草の根地域訪問「こんにちは知事です」(平成19年11月27日)

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ページ番号1001041  更新日 平成31年2月20日

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訪問団体名:門崎むらづくり推進協議会(二戸市浄法寺)
日時:平成19年11月27日(火曜日) 9時00分から10時00分
場所:二戸市浄法寺門崎集落 東屋

開会

田山局長
ただいまから県政懇談会「草の根地域訪問『こんにちは知事です』」を開会いたします。
本日は、私どもの訪問に対し、いろいろありがとうございました。心から御礼申し上げます。
私は、本日の進行役を務めさせていただきます二戸振興局の田山でございます。よろしくお願いいたします。

知事あいさつ

田山局長
それでは、開会に当たりまして知事から一言ごあいさつ申し上げます。

達増知事
皆様、おはようございます。では、腰をかけてお話しさせていただきますけれども、今年の4月から知事に就任をいたしまして、そして今、来年度予算の策定と並行して私の任期4年間の4カ年計画を今つくっているところでもありますけれども、その4カ年計画の中で1つ政策の柱として大事にしたいと思っているのが、自治会とか、行政区とか、そういう市町村の中のさらに身近なところの、最近はコミュニティーという言葉を使うのですけれども、このコミュニティーというところに県もしっかり目を向けて、そしてコミュニティーを守り育てることに県も一肌脱いでいくということを県の政策の柱にしたいと思っておりまして、まずはほかの県内の、大体1,500とかぐらいあると言われているのですけれども、そういうコミュニティーの模範になるようなところを選んでほかのみんなの参考にしてもらうということを本年度やろうということで、「元気なコミュニティー100選」という企画を今年度したところでありました。そして、門崎むらづくり推進協議会は、その100選の中のまたさらに第1選抜で選ばせていただいたところでありまして、私もそばを通ったり、あと選挙のときも通過したりとかなんかはしていたわけですけれども、じっくり寄って話っこするというのは初めてでございますので、門崎の皆さんの活動の様子を直接伺って県全体のコミュニティー政策の参考にしたいと思って伺ったところでございます。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

田山局長
ありがとうございました。
本日のご出席の皆さんにつきましては、お手元の名簿をごらんいただきたいというふうに思います。
なお、今知事から話のありました「元気なコミュニティー100選」の団体として、この門崎むらづくり推進協議会を選定させていただきました。懇談に入る前に、その選定証を知事からお渡ししたいと思います。
(選定証交付)

懇談

田山局長
それでは、早速懇談に入らせていただきます。
まず、門崎むらづくり推進協議会様から活動内容などにつきましてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

団体員
今日は、どうもわざわざこういう田舎まで来ていただき、どうもありがとうございました。門崎むらづくり推進協議会は、平成7年に設立準備委員会ができまして、それで1年間かけて村の状況をよく調査した上で、1年間かけてみんなで話し合いを持って、どうしたら村がよくなるというか、若い人たちがなかなか帰ってこなくなってきたと、これはどうしてなのかというのが皆さんの口からちょっと聞こえてくるようになりまして、それで何かが問題あるのではないかということで1年間話し合いを持ちまして、先ほど知事さんが言われたように、それでは自分たちでできるものをどうやってやったらいいかというものを10年分ぐらいの計画を立てたのですけれども、それで立てただけではなかなか実行されないと。もう絵にかいて、これとこれ、自分たちでできる分を自分たちでやろうと言って考えた案がこれについている地図のとおりでございます。それで、もう12年になりましたけれども、毎年一つ一つ自分たちなりに頑張ってきた結果が、最終目的でもなかったのですけれども、コミュニティーセンターの建設に取りかかるところまできました。
それで、私たちは一番これまでやっていてよかったなと思うのは、やはり無理をしないで1つずつやってきたと。やはり余り無理すればなかなかうまく進まないのではないかということで、こういう施設についても自分たちでつくってきたのですけれども、作業に出れても出れなくてもとやかくは言わないということで、みんなで協力しながらこれまでやってきた結果が住んでいてよかったなと思えるところまで大体は届いてきたのかなと思っております。
戸数はここは19戸ですので、まとまりは非常にいい部落だと思います。それで、昨年度は下水道の完備もいたしまして、19戸全部が下水道が完備しております。それで、今センターをつくりまして、これからはやはりむらづくり、自分たちだけではつくれないものですから、外部との交流を積極的に取り入れて、これからますます住んでよかったなと思えるようなむらづくりにしていきたいと思って頑張っているところでございます。
今定期交流やっているのは、月ケ丘1丁目自治会さんなのですけれども、向こうは世帯数がでかいものですから、ですから炭焼き体験、収穫祭とか、そういうので定期交流を行っているのですけれども、これからもうちょっと施設ができたならば交流を拡大しようかなと考えているところでございます。
それで、一番むらづくりをやっていてよかったなと思えるのは、こういう若い人たちが、担い手が3名Uターンしてきて、専業の農家へ行って、それぞれ特色のある農家をやっているというところがほかの地域とはちょっと違って、それでここの部落は今若い人たちが子供は3人ずつ産んでいるのです。前、我々のときだったら2人ずつだったのですけれども、子供さんを3人ずつですから、確実に出生率は上昇しますね。
それで、ずっとここ10年ぐらいは大体人口は七十四、五人で、ずっと横ばいで来ていますので、もうちょっとみんなで頑張って、いい村にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

田山局長
ありがとうございました。この後は自由に意見交換という形で進めさせていただきたいと思いますので、どうぞ。

達増知事
農業でどういった新しい試みで稼げるようになっているのでしょうか。

団体員
ここの農業は、面積的には大体1戸の平均耕作地は1ヘクタール前後だと思います。ですから、米ではもうやっていけない状態なのです。それで、若い人たちはリンドウが主体で、もう一人の方は葉たばこ、もう一人の方はハウス栽培による花の栽培をやっております。

達増知事
面積当たりの収入額は米の10倍ぐらいありますものね、たばこや花だと。なるほど、なるほど。1ヘクタールだと県の全体の平均で1ヘクタールくらいの農家の農業所得というのは、もう年30万円ぐらいしかないのですよね。ただ、そこは米とかそういうのもあって平均でそうなるので、いろいろ工夫してやられていれば100万単位の収入になるのだと思いますけれども、逆にそういう工夫をしていかないと30万ぐらいにしかならないですね。だから、すごいと思います。

団体員
やっぱり農業だけでは限られる収入になるわけですよね。それで、やっぱり老人、65歳以上の人たちはどんどん今はふえますけれども、若い人たちが学校を終わって、そしてこの地域に帰ってこれるような施設、働き場所を、ここで一生懸命頑張ってもどうにもなりませんから、行政のほうでそういう働き場所を確保するような策をぜひ取り入れて、浄法寺町だけでなくて、安代町、浄法寺、二戸、その辺の人たちの若い人たちがいなければ、これからの人口が絶対にふえることはないわけですよね。

達増知事
ここは、勤めに出ている人もいるわけですか。

団体員
いるけれども、盛岡方面とかそういうふうになると、もうここには時々しか帰ってこないというふうな形になるのです。

達増知事
通うとするとやっぱり安代から浄法寺、せいぜい二戸市まで。

団体員
だから、その辺にあればもっと若い人たちがここに住んで、そして子供たちがふえていくのではないかなというふうに思います。

達増知事
そうですね。

団体員
幾ら50代、60代の人たちが頑張っても、その若い人たちがいるような方向に向けていかないと、ただそれだけで終わってしまうような気がするし、しばらく前、二、三カ月前ですか、新聞で岩手県内から集落がだんだん消えていくのではないかなという、30年ぐらいで30カ所ぐらいの集落が消えていくというふうなのを見たときに、あや、ここもそこの対象になっているのではないかなというのを感じました。30年、50年の間に、今いる人たちを考えただけでも何人というような感じを受けたので、ぜひ集落を残して、自然はいいけれども、その自然を動かしていく若い人たちがここにいるようにするように、私らの力だけではどうにもできないので、県とか市とか、そういうふうな国の人たちの力でぜひやってもらいたいと思います。

達増知事
ことしの春、夏ごろに厚生労働省の人口統計の30年後にどうなるかという推計が出まして、それで岩手県全体で30年後には人口100万ぐらいになってしまうだろうというのが出たのですけれども、ただそれは最近の人口の減り方をそのまま伸ばすとそうなるという話なのですけれども、ここ五、六年の岩手の人口の減り方というのは、ちょっとこれは尋常ではないのです。それは、経済の調子が悪いからなのだと思っています。ここ五、六年の岩手の経済というのは、ちょっと異常に低迷していまして、西暦2000年には岩手の県民所得というのは県全体平均で260万円くらいの1人当たりの県民所得だったのが、その後下がって240万円くらい、1人当たり20万円下がって、いまだに回復していないのです。ですから、西暦2000年には岩手全体から外に出ていく人の数というのは年間2,000人ぐらいだったのですけれども、去年の数字だと年間6,000人外に出てしまうようになっていまして、これは毎年毎年6,000人減るというのは、これは異常事態でありまして、それが30年続くと物凄く減るのでしょうが、せめて2,000人しか出ていかなかったところに戻さなければならないと思いますし、そのちょっと前には年間出ていく人の数が1,000人以下になったこともあるのです。900人ぐらいしか年間に外に出ていかなかった年もありますので、やっぱり景気対策といいますか、そういう岩手の経済を少なくとも2000年の水準に戻し、それ以上によくしていくことができれば人口は減らないと。そのときも岩手の中でも盛岡一極集中とかではなくて、あるいは県南ばかり成長するのではなくて、県北・沿岸のほうもきちんと経済的に成長軌道に乗って、仕事がちゃんとあるようにして、つくったものは売れるようにするということをしていかなければならないと思っています。

団体員
今県北・沿岸振興というふうなことで出ているわけなのですけれども、それは具体的に県北・沿岸にどのように、ほかのほうよりも特別にそういうふうなのがあるのかどうなのかというのをぜひお聞きしたいと思います。

達増知事
まず、県北は県北で独自の事業をしていくというのを今年の6月の補正予算から始めまして、まず二戸の振興局にジョブカフェの分室をつくったり、あと産業支援センター、北上のほうばかりではなくて県北のほうにもちゃんと誘致企業が来たりとか、あと地場の企業が高度化できるようにしたりとかというセンターを置くというのをまず今年始めたところです。来年度どういう手を打つかというのは、今いろんなアイデアを集めて、来年2月の議会までに決めるのですけれども、そういう県北の情勢、事情に合わせたそういう独自の政策というのをやっていくというのが基本方針になります。

団体員
それは、何年間か続くわけなのですか。

達増知事
まず、これは私の任期の4年間は続けなければと思っていますし、軌道に乗ればその後も続いていくのだと思います。

団体員
この方のほうでも、産直のほうでも頑張っていらっしゃるようですけれども。

団体員
頑張るって、まずそれなりに自分の役目をこなすのがもう精いっぱいの年齢になってきましたけれども、まずみんなで……

達増知事
フレッシュ直売所浄南ママ直。

団体員
10名だけの団体で経営しているものですから、なかなか産直があっちこっちふえまして、私たちの経営も難しくなってきているわけですよね。それで、今の段階としては、頑張ればまだ何とかできる状態なのだけれども、ここ二、三年のうちにも後継者が育ってくれないと、私たちがつなげられないのです。少しずつでも若い世代につなげていきたいなと思ってはいるのですけれども、まだやっぱり子育てと、それから……まだこちらさんたちの後継者になりますけれども、子育てが盛んで、経営のほうまでは、うちの経営にも入ってやってこれない状態ですので、このままであと何年ぐらい頑張れるのかなという今はもう本当に一生懸命考えている最中です。人数が多いところはすんなり続けてつなげていけるのですけれども、やっぱりここに来て10人だけの団体というのは売り上げが……

達増知事
ほかのことをやりながらですよね。

団体員
そうです。そして、みんなお子さん方を外に出している人たちばかりだから、ほとんど経営は男性軍がやってくれているのですけれども、中身は女性軍が頑張って。おかげさまで今のところはまず私たちは何とかお小遣い以上のものはとらせていただいている人とお小遣い程度の人もいますけれども。

団体員
今年から浄法寺町の自立支援の人たちがパンをつくって、そういう人たちのところも少し取り入れながら、そういう人たちのパンを売ってあげるというのもあれだけれども……

団体員
そういう人たちに協力するのでその人たちもパンづくりも結構励みが出るのであれば。

団体員
これもつくっていただきましたので。

達増知事
いただきます。

団体員
どうぞ味見して、本当に素朴なもので。

達増知事
おいしいです。これは、お米のおもちなのですか。

団体員
これは小麦粉ですけれども、上質のものを使っているので、柔らかさが。あとは、エゴマですね、みそは。

達増知事
本当におもちみたいな……

団体員
ええ、ええ。これが評判がよくて、秋口はやっぱり1日に1,000枚ぐらいです。私たちこれもできないものですから、この辺のおばあちゃんたちをお願いして、これからは私たちが冬場は手があきますのでやりますけれども。

達増知事
エゴマがかかっているのですね。

団体員
そうです。エゴマとおみそと。これでまず今のところは評判いただいてどんどん、八戸とか、あちこちから来てくれます。本当にへんぴなところにありますから、車の通りだけの方に寄っていただくのだから、とにかく寄っていただくのが。

達増知事
やっぱり鹿角街道ですし、またインターがそばにありますからね。だから、評判が出れば結構……

団体員
そうですね、何年か前はテレトラのお客さんも寄ってくださるので、すごくよかったのですけれども、今何か下火になってきてしまって。私たちもスキーのお客さんに当て込んで、テレトラのお客さんに当て込んでというように、やっぱりそれなりに何となく時代の流れを感じながら経営しているのだなと考えるときがあります。

達増知事
さっき県民所得の落ち込みの話をしましたけれども、2000年のころに比べて今の県民所得というのは岩手全体で2,800億円ぐらい少なくなっているわけです。だから、2000年に岩手県内をお金が回っていた、そのお金の量が2,800億円ぐらい少なくなっているということは、それだけ物が売れない、お客さんが来ない、給料も出せないというようなことになっているのですが、ただしそこは国の政策のせいというところもありまして、ちょうど2000年と今と比べて岩手県の予算が二千何百億か少なくなっていまして、市町村の予算を全部合わせたやつが五、六百億ぐらい少なくなっていて、合わせて大体2,800億ぐらい少なくなっている。だから、県の予算を減らす、市町村の予算を減らすというのは、これは国の一大方針でそういう行財政改革をやれるということで減らしていたのですが、その分民間経済を活性化する手を打てばいいのですけれども、そこはやっぱり足りなかったので、ちょうど県や市町村が予算を使ってお金を出していたのが減った分だけ県全体のお金がちょうどその分なくなっているのです。だから、今全国知事会でも、行財政改革はいいのだけれども、やっぱり地方経済を強くしないと税収も減るばかりだし、地方が弱くなったのでは、どんなに行財政改革やっても地方がもたなくなるということで、今は来年度予算の国から地方への地方交付税というのをふやしてくださいということを強く要望しているところでありまして、年平均毎年毎年何百億円も国から地方へのお金を減らされていたのがこの不景気の原因、競馬の低迷もそれがやっぱりかなり大きい原因なわけです。競馬関係者の努力不足で落ち込んだというよりは、やっぱりお金を払える人がいなくなってきているというのが課題なので、全国知事会でも今重点にしているのは地方財政の復元ということでありまして、そこでまず政策転換を迫りながらやっているのですけれども、ただ急に西暦2000年の基準にばっと戻すというところまではなかなかいかないので、やっぱりそれぞれの地域の力で何とかしなければならないというところが今の局面であります。ですから、コミュニティーセンターも自分たちで建てるというのは本当にすごいと思いますし、今それだけの力を地域で培っていれば、国の政策転換したときに一気に弾みがついて、その地域の発展、軌道に乗るという、そういうところだと思います。岩手全体としてそういう、まず今は我慢をしながら何とか自力でやっていく工夫を県全体でもしていかなければならないところなのですけれども、県全体がそういう体質になれば、そこに国の政策転換もあって十分な予算が回ってくれば、非常に明るい未来が開けてくるというところだと、こう思っています。
門崎むらづくり推進協議会建設部会というのがあって驚いたのですけれども、ここが中心になっていろいろ建ててつくっているのですね。

団体員
そうですね、今回のコミュニティーセンターも建設部会さん。それで、去年やった下水道の整備も自分たちで下水道本管を埋めたのですけれども、それも建設部会さんでやっております。

団体員
すごかったよね。

団体員
今以上にすごかった。

団体員
本当にやるのかなと思って、あれをずっと向こうのほうに排水溝が行くのだけれども……

団体員
最初はお父さんたちの娯楽ぐらいに考えていたけれども、ここ……

団体員
土日はお父さんたち日曜仕事当てにできないし。

団体員
本当に大変なものでした。

達増知事
それは、心得のある人がいるのですね。

団体員
そうですね。

達増知事
建設会社で働いたことがある人がいるんですね。

団体員
今現役で働いている人たちが。

団体員
だから大変なのですよね。現役だから仕事も責任任せられている、ここもやっぱり自分たちでやらなければならないというのが……

達増知事
そうか、そうか、今現役で建設会社で働いていらっしゃる人がいると。

団体員
ですから、私たちはうちにいても、いや、父ちゃんたちも大変だなと思っても、うちのことも手伝ってもらわなければならない。集まれば酒飲みはする、そうすれば朝は起きない。

団体員
女性軍からの発言が多いのですけれども、会社を12年にUターンされてこっちに来た……

団体員
私は正確には13年なのですけれども、盛岡でサラリーマンしていて、13年にこちらに帰ってきてむらづくりの活動に参加させてもらっているのですけれども、今日の日みたいに知事さんまでがここに来るような、認められたそういう活動をしていたのだなというふうに改めて今思って、すごくうれしく思っているのですけれども、私は専業農家でリンドウをつくってやっていますが、1つだけちょっと県のほうにお願いしたいなということが1つあるので、それを聞いていただければと思います。
岩手県は、リンドウの全国のトップ産地で、隣の八幡平市がその8割、9割になっているのですけれども、そのほかの産地として、小さい産地ですけれども、浄法寺町があるのです。浄法寺町でつくっているリンドウというのは、岩手県の品種ですよね、岩手県が開発している品種なのですけれども、その品種が年々評判がよくないというか、株もちも余りよくないというか、そういう部分があって、最近は私のほうもそうですけれども、長野県の品種を植えているのです。日本一の産地でありながら長野県の品種を植えるというのはすごく私的には嫌なのですけれども、ただ農業の経営をしていく上で、所得を上げる上ではいいものをつくっていきたいなというのがあるので、ぜひとも県の種苗センターのほうで新たな苗を、新たな品種を早目につくっていただけないかなと思うのです。

達増知事
そうですね。私もちょっと前に東京の大田市場に行って、花のほうの市場も見て、それで大きい卸の会社の社長さんとお話をしたのですけれども、やっぱりいろんな新しい品種の期待がありますよね、もっと花が開くようなやつとか、季節、シーズンのタイミングとか、そういうお盆、お彼岸のそういう仏様用のやつもいいけれども、それ以外のところで家の中に飾る用のやつもとかというのはあるので、そこは県の種苗とか普及とかそっちの人たちにもきちっと伝えて、改めて工夫したいと思います。

団体員
隣の安代町では研究センターを持っていて、すごくオリジナルのやつをいっぱい出して、またそういう部分がすごく評判になって産地を引っ張っていっているのですけれども、ほかの地域で頑張っている農家の我々みたいな、浄法寺だけではないですけれども、ほかの地区でもそういう人たちがいっぱいいるわけで、そういう人たちは岩手県の品種だということで頑張っていきたいなというところあると思うので、ぜひ品種の開発をやっていただきたいなと思います。

田山局長
今のどんどん、どんどん地域が変わっているのをどういうふうにごらんになっていましたか。

団体員
想像もつかないで変わってしまって、ただ驚いているような状況です。老人クラブといっても、まだ70代の人たちは現役で働いている。農家ですか、農家のいいところは定年のないところで、動けるうち定年がないのがこれはいい職業だなと。

田山局長
まだ農業やっているのですか。

団体員
現役でない。私の趣味は、山林にボンナとかシドケとかタラノメとか、そういうのをつくって、春になっていいものがとれれば、苦労したの忘れておもしろくなって、それが生きがいなようなものです。

達増知事
それは、タラノメとかもつくるやつですか、植えて、挿してですか。

団体員
根からふやすそして、実をばらまいて、これは四、五年たたなければ生えてこないのもあるし、長い道のりでやっていかなければ。

団体員
お母さん方が、それを産直に持っていって。

団体員
おじいさんも張り合いがあるし。

達増知事
タラボというのはおいしいですからね。

団体員
シドケなんかすごいですよ。太いこんなシドケばかり育てて。

団体員
注文が来るのだものな。

団体員
八十何歳でもまだ現役。

団体員
80では、もう引退です。

団体員
みんな幸せばかりいる家族です。

達増知事
あと、子育ての話もちょっと伺いますと、学校はここはどこの学校。

田山局長
この方は盛岡からお嫁にいらしたそうです。

団体員
まるきり農家とは全く関係のないところから、サラリーマンの家庭から来たので、ここに来て農業というのを初めてまず携わることになって、最初の1年、2年とかというのは本当に全く、子供も初めての子供が生まれたりとかしましたし、現在も今さきにお話があったように3人目を妊娠中なのですが、それでまず今子育ての真っ最中ということで、農業のほうは本当に手伝えるときだけというような状態なのですけれども、まず子育て世代にとって今現在問題というか、不便だなと思うことは、正直言って今産婦人科通っていますけれども、産婦人科医不足……

達増知事
どこの産婦人科に行かれていますか。

団体員
二戸病院の産婦人科に行っているのですけれども、去年までは常勤の医師が2名とか3名とかいたのですけれども、今1人だけなのです。それで、まず行っても待ち時間というのは3時間、4時間とかというのがまずざらなのです。それでお産が入れば1日がかりということになれば、その日診てもらえるかどうかも正直大変なところなのですけれども、それでも診てもらえるところがないというのが現実にあるので、実際私の実家は盛岡ですから、何でもあったわけです、産婦人科も小児科も、選べるくらいあったわけなのですけれども、こちらに来てみて初めて病院が少ないなと思って、医師ももちろん少ない。開業医も少ないなと思って、正直それは今現在困っていることと言えばそういうことかなというのは正直思います。

達増知事
軽い風邪とかそういうときのお医者さんというとどこに行くのですか。

団体員
それもやっぱり県立病院になるのですけれども、それは日中であれば小児科もありますからいいのですけれども、夜間、休日、それとか、午後から具合が悪くなったときとかというのは、県立病院はほとんど午前中診療ですので、午後だと診てもらえるときもあれば翌日ということになりかねないときもありますし、そういうところが不便だなと感じるところではあります。
そういうところの充実もあれば、若い人たちが戻ってきて、仕事ももちろん、仕事場がないというのも問題でしょうけれども、そういう施設というか、その辺で充実していないのも不便だと感じる面も出てくるともちろん思うので、実際住んでみてわかることというのは、こういうこともあると思うので、子供を産んでみて初めて小児科が少なかったとか、子供ができてみて初めて産婦人科医が1人しかいなかったとかというのは、やっぱり今現在は不便だと思っているところなので、もちろん産婦人科医を確保すること自体も今難しくなってきているというのも新聞やニュースやらでさんざん聞いていますから、待ち時間もしようがないなとは思ってはいますけれども、ただ何かあったときにやっぱり先生も大変でしょうし、余り過労になっていなくなられたらもっと大変だというのもあるので。

達増知事
そういうところありますか。

団体員
現実あると思うので、そういうところもやっぱりできれば何とかしていただきたいなと思うところは正直お願いしたいと思います。

達増知事
これは本当緊急の課題なので、それぞれ県でできることとか、国に要望することとか、あとは地域のお医者さん方にお願いすることとか、同時にばっとやって、一人でもお医者さんが多く来てもらえるように、残ってもらえるようにとやっているところなのですよね。

団体員
人口が少ないとそういうのが少なくこのような山村に住む人たちのほうがそういう面で割が合わない、強いられるということになるわけですよね。

達増知事
これ一番大きい原因は、何年前か、つい最近なのですけれども、お医者さん、岩手だったら医大で大学が終わって、一人前のお医者さんになる前にインターンと研修医をするのですけれども、それまでは医大で勉強した人たちは医大に残って、インターンとはいえ簡単な患者さんの面倒とか診察とかはできますから、その分医大から各県立病院に人を出す余裕があったのが、研修制度が変わって日本中どの病院で研修してもいいということになったので、医大に残った研修医の半分ぐらいがよそに行ったのです。五、六十人ぐらいいるうちの二、三十人がよそに行ってしまったので、その分医大が人手不足になって県立病院に人を出す余裕がなくなってというところが問題で、単純計算でそれで二、三十人分余裕がなくなってしまったわけでしょう、急に。だから、そこのところの仕組みをもとに戻すか、あるいはよその県に出た分何か補う仕組みを国のほうでちゃんと用意するようにというのを、これも全国知事会で、そうですね、ようやく今年になってそういう要望を正式に国の内閣と話し合えるようになりました。それで、舛添厚生労働大臣とそういう協議しているところです。国のほうも今年になって、やっぱりこのままではだめだというふうになってきまして、去年まではまだ本格的な手を国は打っていなかったのですけれども、今年になって緊急医師派遣ということで、宮古病院と大船渡病院には1人、2人と緊急医師派遣、国から来てもらったりしているのですけれども、だんだんそういうのをふやしてもらおうと思っています。
まだ、お子さんは学校とかに行く年齢にはまだない……

団体員
来年長男が学校に入学します。

達増知事
小学校はどこに行くのですか、ここだと。

団体員
浄法寺小学校で、学校もそれぞれあったのですけれども、結局人数が少なくて統合して1つだけになったので、そちらのほうに通うことになります。

達増知事
浄法寺小学校ですね。

団体員
今1クラス40人……

団体員
全部バスで連れていってくれるから、交通の面は何とかなるのですけれども、遠いです、やっぱり。

達増知事
忘れ物をとりに戻るとかというのはできないですね。

団体員
親がうちにいて電話で。何かそうみたいですね、電話で、毎日忘れるって。

田山局長
知事さん、佐藤会長さんせっかくつくっていただいた資料ですので、少し見ながらご説明いただければ。

団体員
概要は、先ほどお話ししたように、ここは19戸で、大体このとき79人、今現在は74人です。それで、人口がそんなに極端に減った、ふえたというのはないし、また盆、正月は最近はやっぱり部落出身者の帰省客が多くて、大体日常の倍ぐらいにはなると思います。ですから、百二、三十人は盆、正月にはなると。これもやはり下水道が完備して、みんななったのも1つのあれです。

達増知事
さっき使わせてもらったトイレもそうで、立派になって、びっくりしてしまって。

団体員
各家庭で、もう全部あれに直しましたから。それで、農家ですから外にもやっぱりトイレがないと不便なのです。中と外。

達増知事
結構私は岩手のあちこちでトイレを借りているのです。

団体員
それで、組織のほうについては、ここに載っけている、いろんな部会つくってやって、ですから住民、各1戸から1人ずつは必ずその台帳の中にみたいな形で組織がつくられております。また、この組織以外にもいろんな組織やって、ですから1人で2役とやっているのもあると思います。でも、むらづくり協議会としては予算がないものですから、常会の下に置いて活動をしているところです。それで、活動から常会さんには大変予算的な面で大変無理かけたこともありますけれども、できるだけ自立した活動でいきたいと思っております。それで、今度活性化センターができた場合は、センターの管理もあるものですから、推進協議会を2月末ごろまでに法人化しようと思って、市役所さんとお話ししていることもありますので、大体3月をめどに法人にはなると思います。
あと、この浄門の里というキャッチフレーズ、ネームなのですけれども、浄法寺町でも二戸市でも同じですけれども、南のほうの玄関口ということで、そうするとちょうど平成7年ごろ三内丸山遺跡のあれがあって、縄文、縄文とあちこちから聞かれたものですから、響きもいいし、頭とって浄門の里にしましょうということで、浄門の里というあれで頑張っております。今もほとんどお父さんは地域づくりに励んでおりましたので。
当初むらづくりをつくる前は、村の住民が集まる機会というのはあっても年に二、三回、それで全員参加みたいに集まるといえば、3月末の常会の引き渡し、そういうのがありまして、それぐらいだったのですけれども、今では大体少なくとも月1回か2回の集まりがあって、みんなで酒を酌み交わしながらお話しする機会は設けて、みんなでやっております。それで、定期的に行われているのは秋の収穫祭と夏祭り。それで、夏祭りについては、やはりせっかく孫さんたちが帰ってくるのだからということで、みんなでこの近辺で一日楽しんでおります。
収穫祭については、盛岡の月ケ丘1丁目の自治会さんにお願いして、いろいろとイベントを企画しております。田植えとか稲刈りの体験もしていただいていたのですけれども、やはり今の時代だと逆に田植え、稲刈りの体験もむしろ機械に乗せてやっていただいたほうがいいのかなと思いまして、やはり手でやってもらう体験もよろしいのですけれども、危ない面が1つあるのと、もう一つは後始末に大変なのです。ですから、むしろ機械に乗っていただいて……

団体員
現実的ですね。

団体員
よく来れば、かまで刈ったほうがいいとかなんとかと言うけれども、それは大変で、後始末が大変なのです。

団体員
ですから、体験はやはり機械で体験していただいたほうがいいと思います。
一番やっぱり振興局長さんも何度か出席していただいておりますけれども、秋の収穫祭、これはやはり盛岡でも交流もありますので、これはやっぱり楽しいですね。今年はセンターをつくるのでちょっとできなかったのですけれども、センターをつくるのと、ちょうど洪水でこの辺一面やられたものですから、その後始末やら何やらで大変だったものですから、ことしはまだ3月の完成祝いもあるものですから、そのときに延ばしておいて、ことしはちょっと中止というわけです。
あと、むらづくり、ここはもう丸11年になるのですけれども、何がやっぱり成功したかといえば、共同で作業するというのが一番よかったのではないかなと思っていました。共同で作業すると、いろんな村だけではない情報も、いろんな情報入ってきますし、やはり一緒に汗を流した後のお話もいいし、ですからちょっとずつ自分たちで共同の作業をやってきたのですけれども、これがよかったのかなと思います。最初は、そんなのやったってよくならないのだという人もいたのですけれども、やはりみんなと出て一緒に稼いで話しする。そうすると、出ないとその話の内容が見えないものですから、黙っていても徐々にみんな出て協力してもらえるようになりましたね。今ではもう、ですからこういう大きいのをつくるにしても、そんなに心配要らない。
それと、安比川の河川堤防の景観整備とか、その中間にあるのはコンクリートの水路を外して、ここに石積みの水路をつくって蛍を何とかしてふやそうと思いましてつくって、3年ぐらい前からですか、徐々にふえてきて、今では結構もう蛍いますね。

団体員
結構いるよね。山沿いをほわほわ、ほわほわ。

団体員
随分、また余計ふえたような気がした。

達増知事
なるほど。昔はいなかったわけですね。

団体員
コンクリートの水路ですからね。それで、たった30メートルぐらいの区間なのですけれども、そこだけ石でつくって、それで蛍のえさのカワニナをほかから持ってきて入れたらふえてきました。
水車小屋は、住民みんなで九戸とか軽米とかに行って水車小屋を見てきて、それで何もない手探りの状態で4カ月間ですか、4カ月間かけてつくったのですけれども、このときやはり縦の回転が横の回転に変わる歯車を考えたときは、あっと思ったですね。それで感激しましたね。

団体員
この心棒、ミズナラなのですけれども、100年ぐらいたたないといいあれにならないと。大体これが100年、ミズナラの木です。
そして、次が交流のためにつくった炭窯なのですけれども、家庭用の炭窯としても使っております。それで、このつくった炭窯は1回に350キロの炭ができます。それで、体験していただくのに、1回3万円で体験していただきます。でき上がった炭は全部お持ち帰りいただいております。大体年に10回ぐらいですか、体験していただいております。
先進地も見ておかないとということで、みんなで先進地に研修に行ったり、また講師を呼んでお話を聞いたりとか。今度うちらも、ハード面だけは全部やってきたのですけれども、これからはソフト面のほうにも力を入れてやっていきたいと思いますので、こういう研修とかなには、今まで以上にやっていけばいろんな考えが出てくるのかなと思っていました。これからは、県にも相談をしまして、振興局ともいろんなお話し合いの機会を持つようにして何とか頑張っていきたいと思っております。
先ほど言われた浄南ママ直さんも、自分たちの手づくりの施設から、今度は3倍か4倍ぐらいの大きい施設に建てかえて、今は営業には十分なっていると思います。私たちはわかりませんけれども。これからもいろんな面で活動して、皆さんのために何か1つでも役に立てるように頑張っていきたいと思いますので、今後とも県のほうの応援、ご協力をお願いしたいと思います。
私たちこれ、もう10年ぐらい前ですかね。若かったのですけれども。こうして写真見れば、やっぱり亡くなられた方もいますし、みんな若かったのですけれども。

田山局長
この建物が今、後ろにあった建物ですね。

団体員
三十何年ぐらいに建てた建物だっけかな。

田山局長
ありがとうございました。そろそろ時間になってきましたけれども、よろしいでしょうか。何かあれば。

知事所感

田山局長
では、最後に知事からお願いします。

達増知事
本当に話で聞いていた以上にすばらしい実績を上げられていて、感服いたしました。こういう活動がさらに続けられるような環境整備でありますとか、また広い県北振興などのそうしたところを県のほうでもちゃんとやって、門崎の皆さんがますます暮らしや仕事が充実していくように県のほうでも頑張っていきたいと思いますので、皆さん力を合わせて引き続き頑張ってください。今日は本当にありがとうございました。

閉会

田山局長
では、これをもちまして県政懇談会「草の根地域訪問『こんにちは知事です』」を終了いたします。どうもありがとうございました。

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