【移住者インタビュー】最新号
【第41回】 陸前高田市 古川 愛梨 さん
『いつも笑顔でいられる 人の温かさを感じる街』

山梨県出身
陸前高田市 農林水産部 農林課
インタビュー実施日:2025年6月16日
-ご出身と現在の活動について教えてください。
出身地は、山梨県の笛吹市というところで、モモやブドウなどの果物の栽培が盛んな地域です。
現在は、陸前高田市の職員として、農業振興に関する業務を担当しています。
-陸前高田市に移住される前はどのようなことをなさっていたのですか。
千葉県内の大学で、スポーツ科学について学んでいました。大学を卒業後、新卒で陸前高田市に入庁して現在に至ります。
-移住する前を振り返って、岩手県の印象はどうでしたか?
小学3年生の時に東日本大震災が発生し、当時ニュースで岩手が取り上げられていたのが記憶に残っています。
また、母が山形県出身で、帰省に合わせて家族で東北を旅行した際に、岩手にも訪れたことがありました。平泉町の金色堂や、あまちゃんの舞台となった久慈市に行きましたが、その時は、まさかその後に自分が岩手に住むことになるとは思ってもいませんでした。
-陸前高田市に移住することを決めたきっかけ・タイミングについて教えてください。
親が東北出身ということもあり、何度も東北を訪れていたことで、関東と東北の雰囲気の違いを感じ、大学卒業後の進路を考えた際に、自分がこれから就職して生きていくときに「山梨に戻るのは何か違う」、「東北のどこかに行きたい」という思いがありました。また、職業としては、地域の人を支える仕事をしたいという思いがあって、尽くしたいと思う場所で公務員になりたいと考えていました。
悩みながらも、まずは東北で移住の支援を行っている機関に相談してみようと考え、ある移住相談窓口に問い合わせをしてみたところ、東京で開催する移住相談会のことを教えていただき、参加してみることにしました。
移住相談会には東北各地から多くの自治体が参加していましたが、私はどの自治体の説明を聞くかも決めておらず、会場の入口でどの自治体のブースに行こうか悩んでいたところ、声をかけてくれたのが陸前高田市の移住コンシェルジュの方でした。実は、その時に初めて陸前高田市のことを知ったのですが、ブースで話を聞くうちに、移住者へのサポートも充実していて、移住がしやすく、移住した後も安心して生活できそうだと感じました。相談会を終えてから、一度実際に現地に行ってみてから判断したいと考えて、一人で陸前高田市を訪れてみました。市内の景色を見たり、地元のお店に行ってお話を聞いたりして、地域の雰囲気もとても温かくて素敵だと思い、移住を決断しました。それが大学4年生の時でした。

-移住するにあたって、どのようなことを重視しましたか?
2つありまして、1つは、地域の方々の人柄、温かさです。陸前高田市の方々は、話していると自然に溶け込める感じがして、地元の方と接する中であまり壁を感じたことがありません。
もう一つは、自然が豊かなところです。陸前高田市は、海と山がどちらもあり、豊かな自然が感じられる点にも惹かれました。
-陸前高田市への移住を考えてから、どれくらいで実現されましたか?
私の場合、移住を考え始めたのが大学4年の夏ごろだったので、そこから移住相談会に参加し、陸前高田市への移住を決断して。秋に受けた市の採用試験の結果が12月頃に出て、1月から住む場所の検討など、移住の準備を始めるといった感じでした。引越しも何とか間に合い、4月から無事に市役所で勤務しております。
住居を探す際には、NPO法人高田暮舎のサポートを受けて、同法人の移住コンシェルジュである石田さん(前回インタビュイー)に、物件の内見等に付き添っていただきました。
-移住に当たって県や市の支援制度は利用しましたか?
補助金等の制度は調べてみましたが、就職先が市役所(公務員)ということもあり、補助の対象外でした。
移住に関する相談や支援については、高田暮舎のサービスを活用させていただいて、先ほどお話しした物件探しに関するサポートの他にも、先輩移住者の方にオンラインで相談できる機会もいただき、とてもありがたかったです。
-移住するときに大変だったことはありますか?
引越しが特に大変でした。大学の卒業式が終わってすぐに準備し、千葉県から陸前高田市まで、家族の車に荷物を載せて移動しました。
-どんな時に移住してよかったと感じますか?
まずは職場についてです。もちろん業務が忙しくて大変な時もあるのですが、職員は皆さん温かくて、毎日楽しく仕事ができています。
また、仕事、プライベートのどちらでも言えることなのですが、全然ストレスを感じることなく生活できていて、そこは生きていく上でもとても重要なことではないかと感じています。
よかったと感じることはたくさんあるのですが、一番はあたたかい職場環境です。地元の者ではないのにもかかわらず、社会人になりたての未熟者をあたたかく迎え入れてくださり、様々なことを教えていただきました。また、こちらに来てからお世話になった市内の車屋さんが私のことを自分の子どものように気にかけてくださって、釣りにも連れて行っていただきました。他にもいろいろな方にお世話になって、人に恵まれているなぁと感じています。
-移住してみて改めて、気仙地域はどんなところだと思いましたか?
どんな人でも溶け込める、入りやすい地域だと感じました。地域の皆さんも歓迎してくれる雰囲気があり、人の温かさを感じられる地域だと思います。
-移住してから驚いたこと、不便だと感じることはありますか?
驚いたことでいえば、「方言」です。母の地元が山形県なので、小さいころから山形の方言は聞いていたのですが、山形の方言ともまた違っていて、聞き取れないことが多くてびっくりしました。
あと、星がとてもきれいに見えることに驚きました。空が広いからか、月や星が近く見える感じもして、とても感動しました。
-休日はどのように過ごされていますか?
休みの日のほとんどは、趣味の「セパタクロー」ばっかりしています。大学の時に友人から誘われたのがきっかけでやり始めたのですが、簡単に言うと、足を使ったバレーボールのようなスポーツです。
市内の体育館などを借りて、市役所の有志で集まってやったり、仙台まで行って東北大学のチームの練習に参加させてもらったりしていて、いつも気づいたら土日が終わっています。

-気仙地域の好きな場所、景色を教えてください。
高田松原津波復興祈念公園で歩きながら見える景色が好きです。開けていて雰囲気もいいですし、防潮堤からの眺めも良くて気に入っています。
あと、箱根山にある気仙大工左官伝承館からの眺めも好きで、疲れたなぁと感じたときなどに行っています。特に、牡蠣の養殖いかだが浮かぶ広田湾の景色が大好きです。

-現在のお仕事について、詳しく教えてください!
陸前高田市農林水産部農林課に所属して、中山間地域における農業振興や鳥獣被害対策に関する業務などを担当しています。農業従事者等への補助金の交付に係る事務などは、関係する法律等、覚えることが多くて苦労することもあるのですが、頑張った分、直接農家さんのお役に立てることを実感できるので、とてもやりがいを感じています。
その他に、横田町にある産直施設「川の駅よこた」に関する業務も担当しています。古くなった設備の更新や、よりたくさんの人にご利用いただけるような工夫など、これからさらに力を入れて取り組みたいと考えています。
また、陸前高田市のブランド米「たかたのゆめ」のPRにも取り組んでいます。もっと多くの方に作ってもらったり、食べていただいたりと、認知度向上に向けて頑張りたいです。

-今後の目標や、やりたいことを教えてください!
仕事の面でいうと、地域の方々にも認められる、信頼されるような職員になりたいです。
プライベートでは、陸前高田を中心として、車でいろんな場所を巡ってみたいと考えています。
-移住を考えている方にメッセージをお願いします!
まずは、実際に来て、見て、地域に触れてみるのがいいと思います。現地でないとわからないことが必ずあるので、実際に訪れてみて、いろんなことを感じていただくのが一番大事ではないかと思います。
言葉ではうまく表現できないのですが、私自身、陸前高田に移住してきてから、いつも笑顔で過ごせているのは、この地域にいて幸せだと思える何かがあるからなのだと思います。
移住を考えている方には、ぜひ一度実際に足を運んでいただいて、自分が幸せと思えるものを見つけてほしいと思います。
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