平成26年1月14日知事会見記録

ID番号 N18532

(平成26年1月14日10時30分~10時56分)

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表事項はございません。

幹事社
 本日は、記者クラブを代表した質問はありませんので、各社さん質問よろしくお願いいたします。

記者
 復興実施計画の第2期計画が示されまして、委員会の方からも意見交換が行われましたけれども、それについて委員の方からは人や財源の確保や国の規制がネックだというふうに指摘がありまして、緊張感をもっと計画の中にも持たせてほしいというお話でしたが、これについては県でも同様の認識を持たれているかと思うのですけれども、知事からも受け止めと所感をお願いします。

知事
 「財源」、「マンパワー」、そして「用地手続」という3つが復興を加速していくための大きな課題ということで、発災直後からそのことを指摘しながら、特に去年1年間はそこを政府への働きかけも強めて進めてきたところでありまして、次の3カ年計画、復興実施計画のこの準備作業の中でも、当然その3つが大きい課題だということを前提にして準備は進めてきたものであります。専門委員会の委員の皆さんの意見は、それをさらに計画の中にうまくその趣旨をということだったと思いますので、その旨うまく工夫できればと思います。

記者
 もう一つ、若者と女性の視点を盛り込もうというお話も計画の中にはありまして、意見交換を両方ともこれまでに行われましたけれども、そちらについてはいかがでしょうか。

知事
 かなりいい意見交換ができていると思っていまして、そういう意味で既に復興の中で活躍いただいているわけでありますけれども、それをさらに仕組みとして構造的に岩手の若者、女性の力が復興の力になり、その先の岩手の将来にもつながっていくように工夫していきたいと思います。

記者
 何か象徴的だったなと思えるようなポイントというのはございますでしょうか、意見の中で。

知事
 どれも貴重な意見なので、そういったものをできるだけ取り入れていきたいと思います。

記者
 国体のことに関してなのですけれども、あす日本体育協会が再来年の冬季国体の開催を岩手県で開催することを正式に決定する見通しです。そうすると平成7年以来の完全国体になります。それに関して知事の所感と、国体を開催するときは震災から5年になりますが、その震災からの復興を目指す岩手県にとってどういう意味を持つ国体にしたいのかということをちょっとお願いできますでしょうか。

知事
 冬季国体の開催というのは、まず地元開催地、市町村、そして関係の競技団体にも大変大きな負担が掛かりますので、かなり議論をしていただいて、よし、やろうということを決めていただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。そして、今回岩手としては初めての完全国体ということで、復興の象徴となるような国体、そして障がい者スポーツ大会ということを準備してきたわけですけれども、完全国体という中で、復興の象徴ということがさらに県民がそれを確認し、全国にそれを強くアピールするというふうにしていければと思います。

記者
 岩手県は雪国ですので、ウインタースポーツも盛んですので、今後、冬季完全国体をやるということに関して選手の発掘だとか育成、その他の方針などをお考えのところあるでしょうか。

知事
 これは、もう既に全国有数、世界で活躍する選手もいるところでありますし、それぞれの競技団体ごとに今も努力を重ねているところでありますから、県としても一緒に努力していきたいと思います。

記者
 改めまして、意気込みというか、完全国体をやる、平成7年以来やるということで、岩手県としての意志というか、そういうところをもう一度お願いできますでしょうか。

知事
 復興の象徴ということで、被災地での国体、また東日本大震災発生後、初めての被災地での国体ということで、もともと国体は国民体育大会ということで国を挙げてのスポーツのイベントなわけでありますけれども、その国を挙げてのということが復興の推進ということにも結びつくようにぜひ盛り上げていきたいと思います。

記者
 災害に備えた学校とコミュニティーのあり方についてお伺いします。被災地では学校をこれから再建するという作業になりますけれども、地域の中から学校にもうちょっと地域としても関わりたいとか、例えば交流するコミュニティーの施設を学校の中につくりたいというような考えを持っている地域もあると聞いておりまして、理念としての災害における学校とコミュニティーのあり方という部分と、実際にインフラみたいなものを学校につくることの是非について知事のお考えを聞かせていただけないでしょうか。

知事
 かなり抽象的かつある種学問的なテーマなので、なかなか一言でぱっと答えられるテーマではないと思いますけれども、基本的に、今、県教育委員会の方では防災の観点から学校施設というものが避難所として利用される、またそのための食料の備蓄とか、そういったことも期待されるという中で、そうしたニーズに応えられるような学校にしていこうという、そういう学校の防災体制の強化という流れがあります。
  あとはそもそも東日本大震災が起こる前から岩手型コミュニティースクールということで地域の中で学校、父兄プラス地域というのが一緒になって学校をつくっていこうということがあり、そこが、その2つの流れがうまく合わさっていくと、その地域ごとのニーズに応じながら、また地域の住民の皆さんが参画しながら防災に強い、防災で役割を果たす学校づくりということがうまく進んでいくと思います。

記者
 具体的な施設を学校の中につくるということについても合意があればいいのではないかということなのでしょうか。

知事
 例えばどんな施設ですか。

記者
 例えば地域の交流施設のようなものを学校の中につくるとか、地域の人たちの出入り口みたいなものを設けるとか、災害のときにイレギュラーなときの出入り口のようなものを設計するときにつくってしまうとか、例えばそういうような話が具体的にあるというようなことを聞いているのですけれども、インフラとして学校建設のときに盛り込んでしまうことについてはどうなのかなと思いまして、地域の理解があればそういった学校の中にもともとそういうものをつくって、組み込んで建ててしまうということもありなのか、それともそこまではあまり考えていないのかという部分なのですが。

知事
 よく分からないのですけれども、ある種の必要な施設については、かなりそこは具体化の動きがあるのだと思いますけれども、何についてと言ってもらわないと分からないですね。ただ一方で、DMATの拠点になるような医療施設をつくるとか聞かれれば、それは私が今この場でぱっと返事すべき話ではなくて、それぞれ専門家と地域、学校教育の分野で話し合いながら決めていくことかなと思います。だから、具体的になればなるほどこの場ではぱっとは答えられないし、一方抽象的な答えではあまり意味がないのかなと思います。

記者
 先日、志波城の一部を県の工事で誤って掘ってしまったということがあったと思うのですが、業者の責任ということも現場の方はおっしゃってはいましたけれども、この原因と、あと今後の復旧策について知事のお考えをお願いいたします。

知事
 あってはならないことで、私も大変遺憾に思っております。盛岡振興局の方からしっかり説明等なされていると理解しておりますけれども、二度とこういうことがないようにしてほしいと思います。

記者
 あともう一点なのですが、来週に震災関連死の認定取り消し訴訟があると思うのですが、一義的に訴えられているのは釜石市と高田(陸前高田市)ですけれども、県は審査する立場であることを踏まえて、他県よりも震災関連死の認定率が低くなっていると思うのですが、これについての原因というか、今後の対応について知事のお考えをお願いいたします。

知事
 認定率の問題は、例の6カ月でしたか、(岩手県は)一定期間以降の事例についてもきちんと審査している故に、そこを基本的に対象外としている県に比べるとその分の分母が増えるので、率は少なくなるといったようなことがあるというのは県議会で議論があったとおりであります。基本的に全体としてどういうマクロな数字に持って行こうという発想ではなく、個々のケースについてきちんと認定が行われていく、そういう作業が行われていくことが必要であり、そのように行われていると理解しています。

記者
 これまでの災害と違って避難生活が長引いている上に甚大な災害であるわけですけれども、そういったものを踏まえて今後どのように震災関連死について、県として審査していく方針といいますか、ということについてはいかがでしょうか。

知事
 今問題になっているのは、市町村がある制度上の支援をするに当たっての認定ということであって、極めて技術的、手続的なことだと思います。ですから、市町村の行政上の判断として、この方にはそれを理由としての支援は行わないとしたとしても、被災者として他のさまざまな支援が市町村から行われているし、また県や国からも行われているし、まずこの被災者支援という点からすれば、そうした全体の中でそれぞれの被災者イコール復興者の生活や、仕事や、あるいはまた安全の確保といったことがきちっと実現していくということがあればいいと思っています。
 それから、人の死の意味の解釈というのは、突き詰めますとこれはもう宗教的といいますか、あらゆる死というのは、それは特に突然の死というのはあってはならない不条理なことであって、それについて仕方がない的なことというのは行政から発することはあり得ないと思っていますし、そういうふうに解釈はしないでいただきたいというふうに思っています。あくまで行政上の事務的な手続として、ある支援をするかしないかの判断の材料としての認定であって、その方の死について存在論的な意味を行政として決定しているわけではないということは強調したいと思います。

記者
 復興計画の第2期実施計画に関連して先週7日に若者等の意見交換を取材させていただきました。その中で、若者、大槌で活動されている女性の方から、現在の沿岸のことを考えた場合に「復興」と「被災者」、「支援」、この言葉を使うのは避けるべきだという意見が出たのですけれども、私も内陸で取材をしていて今の沿岸の状況というのを自分で見たことはないのですけれども、そういう意見があったことに関して、知事はどのようにお感じになりますか。

知事
 「あまちゃん」の中でも夏ばっぱがいつまでも被災地というふうに言っているわけにはいかないだろうというようなシーンがあって、被災地という言葉を使いたくない、使わないようにしようという、そういう思いがまさに被災を受けた地域からあるというのはドラマだから一つの象徴的な話ではあるのですけれども、本質的にそれはある話だと思います。ただ、言葉というのはこれは人と人との間で使われるものであって、ケース・バイ・ケースだと思います。被災とか、復興とかという言葉の方がより言いたいことを伝えたり、実態を伝えたりしやすい場合もあると思いますし、ただみんなが気を付けなければいけないのは、そういう被災とか、復興とかという言葉が実態にそぐわない、特に当事者の皆さんの実態とそぐわないような使われ方をしていることがあるということは理解して言葉の使い方に気を付けた方がいいということだと思います。

記者
 私も考えて、ケース・バイ・ケースとおっしゃいましたけれども、個人差が多分あるのだと思いますし、あと沿岸の方同士で話として出る分にはいいけれども、県外とか、よく分かってない人に言われたみたいなことで多分心証を害す場合があるのかなと思っていますけれども、今おっしゃったのはそういうことも含めてというお話でしょうか。

知事
 その言葉の使い方というのは、同じやりとりについてもまた多様な解釈もあり得ることであります。やはり使う側が気を付けなければならないわけでありまして、相手にきちんと伝わるように、また直接の相手以外にもその言葉で傷つく人とか、嫌な思いをする人とかというのが出てき得る、そういったところにも気を付けて言葉は使いましょうということだと思います。

記者
 ありがとうございました。あともう一つ、先ほどの志波城の件でお聞きします。振興局から説明が実際に週末あったのですけれども、原因に関してはちょっと釈然としないところがありまして、実際に現地で説明をされて拝見すると、工事のためにはどうしても敷地を掘削しないと工事ができないような状況が受水槽といいますか、その部分でありまして、その中で陳謝を振興局の農政部の方でされた中で、細かい指示が悪くて施工方法が不十分だったとか、指示が不徹底だったということなのですけれども、文化財の担当の方であれば史跡の敷地内で遺構の一部がどこにあって、最大神経を使うということは当然なのですけれども、実際に今回は農政の関係でしたけれども、土木に関してもそういった認識が甘いのではないかなという感触を受けたのが実態なのです。それで、実際に県の技術系の土木なり、農政なりの方にもそういう意識をちょっと再認識してもらう必要があるのではないかと私自身は思ったのですが、その点いかがでしょうか。

知事
 今回のことはまさにそういうことを言われてもしようがないというようなことをしてしまったということだと思いますので、猛省を促したいと思います。

記者
 先日13日にうち(読売新聞)の紙面の方で中国社製の入力ソフトBaidu―IMEについて、全国の都道府県について調査した結果、岩手県でも101台のパソコンでインストールしていたということで、情報漏えいの可能性もあったかもしれない事例だったのですけれども、県としては今後の何か対応、再発防止なり、調査なり、何かするものがあればお話をお伺いしたいのですけれども。

知事
 今はシステム上、そのソフトを使って情報が外に出ていかないような仕掛けを施しながら全てアンインストールするように進めているというふうに聞いておりますので、まず今情報漏えいの心配はない状態になっていることで、その中で早くアンインストールするようにというところだと思います。

記者
 あと今後同じような別のソフトを知らぬ間にダウンロードしてしまうという事例もまた出てくるかもしれないと思うのですけれども、それに対する何か対策などについては練っているものはありますでしょうか。

知事
 Baidu―IMEを自動インストールできるようにしているソフトの提供者は、それを発表していただくといいと思いますよ。どんなソフトにくっついているのかというのが分かればそのソフトをインストールしていたら、ちょっとチェックしようということにもなるし、またこれからインストールする人が気を付けるでありましょうし、何か今はほとんどというか、全然そうなってないじゃないですか。これだけ大きな問題になっているのだから、やっぱりBaidu―IMEを自動インストールできるようにしているソフトというのは、それを自ら発表すべきだと思いますよ。それがあれば対策も簡単だと思います。

記者
 2点ありまして、まず仮設住宅に関してなのですけれども、今岩手県内でも仮設住宅が大体1割強ぐらい空きが出てきまして、そういったところを今までの市町村要望とかでも有効に活用したいという声が出ていまして、例えばUターンで戻ってきた人を住まわせたいとか、復興事業に伴って一時移転が必要な方を住まわせたいとか、いわゆる被災していなくてもそういう人に住まわせたいというニーズがある中で、国の方は基本的には被災した人というスタンスだと思うのですけれども、何か県と国とのやりとりの間で利用拡大に向けた利用緩和に向けた動き等を把握していましたら教えてください。

知事
 基本的には市町村が自由に使えるようにしてほしいという方向性で県からも国の方に要望しているところです。本当に地域、地域、それぞれいろんな事情がありますので、そこにきめ細かく対応できるように地元の自由度を高めるような形で使えるようにしてほしいと思っています。

記者
 その要望に対して国から、例えばですけれども、Uターンの方だけは柔軟に認めるとか、そういうレスポンスみたいなものは今のところはまだないのでしょうか。

知事
 かなり災害援助法、救助法とか、災害関係の法律の趣旨に沿ったというところに、そういう発想であまり自由な感じには認めてないという印象を持っているのですけれども、仮設住宅を建てていくときにもいろいろ民有地を活用するとか、かなり現場の実態に合わせた新しいやり方をどんどん認めてもらったということを思い出しますので、つくるときだけではなくて使うときについてもやはり非常時だということで柔軟な対応を国に求めたいと思います。

記者
 あともう一点なのですけれども、これと全く別の話題なのですが、東京都知事選で今複数の立候補表明、意向を示しているという報道がありますが、原発に関する政策が争点の一個に上がるのではないかということで、それに対する知事の所感が何かありましたら教えてください。

知事
 候補者がどういう政策を訴えるかというのは、これはもう完全に自由ですから、こうでなければならないというのはないと思います。

広聴広報課
 それでは、これをもちまして記者会見を終わります。
 

  次の定例記者会見は1月20日(月曜日)の予定です。

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