平成26年1月7日知事会見記録

ID番号 N18529

(平成26年1月7日10時30分~10時55分)

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表事項はございません。

幹事社
 それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問します。知事の年頭に当たってのご所感をお聞かせください。

知事
 まずは、皆さん、明けましておめでとうございます。平成26年、2014年がスタートしたわけでありますけれども、まず一言で言って今年を去年よりもいい年にしたいというのが私の思いです。これは、一つには、東日本大震災からの復興、去年も「復興加速年」ということでさまざま事業が進み、がれきの処理や三陸鉄道の復旧などおおむね予定どおりこの25年度中に終わるというところもあるわけでありますけれども、一方で、もっと早く、もっと早くというところもあったわけでありまして、そうしたところを今年は基盤復興から本格復興に移行する「本格復興推進年」という形で、より復興を力強く進めていきたい、そういう思いがあります。
 もう一つは、去年「あまちゃん」が全国的な大ブームになったこと、ILC国際リニアコライダーが北上に場所が決まったこと、三陸ジオパークが日本ジオパークに認定されたこと、岩手の若い皆さんがスポーツや文化などいろんな分野で大活躍してくれたこと、そうした多くの明るいことがあった去年だったわけですけれども、これらをさらに発展させて、よりよい年にしていきたいというのが年頭の所感です。

幹事社
 この質問に関連して各社から質問があればお願いします。
 無いようなので、他に各社から質問があればお願いします。

記者
 年頭ということで、復興に関してなのですけれども、去年、国に再三にわたって要望してきた用地取得の問題で、特例措置というものを要望してきましたが、まだ結論は得られていませんが、今年はどういう位置付けで、どのように県として対応していくお考えでしょうか。

知事
 県のプロジェクトチーム(ワーキンググループ)、岩手弁護士会の皆さんと協力をしてかなり具体的な法律の要綱のような形でこういう制度、こういう特例措置をしてもらうと早く進むということを示すことができました。そして、それを早くしなければならないという根拠としても県に加え、市町村からも多くの要望があり、その背景にはまず県の防潮堤関係事業が先行していたのですけれども、各市町村の面的整備もどんどん進む中で難航用地、交渉困難用地というものがかなりあるということがはっきり事実として見えてきている。政府の方は、立法事実と言うのですけれども、その立法の根拠になるような事実というのが無いとどうもという姿勢だったのですが、立法事実がかなり見えてきている、新しい材料が増えてきていることに加えて、じゃあ、どうすればいいかというのも具体的な案が出ているということで、去年よりも国に申し入れていく、働き掛けていくということはより強く訴えていけるのではないかなというふうに期待しています。

記者
 それで、去年は岩手県単独での要望というのがあったのですが、宮城県など他の自治体と協力していくということはあり得るのでしょうか。

知事
 宮城や福島においても難航事例が多いという、そういう立法事実がどんどん増えてきていると聞いていますので、そういうやりとりを今事務レベルでやっていますことから、そういう材料がそろい次第、あるいはうまく共同で政府に申し入れることができるような段取りが整えば協力してやっていきたいと思います。

記者
 もう一点伺います。ILCの話なのですが、政府の来年度予算に盛り込まれましたが、誘致するかどうかは数年かけて検討すると政府は言っていますが、その機運が停滞しないことも大切と知事は去年おっしゃっていましたが、その中で今年ILC誘致に向けて、どういった位置付けの年と考えていらっしゃいますか。

知事
 まず、前までは政府の中においてはILCというのは全然無い、存在していないような状態だったわけですので、5,000万円という、そういう予算が確保されたということは大きな前進だと思っています。しっかり調べるべきことを調べ、検討すべきことを検討して建設するという結論を出してほしいと思っておりますけれども、そのためにも、これは平泉の世界遺産認定のときと似ていると思うのですけれども、まず地元でILCの価値を理解し、そしてどんどん全国にも広められるように、海外にも伝えられるようにしていくということが大事だと思っています。私としても全国的な経済団体はかなり前向きですので、そういう皆さんと一緒に連携したり、あるいは外国にILCのことを伝える機会があればそこを捉えて外国にもどんどん発信したりしていきたいと思います。

記者
 ILCについてなのですけれども、昨日の訓示の中でも全部課で共通して取り組むべき課題だというようなお話がありましたけれども、改めてILCを推進するような県の組織を立ち上げるようなお考えというのは今のところはございませんでしょうか。

知事
 既に県の中で部局横断的に取り組む体制はできていまして、そこで教育の体制ですとか、医療、福祉の体制ですとか、そういったことについても検討が始まっています。科学、研究ということが中心ではあるのですけれども、そういう教育とか、医療、福祉のような生活全般、まちづくりのようなことにも広く広がる話ですので、オール県庁の体制で取り組んでいきたいと思います。

記者
 震災遺構のことについて、改めての質問になるのですけれども、昨年国が初期費用の補助を決めてから議論が活発化しているわけですけれども、国がそういった補助金を出す、決める主体は市町村という中で、県の震災遺構の保存に対する役割というのは、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
 ケース・バイ・ケースでありまして、例えば陸前高田市の奇跡の一本松を含む高田松原地域を中心にそこに祈念公園をつくるということについては、もう県、市が一体になりながら国に働き掛けるということを大震災直後からやっていますし、またジオパークの取り組みの中で、20ですか、30ですか、そのくらいの数の震災遺構についても専門家の意見も伺いながら、これらは残す必要があるということを県も一緒になって決めていったというような経緯があります。
 ということで、国の方では震災遺構という枠組みの中で市町村1つずつに補助金を出すというような、財政、予算を決める手順としてはそういう発想になるのかもしれませんけれども、現場の方はあくまで新しいまちづくりの中で、ここは新しい賑わいの中心にしていく、ここは住宅地にしていくというような中でこの震災遺構は残していくというようなことをやっていますので、一律に制度化するというのは、予算を決める方便としては予算を決めやすい発想で、予算は必要なのでそれはそれでありがたいのですが、現場でやっていることはもう少しケース・バイ・ケース、それぞれのまちづくりの中でどう残していくかということで、そこに県としても寄り添いながら一緒に対応していくというのが基本だと思っています。

記者
 例えばお隣の宮城県の例がよく出されますけれども、震災遺構についての検討会議を設けたりという、遺構というのを前面に出した、要は目に見える形での県の取り組みというものが、今のところ知事の感じは個別に対応していくというお考えなのだと思うのですけれども、そこら辺は県として顕在化して、そういう震災遺構を前面に出した会議みたいなものをつくらないというふうにお考えになったのはどういった理由からなのでしょうか。

知事
 今のやり方でうまくいっているからです。

記者
 そういった意味では、先ほど1市町1カ所という、予算を決める上での定量的な基準というものは現場の方から見るとふさわしくないというお考えもあったと思うのですけれども、そこに対する国の考え方の変更を働き掛けたりとか、そういったことのお考えというのはありますか。

知事
 まず、一般論として複数でもいいようにしてほしいということは政府が発表したときから県としてもはっきり言っております。あとは陸前高田のように祈念公園という形で残す場合には、そういう事業として、これは既に国の(調査の)予算も決まっていますし、震災遺構という枠組みとは別の事業でやっていますし、普代村の水門についても、あれは災害復旧ですか、そういう災害インフラ整備の枠組みで、震災遺構ではあるのですけれども、そういう枠組みで対応していますし、ということでケース・バイ・ケースに対応していくということも含めながら、要は地元として必要なものをきちんと国においても予算確保してほしいという形で進めていきたいと思います。

記者
 最初の方の復興の関係で、がれき処理とか三鉄の復旧が進んだ一方で、もっと早くする部分もあるということで、きのう沿岸の方を知事は回られて、地元の方とお話しされたと思うのですけれども、改めて具体的にどういう事業をもっと早くしたいというふうにお考えでしょうか。

知事
 直接やっているのは市町村ですので、県として言い方は工夫しなければならないところなのですけれども、いわゆる面的整備、高台移転とか、低地の土地区画整理事業、新しい住宅地をつくっていくということについて、もっと早く、もっと早くという思いが強くあるなということを感じており、それはそうすることが適当で、また可能であるならどんどん早くしなければならない。県としても国に対する特例措置の要望でありますとか、あとはさまざまな現場の対応については県の努力と工夫で加速できるところが今までもあったし、これからもあると思いますので、そこは県としてきちんとやっていく、また市町村がやりやすいように支援していくということだと思います。

記者
 先月末に復興ロードマップ(社会資本の復旧・復興ロードマップ)が発表されまして、公営住宅とかで年度がちょっと遅れるというものがあったのですけれども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

知事
 そうですね、まずあれはそのとき、そのときの客観的事実を共有していくことがまず大事ということでやっていますので、今のままだとそういう状況だということを県民みんなで情報として共有し、そしてそれを早くできる工夫は他に無いかと、またそれ以上遅らせないために頑張っていこうというようなさまざまな工夫をしていくということでありますので、遅れるといいますか、当初の予定よりも長くかかるというのが見えてきたところ、ただ場所によっては住民として孫子の代まできちっと残せるより安全で、またより賑わいのあるまちづくりのためにはそのくらいの時間をかけてもしようがない、あるいはそのくらいの時間はかける必要があるという、そういうことであればそこは拙速に走ることなくきちんと時間をかけてつくらなければならないというところもあるでしょうし、まさにこれはケース・バイ・ケースであって、ただそういう議論を地域ごとにきちんとしながら、そのくらいの時間がかかるということの意味をちゃんと地元の人も分かりながら、その中でそのくらいの時間はかけようという決断、あるいはもっと早くしなければだめだという決断、そういうものを的確にやっていけるということが大事だと思っています。

記者
 近々だと思うのですけれども、第2期復興実施計画の素案が間もなく表に出てくるところと思いますが、今回の計画の案では本格復興推進ということでどういったことを重点的にやっていくという知事のお考えをお聞かせください。

知事
 まず、まだあくまで案ですので、県の復興委員会の委員の皆さんの意見も伺い、またパブリックコメントも経て、そして議会の方にもきちっと説明してというような段取りを経るというのがまず前提にあります。
  それから、数え方にもよるのですが、300くらいの事業から成っておりまして、それぞれの事業はそれぞれの担当が必要性をきちっと検討しながら、また市町村とも意見交換し、いろんな意見を聞きながら案としてつくっていっているところでもありまして、まずその約300の事業をしっかり進めていくことで本格復旧と言うに値する、本格復興と言うに値する復興が進んでいくというような内容をつくらなければというふうに思っています。
 実態として、災害公営住宅の整備、また面的整備、高台移転や低地の土地区画整理等の面的整備のピークがこの3年間。この3年間で大宗を終えるというような内容になっていますので、そこをしっかりやることで本格復興という実感も得られるような3年間にしていけるというふうに思っています。ただ、そういうまさに本格復興の3年間ではあるのですが、その前の3年間と合わせますともう4年、5年、6年仮設住宅生活がそのように長期化していく人たちもまだまだ多く残っているわけでありますので、そういった皆さんの生活支援をしっかりしていく、そこをやはり重点としていきたいと思っています。その中で1つ新たな視点の強化として、若者や女性が活躍できる復興という視点からそれぞれの事業にそういった視点を盛り込み、またそういった女性、若者に活躍してもらえるような、そういう企画も盛り込んでいくというところは特徴になると思います。

記者
 釜石の両石湾で国の復旧工事を進めている釜石湾口防波堤についてのご質問なのですが、県が防波堤に波がはね返った影響で被害が拡大したというシミュレーションを検証したにもかかわらず、結果を公表していなくて国の事業を静観したという事実を報道したのですけれども、それについての知事の見解を伺いたいと思います。

知事
 どういうデータについて言っているのか判然とせず、担当の者がそれは一体どういうデータなのですかと、民間からいろんなデータ提供を受けて、どういう会社がつくったどういうデータかと特定してもらえると県の方でも調べやすいのですが、今それを教えていただけますか。
 あともう一つ、釜石湾口防波堤というのは釜石市中心市街地を津波から守るということとプラス湾内の静穏域を確保して港湾の活用、トヨタの自動車があそこから出荷されていたということもありますし、そういった産業面での重要性もあって必要ということでできたもので、かつそれを前提に県の方でもしっかり湾口防波堤がある状態で両石湾にどういう津波が来たときにシミュレーションできるかきちっとやった上で、今一定の高さの防潮堤計画ができているのですけれども、おっしゃるデータの内容でもし釜石の湾口防波堤がなければ両石の防潮堤の高さが半分で済むとか、そういう内容なのでしょうか。

記者
 ちょっと情報提供者の関係もあるので、社名等はここでお伝えすることはできないので、直接担当の部署に申し伝えさせていただきますけれども、事実として複数の社があったとして、そういったシミュレーション結果があったのかどうかということを伺いたいのですけれども。

知事
 県は基本的には釜石湾口防波堤というのは、さっき言ったように津波防災の観点からも港湾の活用の点からも必要であって、かつそれを含めた、両石湾も含むその地域の防災についてきちんとシミュレーションをして、その結果に基づいて両石の防潮堤の高さとか、あとは防潮堤の内側のまちづくり基本方針、これは釜石も一緒になってつくっているわけであって、データに基づいてきちんと計画を立てているということです。
  ちなみに、もし釜石の湾口防波堤が無かったら両石の防潮堤は必要ないとか、そういうデータがあるのですか。もしそうなら、それは本当に釜石(両石)の防潮堤が必要なのかを検討する材料にはなるのかもしれないけれども、ただそういうような情報は少なくとも私は見ていませんけれども。
  ということで、両石には今必要な防潮堤の整備ということで安全を守れるように計画を立ててやっているところです。どうなのですか、そのくらい違うのですか、釜石の湾口防波堤が無いと両石の被害というのは。

記者
 記事に書かれた以上のことはちょっとここで申し上げることはできないのですけれども。

知事
 ということは、劇的に被害の度合いが違うというような情報は無いということですね、新聞にも載ってなかったし。もし防潮堤の高さが半分で済むとか、あるいは防潮堤が要らないみたいな劇的な情報があれば新聞に載せるでしょうし、それを見れば、じゃあ、湾口防波堤のあり方も検討しなければならないのかなと思うのでしょうけれども、そうではないということですか。

記者
 要る要らないの是非を問うというよりは、浸水面積が15ヘクタールから14ヘクタールに防波堤がなければ減っていたというそこのシミュレーションの結果のその事実に焦点を当てたものです。

知事
 浸水地域が15ヘクタールから……

記者
  から14ヘクタールに減る。

知事
  14ヘクタールになる。そこはちょっと担当に聞いてみたいと思います。

広聴広報課
 それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は1月14日(火曜日)の予定です。

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