岩手情報文化研究会 3月例会 知事講演「新型コロナウイルス感染症対策と東日本大震災津波からの復興10年、そこに見えてくる『ふるさと岩手』」

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ページ番号1042200  更新日 令和3年4月28日

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とき:令和3年3月22日(月曜日)
ところ:ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイング

はじめに

 本日は、岩手情報文化研究会で講演の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 昨年来、世界で、日本で、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、岩手県においても、新型コロナウイルス感染症対策に日々追われています。

 また、東日本大震災津波から10年です。

 本日は、この「新型コロナウイルス感染症対策」と「東日本大震災津波からの復興」、そして、そこから改めて見えてくる、目指すべき「ふるさと岩手」について、お話ししたいと思います。

1 新型コロナウイルス感染症対策

(1)日本が目指すべきは新規感染者「ほぼゼロ」

 第1章、「新型コロナウイルス感染症対策」です。

 「(1)日本が目指すべきは新規感染者数『ほぼゼロ』」という根拠を明らかにすべく、「第一波」から「第三波」まで振り返りたいと思います。

 

《全国及び岩手県における新規感染者数の推移》

 今までの日本全体と岩手県の新規感染者数の推移について、それぞれのグラフを重ねてみました。

 日本では、昨年1月に初めて感染者が確認され、3月から「第一波」となる感染拡大が見られました。

 6月、若年層を中心とした新たな感染拡大が東京等の大都市に見られ、7月初めから「第二波」となる感染が全国に拡大し、8月7日をピークに縮小に転じました。

 11月に入ってからは、各地で過去最多の新規感染者数を更新する「第三波」が起きましたが、1月8日をピークに減少に転じています。

 この間、岩手県では、いわゆる感染者ゼロが続きましたが、全国の「第二波」の高まりに沿う形で、まず、7月29日に県内初となる感染者が確認されました。

 その後は、全国の「第三波」の発生に沿う形で増加し始め、12月に大きなクラスター発生もありましたが、ここで岩手県民の皆さんにかなり気を付けていただいて、その後の全国の急激な増加の波にはついていかず、年末以降、大きな増加はありませんでした。

 

《【第一波】新規感染者数の推移(全国)》

 春の「第一波」について詳しく見ていきたいと思います。

 昨年1月16日に日本で最初の感染者が確認された後、3月下旬から感染拡大が見られ、その後、4月11日の720人をピークに縮小に転じたというのが「第一波」です。

 1月から2月にかけて、中国人観光客関係で日本国内に若干感染者が出たり、屋形船クラスターなどが起きたりしましたが、波というような形にはなりませんでした。中国・武漢関係の輸入症例というのは、実は11例しかなかったそうです。

 日本で波が起きたのは、3月に、欧州等、ヨーロッパやアメリカなどからの300人を超える感染者の入国、帰国が原因です。

 

《「第一波」の発生と収束》

 「第一波」をさらに詳しく、完全解剖してみたいと思います。

 日本国内の新規感染者の感染日を推定したグラフです。私たちがよく見るグラフは、新規感染者数が公式に発表された日のグラフですので、それより2週間くらい手前にずれた波になっています。よく見るタイプのグラフですと4月11日にピークがありますが、それは、陽性だ、感染したと発表されたものを足し合わせると4月11日がピークだったということです。実際に感染したのがいつだったかを推計した場合、そのピークは3月28日になります。

 感染の実態を捉えるには、この推定感染日のグラフの方が正確です。これは、「第一波」が終わった辺りに、国の専門家会議が発表したものですので、厚生労働省のホームページで見ることができます。この頃は盛んに推定感染日のグラフが発表されていましたが、最近はなかなか作られなくなっています。公表される新規感染者数というのは、2週間前の感染の実態を示しているということが非常に大事です。

 先ほど、中国から入ってきた感染者では波はできなかったということをお話ししました。3月11日を中心に小さい波ができていますが、これは欧米からの帰国、入国した人たちの感染の波でありまして、その波が、全体の大きな波を作り出したということが言えます。「新型コロナ対応民間臨時調査会」の報告書によりますと、「3月初めに欧米との往来を止めておくべきだったのに、そうしなかったことが悔やまれる」という政府関係者の発言が記録されています。

 ちなみに、7都道府県に緊急事態宣言が発令されたのが4月7日、全国に緊急事態宣言が拡大されたのが4月16日でした。

 その頃の4月初めや中旬には、感染は、実はピークの半分、そして4分の1くらいになっていまして、緊急事態宣言によって、「第一波」が収束し始めたわけではなく、別の理由で収束し始めたということです。3月28日以降、「第一波」が収束し始めており、その理由を探ってみたいと思います。

 去年の3月24日に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期が決定されました。東京都も国も、この東京オリンピック・パラリンピックをどうするかということについて様々取り組んで、報道も多くなり、3月25日になって突然、新型コロナウイルス対応の話がマスコミの話題の中心になりました。そこに、小池東京都知事が、「感染爆発 重大局面」というフリップを掲げて、週末の外出自粛等を要請しました。

 ここで、日本全体、かなり意識が変わったと思います。

 26日になって、東京都と周辺4県が合同で、知事共同のメッセージを出します。それぞれの都県の中での週末の外出自粛プラスお互いの県境を跨ぐ移動の自粛をそこで発出しています。

 この時、「県境を跨ぐ移動の自粛」ということが初めて出てきました。岩手も含め、他の都道府県も一斉に、県境を越えた移動の自粛、感染拡大が多い首都圏や大阪などへの移動の自粛を県民に呼び掛けるという展開になっていきます。

 そして、3月29日に、タレントの志村けんさんが亡くなります。国内の国民的な緊張感がさらに高まったと思います。

 このような3月25日以降の行動制限要請や、国民の自己抑制によって、「第一波」は収束に向かい始めたと言えると思います。

 ちなみに、岩手県では、昨年3月27日に、首都圏との往来に注意喚起を行い、30日に、首都圏から来県される方々に2週間の行動自粛をお願いしました。

 この往来そのものへの自粛要請は、全国それぞれの知事が同じ対応を行いましたが、自分の県に入ってからもさらに2週間、もとにいたところと同じような行動自粛を続けてくださいということまでお願いしたのは、実は岩手県ぐらいだったようで、当時、他にないか探しましたが見付かりませんでした。岩手県独自のお願いと言っても良いと思います。

 県の新規採用職員に対しても、首都圏から来県する場合には、2週間の自宅待機を指示し、県内の多くの市町村や企業・団体でも同様の対応をしていただきました。

 このように、3月28日をピークとする一番リスクが高かった時期に、岩手県では、全国より高めの感染拡大防止対策を行っていたということが、7月29日まで感染者ゼロに効果的だったと考えています。

 ちなみに、4月16日に国が緊急事態措置を全国に拡大したことを受けて、岩手県でもゴールデンウィーク期間中、不要不急の外出自粛、それから休業の協力要請を行いましたが、全国の中でも極めて少ない、小さいレベルで乗り切ることができました。

 

《【第二波】新規感染者数の推移(全国及び岩手県)》

 次に、夏の「第二波」について詳しく見ていきたいと思います。

 「第二波」は、東京の歓楽街から若年層を中心に広がったと専門家会議などが指摘しています。

 春のピークを超えて増え続け、8月7日には1,605人までいきました。そこをピークに縮小傾向となりましたが、「第一波」の時のように「ほぼゼロ」にまで収束する前に、次の「第三波」になっていきます。

 この間、岩手県では、7月29日に初めての感染者が判明ということになります。

 全国の1日の新規感染者数が、春のピークの700人ぐらいを超えて、その倍以上の1,500人くらい、8月7日には1,605人になっていますが、そのくらいにまで全国の感染者数が増えていくと、いわゆる飛び火、県外に行って感染する、県外から来た感染者から感染するといったことが避けられなくなってきて、岩手においても他都道府県由来の感染例が時々見られるようになり、8月26日、家庭内クラスターとして1日6人の感染がありましたが、「第二波」で一番多かったのはそのくらいでありました。

 

《「第二波」の発生と収束》

 「第二波」がどのように発生したかです。

 東京都新宿区の1日の新規感染者発生数の6月から8月分までのグラフがありますが、「第一波」が収束した後、新宿を中心に、ある業態の接待を伴う飲食店で働く若者たち、あえて具体的に言えば、ホストクラブで働くホストの人たちの間で、検査されない感染が広く温存されていて、「第一波」の時の欧米からの輸入症例と同じぐらいの、数百人規模の感染源になっていました。

 7月22日に、1日の新規感染者数が「第一波」のピークを超えましたが、この時、緊急事態宣言は出ませんでした。「第一波」より新規感染者数が多くなったのに、なぜ、緊急事態宣言が当時出なかったかと言いますと、感染者数の中の若年層割合が高い、重症者・死亡者が少ない、検査・医療体制が拡充していて医療体制のひっ迫が当面ないということで、緊急事態宣言は検討されなかったわけです。

 その結果、新規感染者数は、その後増えてしまい、ピーク時、8月7日の1,605人までいきますが、この頃、「お盆や夏休みの時期の移動」、特に帰省をどうするかということが国民的な問題になり、全国の知事たちが、入れ代わり立ち代わり、テレビに映し出されて、それぞれ悩ましい姿で、帰省は「帰ってきてほしいけど、気を付けて」とか、人によっては、「今年は我慢しましょう」とか、色々な言い方で警告を発している姿が、日々マスコミで紹介され、それによる国民の皆さんの自己抑制で、お盆を挟む夏休み期間中の日本における人の移動というのは、例年に比べかなり少なくなりました。それがこの「第二波」の減り始めをもたらしたと考えて良いと思います。

 ちなみに、ホストクラブを含め、「接待を伴う飲食の場」の感染リスクが高いということは、春の「第一波」の時から専門家や厚生労働省クラスター対策班が指摘していましたので、「第一波」が収束する時、そういったところに、より注意を払っていれば、「第二波」は起きていなかったのではないかと思います。

 

《【第三波】新規感染者数の推移(全国及び岩手県)》

 秋・冬の「第三波」は、夏の「第二波」が完全に収束しないうちに始まってしまいました。

 11月に入ってから、過去最多となる新規感染者数を更新する日が続き、大晦日には4千人超え、今年1月8日には、ピークとなる全国で1日に7,882人の感染者が確認されました。

 その後、今回は、1都3県プラス7府県に緊急事態宣言が発令され、その頃から縮小し始めます。「第三波」前の、11月上旬と同じくらいの1,000~1,500人くらいに、今なってきていますが、下げ止まっている、むしろリバウンドが始まっていると指摘されています。

 岩手県でも、全国の「第三波」に沿う形で増加が始まり、11月20日と21日にはクラスターの発生があって15人、12月12日には43人の感染者が確認されました。

 この12月12日の1日に43人という衝撃的な数字に対して、県民の皆さんがそれを重く受け止め、感染対策に気を付けていただいたからだと思いますが、年末から1月にかけては、全国の急激な増加の波からすると、岩手においては大きな増加がなかったという結果となりました。

 1週間10万人当たりの新規感染者数は、「ステージ3」や「4」の基準にもなるもので、非常に大事な数字です。今年、令和3年、年始最初の1週間、1月1日から7日までの1週間の各都道府県における人口10万人当たりの新規感染者数のグラフを見ると、「ステージ3」の基準に該当する、1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が15人以上となっているところが多い中、岩手県は一番少なく、全国最小の1.6人でした。

 12月中に、日本全体の新規感染者数が1日で2,500人から4,000人へとどんどん増えていった頃、それは異常な事態でありましたので、岩手では12月に、知事メッセージを計3回出して、県民の皆さんに警告を発しました。これに県民の皆さんがしっかりと対応し、感染対策をしっかり行った結果、今年の最初の1週間においては、岩手は一番感染リスクの少ない状態となっていました。

 

《「第三波」の発生と収束》

 ピーク時に1日7,882人という「第三波」を引き起こした感染増の上昇気流がどう起きたかですが、8月のお盆の帰省を巡る議論のような移動や行動の自己抑制ということが、9月以降はなくなり、10月には「Go Toトラベル」の東京除外が解除され、「Go Toイート」等が始まったということが、この上昇気流につながっていったと考えられます。

 それでは、「第三波」はどのようにして収束に向かったかでありますが、全国一斉にではなく、感染者数の増加が著しい都市部に限って行動制限をかければ、都市部の感染減少に連動して人口の少ない県の感染者数も減らすことができるという作戦、地域限定の行動制限という作戦を、11月23、24日の辺りの全国知事会が、まずはWEB会議で決議をし、代表が政府にそれを働き掛けるということをしました。結局、国もその方向で動いて、一部都道府県に限定した緊急事態宣言という決断に至るわけです。

 このように「第一波」の時と違って、全国を対象とはしない緊急事態宣言ではありましたが、「第三波」を減らしていく効果がしっかりとありました。

 国民の自己抑制もあって、「第三波」はかなりの程度、収束に向かったと言えます。「第三波」をここまで減らすことができたわけですから、さらに「ほぼゼロ」を目指せば良いのだと思います。

 日本で「第一波」収束時くらいの「ほぼゼロ」に感染者数を抑えることができれば、海外から何百人単位で感染者が入国してくるとか、日本の歓楽街で若者の間に何百人単位で人知れぬ感染拡大があるとか、そのような特殊な要因がない限り、日本では、新しい感染の波を起こさないということが可能と考えます。

 台湾やニュージーランドなどがそれを達成しています。感染者「ほぼゼロ」になると、必要な経済活動を行っていくことが可能になり、ベトナムや中国でもそのようになっています。

 日本は「ほぼゼロ」を目指すことができる地域であり、社会であり、国だと思います。東京が1週間10万人当たり15人を切るという「ステージ2」相当まできていますので、もう一息です。1週間、いや、4日間くらいでも東京において徹底的な行動自粛、動きをほぼ完全に止めるというようなことをやれば、東京も「ほぼゼロ」まで下がり、全国もそれ以下になり、東京オリンピック・パラリンピックの開催ということも、現実的になっていくと思います。

 「ほぼゼロ」を厳密に定義しますと、1週間10万人当たり新規感染者数2.5人という基準があります。

 政府専門家筆頭と言っても良い尾身先生が、最近、「サーキットブレーカー」がきかなかったという反省を述べています。「第二波」、「第三波」と増えていく過程において、「サーキットブレーカー」がきかなかったと。何のことを言っているかと言いますと、「第一波」が収束した頃に、国の専門家の皆さんは、1週間10万人当たり2.5人まで行ったら、社会への協力要請を出すというシナリオを作っていたのです。社会への協力要請というのは、具体的には、不要不急の外出を控えてくださいとか、週末にはそういうことをしないでくださいとか、行動制限を要請するということです。

 1週間10万人当たり2.5人を超えたら、そういうことを出す。そうすると、「ほぼゼロ」をキープできるというシナリオが実はあったのですが、先ほどお話ししているとおり、2.5人どころか、15人を超えて、25人を超えて、「ステージ4」相当に入っても緊急事態宣言は出なかったのです。そこが問題だったと、尾身先生は言っています。

 東京の場合だと、1日50人くらいというのが、1週間10万人当たりの2.5人という数字です。東京が1日50人以下に収まれば、日本全体が、かなりリスクの低い状態をキープできるということです。今はまだ、東京は1日に200人、300人なので、もう一息、思い切って減らせると、「第一波」が収束した時と同じような状況を再現できるというところです。

 

(2)岩手県における医療提供体制と感染拡大防止対策

 次に、岩手県における医療提供体制と感染拡大防止対策について紹介していきたいと思います。

 

《新型コロナウイルス感染症対策で生かされた医療提供体制》

 岩手県には、全国一の公的医療機関ネットワーク体制があります。

 まず、20の県立病院、全国最多の県立病院があります。岩手県を9つの二次保健医療圏に分けて、その9つの圏域ごとに、基幹病院となる県立病院が設置されています。

 民間病院が全国と比較して少ない岩手県ですが、今般の新型コロナウイルス対策に当たっては、県立病院、国立病院、市立病院、赤十字病院、済生会病院など公的医療機関ネットワークが、岩手医科大学附属病院や民間病院、開業医の皆さんとつながる体制があったことで、入院病床の確保や応援看護師の派遣などに迅速に対応できています。

 これまでに培われた医療関係機関同士の密接な連携体制も岩手の強みです。

 東日本大震災津波の直後、被災地の情報を集約・共有し、支援を調整するため、県、岩手医科大学、県医師会、国立病院機構、日赤等を構成員として「いわて災害医療支援ネットワーク」を構築しました。今般の新型コロナウイルス感染症対策にも、このようなネットワークが生かされています。

 また、「いわて感染制御支援チーム」(ICAT)というものがあります。東日本大震災津波の時に常設された全国初の体制であり、感染管理を専門とする医師や認定看護師等により構成されています。震災以降も、台風災害発生時などに感染症の未然防止や拡大防止に取り組み、また、様々な訓練や研修会を通じて、感染症に備えていました。

 今回のコロナウイルス流行に当たっても、「地域外来・検査センター」の設置の支援、高齢者施設等での施設内感染防止のアドバイスなど、最前線で活動しています。

 新型コロナウイルス感染症への「初期対策」において、岩手県では、日本での感染者が確認される前の1月9日から、医師会、感染症指定医療機関等に、感染対策等の徹底を要請していました。

 2月11日、国が専門家会議を設置する3日前に、岩手の医師会や医療関係者、保健所職員等を構成員として「岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会」を設置しました。

 4月8日には「岩手県新型コロナウイルス感染症医療体制検討委員会」、4月14日には「入院等搬送調整班」を設置しています。

 市町村や医師会と連携し、県内二次医療圏全てとなる計10箇所で「地域外来・検査センター」を設置し、PCR検査ができるようにしました。10箇所というのは、東北で一番多い数です。

 PCR検査の速報や予防対策などの情報発信を行う、「岩手県新型コロナ対策パーソナルサポート」をLINE上に開設しています。

 感染者数が少なかった頃は、感染者数をPCR検査の結果が出たその日のうちに発表していました。まず私に報告があって、私が了解した直後にLINE上にも情報が発信されるという迅速な情報発信です。

 今は、前の日のPCR検査結果を翌日午後3時に発表としておりますが、私が結果を知ってから半日と遅れずに情報発信されている非常に速達性の早い情報発信ツールです。今は、LINEの他、twitterやTik Tokも使っています。

 

《岩手県の感染拡大防止対策》

 岩手県でのPCR検査と陽性者への対応について、重要なことを紹介します。

 岩手県では、国が定義する濃厚接触者に限らず、感染が疑われる方に広く速やかにPCR検査等の調査を実施し、早期の感染者確認を徹底しています。国の基準だとやらなくて良いような人たちにまで、広くPCR検査を実施しています。

 そして、クラスターが発生した施設、例えば医療施設でクラスターが発生した場合には、医療スタッフと入院患者全員をPCR検査するというのは国の基準であり、これはもちろん行いますが、さらに一度陰性という結果が出た場合でも、同じ方に、数日おきに複数回のPCR検査を繰り返し実施しています。職員や入院患者等全員に、7日程度の間隔を空けて計12回の検査を実施したケースがあり、ある人は8回目の検査で陽性と出た、それまで陰性だったのに8回目で陽性と出たということもありました。

 陽性が判明した方々については、全員、それが軽症であっても、無症状であっても、医療機関でCT検査と血液検査を行うようにしています。

 新型コロナウイルス感染症では、喉の痛みや咳などがないのに血栓が肺胞の先に詰まって肺炎になる、喉も痛くない、咳も出ないのに、いきなり肺炎になるということが一定の確率で起きています。自覚症状がないのに突然、呼吸困難に陥って、命の危機に直面するケースというのが報告されています。

 日本の大都市部においては、陽性と分かっても、医療機関での検査を受けないで、そのまま自宅待機となったり、直接、ホテル等の宿泊療養施設に入るケースがあって、そこで突然症状が悪化して、死亡に至るケースもあったりするわけですが、岩手県の場合は、軽症者や無症状者についても、医療機関での検査を受けていただくようにしています。

 新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、行政や団体、企業、地域、個人などあらゆる主体との連携が重要です。

 岩手県には、大学のトップ、経済界の代表、そして県知事がラウンドテーブルメンバーを務める「いわて未来づくり機構」があり、昨年7月10日、岩手県医師会の小原会長、岩手医科大学の小川理事長を招き、「いのちと健康を守り、生活となりわいと学びを支える岩手宣言」を採択しました。

 ワクチン接種については、1月に、専任の課長と対策チームを設置して、医師会や医療機関等と連携し、準備を進めています。

 今月6日から、感染症指定医療機関などの医療従事者への優先接種が始まり、第1弾として、今月中に計9,750人分のワクチンを配給し、順次接種を進めていきます。

 来月12日からは、高齢者への接種を開始する予定で、4月中に、全市町村に、計26,812人分のワクチンを順次配給する計画となっています。

 ワクチン接種を円滑に進めるため、相談・予約の窓口となるコールセンターの設置や医療従事者の確保など、市町村と連携して、対応していきます。

 今後も引き続き、感染拡大防止を強化し、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期していきますので、よろしくお願いいたします。

 

(3)全国的に見て感染リスクが低い岩手県

 次に、全国的に見て感染リスクが低い岩手県。これも大事なテーマですので、取り上げたいと思います。

 人口や経済規模を示す各種統計を見ると、岩手県は大体、全国30位台前半の順位です。人口が32位、1人当たり県民所得31位、事業所数30位、こういった数字からいきますと、新型コロナウイルスの感染リスクも上から30数番目でもおかしくないのですが、岩手の感染リスクはそれよりはるかに下、40番台ぐらい、時期によっては47位と一番リスクが低くなっています。

 これはなぜかという議論がありました。

 

《密になりにくい生活環境(人口密度の低さ)》

 まず、岩手県は「人口密度が低い」、「密になりにくい」ということがあります。

 岩手県の人口密度は1平方キロメート当たり80人であり、東京都が6,354人、大阪府が4,631人、宮城県でも316人ということで、岩手県の1平方キロメートル当たり80人という人口密度の低さが印象的です。

 ただ、フランスやスペインは、国全体が岩手とほぼ同じ人口密度であり、フランスが117人、スペインが91人です。フランスやスペインの暮らしやすさと、岩手の暮らしやすさは同じくらいであると言うことができ、東京都の6,354人や大阪府の4,631人という人口密度は、人間の生きていく場所として高過ぎるのではないかとも言えると思います。

 

《真面目で慎重な県民性(東日本大震災津波の経験)》

 そして、「真面目で慎重な県民性」ということも指摘されています。

 LINEで県民意識調査を行った結果です。県民のほとんどが、基本的な感染対策を行っており、飲食店等での飲食の回数は79%の人が半分以上減らし、帰省・旅行等については83%の人が控えたという結果でした。これは、LINEでの意識調査ということで、こういうことに関心のある人たちを母集団にした調査であるので、かなり良い数字、一生懸命に感染対策をしているような人たちの中での答えということは推測されますが、それにしても徹底的に慎重になっているということが伺われます。

 もともと、「真面目、素直、人柄が良い」という県民性があったことに加えて、東日本大震災津波の経験でさらに危機管理意識が高まったのではないかという指摘もあります。

 一方、ガチガチに凝り固まって、慎重になっているだけではないということもありまして、手作り布マスクの普及というのが、岩手県での顕著な例としてあります。

 一関市で、マスクが入手しづらかった昨年4月頃、市民が手作りしたマスクを市が買い取って、市民に無料で配る「みんなのマスクプロジェクト」が行われ、2週間で計画枚数6千枚をはるかに上回る1万4千枚が集まって、市民、医療・福祉施設等に無料配布されました。

 このような手作り布マスクというのは、県内様々な個人で行っていただきまして、オリジナルの手作り布マスクの製作や販売、寄付などが行われたことを思い出します。

 

《誹謗中傷対策》

 「誹謗中傷対策」。これも岩手の特徴です。

 感染者への誹謗中傷は人権の観点から決して許されるものではありませんし、誹謗中傷を恐れて、症状のある方が受診や検査を控えるようになってしまいますと、感染拡大が加速してしまいます。

 全国で唯一、感染者ゼロが続いていた当時、岩手県民のプレッシャー、ストレスはかなり大きくなっていました。そこで、「感染した方には共感を持っていただきたい、感染した方を咎めないでほしい、責めないでほしい」、「感染者第1号の方を県として優しく接する」というメッセージを県から発信し続けました。

 7月29日に、いわゆる第1号の感染者が確認された直後には、誹謗中傷に対して「鬼になる」という言葉を使い、県のSNS発信に対するリプライ、返信などで誹謗中傷や偏見、差別的なものがあれば、県としてそれを保存するというようなことを公表しました。

 9月14日の「ワシントン・ポスト」に、私が受けたインタビューとして、岩手でそのようにやっているということが報道されました。

 ちなみに、岩手県で、第1号の感染者となった方が勤めている勤め先の会社には、その会社も自分のホームページで社員が陽性になりましたということを発表していましたので、攻撃的なメッセージが100件ほどあったそうですが、同時に、感謝や励ましのメッセージも100件ほどあったとのことであり、花が届けられたりもしたということです。 

 いわゆる「感染者第1号」の方は、今も、その会社で円満に働いていらっしゃるとのことです。 

 

(4)現場に寄り添った社会生活・経済活動への支援策

 次に、現場に寄り添った社会生活・経済活動への支援策ということで、経済支援についてお話ししたいと思います。

 

《家庭への支援策》

 個人向けとして、家庭への支援策です。

 これは、収入が減った家庭に無利子貸付や家賃相当額の支給、保護者の家計が急変した家庭への支援として、高校生の授業料減免、給付金の支給などを行っています。

 

《経営支援策》

 事業者向けの支援、経営支援策としては、県内中小企業者の資金繰り支援のため、無利子・低利子の融資、保証料補給などを、随時、融資枠を拡充しながら行っています。

 経営悪化に対する支援としては、商工会議所等を通じた販売促進支援、4月から5月にかけて対象施設に休業を要請した際には、1店舗当たり10万円の協力金を支給しました。

 また、岩手県では、県内中小企業者への家賃支援を行っています。

 去年の春頃、国と地方の間で、休業補償をめぐる議論がありました。休業要請に従って休んだ事業者をどう支えるかという議論でしたが、岩手の場合、休業要請はほとんどしておりませんので、休業はしておらず開店はしているが、お客さんが来なくて苦しんでいる事業者の皆さんをどう支援するかということが重要な問題です。岩手だけではなく、地方の県はそちらの方が重要な問題です。

 休業補償ではなく減収補填、そういう趣旨の支援として、家賃補助というのが求められていましたので、市町村と連携し、国に先駆けて家賃補助を始めました。後に国も制度化しましたが、去年で終わっていますので、今年に入ってからの1月から3月までの追加分を、再度、県と市町村で組んで独自に行い、最長1年分の家賃支援をできるような格好にしています。

 さらに、県民の皆さんの行動自粛によって、自主的に営業時間を短くしている店もある、自主的に休業している店もあるということで、全国知事会などを通じ、国に対して緊急事態宣言の有無に関わらず、感染対策をしながら営業を継続する事業者への支援、持続化給付金などが必要であると訴えてきました。

 国では、去年一度行った以降、二度目をなかなか行いませんが、県としては、新しい支援策として、今月、「地域企業経営支援金」を補正予算に計上して、1店舗当たり40万円の支援金を支給するようにしています。

 観光・宿泊事業者に対しては、経営継続支援金、感染症対策・ワーケーション受入環境整備経費支援、また、国に先駆けて、市町村と連携し、「地元の宿応援割」、「泊まるなら地元割クーポン」、「おでんせ岩手券」などを行いました。

 鉄道、バス、タクシー等、公共交通事業者の安全・安定した運行の維持の支援なども行っています。

 また、足腰の強い産業構造への転換という視点を含めて、商工指導団体、産業支援機関等と連携し、中小企業者における新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築、本業支援を進めています。

 

《消費喚起策》

 消費喚起策としては、去年の今頃から、「買うなら岩手のもの運動」を展開し、岩手県内で生産される商品を消費していただこうということで、地元生産者や事業者を応援する事業を展開しています。様々なPR、「買うなら岩手のもの総合サイト」ホームページの立ち上げ、特別販売等のキャンペーン、オンラインストアでの「バーチャル物産展」などを行っています。

 昨年6月19日には、観光リスタートとして、「いわての新しい観光宣言」を行いました。

 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、岩手県における日本人の宿泊者数は、昨年9月に前年同月比で9割程度まで回復し、全国で山口県に続き第2位になりました。10月には前年同月比で約3%の増加、10月の岩手の日本人宿泊者数は、一昨年より去年の10月の方が多くなりました。3%増え、103%。全国第4位の数字になっています。

 こうしたことから、全国的にも、岩手県的にも、感染者数が少ない状況を作れば、コロナ以前並みの宿泊者数を実現することはできます。県民による岩手県内での宿泊などを中心とした消費喚起策に引き続き取り組むこととしており、また、今、全国一斉に「Go Toトラベル」事業が停止されていますが、県や東北、今だと北東北という単位が良いのかもしれませんが、そういった地域ごとに、段階的に「Go To」を再開するというようなことを、国に要望しているところです。

 それから、飲食店への個別訪問による感染予防等アドバイスということも行っています。岩手の流行状況が深刻ではないからできることではありますが、県の広域振興局職員が、市町村職員や商工団体の職員の皆さんと一緒になって、飲食店をまわって歩くということを行っています。東京や大都会であれば、まわって歩くこと自体にリスクがあるので行えないと思いますが、感染対策の徹底や、職員がまわって歩くことにより飲食店に入っても良いという雰囲気、人が通る雰囲気を作れればというようなことも考えて、行っているところです。

 

《万全な感染対策の下でのイベント開催》

 10月3日、4日には、岩手産業文化センターアピオで、「ゆるキャラグランプリ」の全国大会が行われ、約1万4千人の方々が来場し、感染者の判明はなしという結果でした。

 10月26日、27日には、大船渡市で「三陸国際ガストロノミー会議2020」を開催し、フランスの三つ星シェフ、ピエール・ガニェールさんに海外からリモート出演していただき、国内メンバーのリアルイベントと組み合わせて、コロナ禍でも国際的なイベントができるということを示すことができました。

 

《DXによる新しい「働き方」「暮らし」「学び」を進める主な対策》

 DX、デジタル・トランスフォーメーションで、新しい「働き方」「暮らし」「学び」を進めようということもあります。

 新型コロナウイルス感染症対策とこれからの地域のあるべき姿は方向性が一致しており、「働き方」におけるテレワークの導入、デジタル化を推進するICTアドバイザーの派遣、「暮らし」におけるドローンを活用した物流システムの構築、「学び」における遠隔授業などを進めています。

 

《いわて県民計画(2019~2028)》

 新型コロナウイルス感染症対策の章の最後に、岩手県の総合計画「いわて県民計画(2019~2028)」との関係についてお話しします。

 県民計画の基本目標は、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」です。

 新型コロナウイルスの流行が、「分散型社会=東京一極集中ではないこと」の重要性や地方の暮らしやすさを広く認識させる契機となっており、このような考えは、豊かな自然などの岩手の良さと先端技術の活用を組み合わせて、地方の暮らしや仕事を起点とする政策を推進し、県民の幸福度を高めようという県民計画と軌を一にするものです。

 「幸福を守り育てる」という方向性は、新型コロナウイルス感染症対策やポストコロナ社会で目指す方向とも一致していると考えており、この県民計画の基本方向を変えなくても良いと考えています。

2 東日本大震災津波からの復興10年

 第2章、「東日本大震災津波からの復興10年」です。

 岩手県は、発災直後の平成23年4月、「復興の基本方針」を策定し、2つの原則として、「被災者一人ひとりの幸福追求権を保障すること」、「犠牲者の故郷への思いを継承すること」を掲げました。

 8月、復興計画が議会で承認され、「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を目指す姿に掲げました。

 「いわて県民計画(2019~2028)」においても、復興を、引き続き県政の重要課題と位置付けています。

 発災直後からこれまで、私たちは、「誰一人取り残さない」ということを念頭に置いて、復興に取り組んできましたが、2015年に国連で採択されたSDGs・持続可能な開発目標に同じ理念があり、私は、これは私たちの復興の理念と同じであると思いました。

 考えてみると、復興というのは、一種の「開発」であると言えると思います。「災害後の開発」ということで、「post-disaster development、災後開発」と言っても良いと思います。中でも、東日本大震災津波からの復興は、「高度災後開発」と呼ぶべきものと言えるでしょう。今年の3月11日に向けたマスコミ共同インタビューにおいて、私は、この10年間を一言で言い表すならどう言うかと問われ、「高度災後開発による希望復興」と答えました。

 「開発」と言いますと、「デベロッパー」という言葉もあるように、「土地の開発」を真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、国際的な経済協力の分野など、「人間の開発」を中心に、「土地の開発」、「社会の開発」、「経済の開発」、「環境の開発」などと整理できます。「開発」というものは、総合的なものだということです。その中心にあるのは人間であって、「人間の開発、human development」が開発の中心になるということです。

 もともとは、先進国による発展途上国への経済協力、開発援助とも言いますが、そういう枠組みでしたが、先進国・途上国・その中間の国々も含め、万国共通の枠組みに広げ、その中で、先進国内の課題にも向き合い、先進国・途上国の共通のプラットフォーム上で、民間企業や個人が参画しやすいようにしようとしたのがSDGsです。

 持続可能な開発目標。開発という概念を広げてできたものがSDGsであり、そこに、先進国における大規模災害からの復旧・復興、東日本大震災津波からの復興というものをうまくはめ込むことができることに、私は最近、気が付きました。

 SDGsでは、17の目標・GOALSを掲げていますが、岩手県における東日本大震災津波からの復興も、この17の目標に向かう形になっています。

 

《目標1[貧困]・目標2[飢餓]》

 まず、目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」です。

 これは、発災直後の「避難者の安全と健康の確保」が当てはまります。

 津波で家屋が破壊され、最大5万4千人の方々が避難しました。着の身着のままで避難されたわけでありまして、水、食料品、衣服、毛布などの生活物資、医薬品などが必要になり、食料品の調達や生活物資の輸送が大きな仕事になりました。

 食べ物も、炭水化物ばかりに偏らないよう、栄養バランスやカロリー量なども考えて食事を提供する必要がありました。

 「衣」、「食」に「住」ということで、応急仮設住宅の建設もここに含まれます。

 

《目標3[保健]》

 目標3「すべての人に健康と福祉を」です。

 これは、被災地における「こころと体のケア」が当てはまります。

 被災した3つの県立病院の再建、集会所等を活用した健康相談等の実施や「こころのケアセンター」による一人ひとりに寄り添ったこころのケア、「いわてこどもケアセンター」による沿岸地区への巡回診療、地域の支援者への研修等がこれに当たります。

 

《目標4[教育]》

 目標4「質の高い教育をみんなに」です。

 被災地の子どもたちの「教育の確保」、そして、県内全ての子どもたちへの「復興教育」が当てはまります。

 沿岸部の公立学校施設は、平成30年に、被災した86校全ての校舎の復旧が完了しました。

 被災地の子どもたちの「暮らし」と「学び」を支援する「いわての学び希望基金」には、100億円を超える御寄附をいただき、児童・生徒等の修学を支援しています。

 復興・防災教育は、全ての公立小・中学校、県立高等学校、特別支援学校で「いきる」、「かかわる」、「そなえる」の3つを主要なテーマとした「いわての復興教育」プログラムを実施しており、来年度は未就学児にも拡充していく予定です。

 

《目標5[ジェンダー]》

 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」です。

 これは「女性の意見を反映できる復興推進体制の構築」が当てはまります。

 実は、岩手は、結構、このジェンダー平等に気を付けながら復興を進めてきました。

 まず、復興計画の策定において、女性を始め多様な意見を集約するため、平成23年7月以降、岩手大学の男女共同参画推進室長、菅原悦子先生ですが、女性の有識者と意見交換会を開いて、計画の内容や推進に生かしてきました。平成26年には、漁協、NPO、被災地にIターンした方など、様々な分野で活躍する女性を委員とする「女性参画推進専門委員会」を設置して、様々な提言を頂いております。

 さらに、被災地で起業や新たな事業の展開を総合的に支援する事業を、152人がこれまでに活用し、そのうち半数が女性・若者で、アパレルデザイン事業のブランド展開やゲストハウス開業などを、女性・若者の皆さんが行っています。

 

《目標6[水・衛生]》

 目標6「安全な水とトイレを世界中に」です。

 発災直後の被災地での「衛生環境の確保」が当てはまります。

 震災直後から、関係機関の協力を得て、避難所への飲料水搬送や仮設トイレ設置、自宅避難者への給水支援、仮設処理施設設置による下水処理など、被災地での衛生環境の確保に取り組みました。

 しかし、慢性的にトイレが不足した避難所もあり、特に、女性や子ども、障がい者、高齢者が不便を多く感じていたという調査結果もありました。

 そこで、県では、平成26年に「岩手県災害備蓄指針」を策定して、飲料水やトイレなど、被災者の生活を支えるために必要な物資の備蓄について対策を講じています。

 

《目標7[エネルギー]》

 目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」です。

 これは、「発災直後の停電からの復旧」、また、被災地における「再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの導入」が当てはまります。

 発電所や変電所等の被災により、発災直後から県内全域の約76万戸が停電し、全ての復旧が完了したのは5月28日でした。

 そこで、復興に当たっては、停電時でも一定の電力を賄う自立分散型のエネルギー供給体制を確立しようということで、再生可能エネルギー設備を、被災地の市町村等の防災拠点や避難所に指定されている庁舎、学校、病院等の計467か所に、最大出力合計3,000kw相当の再生可能エネルギー関係の設備を導入しました。

 

《目標8[経済成長と雇用]》

 目標8「働きがいも経済成長も」です。

 これは、被災地における「なりわいの再生」が当てはまります。

 グループ補助金により、213グループ、1,570者、918億円が支援されています。

 「キャッセン大船渡」、「アバッセたかた」など、かさ上げした新市街地に大型商業施設も開業しています。

 

《目標9[インフラ、産業化、イノベーション]》

 目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」です。

 インフラがこれに入りますので「復興道路」、また、「ILC」や「産業イノベーションの推進」などもここに入ります。

 復興道路は、仙台-八戸間が、震災前7時間35分から4時間25分に、3時間10分短縮になるということで、かなり時代を画する事業と言うことができます。

 新たな物流も可能になり、復興道路と新幹線を組み合わせた鮮魚輸送で、ウニなど魚介類を素早く東京の店舗に並べることが可能となっています。

 ILC国際リニアコライダーは、科学研究施設ですが、周辺への効果として、産業と技術革新の基盤でもあります。

 産業イノベーションの推進としては、地元経済団体と協力して、被災地におけるリーダー人材の育成などを進めています。

 

《目標10[不平等]》

 目標10「人や国の不平等をなくそう」です。

 バブル崩壊後の経済悪化とともに、日本でも格差の問題、貧困の問題がクローズアップされていますが、例えば、「被災者の適正な医療等を受ける機会の確保」、「経済的負担の軽減」といったところに、この「不平等をなくそう」という目標の方向性と一致するものがあると思います。

 国民健康保険に加入している被災者の方々の一部負担金免除、これは、岩手県では、国の支援が終了した以降も継続して実施してきました。

 応急仮設住宅等での不自由な生活が長期化する中、福祉灯油として、低所得者世帯に対し、沿岸市町村と連携して継続して実施しているところです。

 

《目標11[持続可能な都市]》

 目標11「住み続けられるまちづくりを」です。これは、復興の核心部分でもあります。

 「安全の確保、暮らしの再建」関係の復興事業がここに当てはまります。

 防潮堤等の海岸保全施設などのハードに加え、避難対策などのソフト施策も絡めた多重防災型まちづくり。特に、水門・陸こうについては、閉鎖作業を行っていた消防団員の方々が津波で多く犠牲になったこともあり、「水門・陸こう自動閉鎖システム」の整備が大きなテーマになっています。

 まちづくり、宅地供給なども、全箇所完成しています。

 応急仮設住宅等の入居者は、ピーク時で43,738人でしたが、今月中に全員が恒久的住宅に移行する見込みです。災害公営住宅は、内陸部も昨年12月に完成し、全て完了しました。

 恒久的な住宅に移った後は、新たなコミュニティ形成ということが課題になりますので、今後もしっかり取り組んでいきます。

 

《目標12[持続可能な消費と生産]》

 目標12「つくる責任つかう責任」です。

 これはリサイクルで、「災害廃棄物の再生利用」です。

 東日本大震災津波で、岩手県においては、一般廃棄物14年分の618万トンもの災害廃棄物が発生しました。

 県外の自治体にも協力をお願いし、3年間で災害廃棄物の処理を完了しましたが、総量の88%を復興資材やセメント原燃料などにリサイクルしたところです。

 

《目標13[気候変動]》

 目標13「気候変動に具体的な対策を」です。

 「再生可能エネルギー資源の活用」がここにも入りますし、また、最近、特に活発化してきた「温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロに向けた取組」、ゼロカーボンの取組がここに入ります。

 北いわて、岩手県北と沿岸北部と、一部盛岡広域、葛巻町ですが、それらの9市町村が、令和元年2月、横浜市と「再生可能エネルギーに関する連携協定」を結び、また、「北岩手循環共生圏」を結成して、再生可能エネルギー振興に取り組んでいます。

 洋上風力発電も、洋野町沖に良い場所があり、また、久慈市沖にもあります。

 先月17日には、県として、「いわて気候非常事態宣言」を出し、今開会中の議会に提出している「第2次岩手県地球温暖化対策実行計画」に、国の目標を上回る目標を掲げ、「温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロ」に向けて取り組んでいきます。

 さらに、気候変動への対策には、既に変動が始まっている異常気象への対応も含まれており、震災以降の平成28年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害、これに対する復旧・復興の取組もまた、目標13「気候変動に具体的な対策を」の一環であると言えます。

 

《目標14[海洋資源]》

 目標14は「海の豊かさを守ろう」です。

 「水産業の復興」がこれに当てはまります。

 

《目標15[陸上資源]》

 目標15は「陸の豊かさも守ろう」です。

 「農林業の復興」がこれに当てはまります。

 

《目標16[平和]》

 目標16には「平和と公正をすべての人に」が掲げられています。

 復興と平和に関係があるのかと思われるかもしれませんが、昨年度の「いわて三陸復興フォーラム」において、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんに基調講演をしていただきました。

 安田さんは、シリアの写真、シリアの難民の写真を多く撮っていることや、陸前高田市を中心に、震災と復興の写真を多く撮っていることで有名ですが、シリアの内戦の状況を、陸前高田市内の仮設住宅に住むおばあさんたちに話したところ、そのおばあさんたちが、シリアの子どもたちが冬を越えられるよう、衣類を集めて、丁寧に仕分けして、梱包して送るということが行われたという話を紹介していただきました。

 実は、復興と平和の問題がつながっているところがあるということです。

 

《目標17[実施手段]》

 目標17、最後の17番目のゴールは「パートナーシップで目標を達成しよう」です。

 岩手県ではこれまで、多様な主体に参画いただく「開かれた復興」を行ってきていますので、多くのことが目標17に含まれます。

 岩手の企業、全国の企業、団体、NPOにも大いに活躍していただいての復興10年でした。

 「開かれた復興」を進めていくためには、事実・教訓の伝承が大事であり、県議会で、今議会において、一人ひとりの大切な人に想いを寄せ、ふるさと岩手を築いていくことを誓う「東日本大震災津波を語り継ぐ条例」が制定されました。

 陸前高田市に作った「東日本大震災津波伝承館」は、事実・教訓の伝承の中心の一つとして、活用が期待されます。

 復興情報発信としては、「いわて復興未来塾」、「いわて三陸復興フォーラム」のように、県内あるいは県外で、復興に携わる人と人をつないでいく、ネットワーキングのような形で、情報を発信するということを行ってきました。

 大きなイベントでの復興の様子と感謝の気持ちを発信することについては、2019年の「三陸防災復興プロジェクト」、そして、「ラグビーワールドカップ2019TM岩手県・釜石市開催」がありました。

 今年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が、そのような機会として期待され、4月1日からは「東北デスティネーションキャンペーン」が予定されています。11月には釜石市で「防災推進国民大会2021」が予定されています。

 

《未来に追いつく復興》

 岩手県では、10年かけて10年前の姿に戻すのではなく、10年後のあるべき未来の姿、未来に追いつく復興、過去に戻る復興ではなく、未来に追いつく復興をやろうということで進めてきました。このことも、ビルド・バック・ベター―より良い復興と訳していますが、「第3回国連防災世界会議」で採択された「仙台防災枠組2015-2030」に、理念として示されました。

 復興も開発の一種であり、SDGsの一環であるという視点、SDGsと仙台防災枠組も結び付いており、SDGsの目標11のターゲットの中に、仙台防災枠組に沿った取組が掲げられています。

 復興もSDGsの一環だという視点を持つことで、岩手の復興について、外国や国際機関、あるいは民間企業などと議論したり、協力したりしていくことに役立つと考えています。

3 ふるさと岩手

(1)地元志向・地方志向の高まり

 第3章、「ふるさと岩手」です。

 新型コロナウイルスの流行と、東日本大震災津波からの復興10年で、「ふるさと岩手」がどうなるのかということです。

 

《地元志向の高まり》

 地元志向の高まりがあります。

 東北地方太平洋岸は、もともと人口減少が著しく、そこに東日本大震災津波が起きて、人口減少が加速しているとよく言われますが、5年ごとに行われている国勢調査の、2005年から2010年と、2010年から2015年を比較しますと、岩手県全体で、震災前5年間の人口減少率よりも、震災の2011年を含む5年間の人口減少率の方が低くなっています。

 沿岸地域においては、実数では震災前5年間の人口減少率を、震災を含む5年間の人口減少率が上回っていますが、東日本大震災津波がなければと仮定する、即ち、お亡くなりになった方と行方不明者の方々の数が失われなかったものとして、これを実数に加えますと、5年間の人口減少率は6.0%となって、県全体の人口と同様、震災前よりも減少が抑えられていることになります。

 この復興10年で、岩手沿岸の人口が大きく減ったとよく言われますが、そこには亡くなった方、行方不明になった方の数字も入れられていまして、それは復興プロセスで亡くなったわけではありませんで、その方々の数を除外して計算すると、震災前の5年間の方がより人が減っていたということが分かります。

 そして、県内就職者の増加です。岩手の高校生の県内就職率は、東日本大震災津波発災前の平成23年1月末現在に55.9%でしたが、今年3月卒業予定者では71.0%にまで増えています。

 岩手に対する県民の愛着度の高まりです。これは、ブランド総合研究所が調査した結果で、岩手県は、一昨年36位から去年4位に上昇したというデータです。ブランド総合研究所では、岩手が、コロナ禍で感染者ゼロを最も長く維持したことが国内外から広く注目され、予防策を素直に受け入れ、真面目に取り組むなどの岩手県、岩手県民の良さを再認識したことによるものと分析しています。

 

《地方志向の高まり》

 地方志向の高まりに関する調査結果です。

 内閣府の調査によると、東京23区に居住する20代の4割弱が地方移住への関心が「高くなった」、「やや高くなった」と回答しています。

 大正大学地域構想研究所が同様のアンケート調査を行って、「コロナ禍前より地方移住への関心が高まった」という人が18%、引き続き持っている人と併せると5割を超える割合になっています。

 そして、一昨年と去年の、7月から1月までの、岩手県と東京都の人口の社会増減の数ですが、逆転現象が起きています。

 コロナ禍で、岩手県では、社会増、岩手県への転入超過が、月ごとにプラスに転じており、7か月連続で増えています。東京都は、逆に、7か月連続でマイナスになり、前の年よりも減っているということが起きています。

 

(2)若年女性の東京圏への転出

 しかし、良いニュースばかりではありません。岩手への移住・定住を増やす、また、岩手で働き、岩手で暮らす若い人を増やす、そういった視点から、「若年女性の東京圏への転出」という問題があります。

 18歳進学・就職期、22歳前後の就職期に、女性が県外に出てしまうということが顕著になっています。

 

《転出する理由》

 22歳前後の女性が多く転出する理由を分析して、対策を講じることが岩手にとって非常に重要です。

 考えられる理由の第一が、就職先の「待遇の違い」です。

 岩手県内の大学等で資格を取得した若年女性が、卒業後、収入など待遇が良い就職先が多く存在する、東京を始めとする大都市圏に転出してしまうということが指摘されています。

 内閣官房が、東京圏に転入した若者に対し、「東京圏の仕事を選ぶに当たって重視したこと」を尋ねた調査結果から、女性の回答項目上位4位を抜粋したものを見ると、約65%の女性が、「給与水準」や「自分の関心事に近い仕事ができること」を、東京圏を選んだ理由に挙げています。それから、「企業の業種」、「1都3県で仕事をすること」と続いています。

 「1都3県で仕事をしたかったから」という理由は、要は、都会で仕事をしたかったからということですので、次に、「都会への憧れ」という見出しを付けてみました。

 テレビドラマで取り上げられるような人気のある業種の企業に就職するため、東京を始めとする大都市圏へということが推測されます。

 就職情報会社のマイナビが昨年度、地元就職を希望しない大学卒業予定者にその理由を尋ねた調査結果では、「都会の方が便利だから」、「地元には志望する企業がない」というのが主な理由になっています。オープンワークという調査会社が公表している「働いていて満足度の高い会社の総合評価ランキング」では、「コンサルティング、シンクタンク」と、「インターネット」が上位5社を占めています。ダイヤモンド・ヒューマンリソースによる「就職人気企業ランキング」では、文系女性・理系女性で、「総合商社」と「生保、損保」が上位を占めています。

 首都圏に就職する理由の3つ目として考えられるのが、「地方における男女の役割分担意識」です。

 先ほど紹介した3つの調査から、「地元就職しない理由に『地元や親元を離れたい・離れたかった』と回答した女性の割合」を抜き出すと、いずれの調査でも3割弱くらいになっています。

 去年、国土交通省が「企業等の東京一極集中に関する懇談会取りまとめ」として「男女の役割分担意識に関する女性の意識」の調査結果を公表しました。東京圏以外から東京圏に転入した女性は、それ以外の女性と比べ、地元の人たちは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」と考えていると回答する人が48%に達しています。

 この国土交通省の調査取りまとめをきっかけとして、岩手県において、先月、「いわて女性の活躍促進連携会議」及び「いわてで働こう推進協議会」で、「性別による固定的な役割分担意識をなくそう岩手宣言」が採択されました。一人ひとりが尊重され、誰もが参画できる社会の実現を目指し、「住みたい、働きたい、帰りたい」と思える岩手をつくるため、性別による固定的な役割分担意識を岩手からなくしていくことを宣言したものです。

 なにげない女性差別や、なにげない女性蔑視というものが、大変良くないということが、東京オリンピックとの関係で、最近、全国的な話題になっていますが、なにげない問題発言や、なにげない問題行動、なにげない問題習慣を防がなければなりません。これらを防ぐには、やはり、性別の問題に自覚的になることが大事です。

 女性、若者、高齢者、障がい者、外国人など、女性に限らずですが、企業におけるダイバーシティ経営が求められています。女性、さらに若者、高齢者、障がい者、外国人等、あらゆる人が能力を最大限に発揮することができる環境整備の推進、これを進めていく必要があるということをよろしくお願いしたいと思います。

 

《対策》

 若い女性に岩手県内で就職してもらうための対策ですが、まずは、岩手の良いところを知ってもらうということで、岩手の生きがい・働きがい、岩手の良さの発信が求められます。

 「いわてダ・ヴィンチ2021」では、そのような岩手の魅力を総合的に発信しています。県内の企業で働き、輝く若手にスポットを当てたPR動画も制作しています。多くの若手女性社員に登場していただき、ものづくりやIT、食料品製造の分野ごとに、総務、営業、生産管理等、女性が活躍できる職場が多くあることを紹介しています。

 大学等を卒業後、県内企業に一定期間就業した場合に奨学金の返還を支援する「いわて産業人材奨学金返還支援制度」があります。

 それから、移住支援金というものがあります。東京23区に居住・通勤していて、移住してくる方に対し、国が支援金を出していますが、東京23区からに限られていますので、加えて、首都圏の1都3県に居住・通勤していて、そこから移住してくる方々に対し、県独自の支援金を拡大、上積み交付すべく、必要な予算を今開会中の県議会に提出しています。

 

(3) 地方創生・ふるさと振興の推進・強化

 最後に、地方創生・ふるさと振興の推進・強化についてです。

 国の地方創生の計画である、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略・2020改訂版」において、新型コロナウイルス感染症が都市部を中心に拡大したこともあり、東京圏などへの人口集中のリスクが改めて浮き彫りになり、地方への移住や就業に対しての国民の関心が高まるとともに、東京圏から地方へのひとの流れが見られるようになっており、地方創生の観点から、今後こうした動きを持続的なものにすることが重要であると記されています。

 国の地方創生の正式文書にそう書いてあるということです。

 岩手県の地方創生計画の最新版が、「第2期岩手県ふるさと振興総合戦略」です。

 新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災津波からの復興に取り組みながら、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」、「岩手とつながる」の4本柱を強力に進めていきたいと思います。

 

《特に注力していく取組》

 若い世代に、岩手で暮らし、岩手で働いてもらえるよう、ライフステージに応じた若者への住宅支援に力を注いでいきます。

 市町村の「空き家バンク」と連携し、市町村と研修の場を設け、空き家バンクを活性化させる事業や、「空き家バンク」を活用して住宅を取得しようとする方に、最大30万円の支援を予定しています。

 また、盛岡、北上、奥州など4団地の県営住宅の空き住戸に、Wi-Fiなどを整備し、安価な家賃で若者が入居できる仕組みを予定しています。

 ちなみに、市町村でも、住宅支援施策が非常に進んでおり、北上市は、「きたかみ就労支援共同建設等促進プロジェクト」として、約1,000戸の賃貸住宅が新たに整備されています。東芝メモリ、キオクシアなどの進出等もあり、北上市には一度に1,000戸の新しい賃貸住宅が出来ています。盛岡市においても、JR東日本盛岡支社と連携し、盛岡駅西口に単身者向け賃貸マンションの建設などによる地元就職の活性化が進められています。

 移住・定住、関係人口の拡大は追い風になっていますので、力を入れていきたいと思います。 

 「いわてで働こう推進協議会」における取組は、岩手での地方創生の中核となっており、さらに力を入れていきたいと思います。

おわりに

 県の総合計画の基本目標は、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」です。

 「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」というのは今、「新型コロナウイルス感染症低リスク県」であり、また、復興を通じて「SDGs先進県」にもなっています。

 これは、若者や女性が「住みたい、働きたい、帰りたい」と思える岩手にしていくチャンスでもあります。

 そのためにも、「オールいわて」で、新型コロナウイルス感染症対策の徹底と東日本大震災津波からの復興の推進などに、さらに取り組んでいくことが重要ですので、よろしくお願いいたしまして、私からの話を終わります。

 ありがとうございました。

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