岩手フロンティア懇談会(平成20年12月25日)

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ページ番号1000938  更新日 平成31年2月20日

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県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」懇談記録(沿岸広域振興圏)

  • 日時 平成20年12月25日(木曜日)14時00分から15時30分
  • 場所 大船渡地区合同庁舎 4階 大会議室

開会

高橋局長
ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」を開催いたします。
本日ご出席いただきました沿岸広域振興圏管内の皆様には、ご多忙のところお越しくださいましてまことにありがとうございます。心から感謝申し上げます。
私、本日の進行役を務めさせていただきます大船渡地方振興局長の高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

高橋局長
それでは、開会に当たりまして、知事から一言あいさつを申し上げます。

達増知事
皆様、こんにちは。今日は師走のお忙しい中、このようにお集まりをいただきましてまことにありがとうございます。
この「岩手フロンティア懇談会」でございますけれども、これは一種の作戦会議のつもりでやっておりまして、それぞれの地域の中で活躍されている皆様の現況、近況を伺い、また地域振興、発展のためのビジョンや意見などを伺いながら県政の参考やアクションにつなげていきたいという思いで開催しております。
そして、この会議は、沿岸、県北、県央、県南と、岩手を4つに分けた広域振興圏単位で行っております。市町村は市町村でそれぞれの振興に取り組んでいます。そして、県全体でのさまざまな条例に基づくいろんな審議会がそれぞれ取り組んでいるのですけれども、県民の仕事や生活、通勤、通学、ビジネス、病院とか、また、塾に通う、買い物、いろんなことが市町村の領域を越えて広域で行われている、その広域のエリアを、地方自治法上の地方公共団体ではないエリアなのですけれども、行政、民間、また経済界やNPOのようないろんな団体、そうしたところが対等な関係で、沿岸というところには今のところ議会もなければ沿岸全体を代表する首長とかもいないわけでありますけれども、だからこそかえって自由にそういう行政のしがらみや法律などにとらわれずに思い切ったことをスピーディーにできる、そういう可能性がある、そういうフロンティアではないかということで、「岩手フロンティア懇談会」という名前でやらせていただいております。
今は、100年に1度の金融危機に基づく経済的に非常に厳しい局面であります。100年に1度というのは、世界金融危機が100年に1度の珍しいものであって、我々が直面している不況というのは、もっとひどい不況が過去100年以内にたくさんあったとは思っているのですけれども、しかしながらまだ底には達していないということで、かなり大変な状況ではあると思います。ここを克服し、そして岩手の未来につなげていく。
県では、今年から新しい長期計画の策定にも取りかかっております。これは、夢県土いわての総合計画が来年、再来年で終わりになりますので、その後の長期計画を今からつくっているところであります。そうした長期計画にも参考になるようなご意見も伺うことができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

高橋局長
ありがとうございました。
それでは、本日ご出席の皆様をご紹介いたします。
生出地区コミュニティ推進協議会の事務局長をされております菅野征一郎様でございます。
民宿海楽荘代表の志田豊繁様でございます。
釜石医師会会長の小泉嘉明様でございます。
株式会社福島屋代表取締役専務の遊佐俊一様でございます。
漁業の菊地和三様でございます。
齋徳林業代表の齋藤眞琴様でございます。
次に、県からの出席者をご紹介申し上げます。
先ほどごあいさつ申し上げましたのが達増知事でございます。
それから、釜石地方振興局の若林局長でございます。
宮古地方振興局の田山局長でございます。
それから、先ほど申しましたけれども、私は大船渡地方振興局長の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

懇談

高橋局長
それでは、早速懇談に入らせていただきます。本日の懇談は、先ほど知事がごあいさつの中でも触れましたように、新しい長期計画の策定に向けて皆様から、地域の立場からということなのですけれども、岩手でやりたいことということをテーマにして、これからの岩手について自由にご意見をお伺いしたいというふうに思います。
そういうことで、皆様がふだん仕事をされている中、あるいは地域の中で活動されている中で、ふだんいろいろ考えておられることがあろうかと思います。そういうことで、そういうことを自由にご発言いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず、生出地区コミュニティ推進協議会の事務局長の菅野征一郎様からお願いしたいと思いますが、どうぞご発言をお願いします。

菅野征一郎
生出地区コミュニティ推進協議会事務局長の菅野です。最初に、生出地区の紹介からさせていただきます。生出地区は、陸前高田市の中心部より北西約17キロに位置し、一関市大東町、住田町に接しており、面積の90%以上が山林原野を占めており、四方を山に囲まれた静かな山村集落です。岩手の名水20選に認定された「清水の湧口」もあり、連日おいしい水をくみに来るお客様でにぎわっております。現在地区の戸数は110戸、また人口は400人と減少しており、地区内の過疎化、高齢化が加速的に進んでおる地域であります。
このような地域事情を踏まえ、生出地区コミュニティ推進協議会が主体となり、地域資源の木炭を活用し、地域づくりと生出地区を多くの人に知ってもらうことを目的に昭和62年から継続して「名水と紅葉の里 生出木炭まつり」を開催し、今年で22回となり、県内外からの多くの観光客でにぎわっております。また、平成8年度には交流促進施設「ホロタイの郷 炭の家」を設置し、農村の恵まれた地域資源を活用し、毎年、首都圏の「立教大学」が林業体験を実施し、ホームステイ等の実績を積んで生出地区の人情に感激し、リピーターが来るなど交流を深めており、当初は5年の予定でしたが、引き続きあと5年実施したいということです。
また、平成18年度からは資源循環型社会構築に向けて東北の大学との共同研究による移動式木炭発電装置を製作し、化石燃料を使わない地球に優しい発電装置で「炭の家」の自給自足に係る電力供給の可能性について実証実験に取り組み中です。おかげさまで「元気なコミュニティ100選」に認定していただきました。
何もしなければ地域が衰退してしまう、「何か小さいことでも、やれることからやろう」を合い言葉に進めてきました。コミュニティ推進会長は、私は死にがいのある地域づくりが理想的と言っております。それは、裏を返せば生きがいのある地域づくりを目指しております。
地域の課題の一つは、少子高齢化が避けて通れない問題です。健康で長生きするために高齢化地域にあっても「自分の体は自分で守ろう」を合い言葉に、市が実施する転倒予防教室や健康教室等を多く実施し、参加者も回を増すごとに増加し、自助努力をしております。僻地であっても頑張る地域には最低限住みよい生活環境の整備をお願いいたします。山村の存続のために定住の条件を満たせるようなインフラ整備が大事だと思います。
課題の2つ目は、高齢化と木材価格の低迷に伴う山の荒廃から来る自然環境の崩壊です。保水力の低下に伴う渇水、水害の発生が予想されます。生出には1,050ヘクタールを有する岩手県有模範林があり、県庁舎建築の際には一、二億円の資金が捻出されたと聞いております。このようなことから、山、川、海の連携が山に基づいて成り立つことを見ると、その管理の大切さの中に地元雇用の制度を復活させていただき、名実ともに模範林をつくっていただきたいと思います。これからも自然環境を大切にし、住みよい地域づくりに邁進する所存でございますので、ご指導、ご援助よろしくお願いいたします。

高橋局長
ありがとうございました。
それでは、続けて民宿海楽荘の代表の志田豊繁様、お願いいたします。

志田豊繁
民宿海楽荘の志田豊繁といいます。今日はどうぞよろしくお願いします。
達増知事とは初めてお会いしたのですが、思っていたよりもすごく若いなと、そういう気持ちで、今日は何を話していいのかなと。どうぞよろしくお願いします。
私は今、民宿とかグリーンツーリズムをやっているのですが、今日ここに何を言いに来たかというと、グリーンツーリズムのこととは違うことを今私はやっております。何をやっているかというと、大船渡のあるホテルの跡のところに温泉のボーリングを行っていまして、なぜ今そういうふうになったかというと、私が高校を卒業して東京で七、八年ぐらい板前やっていたのです。板前やって、うちに帰ってきまして、何を始めたかというとマグロの頭、カジキマグロの頭なのですが、それが市場に捨てられていたと。当時は産業廃棄物だったのです。今だから、マグロの頭の裏の脂がすごく体にいいということで注目されていたのですが、当時は産業廃棄物として捨てられていたのです。私がもったいないなということで、それを拾ってというか、集めてきまして、それを半分に割って、3日間煮込んで、骨まで食べられるようにしてお客さんに出したのです。そうしたら、こんな大きい皿にこれだけの頭ですから、それで結構お客さんがお客さんを呼んで、テレビの取材とかいろいろ来まして、それで気をよくしてもう一軒民宿建てたのです。それで、そこが海のそばだったので、またそれもよくて、今度また欲が出まして、今度はボーリングを行ったのです。そうしたら、たまたま温泉が出てきたと。
今はそれで商売やっているのですが、今度新たに、大船渡のあるホテルの跡地の土地を買いまして、そこにボーリングしているわけですが、もともと初めは捨てられていたマグロの頭ですよね、それに手を加えて、たまたまお客さんに出したらお客さんに喜んでもらって、ただのものがですよ。今私が何を考えているかというと、もともとこの辺はボーリングを行っても熱いお湯が出てくるわけではないのです。体にいい水質のものが出てくるにしても、熱いものが出てこないということで、どうすればいいかというとわかさないといけない。わかして、この辺の温泉というのはわかし湯の温泉なので、そのわかすのに石油でやっているわけですが、岩手県というのはほとんど山が多い。そこに木を植えてやっているわけですけれども、その木も実際に使える木というのは一部で、あとはほとんど使われない木が多いなということで、その木が何とかならないかなと。せっかく岩手県の資源ですから、それをうまく利用するような方法はないのかなと。
あと今うちでお客さんが結構内陸の方からも来ているのです。それで、私は送迎バスの運転手もやるのですが、その時、あっちこっち運転していくと道路沿いに木が生えています。それを切って捨てていると思うのです。それがもったいないなと。その処理するのにもただでないわけでして、そうやって捨てているものを使って、またそれを商売につながる方法はないものかなと。その時に、今度ボーリングしていた温泉をわかすのに、石油は今高かったり安かったりいろいろしていますけれども、それだけではなくてCO2の削減、リサイクル、いろいろの関係で、木を燃料にするというのはCO2の削減にもなるという、木質バイオマス、まだまだ私もいろいろ勉強している最中なので、余り詳しいことは分からないのですが、そういうこともあるので、岩手県にとってプラス・マイナス・プラスになるのではないかなということを考えていまして、そういうのを使って今後やっていくようにすればいいのではないかなと思っていました。
この沿岸というのは結構いいところで、冬は余り雪が降らないし、山が多いので、冬でも山に行って木を切ることもできるし、岩手県の中でもこの大船渡、陸前高田あたりというのは、そういう面では木を利用する、エネルギーにするというのにはかなりいいところだというふうにも林業関係の人に教えられたりしています。今度私がやりたいなと思っているのは、日帰り温泉を考えているのですが、その温泉もできるだけ地元の人が何回でも入ってこれるように値段も安くする。まず、それで地元の人が何回でも入ってこれるようにすれば、石油から木にエネルギーを変えられる一つの手助けにもなるのではないかなと。
あと、もう一つは産直、おふろと産直を組み合わせて、地元のカキだのホタテだの、山のもの海のもの、この辺とれますから、そういうのを隣で売る産直と組み合わせてやれば、おふろに入りに来た人が産直に行って買い物していったりとか、産直に来た人たちがついでに、おふろにでも入っていくかとか、そういうふうなみんな集まれるような場所を提供したいなと。それプラス木を燃料にしたりとか、そうやって大船渡のいいところを集めたような、そういうところに人がいっぱい集まれるような、そういう場所を提供したいなということを今ずっと考えていましたけれども、それに何が必要かというと、市役所などに聞くと、いろいろ面倒くさい返事が返ってくるのです。例えばそういうのをやるには産業廃棄物の許可が要るだの、あと人件費だのコストのことを考えたことがあるか、など。私はそんな難しいことは一切考えない。やってみて、その時何か問題出たら考えるけれども、やる前からいろいろそんなに難しいこと考えたら何もできないといって、まずやってみて問題が出たら、その時はまた相談に行くから、その時また考えましょう、ということを言っていたのです。だから、もし何かありましたら振興局とか県の方でも、まず優しくその時は対応してもらえれば助かるなと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

高橋局長
ありがとうございました。
それでは、次に釜石医師会の会長の小泉様、お願いします。

小泉嘉明
小泉でございます。フロンティアの岩手県全土から見て沿岸ということに限定して考えると、やはり今とにかく言われている医師が足りないと。何で足りないかというといろんなファクターがあるのですけれども、基本的には今度の医療局の計画の中でも、診療所である19床のベッド削減、それから例えば大船渡、宮古も少し削りましたよね。基本的に人がいないから削っていくという悪循環に陥っている。いろんな見方があるのですけれども、どこで何をやるかという場面の中で、これから説明してみんなを納得させなければならないと思うのですけれども、19床の取扱いというのは今までもずっと議論してきた歴史があって、例えば19床があったとすれば、そこに泊まれるからいいのか、あるいは治療をそこで完結するからいいのか、何がいいのかということがみんなが分かっていないと、ただ泊まる場所だけ求めているような気がするので、私も知事さんの意見と割と似ているのですけれども、基本的には、ただそこに寝る、安心のためにベッドがあるというだけの話であり、では何するのという話になるが、そこには、安心も与えなければならないというところがある。
そこでコストの問題で考えれば、民間で行った場合、行政で行った場合の19床のコスト、やり方を変えればコストは今の5分の1なり10分の1になりますよね。普通にそれを考えて、ベッドをある程度確保しながらでは、急性の場合は絶対診れないという社会情勢ですから、そこのところを言ってもらうと共通認識ができていくのかなということ。例えば一関の方で考えているように、たまたま釜石では病院の方は削減もされなかったし、それはそれでいいのですけれども、例えば民間と行政とのタイアップといいますか、それをすごく考えていかないとこれからは成り立たない。盛岡の医者が3人だと釜石は1人です。宮古も同じです。大船渡も同じです。その3対1という場面は何か、いろいろバックボーンはあります。基本的には医療局そのものは県民の医療を守るために、何をするのかという、その基本的な考え方を、スタートに戻ってもう一回考え直さないで、いつまでも引っ張っていくと誰も手をつけられずにこういうことになったのだと思うのです。最初から分かり切った話です。お金がなくて困っているところに医療を供給しましょうという話から始まっている、それが行き過ぎると、こういう話になる。だから、それは結構行き過ぎた話であり、結局バランスがとれていないということなのです。ただ、今本当に困って、医療がないから死にそうだという市町村はないのです、基本的には。でも、県の医療局はそこに投入していっているわけなので、本当にそれはそれでいいのかということ。
だから、例えば7,000億円とかの事業規模の中で累積赤字が100億円であることが、県民の安全・健康を守るためにはこのぐらい必要なので、これは皆さんどうでしょうかという訴えかけが、私たち医師会もそうなのですけれども、できていないというか、みんなに知ってもらわないと、みんなから何も分かってもらえないと思う。
釜石の場合、釜石市の行政と例えば私たちの医師会とのバランスは非常に良く、地域の医療を守るにはどうしたら良いかという協同認識から始まっています。ご承知のとおり、釜石の65歳以上の人口比は33.4%。33.4%というのは、ちょっと考えにくいような数字なのですけれども、盛岡はご承知のとおり18%ぐらいですか、それから全国的なレベルで20%ぐらいですが、結構みんな元気なので、困ってはそれほどいない。ただ今一番問題になっているのは、全体的にみんなある程度元気なのですけれども、年齢をとるとともにそれをバックアップする人が一緒に年をとっていくということが大変であります。
それから、自分たちで考えたこと、やっぱり民意を、人々に、みんな、とにかくいかにどういうふうに知らせていくか、それを行政と一緒にやるということが基本的な問題だと思います。それを、みんなが知らな過ぎるということに気付かなければならない。私たちの方も一生懸命やろうということで、ボランティアとして、釜石市とか大槌町と協力して、例えば幼稚園に行ってみんなで、子育てについてお話ししている。幼稚園の父兄会というのはみんな来るのです、不思議なことに。小学校あたりから危なくなってくるのです。中学校、高校は誰も来ないというような。幼稚園は、予算をとってこれ7年ぐらい前からやっているのですかね。幼稚園には全員が必ず行きます、大槌も釜石も。そこに行って父兄会の時にお話しする。熱が37度ぐらいで病院へは行かなくても良いのでは?自分の子供は自分で育ててください。小冊子もこれは振興局と一緒につくりました。振興局と釜石医師会との合作で、今もそれが延々と続いています。それをみんなに配って、誰かが行って必ず話すと。要望がこのごろきつくなって、同じ先生ではだめなので、また別な先生も考えてくださいなんて言われています。幼稚園と話をしていたら保育園の話があって、零歳児からやるというのがあったのです。零歳児から6歳児までだと6年間同じことを言っている。相手も飽きてくるというようなことがありまして、またこれもストレスが随分かかってはくるのですけれども、そういうことをやっていきたいと。
今度の脳卒中の話も県から委託を受けまして、間もなく1月あたりから始まると思うのですけれども、クリティカルパスをどうにか成功させたいと考えています。
それから私たち医師会内には、認知症の部会もあります。認知症を簡単に、みんなで分かりやすいように診断し、軽い認知症を専門外の部署で診察、診療すべく頑張っています。結局地方は病院がないので、少ない中でみんなで協力しながら、きついのはやっぱり厚生病院、精神病院でちゃんと見ていただくというふうな仕組みをつくらないと、いかんと考えています。
それと、在宅医療の部会もあります。在宅医療で、結構診ており、釜石医師会全体で350人、だから350床の病院を持っているのと同じことになる。在宅をやっていると。そういうことも含めて、やはりみんなにお知らせしながら理解してもらってどうにかつくっていかないと、やはり無理なのです。だから、私は釜石市を見ていますと、県立病院はもう頑張って働いていただけるし、他のところもそれこそみんな頑張ってやっています。ただ、みんな息切れしてきています。
まとめとすれば今言ったことと、それからもう一つ、先ほどの県立病院のあり方について、例えば中央病院の研修医ということを考えると20人いますよね。20人の2年間、だから40人。40人の医者がいる病院というのは、岩手県に幾らもないです。それだけで医者として数えますから。例えば、3年目から後期研修で応援に来てもらっているのですけれども、それ以外に研修医もまたどこかの県立病院に回してもいい。中で研修しながらまた勉強してもらって、また行く。だから、そういうことの考え方を、医師の配分の仕方ですか、その辺も考えてやっていただければ非常に私たちとしては、沿岸地方としては助かるなと思っております。
それから、もう一つは保健福祉部と医療局の関係をきちんとしながらやっていってもらわないと、私たちとしては何が何だか分からなくなる。新聞には、医療局のこれからの方針と出ますけれども、それがみんなは県の方針だと間違っている、協調関係をよろしくお願いします。

高橋局長
ありがとうございました。それでは、続きまして株式会社福島屋専務の遊佐様、よろしくお願いいたします。

遊佐俊一
私、福島屋の遊佐と申します。商売の方はいろいろ事業を行っておりますが、昨今の不景気の影響というのは非常に身にしみて感じております。今日もクリスマスですが、どちらかというとやりくりしますという感じです。しかし、そのような中でも本当に頑張っていらっしゃる企業というのは逆にクローズアップされやすいのではないかなと。岩手県の中でもそういった企業を、紹介とかピックアップしていただいて、連携を深めていただければ、またいきたいなと思っております。
以前には、例えば当社でも沿岸各地のこだわり商品を扱わさせて頂きまして、沿岸というのは非常に宝物が多いという想いで商売させていただいております。
趣味では「吟醸酒の会」を運営しており、あと最近は「ヨガサークル」を“NPO日本ヨガ連盟”さんにサポートをいただきながら立ち上げさせていただきまして、約五十数名の会員となりました。本当に笑顔を共有する団体で、景気とか関係ないですね。自分自身を探求して、様々な気付きと善循環をそれぞれが感じていただいているというのが現状でございます。
次にまちづくり的な部分でお話しさせていただきたいのですが、私の友人にカヌーやっている方がいらっしゃいまして、その方と共通の意見なのですが、三陸の宝というのは大海原を含めた地球儀で見ていただきたい、見たいなということなのです。私も頑張っているのだぞというのは分かるのですけれども、本当に地球サイズで見た時、本当に宝物かどうかというのをぜひ感じてもらいたい、比較してもらいたいということなのです。そういった中で、やはり客観的な意見というのは非常に参考になりまして、そういう意味ではIターンの方とか観光客の方というのは非常に参考になる意見をいただいているのではないかなと思っております。
先日、海外によく行っている方にお伺いしたのですけれども、「三陸ってバスク地方に似ているのだよね」と、いわゆるイベリア半島です、スペイン、フランス、ピレネー山脈にかかる地方ですけれども、そちらによく似ているというのです。三陸がその人は大好きで、三陸の上空を飛ぶ飛行機に乗った時は、必ず航空写真を撮るような方で、バスク地方に行くと三陸を思い出すというのです。三陸にいるとバスク地方を思い出すという、そういう何か地球で宝物を感じ合うという、これが本当の地球規模というか、宇宙規模でありながら一生物としての本来の喜びなのではないかなと。そういった感覚でいくと、何か先ほど申し上げたような不景気というのがある意味で違ってくるのではないかなと思っております。
各論のところで、では釜石どうなのというと、やはりIターンの方が少ないのです。統計的な部分を見ると農業人口というのは物すごい少ないのです。Iターンするに当たって、やっぱり手っ取り早いのは農業なのです。釜石の場合、工業というのは非常に進んでいる部分ありまして、農業だと逆に宮古、山田、また気仙地方の方が私は進んでいる感じなのですけれども、そういう意味では非常に遅れているというか、逆に地理的な制約があるということがありますので、その部分は何かタイアップできないのか。そうした時に、逆に合併も大槌とか合併した方がいいのではないかとかと思うのです。予算がつく云々というと、また金の話になるので、それ以外でやっぱり夢を持つ合併論議というのをもっともっと作っていくべきなのではないかなと思っております。
まとめますと、地域の宝物がそれぞれある中で、本当の喜びって何なのか、それを個々が見つけてそれをつなぎ合わせていくことによってできるのではないかなと。三陸、沿岸というのは、地球儀サイズで見ても本当に宝物なのだと、いいところなのだと。さっきのカヌーの話ではないですけれども、イギリスの方が、カヌーで日本一周した時、一番良かったのはどこですかと聞いたら「三陸だ」ということをおっしゃったそうです。ですから、やはり陸から見る海、そして海から見る陸という、双方向の視点によって三陸に対しての色々な見方、感じ方が変わっていく、最終的に、観光を含めた町づくりとしての結果も変わっていくということを私はメッセージとして伝えていきたいなと思っています。

高橋局長
ありがとうございました。
それでは、次に菊地和三様にお願いいたします。

菊地和三
山田から来ました菊地でございます、私は6年前に防衛庁職員退職をいたしました、現在父の後を継ぎ、牡蠣帆立ての養殖業を営んでいる、変わり者の漁師です、磯漁で、アワビ、ウニ等採捕もしています。
そこで知事さんが一番悩んでおられる事、それは内陸と沿岸の民力差(経済力)だとおもいます、今県北沿岸振興という事で、昨年度から漁協の地域営漁計画を、各単協ごとに作成(県、町支援)しました、県の認可を得た後実施するに当たり、何かがかけている、それは年度毎の細部実施計画つまり手順書なのです、年度の計画手順がないから前には進みません、つまりトップである委員長が勉強不足と組合員のことを真剣に考えていないからです、私は部会の座長なので、とりあえず単年度分を作成、委員の皆さんに検討して頂きたいと思っています、一日も早く委員長の指揮のもと、マニアルが検討され実施日を決定したいとおもいます。
私がやりたい事、それは組合員の防災です、県は県民、町は町民、ただ漁協は一番遅れています、それは海上での運用の難しさはあるが、だからといって放置するわけには行かない、私はそうおもいます、三、四年前だとおもいますが、アワビ口開け時に、津波警報が発令され実際は被害もなく良かったのですが、関係機関から指導を受けたと聞いています、やはり役員は常に心構えを怠るべきではないのです。
それが機会となり、アワビ口開け時に津波警報、注意報が発令されたら口止めと管理委員会で決定されたのです、では組合員が出漁中に発令されたらどうするか、その手順は、だれも考えていないのです、いや思っても出来ないんですね、私はがっかりです、リーダー、理事執行者なのです、口開けの開閉は管理委員会の代表理事組合長なのです、組合員から行使料を徴収、且つ水揚げ代金から組合手数料をとり、組合経営が成り立っているはずです、なのに講ずる事が企画立案出来ないではいけないと思います、万一の場合トップは責任を必ず問われます。
私はまず組合の現在の器材、資材を使い最大限出来る事を立案させて頂きました、監視船を利用し、各組合の監視船をネットワーク化し、代表組合に指揮統制所を設けるという、簡単なシステムでしたが管理委員会では、議論の末否決され、ではそれに変わる発案はあるのか、ない、私は出来るはずがないそう思っています。
昨年町のアドバイスを受け、地域通信システムが提案され、管理委員会で検討され前に進みそうです、私も委員の一人として、一日も早く運用にこぎ着けたいものと思っています、そして監視船に依る通信システム訓練を実施し組合員に対しての一日も早いアワビ口開け等での警報発令時に安全を確立したいと思います。
私のライフワークですが、我が家は、県の国際交流事業で町より依頼があり、中国人を受け入れる事としました、理由はオーストラリア、シドニー市でのレストランでの事です、先にいた我々より後から来た西欧人を先行待遇するんです、私の僻みかも知れませんが、何となく不愉快だったのです、その事がありホームステイは中国人と決めたのです、日本を理解して欲しかったのです、しかし家族会議では丁度ワールドカップでブラジルが優勝したので、ブラジルの人が良いと言う事で急遽変更させて頂きました、当日宮古迄迎えに自宅を出発しようとしたら、県の担当者から電話が入り本人が時間までに、バス乗り場にこないのでキャンセルとのこと、家族全員どんな人が来るかと準備をしていたので落胆は大きかったですが、翌年の7月町よりオランダザイスト市からの、ホームステイ受け入れの打診があり即了承しました、受け入れ態勢の為色々調べたら、オランダ人は世界で背丈がスペイン人の次に高いと言うことが分かり、今の車は小さいとのことで急いでハイエースワゴンを購入し、その時ステイした女性の名前を取り「インゲ」号とよんでいます、インゲボルグが正式名です、翌年両親が、我が家に来てくれ二週間ホームステイしてくださり、今は家族ぐるみの交際をしています、その後も毎年ザイスト市からの、ホームステイを受け入れ外国かぶれで楽しんでいます、来年は中学二年の孫が日蘭交流使節団の一員として行く事になりよろこんでいます、私も日蘭交流友の会の一員として、町の青少年育成には協力したいです、そのキッカケは県の依頼があったからで感謝をしています。今後は町の進める、青少年育成には出来る限り協力するつもりです。

高橋局長
ありがとうございました。
それでは、続いて齋徳林業の齋藤様、お願いいたします。

齋藤眞琴
宮古の齋藤です。よろしくお願いいたします。
私は、林業に携わっているのですが、林業というのは丸太でしか評価してもらえないのです、経済的に。私は、これからの林業というのは丸太を売る時代ではなく、環境を売る時代だと考えています。この環境を売るというのは非常に難しいのですが、これはシステムを変えていかないと大変難しいことなのですが、今二酸化炭素の炭素取引が出ていますけれども、これをうまく森林の方に利用して、それで二酸化炭素ばかりでなくて、今皆さんおっしゃっていましたけれども、水源の涵養だとか土砂の崩壊とかの防止、いろいろその公益的機能がたくさんあるわけです。それを何とかシステムを、これ行政サイドにお願いするしかないのかなという気はしているのですが、炭素取引の場合は割と企業がこれ買いやすいとか、そういう形あるのですが、水源の涵養だとか、そういったのが全体的なものだから非常に難しいところですが、それを県にも優秀なスタッフがいっぱいいますので、そういう形をうまく利用して経済評価というか、そういうのをしていただければ、もうちょっと今の林業の場合だと非常に林業技術が廃れているわけですよね、枝打ちしたりとか、間伐技術とか、いろいろ言われているのですが、機械的間伐だとか、ある程度山と対話をしながらやっていくというのが少なくて、結果というのですか、まず間伐ありきという形でやって、山を育てるというよりも間伐をするのだということからやってしまうから技術がちょっと廃れているような気がするのです。
ですから、枝打ちの技術だとか選木の技術だとか、そういうのが廃れていってしまうわけです。私は林業やっていますので人工林がほとんどなのですが、きちんと手入れをされた森林というのは気持ちがいいですし、また公益的機能が非常に高いと思うのです。その辺のところを数字的に評価してもらえれば、林業をやっている人も励みになりますし、丸太にしてお金にするというのは50年、60年とかかるわけです。手入れというのは、毎年時期、時期にやっていかないと、その森林というのは立派な森林に育たないのです。ですから、目に見えないところを評価してもらって行政サイドから手助けをしていただけるという、そういう何かシステムみたいなのができればいいかなと思っています。
いずれ補助金というか、そういう制度はあるのですが、その補助金の制度が伐期に向けての補助金のような気がしてならないのです。そうではなくて、山を育てるというか、環境を整備するというか、そういう形の考え方の補助金。手入れをすればちゃんと生活できるのだということが実証されれば、林業というのはまだまだ活性化していきますし、岩手の最大の社会資本というのは森林だと思うのです。私たちが林業をやっているのは職がえするということは山を放棄することですから、これを放棄すると延々と続く林業というのがなくなってしまうわけです。ですから、その辺のシステムというか、それをぜひ考えに入れて、これはもう政治的判断というか、超長期なものですから、100年、200年というスパンも頭に入れながら森林の行政というのに携わっていただければいいかなと考えております。

高橋局長
ありがとうございました。
それでは、今日は沿岸広域振興圏内の県議会の先生方、ご出席いただいておりますけれども、先生方の方から何か感想とかご意見とかありましたらお願いしたいのですが。

菅原一敏県議
本当に今日は皆さん、ご苦労さまでございます。陸前高田からは、生出のコミュニティの菅野征一郎さんがおいでになっておりまして、いろいろと地域の取り組みをお話しされていますが、いずれ県北・沿岸振興にとって海の活用が大事だと私も思っておりますし、そういう考え方で達増知事以下重点的な取り組みをしていただいているわけですから、これを機に県北・沿岸の振興、特にも海を生かしたおいしい食べ物、温暖な気候、こういうものを生かした振興策に県も民間も市町村も一体になって取り組んでいく、非常にいい時期ではないかなというふうに思います。特にも知事さんおっしゃいましたように、100年に1度の大きな経済危機が参りまして、製造業は非常に参っているわけですが、こういう時こそ地域の資源を生かした取り組みをしたい、していけばいいのかなと、そういうふうに思っておりますので、皆さん方のご協力をいただきまして、県が先頭に立って取り組んでいければというふうに思っております。

小野寺有一県議
特に大船渡からいらっしゃった志田さんのお話を聞いていて、三陸とか沿岸が生き残っていくすべというのは、わらしべ長者みたいなものなのではないかというふうに思ったわけであります。それは、さっき一番最初はたしかカジキマグロの、要はかぶと煮みたいなところから、今まで経済的な価値を見出されていなかったものとかというのに着目して、それから温泉を掘り当てて、それで木質バイオマスやって、おふろと産直までやろうとしているとかというのは、まさに三陸ドリームみたいな世界の話だろうというふうに思いますので、そういった皆さんの意見に共通して出ていたのは、やっぱりグローバルな経済の話が先ほど知事からも出ていたようでありますけれども、そういう貨幣経済みたいなものに取り込まれていないものの中に価値を見出すところに三陸とか岩手の価値、活路が開けていくのではないかというようなところを感じたところでありまして、そういったこと、先ほど齋藤さんの方からもシステムの話として大分出ていましたけれども、そういったものを行政とか政治とかのシステムの中に取り込めていければ、この沿岸というのは非常に有望な地域なのではないかなと思って、非常にフロンティアを感じさせていただく懇談会でよかったというふうに思っております。

高橋局長
ありがとうございます。
それでは、知事の方から今までのところで一言何か。

達増知事
まずは、生出の地区は木炭まつりも年々盛況ですし、水、炭、そして山林ということで、とても全国有数の資源だと思います。ぜひその調子で頑張っていただきたいと思います。
それから温泉、地元の木でお湯を沸かすというのは本当にいいアイデアだと思います。チップボイラーが既に岩手のあちこちで実用化されていて、大分経済効率的にも悪くないようなところまで来ていると思いますし、また地元の木を使うということで、特に間伐材とか、あるいは産業廃棄物扱いされるような木、そういうのを活用していくというのはすごいいいアイデアだと思います。制度的なことは、振興局に聞いてもらえばいいと思うので、どうぞ相談してください。
医師不足問題を中心とした医療問題、特に地域医療問題については、みんなに知ってもらうことが大事というのは本当にそのとおりだと思っていまして、私も県民みんなで支える岩手の地域医療推進協議会というのを11月に立ち上げまして、各種団体にも協力していただきながら、県民の医療リテラシーを高めなければならないと思うのです。まず、自分の体の健康についての知識、そしてお医者さんへのかかり方、これがよく分からないからすぐタクシーがわりに救急車を使うとか、それで救急診療に駆け込むとか、そういうのが勤務医を疲れさせて医療崩壊に拍車をかけるということになっていますので、日本で一番岩手の県民はそういうことが分かっているというふうにできればいいなと思っていまして、今の病院改革、特に診療所の無床化をめぐる議論というのは、おっしゃるとおり制度的には、これはもう地方公営企業体である医療局の経営判断の問題ではあるのですけれども、ただこれだけ県民的な議論になっていることで新聞、テレビも非常に岩手の医療はこうだとか、ちなみに全国はこうなっているとか、ちょうど全国的にもこの医療問題について質のいい報道がどんどんされるようになってきていて、この辺おととしあたりに比べるとさま変わりですよね。おととし、全然こういうのがなくて、去年の奈良県の妊婦たらい回し事件が非常に大きい転換点になっていて、あれで舛添要一厚生労働大臣も医療問題に本気になるようになりましたし、マスコミの報道や解説もすごい充実してきたと思うのですが、岩手においてはそれを県民がまずしっかり分かっていて、そして県民が地域の医療を支える、つくるという、そういう形に持っていければと思っています。
三陸というところを地球サイズで見るというのは本当にそのとおりで、そうすると日本一いいところはひょっとしたら世界一いいところというふうになってくるのだと思います。地図を見ていても、青森から、本当はすとんと仙台平野に真っすぐおりていったはずの地形が大きく東に張り出して三陸というものができているわけです。北上高地と三陸海岸とあわせてコッペパン型の出っ張りがあるわけですけれども、これは昔は海の底に沈んでいたものが隆起してきて、北半分はさらに隆起し、南半分は沈降してこういう地形になっているのですけれども、これは本当に、地球が生み出した奇跡のアイランドと呼んでいいような地域だと思います。ひょっこりひょうたん島みたいなイメージでもあるのですけれども、そこに行けばどんな夢もかなうとか、地球上でこんなに宝物のあるところはほかにないみたいな、そういう三陸のイメージというのをどんどん中で確認しながら外にもアピールしていければなと思っています。
それから漁協の防災というのは、なるほど、盲点なのだと思います。それで、実際には沿岸で漁業に働いている皆さんは漁協の枠組みで働いているわけですから、そこの防災というのは本当に重要なのだと思います。
そして、ホームステイですね、これはやっぱりどんどん盛んにしていきたいなと私も思っています。岩手全体を学びの場としてアピールできるといいのではないかと思っていまして、古い文化、伝統、平泉のようなものもあり、また農林水産業、農業体験、山で木登りもできるし、間伐の体験もできるし、あとは海でサッパ船に乗ったりとか、コンブやワカメの養殖の手伝いもできるし、人間にとって本当に大事なことは岩手に来れば学べるという、そういう学びの場岩手というのを対外的にもどんどんアピールして、外国人にも来てもらうというふうにできればいいのではないかなと思っています。それで、山林についても岩手の山林は林業、山林関係者のものだけではなく県民すべての共有財産だということがあるので、森林税というものをお許しいただいているのだと思っていまして、すべての県民に自分のものとして、自分の問題として森林、林業のことを考えてもらう必要があると思っています。そういう中で、技術、技能ですね、そういう担い手の技術、技能をしっかり守っていくこととか、行政としていろんな仕組みをつくっていくことというのはそのとおりだと思いますので、いろいろ工夫をしていきたいと思います。

高橋局長
ありがとうございました。皆さんからのご発言をいろいろ整理してみますと、三陸地域というのは非常に宝物に満ちているということ、それからそういうものが非常に未利用な状態にあると、そういう未利用なものをどうやって活用していくかということが一つの三陸の道ではないかということで、その未利用なものの中には先ほど県議会の小野寺先生の方からも貨幣経済以外のところに価値を見出すと、そういったところに価値を見出すということも含めてのお話なのですけれども、そういう未利用なものが多いのではないかと。菅原先生の方からも地域資源を活用していくことが重要だというお話ございました。
どうも皆さんのご発言を整理してみますとそんなところになるのかなというふうな気がしましたのですが、それではさて三陸の未利用な資源について、もし具体的なイメージがわかなければ抽象的なお話でもよろしいのですけれども、こんなのがあるのではないかというお話とか、こういうふうなこともこの地域では考えられるのではないかというお話があろうかと思います。それで、その辺のところについて一言ずつまた皆さんからご意見をお願いしたいと思います。

齋藤眞琴
未利用というか、結構間伐すると山に残るのですよね。これ非常に私ども困っているのですけれども。逆に肥料という考え方ですね。間伐した後のやつは、残った木を太らせるために間伐するのであって、利用するために間伐するのではなくて、私のところはそのつもりなのです、考え方の違いというか。出すとなると、さっきも言っていましたけれども、かなりかかるのですよね。今、間伐材を出すにしてもぎりぎりという形なのですよね、やり方もいろいろあるのだろうけれども、やっぱり山を育てようとすればお金かかってしまうのですよね。使えるやつは出す、そうでないのはどうしても林内にそのままという形になりますよね。真っすぐなところしか使ってもらえないので、曲がったところは短くして置いてきてしまうわけですよ。そこに置いてきたのを、これを出すというのはまたかなり難しい問題があって。
うちでも無料間伐会というのをやっていて、まきストーブを使う人に持っていってもいいよと言うのですけれども、なかなかとりに来ないです。今は持っていって、セットしてもらってすぐくべるようにならないとなかなか使ってもらえないという形ですかね。とりあえずはまきストーブで残ったのは使うようにはしていますけれども。
まきストーブは、私は3回暖まるからやってくれと言っているのですけれども。3回というのは、1回目はまき集めて割ったりすると1回目ですね、もちろんまきストーブ燃した時に暖まる、それからまきストーブというのは人が集まってくるわけです。中に何か置いて、それを食べながら、何かの本にありましたけれども、3回暖まるというので、県の方ではペレットを進めているようですけれども、私どもでは林業やっているので、ぜひまきストーブをという形でしておりますけれども、未利用資源がなかなか思うようにいっていないのが現状です。

高橋局長
それでは、菊地さんお願いいたします。

菊地和三
先程時間がなかったので、話さなかったのですが、蠣殻について提案いたします、実際に運用しているんですが、蠣殻は法令上は産業廃棄物という扱いですが、我が漁協では、そのような扱いはしていません、私たちが行っている事を紹介します。
剥身蠣を母貝から一個ずつ取り外し、フジツボ、シュウリガイ、雑海藻等を除去し、剥身を取り出した後殻は綺麗に洗浄し、屋外の囲いの中に自然乾燥させ保管しています。
一次成品として、養魚場のろ過剤、又私道の路盤補正材として、一部試験的に利用いたしました、(泥地改良)結果は良好です。
二次成品としては、乾燥した殻を10ミリ以下に粉砕し、土壌改良剤及び肥料への比率混合剤として、販売活用されています。(業者卸)先日は、町から町長他担当課長、そして生産者の一人として滝沢村役場に同行させて頂き、村長さん他関係部課長の方々に蠣殻の持つ土壌改良材としての、PRをさせていただきました、今後は殻の持つ分析等も実施し、精度の高い品質の生産を心掛けたいです。
私は、蠣の生産を持続させる為には、蠣殻の処理は避けて通れないと判断します、つまり事業のサイクル化だと、そして、生産工程の省力化を図らなければ、3Kの後継者は育たないとおもいます、漁業者の民力を高める(経済力)事だとおもいます、私は、一区切り設定を70歳それまでは頑張りたい、35年間の下役人の恩を少しでも、地域の漁民の皆さんに役立てられればと思っています、機械化、省力化等様々な問題が発生する、その時は県の担当課のお力を頂きたいので宜しくお願い致します。

高橋局長
ありがとうございました。次に、遊佐様、お願いします。

遊佐俊一
うちの会社ではいろいろ販売しておりまして、まきストーブ、ペレットストーブ、それから、実はカキ殻の粉を入れた陶器、こういうのも試作品をつくりました。しかし、カキ殻については菊地さんがよくご存知だと思うのですけれども、強度的に弱い、特性がなかなかできないということがありました。ただそういった試行錯誤の後に良い完成品が生まれると思いますので、今後やっていきたいなと。
あと宣伝ですけれども、ペレットもまきも使えるペレットストーブ、これは釜石の企業でつくっていらっしゃいます。
ということで、私の宝物の話をしましたけれども、もうひとつ希望として、三陸の半島の豊かさというのをもっとクローズアップしてもいいのではと思っています。それはどういうことかというと、ヤマセを追い風にするのです。ヤマセというと東風ですけれども、植生が非常に独特だということが分かりました。三陸には高山植物が生えている半島があるということを伺っております。これはすごいことだと思うのです。
私は学生の時に自転車で海外を放浪致しましたが、ある国の国立公園では全く売店がありませんでした。保護が行き届いて最高の空間を感じた訳ですが日本だとまず売店をつくり始めますよね。それについては基本的に最小限にして欲しいと思います。何もない素の豊かさを、ぜひそういった部分を岩手につくってもらいたい。手つかずの原生林、人工林とはいえ、会話をして森をつくる、手つかずの自然林、それが半島にあるので、これをぜひ保っていただきたい。ヤマセの東風、こちへ来い、ということで、これを宝物と思って愛していただければなと思います。

高橋局長
ありがとうございました。それでは、次に小泉様お願いいたします。

小泉嘉明
私はロマン的な場面がないので、きつい場面にいて、いつも人との相手しかしていないので、自然にたまには行きたいなとは思いますし、自然は嫌いではない。好きなのですけれども、ただ生きるためにはバランスが逆の場面があったりして、道路とかがないと救急が成り立たないとか、いろんな流れの中で、では何がいいのかなと。こっちは暖かいし、住めるのはどこでも住めたりする。しかし、教育と安全保障がないと人が住めないということはもう間違いないことなので、それをどういう観点からいければいいかなということ。医師養成事業で医師が、少し増えるといっても110人ぐらい。岩手県に残るとは限らないし、10年先の話なので、とりあえず今頑張っていくのであれば、やはりみんなで地域一緒に進めていきたいということ。ただ、道路をどうするのかと言われると、残念ながら今度は道路がないと救急ができないということも事実なのです。婦人科では、お産は釜石から大船渡に移って大船渡病院でやってもらっていますけれども、では釜石と大船渡の間に雪降った時にはどうするの、盛岡に行くの。これは釜石と大船渡の時間が15分であれば割とすんなり行けるだろうと、そういう場面はすごくあります。
全国的に医療計画を立てないのは奈良県だけでした。なぜかというと統計がとれていないから。統計は、岩手県は割とやっているのです。脳卒中もやっているし、がんもやっている。あの統計を使わない手はないだろう。それを使いながら、計画を立てていくというのが本筋ではないでしょうか。
あとグリーンツーリズムみたいなものをつくりながら教育と自然とうまくやって、それに安全をくっつけていけば人が寄ってくる。
また、予防接種のデータが県でとれない。私は釜石が遅れていると言われて全部やりました。すべてやった中で、県のデータが分かってなかった、これが最大の県の医療が伸びない原因です。今回も釜石医師会の理事会でデータを出していますけれども、データを出していたら、MRワクチン(麻しん、風しん、混合ワクチン)の接種率が全国で岩手県は3期が40位、それから次は4期が38位、このていたらくではどうしようもない。これは10番以内ということを常に目標に持って、人に迷惑をかけないということですから、基本的にそこができない人間は人間として価値がないのです。そこをちゃんとみんなに教育として徹底させて、県がやはりデータを持っていないと話にも何にもなりませんから、その辺をちょっとやっていただきたい。

高橋局長
ありがとうございました。それでは、志田様よろしくお願いいたします。

志田豊繁
うちにも娘と息子がおりまして、医師不足だということで娘にも少し勉強して医者になれやと言ってはいるのですが、なかなか「うん」と言わないのです。また親との集まりで、世の中で医者不足だから頭のいい娘、息子いたら医者にした方がいいのでないかと言うと、どういうふうな返事が返ってくるかというと、お金が大変だと。だから、私もその時思ったのだけれども、中学校、高校あたりで医者になりたいという意思のある志を持った子供は高校に入る時にでもどこか1カ所にでも集めて、国か県とかからもある程度見てくれれば将来……。結局何で医者になれないかというと、いくら子供たちが医者になる能力を持っても親がそういう子供を育てる能力がない。子供に能力があるのに、親に能力がないから医者が育たないという面もあるのではないかなとは前々から思っていました。
それはそれとして、さっきの木のこととかいろいろお話しを伺いまして、確かに今までも、マグロの頭でも何か商売するにしてもいろんな壁はありました。何でもすんなりうまくいくことというのは一つもありませんで、今話を聞いて、やっぱりそうかと、そんなに私の思うとおりにいかないなというのは重々分かりましたが、そこであきらめる私ではないよと。そういうふうにさっきも思いました。温かい目で見ていてください。

高橋局長
ありがとうございました。では、菅野様よろしくお願いいたします。

菅野征一郎
うちの地域も山ばかりの地域でして、山の荒廃というのは避けて通れないような状態なのですけれども、今年あたりから国の方の山林の育成の補助事業というのもたくさん導入されているようです。今までは間伐とか除伐というのは杉等針葉樹が主だったのですけれども、今は広葉樹も育成しようということで、広葉樹の間伐作業も行われているようなのですが、やはり先ほど齋藤さんがおっしゃったとおり、間伐された木材が活用されていないというのが非常に残念でなりません。山の林道の畦畔の土砂崩れの防止とかには使っているようなのですけれども、非常にもったいないなという感じでおります。山の方も林道が結構整備されて、車ですぐそばに行けるような状態にもなっておりますけれども、それでもなかなか活用できない、それが木材の価格の低下、低迷というか、安い木材にしかならないというようなことが言われているようです。働く人たちは、林業で何とか業が成り立つけれども、山主が高齢化になってしまって山で働けないし、業が成り立たないというような状態になっているということを聞いております。この材料をどなたか持っていってもいいのかということで山で働いている人から聞いたら、きれいに重ねているのですけれども、それはちょっとと難しい返答が出てきましたけれども、本当に何とか活用させれないものかと感じておりました。

高橋局長
ありがとうございました。

知事所感

高橋局長
最後に、知事の方から何かございましたらお願いします。

達増知事
大変活発な議論をしていただき、それぞれの専門や、またそれぞれの地域の最先端の動きや試みでありますとか、また県にとっても参考になるご意見たくさん伺うことができてよかったと思います。それで、これで終わりではございませんので、このメンバーでこういう形で2回目の会議というふうにはならないのかもしれないのですけれども、それぞれの皆さんにはまた引き続き振興局を通じたり、あるいは私でもいいですから、県の施策の推進についてご協力をいただければというふうに思います。
あと齋藤さんがまきストーブは3回暖かいという話をしていて、それを聞いていて、三陸の三とか思っていて、三陸というのを「トリプルランド」というふうに強引に訳すとおもしろいのではないかなと思いました。もとは三陸というのは陸奥、陸中、陸前の三陸という意味なのですけれども、そのことを知っている人がだんだん少なくなってきていますし、何となく岩手の沿岸イコール三陸みたいなイメージの方が浸透してきているのかなと。
そういう中で、今の宮古、釜石、大船渡、3広域圏の3つ合わせて「トリプルランド三陸」というようなイメージとか、農林水産業のそれぞれが宝を持っている「トリプルランド」とか、あるいは海と山と、そして街が三位一体で栄える「トリプルランド三陸」とか、いろんなイメージが広がっていくのではないかなというふうに思いました。改めていろんな地域の宝物があるということも感じましたので、県としてもぜひそれを発掘してみんなのものにしていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

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