平成26年2月12日知事会見記録

ID番号 N20275

(平成26年2月12日15時30分~16時22分)

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
 
知事
 それでは、まず発表事項の1番目、「平成26年度当初予算案」について説明します。
 まず、平成26年度岩手県一般会計当初予算のポイント、平成26年度当初予算案(一般会計)の状況について説明します。新年度の予算の呼称は「本格復興推進予算」です。意味するところは、第2期復興実施計画の初年度となることから、これまでの「基盤復興」の成果を土台にして、本格的な復興のステージに移行し、県民一人ひとりが希望を持って確かな未来を描けるように復興を進めていくための予算であるということです。
 予算の基本的な考え方ですが、第2期復興実施計画に掲げる「参画」、「つながり」、「持続性」の視点を重視した本格復興の着実な推進のための予算として編成をしました。併せて「いわて県民計画」第2期アクションプランの推進のため、地域資源を活用した地域づくりや若者や女性の活躍支援といった復興の先を見据えた取り組みも盛り込んでいます。
 また、社会保障・税一体改革を踏まえ、子育て、医療、介護など社会保障の充実を図りながら、国の経済対策関連予算を活用した本年度の2月補正予算と一体的に県内経済の活性化につなげていくこととしています。
 予算の規模は1兆167億円です。この予算規模は過去最大の予算となった平成25年度当初予算に比較して約1,350億円、率にしてマイナス11.7%の減となります。これは、災害廃棄物、いわゆるがれきの処理完了に伴って処理に要する予算が大幅に減額したことによりますが、道路や住宅などの整備事業については大幅な増となったことから、当初予算としては3年連続で1兆円を超える規模になっています。
 次に、具体的な歳入・歳出の状況について。まず歳入の状況についてですが、東日本大震災津波からの復旧・復興のための財源については、これまでと同様に東日本大震災復興交付金や震災復興特別交付税など国費を最大限活用することとしています。また、通常分においては、県税収入の伸びが見込まれる一方、地方交付税が減少する見通しです。なお、県債については、公債費負担適正化計画の方針に基づき国の交付金を活用するなどにより抑制を図っています。
 次に、歳出の状況についてですが、震災分については、災害廃棄物、いわゆるがれき処理関係予算が大幅減となる一方、地域連携道路整備などの増により普通建設事業費が4割程度増加します。一方で、通常分については、公債費が増となる中、選択と集中を行った結果、前年度とほぼ同規模の予算としています。
 次に、「本格復興推進予算」における取り組みの概要について説明をします。まず、復興実施計画の第1期においては、被災地域の復旧・復興の第一歩となる緊急的な取り組みを重点的に進め、本格的な復興に向けた復興基盤の構築のための取り組みを進めてきました。一部事業に遅れは見られますが、災害廃棄物の処理をはじめ、第1期実施計画の期末目標に対して8割以上の進捗が見られる指標が、605指標中492指標、81.3%となっているなどおおむね目標は達成できたと考えています。これら第1期の基盤復興の成果を土台に、平成26年度は第2期復興実施計画の初年度として「参画」、「つながり」、「持続性」の3つの視点を重視し、本格復興を着実に進めるための施策を展開していきます。
 まず、「安全の確保」分野においては、引き続き、被災した公共土木施設、海岸保全施設等の早期復旧・整備を推進します。また、復興道路をはじめとする災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築を推進します。
 「暮らしの再建」分野においては、被災者の方々が一日でも早く安定した生活に戻ることができるよう、災害公営住宅の早期整備や住宅再建・確保のためのさまざまなニーズに対応した支援、生活再建に向けた相談・支援体制の充実を図ります。また、被災した県立病院など医療施設の機能回復やきめ細やかな保健活動やこころのケアの取り組みとともに、多様な主体が協働して取り組む復興活動の支援等を行います。
 「なりわいの再生」の分野においては、地域漁業の再生に向けた担い手の確保・育成を進めるとともに、地域特性を生かした産地づくりや、県産農林水産物等の販路回復・拡大に向けた取り組みを推進します。また、被災した中小企業の再建や復興に向けた取り組みを支援するとともに、沿岸地域の雇用拡大と地域経済の活性化に向けた被災地における起業を支援します。観光については、三陸沿岸固有の地域資源を生かした観光振興を図ります。さらに、国際リニアコライダーの実現に向けた取り組み、三陸地域の魅力創造と発信に向けた三陸ジオパークの推進、再生可能エネルギーの導入などの取り組みにより、長期的な視点から新しい三陸地域の創造を目指す「三陸創造プロジェクト」の具体化を図ります。
 次に、「希望郷いわて」の実現に向けた、復興計画と軌を一にした「いわて県民計画」の推進における主な取り組みについて説明します。
「仕事」分野においては、自動車関連産業など本県の中核的な産業の一層の振興を図るとともに、地域資源を生かした食産業や観光産業の振興を図ります。また、地域農業の核となる経営体の育成や生産性・市場性の高い産地づくりに取り組むとともに、里山資源を活用した農山漁村ビジネスの推進や6次産業化等による農林水産物の高付加価値化を図ります。
 「暮らし」の分野については、医師確保対策の強化や災害時医療体制整備に向けた人材の育成を進めるとともに、障がい児療育・社会リハビリテーション拠点となる県立療育センターの整備を進めます。
 「学び・こころ」の分野については、生徒一人ひとりの進路実現に向けた指導の充実を図るとともに、平泉の世界文化遺産の追加登録に向けた取り組みを進める他、完全国体として開催することが決まった平成28年の「希望郷いわて国体」や「希望郷いわて大会」に向けた準備を進めます。
 「環境」の分野では、循環型地域社会の形成に向け、「もったいない・いわて3R運動」による普及啓発を進めるとともに、次期産業廃棄物処分施設場整備のための調査等を実施します。
 「社会資本等」の分野では、地域経済の活性化や観光客の利便性向上に向けた道路整備の他、いわて花巻空港ターミナルビルの改修による国際線受入態勢の強化を図ります。
 さらに、岩手の未来を担う若者と女性の力を一層引き出すための取り組みを推進することにより、本格復興の推進と、その先の「希望郷いわて」の実現をより確かなものとしてまいります。
 以上です。
 
 次に、「平成26年度の組織・職員体制の概要」について発表します。平成26年は基盤復興から本格復興に移行する「本格復興推進年」と位置付けて復興を県政の基盤として取り組みを進めていきます。このため、まず、復興事業の推進に向け、事業用地の取得が課題となっていることから、県土整備企画室に用地課長を設置し、用地事務を担う職員を増員します。次に、第2期復興実施計画に基づく「本格復興」の推進に向け、復興局総務企画課を復興推進課に改組します。また、現地復興体制の強化として、釜石市・大槌町の振興を担う副局長を新たに設置し、局長が復興施策や地域振興施策を沿岸広域全体で一体的・横断的に展開できる体制とするとともに、国の関係機関等を構成員に加えるなどにより、現地復興推進本部体制を強化します。また、三陸観光の再生や三陸ジオパークの推進に向けた体制整備も図ります。
 次に、「いわて県民計画」の推進に向けて、東北全体の復興と、日本再生の象徴となるプロジェクトであります国際リニアコライダーの実現に向けた活動とILCを核とした科学技術の振興を推進するため、政策地域部に「科学ILC推進室」を設置します。また、本格復興において重要な役割を担う若者と女性の活躍を促し、岩手の未来を切り拓いていくために政策地域部NPO・文化国際課と環境生活部青少年・男女共同参画課を統合し、環境生活部に「若者女性協働推進室」を設置します。質の高い幼・保の一体的な提供などを目的とした「子ども・子育て支援新制度」を着実に推進するため、児童家庭課を「子ども子育て支援課」に改組します。すそ野の広い自動車産業を中心に、ものづくり産業振興の体制強化を図るため、新たに「ものづくり自動車産業振興課」を設置します。また、お手元の資料に記載してあるような体制整備を図ります。
 職員数についてですが、本格復興等に向けた体制強化を図った結果、平成26年度当初における知事部局の職員数は、本年度より160人程度多い4,450人程度を見込んでいます。マンパワーの確保に向け、全国の都道府県等に対する職員派遣の要請や任期付職員の採用等を進めています。
 
 次に、発表事項の3番目、「平成26年度若者支援プロジェクトの取組方針」についてです。昨年9月17日の記者会見で、若者が活躍する地域づくりについて話しましたが、今回は平成26年度の取組方針です。まず「方向性・コンセプト」についてですが、若者自身に内在するパワーを引き出し、さらに個々の若者を有機的に連結、ネットワーク化することにより、若者が行動するための大きなエネルギーとして増幅させるという方向で、若者が主役になって躍動し自己実現を果たすことが、若者や文化を中心とする地域振興、すなわち「クリエイティブいわて」の実現、ひいては全ての世代が元気な地域社会につながるというコンセプトで取り組んでいきます。このため、各関係部局の取組内容を政策パッケージ化し、平成26年度のアクションプラン、「若者支援プロジェクト」を推進します。
 「中核的な取り組みとねらい」ですが、リアル、バーチャル双方で若者の交流とネットワーク形成の場づくりを行います。また、ユニークな若者らしい構想実現に向けた助成等の支援や、岩手の若者の活躍を、動画やSNSを活用し内外に情報発信するなどの取り組みを実施する予定です。
 きょうの資料には記載されていないのですけれども、こうした取り組みの一環として今週末、今度の日曜日、16日、盛岡市内の「ななっく」で若者の交流イベント「いわて若者会議」を開催します。盛岡出身の大友啓史映画監督の基調講演や、若者の活動紹介ブースの設置など、盛りだくさんな内容ですので、若い方々に積極的に参加いただければと思います。
 最後に、組織についてですけれども、環境生活部内に「若者女性協働推進室」を設置するということで、部局連携によって若者支援プロジェクトを推進することとしています。
 以上です。
 
広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。
 
幹事社
 それでは、ただいまの3件の発表事項について各社から質問があればお願いします。
 
記者
 今回の予算編成で、特に知事が心を砕いた部分はどこになるのでしょうか。
 
知事
 本格復興期間ということで、さまざま直していくもの、新しくつくるもの、そうした事業の量が増えますので、そうしたことをきちっと各分野、被災者の皆さん、そして被災地のニーズに応えられるように、漏れがないようにというところと、あとは本格復興という大きな流れの中で、1つは被災者の皆さんの生活がきちっと支えられていくということと、もう一つは岩手全体が復興の先も見据えながら各分野力を高め、未来に向かってしっかりつながっていくような、そういう未来につながるような事業を盛り込んでいくというその3つです。
 
記者
 県債償還等、今後14、15年度とピークが続いていますが、財政硬直化している中で、特に若者、女性について予算をこうやって用意した理由についてはどういうふうにお考えでしょうか。
 
知事
 一つは復興の流れの中で、若者、女性の皆さんがある面では必要に迫られて、ある面では強い意欲を持って大いに活躍しているその力の高まりというのをさらに後押しすることで、より強い力にしていきたいということ、もう一つは必要性という点から国際的に比較しても、また日本の中の固有の事情からいってもまだまだ若者や女性のさまざまな場面での活躍というのが足りないという問題が日本全体としてあると思うので、そういう中で岩手としては一歩前に出たいということ、そしてもう一つは女性や若者の活躍という点でさまざまゼロ予算的な事業とか、従来型のお金をかけてさまざま県の事業をやっていくというのとはまた違った新しいタイプの21世紀型、情報社会型の政策で、岩手を必要な守るべきところを守りながら発展をさせていくということができるはずだという、そういった三つぐらいのポイントがあると思います。
 
記者
 ILCについてなのですけれども、三陸創造プロジェクトの一つとして3,000万円計上されているようなのですが、組織の方も新しく推進室がつくられるということで、来年度はどのような事業を知事の中でイメージされているのかお聞かせください。
 
知事
 漠然としたイメージかもしれませんけれども、今まではとにかくILCというものがあるのだということを県内でも広め、県外にもアピールするようなところに軸足があったと思いますけれども、存在自体は大分知られてきていると思いますので、それで一体ILCというものが世の中をどう変えていくのかとか、また地域はどう変わっていかなければならないのかというようなことを、より具体的にその姿、ビジョンを共有していく方に軸足が移っていくかなと思っています。
 
記者
 先ほど、復興部分で心を砕いた部分をお願いしたのですけれども、通常分予算について知事の中でここはこうしたかったと、特に思い入れがある部分がありましたら、改めて教えていただけますでしょうか。
 
知事
 これも県民の行政ニーズに的確に応えるということで、あらゆる分野についてきちんと手当てしていっているのですけれども、一つ印象的には、継続事業ですけれども、療育センターの整備事業ですね、これは重度障がいを持っている子供たちがちゃんと必要な医療も、そして成長に必要な子育てケア(支援)も受けられるということで、なかなか体制を整備するというのは容易ではないのですけれども、でも県民として福祉のあるべき姿として、やはりそういうところをきちっとやれるということが、社会の志、そして底力を示す一つの象徴的な事業かなと思っていて、それが着実に進んでいくということが一つ自分の中の印象としては強くあります。
 
記者
 今回のでき上がった予算案を知事の中で振り返ってみて、自己採点というわけではないですけれども、自分の中でどれぐらいの満足度というか、評価を今下されているかというのを教えていただけますか。
 
知事
 これは点数を付けるとかという問題ではなく、岩手が置かれた状況、県民の皆さんが必要としているものということに、また予算というのも一つの手段であって、それだけをきれいにつくればいいというものではなく、その予算を使った事業によってきちんと結果を出していくという、そういう全体として行政というのはやっていかなければならないので、ただそういう流れの中でいい予算が準備できたなとは思います。
 
記者
 昨年9月に若者支援ということで、庁内に若手ゼミを発足させて7つの事業案が提案されて、今回予算には2つほど採用されたと伺っていますけれども、この流れ、全体を振り返って知事のご所感を伺えればと思います。
 
知事
 2つ採用というのはいい方なのではないかなと思います。他のものはもうだめだと決まったわけではなく、さらに磨きをかけると聞いていますので、この先楽しみだなと思っています。
 
記者
 この若手ゼミの取り組み自体についての感想なんかも伺えればと思います。
 
知事
 「隗より始めよ」的なところがあって、県民全体に若者が活躍するようにということを呼びかけるに当たって、まず、県庁の中でそういうふうにしなければなと思っています。まず、一歩前に出るような格好はできたと思うので、これが呼び水となって岩手全体、若者が一歩前に出て行くというふうに、さらになっていけばいいなと思います。
 
記者
 また3年連続の1兆円超えの予算案となりましたが、これの裏付けとして国の復興予算という大規模な25兆円の予算の裏付けがあります。その見通しというのが平成27年度までということで、その先というのがまだ見えていない状況ですが、その辺をどのようにお考えでしょうか。
 
知事
 とりあえず5年間というフレームで復興予算を国としては決めていったという経緯があるわけですけれども、岩手は最初から8年計画と言っていますし、市町村によって、あるいは岩手以外の都道府県によって復興にどのくらいかかるかという計画は、違いはありますが、5年で終わるというのはなかなかないのではないかと思っておりまして、そこはやはり国において節目、節目、東日本大震災の復興というのを、そのあり方を考えて、日本全体の経済再生とか、あるいは日本社会の再生とか、そういった中に位置付けて、オリンピックとの関係もありますよね、オリンピックまでにはちゃんと一段落させなければならない、そういうのも含めてフレームの見直しということを国の方でしなければならないのだと思います。
 
記者
 一方でなのですけれども、震災後の巨大予算は毎年のように大きな繰越が出ています。予算がなかなか執行、消化できない理由というのを教えてください。
 
知事
 まず、そもそも平時の単年度型の行政のやり方で進められるようなことではないというのがあると思います。大規模な復旧事業というのは、当然数年かかる、複数年かかるということがありますし、あとは普通であれば公共事業は準備に時間をかけ、計画をつくる段階でも時間をかけ、そして一旦事業が始まれば単年度ごとに計画どおりに予算の執行がなされるのでしょうが、復興というのは必要に迫られ、急いでやらなければならないわけで、準備に時間をかけている間に人口流出で被災地が崩壊してしまっては本末転倒になるわけですから、そういう意味で走りながら考え、そして考えながら事業を執行していくということで、やりながら随時修正を施していくということが出てきて、予算の繰越とか、そういったことが出てくるということだと思います。
 
記者
 その辺、繰越が全国の増税によって賄われている巨大な予算の繰越が出ていることに関しましてはどのように思っていらっしゃいますでしょうか。
 
知事
 そういう意味で、私は増税によってではなくて、こういうときははばかることなく国債を発行して財源を調達すべきということを言ってはいたのですけれども、ただ国債で調達した財源であっても、それはきちんと使っていかなければならないという大きな責任はあるわけでありまして、税で財源を賄っていただいている現状においても、それをしっかり執行していく責任があると思います。
 
記者
 組織・職員体制についてなのですが、その中でも一番トップに用地事務を担う職員を20人程度増員するということを掲げています。一番上に持ってきていますが、やはりこれが用地の問題というのは復興に向けて一番のハードルになっているという認識を持たれているという理解でよろしいのでしょうか。
 
知事
 この一番という言い方が何を意味するのかというと、そのとき、そのときによって他の要因が一番の障害、ネックになったりすることというのもあり得るとは思いますが、まず広く被災地、各市町村において共通の大きな課題として事業用地の取得の手続きの困難さということがあり、また人手も不足しているということで、そこにはできる限りの手当てをしていかなければならないということです。
 
記者
 ちょっとこれに絡んでお聞きしたいのですけれども、若干古い話になって恐縮なのですが、復興庁の根本大臣が今月1日に大槌町を訪れた際に、市町村の用地取得の手続きを支援する用地加速支援隊といったようなものの創設を打ち出したりとか、その前にも司法書士を被災地に派遣するとか、そういった取り組みを打ち出していますが、これに関して知事の評価をお聞かせください。
 
知事
 それで全てが解決するわけではないのですけれども、そういった専門的な人手の不足に悩む市町村がありますので、そういったところには大きな助けになると思います。
 
記者
 最後の質問になりますが、そういった中で県がこれまで求めてきている抜本対策、これについてはなかなか国も慎重な姿勢で、動きがなかなか見えない状況かなと思っています。
これに関して今どのようにお感じになっているかということと、以前にも他県との連携のようなこともおっしゃっていたと思うのですが、何か具体的に動きがあるのか、そのあたりを教えてください。
 
知事
 他県との連携については、今具体的な動きはないのですけれども、国と県のやりとりは常にさまざまなレベルで行われていて、用地取得事務も日々どんどん重なっていって、その中で困難事例というのも増えていっている、そうした実態をきちっと国の方にも伝えて、また情報共有をしながら、その中で必要性というのは先に行けば行くほど高まっているということもありますので、そういう変化を国の方できちっと見定めて、これはやはり必要だというふうに理解してもらえばと思っています。
 
幹事社
 他に各社から質問があればお願いします。
 
記者
 今お話のあった用地取得とともにもう一つ復興の妨げになっているのが県にしても、市町村においても相次いでいる入札不調の問題だと思うのですが、これについて、県の事業について、入札方法の見直しなども含めて、新年度何かお考えがあればというのと、国に関して今後要望していくご予定、お考えなどあれば教えてください。
 
知事
 一つはマンパワーとか、あとは資材とか、そういった流れをやはり復興に必要な分はちゃんと被災地の方に確保できるよう国にも調整を求めていきたいと思います。そして、あとは入札とか、契約の仕方はかなり技術的なところもあり、入札不調に終わったケースでも入札の条件や、あるいはやり方を変えることで、事業に着手できなくなったというケースはないと理解していまして、少し遅れるのですけれども、着工はしているというのが基本的な流れだと思っています。ただ、遅れていくというのはやはり避けるべきだし、早目、早目に着工できる方がいいので、一方では契約の公正性ということを確保しながらどういう工夫で早目、早目に契約成立、着工といけるかはいろいろ工夫していくべきところだと思います。
 
記者
 三陸鉄道についてお尋ねします。きのうの会議で正式にJR東日本から三陸鉄道との一体運行につきまして提案があり、具体的な条件なんかも提示されたと伺っています。この提案につきまして所感をお聞かせください。
 
知事
 JR東日本による鉄路の復旧と運行というのをずっと求め続けてきたわけで、その線に沿ってさまざま地元側とJR側ともやりとりを重ねてきましたので、三鉄による運行というのは急に出てきた話だなという印象を持っています。JR東日本においては、三陸鉄道というのを高く評価してくれているのかなと思います。当初の計画どおり3年間で復旧をなし遂げる、またそこにかかる予算も、これは最初自衛隊にがれきの撤去を手伝ってもらったりとか、いろいろ協力もあって予定より安く済む、そういう実績に加えて、去年の「あまちゃん」ブームの中で三陸鉄道の関心が高まり、ファンも増え、追い風が吹いているというようなところを評価してもらっているのかなと思います。ただ、JRですら持続的な経営ということについては自信を持ってやれないという中で三陸鉄道による運行という話が出るくらい、やはり山田線宮古釜石間の運行、その経営というのはそう簡単なことではありませんので、まずよくよく検討しなければならないというふうに思っています。
 一方で、我々もJR東日本という会社は立派な大企業で、黒字経営をしているわけですから、山田線宮古釜石区間についても、やはりJR東日本が運行していくことがいいのではないかということは今でも思っていますので、その旗はその旗で掲げつつ、今回の提案を検討させていただくということだと思います。
 
記者
 提案につきましては、一定程度鉄路復旧の見通しがもう見えてきたということで、一定の評価というふうに捉えてもよろしいでしょうか、まだその判断は早いでしょうか。
 
知事
 いろんな要因、材料を検討して詰めてみないと、果たしてそもそもできる、実現可能な提案なのかというところも詰めて検討してみないとわかりませんので、まず今は検討の段階ということだと思います。
 
記者
 沿線の地元の自治体や県への負担も大きくなる危険というか、可能性もはらんでいて本当に難しいところと思うのですけれども、今後どのようにJRに対して交渉というか、協議を詰めていかれるお考えでしょうか。
 
知事
 まずは、提案の内容を精査して、検討するという中で、その後の持っていき方というのも見えてくると思います。
 
記者
 先週の復興自治の第1回シンポジウムを取材させていただきました。知事がおっしゃるつながりの力というものの一端も垣間見させていただいたと思っています。
 それで、実際に知事、今回やってみて、改めて応援職員の方に対する所感あるいは自治体、他県の方に対する所感があればというのと、あと26年度の職員確保の方で実質今約700人超の必要に対して今のところ1割がまだ流動的であると。ただ、市町村課にお聞きすると、これから人事の方で各自治体の方で動きがあると思うので、見込みとしてかなり明るい材料もそろっているやに聞いておりますが、改めて新年度の職員確保に向けて知事としての意気込みといいますか、何かお考えあるいは訴えたいことあったら教えていただければと思います。
 
知事
 地方自治体に奉職する公務員の皆さんというのは、基本的に地方公務員として自分のふるさとというか、住んでいるところというか、そこで働くということを前提にしている中で、この岩手に来て被災市町村の中に入って、そして人によっては長期間生活しながら働くということは、やはり大変なことであって、本当にありがたいなと思っておりますし、またそういうことがこれだけ大々的な規模で、かつてないような規模で行われているというところに、この日本の地方自治のこれだけの自治体連携というのをやることができている日本の地方自治の進化というようなことを感じているところです。そういうことを主体的に自らの意思でやってくださっている各自治体は、長の皆さんをはじめ大変感謝いたします。また、それぞれの自治体もここ10年ぐらいの地方公務員を減らすという改革を進めて、余裕がない中でそうしたことをしていただいているというのは本当にありがたいことですし、最近の神奈川県さんのように任期付職員を採用し、その職員を派遣してくださるというような踏み込んだ対応をしてくださるところも出てきているというのは、さらにありがたいなというふうに思います。
 私も教育会館(「いわての復興を自治の進化に」第1回シンポジウム 全体集会)のプレゼンで話したのですけれども、そういう定員上、他の応援に行くという分を増やすということを日本全体で制度的にやった方がいいのではないかなという状況だと思います。これから大きな自然災害というのが日本のあちこちで起こることはあるわけですから、それへの備えということが必要なのだと思います。
また、岩手として必要な人数にまだ足りていないのですけれども、民間からの人とかも含めさまざまなやり方を工夫して、できるだけ増やしていきたいと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あと今お話あったとおり、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)の例を出されて、日本ではFEMAというよりは地方自治体の方で定数を確保していく方がいいのではないかというご提案だと思うのですが、改めて知事会とか、あるいは復興委員会の方でもこういったお話は提案されているとは思うのですけれども、改めて正式に何か打ち出すような、新年度あるいはこれからご予定等はございますか。
 
知事
 具体的な法律案みたいなところに持って行くにはもう少しいろいろ詰めて検討しなければならないと思っているのですが、ただ実態としては先ほどの神奈川県の例のように応援派遣のための人を増やすというようなことを自主的にやってくださるところが出てきていますことと、一方ではそのための財源というだけではないのですが、必要な地方財源を地方交付税交付金等の形で国にはちゃんと確保するようにということは常にやっていて、実態としては被災自治体を応援するための職員を増やす、そういうやり方に国もちゃんと財源を確保せよ的な動きは既に出てきていると言っていいのではないかと思うのですけれども、そういう実質的に実現していることを踏まえながら制度的な整備ということについてもちょっと考えていきたいと思います。
 
記者
 先週ですけれども、山田町で活動していたNPO法人の元代表理事らが逮捕されました。NPOが使ったお金の一部というのは県も関わっていたということでありまして、刑事事件に発展したということについての知事の所感をまずお願いします。
 
知事
 私は、岡田、今は容疑者ですけれども、当人はじめNPOの側からちゃんと謝罪をして、そして全て明らかにしてお金を返すよう求めていたわけでありまして、逮捕ということになっているわけですけれども、まず司直の手を煩わせることなく、自ら謝罪して事実を明らかにして、そしてお金を返してほしいというふうに思います。
 ただ一方、今まで本人は山田町の第三者委員会の求めに応じて説明するということを拒否し、非協力的でしたし、またマスコミの取材に対しても本当に本当のことを言っているのか、本当のことを言っているとは思えない対応を続けてきていますので、そこは警察や検察の取り調べなわけですから、ここはもう正直にちゃんと説明をして、特に動機、最初からだますつもりで接近してきたのか、また最初は全然だますつもりはなかったのだけれども、大金に目がくらんでといいますか、どこか途中からだまそうとしたのか、それはいつからかとか、そういったことが明らかになることを期待します。
 
記者
 このNPO問題に関連しまして、昨年12月の県議会では、平成24年度一般会計決算が不認定という結果になりましたが、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、ただ予算をつくるだけではなくて、ちゃんと結果を出していかなければならないとおっしゃっていましたけれども、不認定という結果を受けて、今回の予算編成に当たって何か心がけたこと、あるいは今後執行していく段階でこういうふうなことをしていこうと、そういうふうなお考えをお聞かせください。
知事
 決算ということの本質からいえば、あれはもうどこに出してもおかしくない、それは当該年度の岩手の決算だということで、国もそれを基にしてさまざま政策をつくっていいし、またいろいろ調べたい人は、それを正式な数字として使っていい数字でありますので、そういう意味では当該年度決算というものは、それはその数字を確かなものとして今回の予算案もつくられています。
 
記者
 先日、都知事選が終わりまして、舛添さんが当選されたのですけれども、その結果に対する所感や都知事に求めるものがありましたら教えてください。
 
知事
 まず、舛添要一新東京都知事には当選おめでとうと言いたいと思います。そして、東京都政というものは日本全体にとっても大変重要ですし、また「あまちゃん」でも象徴的に描かれていましたけれども、岩手と東京というのも一蓮托生的なそういう関係にもあるわけでありまして、ぜひ東京都政のかじ取りというものをうまくやってほしいなというふうに思います。
 
記者
 舛添都知事も都政の一つの大きな課題というか、取り組みとしてオリンピックの成功を掲げているのですけれども、オリンピックに向けて工事が増えて、人手がさらに必要になって、資材が必要になってと、被災地への影響も考えられるのですけれども、その点いかがお考えでしょうか。
 
知事
 東京が他の候補地と競り合って、そして最終的に「2020、東京」と選ばれるに当たっては、東日本大震災からの復興ということをちゃんと果たして世界の皆さんをお迎えしたいというアピールがあって、それで世界が東日本大震災は本当に痛ましいことであったが、日本国民が復興の努力をし、その復興となった日本の東京でのオリンピックをことほぎながらそこに参加しようというふうになっていると理解していますので、やはり東北の方の復興がその妨げになるような形で東京オリンピックの準備を進めるというのは、東京でオリンピックを開くことの趣旨に反する本末転倒になってしまうと思いますので、まず国の方ともちゃんと調整して、人手とか、資材というのがうまく必要なところに行き渡るようにして、まず東北の復興というのが一段落してから東京オリンピックの準備が本格化するようにうまくやってほしいと思います。
 
記者
 舛添さんは自民党の厚い支援も受けて今回当選に至ったのですけれども、政権に近いといえば近い立場の方が都知事になられたということに対して期待あるいは懸念がありましたら教えてください。
 
知事
 まず、知事はやらなければならないことをやらなければなりませんので、そこはきちんとやってもらわなければならないし、またきちんとやってもらえれば何党の応援を受けていようが、そこは政治は政治、別の話だというふうに思います。
 
広聴広報課
 それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

 

 次の定例記者会見は2月18日(火曜日)の予定です。

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