【移住者インタビュー】最新号

ページ番号1053516  更新日 令和8年1月9日

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【第42回】 大船渡市 倉持 怜菜 さん

『自然が身近にある生活 ”みんなが集まれる場所”を目指して』

倉持 怜菜(くらもち れな)さん
倉持 怜菜(くらもち れな)さん

埼玉県出身
一般社団法人キラキラ越喜来
大船渡市地域おこし協力隊

インタビュー実施日:2025年12月9日

 

-ご出身と現在の活動について教えてください。

 出身は埼玉県の行田市というところです。

 現在は大船渡市の地域おこし協力隊員として、「一般社団法人キラキラ越喜来」に所属し、三陸鉄道の三陸駅の目の前にある「ニューオキライ」で、カフェや売店の営業、レンタルスペースの提供などを行っています。

 

-大船渡市に移住される前はどのようなことをなさっていたのですか。

 高校までは地元の学校に進み、大学時代も実家から東京の大学に通っていました。大学ではエコツーリズムについて学び、その中で、あまり人がいない過疎地域や高齢化が進んだ地域において、観光による地域づくりや地域を盛り上げる取組に興味を持ち、東北にも興味を持つようになりました。

 

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大学時代、宮古市でのフィールドワークの様子

 

-埼玉県に住んでいた時に感じた、岩手県の印象について教えてください。

 やはり東日本大震災津波の印象が強かったですね。小学生や中学生の頃は、大船渡市や釜石市、陸前高田市など、津波のニュースでよく聞く地名として知っている程度で、実際にどのような土地なのかは知りませんでした。大学では、観光に関する授業の一環で宮古市を訪れる機会があり、地域の雰囲気や食文化など、少しずつ分かるようになりました。

 

-移住することを決めたきっかけ・タイミングについて教えてください。

 大学の授業で宮古市を訪れるようになって、自然と生活が近い地域だなと感じて、この三陸沿岸の地域の雰囲気がとても好きだなと感じていました。また、宮古に来てから「みちのく潮風トレイル(注)」のことを知って、もともと運動やアクティブなことは好きだったので、初めは学生同士で地域のことを知っておこうということでトレイルを歩き始めたのですが、最終的には一人で歩きに行くほどはまってしまいました。そのような中で、トレイルですとか、自然があるところで暮らしながら生活ができたらいいなあと思って、次第にこちらに移住してみたいという思いが強くなっていきました。

注 みちのく潮風トレイル…青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐロングトレイル。

 

-大船渡市を移住先に選んだ理由を教えてください。

 移住することを考えてから、まずは仕事を探し始めたのですが、やはり縁もゆかりもない場所なので、外から来た人間が急に働くことはなかなか難しいものだと考えました。その点、地域おこし協力隊という制度は、3年という上限はありますが、利用しやすく、補助などもあり、市役所の方々にもサポートしていただけるので、少し安心かなと思い、募集している地域を調べてみることにしました。

 もともと人が多いところはあまり好きではないので、できれば自然の豊かなところに行きたいと考えていましたが、実は移住先を探していた段階では、大船渡に来たことがありませんでした。ですが、他の地域のトレイルコースを歩いているときに、「越喜来はいった?」、「大船渡はもう歩いた?」と色んな人から尋ねられ、越喜来はいいところだという話を聞いていたので、とても興味があり、実際に三陸町のこのちょっとひっそりした感じですとか、トレイルハイカーの中で有名な「潮目(注)」という施設もある越喜来という場所がいいなあと感じて、こちらで活動する協力隊の募集に応募しました。

注 潮目(しおめ)…越喜来地区に住む片山和一良氏が作った私設の震災伝承施設。みちのく潮風トレイルのハイカーの立ち寄りスポットや無料休憩所にもなっており、ハイカーにも広く知られている。

 

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トレイルハイクを楽しむ倉持さん

 

-移住を考えてから、どれくらいで実現されましたか?

 地域おこし協力隊の募集に応募するなど、アクションを起こし始めたのは大学4年の6月か7月くらいでした。面接が10月か11月ころだったので、大体夏ころに本格的に移住したいと思い始め、秋、冬には面接も含めて何度か現地を訪れて、年明けに地域おこし協力隊としての採用が決まったという流れですね。

 

-移住に当たって県や市の支援制度は利用しましたか?

 大船渡に下見に訪れた際に、市が運用している「大船渡市移住体験住宅」を利用しました。市が移住体験者向けに提供しているもので、アパートの1室に無料で泊まることができて、ホテル等に泊まるよりも費用を抑えることができました。

 

-移住するときに大変だったことはありますか?

 ちょうど引っ越すタイミングに、大船渡市内で大規模な林野火災が発生していました。まだ市内の地名などにも詳しくなかったので、関東にいながら「大船渡」、「火災」というワードを聞き、勝手に大船渡全域が燃えているイメージを持ってしまい、自分が住む地域が安全かどうか、お店などは営業しているのかと不安に感じました。その後、今所属しているキラキラ越喜来の職員から「大丈夫だよ」とLINEでメッセージをいただいたことで、安心して引っ越すことができました。

 

-どんな時に移住してよかったと感じますか?

 家から最寄りの駅に向かう道を歩いているときにも、奥に山が見えて、紅葉の時期にはその場から目で見て分かるくらい近くに見えるんです。そのくらい自然がぐっと近くにあるというのが地元では中々ないので、それがいいなあと感じます。

 

-移住してみて改めて、気仙地域はどんなところだと思いましたか?

 どの人もすごく物腰が柔らかくて、ちょっとおせっかいみたいなイメージがありますね。その雰囲気が自分はすごく好きだなと感じています。私の地元の方はもう少しクールというか、あえて距離を取ることがマナーという雰囲気があるのですが、こっちは結構懐に入ってくる方が多いかなと思いますね。

 ニューオキライを拠点に活動していると、地元の方々にもカフェが開いている時には私がいると認識していただいていて、面白い話を聞かせに来てくれたり、「きれいな写真が撮れたよ」と見せに来てくれたりするので、拠点がある活動っていいなあと改めて感じます。

 

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カフェのお客様との楽しいひと時

 

-移住してから驚いたこと、不便だと感じることはありますか?

 基本的に不便ということはありませんが、映画がすごく好きなので映画館が欲しいとは感じますね。あと、最近だとクマが怖くて、近くに出かけるときにも車を使っています。自然と距離が近い分そういった心配はあるかなと感じています。

 また、カルチャーショックというか、方言はいまだに聞き取れないことも多いですね。食文化も少し違っていて、スーパーに行くと見たことのない魚が並んでいることも多いですし、うどんも私の地元だと「武蔵野うどん」と呼ばれる硬めのうどんが主流なのですが、こちらのうどんは柔らかいので、たまに地元のうどんが恋しくなる時があります。

 

-気仙地域の好きな場所、景色を教えてください。

 大船渡市内のセメント工場の風景がすごく好きです。海や山がきれいというのは移住する前から知っていたし、もちろん好きなのですが、セメント工場の機械感というか、道路の上に広がる幾何学模様が広がっている様子がすごく好きで、車で通るのがもったいないので、自転車に乗って見に行くほどお気に入りです。工場に隣接する道路がみちのく潮風トレイルのルートにもなっているので、トレイルのハイカーでなくても大船渡に来た人には歩いてみてほしいです。

 

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道路から見えるセメント工場の施設

 

-現在のお仕事について教えてください。

 ニューオキライで活動していて、土・日・月曜日は、カフェと売店を開いています。利用者は地元の方が多いですが、季節によってはみちのく潮風トレイルのハイカーの方も立ち寄ってくださいます。建物の一角はレンタルスペースとして貸し出しも行っていて、読書会などのイベントや、地域おこし協力隊の交流会などにも利用してもらっていますが、今後はさらに協力隊が企画するイベントなどにも活用していただきたいと考えていて、カフェのことも地域の方々にもっと知っていただきたいなと思っています。春から秋の偶数月の月末には、個人でも参加できるフリーマーケットや地元のお店が出店する「オキライマーケット」も開催しています。

 日常的な業務の中では、カフェのメニュー開発にも力を入れています。私が着任したときには、コーヒーと紅茶しかなかったのですが、観光客やふらっと立ち寄っていただいた方の目を引くようなメニューが欲しいと考え、越喜来で作った塩を使ったバニラアイスや越喜来で採れた柿の葉っぱを使った柿の葉茶をメニューに取り入れました。最近では、地元の農家さんから越喜来で採れた柚子をいただいたので、柚子ティーとして提供しています。地元のものがあると観光で訪れた方も飲んでみたいと感じると思うので、そういったことも意識しながら季節に合ったメニューを考えるようにしています。

 また、ニューオキライでは、季節ごとに飾りつけも変えていて、現在は、地域の方と一緒に作った柿のれんを吊るしています。売り物だけではなく、そういった地域のみんなで作った作品が季節ごとに飾られているところも見ていただけたらと思います。

 

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地域の方も参加した柿のれん作りの様子
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完成した柿のれん

 

-休日はどのように過ごされますか?

 家にいることはあまりなくて、トレイル歩いたりですとか、クマが怖い時期はまちあるきで、まだ知らない場所に行ってみたりと、歩くことが好きです。

 大船渡市内のトレイルはほとんど歩いたのですが、峠道のルートなども比較的歩きやすいところが多いです。特に越喜来周辺では、地域の方がルート沿いにカラフルに色づけした石などを置いてくれていて、海が見えなくて景色に飽きてくるような峠道でも、その石を見ながら、一人でも楽しく、安心して歩くことができます。

 

-今後の目標や、やりたいことを教えてください!

 地域の方や観光客、トレイルのハイカーなどが集まれるような場所を、自分が管理してみたいなと考えています。その形がゲストハウスなのか、飲食店なのか、カフェスペースなのか、まだ具体的ではないですが、ふらっと来た人達どうしが話したりできるような場所づくりに携わってみたいです。場所はやはりトレイルルート沿いの三陸沿岸部がいいですね。

 

-移住を考えている方にメッセージをお願いします!

 不便と思うことはあるかもしれませんが、「これがなきゃ絶対困る」と思っていたことも、移住してみたら意外と大したことなかったなと思えることも多いです。いろいろと心配してしまうのもわかりますが、移住してみて、本当に合わなかったらまた別の道を探せばいいと思うので、とりあえずちょっとトライしてみて、無理そうであればやめる、それくらいの気持ちでもいいのかなと思います。あまり心配しすぎずに、時には周りの人にうまく甘えてみることでうまくいくこともあるのではないかと思います。

 

【施設紹介】 ニューオキライ

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住  所  岩手県大船渡市三陸町越喜来字肥の田29ー3

営業時間  毎週土・日・月曜日 9時00分~17時00分 

電話番号  0192-22-9464

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注 本記事におけるニューオキライの内観写真(カフェスペース)以外の掲載画像は、御本人から提供いただいたものです

このページに関するお問い合わせ

沿岸広域振興局経営企画部大船渡地域振興センター  地域振興課
〒022-8502 岩手県大船渡市猪川町字前田6-1
電話番号:0192-27-9911(内線番号:305) ファクス番号:0192-27-1395
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