農地の権利移動

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ページ番号1007802  更新日 令和5年4月3日

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国土が狭く、かつ森林が3分の2を占める我が国においては、食料の安定的な供給を図るためには、優良な農地を確保するともに、それを最大限効率的に利用する必要があります。

このような観点から、農地法は、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的として、不耕作目的での農地の取得等望ましくない権利移動を規制しています。

農地が農業を主業とする者等の生産性の高い経営体によって効率的に利用されるように誘導するため、農地又は採草放牧地の所有権移転、賃借権の設定等の機会を捉えて、特別な場合を除き、農地法に基づく市町村農業委員会の許可を受ける必要があります。

農地又は採草放牧地の売買、賃貸借には許可が必要

一般的に土地の売買は、売主と買主が売買契約を締結し、買主が代金を支払って土地の所有権を取得します。
しかし、耕作目的で農地又は採草放牧地を売買又は賃借する場合においては、農地法第3条による許可を受ける必要があり、許可を受けないでした売買(賃借)は効力が生じません。

したがって、契約を締結し対価を支払ったとしても、許可指令書がないと所有権移転登記ができませんし、農地法第64条により罰せられることがあります。

許可の基準

農業委員会は、農地法第3条第2項に基づき許可又は不許可を判断します。
具体的な基準の主なものは次のとおりとなっており、これらのいずれかに該当するときは許可されません。

許可できない場合

  1. 機械の所有状況等を勘案して、権利を取得しようとする者又はその世帯員等が、既に所有し、又は借り入れて耕作する権限のある農地及び採草放牧地のすべてについて、効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合
  2. 農地所有適格法人以外の法人が権利を取得する場合(注)
  3. 権利を取得しようとする者又はその世帯員が、必要な農作業に常時従事する(年間150日)と認められない場合
  4. 所有権以外の権原で耕作しているものが転貸しようとする場合
  5. 権利を取得しようとする者又はその世帯員等が取得後に行う耕作等の事業の内容等が、周辺地域の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがある場合

例外として許可できる場合

  1. 貸付地のある場合で、その返還を受けられないことについて特段の事情があり、1年以内に返還されることが確実であり、返還後も全ての農地を耕作できると認められる場合
  2. 法人が主たる業務運営に欠くことのできない試験研究又は農事指導の用に供すると認められる場合
    • 地方公共団体(都道府県を除く。)が公用又は公共用に供するために取得する場合
    • 学校法人、医療法人、社会福祉法人その他営利を目的としない法人が、業務運営に必要な施設の用に供すると認められる場合など。
  3. 150日未満であっても、必要な農作業に従事していれば、常時従事していると認められます。
  4. 草花等の栽培でその経営が集約的に行われると認められる場合
    • 農業委員会のあっせんに基づく農地の交換であり、かつどちらか一方の者の権利の取得後の経営面積が、50アール未満である場合
    • 農地の位置、形状からして、隣接する農地と一体でなければ利用が困難な農地を、隣接地権者が取得する場合
  5. 農地所有適格法人の常時従事者たる構成員がその法人に貸し付ける場合
    • 水田裏作の目的に供するため貸し付ける場合

(注)解除条件付貸借の場合

権利の設定が使用貸借又は賃借である場合は、次の要件を満たしていれば、個人法人を問わず上記基準2及び3は適用されません。

  • 農地の権利を取得後適正に利用していない場合に使用貸借権又は賃借権を解除する旨の条件が書面による契約に付されていること
  • 権利を取得しようとする者が地域の他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業を行うと認められること
  • 法人である場合は、法人の業務執行役員のうち1人以上が耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること

これにより許可を受けた者は、毎年農地等の利用状況について許可権者へ報告をしなければなりません。

許可が不要な場合

許可が不要な主なものとしては、下記のような場合があります。

  1. 農業経営基盤強化促進法の農用地利用集積計画により、権利が設定され、又は移転される場合。
  2. 国、都道府県が取得する場合。(市町村は含まれない。)
  3. 相続
  4. 遺産の分割
  5. 共有持分の放棄
  6. 包括遺贈(遺産の全部又は一定割合を与えるもの。)又は相続人に対する特定遺贈(特定の財産的利益を与えるもの。相続人以外への特定遺贈は許可が必要。)
  7. 債務不履行等を理由とする法定解除。(約定(合意)解除は許可が必要。)

相続等により許可を受けずに農地等の権利を取得したときは、農業委員会へ届出が必要な場合があります。

申請手続

許可申請書に申請主体及び申請の実態に応じて必要書類を添付し、譲渡人及び譲受人の連署のうえ、農地が所在する市町村農業委員会に申請してください。

なお、次の場合は単独で申請することができます。

  1. 競売若しくは公売又は遺贈その他単独行為による場合
  2. 裁判の判決や裁判上の和解、民事調停法による調停の場合

いずれの申請の場合も、様式第2号(農地法第3条の規定による許可申請書別添)が必須です。

  1. 一般の場合(2及び3の場合以外)の許可申請:様式第1号ア
  2. 農地所有適格法人としての許可申請:様式第1号イ
  3. 解除条件付の貸借の場合(農地法第3条第3項の規定の適用を受けて同条第1項の許可申請する場合):様式第1号ウ

その他留意事項

農地等の賃貸借の解約

農地等の賃貸借の解除、解約、合意解約又は更新拒絶は、市町村農業委員会の許可を受けなければ効力が生じません。

許可除外

  1. 引渡し前6ヶ月以内に成立した合意解約で書面により明らかなもの。
  2. 10年以上の定期賃貸借の更新拒絶
  3. 農地信託終了時の更新拒絶 など
    上記の場合は、市町村農業委員会への通知が必要です。

問い合せ先

許可基準及び手続等の詳細については、最寄りの農業委員会までお問い合わせ願います。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業振興課 農地調整担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5645 ファクス番号:019-629-5649
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。