもあるのかなと思ったのですけれども。

達増知事
増田知事の時代から、「いわて地元学」ということで、そういう岩手の地元のよさを発掘して、それをわかりやすく説明できるようにするという取り組みは始まっていたのですけれども、それをさらに強化拡充していきたいですね。
平泉は、そういう大きいきっかけになるので、平泉にまつわるいろんなことを発掘しながら、同時にやっぱり子供にもわかるような説明の仕方を工夫しなければならないと思って、それで世界遺産なんだから、140万県民みんなが理解できて、そしてそれをよその県に説明できるようなふうにしていきたいと思いますね。
平泉について、それができるようになれば、それは岩手のほかのいろんな地域とか、資産とかについても応用できるだろうし、一関も本当に厳美のあたりの風光もすごい、あれはいろんな人に見せたいなと自慢できるものだと思うし、東磐井のほうのああいう猊鼻渓とかもすごいし、室根山なんていうのも、実はまだ登ったことがなくて、いつか登りたい、登りたいと思ってまだ登っていないのだけれども、奥羽山脈も見れれば海も見れるというところだそうじゃないですか。だから、そういうスポットというのは、僕も知事選に立候補する前は知らなかったので、やっぱりすごくいいところはいっぱいあるから、そういうのをどんどん発掘したいですよね。
ほかにありますでしょうか。
農業にまた話を持っていきますけれども、岩手の農産物というのは、すごくクオリティーが高いと思うのですよ。米もそうだし、畜産もそうだし、その割にそれがお金につながっていないところがあると思うのですよね。生産額で2,500億円とか、また農家1人当たり、1世帯当たりかな、いわゆる農業所得というのが90万円にしかなっていないわけですよ、全部平均をとると。だから、もっと所得につながっていいと思うし、額としてもふえていいと思うのですよね。
それで、僕が考えているのは、やっぱり今まで売っていなかったところに売り込む、今まで買っていなかった人に買ってもらうということで価格を引き上げていくような工夫するといいのではないかなということで、中国の大連に行って宣伝したりとか、あとこの間マレーシアに行って米を5トン売ったりとかして歩いているのですけれども、何かそういう所得向上につながる策、農業の考え方は。

高橋清文
それがやっぱり難しいところといいますか、どうしても農家は農家であって、ネクタイ下げて営業して歩くわけでもないし、結局は行政とかのほうに助けてもらうというか、行政が幾ら力入れてくれるかで、その物をどれだけ販売できるかとか、宮崎県知事、極端な例を挙げると、あれぐらいアピール、インパクトのある人があれだけ宣伝すれば、極端な話、あまり物がよくなくてもよく感じてしまうような、そういった感じになるのかなと思っております。
農家も行政にばかり頼っていないで、自分らもこれからはどういった形かでも販売戦略を練っていかなければいけないのかなということは強く……。

達増知事
ある大手スーパー、岩手の農産物とか、あと海産物を仕入れて売ってくれているある大手スーパーの人から聞いたのだけれども、売る側としても、やっぱり生産の現場を知っていることが必要だよといって、それでどういう土づくりをしているか、どういう肥料を使っているかとか、どういう手間暇をかけてやっているかというのもわかるとそれなりの宣伝の仕方、売り方もあるという話をしていたので、やっぱりそういう販売の最前線と生産の現場というのはつながっていないとだめなのでしょうね。多分生産する側も、どういういうふうに売られているのかなとか、どういうふうに買ってもらっているかがわかると、また生産の仕方にも工夫がいろいろ出てくるだろうし、地産地消というのは、そういう意味では生産者と消費の現場が直結するようなことだからいいのでしょうね。それが遠野のほうでは、そういうのはやっぱり工夫してやっているのですか。

佐々木要太郎
そうですね、自分のところで扱う日本酒、あと食材は、直接生産者のところに足を運んで、現場を見て生産者の方のやっぱりその声ですよね。なおかつやっぱり自分がまず味を見てみて、いいとなるとやっぱり消費者の方にすごくストレートにアピールしやすい。だから、やっぱり極力時間が許す限り、やっぱり1年に2カ月、3カ月をかけてやっぱり県外に行って売っているようにしたりとかというのもやっぱり今は力入れていますね。ここ2年ぐらい、そういうふうな動きをし出しているのですけれども。そうすると、やっぱりお客さんも安心して、自分がつくった料理を食べてくれる。そうすると、これはどこのものなのと自然にお客さんも聞いてくるので、いや、これはこういうふうな方がつくられているものですということをやっぱりお話しできるというのがいいなというふうに感じていたので、そういうのは力を入れていますね、やっぱり。

達増知事
あと、話は飛びますが、岩手が直面している大きい課題の1つに、人口減少に歯どめというのがありまして、西暦2000年には岩手に入ってくる人と出ていく人の差は、出ていく人が2,000人多いという数字だったのが、去年は出ていく人が6,000人多いというふうにふえてしまっていて、その6,000人のかなりが20代の若者なのですよ。有効求人倍率が1にまだなっていない、つまり雇用の場は少ないというのが大きいと思うので、やっぱり経済、産業振興で、そういう働ける場をふやしていくことで、人口流出には歯どめをかけられると思っているのですよね。
岩手から出ていって人口が減るのが、子供が生まれる数が少なくなってくるという少子化とか出生率の低下とかもあるのだけれども、そこも景気が悪いがゆえに、なかなか男子であればきちっと就職を、稼げるようにならなくては結婚ができないとか、また女子でも働かなければならなくて結婚できないとか、あと結婚はしても、それぞれ共働きをしなければならなくて子供を産み育てる余裕がないとか、その辺も経済的にやっぱり活性化していけば、ある程度歯どめをかけることができると思っているのですけれども、岩手の人口流出に歯どめをかけるということで、何かアイデアとかないでしょうか。あるいは、自分の周りにもやっぱり出ていってしまったケースがあるとか、そういう話でもいいのですが。

佐々木要太郎
あくまで自分の周りの話なのですけれども、私は今26歳で、周りもやっぱり20代半ばですね。ほとんど大学、専門学校とかで県外もしくは市外に出て、何年か働いて帰ってきた友達とかと話をする機会とかあって話をすると、なぜか遠野に関しては、ほかの地域はちょっとわからないですけれども、遠野に関しては、何かすごく表現できないようなジレンマのようなものをすごく感じているそうなのですよね。だから、やっぱりせっかくこっちからしてみれば、役所の職員だったりとか、すごくいいところに入っているのだけれども、やめてまた東京へ行ってしまうとか。多分それって、もちろん若い世代の自分たちの年代の自分の友達とかにも責任はあると思うのですけれども、何か居づらいという話をみんなするのですよね。仕事をしづらいというのですよね。自分が得てきたことを主張するのだけれども、要はその主張を、うまいこと酌んでくれないような、やっぱり小さい土地に行けば行くほどそういうふうなしがらみとか何かというのは実際あるなというのは感じているみたいですね。そこで結局素直にというか、やめてしまって外に行く友達も友達とは思うのですけれども、そういうふうな声がやっぱり、この間ちょうどありましたね。

達増知事
都会に行けば自由に何でもできるというわけでも本当は……

佐々木要太郎
ないのですけれども……

達増知事
ある程度、本当はセーフティーネットがあるほうが自由に何でもできるというところがあって、何か新しいことをやってみて、しばらくうまくいかなくても、実家で食べさせてもらえるとか、そういうのもあったほうがかえっていろいろ新しいのに挑戦しやすいのだけれども、東京とかに行って新しいことをしてうまくいかなかったりすると、本当に悲惨な目に遭ってしまうのですね。だから、その辺はもっとうまく回転してほしいなと思いますが。でも、新しいことに挑戦するということにブレーキがかかるようなそういうのというのは、実は日本全国社会のあらゆるところで多分そういうのはあるのでしょう。でも、それでせっかくの芽が伸びないのは、私はすごくもったいないから、それはちょっとやっぱり何とかしたいですね。何かそういう若者向きの駆け込み寺みたいなやつを工夫したほうがいいかもしれないですね。
各個撃破的に孤立して悩んでいる人たちが実は岩手のあちこちにたくさんいそうな気がするから、そういう人たちが共通に悩みを打ち明け合ったりとか、相談し合えるような場はあると全然違うかもしれないですね。
何かあれば、僕に相談してくれてもいいんですけれども、いつでも。
残り時間も10分になってきたので、言いたい、言えなかったこと、言っておきたいことコーナーに移りましょうか。
もう一回名簿の順番に久保田君から最後に一言ずつお話を。

久保田龍介
さっきの話なのですけれども、出生率の話で、私もことし子供が生まれまして、それですごく感じているのですけれども、やっぱり夫婦2人で子供を育てようというのは時間的にも体力的にも、あと一番は経験の差だと思うのですけれども、そこが全然多分追いついていかないと思うのです。今多分夫婦で暮らしているといろんな情報、インターネットもありますし、育児雑誌もあるので大丈夫だと思っていたのですよね。でも、実際にやると、私の親に頼ることが多いのですね。親も共働きだとどうなっていたのかなというふうに、預けられる方とか、私の場合はどっちか何とかやりくりしているのですけれども、核家族ではないですけれども、昔の大家族のおじいさん、おばあさんがいる家庭というのはすごく想像以上の力になるのだな、励みになるのだなというふうに私はそれに関しては思いました。

達増知事
そうですね。地域力という言葉があるように家庭力というのがあって、家族の力、大家族の力というのは物すごいものがあるから、できるだけそういうのを残しておきたいと思うし、またはそういうのが得られない人たち向けにはやっぱり行政で何かかんかしなければならぬと思いますね。確かに夫婦2人だけで赤ん坊を育てるというのは、無理と言っていいくらい大変で、僕も少ないながら子育ての経験はしていますが、やっぱりじいさん、ばあさんとか、上の助けや横の広がりがないと子育てはできないから、そういう工夫は必要ですよね。
では、佐々木君。

佐々木要太郎
せっかく久保田さんから子供関係の話が出たので、非常に何か変な話なのですけれども、母子家庭制度はあるのに、何で父子家庭制度はないのかなと。何てみっともない男だと、こう思われるかもしれないですけれども、バツイチ子持ちなので、たまたまうちの家業がこういうふうな家業なので、すごく子供も自由に連れてこれるので助かるのですけれども、多分自分と同じような男の人が子供を引き取って育てるケースもいろんな理由、死別だったりとかであると思うのですけれども、そういう方々が例えばサラリーマンだったとすると、間違いなく自分よりももっとひどい悩みを抱えたりしているのではないかなというのを思って、例えばそれは多分間違いなく金銭的な部分が多いのではないかなと勝手な想像なのですけれども。
例えば父子家庭制度、今特に子育ては男女平等だとか、男も育児に参加しろとかという話が出ている中で、出ている中だからこそ父子家庭制度があっても、これはいいのではないかなと。実は、自分なりに離婚した当初にいろいろ役所だったり県のほうにも問い合わせをしたのですけれども、やっぱりないという返答で、ただ何かちょっと忘れたのですけれども、当時調べたら、関西か四国かちょっと忘れてしまったのですけれども、あっちの県でそれを市町村絡みか県絡みかちょっとわからないのですけれども、父子家庭制度を設けていたところがあったので、何か最後はお願いになって非常に失礼かとは思うのですが、ちょっと頭の隅にでも入れていただければすごくうれしいなと思います。

達増知事
母子家庭制度というのは、もともと女一人になったときに就職も難しいし、家で封筒貼りの内職とか、そういうのだけでは子育ては難しいだろうという、そこに金銭的支援というところから発達した制度で、だからそこに男だったら何となく稼げるだろうということであまり父子のほうは発達していないのだけれども、ただ今のような世の中、そういう収入面もさることながら、世話をする時間がとれるかとか、そういうもう一歩と、お金で解決できないような問題とかも解決していかなければならない時代になるだろうから、そこはやっぱり行政も工夫しないとだめですね。そこはちょっと研究いたしましょう。

佐々木要太郎
済みません、こんな話をして。

達増知事
いやいや、大事な……。
では、高橋君。

高橋和士
小さな話ですが、私が住んでいる地域はテレビの映りが非常に悪くて、これから数年後には地上デジタル放送になるということで、映らなくなったら嫌だなと思いまして……

達増知事
旧江刺。

高橋和士
ええ、江刺です。山のほうだとなかなか映らない。

達増知事
山や谷が多いからね。

高橋和士
ええ。携帯電話もワンセグ機能つきのを買ったのですけれども、家でつけるとテレビは見れないというようなところがありますので、これから先、テレビでなくてもインターネットだとか、そういう時代になっていくと思うので、そういうデジタルデバイト、情報格差というか、そういうものは生活の質にも影響するところだと思いますので、ぜひ江刺にも映るようにしていただきたいと思います。

達増知事
これは、市町村もかなり真剣に悩んでいるし、県もIT推進課という課で、そこは市町村と連携しながら、そういう取り残されるところがないようにということでやっていますので、取り組んでいきたいと思います。
では、高橋清文君。

高橋清文
今一番深刻な問題になっているのは、畜産のほうでなのですけれども、皆さんもご存じかと思いますが、家畜用の飼料の高騰で、上がり始める前の今は約2割ぐらい上がっているのですよね。まだ落ちつく気配はなくて、1月にもまた上がるというのが決定していますし、もう現在でも赤字経営になっている農家もかなりいますし、このままもう1年と言わず、もう数カ月で破産する農家、多分大分出てくるかと思われます。ですから、何らかの形で県も支援していったりとかしなければいけなくなってくるのかなと、このように思っております。
また、あと農作業で言えば油、軽油、ガソリンの高騰で、施設園芸で言えば、灯油、重油が倍ぐらいになっているみたいなので、そっちのほうがちょっと心配だなと思っております。

達増知事
そうですね、そこは県のほうでもちゃんとフォローしていくようにしたいと思います。
では、吉田君。

吉田博幸
今回こういうフレッシュトークの委員に出なさいと言われ……出なさいというか、出てくださいと言われて、こういう場を与えられたから岩手県のことをちょっと考えてみたくなるというか、こういう資料なんかにも目を通したのですけれども、ふだんそういうことがなければ、まず自分の県のことなんか考えないというのが正直なところだと思います。やっぱり若い人たちの声を聞いていただけるというのは大変うれしかったです。そんなことを思うと、続けてほしいかなと思いますし、もうちょっとざっくばらんなところで話せれば、もうちょっと違った声が出せるのかと、どうしても緊張してしまいますので。

達増知事
清酒とか、あるいはどぶろくとかあったほうがね。

吉田博幸
飲みながらとか、そういうのも本当にやっていただければ、また違った若者らしいアイデアが出るのかなと思いますので、何かあったらまたよろしくお願いいたします。

達増知事
では、ちょうど時間ともなったようで、これで終わりではありませんので、むしろこれはスタートのつもりでありますから、またいろいろ今ざっくばらんなというのを参考にしつつ、いろいろ工夫しながらこういう作戦会議をまた開催していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

閉会

酒井局長
それでは、大変今吉田さんからお話があったとおり、せっかく、何となく本音が出てきたところになると終わりというような感じで恐縮でありますけれども……

達増知事
かなり突っ込んだ本音も聞けてすごいなと思っております。

酒井局長
知事からお話がありましたとおり、第1回目ということですので、また本当にこういった機会で、ざっくばらんにお話しする機会を設けるやり方を工夫しながら、知事におでましいただいて、皆さんとまた改めてお話できる機会があればいいなと思っておりますので、私のほうとしてもバックアップをさせていただきたいなというふうに思っております。
きょうは、本当にどうもありがとうございました。

達増知事
ありがとうございました。

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