3 転勤命令は断れないのか。

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ページ番号1015775  更新日 平成29年8月3日

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 盛岡市内の会社で営業部員として勤務していますが、会社から関東の営業所への転勤を命じられました。共働きであり、転勤するとすれば家族と別居せざるを得ないため、できれば転勤したくありません。転勤を拒むことはできるでしょうか。

 労働契約上、勤務場所が限定されている場合には、転勤を拒むことができます。
 勤務場所の限定がない場合には、会社は、労働者の個別の同意がなくとも転勤を命ずることができますが、転勤について業務上の必要性がない場合や、不当な動機・目的をもって行われた場合、労働者が通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を被るなどの場合には、転勤の命令は権利の濫用となり、労働者は転勤を拒むことができます。

 「家族と別居せざるを得ないため」できれば転勤したくないとのことですが、裁判例では、東京の営業所から名古屋営業所に転勤を命じられ、共働きであったため、妻子と別居せざるを得なかったという事案について、次のような事実関係の下では、転勤命令は業務上の必要性に基づくものであって、不当な動機、目的をもってなされたものではなく、労働者の被る不利益が社会通念上甘受すべき限度を著しく超えるものということはできず、転勤命令を違法なものということはできないとしたものがあります(最二小判平成11年9月17日 帝国臓器製薬(単身赴任)事件)。

  • 会社が長年にわたり人材育成と人的組織の有効活用に効果があるものとして広域的な人事異動を実施していること。
  • 労働者が15年間都内で営業を担当し、都内を担当する職員の中で最も担当期間が長い職員の一人であったこと。
  • 名古屋と東京とは新幹線を利用すれば約二時間程で往来できる距離であること。
  • 会社が別居手当、住宅手当を支給するなどの措置を講じていること。

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