希望郷岩手スクールセッション(平成22年9月7日)

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ページ番号1000977  更新日 平成31年2月20日

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  • 訪問学校:専修大学北上高等学校
  • 実施日 平成22年9月7日(火曜日)
  • 場所 専修大学北上高等学校

写真:希望郷岩手スクールセッションの様子1

高橋教頭
それでは、ただいまより希望郷岩手スクールセッション開催いたします。

生徒
起立。気をつけ。お願いします。

生徒
着席。

及川校長
今日はノーマイクということですから、皆さんも大きな声でお願いしたいと思います。
それでは、本日の希望郷岩手スクールセッションの講師の先生をご紹介いたします。既に皆さんのところに今日の講師の先生、岩手県知事達増拓也先生のプロフィールは配られていると思うのですが、改めてご紹介をいたします。
達増知事さんは1964年、昭和39年6月に盛岡にお生まれになっております。岩手県立盛岡第一高校を卒業後、東京大学法学部入学。卒業と同時に外務省に入省なさっております。入省後、在シンガポールの二等書記官、それから外務省の国連局科学課、それから外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任後、平成8年の衆議院選挙で立候補なされ、初当選をなされまして11年間国会議員をお務めになられました。その間、予算委員会を初め、たしか11の委員会に所属したとお伺いしておりますが、11年間にわたって国会議員務めた後、平成19年岩手県知事に就任されまして、現在に至っているわけです。知事さんには毎日、新聞を見ますと大変なご多忙の中、岩手の未来を担う皆さんと意見をまじり合わせて将来の夢を育て、そして具体的に行動する契機にしたいということで、本校のために時間をとっていただきました。今日は、ここに書かれていますが、「高校生の皆さんに期待すること」、そして「これからの人生をどう生きていくか」という演題でお話をいただくことになっております。たくさんのことを吸収して、皆さんがこれからの人生に役立ててほしいと思います。
それでは、知事さんよろしくお願いいたします。

生徒
起立。気をつけ。お願いします。

生徒
着席。

写真:希望郷岩手スクールセッションの様子2

達増知事
専修大学北上高等学校の皆さん、こんにちは。
今日は、希望郷岩手スクールセッションの一環として、「高校生の皆さんに期待すること」、「これからの人生をどう生きていくか」というテーマでお話をします。
結論は一つでありまして、「好きなものを増やそう」、「好きなものをもっと好きになろう」ということです。高校生活には勉強もあればクラブ活動もあり、また学校の外でのいろんな家の手伝いとか、友達同士のつき合いとか、地域での活動とかいろいろあると思いますけれども、そこにあるものはどれをとってももう大人の世界に直結している、実社会に直轄しているものなのですね。勉強の内容も、中学校までは義務教育ということで、本当に基本中の基本だったわけですけれども、高校で習うことは、もうそれを仕事にして生きていける、そういう世界に直結しているわけですね。理科とか社会とかかなり難しいことを習うなと思っているのではないかと思います。それから数学、英語、国語、これも本当に大変ではないかと思います。私も中学校時代はそれほど勉強に苦労をしてなかったのですけれども、高校に入った途端に格段に教科書の中身とか、教わる中身とかレベルが上がったなと感じたのを覚えています。きちんと予習しないとついていけないし、またきちんと復習をしないと後で試験で全然答えられない。大分自分で勉強しなければならないなということで舌を巻いた覚えがあります。
クラブ活動も本格化しますからね。スポーツであれ、文化系であれ、優秀な成績をおさめると、県大会からさらに全国大会、野球であれば甲子園がありますし、それから吹奏楽でも東北大会とか、全国大会とか、日本全体が舞台になるような、そういう大人の人たちが見て夢中になる、大人の人たちが聞いて感心する、そういう大人の世界に通用するようなことをクラブ活動でもやっているわけです。ですから、クラブ活動もまたこれは大変だと思います。私は、クラブ活動はソフトテニスを少々やっていて、これは下手で弱かったので、盛岡にいましたから、盛岡の市の大会で大体終わっていまして、県大会には出られなかったのですけれども、それでも3年生のインターハイ予選ですからゴールデンウイークのころまでずっとやっていたので、かなり大変でした。授業とクラブを両立させるのもなかなか大変で、クラブ活動で疲れて帰ってくると、もう全然勉強もできないでバタンキュー、本当に疲れがたまってくると食べ物ものどを通らない、晩御飯も食べないで寝てしまうみたいな、そういうこともありましたね。だから、高校時代と比べれば、私は背の高さはそんなに変わってないのですけれども、体重は10キロぐらい増えていて、高校時代は今より10キロ以上も痩せていました。
あとは勉強とかクラブ以外でも趣味の世界とかでだんだんはまっていくというか、レベルが高くなっていくというか、私の場合はスターウォーズのファンクラブに入っていました。
スターウォーズ好きな人いますか。大人のほうにいますね、ありがとうございます。
私が中学校2年生のときに最初のスターウォーズが公開されて、高校1年生のときに2作目、大学1年生のときに3作目が来て、今で言うエピソード4、5、6なのですけれども。高校時代スターウォーズファンクラブに入っていました。これもアメリカに本部があるファンクラブで、カリフォルニア州ロサンゼルスに本部があるスターウォーズファンクラブで、英語の申込書を書いて、会費も今でこそカードとかインターネットで料金支払うとか、そういうのが発達していますが、当時は為替をつくる。岩手県で数少ない為替をつくれる銀行に行き、ドルの為替をつくって会費を送り、そして年に4回英語のニューズレターが送られてくるのですけれども、そういうのを楽しんでいました。
私の中高校生時代というのは宇宙戦艦ヤマトとか、それからあとガンダムとか、ちょうど最近ガンダムの第1作の続きみたいな、ユニコーンというのですか、知っている人は知っていると思いますが、そういうのがちょうど出てきていたり、宇宙戦艦ヤマトもキムタクが主役で、実写版がこの冬公開されるとか、そういう懐かしいパターンになっているのですけれども、ヤマトやガンダムがはやったのは私の中学生時代で、高校時代も私自身はアニメ同好会には入ってなかったのですけれども、友達がアニメ同好会をつくって立ち上げたのです。そこでアニメをつくるときに声優、吹き替えで手伝いをしたりとかしていました。アニメをつくるとか、高校生ぐらいになるとそういうことも文化祭に向けてやったりするわけでありまして、そういう趣味もまた大人の世界に通用するようなレベルの高いことをやるようになる。
そういう高校生活ですから、どれをとってもやりがいがあるし、どこに進んでいってもそれは自分のためになります。これ勉強も打ち込めば打ち込むだけそのかいはあるし、クラブ活動もそうですし、さっき言ったアニメとか映画とか、その手のことですら高校生が本気で打ち込めば、そこは得るものがあり、私もそのころの積み重ねで今もいろいろ楽しんでいるところがあり、それで友達も増えますし、今でも役に立っています。ですから、「好きなものを増やそう」、「好きなものをもっと好きになろう」というのは、嫌いになってしまうのがまずもったいないですから、一つは今自分で苦手だなと思う授業の教科、これは苦手だなと思うものでもどこかに好きになれるところがあるかもしれないので、その辺決めつけないでほしいと思います。英語は苦手だ、嫌いだとか決めつけないでほしいと思います。
英語にもいろんなところがありまして、読むのはなかなか好きになれないけれども、聞いたり話したりするのは面白い、英語の歌、あるいは日本の歌手でも歌詞の中に英語が使われていて、あるフレーズがすごい格好いいとか、どこか好きになれるところはあるのではないかと思います。だから、決して心を閉ざして、これは全部嫌いだとか決めつけないで、どこか好きになれるところがあるかもしれないという感じですべてのものに当たってほしいなと思います。そして、ここのところ好きだなと思ったら、ほかのところはどうだろうということで、好きなものをどんどん増やしていく。国語でも、まず夏目漱石とか森鴎外とか、その辺の文学がいいなと思って好きになったら、その前の古典の世界、平家物語とか源氏物語とかも面白いかもしれないと思って見てみる。中国の漢文、漢詩とか、あと史記ですね、そういうのも面白いのではないかと思って見てみる。
その好きなものを増やしていくというのは、自分の可能性が広まることでもあります。大人になって好きなものが多いほど幸せになれると思います。でも、その次の要素も大事なんだった。「好きなものをもっと好きになろう」と、好きなものが少なくてもあるものを人一倍うんと徹底的に好きになっていればそれだけ幸せになれます。野球に徹底的に打ち込んで、野球ばかという言葉がありますけれども、野球ばかと言われるくらいにまで打ち込む。好きになるというのは幅を広げていくのとどんどん奥に深めていくのと2種類の方向性、縦と横の方向性があって、できればどんどん幅を広げて増やしながら、またそれを深めていって、より好きになっていくというふうに大きく好きなものを増やしながら、またそれぞれをさらに好きになっていくというのが理想ではありますけれども、人生時間は限られていますからね、だから一つのことをやっていると、その時間はほかのことはやれなくなってしまうので、どうしても幅を広げることを優先させると奥が深まらない。奥を深めることを優先させていると幅が広がらないということがあるのですけれども、でもそこは悩まなくていいのです。どっちも人生を豊かにし、成功に導いてくれますので、そのときの自分の置かれた環境とか、あとそのときの自分の体調とか、感じとか、そういうのに合わせて、ここは好きなものを増やしていく局面だと思えば、そういう横に広げていくことを努力して、そしてここは一つのことを深めていく局面だなと思えば一つのものをどんどん深めていってもらえればいいと思います。
実は知事の仕事をやっていくときにも、私はこのことに気をつけています。岩手県の中で好きなものを増やしていこう、そして好きなものをもっと好きになっていこう。岩手というのは、県では日本で一番広い県です。長野よりも福島よりも広く、北海道の次に都道府県では広い県で、新幹線の駅が7つもありますからね、北上駅を含め。フル規格新幹線という正規の新幹線の駅が7つあるのは都道府県で岩手が1番です。2番目は静岡県で6つ、横に長い静岡県で6つなのですけれども、縦に長い岩手は7つで、岩手のほうが新幹線の駅は多い。それだけ広い岩手で、海もあれば山もある。そして、新しい活気のある町もあれば古い村、また平泉のような何百年も前のそういう古都、古い都もある。そういう岩手のことをどんどん好きになり、また好きなものをさらに好きになっていくということが仕事につながっていくと思っています。
ちょっと言葉を変えますと、「知事」というのは、「知る事」と書くのです。私は、知事の仕事というのは知る事に尽きると考えています。岩手が今どうなっているのかを知る事、岩手のどこでどういう人たちが困っているのかを知る事、そしてどうすればそれを解決できるかを知る事、これができれば、あとはそれを実行に移していくだけなので、それで岩手の県民の暮らしはどんどん向上していく、岩手がより良い県になっていく。岩手の県民の暮らしを向上させ、岩手全体を良くしていくためのそのスタートというのは、この知る事に尽きると思っています。
そして、知る事というのは好きになることとイコールではないかと思います。吹奏楽でブラスバンド、それを好きになっていくということはそのブラスバンドのことよく知るということだと思います。どういう楽器で構成されていて、一つ一つの楽器はどういう役割を果たすか、どういう名曲があって、それぞれの曲の中でそれぞれの楽器がどういうふうに使われているのか、自分が演奏するときにそれをどう演奏していけばいいのかということ、どんどん好きになっていくというのはその対象をどんどん知っていくということだと思います。
岩手県というのも知れば知るほど好きになれる県でありまして、日々発見の連続。ですから、高校時代にそういう感覚を身につけていけば、社会に出てどんなところに行き、何をして稼ぐにしても、それは通用しますし、逆に好きなものを増やしていく感覚、好きなものをより好きになっていく感覚、それがないと社会に出ても大変であります。それはイコール知る事自体を好きになってほしいですね。社会に出て、仕事というのはイコール知る事であります。知事の仕事は知る事と言いましたけれども、それ以外もあらゆる仕事というのは知る事ですね。農家が作物を育てていくのも、それは米というのを知る事、いつどういうタイミングで種をまき、苗を田植えし、雑草を取ればいいのかという米を知る事が米をつくることになります。
さっき自動車科の実習を見てきたのですけれども、新しくできた自動車実習場で溶接をしたりとか、エンジンの分解、組み立てやっているのを見てきましたけれども、あれもやっぱり自動車を知る事がその自動車をつくり、修理することであって、知る事が仕事なのですよね。そして、その知る事の中で好きなものを増やす。エンジン好きだったけれども、タイヤの裏側のスプリングもいいなとか、どんどんそういうのを好きになっていく。また、同じエンジンでも4気筒より6気筒のほうがパワーがあってすごいとか、さらにどんどん深く知っていく、そういう感覚をどんどん身につけていってほしいと思います。それは決して難しいことではなくて、まず今自分が好きなものからスタートして、そこから広げていけばいいと思います。
好きなものが何にもないという人いますか、自分は好きなものが何もない、食べ物も含め好きなものが何もないという人。やっぱりいないよね、何かかんかやっぱり好きなものはあるのだと思います。であれば、それは本当に何でもいいので、文房具でもいいですし、性能のいいペンとか、きれいな飾りのついた消しゴムとか、そういったところからでも人生は豊かになります。私は、歯ブラシの毛先がすごい細くとがって歯周ポケットに届くというやつがすごく好きで、あれを使って歯を磨くだけで幸せな気持ちになります。一日の疲れをいやすのには歯周ポケットに届く歯ブラシで歯を磨くので、かなり一日のストレスはとれるのですけれども、歯ブラシですら好きになれば、それは本当に自分の人生を豊かにしてくれるので、本当にどんどんいろんなものを好きになること、好きなものをさらに好きになることをお勧めします。
私からの話はまずそのくらいにして、皆さんが用意してきたメッセージボードを見せてもらいましょう。今好きなこと、夢中になっていること、あるいは将来の夢、将来つきたいと思う職業を含む、あと現在不満に思っていることでもいいということで書いてきてもらっていますので、それを見せてください。
はい、ジャン。
いいですね、「甲子園」、「野球」は結構ありますね。「2011年夏甲子園出場」、すごい具体的。野球部。

生徒
はい。

達増知事
見た感じがやっぱり野球部だね。今年もかなりいい線いっていたと思うし、専北はいつもいい線いくので、ぜひ頑張ってほしいと思います。
あとは「吹奏楽」、「マーチング」も結構多いですね。
「人の心を動かせる音楽やマーチングが大好き」と書いた人。ちなみに、楽器は何を担当しているのですか。

生徒
パーカッション。

達増知事
パーカッション、ダダダダダンと、いいですね。頑張ってください。
あとは卓球も強いんだよね、専北は。「卓球でラリーが続くのが面白い」と。どんなふうに面白いのか、ちょっと説明してみてください。

生徒
フルスイングで、それが続くのが面白い。

達増知事
やっぱりドライブでオーソドックスにカンカン、カンカン打ち合う感じ。

生徒
はい。

達増知事
カット攻めとかではなくて、やっぱりドライブでカンカンやると。いいですね。
あと職業関係もありますね。「義肢装具士」、なかなかみんながみんな関心を持っている職業ではないのだと思いますけれども、どういうきっかけでそういう仕事があるというのを知ったのですか。

生徒
お父さんに勧められました。

達増知事
これはすごい発達している分野で、岩手県でもいろいろ新素材を使って、より体に優しい義肢をつくろうなんていう会社が岩手県にもあって、県と連携しながらそういうのを開発もしていますし、これからますます大事になる仕事だと思います。
「ライブハウスのスタッフ」、それはどういうきっかけでそういうふうに考え、そういうふうに思ったのですか。

生徒
去年好きなアーティストのライブに行って、すごいなと思って。

達増知事
それは北上市内ですか。

生徒
宮城です。

達増知事
おっ、宮城で、それは頑張りましたね。いいと思います。
あと「考古学者」というのも……。僕も一時すごく考古学者にあこがれたことがあり、古墳の発掘とか、そこで出てきたものが何か突きとめるとか、それはどういうきっかけでそう思ったのですか。

生徒
私は歴史大好きで、土器とか遺跡大好きだったから。

達増知事
遺跡大好き、いいですね。岩手県は土偶の出土数が全国一なのですね、都道府県ごとに比較すると土偶が出土しているのが全国一。縄文遺跡もかなりありますし、岩手にとって考古学というのはすごく大事な学問です。
「人工知能の研究」、これはどういうきっかけで。

生徒
自分はそういうのが好きなので、自分で結構つくったりして遊んでいたのですけれども、そのときに人工知能というのは、一つのソフトではなくて、いろんなソフトを組み合わせてつくったので、これは面白いなと思って選びました。

達増知事
いろんなソフトというのはどんなのをつくったのですか。

生徒
自分がつくったのはARを使っているソフトで、携帯でQRコードあるじゃないですか。

達増知事
ほほう、あるらしいね。

生徒
あれの上にCGを載せたりとか、合成したりして遊んでいました。

達増知事
わかりました。
「グランドホステス」、それはどうしてなのですか。

生徒
空港に行ったときに、困っている外国人に英語で対応しているグランドホステスさんを見て憧れを持ちました。

達増知事
どこの空港ですか。

生徒
成田。

達増知事
そうですね、あそこは本当に優秀なグランドホステスさんがたくさん働いていて、すごいですよね。花巻空港もこれから外国から来たり、外国に行ったりする便が増えていくので、ぜひ岩手県でもグランドホステスさんが活躍できる場を増やしたいなと思っています。
「幼稚園の先生」、これはどういうきっかけで。

生徒
子供が好きですし、母が幼稚園の先生だったので、仕事をしている姿を見て育ったので、私もお母さんみたいな頼りになれる先生になりたいです。

達増知事
これから就学前教育といって小学校前の子供の保育とか教育というのはこれからますます大事になるのでいいと思います。
それから、今目に入ったのだけれども、「消防士」。消防士はほかにいないのだが、どういうきっかけで。

生徒
まず、岩手・宮城内陸地震があったりだとか、救助している人を見て、自分も人の命を救うような仕事をして、消防士になりたいなと思って、将来はなりたいと思います。

達増知事
今クラブ活動は何かしているの。

生徒
陸上部です。

達増知事
それはいいや、やっぱり体力とか身体能力が求められるからね、消防士は。そして、あとは使命感、正義感と身体能力があれば立派な消防士さんになれると思うので、頑張ってください。
あとひときわ高く上げてくれているのが「ツイッターでいろんな人のつぶやきを見ること」と。今も見ているの、ツイッターを。

生徒
はい、いろんな人の。

達増知事
例えばどんな人のツイッターですか。

生徒
例えば勝間和代さんとか、森永卓郎さんとか、森永卓郎さんは最近あまりつぶやいていませんけど。

達増知事
渋いね、なかなか。まさに大人が見るようなやつを見ているな。岩手県知事のツイッターというのは見てないの。

生徒
何という名前ですか。

達増知事
あるのですよ、「tassotakuya」というやつが。岩手県ホームページからたどっていくのが一番簡単だと思う。岩手県のホームページの表紙からさっと入れたかな、紹介されてないものにアクセスするというのはなかなか難しいんだよね、ツイッターは。よくわかります。でも、ちょっと探してみてください。

生徒
はい、わかりました。

達増知事
実は、今から専大北上高校に行くというのも書き込んであるので、今見ればそれを確認することができるでしょう。
「消防士」だけではなく「警察官」もあります。警察官、はい、その抱負を述べてください。

生徒
今の日本の世の中は犯罪が多くなっているので、市民の人を助けていきたいと思います。

達増知事
見た感じ、身体能力と使命感、正義感もあるからいい警察官になると思うので、頑張ってください。
あと「囲碁」と書いているが、僕も最近囲碁に関心を持ってきているのだけれども、抱負を述べてください。「囲碁、高いところへ」と書いてある。

生徒
次の大会でも全国へ行けるようにしたいです。

達増知事
なるほど、そうか、そうか、もう既に選手として活躍しているんだね。頑張ってください。
あと15分くらい残っていますね。全員から一言ずつ聞きたいところでもあるけれども、ちょっと時間がないので、私がまずしゃべり、皆さんのボードを見せてもらいと来たので、残り15分くらいのところで皆さんから私に何か質問、それに答えるというのをやりたいと思います。ボードは一旦持ちやすいような形に、ひざの上に乗せるなり、丸めるなり、持ちやすいようにしつつ、何かこの機会に岩手県知事に聞いてみたいこととか、知事の仕事についてでもいいし、あるいは既に高校時代を経験している高校生の先輩に対する質問とかでもいいし、スターウォーズファンに対する質問でもいいのだが、何かありませんか。
さっきから興味津々という感じで話を聞いてくれているのだが、何か質問あれば答えましょう。

生徒
僕の夢は教師なのですけれども、いろいろ岩手県でも頑張っていると思うのですけれども、これから教育について、自分も学生なので何か工夫をしているのかなというのに興味があります。

達増知事
教師というのはすごく大事な仕事です。同時に大変な仕事でもありますね。そして、時代、時代にいろんな課題があって、日本で教師というのが近代的な形で職業になったのは明治以降なのだけれども、明治の最初はとにかく文明開化で新しい知識を子供たちに教えなければならない。戦争のころには、日本が戦争しているという、そういう現実の中でいかに子供たちに国が求めていることを子供たちに教えるかという課題がありました。戦争が終わった後は、今度は戦争が終わり、平和を目指すという新しい現実の中で、民主主義の理念とか、そういう考え方を子供たちに教えるという課題があり、そして現代は現代でいろいろ価値観が多様になって、世の中豊かになり、いろいろ学校を取り巻く環境が複雑になってくる中で、子供たちに教えるべきことを教えるという、また独特の課題が出てきています。
高校の教育は県が担当し、小中学校の教育は市町村が担当するという大きい役割分担の中で、やっぱり今この現代、岩手の児童生徒にどういう教育あるいは学びをしてもらうのがいいかというのを関係者で相談しながら工夫をしてやっているところであります。あとは希望者が多いので、試験に受かるのが大変という、そういう問題もあるのだけれども、でも今教師とか教育に興味を持っているというところからスタートし、やっぱり好きになることを増やす、好きなものをより好きになるということで、どんどん調べてみることがいいと思います。実際の先生に話を聞いてみるとか、教育とか、教師とかにまつわるものをいろいろ調べてみるとか、そういう中で自分がどうすればいいかというのがおのずと見えてくると思います。

生徒
ありがとうございます。

達増知事
ほかに質問とか何かありませんか。何か質問したたそうな雰囲気をにじませているなと思ったので、はい、何か質問ありませんか。

生徒
なぜアメリカの大学に留学したのですか。

達増知事
それは鋭い質問で、スターウォーズファンになったあたりからすごくアメリカに引かれ、あこがれるところがあり、高校2年生から3年生になるときの春休みに4週間学校から代表でアメリカに行くという海外派遣事業というやつですね、それで10人の生徒がアメリカに行ってホームステイしながら現地で高校に通うというのを4週間やって、それで好きなものがもっと好きになり、これはアメリカに行って仕事をする、あるいはアメリカに行けるような仕事につきたいと強く思い、それで外務省に入ると留学をさせてくれますので、まず外務省に入ってアメリカ留学をさせてもらいたいということで外務省に入りました。
高校3年になる春休みにアメリカに行って、いいなと思ったのは、やっぱり自由な感じですね、生徒一人一人が授業でも活発に発言をするし、そもそも討論形式の授業だったりして、中東紛争でアメリカがイスラエルの味方をするのはいいか悪いかみたいな、今でも通用するようなテーマですが、そういうのをもう二十数年前だけれども、30年くらい前だけれども、やっていましたよね。アメリカ人が基本的に持っている、自分が持っているものを全部出して勝負していくという、そういう感覚がすごくいいなと思って、そういうのにあこがれて留学したのです。
でも、2年間いると悪いところもすごくたくさん見えてきて、行儀の悪いところとか、自分勝手でわがままなところとか、2年間留学している中では、一時停止できちっととまったのだけれども、右左よく見ないまま発進したら、そこにアメリカ人が突っ込んできてぶつかりそうになり、でもぶつからなくて、ああ、良かったと思って、そのまま行ったら、その人はカンカンに起こって、ぐるっと回って、おりて「窓あけろ」と言って、窓をあけたらボカボカ殴ってきて、そういうひどい目に遭ったこともあるのだけれども、今でも僕はアメリカ人というのがすべていいとは思っていなくて、直してあげなければならないところもいっぱいあるとは思っているのだけれども、ただやっぱり高校時代に思ったアメリカ人の自由さ、活発さ、はつらつさ、その愛すべきところというのは今でも愛すべきだなと思って。
あとアメリカ人というのは基本的にすごくまじめですよね。日曜日にまじめに教会に行くし、ほとんどの人が。アメリカ映画見ていても基本的にまじめですよね、すごい。最後はちゃんと落ちをつけなければならないみたいな感じのまじめさがアメリカ映画にはあると思いますが、ああいうアメリカ人のまじめさというのは学ばなければならないと思います。
ただ、逆にイラク戦争みたいに理屈が通ればどんなひどいことでもいいと。日本人の感覚からすれば、確かに理屈ではそれはそうかもしれないけれども、でもちょっとそこまでやるのはひどいのではないかと言ってブレーキがかかるようなとき、アメリカ人はブレーキをかけないというところがあって、何かやり過ぎてしまうところがあるので、そういうところはやっぱり友人として、ちょっとそこまではとか言ってあげなければならないなと思いますね。何か雑談みたいになりましたが。
ほかに何かありますか。
はい、ツイッターの君。

生徒
希望郷岩手スクールセッションというタイトルのことですけれども、10月に知事が塾長で開く岩手希望塾ですか、自分もそれに参加するのですけれども。

達増知事
来月ということね。

生徒
来月です。その「希望」というキーワードに思い入れはあるのですか。

達増知事
物すごくありますね。きっかけは村上龍という小説家が「希望の国のエクソダス」という本を書いていて、「希望の国のエクソダス」、これは日本の政治経済が停滞している中で、日本の中学生たちがインターネットを使って、もう学校から独立し、自分たちで北海道に独立国をつくって世界経済をも動かして、中学生たちが自分たちの理想の国をつくっていくという話なのだけれども、その最初のところでリーダーになる中学生が語る言葉だったかな、「今の日本、この国には何でもある。豊かになった日本には何でもある。ただ希望だけがない」という台詞があって、そういうのはまずいなと強く思ったのね。やっぱり希望がないような世の中にしてはだめだし、少なくとも岩手県知事としては、岩手県においては誰もが希望を持てるような県にしなければならないというふうに強く思って「希望」という言葉を使っています。
あとは格差社会という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、格差でも所得の格差、お金の収入の格差、それは何か頑張れば追いつき、追い越せるかもしれないし、ほとんどの格差というのは何らかの努力でそれを補ったり、また克服したりできるものなのだけれども、希望格差という指摘がかなりよくできる学者さんたちからなされて、今の日本は希望を持てる人たちと希望を持てない人たちの間の格差ということになってないかという指摘が10年くらい前からされているのです。確かに30歳とか40歳とかになってもきちんと仕事につけないで結婚もできず、家庭も持てないという、そういう30歳とか、40歳の人たちが日本に出てきています。好きでそういう暮らしをしている人もいるのだけれども、何にもとらわれないフウテンとかルンペンとかいう言葉があり、貧しいけれども、自由なそういう世捨て人のような生活をみずから選んでそうなるならいいのだけれども、自分はそうはなりたくない、もっと普通にきちんと生活したい、働いて稼ぎたいと思っているのだけれども、そうできない人が日本に出てきている。でも、そうなってしまうとそもそも希望を持てなくなってしまう。希望格差ということが10年くらい前から学者さん指摘されていて、岩手にそういうことは起こしてはならないなと。
岩手県というのは県民所得は全国平均より低くて、そういう意味ではお金を持っているかということについては全国平均より低いのだけれども、でも豊かな自然があるし、すごくお年寄りを大切にし、子供をかわいがる、すごい人間、お互いを大切にする文化もあるし、そういう意味で、お金は少ないけれども、岩手には豊かさは物すごくあると思うのね、食べ物もおいしいし。ただ、そのお金の少なさということが希望も持てないようなすさんだ生活につながっていったりするのは絶対まずいなと思っていて、そうならないような岩手をつくりたい。県民一人一人が子供も含めてちゃんと希望を持てるような岩手にしたいということでこの「希望」という言葉をいろんなスローガンに使っています。
長くなりましたが、今の岩手県政全体のスローガンでもあるので、「希望」という言葉は。丁寧に回答しました。
それでもう時間になってしまったようですね。

生徒
起立。気をつけ。ありがとうございました。

達増知事
ありがとうございました。

生徒
着席。

高橋教頭
それでは、知事さんに感謝の拍手を送りたいと思います。皆さん、お願いします。ありがとうございました。

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