岩手フロンティア懇談会(平成19年9月25日)

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1000942  更新日 平成31年2月20日

印刷大きな文字で印刷

対象地域:県北広域振興圏
開催場所:久慈市

県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」懇談記録(県北広域振興圏)

  • 日時 平成19年9月25日(火曜日)10時00分から11時30分
  • 場所 久慈地区合同庁舎 6階 大会議室

開会

和嶋局長
ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」を開催させていただきます。
本日ご出席をいただきました皆様方、県議会の先生方にはご多忙のところをお越しいただきまして、まことにありがとうございます。心から感謝を申し上げます。私は、本日の進行役を務めさせていただきます久慈地方振興局の和嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

和嶋局長
それでは、開会に当たりまして知事から一言ごあいさつを申し上げます。

達増知事
皆様、おはようございます。きょうは、県政懇談会「いわてフロンティア懇談会」ということでお集まりをいただきまして、まことにありがとうございました。
今、県のほうでは来年度予算の準備を始めるところでありまして、またきょうの資料にもございますが、新しい地域経営の計画(素案)、これは私が知事に就任してからの今後4年の4年計画でありまして、この策定を年内に行おうというところであります。
後藤新平さんの生誕150周年ということで、後藤新平さんに関する本が新しく出ていますので、いろいろ読んでみたところ、後藤新平さんは非常に調査を重視していた。それで、台湾の経営でありますとか、満州鉄道の経営ですとか、そして東京市の市長としての、今で言う東京都知事としての仕事とか、始めるに当たっては、まず実態調査から始めているのです。そういう暮らしや仕事の現場から離れた空理空論で仕事をするのではなくて、あくまでどうすれば生活を向上させられるか、経済を発展させられるか、そのひそみに倣いまして、私もまず今県民の生活や仕事の現場がどうなっているのかというところをはっきり関係者と認識を共有した上で、どうすればよりよくなるのかという知恵を共有していく、そしてみんなでいろいろ納得した上で手を打っていくというようなことを考えております。特に国から地方へお金が流れてきて、それを地方自治体が県や市町村が事業としてやっていくような、そういうもので地域振興を図っていくということがまずお金の額がどんどん減らされていることもあり、やりにくくなっているのですが、一方ではグローバル化の世の中で、情報化の世の中でもあり、どうすれば地域がよくなるかという知恵や力が地域の中に出てきているということもありますので、そういう国を頂点としたピラミッド状の行政でやるのではなく、むしろ地域本位のフラットな、ネットワーク的なガバナンスと申しましょうか、そうしたやり方が非常に有効な世の中になってきているということもあると思います。そういう意味で、「いわてフロンティア懇談会」というのは一種の作戦会議でありまして、ここでのご意見を参考にしながら、またここで各界の重要な役割についている皆さんが、ではこの後、こういうふうにやっていけばいいのだみたいな、県当局も含め関係者が、これからはこうすればいいのだということを確かめ合えるようなそういう会議にしていきたいと思っておりますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。きょうは本当にありがとうございました。

和嶋局長
ありがとうございました。
それでは、本日ご出席の皆様をご紹介いたします。名簿をご覧いただきたいと思います。
株式会社岩本電機代表取締役社長の岩本明佳さんでございます。
いわてくじ農業協同組合代表理事組合長、小野寺敬作さんでございます。
福祉工場カナン牧場施設長、菅生周一さんでございます。
株式会社十文字チキンカンパニー専務取締役の野中元栄さんでございます。
浄法寺漆認証制度検討委員会の委員でいらっしゃいます南幅直美さんでございます。
岩手モリヤ株式会社代表取締役社長の森奥信孝さんです。
本日は、県北圏域の県会議員の先生もお見えでございますので、ご紹介を申し上げます。
二戸選挙区の五日市王議員でございます。
あとお一方お見えの予定でございますけれども、いずれお見えの際にご紹介申し上げたいと思います。

懇談

和嶋局長
それでは、早速懇談会に入らせていただきます。本日の懇談会は、最初に知事から県政運営の2つの基本戦略についてご説明をいたしまして、引き続き皆様方からこれらを中心に自由にご意見等をお伺いしていきたいと思います。
それでは、知事よろしくお願いをいたします。

達増知事
懇談資料ということで用意してございます県政運営の基本戦略についてというのをごらんいただければと思います。表紙をめくって1ページ目、岩手が直面する危機と取り巻く環境の変化ということで、まず岩手が今どうなっているのかというところでありますが、「全国に比べ回復が遅れている県民所得・雇用情勢」ということで、平成17年の数字が最近出ましたけれども、県民所得が下げ止まっておりません。また、有効求人倍率は平成18年の数字が出ておりますが、依然として1には達しておりませんで、働きたい人の数と働く場の数で働く場のほうが少ないという雇用の問題がございます。
2つ目、「歯止めがかからない人口流出」、県外への転出者数はほぼ横ばいで推移しているが、県外からの転入者数が減少とあります。4つ下に図表がありますが、左下、本県人口の社会増減の推移というのでわかるのですけれども、平成12年に社会増減というのがマイナス2,000人だったのが、平成18年にはマイナス6,000人と約3倍に人口流出がふえていますが、そのほとんどの原因は、今まで一旦外に出た若者がかなり戻ってきていたのが戻ってこなくなったというところであります。県外からの転入者数減というのは、全く新しく入ってくる人が減ったというよりも、進学や就職などで一旦外に出た若者が帰ってこなくなったというところが大きいところでありますが、その帰ってこなくなった理由には県民所得の低迷や雇用の低迷ということがあると思っておりまして、ただ単に世の中の人口減少のトレンドがあるから、岩手も人口が減っているというよりは、そういう経済情勢のせいで人口減少が加速されているという実態があると見ております。
もう一つ、「増加しているものの全国と格差が拡大する医師数」ということで、医師不足問題であります。ここには全体の医師数が増えていることは増えているけれども、全国の増え方よりも少ないと載っておるのですけれども、産婦人科の医師数は数として減っておりまして、そういう本当に必要な医師が減っているというところがあります。
ここは、岩手が直面する危機とまとめてあるのですけれども、一方で、その下、本県を取り巻く環境の変化ということで、「グローバル化の急速な進展」、こうした経済危機、また医師不足問題の背景にはグローバル化と、それに対応しようとする国の政策があるわけでありますけれども、それは岩手にとって脅威であると同時に、得意分野が世界に直結し、地域の価値を高めていく好機でもある。世界の中の岩手といった観点を強く意識しながらグローバル化の進展に適切に対応していく必要がある。というのは、世界に通用するものがあれば、そこには世界中から人やあるいはお金が集まってくるということであります。いわゆる格差問題も、あれは単に都会と田舎の格差ということではなく、何か世界に通用するものがあるかどうかということだと思っております。トヨタの自動車とか、あと東京は金融業、世界と連携して行う金融関係の会社が東京に集中しているという、そういうことで調子がいいのであって、そういうのがなければ人口だけ多くても決してうまくいっていないと思います。
一方、人口が少ないような地方であっても、そういう世界に通用するものがあれば人やお金は集まってくる。そういう時代を前提にいろいろ岩手の工夫をしていけばいいと思っておりまして、次の2ページ目に二大戦略の展開ということを考えております。この2ページ目の新地域主義戦略、3ページ目の岩手ソフトパワー戦略というこの2つの戦略でありますが、新地域主義戦略というのは、県と市町村が対等のパートナーとして協力し合いながら、一つは広域ですね、県北なら県北という広域で今までなかったような企画、今までなかったような事業、そういうことを県、市町村協力し合いながら、また県と市町村が対等なパートナーとなるところにはNPOでありますとか、いろんな団体も対等な立場でかむことができまして、そういうピラミッド状の国があって、県があって、市町村という中で縦割りでやっていたような事業とはまた別なタイプのことができるのではないかということで、広域の新しい地域を具体にいろいろ展開していくというのが内容の1つ目でありまして、もう一つは町内会、自治会、行政区といった、そういう市町村よりもちっちゃい地域、コミュニティーについても県も直接そこを見て、そして支援していくという意味で、地方自治法上の地域である県、市町村以外のそういう広域でありますとか、コミュニティーでありますとか、そこを活性化させていくことで今までにない地域振興をやっていこうというのが新地域主義戦略であります。
3ページ目の岩手ソフトパワー戦略、ソフトパワーというのは文化的魅力と道義的信頼によって相手を動かす力、ブランドという言葉とも同じ意味でありますけれども、来年平泉が世界遺産登録されるというのを一つのきっかけにしたいと思っておりまして、世界が岩手に目を向けるわけであります。そういうときに、世界遺産登録される平泉は、まさに世界に通用するというお墨つきを得る、そういう予定なわけでありますけれども、実はそれ以外にも世界に通用するものが岩手にたくさんあるのだということを一気に内外にアピールするチャンスだと思っておりまして、平泉以外のいろいろな歴史、文化、伝統、民俗芸能でありますとか、伝統工芸品でありますとか、そういう産業や、あるいは観光にもつながっていくような岩手のよさをアピールし、それを買うなら岩手のもの、雇うなら岩手の人、また観光等に行くのだったら岩手県というような、岩手という、そういうブランドを確立していくことで地域の振興を図っていこうというのが岩手ソフトパワー戦略であります。
この新地域主義戦略、岩手ソフトパワー戦略、これで今まで稼げなかったようなお金を稼ごうという前向きの攻めの戦略であると同時に、グローバル化のもとでの市場で勝負というのはそう簡単に勝てるとは限らない世界でもありますので、数字で所得がそれほどなかなか上がらないとしても、お互い助け合って心豊かに生きていくための環境整備という、そういう守りの戦略でもあります。広域という新しいフロンティアを確立させること、また町内会、自治会、行政区といったようなコミュニティをしっかり守っていくことで、仮に数値としての所得が目に見えて上がっていかないとしても、福祉や教育、そういったところでお互い助け合って、社会としては暮らしやすい社会というものを確保していく、またソフトパワー戦略のほうもお金に換算できない価値、誇りでありますとか、心の豊かさでありますとか、そういったものを岩手の財産としてきちっと確保していこうということでもありまして、これも軌道に乗れば現金収入化していくようなものではあるのですけれども、たとえ軌道に乗らないとしても、住んでいる人が誇りを持って心豊かに暮らしていけるようにという、そういう攻めと守りの両方を念頭に置いた戦略でございます。
こうしたのを基本にしながらグローバル化の時代の中で、岩手という地域が名誉ある地位を占めていけるようにというのがねらいでございます。私からの説明は以上でございます。

和嶋局長
お茶でも召し上がりながら、どうぞよろしくお願いをいたします。
知事からの県政運営の方向についてご説明を申し上げました。続いて、出席者の皆様のほうから順次ご発言をいただきたいと思います。そして、その後に自由な形で意見交換を進めてまいりたいと考えてございます。自己紹介を兼ねながら、お願いを申し上げます。
それでは、岩本様から順次お願いを申し上げます。

岩本明佳
座ったままでよろしいですか。

和嶋局長
はい。

岩本明佳
洋野町の種市から参りました、私は岩本電機の岩本と申します。きょうはよろしくお願いいたします。
それで、弊社の内容をすこしだけ皆さんにご披露いたしますと、弊社は20年前にできた会社で、主に仕事の内容が電子機器、ワイヤハーネスを製造しています。それで、内容的には雇用する人数が大体60名で、主に県内、管内を中心に採用しております。一部幹部候補生はどうしても八戸のほうから技術者は採用しているような状況です。
それで、今知事さんがおっしゃられたとおり、だれもが希望を持てる岩手、これを弊社の方向として当てはめた場合に何があるのだろうか、自分たちが希望を持って岩手でやっていけるものというのは何があるのだろうかと考えた場合に、まず1つ考えられるのは、正直言いまして、岩手のほうに要求するものというのはほとんどないような形で、例えば仕事を見つけるにしても東北6県、関東圏のほうにお願いしています。それから技術開発も多少やっているのですけれど、こちらのほうも岩手県の制度がしっかりしておりますので、それを利用させてもらっています。それから人づくり、物づくり。人づくりになるのですけれども、教育問題に関しては岩手産業振興センターで常時教育している、そういうことを考えますと、企業的に見ますとお願いすべきものというのは少ないような、これ個人的な立場なのですけれども。ただ強いて言えば、企業は業態を変えていかないといけないですから、その際にどうしても身近なところで教えてくれる人、相談してくれる人がいないのかなと。例えば新しいものをやります、もしくは何々をしますという際に、わざわざ盛岡もしくはそちらのほうに行って指導を受けながら、また戻ってくる。これが例えば自分たちの身近なところで行ける商工会もしくは地元役場、もしくは振興局等に現役のプロや教える人がいらっしゃれば、そちらのほうに行けるような形になるのかなと。このように考えているところです。これは、自分の企業からの延長線ですから、あとは公の部分はまた別なところでお話しできればなと思います。どうもありがとうございます。

小野寺敬作
いわてくじ農協の小野寺でございます。組合長を仰せつかって1年と3カ月ぐらいですか、実は、私は農業と全然関係ない分野で仕事をしていまして、農協に入っていろいろ教わることやら、疑問に思うこと等が多々あるわけですが、そういった中でいわてくじ農協が合併して今年で9年目ということで、この地域は旧6市町村が一つになった農協でございます。組合としては正規組合員が約5,000名、準組合員が約5,100名ということで、約1万1,000人の組合員を抱えているわけです。
農協の事業に入る前に、この地域というのは昔から非常に環境、風土が厳しいところで、やませや冷害が多くて、昔から非常に出稼ぎが多かった地域でございます。ですから、北海道、関東方面に出稼ぎして、留守は奥さんが守っているというふうな状況は多分100年近くも続いているのではないかなというふうに思います。そういった中で、教育も昔は若い人たちは学校を卒業すれば一つの稼ぎ手として関東方面に出かけているというふうな状況がありました。
一方、農業を見た場合、私たちの農協、金融、共済いろいろあるわけですが、直接農業に携わるとすれば、うちの農協は販売額が53億円ほどあるわけですが、その7割強が畜産に依存しているということでございます。ですから、この地域はこれからも畜産が中心になって、それに有機の堆肥を使った園芸野菜というのが今後も必要であるというふうに考えております。
また、第一次産業が生き残っていくということにおいては、私は海も山も、それから里も元気でなければだめだということで、山から自然の水が出て、海に流れ込むわけですけれども、そういった部分をぜひ大切にしていかなければならないのかなというふうに考えています。
それから、日本の農業にとってみると、どうしても高齢化して就農人口が減っていくという部分においては、私は2つのやり方を進めていかなければならないというふうに思っております。1つは、法人、会社等の大規模経営は、これは大消費地に向かってやっていかなければいけないと思いますし、小規模農家、それから兼業農家、これもやはり地元には大切というふうに考えており、これは農業が生活のすべての糧ではなく、年金を活用しながら副収入として営農できればいいのかなと。そして、地元に産直やら、地元の食材を提供していくという2つのやり方が必要なのかなというふうに思っております。
それから、都市と農業交流という、こういった部分では、非常に簡単そうで難しいと思うのですが、私はIT農業の推進ということで、都市部の農業に興味やこだわりを持っている方に1坪でも10坪でもいいのですが、そういう体験をしていただいて、インターネット上で1カ月たったらこれぐらい成長しましたと、これにもうちょっと水をかけてくださいとか、そういうやりとりをしてつながりを持っていければいいのかなというふうに思っていますし、あと牛等のオーナー制度を設けて、自分たちはこういう安全な安心な飼育をしているのだということでぜひやっていければなというふうに思っています。
それから、やはり付加価値をつけた商品という部分からいくと、やはりこれは私たちだけでもできないわけですが、産学官一体となった取り組みが必要なのかなというふうに思っています。
もう一つは、あと規制緩和の部分なのですけれども、今遠野方面ではどぶろく特区とかいろいろやっていますけれども、この地方はヤマブドウ等もありますから、ヤマブドウワイン特区とか、畜産の部分では解体処理は非常にそれは無理なわけですけれども、やはり都会から来たときにウインナーづくりとか、肉の加工など簡単な部分をもっともっと規制緩和していければなというふうに思っております。そういった中で、私たちも第一次産業に携わる者として、これからいろいろお知恵を拝借しながら進めていければなというふうに思っております。よろしくお願いします。

菅生周一
カナン牧場の菅生と申します。よろしくお願いします。私は社会福祉法人カナンの園の福祉工場カナン牧場という現場が6つほどあるのですが、そのうちの1つに勤めています。人が生活する上で、いろんな場面がありますので、その中の私が任されているところは障害者就労です。福祉工場というのは、平成23年度までは制度としては残りますけれども、雇用契約を結んで、主に知的な障害を抱えている方たちですけれども、雇用契約を結んで就労しています。ある程度税金は入りますが、雇用契約自体は全く一般の事業所と同じ形で、ですから労働関係の法とか全部適用されますので、特に障害の程度によっては雇用の最賃の除外申請等、基準局の指導は厳しく受ける現場なのです。
今回は、福祉ということで私は全体を俯瞰する立場にないのですけれども、ただ障害者雇用という立場から、地域の中でどんな私たちの存在意義があるのかなということを考えてまいりました。
それで、これは本人たちの状況です。いろんなところに福祉工場のようなところがあればいい。障害者雇用、自分たちで働くと。それから、実は福祉工場は全体で45人ほど、職員、障害持った方、従業員でいられる方たちも含めて45人ほどおりますけれども、彼らの人数が大体30人なのです。職員は15人弱ということで、むしろ圧倒的多数が本人たちです。その中で、重い人も、比較的軽いと呼ばれる人たちも一緒になって雇用契約を結んで、工賃ではなくて、給料で地域生活をしております。施設から全部出て、地域でのケアホームとか、それから私ども寄宿舎を持っていますけれども、それからアパートというふうな形で暮らしております。こういう一般就労している方たちも6名ほどおりますけれども、要するに世間で言う、一般で言うドロップアウトした方たちですね、この方たちは、もう一般就労には戻る意思ほとんどないのです。そうでない方たちの中にはまだ戻りたい、一般就労したいという方たちもいますけれども。それは、どういうわけかといいますと、彼らはどうしてもスピードというものについていけない。そういうときにお互いに仲間がいて支え合っても、支えてもらえない。ここに事業者の方いらっしゃいますけれども、技術的なことを教えるのはそんなに難しいことではないのです。彼らが一番問題なのは技術の習得するのに時間がかかる。それとさらに、ただその時間をクリアしたとしても、今度は圧倒的多数の健常者の中で働いていくことへのメンタルな部分での支えを的確に、タイムリーに支える手がもらえないという、そういうところでだんだん重なって、落ちていくという部分があるのです。ですから、今の私どものところはもちろん、そのところを一番メインにして考えてやっておりますので、そこのところが非常に手当てがタイムリーにある、そういう状況の働き場がもっと県内それぞれにあれば、自分たちは自分たちの生まれ育ったところで暮らしたいのだと、それが実現できるのだということを本人たちが言っているわけです。そういうことが一つであります。
それともう一つは、その中で私がずっと考えているのは、これは岩大の高橋先生がおっしゃったのですけれども、私は20年ちょっと前にカナンの園に来まして、その研修会で福祉は地域興しになると。県北、私どもは二戸圏域ですけれども、7万人いないです、圏域全部含めて。ただ、例えば奥中山地区というのはあの狭い地域に大体3,000人ほどが住んでおります。その中に障害を持つ方たちが大体300名が暮らしている。それに対する職員が大体この2倍ぐらいいます。そうすると、あの3,000人の地域の中に福祉というものを受け入れた地域がどれだけ経済効果があるか。1人最低でも基礎年金いただいている方は月平均にすると6万6,000円です。そうすると、(給料は)授産施設でも、ちょっと低いですけれども、1万円から3万円の範囲で、目指すところは3万円ぐらいなのです。そうすると、月10万円の収入になるのです。この人たちがその狭い地域、奥中山という小さい地域で暮らしております。これを実はあそこの商店主の人たちがよく知っているのです。ですから、非常にいい上得意なわけですから、利用者の方たちを温かく向かえて、とにかくお買い物ツアーでも何でも受け入れましょうというふうになっております。
私たちもできるだけ、例えば私の施設は大体1億7,000万円程度の総予算ですけれども、この予算をいかに上手に地域で使い切るかということを考えています。そのことと本人たちの収入、持っている購買力ですね。そういうことを考えると、県北でないない尽くしでいろんなことやって、あれもない、これもないと出ているのですけれども、実は今住んでいる人たち、そういう経済的な魅力がある、これはお年寄りの方でもそう言えると思いますけれども、そういう形で福祉の部分に何らかの手当てをすればこの人たちがここで暮らすことによっての経済効果というのは非常に大きいのではないかと私は思います。
地域福祉全体の中で一番必要としているのは移動なのです。久慈もそうですけれども、二戸でもそうですね。地域の広さに対して人口が少ない。それぞれ沢にみんな入っている。中心地が散在しているというような中で、その人たちが暮らすときに一番の問題は移動の足なのです。この移動のところ、施設だけが、施設が全部やるというとどうしても今の単価の中ではコスト割れしてしまいます。ここのところを何らかの形で手当てができていくと、私は障害を持った方たちもこの地域で根差して暮らしていって、そこに消費生活があって、地域全体の、知事も書いておられるけれども、地域完結という中の一つのものができるのではないかなというふうに考えております。

野中元栄
株式会社十文字チキンカンパニーの野中でございます。当社は、ブロイラーの生産販売会社です。岩手県は、全国3位のブロイラーの生産県です。鹿児島が1億1,800万羽、宮崎が1億1,600万羽、岩手県は9,100万羽位と言われていて第3位となっています。この3県で日本の6割近い生産をしています。岩手県でのブロイラー事業に携わる人間は、数え方にも寄りますが2万とも5万人とも言われております。雇用の場として、重要な位置を占めておりますし、岩手県の中でも、県北・沿岸地域にこの産業は根ざしており、県当局が進める「県北・沿岸振興」の地域と合致する産業としての観点から、関心を持って見て頂きたいと思います。
ブロイラー産業の場合は、それこそグローバル化が進んでおり、最近では飼料の値上がり状態が続いておりますし、燃料の高騰もあり経営を圧迫しております。輸入品も加工品を中心として日本市場に流れてきており、本当に厳しい経営環境と認識しております。多くの雇用を抱えており、この環境を打破しなければいけません。日々コストダウンに明け暮れております。
そこで県にお願いしたいことは、食鳥検査制度というのがあって、県の委託を受けた獣医師会が現場で検査をしていますが、この検査手数料が高い、安くしてもらいたいという事です。コスト競争のなかこの負担も工夫して下げる努力をして頂きたい。また、稼働率を上げたくても、検査員との関係で自由な稼動が妨げられているという事です。40億円とか50億円とかが処理工場の建設にはかかります。この減価償却費を下げるには、昼も夜も稼動すれば、工場を二つ建設しなくても済む訳です。そのためには、夜の検査員と昼の検査員が必要になります。処理工場の自由な稼動に対応できる検査員の確保などの対応を委託者として改善をお願いしたいところです。
その事によって、ブロイラー産業の競争力も増し、地域の継続的にも貢献できるものと思います。畜産と耕種農業との結びつきの点についていですが、我社も農協や行政の指導を貰いながら「環境保全型農業」「資源循環型農業」の推進をいたしております。この推進もブロイラーばかりでなく糞対策として大事な仕事であります。今点からも農業の衰退がありますと循環が旨くいかなくなります、県北沿岸地域の農業振興を図って頂いて、循環が旨くいきますようにお願いいたします。

南幅直実
南幅と申します。今日は、浄法寺漆認証制度検討委員会の委員として来させていただきました。住んでいるところは盛岡でございます。時間が限られていると思うので、資料をお持ちいたしました。横のカラーの資料です、お手元にあると思いますが、ごらんいただきたいと思います。私のほうは漆を中心にした新地域主義支援とソフトパワー戦略について考えてみたいと思います。
私の所属します法人がNPO法人岩手芸術文化技術教育研究所と申します。アート・カルチャー・テクノロジー・ラボラトリーということで、アクトラボというふうに通常呼ばせていただいております。
今、私たちのNPOはミッションとして、世界に誇る岩手の浄法寺漆をどうしても大切にしたいという強い思いから、国の事業にさまざま手を挙げまして、漆振興の事業を手がけさせていただいております。
漆は、皆さんもご承知のようにはるか9,000年も前から私たちのご先祖様の暮らしとともにあり続けてきました。今となっては浄法寺の地で守らなければ滅んでしまうこの技術と大事な文化を子供たちに伝えていきたいという思いが非常に強いです。それで、さまざまな事業を、今年度漆に関して約2,500万円ほど取り組んでいるわけですが、いっぱいの事業をとってふと考えたときに、NPOが単年度でこの事業をやっても、来年、再来年、5年、10年、100年後までに続けることはちょっと難しいのではないかと、最初から取り組み方を考えなければいけないと思いまして、実は県のいろんな部局にもこれまでお世話になった方々がたくさんおりますので、相談に行きました。でも、失礼ながら縦割りの組織でございますし、それぞれの方で非常に思いが強くても、いささかどうにもならないことが多く、非常にもどかしい思いをしておりました。
それで、やむなく岩手県立大学さんにこの7月に相談させていただきまして、8月6日に漆文化研究会というのを設立いたしました。今では、私たちNPO法人と文化研究会で支援体制を図りながら、スムーズに活動させていただいております。8月の末には漆文化フォーラムというのを開催させていただきましたが、これからいろんな展開をしていくところでございます。
次に、この漆文化研究会をつくって、これまでの経験から考えてみたものをまとめてみたのが資料2になります。漆を資源として考えてみると、これまでは産業や観光振興、それから伝統技術の継承とか、情報発信ということを各団体や組織でそれぞれで行われてきたように思います。これからは、一緒になって新たな郷土の魅力づくりに取り組むというのはいかがでしょうか。
次に、それにはどうしても組織も必要だと思います。その組織には、産学官民と言われておりますけれども、NPOや大学や行政など、幅広い人的ネットワークが必要と思っております。
例を挙げますと、県北地域に研究センターを置くというのはどうでしょうか。こういった企業が二戸地域にあれば地域主義戦略としても生かすことができると思います。そして、漆以外でもさまざまなプロジェクトチームをつくって、課題が出てきたら、その課題ごとに取り組んでいくというのはどうでしょうか。さらに、県外との情報ネットワーク機能を兼ねてアイーナに分室を置くということも考えられると思います。
次に、またアイーナは県民の交流の場なので、新たな事業として学術研究交流の場をトータルでつくるといろんな交流につながって、ソフトパワー戦略がかなり進むと思います。
以上が今回漆文化研究会をつくって効果的と思いましたので、まとめてみた資料でございます。こういったさまざまな可能性を視野に入れながら、その一環として私たちのNPOは今漆振興に取り組んでおります。
ここで1つ知事にご相談ですが、2月には岩手の漆文化を首都圏や世界に展開するために、この2,500万円の事業の中の総額600万円くらいを使ってシンポジウムと展示会、交流会などを計画しております。漆だけではなくて、漆と一緒に県北地域の食文化の体験や、あとは漆を使った文化財として、平泉のPRも全面的に盛り込みながら、このシンポジウムや展示会を大々的に岩手のPRとして戦略的に行いたいと考えております。2月の中旬ごろを予定しておりまして、今二戸市さんや二戸振興局さんにもご協力をお願いしながら計画を進めているところでございますが、何せNPOというのは、知事もご承知のように運営が大変な団体でございます。一生懸命工夫しながらやっているところでございます。でも、先ほど知事のお話で、現場の知恵を共有したいというお話がございました。ぜひ私たち、職人とNPOの現場の一生懸命考えている知恵を行政の皆さんや知事もぜひバックアプしていただきたいと思います。それで、2月中旬のイベントにはぜひ知事も会場のほうで一緒になって岩手のPRを世界に向けてする第一歩として、ぜひ参加いただきたいと思います。
ありがとうございます。

森奥信孝
岩手モリヤの森奥と申します。時間もないと思うので、参考資料を持ってきましたので見ていただきたいと思います。4枚つづりの最後に当社の簡単な紹介をしております。もともと当社は東京に本社がありまして昭和49年、この久慈に誘致企業として進出してきました。その後、地元企業になるには地元に根づいていかなければならないということで、昭和63年に現地法人化をし、久慈が本社・本社工場となりました。
仕事内容は高級婦人服の縫製をしております。例えばファッション雑誌に載っているような、主に高級婦人ジャケットを生産しております。
当社がなぜ久慈に進出したかというと、東北からの就職が久慈管内からが一番多かったので、その人達がいずれ結婚を機に地元に戻って来ても職があるようにということでこの久慈に工場をつくりました。当社の特徴は労働集約産業であり下請工場であります。脱下請けということで取り組んでいる企業もありますが、当社は脱下請けということではなく、下請けの強みを前面に打ち出すということで、岩手モリヤという会社、工場のブランド化を目指す取り組みをしています。
また、当社は多品種少量や急激な時代の流れに対応するため新規学卒者を積極的に採用しており、昨年8名、今年6名、来年度は10名の採用を予定しています。最近特に縫製業を中心として外国人研修生・実習生の受け入れが目立ちますが、当社は3年前から研修生の受け入れを止め、今年の8月に最後の実習生が帰国しました。より高度な技術革新を行うためには目先の労働力ではなく、優秀な人材を育成する取り組みであり、100%地元採用で、より高付加価値な物づくりを進めていこうと取り組んでおります。
久慈地域の縫製業は久慈管内で25社あります。管内製造業数を100として、17.4%で、従業員数に関しては725名で、管内製造業従業員総数を100として25.3%を占めており、この久慈地域の雇用に大きく貢献している産業であると思います。また、特徴としては同じ縫製業でも多彩なアイテムがあります。当社は婦人服ですが他に水着、ユニフォーム、トレーニングウェア、武道着、子供服、肌着、パジャマ、ニットなど多彩なアイテムが存在しています。状況的にはそのほとんどの企業が下請け製造業ということで依然厳しい状況にあります。しかしその厳しい状況下の中でも各企業ともリストラなどもせず頑張っています。その背景には当然価格競争との厳しい戦いの中、やはり高品質を維持し続けているという強みがあるからだと思います。
今後はこの厳しい状況下においてもスキルはでき上がっているわけですから、先程知事が世界一の技術を持たなければ競争力がないと話された様に、常にグローバルスタンダードを意識しスキルアップを目指していかなければならないと思っております。そしてそれが競争力につながると信じております。
そこで知事にお願いがあります。それは既存地元企業へのスキルアップにつながるためのフォローアップであります。
久慈地域においては久し振りの男子型誘致企業の造船会社が進出し、久慈市発展の為にとても良かったと思っております。しかし、今後においては立地条件やインフラ整備などで企業誘致をするにも非常に難しい部分もあると思います。又、女子型企業進出では既存地元企業との労働力の奪い合いが発生し、結果的に逆効果も懸念されています。その様な現状において企業誘致推進も大事ですが、現在すでに基盤が出来上がっている製造業をはじめとする地元企業へのフォローアップを行えば、雇用の拡大と共に人口流出減など新規企業誘致以上の効果が得られると同時に県北沿岸圏域の活性化に大きくつながると思います。
以上です。

和嶋局長
ここでご紹介申し上げます。県議会議員久慈選挙区の嵯峨壱朗議員でございます。
これで一通り皆様方からご発言をいただきました。これからは自由な形で知事と意見交換をしていただきたいと思います。
では、知事よろしくお願いします。

達増知事
そうですね、一つの話の種といたしまして、新しい地域経営の計画素案についてというこの横長の資料があるかと思いますけれども、この5ページ、地域編の概要というのがございまして、「5」という数字がはっきり印刷されていないかもしれませんが、4の次の6の前のページです、地域編の概要、この右側、各圏域の目指す将来像及び基本方向ということで、一番下に県北が書かれておりまして、それで目指す将来像として、一言で言えば八戸圏域等との交流、連携を深めながら、培われた知恵、文化を新たな取り組みに生かす活力みなぎる地域。そして、基本方向として、地域の自立を可能とする産業経済基盤の構築で、その下に書いているとおりであります。そして、2、安全安心に暮らせる地域社会の形成と下に書いているとおりであります。
こういう目指す将来像と基本方向というのを県のほうで考えているところでありますが、特にいわゆる県北振興ですね、ということについてどう考えるかということをテーマとしたいと思いますが、それ以外それぞれふだん考えていらっしゃること、何かアイデア、また主張等々あれば、自由で構わないのですけれどもということで2巡目の発言をお願いしたいと思います。
順番に岩本さんからお願いします。

岩本明佳
八戸広域を考えた場合に、自分の場合は技術系の会社ですから、どちらかというと新卒採用の大学、そうした場合に八戸工業大学がありまして、現在もこちらのほうから4名ほど採用いたしまして技術開発を行っていて、なおかつ、その延長線上で先生も協力してもらっている。ですから、自分の場合は特に経済的というより、人材育成もしくは技術的な要素で八戸がどうしても必要だと、そういう考え方があります。
以上です。

小野寺敬作
八戸広域とか地域の自立の部分からしますと、先ほどとダブると思うのですが、どうしても海、里、山といった場合、まだまだこちらの自然のものを活用する方向というのはもっと必要だと思います。資料の中にはナマコの海外輸出とかありますけれども、私は山にももっともっと薬草となるようなものはたくさんあると思うのです。そういうものを掘り起こして、いろんな薬草を提供したり、それから農業の部分でいくとヤマブドウを付加価値をつけて提供していくという部分など、この地域は今までやっていない部分のものがまだまだあるのかなというふうに思っています。
あとそれから先ほど話していましたが、この地域の人口が減少しているというのは、これは目に見えているわけですから、いかに交流を図っていくかという部分が大事ではないかなというふうに思います。ですから、都市との交流、そこで気に入ればここに住みたいというふうな方々がどんどん出てくればいいのかなと思っています。
私が常々思っているのは、今はいろんな老人福祉施設等ありますけれども、どんどん高齢化していく中で、人はそれぞれ趣味を持った人がいるわけですから、そういう人が一堂に集まるようなゾーンをつくって、そういう老人福祉施設に入る人はできるだけ短く入って、天界にいっていただければというようなことで、ぎりぎりまで一所懸命に趣味を生かした頑張れるゾーンをつくっていけば、老人福祉施設等の公共投資が抑制できると思います。農業が好きだったら農業、漁業が好きだったら漁業、釣りだったら釣り、そういう人が集まっていろんな共同の生活できるような場がこれからできればいいのかなというふうに思っております。
以上です。

菅生周一
基本方針の2の安全安心に暮らせる地域社会という面で、先ほど申しましたように、我々も、障害持った方たちが最初から障害を持っているわけではない。私たちもいずれ障害を持つわけです、加齢による障害を持つ。そういった方たちが安心して暮らせる地域というのは、そうでない、健常と言われる人たちも恐らく非常に暮らしやすい地域になるというふうに思っています。
これは身近な例ですけれども、仕事とは全く関係ないのですが、私も車いすの友人が何人かいるのですが、家を建てるときに、この方たちを迎えられるようにということで、ない予算をはたいていろいろ工夫をしたのですけれども、結果的に自分が一番暮らしやすくなりました。恐らく地域でもそうなのだろうと思います。ですから、障害を持った方たちも、私はカナンの園という県北では比較的大きな総合施設になっていますけれども、施設の枠というのはどんどん下がってきます。それぞれ現場で職員が、そこの所属している職員たちが現場で仕事をしていることで、他の施設とかなり綿密につながりながら仕事をやっています。私は奥中山、一戸町ですけれども、実はこの久慈に去年、一昨年、今年と2人私どもの従業員が帰りました。おうちに帰りたいと、ずっと支援してきて、調整して、ようやく生活の場、それから日中の場というふうにして、本人がよしとして、去年と今年と2人連れてきました。私どもとしては働き手が少なくなるのは非常に痛手なのですけれども、ただ本人がどうしても暮らしたい。それが願いであると、久慈の方たちと連携しましょうということで、いろんなセクションのものが、労働だけではなくて、生活の場面も含めて連携して、それが実現していくことができたのです。こういうことをもっと広く、それでやはり先ほど申しましたように何が一番必要かというと、移動に対する具体的な措置をかなり今早い時間に、時期に手当てして、そうすることによって、人口減少ということもありますけれども、福祉というのは非常に労働集約型の職域ですので、いろんな方がそこに根づいて、そこにかかわってくると思います。
何回も言いますけれども、奥中山地区を1つ見ていただければ、それが一戸町全体では1万6,000人少しですね。私が来たときには2万人いました、20年前です。それが今1万6,000人少しです。どんどん減りました。ただし、私がいる地域だけは施設があるということで、若い人たちがどんどん入ってきます。そういうことが県北の中でも可能なのではないかと。そして、その住んでいる人たちが自己完結していくという方法をもっと考えていければ。
例えば1つ申し上げたいのは、施設で物を購入するときに合見積をとるわけですが、私は実は合見積をとっても、地元のものであれば、地元の業者であれば多少高くてもいいでしょうと。そういうふうなものをやはり行政の中で、ただ価格競争ですね、そういう納入に持ち込むのではなく、やはり地域全体の完結性ということを求めるならばそういうこともひとつ視野に入れていかなければいけないのではないかなと。いずれこういうことを余りやっていると監査のときに指導されるのですけれども。そう考えています。

野中元栄
私はこの県北・沿岸に最も必要な事は首都圏との交流だと思います。たまたまブロイラー肉の販売で首都圏の生協さんや大手量販店の方々とお会いする機会が多い中で話が出るのは、色々なものを欲しがっているということです。岩手人は案外宣伝が苦手で下手です。農産物、海産物を県北の文化にのせながら販売に取り組んでいくことが大切だと思います。まだまだ沢山の販売が可能だと思いますし、その事によって農業や漁業の活性かも図られるものだと思います。岩手は首都圏から距離があるため、多額の旅費がかかります。消費者は負担が大きければこちらに大勢は来られません。生協さんの係りの方のお話だと1名当たり1万5000円程度が限界のようです。交流事業を通して地域の文化や良さを訴えつつ、そこで生産される産物を「顔が見えるもの」として発展させていくためには、交流が大切です。グリーンツーリズムなどを活発に行えるような支援が必要だと感じています。このことが成されれば、取引中心の市場販売から、産直販売へと進み、県北沿岸の農業漁業の振興につながるものと考えます。

南幅直実
今資料の4つの広域圏の基本方針のほうを、先ほど初めて見させていただきまして、ざっと目を通させていただいておりました。県北に関して、隣県の八戸圏の地域との交流連携ということで、非常にすてきだなと思いました。すばらしい取り組みになるなというふうに非常に期待を持って拝見させていただいておりました。
それから、どうしても今漆の振興をしているものですから、文化という言葉に非常に敏感になっているのですけれども、この文化を新たな取り組みに生かす、活躍みなぎる地域ということで、まさにこの県北地域がリーダーシップをとってこういった取り組みができていくのではないかと、言葉を見ながらイメージができる、非常に楽しみに思ったところでございます。
私どもの事業でも、浄法寺地域を漆の里と見立てて体験交流型の観光ができないかということで、実験的にこの年度からそういった事業を始めております。どうしても漆器というのは食べ物を盛って食べて初めてよさがわかると思うのです。そういったことから、さまざまな連携ということで、漆の業界だけではなくて、食文化であるとか、さまざまな地域の文化を通した産業振興がこの県北地域だからこそできていくのではないかなと思っております。
それから、私も海外に目を向けたいという気持ちは知事と一緒ですけれども、例えば、昔日本から海外に渡った漆芸品がたくさんありますけれども、そろそろ傷んできて修復しなければいけない時期になっております。そういった各国の要人の方々が自分たちの国で抱えている大事な漆芸品を修復をしたいということで、日本に視察に来られました。日本の受け皿としては、当然なのですけれども、木漆がとれる浄法寺ですね。漆がとれて、最後の塗りまでできる、修復もできる浄法寺漆に多くの海外の方が視察に来られております。地元から見ると、「外国の人たちがこんな田舎に来るの」と思うのではないかと。でも、それは漆があれば割と比較的に難しくなくPRができてきて、この貴重さがわかれば多くの人たちがこの地域に訪れるのではないかなというふうに思います。この地域には本物があります、世界に通用するものがありますので、ぜひそれをどんどんPRしたいなと私は思います。
もう一つ加えさせていただきますと、何回も申しますが、この漆、9,000年の歴史がございます。9,000年以上だと思います。今発掘調査の中で確認されているのは9,000年です。さまざまな産業の振興も確かに大切なのですけれども、もしかしたら漆の振興は、産業振興としてはちょっと数字的には弱いかもしれませんが、自分たちの子供たちの年代にぜひ残していかなければいけないということで、特別な位置づけで守っていってもいいのではないかなと考えております。八戸地域との連携も当然ですが、八戸から県北、それから県南の平泉の世界遺産、そちらまで人が流れるような観光策、岩手全体が活性化されるような、そういった観光策が漆を通してできればいいのではないかなと、そういうふうなイメージもしております。

森奥信孝
県北・沿岸地域と八戸圏域との交流、連携というのは、私は正直言ってナンセンスだなと思います。八戸はたとえ近くても青森県ですから、青森県八戸市と交流を持つ以前に、例えば久慈と二戸もこういう形で知事を交えて交流できたわけですが、まず地元を知るというか、まず二戸と久慈など県北・沿岸地域との交流、連携が先だと思います。
もう一つ、「より豊かに、ゆとりある地域づくり」というのは理想だと思うのですが、まず先決は「安全、安心に暮らせる地域づくり」だと思います。一つ例をとって見ると、今、私は久慈市夏井町という海の直ぐ近くに住んでいます。以前何回か津波警報が鳴り、そのたびに近所の人が歩いて高い場所に避難するわけです。地震があると常に不安を抱えながら生活しています。これが地域の現状なのです。久慈地域だけが津波対策、湾口防波堤の整備が遅れています。過去に三陸大津波で大きな被害を実際に受けている地域だということもあるので、まず安心、安全に暮らせる環境整備を急いでもらいたいです。これは県の力がなければ成し遂げられないことなので是非早期着工をお願いいたします。
次に地方との格差という部分を含めて、地方と都市との交流、情報収集などで県北地域や特に県北沿岸地域が遅れているわけです。道路などのインフラの整備も早急に取り組んでもらいたいのですが、平行して盛岡以北には東北新幹線の駅が二戸と沼宮内にありますが、青森駅完成により、二戸駅が通過駅にならないか心配しています。やはり唯一都会との接点というか、情報収集も含め二戸での乗降による経済効果は二戸市だけではなく久慈など沿岸も含めた広域に広がると思います。どうか全便が二戸駅停車になる様、県から圧力をかけてでも実現して欲しいです。宜しくお願いします。
それから知事の言われる岩手ブランドの推進ですが私も同感で、何とか岩手ブランドを全国、いや世界に発信できないかと思っています。久慈にも海産物はウニやアワビやワカメやホヤなど、農産物では寒締めホウレンソウや山形村短角牛など、他にも琥珀や小久慈焼や地酒などがあり、個を見るととても優れていますが全国一の岩手ブランドと発信するには残念ながらインパクトがいまいち不足していると思っています。企業努力で積極的に営業し成果を上げているものもありますが、やはりご当地ブランドとは業種を超え、強い地元意識の中でその地域全体で考え協力し知恵を出し合って取り組んでいく必要があると感じています。まずは何が優れていて他に負けていないか、どんな特徴があるのか、どこが岩手らしさなのか、などから考えていけば糸口がつかめていく気がします。例えばブロイラーさんだと、十文字社長がマスコミを通じていつも話している、抗生物質を一切使わず育てた鳥を厳しい衛生管理の整った工場で新鮮なうちに供給するなど、食に関する安全・安心を前面に打ち出すだけでも、岩手の鳥は安心して美味しくたべられるという信頼感が生まれていて、他の物産に関しても岩手産は安心という信頼感やイメージが生まれると思います。
それから漆工芸などの伝統工芸を残していくことは絶対大切なことだと思います。伝統工芸は唯一世界でそこだけしかないわけですから、やはり歴史だとか、文化は守り、残して行かなければならないと思います。
それから、知事が言われた賃金の地域格差是正ですが、私も経営者としていつも頭を痛める問題でして、工賃収入のみの下請け製造業であるために中央などと比べると、正直その差は歴然としています。しかし、このままでは駄目という思いは強く、やはり会社のレベルアップは人材育成しかないと信じ、より優れた技術力を武器に世界最高品質を目指し人材育成に取り組んでいます。そしていつかは岩手県の岩手モリヤで作った製品の技術力は世界一だと言われる様なブランド工場になれるよう努力していきたいと思います。
以上です。

和嶋局長
どうも大変ありがとうございました。お時間でございまして、いずれ言い足りない分は二戸の振興局でも、私どものほうでも今後とも受け付けますので、どんどんご提言いただければと思います。

知事所感

和嶋局長
それでは、最後に知事のほうからご所感をお願い申し上げます。

達増知事
きょうは本当にお忙しいところをおいでいただいて、貴重な意見ありがとうございました。
それぞれの分野で本当にいいものが岩手にはあるなというふうには改めて感じまして、ちょっと前に全国の外食産業団体の皆さんが岩手に来て、それで岩手のいろんな食材を試して帰るという企画があって、その中で天狗という居酒屋のチェーンの仕入れ担当の部長さんがびっくりしたと、本当に全国有数のレベルの高い食材がたくさんあると。それで、純情何とかという売り出しをしていると聞いたけれども、もっとグルメ岩手みたいな、そういう売り出しもいいのではないかと言っていて、それは比較的岩手を対外的に紹介するときに、今まで清貧なイメージで、清く、貧しく、美しくというような感じでアピールすることがあったと思うのですが、それはそれで事実を反映しているところもあるので、それはそれでいいと思うのですけれども、一方ではゴージャスな岩手というか、ぜいたくな岩手というか、対外的にはそういったところもアピールしていくといいのかなと思ったのです。ファッションショーや雑誌に出るような、そういう婦人服をつくっていますとか、それから漆も本当にぜいたくなものだと思いますし、国宝などに使われるわけですし、木からにじみ出る宝物だと思うのです。そして、食材、特に肉というのは、やっぱり豪華な食べ物なわけでありますから、そういうのを生産している県北、そしてそういう福祉がどれだけきちっとやられているかというのは、その地域全体の真の豊かさを反映するものだと思うのです。それだけの本当の心の豊かさというのが地域にあるという証明だと思いますので。そして、先端的な技術もあるのだというような、そういう県北ということについても、実は豪華な県北みたいな売り出し方もできるのかなというふうに思いました。
日本で一番まじめで誠実で勤勉な人たちが住むところでもありますから、そういう純情というイメージは、これはこれでいいと思うのですけれども、そういう人たちが努力した結果、全国有数、世界に通用する非常に豪華なものを宝物のような食べ物から、伝統から、そして技術、また福祉社会というのを、そういう宝の山ですよというようなアピールを工夫していかなければならないなと思いましたので、ぜひまたこれからもいろいろ教えていただいて、協力いただきたいと思います。きょうは本当にありがとうございました。

閉会

和嶋局長
どうも皆さん、本日は大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
これをもちまして、県北広域振興圏における「岩手フロンティア懇談会」を終了いたします。本日はどうも大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 広聴広報担当(広聴)
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5281 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。