版画（平成21年7月7日から10月15日まで展示）

第9回全国高等学校版画選手権大会「はんが甲子園」優秀賞
「笛を吹く」（縦71センチ×横55センチ）
岩手県立盛岡第一高等学校　3年（作成時2年）　千葉　成美　さん

作者コメント

私はこの作品からどこか懐かしい、暖かい雰囲気を感じられれば良いなと思いながら制作しました。描かれているのは、小屋の中に薪ストーブがあって周りには割られた薪が積み重ねられ、上には手袋が干されていたりと、生活感漂う中で男の子が笛を吹いている様子です。今ではなかなか見られない光景ではないでしょうか。しかし、実は私の家の裏に今もこのようにあるのです。小屋は私の思い出の場所です。
冬になると、祖父母が朝に薪ストーブで暖をとり、新聞を読んでいる所へ私や兄弟がよく入って行き暖まりました。外に出ては雪を取ってきて、ストーブの上にのせ「ジュワーッ」という音を聞いて遊んでいました。じゃっこ焼きをして食べたこともありました。
私はそのような暖かい思い出を形に残したいとずっと思っていて、木版画ならばその暖かい感じが出ると確信したので、今回絵にしました。作品が出来て、何よりも嬉しかったのは祖父母がとても喜んでくれたことです。
私のこの作品をご覧になった方々にも何か、少しでも懐かしさや暖かさを、人によっては新鮮さを感じていただければと思います。