令和8年 年頭における知事訓示

ページ番号1093513  更新日 令和8年1月6日

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とき:令和8年1月5日(月曜日)
ところ:県庁3階 第一応接室(録画)
対象者:全職員

年頭における知事訓示

 令和8年の年頭に当たり、訓示を行います。

 昨年は、気候変動の影響とみられる猛暑や、大規模林野火災、鳥インフルエンザ、ツキノワグマ被害対策など、相次ぐ災害や危機管理事案に対し、関係機関の協力をいただきながら、全力で取り組んだ一年でした。

 東日本大震災津波や、新型コロナウイルス感染症対策など、これまでオール岩手で危機を乗り越えてきた経験が、着実に力になっていることを実感した一年でもあり、改めて、職員一人ひとりに感謝したいと思います。

 また、長引く物価高が、県民生活と県内経済に大きな影響を及ぼしています。先月末、臨時議会を招集し、国の総合経済対策を踏まえた補正予算を編成しました。生活者・事業者を支えるための対策を早期に講じ、県民一人ひとりに寄り添いエンパワーする政策を実行していきましょう。

 東日本大震災津波から、今年の3月11日で15年を迎えます。

 これまでに復興道路や津波防災施設などハード面の復興のほとんどが完成しました。一方、年月を重ね、被災者が抱える問題が複雑化、多様化している心のケアなど、被災者一人ひとりの状況に応じたきめ細かい支援に、中長期的に取り組んでいく必要があります。

 時間の経過とともに、震災を知らない世代も増えています。国内外で自然災害が頻発する今、震災の事実と教訓を未来に伝承していくことの重要性が一層高まっています。

 日本を代表する震災学習拠点である東日本大震災津波伝承館は、これまで、130万人を超える多くの方々が来館しています。

 昨年は、石川県との「震災復興等に関する協定」締結や、輪島市との復興教育を通じた交流など、震災を経験した両県が連携し、絆を深めた一年となりました。岩手の経験が、能登半島地震からの復興に生かされています。

 延べ2,500万人以上が来場した大阪・関西万博では、開催期間中、「奇跡の一本松」デジタルモニュメントが設置され、収集されたメッセージは1万件を超えました。復興庁による東日本大震災津波のテーマウィーク展示には、約4万8千人と、多くの人が来場しており、これまでの復興支援への感謝と、力強く復興する三陸の姿を国内外に向けて発信することができました。

 さらに、複数の主要な海外メディアに紹介され、世界から注目を集めている「みちのく潮風トレイル」、年々過去最多を更新しているクルーズ船の寄港など、三陸地域が世界から注目されています。

 復興を通じて形成されたまちづくりや復興道路、三陸鉄道をはじめとする交通ネットワーク、港湾機能など、様々な社会資本や国内外との絆を生かし、「世界とつながる三陸」として、震災の事実・教訓の伝承と三陸地域の多様な魅力の発信に取り組んでいきましょう。

 いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランは、来年度、計画期間の最終年度を迎えます。

 この間、「自然減対策・社会減対策」、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)の推進」、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進」、「安全・安心な地域づくりの推進」の4つを重点事項に掲げて取り組んできました。

 国を挙げて取り組んできた「地方創生」が10年で見直しを迫られ、今、新しい地方創生を展開しようとする中、4つの重点事項は有効であり、最終年度も全力で取り組んでいきましょう。

 「自然減対策・社会減対策」では、少子化対策、社会減対策の3本の柱プラスワンの強化の方向性に基づき、若者の可処分所得や可処分時間の向上、仕事と子育てが両立できる働き方と子育て環境の実現、職場や家庭、地域におけるジェンダーギャップの解消などに向けた施策が引き続き重要です。

 令和6年10月から令和7年9月の1年間の社会増減は3,851人減となり、減少幅は令和3年以来4年ぶりに縮小し、20代から30代の若年層を中心に改善しています。

 昨年9月に開催した県の総合計画審議会では、人口問題や地方創生に関する政策の第一人者である山崎史郎氏から、「人口減少対策に即効薬のような魔法の杖はなく、各分野の施策を総合的に取り組む必要がある」といった提言もいただきました。

 将来に希望が持てる地域であることが、若者、女性に選ばれる地域であり、人口減少対策でもあります。

 東京一極集中の是正に向け、本県の持つ価値や魅力を生かしながら、岩手で暮らし続ける人も、一度岩手を出て戻ってくる人も、岩手から羽ばたいて活躍し続ける人も、県外から岩手にやってくる人も、全ての人が希望を持てる岩手であるよう、あらゆる施策を着実に推進していきましょう。

 冒頭お話しした、猛暑や渇水、林野火災、野生動物被害などの危機に共通する背景に、気候変動があります。

 県民の暮らしに大きな影響を及ぼす中、自然をリスペクトし、自然の変化を理解しながら、自然と共生していくことと併せて、気候変動・地球温暖化の抑制に向け、「GX」の取組は益々重要になります。

 県民一人ひとりの行動変容や、事業者における脱炭素経営の促進、森林整備や藻場再生による吸収源対策に加え、風力や地熱など再生可能エネルギーのポテンシャルを生かした環境と経済の好循環を岩手から進めていきましょう。

 人口減少下にあっても地域の社会経済システムを維持・発展させていくためには、「DXの推進」が欠かせません。

 これは行政においても同様であり、DXの進展を背景に、行政職員の働き方も大きく変わり始めています。

 昨年10月からは、生成AIの本格的な業務への活用を開始しました。全職員が利用可能ですので、こうした先端技術を積極的に業務に活用し、飛躍的な業務の効率化や行政サービスの向上、さらには職員一人ひとりのワーク・ライフ・バランスの向上にもつなげてほしいと思います。

 令和7年は、岩泉町における平成28年台風第10号災害からの復興事業の完了や、令和3年5月に被災した西和賀町大石地区の災害復旧事業・一般国道107号大石トンネルの開通など、県民の「安全・安心」を支える社会資本の整備が進んだ年でした。

 県民の安全で安心な暮らしを守るためには、自然災害や感染症のような危機事象はもちろん、日常生活に潜む交通事故や犯罪など、あらゆるリスクに包括的に対応する必要があります。

 自然災害に留まらず、様々な危機から県民の安全・安心な暮らしを守ることは、行政の原点であり、根幹的な責務の一つです。

 それぞれの職員が、日々、行政として、各々の業務の専門性を高め、関係団体との連携を密にし、岩手県という地域への理解を深めることが、こうした危機への備えになります。

 県、市町村、民間団体、県民一人ひとりが、その意識や行動、仕組みに防災・減災、交通安全、防犯等を反映することが当たり前となる地域社会の構築を目指していきましょう。 

 昨年も、大谷翔平選手、菊池雄星選手、佐々木朗希選手という、岩手、日本を代表するメジャーリーガー3人をはじめ、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックでも活躍が期待される小林陵侑選手、岩渕麗楽選手や吉田雪乃選手、東京2025デフリンピックで金メダルを獲得した佐々木琢磨選手、ヘラルボニーなど、岩手出身の若者たちが世界の舞台に飛躍し、県民に大きな希望と勇気を与えてくれました。

 彼らの向上心に学び、日本の地方から世界に羽ばたいていきましょう。

 他にも、ニューヨーク・タイムズに取り上げられた盛岡市という地方都市の魅力、海外のハイカーたちを魅了する「みちのく潮風トレイル」など、岩手の自然や生活文化を求めるインバウンドの増加、年々海外への輸出額が増加している、米や牛肉、日本酒をはじめとした岩手の地場産品、世界的企業であるトヨタ自動車とキオクシアに選ばれ、世界最先端の製造業の集積が進む「北上川バレー」、イギリスを代表するパブリックスクール「ハロウインターナショナル安比ジャパン」など、世界とのつながりの中で日本の地方が発展していく、その最先端に岩手があります。

 今年は、シンガポールのベンチャーキャピタル・インシグニア社と連携し、カンファレンスの開催やアカデミー開設に向けた準備を進め、国内外に開かれた新たなスタートアップエコシステムを構築します。

 目の前に広がるチャンスを更に開拓し、世界に開かれた新しい地方創生を岩手から推進していきましょう。

 令和8年は、明治9年の県域確定から150周年の節目の年であり、令和4年度から実施してきた県政150周年期間のファイナルステージです。世界遺産登録から、平泉が15周年、御所野遺跡が5周年の年でもあり、様々な記念事業を展開します。

 県政150周年を契機に、岩手の様々な歴史に触れ、「歴史」という視点を大事にしながら、岩手の未来を展望していきましょう。

 今年は午年です。岩手における、馬と人とのつながりもまた、長く深い歴史があります。古くは軍馬として、農耕馬として、また、夢や希望の象徴として、人々の暮らしに寄り添っていました。現代も、チャグチャグ馬コや岩手競馬など、県民の身近な暮らしの中に根付いています。

 今では、観光地や乳製品の名前で知られる小岩井農場は、戦前はサラブレッドの大生産牧場でした。日本競馬史上初の中央三冠馬の偉業を成し遂げたセントライトの名は、今も競馬界全体に広く知られているなど、岩手の意外な先進性の一つです。

 馬は、後退せず力強く前に向かって走ることから「前に進む象徴」として、昔から縁起の良い動物として親しまれてきました。

 今年1年も、「世界に開かれた地方創生」を進めていくことで、「希望郷いわて」の実現をより確かなものにするべく、県政を力強く前に進めていきましょう。                       

 行政の任務は、個人の自由と安全を保障すること。そして、そのための基盤を共同体の下に築く、共同体開発です。

 県民の自由と安全を保障する基盤の中で最も重要な中身の一つが、行政を担う人であり、県政推進の根幹たる職員が心身ともに健康で、安心して意欲的に働き、成長できる職場環境づくりを行うことも、行政の重要な任務です。

 その中で、職員の健康と安全を脅かすだけでなく、職場全体の士気や生産性を低下させるハラスメントは、絶対にあってはならないものです。

 全ての職員がハラスメントについての認識を共有し、誰でも声を上げやすい体制を構築することで、ハラスメントのない風通しの良い職場をつくっていきましょう。

 引き続き、岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令遵守」、そして「地域意識」に常に立ち返りながら、今年も力を合わせて取り組んでいきましょう。

 職員の皆さんの活躍、そして御多幸を祈念して新年の訓示とします。

 

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