用語の説明

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ページ番号1015805  更新日 令和3年1月1日

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ここでは、裁決手続き等に関する主な用語を説明しています。

収用委員会

収用委員会は、公共の利益の増進と私有財産との調整を図るため、公正中立な立場で審理や調査などを行い、起業者、土地所有者及び関係人の主張について、判断を下す権限を持つ準司法的な行政委員会です。
収用委員会は、裁決申請に基づいて、収用の範囲や損失補償が正当であるかどうか等を、最終的に裁決という形で、独自に判断することを主な役割としています。

起業者

公共事業の施行者で、土地収用法などによって、土地を収用又は使用する者をいいます。

土地所有者・関係人

土地収用等の裁決申請のときは、土地の所有権又は土地に関する所有権以外の権利(例えば、賃借権、地上権、抵当権など)を有する者をいいます。
また、明渡裁決申立てのときは、その土地にある建物などの物件の所有者や物件に関して権利を有する者をいいます。

収用・使用

土地収用法では土地の収用だけでなく、土地の使用も含めて規定しています。「収用」とは、所有権の取得と借地権など所有権以外の権利を消滅させる場合をいい、「使用」とは、公共事業のために使用する権利を取得し、又は権利を制限する場合をいいます。なお、土地を使用する場合の手続も、収用の場合とほぼ同じです。

事業認定

国土交通大臣又は都道府県知事が、個々具体の事業について、公共の利益となるかどうか、土地の利用が適正で合理的かなどを判断し、土地を収用することが公益上必要な事業であると認定することです。
したがって、収用又は使用の裁決申請をするためには、起業者があらかじめ事業認定を受けていなければなりません。
なお、都市計画事業の場合には、事業認定と同じような効果を有する都市計画事業の認可又は承認を受けていれば、事業認定があったとみなされ、収用委員会に裁決の申請をすることができます。

裁決申請の請求

事業認定後、土地所有者及び関係人(抵当権者、差押債権者等を除く)は、自らの権利に係る土地について裁決申請することを起業者に請求することができます。
起業者は、この請求を受けた日から2週間以内に裁決申請をしなければなりません。
裁決申請請求は、様式(収用法施行規則別記様式第9の2 下記添付ファイルのとおり)に基づき、行う必要があります。

補償金の支払請求

土地所有者及び関係人(抵当権者、差押債権者等を除く)は、裁決前であっても、事業認定から権利取得裁決までの間、起業者に対して土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払を請求することができます。
補償金の支払請求があった場合、起業者は、2ヶ月以内に自己の見積による補償金を支払わなければなりません。ただし、補償金の支払請求が裁決手続開始決定の登記以前である場合は、その登記された日から1週間以内に支払われることになります。
なお、起業者が裁決申請をする前に補償金支払請求をする場合は、裁決申請の請求と併せて請求しなければなりません。
また、当該支払いがあった場合、清算のため、当該支払額と裁決額の差額(不足額又は過払い額)が裁決されます。
補償金支払請求は、様式(収用法施行規則別記様式第10の2 下記添付ファイルのとおり)に基づき、行う必要があります。

土地調書・物件調書の作成

起業者は、裁決申請に当たっては土地調書を、明渡裁決申立てに当たっては物件調書を作成する必要があります。これらの調書には、起業者、土地所有者及び関係人の署名押印が必要です。
起業者は、これらの書類を添付して裁決申請及び明渡裁決の申立てを行います。
土地所有者及び関係人のうち、この調書に署名押印を拒んだ者があるときは、代わって市町村長(職員)が立会い、署名押印することができます。

調書作成手続の特例

補償金の見積り額が1万円以下の権利者が、100人を超えるときは、起業者は、土地又は物件の所在する市町村において土地調書・物件調書を公告縦覧することにより、土地所有者及び関係人の署名押印に代えることができます。
この調書が真実ではない場合、土地所有者及び関係人は起業者に、異議申出書を提出することができます。

土地所有者及び関係人の署名押印、異議の附記

土地所有者及び関係人は、土地調書及び物件調書の記載事項について異議があるときは、異議の内容を附記して署名することができます。
そして、異議を附記した事項については、収用委員会においてその真否を争うことができますが、異議を附記しなかった事項については、記載の内容が真実でない旨を立証しない限り異議を述べることができなくなります。

裁決申請及び明渡裁決の申立て

起業者は、収用委員会に対して裁決を求めるため「裁決申請」と「明渡裁決申立て」を行うことができます。
また、起業者から裁決の申請があり、明渡裁決の申立てがなされていない場合は、土地所有者又は関係人から明渡裁決の申立てをすることができます。

『裁決申請』とは、起業者が土地の所有権の取得を求める申請です。
『明渡裁決の申立て』とは、起業者が建物などを移転させて土地の明渡しを求める申立てです。

受理

裁決申請又は明渡裁決の申立てがあったときには、収用委員会はその申請書又は申立書が法令に適合しているかどうかを審査し、適合している場合は受理します。

裁決申請があった旨の通知

裁決申請があった場合、収用委員会は裁決申請書を却下する場合を除き、裁決申請書に記載されている土地所有者及び関係人に裁決申請があった旨を通知します。

市町村における公告・縦覧

収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書を受理したときには、その写しを関係の市町村長に送付するとともに、土地所有者及び関係人に裁決申請又は明渡裁決の申立てがあった旨の通知をします。

市町村長は、裁決申請書又は明渡裁決申立書の写しを受け取ったときには、申請又は申立てがあったことなどを公告し、それらの書類を公告の日から2週間縦覧します。

公告縦覧期間中の意見書提出

土地所有者及び関係人は、縦覧期間内に、収用委員会あてに、収用に係る権利者、収用の区域、損失の補償、明渡しの期限などについて、意見書を提出することができます。

なお、損失の補償に関する事項を除くその他の事項については、縦覧期間中に提出された意見書に記載された事項を説明する場合に限って、審理において意見書を提出したり、口頭で意見を述べることができます。

意見書には、事業の認定に対する不服に関する事項など収用委員会の審理と関係がないものを記載することはできません。

裁決手続開始決定、登記

市町村における裁決申請書及び明渡裁決申立書の写しの2週間の縦覧期間が経過すると、収用委員会は、裁決手続の開始を決定してその旨を都道府県の公報で公告し、申請の土地を管轄する登記所に裁決手続開始の登記を嘱託します。

この登記がなされると、相続などを除き、登記後の権利の移動は起業者に対抗できなくなりますので、起業者及び収用委員会は、原則としてこの時点での権利者を当事者として扱います。

審理、意見書提出、意見陳述

収用委員会は、縦覧期間経過後、審理を開始します。審理は、収用委員会が起業者、土地所有者及び関係人から裁決事項についての意見を聴くもので、原則として公開で行います。

起業者、土地所有者及び関係人には、審理の開始に当たり、収用委員会より、あらかじめ審理の日時及び場所を通知します。代理人を出席させる場合は、委任状が必要です。

審理は、収用委員会の会長、又は収用委員会から審理に関する事務について委任を受けた委員(指名委員)が指揮をして、おおむね次のことについて意見を聴き、意見の対立点を整理していきます。

  1. 収用しようとする土地の区域
  2. 損失の補償
  3. 権利取得の時期
  4. 明渡しの期限

起業者、土地所有者及び関係人は、審理において、次の事項について意見書を提出し、又は口頭で意見を述べることができます。また、意見の内容を証明する資料を提出することもできます。 
審理では、起業者、土地所有者及び関係人が述べた意見について、収用委員会から、新たに意見書や資料の提出を求められることもあります。

  1. 裁決申請書の添付書類又は縦覧期間内に提出した意見書に記載された事項
  2. 損失の補償に関する事項(新たな意見書を提出したり、新たな意見を述べることができます。)
  3. 収用委員会から提出を求められたり、説明を求められた事項

ただし、事業の認定に対する不服に関する事項など収用委員会の審理と関係がない事項について意見を述べることはできませんので、注意してください。

収用委員会による調査・鑑定

収用委員会は必要があると認めるときは、次のことができます。

  1. 起業者、土地所有者及び関係人などに出頭を命じて審問し、又は意見書、資料の提出を命ずること
  2. 鑑定人に鑑定させること
  3. 現地について、土地又は物件を調査すること

裁決

収用委員会は、意見書や審理で主張されたことなどについて、必要な調査や検討を行い、裁決をします。裁決は、裁決書という形の文書により行われます。
裁決は、裁決申請及び明渡裁決の申立てに対する収用委員会の最終的な判断です。裁決申請に対する応答としての権利取得裁決と、明渡裁決の申立てに対する応答としての明渡裁決があります。
なお、明渡裁決は、権利取得裁決と同時に又は権利取得裁決のあった後に行われます。

『権利取得裁決』により、起業者が、権利取得の時期までに土地所有者や関係人に補償金を支払うことで、権利取得の時期に土地の完全な所有権を取得し、借地権などの所有権以外の権利が消滅します。
権利取得裁決により、裁決される主な事項は以下のとおりです。

  1. 収用する土地の区域
  2. 土地に関する損失の補償
  3. 権利取得の時期

『明渡裁決』により、土地所有者及び関係人は、土地にある建物などの物件を移転して、期限までに土地を起業者へ明け渡さなければなりません。
明渡しがなされないときには、起業者は、都道府県知事に代執行による物件の撤去の請求などをできることとなっています。
明渡裁決により、裁決される主な事項は以下のとおりです。

  1. 明け渡すべき土地の区域
  2. 土地の明渡しに伴う損失の補償
  3. 明渡しの期限

却下裁決

裁決の申請が土地収用法の規定に違反するとき、申請が却下されることがあります。

和解

和解は、裁決申請後であっても、当事者間の話合いで円満に解決することが望ましいことから設けられた制度です。
和解には、裁決すべき事項について、起業者、土地所有者及び関係人の全員の合意が必要です。なお、収用委員会は、審理の途中において、いつでも、起業者、土地所有者及び関係人に和解を勧告することができます。
合意があったときは、当事者の全員から収用委員会に対し、和解調書の作成の申請をします。

収用委員会は、和解の内容を審査したうえ、和解調書を作成します。

和解調書が作成されると収用又は使用の裁決があったと同様の効果が生じ、この場合当事者は和解の成立・内容について争うことができなくなります。

他の争訟手続きとの比較については、以下のページの一覧表をご覧ください。

仲裁

仲裁は、事業認定告示以前に、仲裁契約に基づき、紛争を第三者(仲裁委員)の判断により解決を図る方法です。
仲裁の申請は、紛争が対償(補償額、補償額の積算方法、土地等の評価方法、残地補償の是非等)に限定されている場合に利用することができます。
仲裁判断の効果は、確定判決と同一の効果があります。
なお、収用裁決の手続が原則として公開されるのに対して、仲裁の手続きは非公開で進められます。

あっせん

あっせんは、事業認定告示以前に、紛争を第三者(あっせん委員)によるあっせんに付することにより任意解決を図る方法です。
あっせんは、両当事者による任意解決の方法ですから、あっせんの内容について特に規定はなく、解決に役立つことを自由に行うことができます。
あっせんが功を奏した場合、一般には当事者双方の民事上の契約が締結されることが多いようです。

協議の確認

協議の確認は、事業認定告示日から裁決申請までの期間に起業者と土地所有者及び関係人の全員との間に任意協議が成立した場合に、起業者が当該土地所有者及び関係人の同意を得て、収用委員会に協議の確認を申請する方法です。
協議の確認がなされると収用又は使用の裁決があったと同様の効果を生じ、この場合当事者は協議の確認の成立・内容について争うことができなくなります。

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このページに関するお問い合わせ

岩手県収用委員会 事務局
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