希望王国岩手スクールセッション(平成21年1月22日)

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ページ番号1000982  更新日 平成31年2月20日

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訪問学校:盛岡白百合学園高等学校
開催場所:盛岡市

希望王国岩手スクールセッション(訪問学校:盛岡白百合学園高等学校)

  • 実施日 平成21年1月22日(木曜日)
  • 場所 盛岡白百合学園高等学校

達増知事
今日は、「希望王国岩手スクールセッション」ということで授業をしに来ました。県知事の仕事として、教育というのはとても大事な分野なのですけれども、ただ仕組みとして教育そのものを県が直接やるわけではなくて、県としては教育の応援、支援をする立場なのですけれども、かといって授業の様子とか、あるいは学校の様子とかがよくわからないままだと県としてしっかり応援、支援をすることができないので、時々授業をさせてもらいながら、教室の雰囲気を感じたり、また学校の先生やご父兄の皆さんと直接話をして、いろいろ困っていることとか、これからの希望とか、そういう話を聞いて県の教育施策に役立てたいと思って、こういう授業をさせてもらっております。
私が物心つくころ、白百合学園高校が今の中央郵便局がある四ツ家にあった頃に、文化祭に連れていってもらって、そのときに英語劇を見て、ああ、これはすごいなと思って感動したのが思い出で、白百合学園というと英語劇というイメージがあり、そういうこともあって、今日はこの「マイ・フェア・レディ」を教材にして、授業をさせてもらおうというふうに思いました。
「マイ・フェア・レディ」という映画は1964年にアカデミー賞をとっています。1964年というのは、私が生まれた年でもありまして、東京オリンピックがあった年ですね。今年から数えると45年前になりますけれども、アカデミー賞をとった非常に有名な映画です。このころは、翌年65年には「サウンド・オブ・ミュージック」がアカデミー賞をとっていて、こういうミュージカル映画がはやっていたころであります。
「マイ・フェア・レディ」は、「サウンド・オブ・ミュージック」もそうですけれども、日本語訳された舞台でやるミュージカルは今でもあちこちで上演されていて、「マイ・フェア・レディ」は去年も岩手県のどこかで上演されたと思います。今日は、この「マイ・フェア・レディ」の一部、ハイライトをみんなで見て、そしてその主題歌の説明を私がしますけれども、主題は一言で言うと学ぶ喜び、この一言に尽きます。皆さん今度卒業して、それぞれ大学などに進学するということを聞いていますけれども、そういう皆さんにぜひこの学ぶ喜びというのを頭に置いて、心に残して、それぞれ巣立っていっていただきたいなと思いまして、この学ぶ喜びをテーマにしたところをみんなで見てみましょう。
それでは、再生をお願いします。すごい立派なモニターですね……

(「マイ・フェア・レディ」上映)

ちょっととめていただけますか。オードリー・へプバーンが演じているこの人が主人公、イライザ・ドゥーリトルで、彼女はロンドンの下町の、当時19世紀末のイギリスは貴族と平民が分かれている格差社会であります。その平民のほうの下層階級の娘で、花を売って稼いでいるのですけれども、まともな英語がしゃべれない。それで、こっちのヘンリー・ヒギンズ教授、この人は言語学者で、自分の母国語である英語の学者なので、たまたま教会のそばで花を売っているこのイライザ・ドゥーリトルという人とばったり鉢合わせしたときに、イライザの英語が余りにひどいので、怒って説教をしたのですけれども、そばにいた友達が、君は言語学者、英語学者なのだから、君なら彼女の英語を立派なまともな英語に教えてあげることができるのではないかということで、その友達とかけをして、自分の屋敷にイライザ・ドゥーリトルを下宿させて、英語のレッスンをしていたのですけれども、なかなか英語が上手にしゃべれない。特に“a”(エイ)の発音ができないのですね。“The rain in Spain stays mainly in the plain.”(ザ・レイン・イン・スペイン・ステイズ・メインリィ・イン・ザ・プレイン)
「スペインでは雨は主に平野に降る」という、そういう“a”(エイ)の発音ばかり出てくるフレーズをしゃべらせようとするのですけれども、「エイ」と発音できないで、全部「アイ」と発音してしまう。「ザ・ライン・イン・スパイン・スタイズ・マインリィ・イン・ザ・プライン」というふうに全部発音して、それがなかなか直らなくて、さあ大変というところから始まる。それで全然直らなくて、くたびれて、もうあきらめてしまおうかなという感じのところから始まります。

(「マイ・フェア・レディ」上映 “The rain in Spain stays mainly in the plain”から主題歌部分まで)

達増知事
イライザの表情がいいので、表情を見ていてください。……この主題歌は、ミュージカル史上最も有名な曲の一つであります。来月洋野町の大野第二中学校に行って、やっぱりこれを教材にして授業する予定なのですけれども、大野第二中学校の生徒には、“The rain in Spain stays mainly in the plain.”を言えるようになるまで訓練するというのをメーンにし、今日は主題歌のほうをテキストにしてやります。
それで、お手元に歌詞を書いた紙がありますね。では、私が読むので、後について読んでください。準備いいですか。
I could have danced all night!

達増知事
これは、仮定法過去完了、高校英語の最大の敵というか、一番難しいかもしれない文法なのですけれども、でもこういう娯楽映画の主題歌にぽんと出てくる表現でもあって、仮定法というのはすごい普通に使われています。この歌を覚えると仮定法が怖くなくなりますので、それだけでも今日授業した意義があるのではないかということもあるのですけれども、“can”の過去形“could”の後に“have danced”と過去完了をつけて、“all night”、一晩中ですね。一晩中踊っていられたであろうにと。
これは過去の事実と違う仮定をしているわけですけれども、何が事実と違っているかというと、もしみんなが自分を寝かしつけようとしないで、さっきの勉強部屋にいて、ヒギンズ教授とも一緒にあのままあそこにいることができたら、一晩中でも踊っていることができたであろうにという、それで仮定法過去完了なのですね。でも、みんなが寄ってたかって、おまえはもう寝ろ寝ろということで寝かしつけられちゃったから、仮定法になっている、そういう文章です。
もう一回いきます。
I could have danced all night!

達増知事
次も仮定法過去完了ですね。
And still have begged for more.

達増知事
“beg”というのは、お願いする、もっと欲しがるという意味で、この場合は踊っていることを、踊り続けることを欲しがっているので、そして一晩踊り続けて、さらにもっと踊りを欲していたであろうという、そういう文章ですね。
次も仮定法過去完了が続きます。
I could have spread my wings

達増知事
これは、だんだん仮定法の世界がファンタジーのように空想が広がってきて、もう羽を広げることができるであろうと。人間には羽は生えていないのですけれども、もう自分に羽が生えてきて、羽を広げて空を飛ぶことさえできたであろうにと、あのままあそこにいたのであればというくらい、だんだん空想が広がってきます。
And done a thousand things

達増知事
その次にも続きます。
I’ve never done before.

達増知事
“I’ve never done before”というのは、今までしたことがない、それは上の“things”にかかっていて、そういうこと、しかもそれが1,000(thousand)ですね。今までやったことないような1,000の事柄ができたであろうと。このくらいもう何でもできるぞ、やったあみたいな感じになっているわけですね。これが学ぶ喜びということでありまして、“The rain in Spain stays mainly in the plain.”というのが、今までずっと練習してきて全然できなかったのができるようになった。この調子でいけば、もう自分にできないことはないのではないか、今までできなかったことが何でもできるようになるのではないか、そういう喜びが歌われているわけです。
ただ、ご本人は何でこんなにハイテンションになって、いい気持ちになっているか、よくわかっていないのですね。
次にいきましょう。
I’ll never know what made it so exciting;

達増知事
はい。何が自分をこんなに興奮させたのかはわからないだろうと言っているわけですね。
Why all at once my heart took flight.

達増知事
どうして自分の“heart”、自分の心が直ちに飛び立っていったのか、それもわからないということを言っているわけです。恐らく本格的に勉強したことが今までなかったのだと思います。だから、そうやって苦労して勉強して、わからなかったことがわかるようになる、できなかったことができるようになるという、そういう経験をきちっとしたことがなかったので、今自分に何が起きているのかよくわからない、そういうことなのだと思います。
最後のところにいきましょう。
I only know when he began to dance with me, I could have danced, danced, danced all night!

達増知事
はい、上手ですね。ちゃんとついてこれていますね、いいですね。何が起こっているのかよくわからないのだけれども、ただ一つわかるのはということで、この最後の文章、私がただわかるのは、彼が、ヒギンズ教授ですね、彼が私と一緒に踊り始めたときに、もう一回最初に踊って、一晩中でも踊れるというような、踊れたであろうにというような感じになったというふうに終わるわけです。
このヒギンズ教授が一緒に踊り始めたときというのは、“The rain in Spain stays mainly in tha plain.”がしゃべれるようになったときに、ヒギンズ教授と、あとそのかけをしていた友達も一緒にいましたね。3人でスペイン風の音楽に合わせて踊り出した。闘牛みたいな踊りとか、フラメンコみたいな踊りとかを始めた、あのダンスのことを言っているのですけれども、ヒギンズ教授が私と一緒に踊り始めたときに、もうそういうこれから何でもできる、いろんなことができる、そういう思いになったということなのですけれども。素人で恐縮なのですが、聖トマス・アクィナスの解説本を読んだことがあるのですけれども、そこに信・望・愛という言葉が出てきて深く感銘を受けたのですけれども、信仰と希望でしょうか、そして愛は愛ですね。信仰については、私はもう全然素人なので、よくわからないのですけれども、希望と愛については、希望については一種それを私は職業としてやっているところがあって、岩手全体に希望を持ってもらおうということを今仕事にしているのですね。愛については、これは仕事でやっているというわけではないのですけれども、家族との生活とか、そういったところは全然やっていないわけではないので、若干わかるのですけれども、そういう希望と愛がこの歌には込められている。
学ぶ喜びの本質は、今までできなかったことができるようになる、今までわからなかったことがわかるようになることで、それが希望につながり、また愛にも広がっていくということであります。希望につながるというのは、本当にできなかったようなことができるようになるわけですから、将来いろんな仕事ができるようになるし、世のため人のために役に立つようなことができるようになる。
イライザは、花を扱うだんなみたいな人から花をちょっと売ってもらって、そしてその花を売って、売った代金のほとんどは、そのだんなに上げてしまうというような、そういう搾取され、こき使われるような働き方をしていて、それではいつまでたっても希望が持てないので、立派な英語をしゃべれるようになれば、もっと立派なお客さんにもお花を売って、独立してお花屋さんを自分で持てるようになる、そういう希望を持って実は英語の勉強を始めています。
ただ、この後彼女はもう英語がどんどん上達して、やがては女王陛下がメーンゲストで呼ばれている晩餐会に出て、ぺらぺら、ぺらぺらしゃべって、もう女王陛下も認めるような正しい英語をしゃべれるようになるので、この映画の中で将来どうなっていくのかというのは描かれないのですけれども、本当に何でもできるというような、そういう希望が広がるような展開になっています。
希望ともう一つ、愛ということなのですけれども、ヒギンズ教授との関係がこの“The rain in Spain~”をしゃべれるようになった途端に劇的に変わるのです。それまでは、もう圧倒的に上と下の関係で、これは先生と生徒という上下関係であるだけではなくて、そもそもできる人とできない人ですよね。ザ・レイン・イン・スペイン、正しい英語を話せる人と話せない人という、そういう圧倒的な能力的な違いがあり、そして背景的にはヒギンズ教授は上流階級に属する人で、イライザのほうは平民という、そういう19世紀イギリスの格差社会、階級社会の中での隔てられた関係もある。そういう隔てられた関係では、本当の対等な個人間のコミュニケーションというのは成立しないわけでありまして、本当の愛というのも、そういう関係の中では生まれてこないわけです。それを、まともな英語がしゃべれるようになったということで、そういう上下関係を一気に全部吹き飛ばして、イライザはヒギンズ教授と対等な人間同士、平等な関係に立つことができるわけです。
そして、対等な人間同士、本当のコミュニケーションができるようになり、それが物語の後半、愛に発展していくわけでありますけれども、これもイライザがこの“The rain in Spain~”をしゃべれなければ、そうはならないわけでありまして、ですからこの“I could have danced all night”という歌は、ラブソングでもあるし、また自立していこうという女性の賛歌でもあるわけです。なかなかこういう構造になっている歌とかお話はありませんよ。大概自立を選ぶか、愛を選ぶか、みたいな、そういうドラマとかはあるのですけれども、女性が勉強して、おけいこをして、そして個人として自立できるようになり、また新しい愛の可能性も獲得していくという、物すごい現代的なテーマを扱っている古典的なミュージカル映画だと言うことができます。ですから、物すごく古いのですけれども、いい映画だと思います。
アメリカ、ニューヨークのブロードウェイで、まず舞台、ステージの上でのミュージカルとして上演されたのですが、それが1957年、映画化されるよりももっと古いときから舞台で上演されていました。もとになっているのは、一番下に書いていますね。原作「ピグマリオン」、ジョージ・バーナード・ショーと書いていますね。ジョージ・バーナード・ショーという人は、小説とか戯曲とか、そういう文学を書いた19世紀末イギリスで活躍した文人なのですけれども、フェビアン協会という、世界史をやった人は習っているのではないかと思うのですが、そういうイギリスの階級社会を改革して、もっとみんなが平等に暮らせるような、そういう新しい社会に直していこうという、そういうフェビアン協会の運動のリーダーでもあって、そういう格差社会をなくそうという改革の先頭に立っていた人でもあります。その人が書いたお話を原作としているので、うんと古いお話、古いミュージカル、古い映画ではあるのですけれども、これはもう21世紀になっても通用する作品として生き残っているのではないかと思います。
では、みんなで歌いましょう。このDVDに合わせて、歌詞は手元にあるので、歌いましょう。ちなみに、今ちょっと白黒、モノトーンのドレスを着た人がいっぱい出てきたシーンがありましたが、これだけしゃべれるようになったのだから、イライザを外に出そう、アスコットがいいのではないかと。アスコットにヒギンズ教授のお母さんがボックスを持っていて、アスコットでみんなに見せびらかそうとしたのだけれども、アスコットというのはイギリスで最も由緒ある競馬場なのですね。競馬場に貴族が集まるので、そこで社交界デビューをしようという話になりまして、岩手にも立派な競馬場があるのですけれども、何かこういうふうになるといいなと思っています。
そうですね、この辺から。3回ぐらい繰り返しますから、だんだんなれてくれば。このせりふのちょっと後ですね…… (「マイ・フェア・レディ」上映~主題歌を皆さんで歌う~)

達増知事
はい、よくできました。下から3行目、“I only know”と言っているね、“I only know when he”。この「マイ・フェア・レディ」のペーパーバックは、私はこれをニューヨークのブロードウェイのミュージカルショップで買ったのですけれども、これだと“knew”と書いていたのだけれども、映画では“know”になっていますね。
ということで、ミュージカルはこのくらいにして、それでは今日の「希望王国岩手スクールセッション」の後半の部に入ってまいりましょう。「いわて希望メッセージ」ということで、10年後の岩手、あるいは10年後の自分、どういう岩手になってほしいか、あるいは自分が10年後何をしていたいかを書いてきてもらったと思いますが、それを見せてください。
(生徒の皆さん、「いわて希望メッセージ」を掲示) みんな書いてきてくれて、どうもありがとう。はい、いいですね。後ろのほう、見えますよ、ちゃんと。「東北といえば岩手と言われる県であってほしい」。いいですね。
「報道の仕事を通して、岩手県の魅力を前面に引き出す働きかけをしていきたい」と書いているのですね。報道の人たちも岩手の魅力を引き出すように頑張ってください。
あと、「自然災害に強い岩手県をつくりたい」と書いた人いますが、自然災害に強い岩手県をつくりたいというのは、具体的にどういうふうにつくりたいのですか。そうですね、では起立して発言をしていただきましょう。

生徒
いつでもどこでも自然災害に遭遇する中で、過去の災害の事例を再現したものを岩手の中に反映して、自然に対応した対策をつくりたいと思っています。

達増知事
いいですね。ありがとうございました。岩手県は、地震とか津波とか、あとは大雨、洪水も結構ある県なので、そういう先人の皆さんの経験、苦労をきちんと未来に生かしていくようにしなければならないと私も思います。
それから、「家業の旅館で働き、田舎の観光に貢献したい」。すごい立派ですね。どんなふうに働いて、どんなふうに貢献したいと思いますか。では、起立してお願いしましょう。

生徒
私は、大学は東京に行くのですが、それであっちで学んできて、最終的にはこっちに戻ってきて、自然災害などでお客さんが来なくなったところを復活させていくように貢献したいと思います。

達増知事
いいですね。確かにお客さんとしては東京のほうの人たちにどんどん来てもらいたいから、そういう意味では東京で勉強するというのは、すごく役に立つと思いますね。東京の人たちが岩手の観光というのにどういうのを求めているのかとか、そういうことも学んだり、あるいはいろいろ見聞きして、知ることができるのではないかと思います。
そのお隣、「日常の生活の中でぬくもりと誇りを感じられる岩手県、エリア019づくりをしたい」と。エリア019というのは何なのですか。

生徒
今携帯電話がすごく普及していて、私たち自身もダイヤルすることすら少なくなってきていると思うのですが、最初に電話をかけるときに今はもう090や080ばかりなので、例えば東京に出た人が実家に電話をかけるときぐらい、岩手県の市外局番の019というのをダイヤルして、その中に自分の実家は、地元は019である岩手県なのだというぬくもりを感じられるような岩手県になればいいなと思って書きました。

達増知事
エリア019って、何か格好いいなと思って、ああ、そうか。市外局番だね、そういえば。よくわかりました。情熱としていい方向性だし、センスもいいと思うので、その調子で頑張ってください。
あと、「モダンダンスを通して岩手を芸術でいっぱいの県にしたい」と書いた、ああ、そこにいた。モダンダンスを習っているのですか。これからどんなふうにモダンダンスを続けていきたいと思っているのですか。

生徒
大学で県外に出るのですが、やっぱり卒業後は岩手に戻ってきて、今やっている研究所でやっていきたいと考えています。それで、昨年岩手県の芸術祭、芸術フェスティバルの開幕式でコラボレーションやらせていただいたのですが、そのときに県内の他地域の関係者の方とコラボレーションしたりして、すごい感動したので、そういうのをもっとたくさんやって、岩手の方にもモダンダンスの素晴らしさを知ってほしいし、広げていきたいなと考えています。

達増知事
ありがとうございました。そうですね、モダンダンス、岩手は立派な研究所、そういう先輩の皆さんもいて、あと去年岩手県では文化芸術振興基本条例というのをつくって、岩手を暮らしがいのある、だれでも住んで、働きがいがあり、また暮らしがいがある、そういう岩手にしていくには文化芸術がとても大事だと思って、県でも積極的に取り組もうとしているところですので、よろしくお願いします。
あと、「食材豊かな岩手だからこそできる食育活動をしたい」と書いてくれた人がいますね。どういう食材で、どういう食育活動をしたいのですか。

生徒
岩手の食料自給率は100%以上を超えているのですが、そのほとんどが関東のほうに出荷され、岩手の人々は余り県内産のものを食べている人が少ないと思います。その中で、それに加えてファーストフードや、お弁当の中に冷凍食品ばかりのおかずということが多く、それでは健康的にも糖尿病や高血圧などの病気を引き起こしかねないので、岩手からこういう地産地消などのものを知ってもらい、岩手の食材をみんなが食べて、健康で活発な岩手になればいいなと思いました。

達増知事
ありがとうございます。岩手県は本当に自然環境に恵まれていて、農林水産物、そういうおいしくて、また安全、安心な食べ物をつくっていくのにいいところです。ちょっと気温が低かったり、冬に雪か降ったりするのですけれども、でも気温がちょっと低目なことで病虫害が少ないので、農薬を余り使わないで済むということがあります。
あと岩手は、酪農、畜産も盛んで、そういう動物のふんから出る肥料を使って、化学肥料が少なくて済むということもあって、バランスのとれた自然に優しい、環境に優しい農業を進めていくことができます。
雪もこれは春の貴重な雪解け水、水の資源になりますし、実は世界じゅうの先進国、人がたくさん住んでいて、文化も発達しているようなところで、雨がたっぷり降って、それで農作業にも適しているような場所というのは、地球上余りないのです。特に水がふんだんにあるというのは、この日本列島、特に東北のほうは非常に恵まれた自然環境です。そういう自然環境に加えて、昔から岩手の人たちが丹精込めて農業、林業、水産業、そういう伝統、丁寧に作物をつくる伝統があるので、これを生かして21世紀のあるべき産業の形、そして食のあり方というのを今岩手県としてもどんどん伸ばしていこうと思っているので、これもよろしくお願いします。
みんなからいろいろ聞いていきたいところではありますが、だんだん時間も終わりになってきているのですけれども。
「歩いてみたくなる岩手」、「自給自足のできる岩手」、「世界へ発信していく岩手」、「高齢者が安心して暮らせる岩手」、「地元である岩手の発展向上に力を注ぎたい」。力強いですね。「子供から大人まで安全、安心、安定して暮らせる岩手」、そういう岩手をつくっていかないとというところですね。
岩手は、自然環境に恵まれているし、あとは歴史文化もすごいですからね。平泉が世界遺産登録、去年延期になったのですけれども、これは平泉の価値が低いから登録されなかったわけではなくて、あくまで延期、それは登録の理由の文章をまとめるのに、国際会議で全会一致に至らなかったということで、そこをあと3年間、もう1年明けましたから、再来年までには登録の理由の文章を固めて、ちゃんと登録させようということで今日本国政府中心に頑張っているところなので、そういう平泉文化がありますし、さらには縄文時代の文化とかもあります。自然環境、歴史文化、そういうのに基づいて21世紀、伝統を生かしながら新しいものをつくっていくということがこれからの課題ですね。いろんな技術、インターネットとか、IT技術とかもあります。また、文化芸術とかの面でもいろんな新機軸をやっていく余地があると思います。
きのうオバマ大統領の就任演説を、私も見て聞きましたけれども、オバマ大統領の演説の中で一つ印象に残っていたのは、ニューエイジ、新しい時代、この21世紀という新しい時代に、きちんと準備をしていなかったから、いろんな経済の困難が起きたり、いろんな社会問題も起きているのだと。だから、きちんと新しい時代に責任を持って対応していこう、自分たちの手で新しい時代をつくっていこうということをオバマ大統領が言っていて、これは何もアメリカだけの話ではなく、世界全体がそうですから、この岩手でもそういう新しい時代に向かって、自分たちの手でそういう新しい時代をつくっていくということが必要なのだなと思いました。
皆さんの「いわて希望メッセージ」を見ると、そういう意識、方向性を皆さんも持っているなということで、大分心強く感じていますので、ぜひ新しい時代を皆さん一人一人にもつくっていってほしいですし、また岩手県としてつくっていくことにも協力をお願いしたいと思います。
ということで、大体時間になりましたので、今日の授業はこれで終わりにしたいと思います。

生徒
起立。
本日私たちは、知事にこのような楽しい英語の授業をしていただき、大変すばらしい体験をさせていただいたと思っております。
また、これから岩手県民として生きていく中で、知事と直接お話をさせていただくというすばらしい機会を持ったことを大変うれしく思っております。
本日は、貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。

達増知事
ありがとうございました。
それでは、卒業までもう1日1日カウントダウンになっていきますけれども、盛岡白百合学園高校は、大変立派なすばらしい学校ですので、なかなか立ち去りがたい、いつまでもここにいたいと思うかもしれませんが、そういうわけにもいかないので、卒業まで1日1日を大事にしていってください。

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