令和4年 年頭における知事訓示

ページ番号1049243  更新日 令和4年1月4日

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とき:令和4年1月4日(火曜日)
ところ:県庁3階 第一応接室(録画)
対象者:全職員

年頭における知事訓示

 令和4年の年頭に当たり、訓示を行います。

 

 昨年は、1年を通じて、新型コロナウイルスの流行が続きましたが、大谷翔平君の活躍に励まされ、また、一戸町・御所野遺跡の世界遺産登録や、「いわてグルージャ盛岡」のJ2昇格もあり、さらに、スポーツ・文化芸術分野での若い世代の大活躍に元気をもらうことができた1年でした。

 「いわて県民計画(2019~2028)」は、第1期アクションプランの3年分を終えようとしており、新型コロナウイルスの流行下でも、各分野の政策が進みました。

 年の瀬には、青森県での高病原性鳥インフルエンザや宮城県での豚熱への対応もあり、慌ただしい面もありましたが、展望を持って、新年を迎えられたのではないかと思います。

 

 新型コロナウイルスの流行は、県内では、昨年の秋以降、陽性ゼロが長く続く状況でした。これは、一昨年7月29日までの陽性ゼロに次ぐ、感染が少ない状況です。

 岩手県の感染の少なさについては、様々な理由が指摘されていますが、県民の皆さんの感染対策によるところが大きく、改めて県民の皆さんに感謝したいと思います。

 また、対策の実施に当たり、国や市町村、医師会や経済団体など、関係機関・団体と、これまでにないレベルでの緊密な連携を取ることができました。

 岩手県は、全国的に見ても、世界的に見ても、感染リスクが低く、基本的には、他の地域よりも、社会活動や経済活動を積極的に行うことができる県です。

 しかし、そのような比較的恵まれた条件下でも、多くの個人・事業者が困難に直面し、あるいは困窮するということが、新型コロナウイルス感染症問題の本質です。岩手県として、困難に直面し、あるいは困窮する個人・事業者への支援に、一層、力を入れていきましょう。

 また、改めて、感染した人を咎めず、むしろ優しくするということを徹底して、新型コロナウイルス感染症にまつわる差別や偏見がないようにしましょう。

 

 東日本大震災津波から、今年の3月11日で11年になります。これまで、職員の皆さん、そして、全国の自治体等からの応援職員の皆さんとともに、復興を進めてきました。

 昨年12月の復興道路の全区間開通が記憶に新しいところですが、新たな高規格道路ネットワークの構築により、沿岸が一つになり、沿岸と内陸が一つになり、岩手県が一つになりました。岩手県の復興がここまできたということを、私たちは強く認識して良いと思います。

 引き続き、残された海岸保全施設等の早期整備を推進するとともに、こころのケアやコミュニティ形成など被災者一人ひとりに寄り添った支援、さらには、水産業における水揚げ量の減少対策や担い手の確保、商工業における販路回復や従業員の確保など、被災地の実情を踏まえた対策を講じ、切れ目のない復興を進めていきましょう。

 「東日本大震災津波伝承館」の来館者は40万人を超えました。今後、東日本大震災津波の事実と教訓を、後世や国内外の人々に伝えていくことがさらに重要となります。

 今年の3月11日には、「東日本大震災津波を語り継ぐ日条例」の趣旨を踏まえ、県民の皆様と共に、多くの尊い命に追悼の意を表すため、大槌町と合同で、追悼式を行います。

 

 「いわて県民計画(2019~2028)」第1期アクションプランは、来年度、計画期間の最終年度を迎えます。ラストスパートをかけるべき分野や、情勢の変化に合わせて柔軟に進めるべき分野など、工夫しながら、県民本位・現場本位で、次のステージに向かいましょう。

 昨年も、新型コロナウイルス感染症対策に追われた1年ではありましたが、県政の各分野で多くの進展がありました。

 御所野遺跡の登録で、平泉、橋野鉄鉱山と併せ、国内最多の3件となった世界遺産、東京五輪開会式で、ルワンダ選手団が八幡平市の「りんどう」の花を持って入場するなど、ホストタウン関係国との間で生まれた強いつながり、「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」との連携による、地域医療の強化に向けた政策提言や機運醸成の実施、株式会社エルテスの紫波町への本店移転など、IT関連産業の集積の進展、岩手・東北の魅力と復興支援への感謝を発信した、「東北デスティネーションキャンペーン」の展開、「うし年は岩手の年」として、いわて牛などの消費拡大を促進した「いわてモー!モー!プロジェクト2021」の実施、「第16回食育推進全国大会」における、食育の重要性と多様な食の魅力の発信、ILC国際リニアコライダーの実現に向けた、政府への誘致決断を促す要望の実施や国民理解の増進など、それぞれ、関係部局の尽力により、力強く進めることができました。

 今年も、各分野において、成果を出していきましょう。

 また、今後、岩手県が持続的に発展する原動力ともなる、「いわてデジタルトランスフォーメーション推進連携会議」を中心とした地域社会や学びの場の「デジタル化」や、温室効果ガス排出量2050年実質ゼロに向けた再生可能エネルギー導入促進等による「グリーン化」を、オールいわてで強力に進めていきましょう。

 特に、豊かな森林環境を次世代に引き継ぐ契機となる、来年春の「第73回全国植樹祭」に向けた準備を着実に進めるとともに、間伐等による森林整備や県産木材の利用促進などに取り組んでいきましょう。

 スポーツの力は、県民に大きな活力を与えます。来月の「全国高等学校総合体育大会スキー競技会」や、9月の「日本スポーツマスターズ2022岩手大会」、来年2月の「いわて八幡平白銀国体」の開催に向けた準備を、関係団体と連携して進め、成功させましょう。

 

 昨年、岩手県出身である原敬元首相の没後100年を迎えました。100年に1人と言われる偉大な政治家・原敬元首相が貫いた、地方を重視する姿勢は、今日の日本、そして岩手県が進むべき道しるべになるものと考えています。

 新型コロナウイルス感染症の首都圏を中心とした拡大や、首都直下型地震等の大規模災害のリスクを踏まえれば、国による東京一極集中の早急な是正が求められます。

 一方で、岩手県には、豊かな自然や幅広い産業基盤など、安全に働き、暮らし、学ぶ、安心できる環境が備わっており、こうした強みを生かし、人々の暮らしや仕事を起点とする政策を一層推進することにより、岩手への新たな人の流れを創出、拡大していくことが可能となります。

 コロナ禍で強まった地元志向・地方志向の追い風に乗りながら、今月発行する「いわてダ・ヴィンチ2022」等による岩手県の魅力発信や、ライフステージに応じた若者への住宅支援、「性別による固定的な役割分担意識をなくそういわて宣言」を踏まえた誰もが能力を発揮できる環境づくり、様々なツールや「いわて暮らしアンバサダー」を通じた、移住・定住を促進する積極的な情報発信、先月新たに設置した「いわてで生み育てる支援本部」を中心とした、結婚、妊娠、出産、子育て支援施策の総合的、効果的な推進などにしっかりと取り組み、地方創生・ふるさと振興を推進・強化していきましょう。

 

 来年度は、「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランを策定する年度となります。

 新型コロナウイルス感染症対策を通じて、様々な団体との連携が強化され、また、県民の皆さんと、危機意識や目標を共有しながら、行動していくことができるようになりました。

 この成果を、第2期アクションプランの内容や策定プロセスに生かしていきたいと考えます。

 さらに、新型コロナウイルスの流行で、都道府県に対する注目が増え、全国知事会も、より大きな役割を果たすようになりました。

 人の命と健康に関わる重要課題に対し、県が有効に機能しているという経験に基づき、あらゆる分野の政策推進や、様々な形での個人の幸福追求に対し、県という存在が本当に頼りになる存在になれるよう、その仕組みづくりや運用を議論し、実行していきましょう。

 

 複雑・多様化する県民ニーズに対応した、持続可能な県民サービスを提供していくには、県行政を支える職員の皆さんのワーク・ライフ・バランスを確保する、働き方改革が欠かせません。

 職員一人ひとりが、仕事と生活の調和を保ち、明るく、いきいきと働ける職場環境の実現に向け、「岩手県庁働き方改革ロードマップ」に基づき、モバイル通信環境の整備や電子決裁・文書管理システムの本格導入によるリモートワークやペーパーレスの加速、育児や介護等との両立が必要な職員を対象とした、フレックスタイム制の導入など、柔軟で多様な働き方を推進するとともに、効率的に業務を進め、計画的な休暇の取得や超過勤務の縮減を行いましょう。

 また、部局横断的に取り組むべき戦略的な政策課題に対し、縦割り行政を一掃し、全庁一丸となって取り組む意識を改めて持ちましょう。

 岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令遵守」、「地域意識」。これに常に立ち返りながら、引き続き、力を合わせて取り組んでいきましょう。

 

 今年の1月8日は、「盛岡県」から「岩手県」に名称を変えて150年目の節目です。また、令和8年には、現在の岩手県の県域が確定してから150周年を迎えます。

 この令和4年度から令和8年度までの5年間を「県政150周年記念期間」と位置付け、県勢発展の歴史を振り返り、県民の皆さんが、県の来し方行く末に思いを致し、県全体の希望が膨らむような、様々な記念事業を展開します。

 職員の皆さんには、県職員であることに、改めて誇りを持ってほしいと思います。そして、皆で力を合わせて何ができるか、何をすべきか、県というものの存在意義やこれからの役割を共有し、行動に移していただきたいと思います。

 

 「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」が、手が届かないような遥か彼方の目標ではなく、日常的な心掛けのような目標になるように頑張っていきましょう。

 

 職員の皆さんの活躍、そして御多幸を祈念して新年の訓示とします。

 

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