農地Q&A
農地法の目的・定義に関する相談
農地法はどのようなことを規定しているのですか?
農地法は、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的として、次のような事項を定めています。
- 耕作目的の農地等の権利移動の制限(第3条)
不耕作目的での農地の取得等望ましくない権利移動を規制し、農業者等の生産性の高い経営体によって利用されるように、農地等の所有権移転、賃借権の設定について、市町村の農業委員会の許可等を要します。 - 農地転用の制限(第4条、第5条)
住宅等の無秩序な立地による農業環境悪化の防止、農地の農業上の利用と農業以外の土地利用との調整を図るため、農地の転用又は農地の転用のための権利移動については、都道府県知事又は指定市町村の長(4ヘクタールを超える場合は農林水産大臣が必要)の許可が必要です。 - 賃貸借契約の解約制限(第16条から第18条)
賃借人を保護するため、農地の賃貸借契約の解約等をする場合には、都道府県知事の許可(本県では市町村に許可権限を移譲)が必要です。ただし、合意解約や10年以上の定期賃貸借の更新拒絶等の場合は許可が不要です。 - その他
以上のほか、遊休農地に関する措置の規定があります。
農地法上の「農地」、「採草放牧地」とはどのようなものですか?
農地法では、「農地」「採草放牧地」を規制の対象としています。
- 「農地」
『耕作の目的に供される土地』とされています。「耕作」とは土地に労費を加え、肥培管理を行って作物を栽培することです。言い換えると、耕耘、播種、施肥、農薬散布等を行い作物が栽培されている土地のことです。田、畑はもちろんのこと、果樹園、苗圃、牧草採草地、わさび田等も農地にあたります。 - 「採草放牧地」
『農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの』とされています。「採草」とは堆肥、飼料、敷料にする目的等での採草のことです。
農地の転用に関する相談
農地の転用とはなんですか?
農地を農地でなくすことです。すなわち、農地を住宅、店舗、山林などの用地に転換することです。
なぜ許可が必要なのですか?
農地は、国民の食料を生産する基盤であり、耕地の少ないわが国では、優良農地を確保するとともに最大限効率的に利用し、合理的な土地利用と安定的な食料の供給を図っていくことが必要です。
このため、農地の転用または転用のための権利移動については、農地法で一定の規制が設けられています。
対象となる農地はどのようなものですか?
すべての農地が転用許可の対象となります。この場合、登記簿上は農地でなくても現在農地として使用している土地も含まれます。
また、今は荒廃していても農地として農地台帳に登録されている農地も含まれます。
一時的に資材や車を農地に置く場合も農地転用は必要ですか?
農地を一時的な資材置場、現場事務所などとして利用する場合も転用となり、許可が必要です。
許可なく転用した場合はどうなるのですか?
許可なく転用した場合や、転用許可を受けた事業計画どおりに転用していない場合等は農地法違反となり、工事の中止や原状回復等の命令がされる場合があります。
罰則が課せられることもあります。
農地の売買や賃貸借に関する相談
耕作目的で農地を買ったり借りたりする場合にも許可が必要ですか?
耕作目的で農地を売買又は賃貸する場合は、農地法第3条により農業委員会の許可を受ける必要があり、これらの許可を受けないでした売買(賃借)は効力が生じないことになっています。
なお、農業経営基盤強化促進法に基づく権利の設定、移転を行う場合には農地法に基づく許可は不要です。
新たに農業を始める場合、何か制限はありますか?
サラリーマン等の非農家が新たに農業を始めるため、農地を買ったり又は借りたりする場合にも、農家が取得する際と同様に、農地法第3条の許可が必要です。
許可にあたっては、サラリーマンであるという理由によって許可されないということはありませんが、農業経営の実現性について十分検討する必要があります。
法人の農地取得に関する相談
法人も農地を取得することは認められるのでしょうか?
農地所有適格法人以外の法人が耕作目的で農地を取得しようとする場合には、原則として、農地法第3条の許可をすることができません。
農地法上、耕作目的での農地の取得が認められている「農地所有適格法人」とは次の要件を備えたものです。
- 法人形態要件:農事組合法人、合資会社、合名会社、合同会社、株式会社(公開会社でないものに限る。)であること。
- 事業要件:主たる事業が、農業及びその事業に関連する事業であること。
- 議決権要件:農業者や農業関係者の議決権が総議決権の2分の1を超えていること。
- 役員要件:役員の過半が、法人の行う農業に常時従事する構成員であること。
役員又は重要な使用人の1人以上が法人の行う農作業に従事すること。
一般の株式会社やNPO法人なども農地を取得して、農業を始めることはできますか?
平成21年の農地法等の一部を改正する法律の施行により一般の株式会社やNPO法人など農地所有適格法人以外の法人も次の条件を満たせば、農地法第3条第1項の許可を受け、農地等に賃借権(賃地貸借、使用貸借)を設定して、農業参入できるようになりました(所有権の取得はできません)。
- 農地の権利取得後、適正に利用していない場合に使用貸借権又は賃借権を解除する旨の条件が書面による契約に付されていること
- 権利を取得しようとする者が地域の他の農業者と適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業を行うと認められること
- 法人の業務執行役員のうち1人以上が耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること
なお、この場合の許可には、使用貸借権又は賃借権の設定を受けた者が毎年、その農地等の利用状況について農業委員会(許可権者)に報告しなければならない旨の条件が付されます。
国有農地に関する相談
隣接する農林水産省(農林省)名義の土地の境界確定、買受けを希望したいのですが?
登記事項証明書(登記簿)に下記の記載がある場合には、戦後間もなく行われた農地改革や、開拓事業及びその後自作農創設などのために国が買収した土地である可能性が高いので、境界確定の立会や買受け等を希望する場合には、当該土地が所在する広域振興局農政(林)部に相談してください。
- ア表題部:「自農法による買収嘱託書綴込帳第○○冊第○○○丁」
- イ甲区欄:「原因 昭和○○年○○月○○日
自作農創設特別措置法(又は農地法)第○○条の規定による買収
所有者 農林省
昭和○○年○○月○○日記載
土地買収嘱託書綴込帳第○○冊第○○丁」
農地の相続や贈与に関する相談
農地を相続する場合、農地法による許可は必要ですか?
遺産相続により農地を取得する場合は、農地の売買等とは異なり、許可は必要ありませんが、その農地の所在地の農業委員会に届出をする必要があります。
詳しくは、農地の所在地の農業委員会にお問い合わせください。
なお、令和6年4月1日より、土地を相続した場合の相続登記の申請が義務化されています。
農地を贈与する場合又は贈与を受ける場合、許可は必要ですか?
農地を贈与する場合は、たとえ親子間であっても許可が必要です。
農地をめぐる税に関する相談
農地の所有、売買により課税される税はどのようになっていますか?
農地を所有している場合は、一般の土地と同様、固定資産税や都市計画税が課税されます。
また、農地を売買した場合は、これも一般の土地と同様に、所得税や住民税や不動産取得税が課税されます。
なお、農業経営基盤強化促進法の農用地利用集積計画等により売った場合や、買入協議により農地中間管理機構に売った場合等は、譲渡所得の特別控除が認められるなど課税の特例が適用されることがありますので、詳細については、税務署又は市町村にお尋ねください。
農地の相続や贈与に伴う課税はどうなっていますか?
農地を相続や贈与によって取得した場合は、一般の土地と同様、相続税や贈与税などが課税されますが、相続等による農地の細分化を防ぐため、相続税の納税猶予制度や生前一括贈与を受けた場合の納税猶予制度など、特例措置が設けられていますので、詳細については、税務署又は市町村にお尋ねください。
市民農園に関する相談
市民農園を利用したいのですが?
市民農園を利用するには
- 開設者が市町村の広報などで利用者を募ります。
- 利用を希望する人は開設者に申し込みをします。
- 利用者として選考されたら開設者と利用契約を締結し、利用が始まります。
利用についての相談は、市町村の市民農園担当窓口または、市民農園開設者にお問い合わせください。
自分の農地又は他人の所有している農地で市民農園を開設することはできますか?
市民農園を開設するには、特定農地貸付法、市民農園整備促進法に基づく方法と、法律の規制を受けない農園利用方式で開設する方法があります。
特定農地貸付法に基づく方法とは、農地法の特例が受けられる方法で、農地を所有している方は市町村と貸付協定の締結が必要です。
また、農地を所有していない方の場合は、市町村等から農地の使用貸借による権利又は賃借権の設定を受ける必要があります。
市民農園整備促進法に基づく方法とは、「市民農園の整備に関する基本方針」を定めた市町村が指定した市民農園区域等で開設する方法で、整備運営計画を作成し市町村から認定を受ける必要があります。
農園利用方式とは、農業者(農地所有者)が自らの農業経営の一環として開設した農園に、利用者が農作業の一部を行うために入場するという方式です。
(注)農地を持たない一般株式会社やNPO法人あるいは個人の方でも、市町村や農地保有合理化法人から農地を借り受けて、市民農園の開設主体となることができます。
この方法による市民農園の開設については、市民農園整備に対する個々の市町村の考え方や地域の実情により対応に違いがありますので、関係する市町村と十分な調整が必要です。
その他
現況が宅地等農地以外で、登記簿上の地目が「田」又は「畑」となっている土地の所有権移転等をする場合はどうすればいいのでしょうか?
土地登記簿上の地目が「田」又は「畑」となっている土地について、所有権移転等の登記をしようとする場合には農地法の許可指令書を添付しないと登記ができないことになっています。
しかし、現況が宅地等農地以外の土地である場合には、農地法の許可は必要ありませんので、あらかじめ登記簿の地目を農地以外のものに変更しなければなりません。
農地法適用外証明というのは、このような地目変更の登記申請の際に添付するものです。
農地法適用外証明については、当該土地が所在する市町村の農業委員会にお尋ねください。
農地の競売に参加するには、どのような手続きが必要でしょうか?
農地の競売の場合には、最高価買受申出人が決まっても、その者が農地法の許可を受けられなければ所有権を取得することができません。
したがって、買受けの申出ができる者を買受適格証明書を有している者のみに限定する取扱いがされています。
耕作目的の取得については市町村の農業委員会、転用による取得については市町村の農業委員会又は広域振興局農政(林)部まで相談してください。
このページに関するお問い合わせ
農林水産部 農業振興課 農地調整担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5645 ファクス番号:019-629-5649
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