岩手フロンティア懇談会(平成21年7月9日)懇談記録

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ページ番号1000937  更新日 平成31年2月20日

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写真:懇談会の様子1

  • 対象地域:県南広域振興圏
  • 日時 平成21年7月9日(木曜日)
  • 場所 千厩行政センター
  • 出席者
    参集者
    円谷 伸之(一関商工会議所青年部東山支部 理事)
    岩渕 豊子(特定非営利活動法人いちのせき子育てネット 代表理事)
    千田 恭平(弓手川結いネットワーク 代表)
    佐々木 久助(岩手県農協乾椎茸連絡協議会 会長)
    板橋 静子(岩手県農業農村指導士協会県南ブロック 会長)
    小野寺 真(岩手県建設業協会千厩支部青年部 部会長)

「守りたい地域の宝は何ですか。その宝をどのようにして次世代に伝えますか。」をテーマに、一関地域を中心に各分野で活躍されている方々と知事が懇談しました。

開会

勝部局長
ただいまから県政懇談会、「岩手フロンティア懇談会」を開催したいと思います。
本日ご出席いただきました皆さんには、大変お忙しいところ足をお運びいただきましてありがとうございます。私は、本日の進行役を務めさせていただきます県南広域振興局の局長の勝部でございます。よろしくお願いいたします。

知事あいさつ

勝部局長
それでは、開会に当たりまして、知事からごあいさつを申し上げます。

達増知事
皆様、こんにちは。この「岩手フロンティア懇談会」といいますのは、作戦会議のようなものでございまして、それぞれの分野、またそれぞれの地域の中で活躍されている皆さんに、それぞれの仕事あるいは生活の現場で直面している状況についてお話をいただきながら、県として複数市町村にまたがるような広域での地域振興についてのヒントをいただければということで開催しているものでございます。
なお、今年は県の新しい長期計画をつくる時期になっておりまして、今後10年間の長期計画を大体今年のうちにつくろうということで、今県のほうでつくった素案をホームページなどでお示ししているところでありますけれども、そうした地域のあり方、あるいは岩手のあり方に関する長期的なビジョンのようなもののヒントもいただければと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

勝部局長
ありがとうございました。
それでは、本日ご出席の皆様方をご紹介したいと思います。名簿に従ってご紹介いたします。
一関商工会議所青年部東山支部の円谷さんでございます。

円谷伸之
よろしくお願いします。

勝部局長
それから、特定非営利活動法人いちのせき子育てネットの代表理事岩渕豊子さんでございます。

岩渕豊子
よろしくお願いします。

勝部局長
それから、弓手川結いネットワーク代表の千田恭平様でございます。

千田恭平
千田です。よろしくお願いします。

勝部局長
それから、岩手県農協の乾椎茸連絡協議会会長であります佐々木久助様でございます。

佐々木久助
佐々木でございます。よろしくお願いします。

勝部局長
それから、岩手県農業農村指導士協会の県南ブロック会長の板橋静子様でございます。

板橋静子
板橋です。よろしくお願いいたします。

勝部局長
それから、岩手県建設業協会千厩支部青年部の部会長であられます小野寺真様でございます。

小野寺真
小野寺です。今日はよろしくお願いします。

勝部局長
それから、本日県議会議員の先生にもご出席いただいております。奥州地区選出の県議会議員でございます。よろしくお願いいたします。

懇談

写真:懇談会の様子2

勝部局長
それでは、早速懇談に入らせていただきますが、本日の懇談につきましては、テーマを設けておりまして、「守りたい地域の宝は何ですか。その宝をどのようにして次世代に伝えますか」という、そういうテーマを設定させていただきまして、進めてまいりたいと思います。
皆様から、どうか自由なご発言をいただきたいと思うわけでございますけれども、まずは円谷さんのほうから、自己紹介、日常の活動も含めて紹介いただいて、それで一巡をして、その後自由に意見交換させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

円谷伸之
円谷といいます。よろしくお願いします。
私の簡単なプロフィールですけれども、岩手県一関東山生まれです。

達増知事
座ったままでいいですよ。

円谷伸之
よろしいですか。はい、では失礼しまして。
続けさせていただきます。趣味は、陶芸、絵画、カクテル創作と、ちょっとマニアックな趣味を持っておりまして、スポーツは柔道と少林寺拳法をやっております。仕事は、ユニホームといいますか、制服、作業服の卸売業をやっております。
私は、一関商工会議所青年部東山支部に入っておりまして、主な活動内容としては、毎年灯篭流しを行っております。それと、あとは東山のイベントで唐梅館絵巻のサブイベントになりますが、ふるさと磐井わいわいクイズといいまして、優勝者に沖縄旅行とか北海道の旅行とかを設けてウルトラクイズ形式でやっているものです。
そのほかに取り組んでいることが「ふるさとCM大賞inIWATE」の参加で、第2回から毎年毎年参加しておりまして、賞のほうも何とかとりながら頑張っております。
あともう一つは、「欽ちゃん&香取真悟の全日本仮装大賞」の参加、これも旧東山商工会青年部時代にみんなで取り組んだものでして、これをやるきっかけになったのが東山の洪水の災害があったため、みんなで何かこの暗い雰囲気を打破しようと、何か元気な話題を振りまきたいという思いで、みんなで取り組んだ仮装大賞です。
ほかに青年部の活動としてはワインパーティー、独身者向けのお見合いパーティーなのですけれども、これも地元で始めて、初めは20人、20人と少数でやっておりましたが、だんだん、だんだん皆さんの評判もよく、続けてきましたらば、400名以上の参加と、カップル成立も20組、ゴールインされたカップルも二、三組いらっしゃいまして、私たちとしても本当にやっていて良かったという思いで、今年もこの企画もやりたいと思います。
あとは、「24時間テレビ」にも毎年毎年、町の駅の空き店舗を利用して募金活動を行っております。これも東山の洪水があった次の年からやっておりまして、皆さんから寄附金いただいたその恩返しということで始めた活動です。
次にいきまして、ゲイビマンプロジェクト委員会に入っているのですが、このゲイビマンプロジェクト委員会というのは、地域の活性化のため、地域住民との交流を深め、みんなの心にゆとりと潤いを、地域に元気と活力を与えていくという目標を掲げて毎日取り組んでおります。ゲイビマンというのは、もともと日本百景の猊鼻渓からちょっと参考にさせていただいて、昔のゴレンジャーの格好をしまして、子供たちに教育面もしくは安心で楽しい生活面をバックアップしながら取り組んでおります。
今までのゲイビマンの活動としては、後でホームページを見ていただけるとわかるのですが、去年の11月に発足しまして、去年の11月に川崎「きらりわいわいっこまつり」というのがあったのですが、それへの参加と、それから地元の長坂保育園生活発表会と一関銀座商店街初売りの参加、それから盛岡で行われましたご当地ヒーローコンテストに参加して……

達増知事
アイーナでやったやつですね。

円谷伸之
はい。参加させていただきまして、何とか3位入賞とこぎつけることができました。
そのほかに、一関でやっております全国わんこもち大会の参加、それから猊鼻渓の感謝祭への参加、イオンスーパーセンターさんの売り出しの参加、NHK杯ボウリング大会の参加、それと一関の磐井川チェリーロードまつりの参加、一関のケーブルテレビデジタルフェスタの参加、猊鼻渓の舟下りのちびっこフェスティバルの参加、サティ一関の父の日感謝デーへの参加、それからこの間行われました川崎のにぎわいテント市への参加、あと7月はせんまや夜市さんへのイベントの参加、それから後半のほうに老人ホームの夏祭りの参加と8月、9月、10月、11月とスケジュール、毎週毎週入っている状況であります。

達増知事
円谷プロという感じですね。

円谷伸之
そんなことはないですけれども。
あと、皆さんネットワークづくりで少しでも商店街とか、まちの活性化のためになればいいなという思いでやっております。
次にいきまして、今取り組んでいる事業は、音楽劇「たいしたもんだ」制作事業実行委員会の活動なのですけれども、去年宮沢賢治メモリアルDVDというのをつくりまして、皆さんにお伝えしながら、各会場で上映させていただいております。内容は、旧東山町の昔の青年団の方のお話なのですが、晩年の宮沢賢治が一関市東山町の東北採石工場で技師として働いていたことにちなみ、旧長坂村青年団が新山公園に詩碑を建設した経緯や携わった人々の思いを当時の資料や関係者のインタビューでまとめたものです。戦後間もない混乱の中、高村光太郎先生、谷川徹三先生など多くの人々のかかわりと、ついには村を動かした宮沢賢治詩碑建立のため奔走した長坂青年団の熱き思いを感じ取れる作品に仕上がっております。今年の11月1日にミュージカルをやろうということで、一人一人役者とか舞台スタッフを地元の人で協力し合いながら、ただいま稽古をしている最中です。
簡単ではございますが、プロフィールと、あとは活動内容は、こういうことをやっております。

勝部局長
ありがとうございます。
それでは、次に岩渕さん、よろしくお願いいたします。この後意見交換ありますので、活動内容はもう少し縮めてお話しいただければ。よろしくお願いします。

岩渕豊子
私たちいちのせき子育てネットは、国の少子化対策でやっているつどいの広場事業を中心にやっています。つどいの広場は、ゼロ歳から3歳の子供を持つお母さんたちに第2の茶の間みたいなイメージで来てもらって、自由に遊んで帰ってもらう場所です。その中で、ちょっとしたイベントや、本の読み聞かせ。エプロンシアター、手遊び歌などもしています。
子育てに関するボランティアをしようと思ったきっかけは、神奈川県の川崎での子育てです。知人のいない土地での子育てのなか、近所のおばちゃんたちが我が家の子供が泣けば、みんな、「どうしたの?」と声をかけてくれたり、だっこしてくれたりと手伝って頂きました。そのことが嬉しく有難かったです。そういう思いを今、子育てをしているお母さんたちにも体験してほしい。更に後輩にも伝えていってほしい。神奈川にいたおばあちゃんたちには恩を返せないけれども、岩手にいるお母さんと子供たちにおばあちゃんたちの思いを伝えてあげたくて始めた活動です。
随分短いですが、ちょっと時間調整したつもりです。終わらせていただきます。

勝部局長
ご協力ありがとうございました。
それでは、千田さん、よろしくお願いします。

千田恭平
千田恭平といいます。ことし55歳になります。ここから歩いて3分ぐらいのところに私の家がありまして、そこで自営業をやっています。学生時代は東京へ出まして、黄川田徹議員さんなんかとは、クラス違ったけれども一緒でした。40歳ぐらいをめどに千厩に戻ってきまして、あっという間に15年たってしまいました。
商売の傍ら、平成15年からこの弓手川結いネットワークというのをつくって取り組んでおります。これは、従来の活動というのは、行政の垣根超えたものはなかったのですが、たまたま振興局のほうから、今行政センターになりましたけれども、お声がかりがありまして、今合併して一関市になりましたが、当時の千厩町と、それから川崎村の6つの団体が集まってスタートしたという取り組みでございます。川のお掃除とかいろんな環境活動をやっています。今年7年目になりました。昨年の秋は、いわて環境王国展でも事例発表させていただいて、ちょうど知事が大学の枝廣さんと対談なさったときに行って発表させていただきました。
あと、ほかにもう一つ、地球温暖化対策地域協議会というのが、県内に16あるのですが、その一関の協議会の代表というのもあわせてやっております。これもやっと3年目になりました。
簡単ですが、以上です。

勝部局長
ありがとうございます。
それでは、佐々木さん、よろしくお願いします。

佐々木久助
私は、ここに詳細書いていますが、このような内容で農外収入のない貴重な農家でございまして、農林業収入だけで何とか生活をしておりますが、この数字を見れば、非常に規模が小さいわけですけれども、複合経営でやっております。
この中でメーンがシイタケなわけでございまして、岩手県のシイタケは、それぞれ農協、森林組合、あと今は解散しましたが、シイタケの専門農協という3つの団体が競いながら振興してきたという経過がございましたが、既に知事さんもご存じだろうと思うのですが、生産が非常に落ち込んできているということで、それぞれの団体で競っている状況ではないのではないかということで、私の場合には農協サイドを取りまとめて一応代表という立場でやっておりますが、考えのもとには今言ったように、組織にとらわれずにオール岩手でシイタケを消費者に向けていこうということで取り組んでおります。
その具体的な行動が次のいわて「食育パートナー」というのがあるのですが、岩手でつくっているシイタケは木を使っているのですが、一般的に消費者が食べているのは、おがくずを固めたやつを使ってつくったものを食べているということで、そこの違いを、お金を出して買っていただく方々にわからせないと、岩手のシイタケというものの価値をアピールできないなということで、そういった兼ね合いのことをまずは首都圏ということで考えたのですが、同じ伝えるならば、まず子供からがいいのではないかと、将来に向けてということで、小学校の生徒さんを中心に岩手に触れてもらって、そこでつくられたものを食べることを通して岩手県が食料生産県と自称しているわけですが、そのことを具体的な形に持っていきたいということで今取り組んでおります。
以上でございます。

勝部局長
ありがとうございました。
それでは、板橋さん、よろしくお願いします。

板橋静子
皆さん、今回の懇談会、フロンティアということで、素晴らしい、すてきな前向きなお話をいっぱい聞きましたけれども、私は暗い、物すごく自分なりに困っている話をさせていただきたいと思っておりますので、知事さん、許してください。
私は、ここにも紹介ありましたけれども、40年近く農業をやってまいりました。そして、今も現役です。ということは、後継者をつくらなかったということもありますのですけれども、そういうことも含めまして、最近の地域、それから皆さんの雰囲気等々、それから私の思って悩んでいることをお話ししてみたいと思います。
私が結婚して一関に参りまして、昭和42年ですけれども、そのときは非常に農業が盛んでありました。それから3年、昭和45年ですけれども、減反政策というのがありまして、それからずっとどんどん農業が変わってきた感じがします。それでも45年当初は、まだ農家には長男もあり、うちの主人も含めていろいろ若い世代でやっておりましたが、減反政策で農家経済は確かに向上したと思うのですけれども、それが余りにも長い時間だったことによってどんどん農家から人がいなくなり、一番のきわめつけは生産調整です。お米が食べられなくなったから生産調整をするのだという話までは何となく納得できたのですけれども、米余りと言いつつもミニマムアクセスという形で外国からお米を入れるという、その現状にはやっぱりすごく心が傷ついたと思うのです。それが今あらわれている農業の衰退といいますか、そういうことにつながっているのではないかなと思います。最近の朝夕のあいさつは、「もう土地要らないもんや」とか、それから「こんなに畑要らなくなったもんや」など、そんなあいさつばかりなのです。そして、「もう限界だ」という、私は、今肉牛40頭いますし、水田5ヘクタールをやっていますけれども、もっと盛んなときは肉牛100頭、水田は5ヘクタール、シイタケ、野菜をやりながら、年間の粗収入が4,500万円から5,000万円の中で、純利益1,000万円以上ずっと上げてきたのですけれども、私は正直長年かかって見てきた農政を考えるにつけ、自分の子供を農業につかせないと決めてしまって、出してしまいました。それが私ばかりではなくて、皆さんそういう形なので、とても不安です。どんどん集落の人口は減っていくし、高齢化、そして子供がいない補助金等々いろんな形でおろされてくるのだけれども、それではもう太刀打できないまでに実は農業が来ているのではないかなと感じるのです。ですので、きょう何とかこの懇談会、知事さん含め皆さんからいい知恵を、承りたいなと思って参加いたしました。よろしくお願い申し上げたいと思います。

勝部局長
ありがとうございました。
それでは、小野寺さん、よろしくお願いします。

小野寺真
社団法人岩手県建設業協会千厩支部青年部会で青年部会長をしております山友建設の小野寺と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうお集まりの皆様は、そうそうたる方々で、大変緊張しております。その中で思いついたままをお話ししますと、支離滅裂なことになり、何を話しているか、自分でもわからなくなることが予想されましたので、あらかじめ自分なりにまとめてきたものを読み上げる形でお話ししたいと思います。ご了承ください。
我々青年部は、建設業協会の下部組織として、主に若い世代の経営層や各社の若い従業員の方々が加入しております。活動といたしまして、地域の小学校を回って毎年開催している建設業ふれあい事業による就業体験学習及び建設業のPR活動、道路清掃などの地域貢献活動、また地域の雇用を確保している基幹産業として企業力向上に資する活動を行っております。特に建設業ふれあい事業は、青年部会の設立以来、今年度で20年目の開催を迎えました。子供たちに建設機械に直接触れてもらい、子供たちの笑顔を見るたびに地域の宝は子供たちであると実感しておるところでございます。
20年目を迎えて思いますことは、私どものところは、いわゆる郡部でありますので、人口の減少が著しく、年々生徒や学校が減っていることが悲しいと感じております。最も大きな要因は、地場の産業が少ないことから雇用の場がないことが挙げられると思います。また、子育て環境が余りよくなく、産婦人科医や小児科が地元にないことから、子育て世代には住みにくい状況となっております。
また、昨年度本県において2度の大震災が発生し、改めて安全安心なインフラ整備の重要性が再確認されたところであります。この地震を受け、協会の支部長の指示により、青年部役員が中心となり、支部の災害自主パトロール体制の再編成を実施し、より機動的な災害活動が行える体制が整い、地域を守ることも我々の仕事であることを確認する機会となりました。
建設業は、冬場には除雪対応、災害が発生した際には最前線でインフラの復旧活動を行う使命があると日頃より志を高く持っているところでございます。しかしながら、我々が置かれている実情を見ますと、公共投資及び民間の建設需要の大幅な落ち込み、他地域からの参入等による競争の激化もさることながら、たび重なる制度改革により経営計画もままならない状況であり、現実に雇用の維持が極めて厳しい状況に陥っております。
千厩支部会員の雇用者数は、平成8年には約1,700人いましたが、現在は約900人前後となっており、半分近くに落ち込んでおります。雇用者数の減少により、災害時の対応が難しくなる可能性も懸念されているところでございます。
今日は、「守りたい地域の宝は何ですか。その宝をどのようにして次世代に伝えますか」というテーマですが、根本の部分で少子高齢化や人口減少の問題が非常に大きな課題になっていると思います。当地域では、誘致企業の撤退を含め雇用の問題、医療、福祉の問題等が挙げられます。建設業界の立場からは、地域についた予算は地域を守っている業者が適正価格で請け負える制度が求められるところでございます。それにより地域の雇用を確保し、地域経済への波及効果があるのではないかと考える次第でございます。
棒読み状態になりましたけれども、以上、建設業に携わる者としての意見としてお話ししました。

勝部局長
ありがとうございました。
ただいま自己紹介も兼ねて一通り皆さんから日頃の活動、思っていること等ご披露いただきました。ここから先は、自由意見交換の形で、先ほどこちらからお示しいたしましたテーマがあるわけです。守りたい地域の宝、その宝をどのようにして次世代に伝えていったらいいのかということですので、今皆さんがお考えになっている、こういうものはどうしても自分たちの住んでいる地域に将来ともしっかりと残していきたいのだという、そういうものについて皆さんからご意見をいただきたいと思うのです。
今一通り自己紹介いただいた中でも、それに関係するお話も何人かから出されておりましたけれども、こういう自分たちの地域にはやっぱりこういうものは絶対残していくべきだと、そういうものがあれば、それをご披露いただきたいと思いますし、どのようにしたら、それが将来とも次の世代に伝えていくことができるか、そういうあたりを皆さんで自由に意見交換しながら、その中からヒントを得られればと思います。よろしくお願いします。
順序はフリーで、特に順番決めないでやりたいと思いますけれども、どなたか、まず口火を切っていただければと思います。
はい、どうぞ。

千田恭平
守りたい地域の宝として、まず第1に岩手の自然を挙げたいと思います。自然はやっぱり一旦破壊されると、再生するまでに何倍も時間がかかります。私たちの食べる穀物でも肉でも野菜でも、全部太陽とか森とか水、川、海からの恵みでできていますので、人間も動物の一種ですから、自然がなければ生きていけないということで、自然は非常に大事だなと思っています。
千厩にいますと、自然がもう見渡す限り緑なので、余り意識しないのですけれども、例えば銀座の真ん中に田んぼ1枚、あるいは里山1つつくるとなったら、もう何億、何十億かかるかわからないのです。そういう恵まれた環境に私たちはいるということをまた改めて自覚すべきではないかなというふうに思っているし、この環境の大切さを次の世代に伝えるのが大事だなと思っています。
伝えるためには、やはり子供のうちから実際に自然に触れさせる体験が大事かなと思います。今ゲームとかパソコンでやっていますけれども、それも大事かもしれませんが、自然の中にどんどん連れていって、実際に体験させるというのが大事かなと思っています。
これもできれば教育の中に取り入れて、総合学習とか、あるいは年間に1こでも2こでもいいですから、学校教育の中に入れればいいのではないかなというふうに思っています。
とりあえず、まず第1回目はそんなところです。

勝部局長
ありがとうございます。
それでは、ほかにどなたか。

佐々木久助
では、私も今の千田さんの口火とほぼ似たようなことをやっておりますので。
今千田さんが言った岩手の自然を守りたいということと、あと環境を伝えたいということなわけですが、その両方をこなして、岩手で生活できるということを具体的にどうしていくかということだろうというふうに思うのですが、私が今農林業といいますか、林業にはほとんどもう仕事という形はないわけなのですが、あるのは見渡す岩手の広い森林ということになろうと。農業のほうには、人のエネルギーである食料が十分にあるわけですので、それらがきちっと岩手で生産され、お金を出して食べてもらうということにきちっと結びつけるという行為をどうしていくかということだろうというふうに思います。そのときに、既に皆さんも経験してご存じのように、グローバルというか、世界の中で通用する行動でないといけない。こちらの身勝手な考えでは通用しませんよという中で、やっぱり考えられるのは一人一人の思いにどう訴えるかということかなと。今までは、なかなか難しい行動だったと思うのですが、今のようないろんな情報の環境が整備されて、いろいろな手法も開発されてきている中では、岩手がとれる道というのはあるのではないかなということで、まずはいろんな考えを持っている人にきちっと自然のありようと環境が生み出す食料のあり方というものをうまく伝えていけば、日本の全ての人に理解されないまでも、岩手が農業を経営として成り立たせるに必要な環境といいますか、関係はつくれるのでないかということで、そういうことをぜひ今後の県の施策の中で考えていっていただきたいなというふうに思います。
具体的に私が今やっているのは、原木でつくっているシイタケを伝えようということでやっているのですが、言葉で原木と簡単に言うのですが、聞いている相手は何のことだか全然理解されないというのが今の実態なのです。ですから、幾ら映像とか子供の表現で伝えても限界があるということで、一番簡単なのは人に、岩手に足を運んでもらって木に触れてもらうと。木から出ているキノコをとってもらえば、もうそれで百の言葉を使うよりも1回の体験で済むなということで、今千田さんが言ったことを具体的に中身を高めるに必要なものとして、その首都圏、大消費地と岩手というものをどのような形かでつないで、キーワードは、食育という言葉もここに使われているので、今盛んに使われていますが、私は食育というキーワードでもって考えたらいいのではないかなというふうに思います。
特にもこの県南地域はそういう意味で、四国4県に匹敵する岩手の広さの中でも非常に多様な品目を生産されている。それから、多様な経営スタイルといいますか、大きい経営もあれば小さい経営もあるし、米から牛、畜産、それから野菜類まで幅広いものがあるので、そういった特性をうまく利用して、あとは地の利、玄関口だと、岩手の玄関口だということで、そういったものをうまく生かしていただいて、多くの人との交流事業も組んでいっていただけると相当の波及効果、農業だけではなくて、今東山の方がやっているようなこととか、いろんなことにも結びついていくのかなというふうに思います。それで生活が成り立てば、子育ても経営も順次転がっていくのかなと。まずは入り口、食べる行為をきちっとつないでいかないと、すべてが回らないのかなというふうな思いを感じております。

勝部局長
ありがとうございました。

達増知事
シイタケは、一時中国からどんどん安いのが入ってくるようになって大変だったと思うのですけれども、ひところに比べれば、状況は良くなってきているのでしょうか。

佐々木久助
そうですね、需要はもう圧倒的に強いものがあります。ただ、生産には木材と同じで3割の供給量しかないのです。ですので、輸入品をシャットアウトとかだめですよということは、全体のシイタケの消費の関係では得にくい状況にありまして、精いっぱい頑張って需要に対して3割供給しかできないという現実の中でありますので、10人のうち3人の方に原木というものを認めてもらいたいと。あとの方々には、中国のものなり、いろんなスタイルで生産されたキノコ類、やっぱり必要な栄養素の一つとして消費していただくということになろうかというふうに思います。
ただ、価格が大体5対1の割合、5倍の差。輸入品が国産の生産価格の大体5分の1なので、この価格差を認めてもらわないといけないということです。どちらかにシフトすれば、どちらかが成り立たないということになりますので、それぞれすみ分けをして、ですから岩手の原木シイタケというのは、例えば1キロ5,000円なら5,000円しますよということを認めてもらう。一方に中国から輸入されてくるシイタケは1,000円で使いますよということをやっぱり認めてもらう中で成り立たせるという。そのためにさっき言った食育といいますか、事前に体験、いろんな前提の経験がないと、単純に金額的な比較、それからシイタケという一つの言葉だけで比較されれば、自然に利のあるほうに動いていくということになろうかと思います。

勝部局長
ありがとうございました。
板橋さんからも、それから小野寺さんからも、地域が今高齢化がどんどん進んでというお話がありましたけれども、そういう人口はどんどん減少していきますね、そして高齢化社会がどんどん、どんどん前面に出てくるわけですけれども、そういう中でどのようにしたら地域が崩壊しないで済むと考えていらっしゃるのでしょうか。

板橋静子
私も守りたい宝ということで、ちらっと思い浮かべたのは、確かに千田さんもおっしゃるそういうことだなと思っていましたし、今日まさにこの新聞にあるように、農村風景は宝の山というふうなことで載っていたのです。よく見たら、「おくりびと」の舞台になった山形県のあの辺のことがのっているのですけれども、私はこれを見たときに、外から見れば、確かに自然、それから美しい水田風景、宝の山なのです。ですけれども、先ほど言ったように、早い話、それをやっても、言葉はちょっとあれですけれども、わかりやすく言えば、食べていけないために恐らく皆さん理屈も言わないで別のほうに走っていくだろうと思います。ですので、それを持続させるためには、先ほど皆様も言ったように、皆さんにしっかりとPRも必要です。けれども、それだけでは、私的にはここまで来れば、本当に地域は、もう死んでいるのです。
ですので、ここまで来たら、第1次産業、農林業なのですけれども、何とかそういう現場で働く人たちに所得補償といいますか、戸別所得補償といいますか、そういうふうな政策的に応援していただかないと、いつ屋台骨ががさっと落ちるかもしれないような、そういう危機感を抱いているのです。なんとか特定公務員制度といいますか、そんなふうな保障を国で対策していただけないものだろうかと思います。
というのは、なぜこんな発想になったかといいますと、地域に消防団というのがありますよね、消防署のほかに。消防団なんか長く務めていると、退職金があったり、わずかでしょうけれども、それなりに年金がある。何かこの農業というのは、原価で計算できないような採算的に合わないような、なかなか難しい感じがしています。
また、国際的に日本は農業輸入国という立場をまだとっておられると私は聞きましたけれども、その基本路線を少し討議してもらいたいなと思うのです。

勝部局長
小野寺さん、子供たちに対していろいろ事業展開やられているようですけれども、地域という視点から見て、将来やっぱり子供たちに託す夢というものを、ある意味強い熱意を感じたわけなのですけれども、業界全体としてもそういう取り組みをなされているようなのですし、地域に残していきたいものというのはそこら辺ですか。

小野寺真
そうですね、今板橋さんも言ったとおり、やっぱり後継者というのがいなくなるわけなのですよね。私の近所にも私と同年代の方が首都圏のほうに就職して、そこで世帯を持って生活している方も何人もいるのですけれども、実際地元に帰ってきたいということを言うわけです。帰ってきたいのだけれども来られない理由がある。何だというと、やっぱり地元での仕事がない、就労する場がないというのが一番のネックらしいのです。
一応私も経営者なので、友達だから、じゃ来いやなんていうことも話ししたことあるのですけれども、建設業もこういう状況です。なかなかそれもできないような状態になっており、その辺が一番のネックではないかなと思うのです。そういう中においても、東山の支部さんの円谷さんたちが活動しているワインパーティーですか、あれは非常に活性化にもなるし、地元に根づく、又、人口減少にも歯どめがかかるような活動ではないかなと思って、ああ、なるほど、こういうこともあるのだなということでちょっと関心をしました。ぜひ我々もそういうふうな会をつくって、人口減少に歯どめをかけたい、そういうふうな活動も長いスパンで計画してみたいなと今思いました。

勝部局長
岩渕さん、子育て支援のほうの観点から見て、地域に今これが一番残していきたい部分なのだという、そういうものは何か感ずるものがもしあればお願いします。

岩渕豊子
子育てを、あちこちで転々としてやってきた者としては、子育て支援に関しては、何か地域に特別というのはないような気がしています。一言で言えば、安心して子育てができる場所をということなのだと思います。それから、お母さんたちがいつも心配しているのは、経済的にお父さんたちが不安定だということ。失職し、奥さんの実家に帰るとか、実家の近くに再就職口を見つけたりとか、経済状況が本当によくないと実感させられます。そういうときでも困らないような子供の医療であったり教育であったり、たとえお父さんが失職しても、病気になった時に安心して病院に行けるような状態であったりとか、学校に、せいぜい高校までは行けるようにとか、安心して子育てができる状況が欲しい。それはこの一関だけに関してではなくて、これは全国的にそうだと思うのだけれども、バックグラウンドがみんな危うい、20代、30代のお父さん。本当に正職についている人たちが少なくて、派遣切りされたとかで、経済的基盤をある期間失っても子育てが安心できるような日本の、システムをつくってほしい。どこに行っても、最低限地域差のない日本全部で同じような画一した制度があればお母さんたちはどこに行っても安心して子育てができるようになると思います。
ソフト面では、子育てをしていく中での悩みの相談に乗ったりとかという役目が広場にもあると思いますが、その前に、安心して最低限の医療と教育が、経済基盤を失っても安心して子育てができる制度にしていただけたら、お母さんたちは、第1子産んだら、第2子、第3子と産むと思うのです。第1子も産まないで、結婚しないという選択肢もあるのですけれども、せっかく結婚して1人目を産んでも、2人目、3人目を産めない状況が今あるので、そこをちょっと応援してあげてほしいなと思います。

勝部局長
そうですね、今出生率が1.3ちょっとしかないわけですよね。最低2なければ現在の人口を維持できないわけですよね。ですから、そういう環境づくりというのは大事なのですよね。
あと、今の若い人たちが地元に就職する場がないから、やむなくどんどん県外に出ていく。その若者が帰ってくればいいのですけれども、それが今ほとんどないのですよね。ですから、岩手県の人口減少の一番大きい要因になっているのは、かつてはUターン等がいっぱいあったのですけれども、そこの部分が今全くゼロに等しい状態。ですから、減ってきているわけなのですけれども。
やっぱりそういう経済基盤というのは非常に地域にとっても大きな課題なわけですけれども、それで円谷さん、最初にご披露いただきましたいろんな幅広い活動をなさっているわけなのですけれども、円谷さんのところできょうご出席の方々とのネットワークをつくれば、いろんな展開ができていくのかなという感じがしましたが、どうですか旗振り役をやられるお気持ちはないですか。

円谷伸之
私も商売やっている傍ら、地元の商店街、昔は東山のパチンコ屋さんがあったり、映画館があったり、開発セメントがあった時代はすごく栄えていたのですが、今はまるっきりシャッター通りでして、ぽつりぽつりと洪水もきっかけになったかもしれませんが、またさらに1店舗、2店舗とシャッター通りがふえてきている状況なのです。若い人も帰ってくるのかなと思えば、やっぱりこっちには、経済面での余裕が、保証がないという方が多いものですから、自分らで頑張っていろんな新しいブランドをつくっていこうという大きな目標を掲げて活動をしている状況です。

勝部局長
建設業の話も先ほど出ましたけれども、かつてはあれですよね、やはり働く場所がない若者がいると、建設業が、ぶらぶらしているんだったらうちに来いということで、ある程度建設業という業種は、そこが調整役をやられてきた機能も持っていたと思うのですけれども、今は残念ながらそれが機能しない状況になっているというので、若者の置かれている立場というのも、先ほどのお母さん方が置かれている状況と同じように、非常に厳しい状況にあるわけですよね。そういう中でどんどん人口が減っていって、高齢化が進んでいってということですが、そういう地域を、ではどういうふうにしていったらいいのかということ、このままずっとしぼんでいくのを見ているわけにはいかないと思うのですけれども、どういうふうにして、何を残していったらいいのかという、現状についていろいろ今までお話しいただいたのですが、これから先の部分に絞ってご意見いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
自然環境とか、そういうものをしっかりと残して伝えていくというお話は、先ほど千田さん、佐々木さんからいただいたわけですけれども、それ以外に地域にとって絶対これは残していくべきものなのだという、若い世代に対する期待とかもあったわけですけれども、ほかに何かございませんか。

佐々木久助
では、私が今までやってきている中で、今話しされている後継というか、地域の担い手、次の生活者ということは、従来の家の跡取りという意識だと思うのですけれども、既に板橋さんが言っているように崩壊しているということで、期待できないものに期待しても道が開けないので、やはりその地域なり家にこだわらずに広くその土地に思いをはせてくれる人をうまくつないでいったらいいのでないかなというふうに感じます。
例えば私も息子、娘に、うちというものを押しつけるつもりはないので、本人の意思があればという前提に立っているのですが、今食育探検ツアーで東京から子供たちを呼んで6年になるのですけれども、その6年間の中で、大体40人から50人の参加者が一応自発的に参加してもらう。小学校、学校で強制しているわけではなくて、夏休みに参加を募って来てもらっているわけで、大体それが四、五十人ずっと継続。驚きなのは、四、五十人の六、七割がリピーターなのです。6年間というのは、小学校6年までやらないですが、昨年度来たのは中学校1年生が10名、50人のうち10名が中学校1年生だった。その子供たちは、また行きたいので、ぜひとも参加させろということで来て、大体初めて来るという方は3割ぐらいしか今ないので、大半がリピーター、そこが驚き。
うちで接しているのは、いつも見るこういう同じ環境で、経験させるのもシイタケとかミニトマトとか牛を見せたりとかと同じことをやっているので、普通飽きるかなと思うのですが、意外と飽きないで手を挙げて来ているということの中に、やっぱり都会育ちだから田舎がどうだとか、農業がどうだとか、地方がこうだということはないのではないかと。そこそこ、その人その人に感じるものがあって、そういうものにうまく岩手として訴えられるかどうかというか、つなげられるかどうかということがぜひ検証し直してみてもらって、今やっていることがそういうことにつながっているかどうか、それぞれの立場でやっていただいて、再度組み直しといいますか、新しい行政として考えていただいたらいいのではないかなという思いがあります。

勝部局長
ありがとうございました。
やっぱり岩手の持っている自然環境のパワーというものが結構強いと思うのですよね。それをどういうふうにして発信していくかということにもつながっていくと思うのですけれども。

佐々木久助
知事さんがいるので、もう一つだけお伝えしておきたいのですが、実は6月にシイタケの岩手特集入札会というのをやったのです。昨年までは紫波で全国のトップ20までの業者さんを岩手に呼んでやっていたのです。今年は、ちょっと予算が厳しいというので、東京で岩手物だけの入札会をしたのですが、今シイタケの全国の平均相場1キロ当たり大体4,000円なのです。6月に開催した岩手物は平均5,000円。そこの1,000円の差の価値は、我々が押しつけているのではなくて、同じ全国でつくられているものなのに、岩手のものは1,000円プラスした価値をつけてもらっていると。ところが、このことは関係者しかわからないのです。多分県の職員の皆さんも、シイタケを担当している職員しかわからない。これがアピールできない大きな要因。
例えば全国で大分県、松平知事が一生懸命やりました。最近では、東国原さんが宮崎を一生懸命PRしていますが、量では現在岩手は、過去には3番目までいったのですが、今は五、六番目。大分、宮崎、愛媛、そして岩手というふうな、量的にはそういう位置にあるのですが、品質としてそういう価値を市場経済の中で現前としてあると。そのことを盾にして強くアピールできていけばいいのかなという、そういう手法をいろんなものにうまく展開していっていただければいいのでないかなということで、具体例として、まずちょっとお伝えしておいて、知識の一つにしていただければというふうに思います。

勝部局長
県南広域振興局というのは、3年前に今までこの千厩にも振興局あったのですけれども、広域振興局にしたわけですよね。来年度から、今度県南だけでなくてほかの地域も広域化を図って、全体で4つになるわけですけれども、県南振興局だけは3年前からその体制でずっと来たのです。この3年間の取り組みの中で、一番成果としてこれは良かったなと思うのは、ネットワーク化なのです。ネットワークは10できているのです、10個のネットワークが。例えばものづくり、例えば食産業、広域観光とか、それから授産事業のネットワークであるとか、ものすごくネットワークの力というのが大きくて、次々、次々に成果が出てきまして、食産業なんかは今行政の手を離れて、ネットワーク自体がもうどんどん、どんどん勝手に動いていくようなところまで来ているのです。そういうつながりというのが同じ分野だけでなくてもいいと思うのです、ネットワークというのは。ですから、今日皆さんが集まったこの異業種と言えば異業種ですよね。そういう中で、同じ共通の課題というか、人口減少社会にいく、高齢化社会にいく、その中で地域を何とかしなくてはいかぬという、そういうものがあれば、そこで私はネットワーク組めるような感じがするのです。
非常にこれから、さっき言ったのはそういうネットワークを重視していく時代なのかなとも思いますけれども。今佐々木さんからお話あったようなその情報発信するにしてもです。

達増知事
今お金はあるところにはあり、かつ世界全体で言うと、お金はもうあり余っているのですよね。行き場所をなくして原油にばっと投資されて原油高になったり、穀物も油、燃料になるからと、穀物にばっとお金が流れて穀物高になったりとか、日本全体としてもお金は余っていて、日本全体は外国からお金は全然借りていなくて、むしろアメリカや中国にお金を貸しているほうであって、お金は余っているのです。その余っているお金が使い道を求めてさまよっているような状態なのですが、もう一つポイントは、行政にはお金がないのです。国や地方は借金を抱えていて、むしろお金が足りないという状態で、ではお金はどこにあるのかというと、民間の会社、企業、あるいは個人で持っている人にはそれがある。ですから、シイタケの例みたいに、本当にいいものがあれば、それは高くても買うよという人は少なからず日本にもいるし、世界にもいるのです。
去年、ロシアのすごい大企業の社長が何か前沢牛食べたいと言うから、花巻温泉に泊まれるようにしてあげたら、自家用ジェットで花巻空港まで飛んできて、前沢牛を10人ぐらいでたくさん食べて帰っていったのですけれども、とにかく本当にいいものがあれば、そうやって外国からでも来て、それを欲しいという、グローバル時代の安いものががんがん入ってくるというデメリットもあるのですけれども、逆に高くてもいいものがあれば世界のあちこちからでもそれを求めに来るというところがあるので、いかに本当にいいものがあるということを、それを買うであろう人にきちんと伝えていくかです。本当に都会の子供、小学生時代から、そういう木やシイタケに直接触れさせるというような、それはすごく地道な活動だと思うのですけれども、その積み重ねというのは、口コミで本当にわかる人たちはわかる、買うなら岩手のシイタケという、そういう人たちを着実にふやす効果があるのだと思います。
猊鼻渓というのも、あれはやっぱり世界に誇れると思います。私も外国のいろんな名勝を、アメリカの国立公園とかいろいろ見ましたけれども、引けをとらないですから、猊鼻渓というのは。ですから、それは本当にいいものというのが、ただやっぱり東京とか県外で猊鼻渓、特に最近の人たちは知らないですよね。やっぱり本当に知っている人たち、ちゃんとそういういいものを伝えていかなければならないと思っております。

円谷伸之
今現状としては、洪水や地震の関係で景観が崩れてしまったりとかで、年々観光客は減ってきている状況なのです。やっぱりだんだん地元の人たちも観光地もしょぼんと暗くなっているところに、何かいいアイデアないかなと。酒を飲みながら考えたアイデアがたまたま皆さんに評価していただけて。

達増知事
まず、世界じゅうで日本ほど水が豊かなところというのはなかなかないのですよね。アメリカ、ヨーロッパというのは、もう本当、ほとんどが乾燥したところですし、アジアも中国のほとんどはやっぱり砂漠みたいなところで、あとちょっと南に行くと、もうあとはジャングルみたいになってしまう。温帯モンスーン気候というのは、世界じゅうの中でも日本のあたりにしかないような気候で、ほどよく雨が降って水が豊かで、そして春は桜、秋は紅葉みたいな、そういう自然の組み合わせというのは世界の中でも珍しいのです。ですから、中国とか台湾、香港、東南アジアのほうにも最近岩手の観光を売り込みに行くのですけれども、そういう自然が本当に珍しいと。春は桜、秋は紅葉、また冬には雪が降ったりとか、そういう組み合わせは本当に珍しいので、日本人も最近そういうことに気づき始めて、やっぱり国内回帰というのが増えてきていると思います。とにかく外国に行きさえすればいいというのが20年くらい前、そんな感じだったと思いますけれども、最近は変な外国旅行するよりは、きちっとした実のある国内旅行のほうがいいというふうになってきていると思います。そういうところをアピールしていきたいと思っています。前提として、その自然を大切に守っていくということがありますけれども。

千田恭平
県は幾つかの市町村、全体にまたがっているので、大きなことできると思うのですけれども、最終的に県の目指す岩手の国土、県のイメージというのですか、どういう森をつくって、どういう川をつくっていきたいのかと。そのためには、地域ごとに何をやればいいのかと、それはある程度見えてきています、振興局ごとに。例えば県南で言えば、東磐井の里流域協議会ですとか、あと一関のほうとか、昔で言う東磐井と西磐井のそれぞれが集まって川を中心としながらネットワークでやっていただいていますので、それは一定の評価できるのですが、最終的にどういうふうな形でやっていきたいのか、そして、それをやるためには、では具体的に県はどういうふうなことをやればいいのかというのがまだ少し熱が感じられない部分がちょっとあります。やはり担当職員の熱意というか、熱さ、これが地元の人間を動かすのです。それは、おざなりに、はい、集めました、皆さん意見言ってくださいという、本当につまらない時間がどんどん、どんどん経過するようだと、これは全然おもしろくもないし、私たちも何で来たのだかという、そういうときもありますので、熱のある職員をぜひ担当にはつけてほしい。
それから、これは公務員の宿命かもしれないけれども、転勤がありますよね。転勤してしまうと、あれ、あの人、名前と顔をせっかく覚えたのに、どこへ行ってしまったのだろうということで、次の新人にうまく申し渡しができればいいのだけれども、申し送りもうまくいっていなかったりすると、一からまたその方に説明しなければいけない。そうすると、またゼロからのスタート、積み上げになってしまうのです。そういうことはなるべくロスがないように、本当に専門家がいなくなってしまうので、せっかく知識も意欲もある方で来ているのがぐらっとなってしまって、またゼロからということになるので、そのあたりも少し県のほうは考えていただきたいなと思っております。
それから、ついでになのですが、例えば私も温暖化のほうをやっていますけれども、これも今16、県内にありますが、県のセンターとしては立ち上げまでは本当に一生懸命やってくれます。ところが、立ち上げた後のフォローは少し、おざなりというわけではないけれども、ほとんど手つかずの状態ですので、実際大事なのは立ち上げた後の活動についての支援とかアドバイスだと思いますので、そのところのフォローはしっかりやっていただきたいなと思います。
あともう一つ、ちょっと話がずれますが、レジ袋、これはほかの県、例えば秋田とか福島とか、岩手を取り巻く県は、県のほうがかかわって進んでいますが、岩手のほうはちょっとまだ動きが見えないということで、レジ袋の有料化についても県はちょっとリードしていただきたいなと思います。一関でも、今温暖化協議会主体でワークショップとかやっていますが、やはりちょっとこれ広域的な形で進めるべきではないかなというような感じを今抱いていますので、その点もちょっと他県も参考にしながらやっていただきたい。
それから、あと岩手の進むべき方向としては、やはり自然とか環境というのをキーワードにしながら、何か新しく施設をつくるにしても、ペレットストーブを使うとか、太陽光発電をやるとか、そういった積極的な意味でPR、何も東京のアンテナショップだけではないので、県内に建物をつくるときでもそういった岩手のオリジナルの環境に配慮したものをどんどん取り入れて、ほかからも視察が来るような形でぜひやっていただきたいなと思います。
あと、あわせて、今日知事に会うと言ったら、清田の花の駅をこれからつくるので、そこに駐車場もできるし、トイレと、あと産直もあるのだけれども、駐車場のほうは県のほうでやっていただけるのだけれども、ちょっとトイレのほうが市の予算が足りないので、ぜひトイレのほうも何とかお願いしてくれということを言われてきましたので、済みません、この場をかりて、ちょっとお話しさせていただきました。

達増知事
総理大臣賞をとるような立派なところですからね。

千田恭平
この間は、交通安全友の会が先週あたり知事のほうに行ってちょっとご報告したと思いますけれども、同じ地域のところにありますので、何とか補助制度とか、うまく利用しながら支援していただければなと思います。
以上です。

勝部局長
先ほど友の会の方が、ちょうどふるさとハローワークのほうにお勤めでありますから、そこへ知事も今ここへ来る前に寄ってきたところなのです。

千田恭平
そうですか。

勝部局長
それでは、時間が大分詰まってきましたけれども、この機会にこれだけは言っておきたいみたいなものがもしございましたらお願いします。
はい。

板橋静子
遠い昔、私の耳に記憶したのは、農は国のもとなりという言葉を聞いたような気がするのです。そして、それは一時忘れていましたけれども、特にトヨタあるいはリーマンあたりが失敗してからは、農業をおろそかにしてきた結果だと感ずるところが大きいです。なんといっても岩手県は農業国だと思うのです。やはり何とか死んでしまったような農業でも立て直すような方向に、政治力で持っていってほしいなと、思っています。
そして、先ほどちょっと大きい夢のような提案をしましたけれども、こんどは小さな提案でございますけれども、農民の心を失ってしまったのに活力をつけるためには、日本はこのように水も多いし、お米はどうしてもつくりやすい作物、日本に合った作目ではないかなと思うのです。ミニマムアクセスはやめてほしいです。
それから、経営を自由にさせてほしい。特に米については窒素肥料を幾ら入れてとか細かいところまで私たちに網をかけてきて、値段はがんと下げられるというような形で、逃げ道が本当にないのです。その辺を自由にさせてもらえればということと、補助金が、早い話、クロ(アゼの意味)を刈るためには中山間という補助金をおろす、それから水田の真ん中を刈るには減反政策としての補助金を落とすという、そういうふうに何重にも細かく補助金が細分化されていますが、それを一本化にして、直接所得、個人に対しての直接所得補償というような形でやってもらえば、事務量もひまだれも簡素化になると思います。ドイツでいうディカップリングのような。
以上です。

勝部局長
先ほどの所得補償の話が、あれも単なる価格保証みたいなものでなくて、農業環境というのですか、水田であるとか畑とか森林とか、そういうものが日本全体の環境を守っているのだという、そういう観点からの見方が必要なのでしょうね。単純に価格保証だけということでなく。

板橋静子
そうそう、それで多分細分化されて、恐らくこれは国土を守るための中山間とかという名前で来ていると思うのです。ですけれども、全体的に農業をやってきちっと管理していれば、国土も保全になっていると思うし、それから今1つ思ったのだけれども、農家の役目というのは、今高齢化社会とか子育て、少子化といろんなことあったのだけれども、昔にちょっとたそがれてみますと、一緒に家族が住んでおったものですから、幼児教育から、それから老人の福祉の問題も自然と農業が包括的に含んでいたと思うのです。それがやっぱり、私は農業をやっているからかもしれませんけれども、言い方がちょっとおかしいかもしれませんけれども、農業がおかしくなった時点で家族崩壊になり、そして少子化の問題もですけれども、高齢化になり、あるいはお互いの年代の交流もなくなって、勝手なと言えばおかしいのですけれども、少し心がすさんだような社会になってきているような気がしますので、どこから考えても農業という存在というのは大きかったなと思うのです。ですので、そういうふうな心を取り戻すような、それこそ残したい宝ではないのかなと私なりに感じます。

勝部局長
やっぱり少子化になっていくと、家族の人数も小さくなっていきますので、そうすると世代間のコミュニケーションがうまくとれないことになって、今若い人たちがよく指摘される、産業界のほうから指摘されているのは、コミュニケーションのとり方が下手だよと、それで就職戦線で苦労している若者も多いのですけれども。やっぱり子育ての段階からそういう地域ぐるみで若者のコミュニケーション能力高めるような、家庭の力だけではもう無理かなという部分もありますので、地域の力というのもそうなってくるのではないかなと思います。
そのほかございませんか。

佐々木久助
では、私からも。知事さんと県南勝部局長さんにお願いなのですけれども、シイタケについてはシイタケを私が一応今会長で、全県オール岩手のセールスマンという意識でやっているのですけれども、日本の農産物の中における岩手のシイタケというのは、やっぱり今後も貴重な位置になるし、先ほど言った評価もあるので、そこそこ意識を持って取り組んでいただきたいなと。そのことは、とりもなおさず県南というよりは、今県が抱えている県北沿岸の振興の大きな要因になるだろうというふうに私も思っておりますので、そこをひとつお願いしたいということでございます。
特に閉塞感で詰まっている林業、山を生かすというか、木を使うという意識を、もう今の人々の心の中にはなくなってきているということで、そのことをつなぐためにも、キノコを食べるといいますか、シイタケというものに目を向けてもらうことは身近にある自然、山、木、こういうものをやっぱり我々は使って、生かして生活するということをつないでほしいということをお願いしたい。
それから、勝部局長さんには、先導してやった県南のネットワークなのですが、先ほど10のネットワークができているという話を聞いて、私知らなかったので、ああ、そういうものなのだなと思いましたが、今大きい国のレベルで問題になっている地方分権、これが推進されていくということは、地方に自分の意思判断の能力を高めるということが必要でないかと、県レベルなり市町村レベルで。そのときに、現実今現場が抱えている実態を見ると、なかなか中山間のお金を使うことを初めとして、足かせが多いということもあるのですけれども、多くの人の考え方をまとめるというのは簡単ではないと。そのことが多分市町村合併をして、今新市一関市になっているのですけれども、枠をつくっただけで中身が伴わなくて年数だけがたっていると。合併後、7年とか10年とかとたつということは、平均年齢構成が50、60というものが60、70、70は80というふうに、もう5年、10年というスパンは非常に早いスピードで地域を疲弊させているということを感じますので、広域化といいますか、行政のシステムを変えていくときに、やっぱり意思決定の仕方なり、そういうノウハウをも高めるべき努力も並行してやらないと、枠をつくっただけで中身が伴わないということになるし、人々の意識を疲弊させるといいますか、そこそこみんな持っているのです、多分きょう出席されている方々は、それなりにこうしなければならないと思っているのだろうけれども、自分のできる限界というのがあって、やっぱり大きな枠で、先ほど環境の方向という目指す先は何なのかということをきちっと定めてという話がありましたが、そういうことがやっぱり必要でないかなということで、勝部局長さんには、ひとつその辺のリーダーシップを一層持って取り組んでいただきたいという気持ちを、せっかくの機会ですので、表させていただきたいなということです。

勝部局長
時間も大分たってきました。
改めてご紹介しますけれども、県議会議員の先生方、奥州選挙区の新居田先生と、それから一関選挙区の千葉康一郎、地元の先生でございます。改めて紹介させていただきます。

知事所感

勝部局長
それでは、最後に知事のほうからコメントをお願いします。

達増知事
大変参考になる意見をいろいろいただきましたし、あといろんな危機的状況のそういう深刻さを改めてまた感じたところであります。
行政というのは、ともすれば中立的で、実際に経済が良くなるかどうかは、それはそれぞれ農家であったり会社であったり、民間が主体的にやる結果が経済情勢で、余りもうけさせるところまで行政がちょっかい出してはいけないみたいな建前があって、かつそういう行政と民間はくっつかないで、むしろ行政がやっているようなことも民間にやってもらえという、そういう官から民へとか、そういう改革がいいのだみたいな風潮がここ10年ぐらい続いてはいたのですけれども、一方で、その結果地方がどんどん疲弊していき、また地方の中でも、岩手の中でも地域格差が広がっているということが起きてきていて、やはり行政もその結果に責任を感じて、かつちゃんとそういう仕事をするようにしていかなければやっぱりだめなのではないかなと思って、達増県政のもとでは県民所得の向上とか、人口減少への歯どめとか、そういうやっぱり結果を出しましょうということを目標にしているところでありますけれども、やはりそういうことがますます大事な局面になってきているなという感じがしております。
ですから、例えば東山も工業もありだと思うのです。撤退してあいているところとか、過去のものづくり産業とかそういう科学技術、宮沢賢治さんに象徴されるそういう歴史もあるわけですから、ただ、今までの行政からすると、そういうところにいくかどうかは、結局会社の経営判断の問題だから、行政がとやかくそこにあれするんじゃないという、そういう遠慮がまた近年ますます強まってきたのでしょうけれども、やっぱりこの辺は遠慮しないで、どんどんいい場所があるよというのをいろんな会社に伝えていって、またちゃんと働いて稼げるような会社をきちんと引っ張ってくるみたいなことにもやっぱり県が本気で取り組んでいかなければならないなと思います。
そういうバランスをうまくつくれる県だと思いますので、自然、守るべきところは守りつつ、働いて食べていけるような条件は条件で伸ばしつつ、結果としてちゃんと結婚して子供を持てる家庭がどんどん増えていくというところがやはり行政の目標となっていかなければならないと思うので、また頑張っていきたいと思います。
今日は、どうもありがとうございました。

閉会

勝部局長
それでは、本日の「岩手フロンティア懇談会」、これにて閉じたいと思います。どうもありがとうございました。

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