【移住者インタビュー】最新号

ページ番号1053516  更新日 令和6年6月28日

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【第37回】一般社団法人陸前高田市観光物産協会 菅野 睦子 さん

『大好きな陸前高田 この街の魅力をたくさんの人に伝えたい』

菅野 睦子(かんの ちかこ)さん
菅野 睦子(かんの ちかこ)さん

神奈川県横浜市出身

陸前高田市 地域おこし協力隊
一般社団法人陸前高田市観光物産協会

インタビュー実施日:2024年6月13日

-ご出身を教えてください。

 神奈川県横浜市出身です。

 陸前高田市に移住するまでの22年間は、神奈川県で暮らしていました。学校も、小学校から高校までは横浜市、大学は相模原のキャンパスに通っていたので、ずっと神奈川県内で生活していました。

 

-陸前高田市に移住することとなったきっかけは?

 2018年の夏に、「東北スタディツアー」に参加し、陸前高田を訪れたことがきっかけです。3泊4日で、東日本大震災の被災地である福島、宮城、岩手の3県をめぐりながら、被災された方からお話を聞いたり、震災遺構を見学したりするツアーでした。当時、私は高校3年生で、ずっと東北には行きたいと考えていたのですが、きっかけがなく、何もできずにいた中で、このツアーのことを知り、参加することを決めました。

 このツアーで初めて陸前高田を訪れ、民泊の体験や、訪問した時期にちょうど開催していた「うごく七夕まつり」にも参加させていただきました。「うごく七夕まつり」では、亡くなった方の供養の思いを込めて、地域が一つとなって盛り上がっている様子を見てとても感動し、素敵な街だなと感じたことを覚えています。今でも毎年見に行っていて、大好きな行事の一つになっています。

 そして、ツアー後も陸前高田に関わることになったきっかけは民泊体験でした。民泊先としてお世話になった方が、地域おこしなどの活動を行っているNPO法人SETの代表を務めている方で、その方から、県外の大学生が参加するまちづくりの活動のお話を聞き、とても素敵な取組だと感じて、大学進学後にSETの活動に参加するようになり、継続的に陸前高田を訪れる中で、移住することを決めました。

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ツアー時に参加した「うごく七夕まつり」
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大学時代、NPO法人SETでの活動の様子

-学生時代、移住することを決めたタイミング・きっかけを教えてください。

 初めのころは移住することを考えてはいませんでしたが、SETのメンバーには関東からの移住者も多く、陸前高田での生活も楽しそうだなと感じていましたし、メンバーから移住を勧められることもあったので、次第に移住を意識するようになっていきました。

 実際に移住することを決めたのは、大学3年生の夏でした。その頃は新型コロナウイルス感染症の影響で、陸前高田にも中々来ることができませんでした。そのような中で、岩手県内に1か月ほど滞在する機会があったのですが、そこで改めて、自然に囲まれ、時間がゆったりと流れるような暮らしを体感したことで、滞在終了後に関東に帰ってから「今すぐ岩手に戻りたい!」と強く感じて、移住することを決断しました。

 

-移住するにあたって、どのようなことを重視しましたか?

 私の場合、移住先の選択肢は陸前高田のみだったので、特に重視することというものはなかったですね。陸前高田なら、どんなに辛いことがあっても乗り越えられそうと感じていたこともあって、自分が「ここで頑張りたい」と思える地域であることが、自然と移住の条件になっていた気がします。

 

-陸前高田市への移住を考えてから、どのように準備を進めましたか?

 まずは、県の移住支援サイト「シゴトバクラシバいわて」を活用して、仕事に関する情報収集を始めました。合わせて、移住相談窓口に相談し、面接対策など就職についてもサポートしていただきました。

 陸前高田の仕事について調べている中で、地域おこし協力隊についても選択肢の一つに考えていたのですが、大学4年の10月に、現在所属している陸前高田市観光物産協会で実施された、地域おこし協力隊のインターンシップに参加したことがきっかけで「ここで働きたい!」と思い、地域おこし協力隊に応募することに決めました。

 実際に採用が決まったのは大学4年生の3月だったのですが、実は採用されなかった場合でも陸前高田には移住しようと考えていて、住む場所等も採用が決まる前に、事前に準備を進めていました。

 

-移住に当たって県や市の支援制度は利用しましたか?

 陸前高田の知人に教えてもらった、県の「いわて若者移住支援金」を活用して、引越し費用などに充てることができました。

 

-移住するときに大変だったことはありますか?

 強いて言えば、来てすぐのころですが、地域の集まりに参加したときに、周りの方、特に高齢の方がしゃべっている言葉がなまっていて、中々聞き取れずに苦労したことはありました。

 その他には、大変だと感じることはあまりなくて、楽しいと感じることの方が多かったですね。

 地域にも、学生時代からお世話になっている方が多くいらっしゃって、「やっと移住したか!」と、移住記念のパーティーまで開いていただきました。何かあった時は地域の方々に相談したりして、皆さんに支えていただきました。

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移住後、地域の方とのお食事会での1枚

-気仙地域に来る前と後で、地域に対する印象は変わりましたか?

 移住した後で、「こんなに飲食店があるんだ!」、「こんなに観光スポットがあるんだ!」と感じることが多かったです。地元の方に聞くと、「ここには何もないよ」と答えられることが多いんですけど、今の仕事を通して、改めて見ると、学生時代には知らなかったお店・スポットがたくさんあることに気付きました。

 これは陸前高田だけでなく、大船渡や住田にも言えることで、気仙地域は知れば知るほど面白く、奥が深い地域だと感じました。

 

-どんな時に移住してよかったと感じますか?

 陸前高田は、学生のころから憧れていた場所で、その場所に住むということ自体が尊いことだと感じています。学生の時には、陸前高田にいられる時間が限られていたので、例えば、会いたい人に、いつでも会いに行けることや、学生の時には見ることができなかった自然の風景や夕焼けの景色を見ているときなど、日常でも、ふとした時に幸せを感じています。

 

-移住してから不便だと感じることはありますか?

 移動手段は、基本的に車を使用するので特に不便に感じたことはないですね。

 不便ということではないですが、映画館や美術館など、市内にもっと様々な文化に触れられるような施設があれば、楽しみの幅も広がっていいのではないかと感じています。

 

-現在の活動について教えてください。

 陸前高田市観光物産協会で、主に広報の活動をメインで担当しています。その他には、高田松原津波復興祈念公園内を案内するパークガイドのサポートや、夏は海水浴場の管理業務など、幅広く観光に関わる業務を行っています。

 今は特にインスタグラムによる情報発信に力を入れています。動画や写真を使って、飲食店や観光スポット情報などを、分かりやすく、見た人が行きたいと思ってもらえるように工夫して投稿するようにしています。盛岡や宮城の方などからもフォローいただき、インスタを見てお店に行ったという嬉しいお声もいただいております。もっともっと多くの人に陸前高田に来てほしいと思い、広報活動に取り組んでいます。

 最近ではインスタグラムを通じて、観光情報やお店の情報等についてお問い合わせをいただくことも増えてきており、とてもやりがいを感じています。

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観光物産協会での業務の様子
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Instagramでは、市内の飲食店や観光スポット情報を発信

-今年、高田松原海水浴場は、国際環境認証「ブルーフラッグ」を県内で初めて取得したそうですね。

 はい。取得は市が主体となって進めたものですが、当協会としても、ライフセーバーの常駐や、水質調査、設備の整備など、一緒に取り組んできました。

 私自身も、昨年の6月に、先輩職員と一緒にライフセーバーの資格を取得しました。水泳を10年ほどやっていたので、その経験を活かしつつ、仕事にも貢献出来たらという思いで試験を受けました。

 海水浴場では、主に海上からの監視を行っており、海水浴に訪れた皆さんが楽しめるように安全管理をする業務を担当しています。今年の夏も海におりますので、ぜひ遊びに来てください!

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海水浴場で監視業務に当たる菅野さん(昨年度の様子)

注)国際環境認証「ブルーフラッグ」…国際NGO FEE(国際環境教育基金)が実施するビーチ・マリーナ・観光用船舶を対象とした世界で最も歴史ある国際環境認証制度。ビーチは、景観や水質の良さといった4分野33項目の基準を満たすことで認定される。

 

-気仙地域の好きな場所、景色を教えてください。

 悩みますが、特に思い出深いのは広田半島にある黒崎展望台です。移住してきた当初に近くに住んでいたので、休みの日などによく足を運んでいました。座ってぼーっとただ海を眺めるだけでも楽しいですが、夜は周りが真っ暗になるので、星空がすごくきれいに見えるんです。関東に住んでいたころは一度も見たことがなかった流れ星を、陸前高田にきてからはたくさん見るようになりました。

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黒崎展望台からの景色

-今後の目標や、やりたいことを教えてください!

 地域おこし協力隊の3年間の任期の中で、いろいろなスキルやノウハウを身につけるために、資格取得に向けた勉強などに取り組んでいるのですが、今後も様々なことに挑戦し、経験を積んでいきたいと考えています。

 また、今年の夏に、広田半島でSUPの体験会を開催するのですが、そういった海を活用した体験コンテンツをもっと増やしたいと考えており、新しいコンテンツの開発などにも力を入れていきたいです。

 インスタグラムでの情報発信も、まだまだ弱いと感じています。特産品のPRなど、知ってほしい情報がまだまだたくさんあるので、活動を続ける中で徐々に影響力を付けていき、多くの方に陸前高田の情報を発信できるような媒体にしていきたいです。

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Instagramの投稿に向けた取材の様子

-移住を考えている方にメッセージをお願いします!

 移住を考えている方の中には、不安で移住に踏み込めないという方もいらっしゃるかと思います。そういう方は是非一度、足を運んでみてください。その土地が自分に合っているかどうか、地域の方との交流や食、自然、文化等、感覚的に得られるものがたくさんあると思います。

 最終的にはなるようになる精神で、移住したいというご自身の気持ちを第一に考えていただけるといいなと思います。

 就職や転職、移住後の暮らしについても、親身に相談に乗ってくださる団体があるので、さまざまなサポートを受けながらぜひご検討いただけると嬉しいです!

このページに関するお問い合わせ

沿岸広域振興局経営企画部大船渡地域振興センター  地域振興課
〒022-8502 岩手県大船渡市猪川町字前田6-1
電話番号:0192-27-9911(内線番号:305) ファクス番号:0192-27-1395
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