「がんばろう!岩手」意見交換会(平成29年1月17日 県南地区)

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1000836  更新日 平成29年1月30日

印刷大きな文字で印刷

日時
平成29年1月17日(火曜日)10時30分から11時50分

場所
平泉文化遺産センター ふれあいホール

参加者(敬称略)

  • 参加者(敬称略)
    千田 伏二夫(株式会社千田精密工業 代表取締役)
    佐々木 正(農事組合法人アグリ平泉 代表理事)
    水戸谷 剛(東日本機電開発株式会社 代表取締役)
    高橋 幸博(水沢ツーリストサービス株式会社 専務取締役)
    千葉 朱璃(岩手県立一関第一高等学校)
    千葉 壮汰(岩手県立一関第一高等学校)
  • 県側
    知事、県南広域振興局長、秘書広報室長、政策地域部首席ILC推進監

開会

保室長
 それでは、予定の時刻より若干早いのですけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を始めたいと思います。
 本日は遠路はるばるお越しいただきまして大変ありがとうございます。今日は、この平泉で県南エリア全体を対象といたしまして「国際リニアコライダーの実現に向けて」というテーマを設定させていただいています。普段からILCに様々な形で関わっていらっしゃる皆様にお集まりいただいています。今日の司会進行役を務めさせていただきます県の秘書広報室長の保でございます。どうぞよろしくお願いします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1


保室長
 それでは、開会に当たりまして知事から御挨拶を申し上げます。

達増知事
 皆さん、おはようございます。今、この会場に入って来る時に、金鶏山の金の鶏をキャラクターにしたイラストが入っていて、「こちらの方向ですよ。」と書いている標識があって、今年は酉年ということでありますけれども、平泉は、そういえば酉年にも関係があるところだというように思いました。
 そして、新しい年を迎えたところでありますけれども、去年の12月にリニアコライダーワークショップ(LCWS)という国際会議がこの岩手県で開かれて、世界中のリニアコライダー研究者の皆さんが岩手に集まり会議をし、またILC建設予定地を見学するなどされたことが記憶に新しいところです。岩手県にILCができたらこういうことが1年を通じて行われるようになるのだという姿を1週間の間ですけれども、先取りして見ることができたのではないかと思います。
 この県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会といいますのは、県政にとって重要な課題・テーマについてその分野で、あるいは関係する地域で活躍している県民の皆さんの意見を私が直接伺って県政に反映させるということで行っていますけれども、今日はILC、国際リニアコライダーがテーマでありますので、どうぞよろしくお願いします。

保室長
 それでは、以降は皆さん着座のまま進行させていただきたいと思います。
 皆様後ろの方に絵が飾られていますが、小学生の皆さんが描いた絵で、今年度、県南広域振興局が行ったILC等の絵画コンクールの入選作品でございますので、後でゆっくり御覧いただければと思います。

達増知事
 ILCの部とケロ平の部とあります。

堀江局長
 両方ございます。

保室長
 それでは、この後ですけれども、私の方から最初に出席者の皆様方につきましてお名前を御紹介させていただきます。その後、お一方ずつ自己紹介をいただきます。その後で、今日のテーマでございますILCにつきまして、また、お一方ずつ、お願いしたいと思います。最後に、自由懇談の時間も設けますので、最後までどうぞよろしくお願いします。
 それでは、まず出席の皆様を御紹介いたします。
 株式会社 千田精密工業の代表取締役の千田 伏二夫さんでございます。

千田 伏二夫
 千田です。今日はよろしくお願いします。

保室長
 農事組合法人 アグリ平泉の代表理事 佐々木 正さんでございます。

佐々木 正
 佐々木 正と申します。よろしくお願いします。

保室長
 佐々木さんは、今、建設中の道の駅 平泉の方でも農産物の担当をされているそうでございます。
 続きまして、東日本機電開発 株式会社 代表取締役の水戸谷 剛さんでございます。

水戸谷 剛
 水戸谷です。よろしくお願いします。

保室長
 続きましては、水沢ツーリストサービス 株式会社の専務取締役の高橋 幸博さんでございます。

高橋 幸博
 高橋 幸博と申します。どうぞよろしくお願いします。

保室長
 次は、岩手県立一関第一高等学校2年生、千葉 朱璃さんです。

千葉 朱璃
 千葉 朱璃です。よろしくお願いします。

保室長
 同じく千葉 壮汰さんです。

千葉 壮汰
 千葉 壮汰です。よろしくお願いします。

保室長
 県からは達増知事の他、県南広域振興局の堀江局長。

堀江局長
 よろしくお願いします。

保室長
 それから、政策地域部の科学ILC推進室という県の組織がございますけれども、そちらの首席ILC推進監をしています寺本が出席しています。県南局の副局長でもございます。

寺本首席ILC推進監
 よろしくお願いします。

保室長
 よろしくお願いします。
 なお、本日は一関選挙区選出の県議会議員の佐々木 朋和 議員、千葉 進 議員、それから奥州選挙区選出の菅野 ひろのり 議員に御出席をいただいていますので、御紹介いたします。
 どうぞよろしくお願いします。
 これからいよいよ始まるわけですが、皆様のお手元にはお菓子とお茶を用意してございます。少しリラックスということで、お菓子をいただきながら進めていきたいと思いますが、地元のお菓子でございますので、ここは堀江局長から御紹介をお願いします。

堀江局長
 それでは、私の方からお手元のお菓子を御説明させていただきたいと思います。
 まず、こちらのお菓子の方ですが、これは地元平泉の老舗の菓子工房 吉野屋の辯慶力餅でございます。これは、地元のもち米、そして大豆を使用しまして、中にクルミが入っていますが、そのクルミの風味と相まって素朴ながら上品な味わいになっています。
 それから、こちらの飲み物の方でございますが、これは一関のかさい農産のごぼう茶でございます。安心安全にこだわった野菜づくりをモットーとし、ゴボウの栽培から加工まで一貫して全て手づくりで行うということで、まろやかなお茶の味の中にほのかにゴボウの香りが漂います。ぜひ冷めないうちに、御賞味いただきながら御懇談いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

懇談

写真:懇談会の様子2


保室長
 それでは、自己紹介をお願いしたいと思います。着座の順番ということでお願いしたいと思います。
 まず、千田伏二夫さんお願いします。

千田 伏二夫
 1番ということで、まず自分の紹介をさせていただきたいと思います。
 私は、隣の奥州市前沢区の出身です。そこで自分で事業を始めて38年目に入りました。仕事は金属を加工する工作機械を使いいろんな部品を作っております。1番メーンになっているのが半導体の製造装置部品、自動車関係の試作部品、それとF1などの特殊的なパーツ、こういうものを前沢と沿岸の大槌町と花巻の東和町という3拠点の工場を持ちまして総勢107名で現在仕事をしています。ほとんどが一品料理、量産はしません。一つ一つを手づくりでやっていくという仕事を進めていく中で、知らず知らずのうちにKEKさんの素粒子の研究をする部品を依頼されていたことに後から気付きました。我々の場合には、何を取りに行くということではなく、「おまえの所でこういうものができると聞いたけれども、やってもらえるか。」というように来る仕事を精いっぱいこなしていったら、結果的にそれが小柴さんのノーベル賞に使われている素粒子を飛ばす装置の製品だったということです。今はその周辺装置の部品、この間は電磁ホーンという素粒子をボーンと東海村の方から神岡の方に飛ばしていく、その装置の部品を作らせていただきました。
 そのような形で、私たちがここにいながらにしていろんな製品を作れるものづくりの企業として頑張っている技術集団の千田精密工業です。今日はよろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、佐々木 正さんお願いします。

佐々木 正
 佐々木 正と申します。地元平泉町で農業法人アグリ平泉の代表をしています。私どもは、基盤整備された農地100ヘクタールを経営規模として小麦、大豆、ネギ、そして枝豆、それから六次産業として物産販売、ここにしかないコユキコムギという小麦を使ってパン屋を経営しています。
 そういう中で雇用の創出をしながら地元の若い人たちを雇用して、農業の発展というか、未来を見据えた経営をしたいという理想を持って取り組んでいるところでございます。今、構成員15名と従業員8名で取り組んでいます。今度、新たにワインづくりをしようということで、今月(1月)の6日には醸造免許を受けましたので、残念ながらブドウ圃場が無いので、まず現状はリンゴのシードルから始めて、今年の春には植栽にブドウの苗木を植えていこうという計画で取り組んでいるところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、水戸谷 剛さんお願いします。

水戸谷 剛
 多分遠くから来たのは私だと思うのですけれども、改めまして、盛岡にあります東日本機電開発の代表をしています水戸谷と申します。よろしくお願いします。
 会社は名前のとおりなのですが、機械に関わる電気のシステムということで、制御、計装、監視といわれる分野です。主な市場としては上下水道施設や、ごみ焼却プラント、そういうようなシステム、プラントの制御システムを設計から製作、試運転まで行う形でやらせていただいております。昭和46年の創業で今47期、社員数49名となっています。
 さきほど千田社長もおっしゃいましたけれども、創業の思いとして、私はもちろん創業ではないのですが、地域の仕事は地域の中でやりたいと、そのためには技術力をということで、社員は基本的に皆地域の新卒を採用ということでやらせていただいています。少し変わったところですと、平成15年から実はお隣で農業の話がありましたが、我々では環境事業と呼んでいるのですが、農業分野の事業もさせていただいています。
 ILCに関しては、先ほど知事からお話がありました昨年のLCWSにおいて学会に初めて参加させていただきまして、産業セッションの場で、ちょうど今KEKさんに学術指導をいただきながら開発しているテーマがありまして、そちらについて発表させていただくという機会をいただきました。そういったこともありまして、こういう機会もいただけたと思っています。今日一日是非よろしくお願いします。

保室長
 それでは、高橋 幸博さんお願いします。

高橋 幸博
 改めまして、皆さんこんにちは。高橋 幸博と申します。今日は奥州市の水沢区から参りました。仕事は、私は奥州市水沢区で旅行業をさせていただいています。水沢ツーリストサービスと申します。取締役専務をさせていただいております。よろしくお願いします。
 自分は高校卒業後、関東の大学に行きまして、卒業後オーストラリアでの海外留学経験を経て、25歳の時に地元に戻ってまいり、家業でありました旅行業につきまして、今12年目を迎えています。昨年もいろいろなニュース等々がありまして、法改正やお客様のニーズの変化という時代の流れに取り巻かれながら非常に変化の激しい業界になります。そんな中で、今我々が会社としては短期的なビジョンと長期的なビジョン、今必要なこととあとは10年後、ある程度淘汰されてくる部分もあると思いますので、インターネットの発展等々に伴いまして、共存できる部分となくなっていく部分とその辺も踏まえながら10年後、地域に存在しつつ、かつ地域に必要とされている企業でありたいということを目標に夢をもって社員と、近畿日本ツーリストの特約店になりますが、一つの町の旅行屋さんという形で営業から手配、それこそ生徒さんたちがいらっしゃいますけれども、修学旅行の添乗員であったり、企業さんの社員旅行を取り扱いさせていただいているところでございます。
 殊にILCに関しては、どちらかというと、今主にこちらの地元のお客様を外へお連れするというアウトバウンドの仕事をしてきたのですけれども、そちらが時代の流れとともに逆の流れのインバウンドの流れが強くなってきています、実際に問い合わせも入ってきているので、そういった観点から、あと自分の経験談もできるというところから今日お呼びいただいたのかなという感覚で今日は参りましたので、楽しみにしていますので、どうぞよろしくお願いします。
 以上です。

保室長
 それでは、千葉 朱璃さんお願いします。

千葉 朱璃
 一関第一高等学校から参りました2年の千葉 朱璃と申します。私は理数科という理系の方のクラスに所属しています。今学校でやっているのは、私は2月に学校の授業でオーストラリアに行くので、その準備をやっています。それから、理数科のグループで、物理や生物などの問題を取り上げて研究する課題研究の発表が2月初めにあるので、その発表の準備なども頑張っています。
 9月に理数科の研修でKEKに行ってきたのですが、それでリニアコライダーの話も少し聞いて興味を持っていたところだったので、今回の機会はすごくうれしいと思っています。今日はよろしくお願いします。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。千葉 壮汰さんお願いします。

千葉 壮汰
 同じく一関第一高校から来ました千葉 壮汰です。私も理数科に所属していまして、自分が言おうと思っていたことをほとんど朱璃さんに紹介されてしまったので、違う話をしようと思うのですけれども、学校の活動とはまた別に個人で東北大学の科学者の卵養成講座に応募して受かりまして、月に1度、東北大学の方に出向いて留学生と交流会をしたり、あるいは大学教授と科学系の専門的な講座、講義を受けたりということをしています。将来、物理系の方向に進もうと思っていたので、今回のこの県政懇談会に参加できてとてもうれしく思っています。それでは、今日はよろしくお願いします。

保室長
 どうもありがとうございました。大体皆さんがどんな方かということをそれぞれ御理解いただけたかと思います。
 それでは、今日のテーマでございます「ILC実現に向けての取組」ということにつきまして、またそれぞれ普段から取り組まれていること、それから今後に向けての課題など、様々とお持ちのことと思いますので、ここからはお一人につき4分を一応の目安として区切らせていただきまして、お二人ずつ順次進めていきたいと思います。
 それでは、また最初からですみませんけれども、千田社長さんからお願いします。

千田 伏二夫
 改めて、ILCになりますと我々としてはどうなるのだろうとまだはっきりしないこの課題に対して、実際的にどう動くのかというのを決めかねているところが現状なのです。ただ、言えることは、将来的に我々は、今よくアメリカのトランプさんも出て、何か内向きの政策になってきているのではないか、グローバルとはどうのこうのと言われていますけれども、やはり我々中小企業はどうしても海外進出ということは難しいのが現状なのですね。大手の企業はどんどん進出するでしょうけれども、我々はこの地域の中で地元の人たちとどうやって生活するための事業運営を行うかということが一番の課題ですので、そういう意味では今回のILCというのは今までいろいろと国外に行って海外展開しなさいというものから比べると、先ほどツーリストさんが言われたようにインバウンドをどう迎え入れるかという形になってきましたので、このILCというのは正に我々はここで事業をしながら海外のお客さんや研究者など、仕事そのものをここで受けることができて、応えることができる、地元にいながらにして国際的な仕事を進めていくことができるという意味ではものすごく期待をしていますし、ぜひ実現させてほしい。そうすることによって、この地域のものづくりがもっともっと良くなると思います。もちろん県が一生懸命になって自動車や半導体、医療などという分野も進めていただいていますけれども、やはり国際的なものづくりというのはものすごい柱になると思いますので、ぜひ力強く推進していただくことをお願いしたいと思います。私たちもそのような中で国際的な動きもでき、若い人たちにも夢を持たせることができると思っていますので、ぜひお願いしたいということをまず一つお話しさせていただきます。
 以上です。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、佐々木さんお願いします。

佐々木 正
 私どもの農業とILCとのつながりというのは非常に難しくて、どんなことを話したらいいのかと思いつつ来たわけでございますけれども、特に就業人口が25万人、それから面積が100ヘクタールと大きな数字が出ていまして、正に奥州市、それから平泉町、一関市の人口くらいが雇用人口になるというのは非常にすごいことだと思いつつ、ではそうした場合に私たち農業はどういう形で関わっていければいいのかと思った時に、今自分たちが取り組んでいることの延長かなと思っていますけれども、農業人口が10年後には3割が減ってしまう、当然人口も3割が減るということが想定されるわけでございます。そういう中で、この地域の特徴はやはり食文化、農業生産物も当然なのですけれども、食文化をどう生かして結びつけていけばいいのかなという思いをしているところでございます。今度、県では束稲山山麓の世界農業遺産も目指しているということでございますので、これはやはりこの地域にとっては、特に中山間地域は、私たちは平場の1ヘクタールの田んぼを持っていますけれども、全体の半分ぐらいは中山間の農地です。この中山間の農地は非常に耕作面積が狭いわけです。狭い中でほとんどが水稲しかつくっていない。こういう環境では、将来的には耕作放棄が拡大していくという問題があるということで、今回私は東京からワイナリーをやりたいという若者が新規就農で来たので、その彼に協力していただいて、耕作放棄地を利用して束稲山山麓にワインのブドウを植えようということで、実際にスタートをしたところでございます。
 そういうような新たな作物も取り組んでいかないと地域の中で中山間地は遅れていくという思いですし、若い人たちが雇用され、きちんと生活が成り立てば当然農業は嫌いではないと、そういう思いでございますから、そういう人たちをどんどん雇用していかなければいけない。そうしていけば必ず成功する。そうするには、年間で雇用が成立するような農作物を作らなければならないということで、特に我々は冬場の作物が少ないので、そういうものをこれから開発していこうという思いでございますし、道の駅がこの5月には開業するということでございますので、そういうものに対しても野菜や果物など、新たな作物もやろうということで今皆さんにお願いして取り組んでいます。そういう後押しをしながら、私たちは進めていきたい。
 そして、インバウンドの人たちに、この地域の食文化、観光あるいはグリーンツーリズムを通じて、山や農家などを体験していただきうまく活用して、そういうような結びつきができればいいと、ILCと大きな面では関係ないわけですけれども、衣食住、あるいはレジャーとか、そういうところと結びつければいいのかなという考えでございます。
 以上です。

保室長
 ありがとうございました。
 では、ここで知事からお願いします。

達増知事
 まず、農業の関係から先にお話しますと、今世界最先端の加速器があるジュネーブ郊外のCERNの研究施設は農業地帯に囲まれていて、そして、フランス、ドイツの方に入っていくとワインの名産地がアルザス地方、ラインラントプファルツ州などがあって、また岩手県議会でも世界中から集まる研究者の皆さんに岩手の食を食べていただこう、岩手の農産物をILCに生かしていこうということが議論されています。
 先週、私はベトナムのホーチミン市に行ってきて岩手の米やリンゴや牛肉や海産物を宣伝してきたのですけれども、ホーチミン市の方で岩手県に期待するのは、一つは岩手県では最先端の工場や、最先端の技術を駆使した農業が行われているので、そういう先端的な技術や、また投資を期待するという話がある一方、大都会ホーチミン市の都会の暮らしで疲れた人たちを癒してくれるような安心安全な食べ物や、また温泉に浸かってゆっくりできる観光地という役割が期待されていて、先端的な技術や知識があるけれども田舎だというところが期待されていて、外国に行くとあたかも鏡を見た時のように岩手の姿というのが見えてくるところがあって、過去中国の大連市や上海市に行った時も同じような期待がされていまして、岩手県というのは過去、日本の田舎(ふるさと)として日本全国の人たちの安らぎや癒しを提供できる場としてやってきたところがあると思うのですけれども、今やもうアジアの田舎、さらに言えば世界の田舎という期待が持たれていて、私もそういう方向に発展していけばいいと思うということを昨日の記者会見で話したら、今朝の河北新報には河北新報の120周年記念だったかで、東北のあるべき姿6条みたいな提案があって、その第6条、最後のところに田舎であろうと、田舎として頑張っていこうと。その田舎というのはアルファベット、ローマ字で「INAKA」と書かれているわけですよね。まさに世界の中の田舎、東北全体がそういう能力と可能性があるわけですけれども、岩手こそ、まさにそうでなければならないと、私の方が1日早く公表、話すことができたと思っているのですけれども。
 そもそもILCのような大型加速器というのは、これは田舎にしか造れないものでありまして、田舎の証明でもあるのです。大都市には造れません。それは大都市はもう街があって、家があって、その地下に大トンネルを掘るなんていうことはそう簡単ではないこと、プラス大都市というのは沖積平野、川の河口で、川からまかれた土の粘土層の上に大都市というのは大体築かれますので、こういう花崗岩盤があるようなところに大都市というのはできないのです。そのおかげで、岩手は特に北上山地というのは田舎だったわけですけれども、その田舎こそ今世界に求められているということで、「田舎なれどもサーハーエ」というのは南部牛追い唄ですが、田舎だけれども、世界に開かれて先端的な技術、知識がある、そういう中でものづくり産業、そして農業というのも発展していくようにすればいいと思うのです。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、次に水戸谷さんお願いします。

水戸谷 剛
 ILC等に期待することというようなお話もあったのですけれども、学生さんもいらっしゃるので、今日、私はその中でもこの地域にある企業を経営している立場として、一つお話しさせていただきたいと思います。
 それこそ県の皆さんのおかげでといいますか、12年頃から、ILCということをお知らせいただいて様々なセミナー等に参加させていただく機会をいただいたおかげで、今このような研究等が進んでいるわけですけれども、私自身がなぜこういうような形で参加するようになったかといいますと、基本的に企業である以上、自分で変えられない環境、この環境変化にきちんと適切に対応していく必要があるだろうというように思っています。その中で、いい面、悪い面、いろいろな面を冷静に見ながらというように思いますが、既にILCというのはこの地域、岩手において大きな環境、経営環境の変化として捉えられるだろうというように思って参加させていただいてきました。
 おかげさまで、それこそKEK等も見学させていただいた中から、いろいろな御縁をいただきまして、北上にあるWINGさんという会社さん、八戸に工場があるのですけれども、マルイ鍍金という会社と加速器の電解研磨をする仕組みについて共同研究をさせていただき、LCWSでも発表させていただくことができました。
 実は、私説明下手なので、会社案内にLCWSのときのポスターも入れさせていただいているのですが、実はLCWSの際、我が社として発表したテーマはこの電解研磨ではなくて、グリーンILCというキーワードを元にして、ILCが運転した際に排出される熱エネルギー、廃熱を農業に活用できるという思いで、実はこれが大船渡にある木楽創研さんという木骨のハウスをやられている会社、釜石にある石村工業さんと連携しながら展示させていただきました。なぜこういうことかといいますと、私がすごく感じるのは、こういう機会において、黙っていても何らかの仕事や、地域で価値を与えているわけですから、そういうことがあるかもしれないですけれども、こういう環境において、それを機会と捉えて、できるだけみんなでやらないかと。最初にも申し上げましたけれども、地域のことを地域でできるようになりたいというように思っているのです。
 一昨年ですか、県で中小企業振興条例を作っていただき、昨年にはその基本計画、この理念にも地域の経済、暮らしを支えているのは地域の企業であるということで。その企業が主体者として自主的に努力をしていくべきだろうと、それについてはどんどん地域と企業がそうやって取り組んでいきたいと思いますし、その理念の中にもそれを行政の皆さん、地域、関係の皆さんで努力している姿を支えていけるような地域になっていければいいなというように思っています。その中で、この場でお話しすることなのかどうか分かりかねますが、研究開発をしている中で、二つ感じていることがあるので、お話しさせていただきたいと思います。
 一つは、ILCというテーマについて、大分広がってきた感触をもっていますが、比較的我々のようなものづくり系というところがまだ中心なのかなと思います。実はKEKを視察したときに、あのKEKの施設、毎日50人ほどの庭師さんが1年中働いているそうです。そういう施設ができればそういうような仕事もあるわけですよね。先ほど申し上げたとおり、農業の分野にもいろんなことが生まれる可能性があり、もっともっと広く地域の企業が関心を持って取り組めるようなことを是非支援していただきたいということと、あともう一つは、一企業として我々も研究開発に取り組んでいます。これは企業としての努力ですので、当然だと思います。ただ、やっている中で、実は岩手県立大学の鈴木学長がおっしゃっていたのですが、実際にその施設ができた時にその中に係わる加速器などを作る、もしくはできた後のメンテナンスを行う、そういう箱がやはり一企業の努力では難しいところが出てくると思います。そういうような分野に県、もちろんオール東北ということも含めてですけれども、そういうようなところで何かイニシアチブをとって、地域の企業の努力が発展的に進むような御支援が何かあるとうれしいと私は思っています。
 適切かどうかわかりませんが、私からは以上です。

保室長
 わかりました。
 続けて、高橋さんもお願いします。

高橋 幸博
 よろしくお願いします。私の方も今まで業界がアウトバウンドでやってきたので、これからの分野ということで苦手な話にはなるのですが、それと同時に、私は旅行会社で12年ほど勤めましたし、その他の部分として、まちづくりの部分として地元であります岩手県奥州市の水沢青年会議所に所属して10年になります。そういう観点で、まちづくりの観点、民間のまちづくりの観点からILCに関しても話が盛り上がった時から県南広域振興局にもお世話になりましたし、奥州市の担当者からもお話を聞いてきて、自分の肥やしとしてきたわけなのですけれども、両面から自分の思っているところを話させていただければというように思います。
 まず、観光面においては、昨年度までしきりに語られていた、今中国の方たちが多く日本にいらっしゃっているので、その方たちのいわゆる爆買いというものが一段落したというニュースが出たと思います。そんな中で業界で言われているのは、中国の方たちに限らず、海外からの訪日旅行客の皆さんのニーズというのが物から事に変化していくだろうということが言われています。
 そういった観点からいえば、このILCというのは観光面において非常に強い県の観光を支える資源となっていくと思います。我々の業界に関しては、そのILCも数多くある岩手県の魅力の中の一つということになっていくと思っています。
 今、水戸谷さんからも話ありましたけれども、これが実現すればほぼ毎日のように岩手県の施設には視察団であったり、研究の学生さんも来るのかもしれません。皆さんが多くいらっしゃることになるのだろうと予測しています。今、仕事をしていても、茨城県のつくば市であったり、スイスであったり、私もその仕事のお手伝いをさせていただいたこともありましたので、世界レベルでそういう方たちがいらっしゃることになるのだろうと思っています。
 また、建設という部分に関しても必ずしもその分野の人たちだけでなくても建設関連の人たちが来る、お見せすることもできると思いますので、そういった形では、要望としては早い段階からお見せできる何らかのシステムを構築していただければ、我々の業界はそういう方々をお連れできると思います。入れなければお連れすることができませんので、達成していただけると非常にいいと思います。
 そんな中で、海外の方たちから問い合わせを受けることも最近出てきたのですけれども、この地域においては言葉の問題というのがやはりうちの業界はまだ遅れています。はっきり言うと恐らく中国はおろか、英語を話せるバスガイドが少ない、下手したらいないのではないかというのを耳にしたことがあります。それで国際交流協会などの力を借りたりして乗り越えてきている問題なのですけれども、これからその辺は我々手配する立場の者も含めて改善というか、勉強していかなければいけない点だと捉えていて、実際、街がそういうようになればおのずとそこで暮らす人は対応していくのだろうというように私も含め思うのですけれども、その辺はなっていっていただけるといいなというように思っています。
 また、もともと私が暮らす奥州市に関しては国立天文台もございますし、先ほど話がありましたけれども、農業についての科学的観点からいろんな研究をなさっていますので、学術都市としての可能性というものを大きく感じていて、そういう面からも学生さんの受け入れも可能性としてはあるのかというように思っています。
 また、懸念材料としては若干、宿泊関係が県南地域は弱いので、そういう面、受入体制など、それは東の方の山にぼこっと温泉でも湧いてくれれば話は別なのですけれども、観光、視察の皆さんを受け入れる受け皿というのは必要なのかなと思っています。
 また、それと同時にうちの業界は人材難、人材育成という部分に関しても課題を抱えておりまして、先日、奥州市の担当さんの方から話を聞く機会がありまして、当然ILCが実現すれば雇用というのは出てくるであろうと。ただし、まちづくりにおいて人口論を語るのは野暮なのかもしれませんけれども、人口は実際増えるかどうかは微妙だという話を聞いたことがありまして、雇用は間違いなく増えるでしょうと。ただ、現段階で県南地域に雇用の問題がある以上、不安材料はあるので、交流人口、定住まではいかないのですけれども、地域に多くの人が来てくれて、盛り上がっていってくれればおのずと解決に向かっていくのかなと日々感じてやっているので、そういういろんなまちづくり団体に所属して民間の立場から地域を盛り上げていければいいと思って活動をしていましたので、これからという部分で勉強しながら探っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。期待しています。ありがとうございます。
 以上です。

保室長
 それでは、ここで知事の方からコメントをお願いします。

達増知事
 水戸谷さんはもう既にセミナーに参加されたり、LCWSでプレゼンをされたりというか、もう既にさまざまKEKに提供できるようなものを実際に作ったり、提供したりしているような段階に入ってきていて大変素晴らしいと思います。
 ILCとものづくり産業との関係については、いざ工事が始まって、そしてそれが完成して使われるという段階での仕事以前に、実は日本はKEKを中心に加速器関係の科学の世界の一大拠点であって、また加速器科学というのはイコール加速器工学というか、研究施設、研究機材をどんどんつくっては、さらに工夫を重ねて、新しいもの作りという、そういうことをどんどんやっていかなければならない分野でもあるので、千田精密さんもそうですけれども、今のうちからKEKに提供できるものづくりをどんどんやっていくというのがいいのだと思いますね。そして、おのずとILCの工事着工から稼動の段階に入って、自然にそれに必要なものを提供できるようになっていくのではないかと思います。
 そして、高橋さんのツーリズム、おもてなし関係ですけれども、これも既に今の奥州市なり、今の岩手県南地域にどんどん来てもらうということは、ILCができる前からそういうニーズが既にあり、また可能性もあるので、やはり今のうちから外国人観光客、またILCができれば見学や学習旅行とか、なるほど日本人もたくさん来てくれる可能性もあるので、今のうちからそういう日本人、外国人、それぞれに合わせた旅行商品の造成、何をどう見てもらうかとか、そういう工夫をしていくことが必要なのだと感じました。
 言葉の問題も、これはイコール人材育成とともに今のうちから力を入れていきたいと改めて思いました。まず、ペラペラと話せるような人たちがある程度必要だし、あとは実際に観光の現場などでは言葉が通じなくても何とかできる人材というのが求められると思います。盛岡市の中心部のある旅館は、女将さんを初め従業員外国語はほとんどできない、片言なのだけれども、欧米中心に結構お客さんが来て、片言で電話予約を受けて、泊めて食べさせて、お金をもらって帰ってもらうというのを片言でやっている旅館があったりしますので、そういう人材と、あといざとなったらしっかり言葉でいろいろ対応できるような人材とそれぞれ育てていく必要があるのだと思いました。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、次に千葉 朱璃さんお願いします。

千葉 朱璃
 ILCの建設に関して、私は会社をやっているわけではないので、直接どう関わっていったらいいのかというのも全然わからないので、そのわからないなりに考えたことがあるのですけれども、まず北上山地に巨大な施設を造るということなのですけれども、その施設を造る時にまず北上山地は大きいので、その周辺の地域の人たちといってもたくさんいると思うのですけれども、そういう人たちにまずこのILCがどうしてここに建つのか、どのように役立つか、どのような目的のために建つのか、建設にどれくらいの期間必要で、それからどれくらい稼働しているのか、メリット・デメリットなどたくさんあると思うので、まずそれをこういうリニアコライダーに関わっている人たちはある程度知っていて当たり前のことなどもたくさんあると思うのですけれども、私のように今回の機会をいただいて、「ああそうか、勉強しなければ。」と言って勉強する人もいると思うのですけれども、全然わからないで、「そうだ。リニアコライダーが建つのだな。建設されるのだな。」という、どこか他人ごとのような人も絶対にいると思うので、そういう人たちにも建設されてから、結局要らなかったじゃないか。」と言われないように、まずは事前の説明をしっかりしてほしいというのがわからないなりに考えたことでした。
 それで、自分なりにILCを造るメリットを考えてみたのですけれども、今4人の方々がお話しされたようにその会社毎に様々な形でILCに関わっていくと思うのですけれども、まず私が最初に考えたのがILCがある岩手ということで、岩手をPRすることができるのではないかということです。
 それから、ILCに関わって研究者も外国から来たりとか、もしかしたらその家族も移り住んできたりということもあるかもしれないので、そういう人たちで外国の方々とコミュニケーションが今よりももっととれるようになって、国際化というとばふっとはしているのですけれども、今までとは違った環境で、環境の変化もありつつ、新しい岩手みたいな感じをつくっていけるのかなとも考えました。
 それから、さきほど、雇用が増えるという話もあったのですけれども、それも私は考えていまして、ILCというのはかなり巨大で北上山地にそれだけを埋めるというだけではなくて、周りに施設も建つと思うので、そういうところで働く人たちも増えたりとか、私たちがKEKに行ったみたいに、先ほどの話でもあったのですけれども、そういうように他のところから岩手に来てILCを見たりとか、そういうことにもつながっていいのではないかと思います。
 私が実際に思ったことなのですけれども、進路を決める時に、文系か理数科で迷ったのです。それで、結局理数科にはしたのですけれども、いまいち数学や物理に興味が最初はなく、しかし理数系は嫌いなわけではなかったので、レベルの高い環境で勉強したいと思って、理数科というのを選んだ部分もあったので、最初、物理などがよくわからないという部分もあったのですけれども、今回の機会をいただいて、ILCのことを少し自分なりに勉強して、物理などに興味を持っていたので、そういう学生などにも物理や科学などに興味を持ってもらえるきっかけにもなるのではないかと思います。

保室長
 ありがとうございました。
 それでは、千葉 壮汰さんもお願いします。

千葉 壮汰
 緊張してうまく話せるか心配ですが、頑張りたいと思います。
 高校生という立場である以上、将来のことを考えなければならないと思って、私自身理系の道を進もうと決めていて、ただ理系の道を進んでいくに当たって不安なことがありまして、現在大学への研究予算が国で6億円という記事を目にしまして、国際的に見てとても少ないようで、実際に理系の論文数もひと昔前まではアメリカ、日本、中国と日本が2番目だったのですが、近年中国に追い越されてしまい、今は3位となっています。
 昨年、オートファジーでノーベル賞を受賞された大隅教授は、「基礎研究は役に立たない。ただ、基礎研究があるから役に立つ研究ができる。」ということをおっしゃっていました。今、日本政府としては恐らく役に立つ研究をたくさんさせて、経済効果を上げようという方向に進んでいると思います。それに関連して安保予算というのも提案されているようで、基礎研究が要らない研究として見られているのかなと思いまして、その点に少し不安を感じています。
 ILCは、言ってしまえば役に立たない研究をするわけで、宇宙の始まりを知ったところで何か経済効果が上がるだとか、新しい商品が開発されるというわけではないのですが、ただその研究があるからこそ何かに役に立つ研究ができるということをこのILCの建設を契機にして基礎研究に対する固定観念のようなものが払拭されればいいのかなと考えています。
 具体的には、例えば中高生を対象にしてILCの見学会などを開いて、そこで理系の基礎研究の方にもしっかりと関心を持ってもらったり、そういったことができれば恐らく日本がこういう研究で世界の先頭に立っていけるのかなと思っています。
 以上です。

保室長
 ありがとうございました。
 では、知事からお願いします。

達増知事
 二人とも千葉さんということで、岩手県南らしい名前でありますけれども、大河ドラマで龍馬伝という坂本龍馬を題材にしたものをやっていた頃に小学館が坂本龍馬と謎の北極星信仰という本を出していて、その本の編集者から私がインタビューを受け、話したことがその本に載っているのですけれども、坂本 龍馬が剣術を習った北辰一刀流の千葉道場というのは千葉 周作という陸前高田出身の人が開いたもので、北辰一刀流の「北辰」というのは北極星という意味なのです。それで、岩手だと東山町の唐梅館で毎年、千葉氏の軍議を再現するお祭りが開かれていますけれども、その千葉氏も北極星信仰していた一族で、それは岩手県南に広く千葉氏は勢力があったのですけれども、もともと遡ると平 将門の親戚から出ていて、鎌倉幕府建設に尽力したり、そして幕末の明治維新においても北極星の位置から地上を見下ろすように剣術する時でも自分と相手を上から一つのものとして見下ろせば負けないみたいな考え方で、それが坂本 龍馬の薩長同盟とか大政奉還など、そういうことに生かされたという本があって、その中で岩手もそれに深く関連していて、岩手でも千葉氏は活躍しているということを私はその本で言っているのですけれども、現代でも活躍する千葉氏がいて、大変いいなと思っています。
 千葉 朱璃さんが物理、数学が余り好きではなかったということですが、好きではないのにできるというのはすごいと思うのですけれども、基礎的な問題集の反復練習などをやっていると嫌いになっていくかもしれないのですけれども、ある程度難しいことをやった方が好きになれると思いますよ。高校生というのは、高校生として習うべきことを習う、どこか大人たちがやっているようなことと同じレベルのことをやれるのが高校生だし、そういうことにも挑戦していることで未来が開けてくると思います。
 そういう大人たちの理系の世界を壮汰君の方は垣間見ながら大丈夫かなという問題意識を持っていてくれて大変いいと思います。でも、文系はもっと危機的な状況になっていて、大学の文系学部の方は予算どころか、「学部をなくしてしまえ。」、あるいは「学科をなくしてしまえ。」というようなすごいことになっているのですけれども、でもそういう文系の学部、学科にせよ、理系の基礎研究部分にせよ、これはやはりあった方がいいし、なくてはならないものでもあるので、県からもいろんな機会に「そういうものを残しましょう。」と文部科学省などいろんなところに働きかけているところです。
 一方、そういうものが先細るとしても、そういう中であえてその道を選んでいる人たちというのは貴重な存在になるので、かえっていろいろと取り上げられたり、成功したりする可能性は増えるかもしれないので、いずれ自分が好きになったり、また自分はこれが得意だと思うようなところはどんどん伸ばしていけばいいのではないかと思いますね。

保室長
 ありがとうございます。
 ここまで一通り皆様からILCに関する様々なお話を頂戴したところでございますけれども、ここからはまだ時間もございますので、これまでそれぞれ皆さんからお話があったことについて、「この方にこういうところはどうでしょうか。」と、特に高校生の皆さんからこちらの大人の人たちに何か「こういうことはどうなのでしょうか。」というようなことがもしあればと思います。
 私が一つ気になったのは千葉 朱璃さんのお話の中で、政府が決めたわけではないので、本当に建設できるかどうかというところはまだはっきりしないわけですけれども、地元としては随分、ILCとはどんなものかなど、様々、県としてもPRやいろいろなところで説明、座談会などをやってきているのですけれども、そういう直接関係がないけれども、地元にILCのそばに住んでいるからということで、そういう人たちを大事にしなければいけないというようなお話がありましたが、どうでしょう。大人の皆さんというか、ここ数年で、ILCということに関する地元の理解、認知あるいは盛り上がりは随分変わってきているという感じは体感としてありますか。どうでしょうか。

水戸谷 剛
 それこそ、私が参加し始めた4年前に比べると格段に増えたと思います。ただ、具体的な内容などについてはまだまだわからないと思うし、むしろ逆にマインツ大学の齋藤先生が回られたりして、子どもたちの方が勉強していたりすると感じます。でも、こういうことをきっかけに、それこそどんなメリットがあるのだろうかと考えるきっかけになって、私は文系、理系に限らずと思っているのは、どんなことも役に立たないことというのはないと思うのですけれども、どんなことをやっても目的がないと役に立たなくなってしまう。そういうことを考えるきっかけになるということだけでものすごく意味があって、少なくともここの二人にとってそういう効果があったということは良いことだと、すごい二人だと思って聞いていました。

千田 伏二夫
 やはり、格段にILCということに関していろんなPRがされています。ただ、それをやる中で、「俺に何か関係があるの。」というように思う人たちが出てきているということは、そういう話があるからそう思うのであって、それがない中で、「俺に何か関係があるのや。」と言ってもできないと思うのです。そういう意味では、やはりいいチャンスをみんなに与えているということですので、本当にこれから、学長もよく言っていますけれども、いろんな団体があるけれども、東北なら東北として一本化して、その中で本当に一丸となっての誘致活動をやったり、若い人たちに夢を持たせるような、しっかりとした基本的な考え方を出していく大切な時期に入っているのではないかというように思います。それはぜひお願いしたいですね。

保室長
 ありがとうございます。
 どうぞ。

佐々木 正
 農業面で思っていることなのですけれども、特に旧東磐井については酪農地帯あるいは肉牛地帯でございますから、環境にどういう影響があるのかなと思うこと、例えば振動などが無いのか、あるいは放射能などが発生しないのか、そういう簡単な疑問を持っているわけですけれども、いずれそういうようなことに対しても丁寧に答えていくべきだし、そういう機会があればその辺は問題がないですよというようなことをどんどん宣伝する必要があるのではないかと思っているところでございます。

保室長
 どうもありがとうございます。
 今の心配の話は、割と地元でも取り組まれているのですよね。

堀江局長
 そうですね。私どもの方でも、先ほども少しお話があったように、中学生などを対象とした出前授業を実施したり、あるいはセミナーのような形で一般の住民に対する様々な周知は努めているところですが、ただいま御提言いただいたお話、大変私どもも参考になります。関係がないと思っている方々にとって、実は大いに関わりがあるということをいかに知ってもらうか、そういうアプローチも大事だと伺いましたので、県南広域振興局としても今の御提言をいただき、一般の住民の皆さんにも、さらに関わりがあるということを知っていただくように努めていきたいと思います。ありがとうございます。

保室長
 あと他に何かありますか。
 どうぞ。

高橋 幸博
 先ほどの話の続きにもなりますけれども、実際にILC計画が実現するかどうかというのは、結局最終的には国の方が決めることだと思うのですけれども、そんな中で我々県民としては、皆さんのPRというのもあったりしてほぼ浸透していて、うちの町の皆さんも実現するものだという前提の下に活動しているというような感じになってきていると思います。正直、私もそう思い、やっているのですけれども、そこで議論になってきているのが我々民間サイドでどういうことができるのかという話にシフトしてきていて、「外国の人にしろ、そういう研究者にしろ、受け入れるためにはこういう部分が改善されれば自分たちの地域はよくなるよね。」というような話がされるわけです。結局、最近出てきているのは、「ILCがあろうが、なかろうが、その議論というのはとても必要なことだよね。」という話が出てきていて、例えばうちの町だと医療関係では、自分は昨年第一子が誕生しまして、今かわいくてしようがない時期なのですけれども、うちの地域は産科が非常に弱い地域なのですけれども、そういう部分のケア、本当にそういう議論になってきているのですけれども、ILCから波及した話ではありますけれども、直接関わっている話ではないものを突き詰めていくと結局とてもいい、魅力のある地域につながっていくというか、それをやっていればいずれ実現に結びつくのかなという議論になってきています。黙って我々はいい地域をつくる努力をしていればいいのかなという感覚に達しているということです。
 以上です。

達増知事
 そうなのですね。まさに極端な言い方をすればILCができるにせよ、できないにせよ、そういう方向に地域を持っていかなければならない。製造業は高度化していくべきだし、外国人受け入れ体制も高度化していくべきだし、それは県民にとっての産業や、また暮らしやすさを高度化し、そこには農業、自然と一体という要素が重要になってくるということは、ILCが実現しようが、しまいがその方向で、それはまた裏から言うとILCの建設というのは、決して岩手のあるべき姿をねじ曲げてしまうような話ではなくて、岩手のあるべき姿の方向性にぴったり沿ってILCの建設というのは実現できるものなので、だからこそ、やはりILCの建設ということが望ましいということにもつながると思うのですよね。県民の皆さんにそういう理解を広めていきましょう。

千田 伏二夫
 それはやはり大事なのですよね。ものすごくいいきっかけをいただいているということだと私は思うのです。我々ものづくりも素粒子の研究というのは、いろいろとノーベル賞をもらったり、何だりやっているのは他の方の話で、俺には関係ないと思っていたのですけれども、そういうことを日本でやっているのだと、そしてそれだけの設備もあったのだというようなことにみんなが気付くようになってきているというのはすごいことなのだと私は思うのです。
 ですから、先ほど言われたようにILCが来るか来ないかというのはまだはっきりしないのですけれども、これに関わる加速器というのは国内にたくさんあるわけですよね。東北でも今、東北放射光を初め青森でもそういうものをやっていくという、これらが身近に聞こえるようになってきて、そういうところにものづくりのチャンスもあるのだというのがわかるようになってきている。これらももっともっとアンテナを高く上げて、海外からも持ってこれるというようになってくれば本当のグローバルというように私も考えているのです。
 先ほどからたくさん話があった農業もみんなそうですよね、今、観光で海外から来る人たちにどう提供するかというのも、これもやはりILCが来ようが、来まいが、それに合わせて提供できるような野菜などをどうつくるかというのは同じだと私は思っています。
 言葉の問題ね、私は20年ぐらい前にイギリスの企業と国際ライセンスを結んだ事業実績があります。工業の分野で専門的なものになってくると必ず向こうの方が勉強してくるのです。本当に、我々にわかりやすく説明もします。それと通訳の人も来ます。そういうようにすると、そんなに極端にILCが実現するから、もうみんなが勉強しなければだめだとかどうのこうのではなくて、自然の中で必要なときに受け入れる方法をとっていって、それがやがてそういう結果になった時点でも対応できるのだというように持っていけるのではないか、そこに合わせて若い人たちはやっていくのではないかなと思うので、よろしくお願いします。期待します。

保室長
 高校生のお二人、今日のこのような場での何か感想がありましたら、お聞かせいただければと思いますが、どうでしょうか。どうぞ。

千葉 朱璃
 さきほど、ILCは岩手のあるべき姿に沿ってというお話があったのですけれども、それが自分的にはすごく新鮮で、私はメリットとデメリットを考えていて、デメリットで北上山地の緑を壊してまで建てる意味があるのかなということも少し考えていたので、ILCが岩手のあるべき姿に重なっていくという考え方はすごくいいなと思いました。

保室長
 では、壮汰さんお願いします。

千葉 壮汰
 ILCが田舎の証明だというのはすごく印象に残っていまして、ILCと聞くと最先端の機器がすごく詰まったハイテクなものだというイメージしかなかったのですけれども、田舎だからこそできるという点で、すごく感心しました。

保室長
 ありがとうございます。

知事所感

保室長
 それでは、そろそろお時間になったようでございますので、後半の話なども含め、最後に知事から一言まとめていただければと思います。

達増知事
 既にILCに関連して、あるいは地域の中でそれぞれの分野で一歩先んじている皆さんのお話を伺うと非常に勇気が湧いてきますし、また希望が広がっていくというように感じました。
 今年はILCの建設決定の勝負の年と言われていて、政府の方で、厳密には文部科学省の下に置かれている委員会の方で結論を出していく年に当たるので、県としてもいい結論を、なるべく早く出してもらえるように地域の皆さん、そしてオール東北で頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

閉会

保室長
 これをもちまして県政懇談会を終了させていただきます。
 ありがとうごさいました。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 広聴広報担当(広聴)
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5281 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。