年頭における知事訓示

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ページ番号1016313  更新日 平成31年2月20日

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とき:平成31年1月4日(金曜日)ところ:釜石地区合同庁舎(テレビ中継)対象者:全職員

【訓示】

平成31年、2019年の年頭に当たって、訓示を行います。

今年は、平成から新元号に移り変わる節目の年となります。平成の時代を代表する一つの出来事が東日本大震災津波だったわけでありますけれども、今年の3月11日で丸8年となります。新元号時代になっても、復興の取組をしっかり進めてまいりたいと思います。職員の皆さん、それは全国からの自治体等から来ていただいている応援職員の皆さんを含めてでありますけれども、職員みんなで力を合わせて東日本大震災津波からの復興を力強く進めてまいりましょう。

 今年は、ここ釜石の鵜住居復興スタジアムでラグビーワールドカップ2019™が開催されます。春先には三陸鉄道リアス線も開業し、そしてその間には三陸防災復興プロジェクト2019を開催します。この岩手沿岸、三陸にあらためてスポットライトを当てて風化を防ぎ、全国の皆さん、また海外の皆さんとつながって復興をより確かなものにし、その中で感謝の気持ちをしっかり伝えていく、そういう一年にしたいと思います。

 現行のいわて県民計画があと3か月で期間を終了し、4月からは新しい総合計画の下で県政を進めていくこととなります。現行のいわて県民計画の下では、県民、企業、NPO、市町村など、地域社会を構成するあらゆる主体とともに県も行動し、そして地域を発展させてまいりました。大きな変化の時代ではありますけれども、この力を合わせて取り組んできた実績を生かしながら新しい時代を切り拓いていきたいと思います。

 復興計画についてもあと3か月で現行復興計画から総合計画の下での復興計画というふうにスイッチして復興を進めていくわけでありますけれども、まさに切れ目なく安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生を進めて、「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」に引き続き取り組んでいきましょう。

 復興道路等は、新規事業化された全ての区間で着工され、今月12日には三陸沿岸道路 大槌・山田南間が開通します。また、今年度中に東北横断自動車道釜石秋田線も全線開通ということになります。土地区画整理や高台への集団移転など復興まちづくり事業は今年度中に約96%が完了、災害公営住宅は約97%が完成、そして公立学校施設の全ての復旧工事が完成する見込みです。また、港湾機能の充実など、物流の利便性が大きく向上しており、ガントリークレーンを設置した釜石港では、コンテナ取扱量が前年比約2倍まで増加しています。

 そうした進展がある一方、応急仮設住宅等の入居者の皆さんをはじめ、被災者の方々のこころのケア、コミュニティの形成支援、さらに社会資本等の早期整備や事業者の支援など、三陸の将来を展望しながら、必要な取組を切れ目なく進めていかなければなりません。

 また、今年は東日本大震災津波伝承館が開館します。東日本大震災津波の教訓、そしてまた復興の姿を、後世の人たちや、また県外、全国さらに海外の人たちにも伝えていくための伝承・発信であります。復興の取組として未来のためにしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 伝承館開館とともに、先ほども申し上げましたが、三陸鉄道リアス線の開通、ラグビーワールドカップ2019™、そして三陸防災復興プロジェクト2019があります。復興の歩みを進める被災地の姿を発信し風化を防ぎ、震災の伝承による世界の防災力向上にも貢献していきます。三陸地域の多様な魅力を国内外に発信し、三陸地域への関心や認知度を高め、交流人口の拡大や地域経済の活性化を図り、復興を力強く推進し、新しい三陸を創造します。

 SDGs(エスディージーズ、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略)のスローガンでもありますけれども、誰一人として取り残さない、ということがこの復興の理念でもありますので、被災者=(イコール)復興者一人ひとりがきちんと復興を果たすことができるよう最後まで寄り添いながら、一日も早い復興を目指してまいりましょう。

一方、昨年も大きな進展がありましたが、自動車・半導体関連産業のダイナミックな集積が進んでいます。今後さらに生産と雇用の大きな伸びが見込まれています。ものづくり産業の振興に強力に取り組み、特に人材の育成と確保が大事になってきます。全県的な働き方改革をさらに進め、岩手U・Iターンクラブなどを通じ全国の大学等と連携し、また岩手の仕事や暮らしを情報誌の形で紹介していくなど、今までになかったような取組も展開しながら、U・Iターン希望者、また岩手の若い皆さんの県内就業・就職を促進していきます。また地域産業高度化支援センターによるものづくり産業人材の育成にも取り組んでいきます。

 地場産業や観光業、農林水産業など地域の特性を生かした産業振興、水産アカデミーの開講など、専門人材の育成にも力を入れてまいります。若者・女性の活躍支援は引き続き重要であります。人手不足解消のためにも、この人口減少社会を克服していくためにも、結婚・出産・子育て支援などにも力を入れてまいりましょう。

 昨年は、宮古港と北海道室蘭港を結ぶ本県初のフェリー航路が開設されました。人的・経済的な交流に加え、北海道胆振東部地震でも大きな役割を果たし、沿岸広域振興局と北海道胆振総合振興局は連携協定によって結びつき、いわばお隣さんのような関係になっています。また昨年は、いわて花巻空港と台湾桃園国際空港を結ぶ岩手初の国際定期便が就航しました。そして岩手県雲南事務所が開所し、中国と岩手との交流が進展する中、今月30日には、いわて花巻空港と上海浦東国際空港を結ぶ新たな国際定期便が就航する見通しです。順調に進展する復興道路等も合わせ、こうした新しい交通ネットワークの広がりを経済交流や友好交流、また交流人口の拡大につなげてまいりましょう。

 岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすがふるさと振興の柱でありますけれども、これを引き続き力強く進めていきたいと思います。

 今年11月には、全国の伝統工芸品が一堂に会する伝統的工芸品月間国民会議全国大会が岩手県で開催されます。あらためてこの岩手の歴史や風土を県民が確認し、また県外に発信し、その中で付加価値が高い工芸品の生産・販売などもさらに進めていくことができるように取り組んでいきたいと思います。

 一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録の早期実現を図っていく年でもあります。自然と人間が共生する、また人間同士も共生するこの縄文文化というものは、世界的にも貴重なものでありまして、ぜひ世界遺産登録を果たしていくよう準備をしっかり進めていきたいと思います。

ILC国際リニアコライダーは、実現に向けて正念場が続いているところです。今後も岩手としても日本政府の意思表示を促す活動を積極的に展開し、また関係機関等との連携をさらに緊密にして準備を整え、やるべきこと、やらなければならないことは何でもやるという勢いで、ILC実現に万全を期していきたいと思います。

 昨年8月に釜石鵜住居復興スタジアムのオープニングイベントが行われましたが、そこでのキックオフ宣言、釜石高校の洞口留伊さんによるキックオフ宣言は、全国のラグビーファンのみならず、全国の皆さんを大いに感動させ、東日本大震災とは何であったか、また復興とは何であるか、そういったことを広く共有することができる、そういうメッセージを発信できたと思います。東日本大震災津波のあのつらい経験、その後の復興が進んでいく喜びと感謝、また未来への決意。私たちが共有すべき全てが盛り込まれていたキックオフ宣言でありました。これを力として今年もスタートからダッシュをしていきたいと思います。亥(いのしし)年でありますので、猪突猛進、一直線に進んでいくイメージがこの岩手の今年にもぴったりではないかと思います。

 平成の30年から新元号の新しい時代に移り変わっていきますけれども、この平成の時代、全国的には政治・経済、さまざま苦労が多かった30年でありましたけれども、その間地方においては、地域住民の皆さんの地道な努力がしっかり実を結び、より暮らしやすい働きがいのある、そういう地域が着実に作られてきていたし、またスポーツや文化の花も咲くような、そういう地域づくりが全国的に行われ、その中で岩手は決して後れを取ることなく地域づくりを進めてきた平成の30年だったと思います。

 その成果、先人の皆さん、先輩の皆さんが築き上げてきた成果も土台にしながら、孫子の代にしっかり引き継いでいくことができるような地域づくりを新元号の時代になっても進めていくことができるよう、国家百年の計という言葉がありますけれども、少なくとも新しい総合計画、十年の計を確立するのが今年でありますので、職員の皆さんにあっては、岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、県民本位、能力向上、明朗快活、法令遵守、地域意識に常に立ち返りながら、自分自身、家族、また職場の仲間の健康に十分留意し、生活と仕事のバランスをうまく取りながら業務に精励していただきたいと思います。今年一年良い年になるようにがんばってまいりましょう。

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