平成25年12月24日知事会見記録

ID番号 N16670

(平成25年12月24日10時30分~11時01分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表事項はございません。

幹事社
それでは、幹事社から県政クラブを代表して質問させていただきます。この1年を振り返っての所感をお聞かせください。

知事
この1年を振り返りますと、まず思い出されますのは、東京での国体で陸上女子400メートルリレーで岩手県が優勝したことです。おかげで岩手県は国体の順位が去年の39位から23位へと躍進したわけであります。スポーツの分野で岩手に力がついてきているということなわけですけれども、これはさまざまな分野で岩手に力がついてきているということを象徴したことだと思います。
岩手は、東日本大震災からの復興に取り組んでいますし、また、今年は夏から秋にかけて内陸地方を中心に大雨、台風でかなりの被害が出たわけでありますけれども、そういった自然災害、それがもたらした被害にしっかり取り組む中で、この岩手の力というものが高まってきている、そういうことを実感します。
今年、北上山地が国際リニアコライダーの国内候補地に決定したことや、三陸海岸が日本ジオパーク認定を受けたこと、そういったことも岩手に力がついてきているということの例だと思いますし、また「あまちゃん」が放映され、ブームになったことも、もともと岩手県で行われていた地域振興の取り組みというものがベースになってドラマ化され、またそのドラマを受け、久慈市を中心に観光の受け入れでありますとか、さらに地域振興への取り組みを強化した、そういった岩手の力が高まっているということを感じることができたこの1年間だったと思います。

幹事社
この質問に関連して、各社から質問があればお願いします。

記者
今、1年を振り返った中で、今年は夏から秋にかけて内陸中心に大雨や台風の被害ということと、復興のお話もありましたが、ちょっとその2点についてもう少し詳しく教えてください。自然災害の件はどのように受け止められて、今後どのようにしていかれるのかということ、それから復興についても今年は復興加速年ということで進めていらっしゃったと思うのですが、それに対する評価と今後の課題についても教えてください。

知事
今年の大雨や台風による被害は、かつて経験したことがないような雨量の雨、またそれに準ずるような台風、大雨によって、今まで経験したことがないような洪水が発生したりといった災害でありました。それに対して、県としても今までなかったような被災者支援、生活再建支援の事業を講じ、県議会の承認もいただいて、補正予算で対応しましたし、また、県民のボランティア活動も活発に行われて、被災した地域の復旧に大いに力を果たしていただいたと思います。
それから、復興の方でありますけれども、これも基盤復興から来年以降の本格復興につなげていくために、がれきの処理や三陸鉄道の復旧ということについては急ピッチで進んで、3年間での完了という目標達成が可能になってきていますし、また水産業関係、商工関係、特に観光で大きなホテルが次々に復旧していったということが、沿岸全体としての復興感の高まりにもつながったのではないかというふうに思います。
なお、用地手続きの困難さが手続きに入ってどんどん見えてきており、そこにかなり時間がかかるだろうということが見えてきて、関係者の不安にもつながってきているのですけれども、まずこれに対しては県と国とで問題意識を共有し、そしてこれも今までなかったような土地収用法上の期間の短縮化とか、それから人的支援とかといった工夫が講じられて、それがない場合と比べると、復興が加速したというふうに言えると思います。
しかし、この復興というのは、県としては8年計画ということがあるわけでありますけれども、被害を受けた被災者の皆さんからすれば、願うのはもうこの瞬間にも元の生活に戻る、この瞬間にも元働いていたような形で働いて稼ぎたいということでありますから、一定の計画が守られればいいというものではなく、早ければ早いほどいいわけでありまして、そのための工夫というのはさらに県としてもしていかなければならないし、国にも求めていかなければならないと思っています。

記者
ありがとうございます。この間も直接国に行かれて、用地取得の件でいろいろ要望されていたと思うのですが、ずっと取材をしていても、手続きの簡素化という話は出るのですけれども、なかなか抜本的な変更には至らないなという実感がすごくあるのですが、これは今後も大きい課題になると思うのですけれども、来年以降どのように働きかけをされていきますか。

知事
まず、復興全体の中でも非常に大きな問題というところを、国も県も共にその問題をしっかり見ているというところは、そこがスタートになると思います。世の中には、そういう重要な課題について気が付かなかったり、あるいは背を向けたりとかいうことで事態が悪化していくということがあるわけでありますけれども、事態が悪化していくようなことにはならないという状況にはあると思っています。
そして、国の方には、これは菅内閣、野田内閣からずっとそうなのですけれども、法律を変えるのであれば、そのための根拠というものが全て示されなければならない。どれだけ大変かという全貌が見えて、初めて法律を変えるという決断をするという基本的な考え方があるのですが、地元の側からしますと、実際に困難さが現実的に見えてこなくても、それはやる前からそうなることは予想できるのであって、それを予想できる困難さに対して先手を取って法律を変えるべきという、そういう立法の着手に関する基本的な考え方の違いがあるのかなと思います。
ただ、国については日本版NSCの設立みたいに、非常にスピーディーに新しい法律をつくって、まさにあれは実際想定される紛争とか、戦争とか、そういう危機が起きる前にそういう体制をつくろうという話でありますから、この用地取得に関する特措法というのと発想は似ていると思うのです。そういう意味で、一部の分野で国の方でとっている立法に関する考え方を、復興に向けての用地の問題でもそういう考え方を採用してほしいし、また実際県が防潮堤事業に着手し、そして今市町村が面的整備に着手する中で、立法すべき根拠というのは日々どんどん増えてきていますので、そういった実態を国に伝えていくことで国の決断を促したいと思います。

記者
この1年の県の事業で、達増知事だからこそ成し得た事業というものがどの程度あったかということについての所感と、もしあったとすれば具体的にどのような事業がそれに該当するかということを教えてください。

知事
県の事業というのは、スタンドプレーで進めるものではなく、みんなで力を合わせてやるものでありますので、私でなければできなかった事業という、そういうものがないようにしたいと努めています。

記者
あともう一点お願いします。先ほどもお話に上がったように、今年は「あまちゃん」が県内でブームになりましたが、知事ご自身も折に触れていろいろ発言をされてこられたと思うのですけれども、改めて「あまちゃん」というドラマが県内全体に及ぼした影響というのはどういうものかということと、それからこの「あまちゃん」効果というものを来年以降、観光振興の面などにどのように生かしていく、継続、持続させていくかという、それについてのお考えをお示しいただけますでしょうか。

知事
東日本大震災にしっかり向き合って、そして復興に真剣に取り組んでいくということと、みんなでおもしろおかしいことを言い合って、笑いながら過ごしていくということが両立するのだということが、岩手県民の間でそういう実感を得られたということが大きかったと思います。私自身、4月1日以降、それ以前よりも朗らかに仕事をすることができたなという実感がありますし、それは県職員や三陸鉄道の職員もそうだと思うし、また広く県民の皆さんもそうやって朗らかに、東日本大震災のことも忘れずに、また復興にも取り組んでいくということが、それでいいのだということが浸透して、それは復興の推進ということに大きな力となったと思います。一言別な言い方をすれば、復興に向けての大きな励ましになったということだと思います。
そして、全国の皆さんにも東日本大震災のことを改めて思い出してもらい、そして復興ということにさまざまな形で参画したいという思いもまた促したと思います。それは、岩手のものを買うとか、岩手に観光で来るとかということにもつながって、そして実際「あまちゃん」のロケ地に観光客が増えるとか、その関係で岩手全体としても観光については追い風になるとか、そういう現実的な効果も出てきているというところだと思います。

記者
それを、今後、来年以降はどういうふうに生かしていきたいというふうに思いますでしょうか。

知事
朗らかに、またみんなで楽しく復興を進めるのだという、そういう勢いは引き続き来年にもつなげていきたいなと思いますし、また岩手に対する関心が高まって、全国の皆さん、震災のことを考え、岩手復興を応援したいという、そういう気持ちについても、来年以降もそれが続いていくように工夫をしていきたいと思います。

記者
先週、関東の自治体で部長級の職員に被災地への職員派遣を指示したところ、退職してしまうという決断をしたというような報道がちょっとあったのですけれども、そちらの自治体の市長はぜひ被災地を応援してほしいということで派遣したのですけれども、それに介護とかいろんな理由があって、その自治体を退職するという趣旨だったのですが、この点に関して知事はどのようにお考えになりますか。

知事
人事の問題ですから、これはもう県議会でも人事案件は質問なしで決議するというくらい、立ち入ればもうそれはプライベートな話になっていくわけなので、他自治体の人事上の問題には、特にコメントはいたしません。

記者
確かにそのとおりだとは思うのですけれども、やはりこれからもますます派遣職員の方の力が必要だと、前回の会見のときも復興が成り立たないというような、そういう状況の中で、トピックスとして起きたことではあるのですけれども、改めて新年度に向けて職員派遣、どういうふうに自治体に、2月にイベントを予定されていますけれども、改めて知事のご決意というか、他自治体への職員派遣の呼び掛けみたいなものをいただければと思うのですが。

知事
全ての自治体の全ての職員が全員被災地の職員にならねばならないというような考え方は、非現実的であると思います。岩手県、それから岩手県内市町村、宮城県や福島県、被災した市町村、それぞれがこのくらいの人数が必要ということを自治体の全国団体を通じて、あるいは直接全国の自治体にお願いしているところでありまして、そこに対しては非常にいい反応があり、日本全国自治体、特に21世紀に入ってからの地方行財政改革という流れの中で、職員を大幅に減らしているというのが全国の自治体の実態なのですけれども、そういう中で大勢の職員を派遣いただいているというのは、これはもう重ねて感謝申し上げたいと思います。しかし、まだ足りないというところがありますので、そこのところをさらに必要な人数確保していただけるように、改めてお願いをしたいと思います。

幹事社
1年を振り返っての所感で質問はないですか。
その他で各社から質問があればお願いします。

記者
20日の日に、政府が風力発電に関して、農業以外への転用を認めていなかった優良農地の風力発電への転用が認められるという方針を示したことにつきまして、県の求めてきた、訴えてきたことが認められたという形なのですけれども、そのことに関してご感想をお願いします。あと、今後県内での風力発電がどういうふうに発展していくかということの見通しも教えてください。

知事
県がずっと求めてきて、さまざま国側と調整、交渉してきたことでありますので、こういう形でそれが実現するというのは大変いいことだと思います。再生エネルギーの振興というのは、復興の中の大きな柱でもあります。また10年で再生可能エネルギー(による電力自給率)を2倍にするという県の計画もあるところですし、新しいスキームを使って岩手の再生可能エネルギーが進んでいくように、県としても取り組んでいきたいと思います。

記者
もう一点別な、全く違う話なのですけれども、先ほどちょっと「あまちゃん」の話が出ましたが、今現在放送されている「ごちそうさん」で、関東大震災についての表現というか、場面というのもあったのですが、どのようにご覧になって、それで復興というか、震災後についての表現なんかもあったのですけれども、どういうふうにご覧になったかというのを教えてください。

知事
基本的に舞台は大阪の方にあって、そして情報が入ってこないというようなところから始まって、そういう中でも応援に行かなければならない、物資を支援しなければならないというようなところから、震災(の被災地)を助けに行く、そしてその後の復興を手伝いに行くというような流れの中で関東大震災が描かれていたというのは、今の東日本大震災からの復興というものを支援する立場に立って、ああ、やっぱりそういうことが大事なのだなと。いろいろ支援を受ける側との心のすれ違い的なことも起こるけれども、克服しなければならないし、できるのだなというようなことが、日本全体にそういうものが広まったというのは大変いいことだと思います。
ちなみに、三陸鉄道は冬のギフトで「ぬか床」という商品も売っていますので、「ごちそうさん」ファン、「ぬか床」ファンの方は、ぜひ三鉄の「ぬか床」もご利用いただくといいと思います。

記者
先日名古屋の方で自動車業界の方々と会合を持たれたかと思うのですが、今年はトヨタの岩手工場も周年パーティーみたいなものを開いていましたけれども、今後の岩手の自動車産業の発展に対して、何が課題で、県としてはどういう支援をしていこうかみたいなところのお考えをちょっと伺えればと思っています。

知事
企業立地セミナー的なことは、昔からずっとやっているのですけれども、ともすれば総花的になったり、焦点が絞られないようなきらいも過去にはあったかと思うのですが、今回はもう自動車産業に絞りましたし、その中で特に地域完結的なサプライチェーンの構築というような、非常に具体的なテーマで知事プレゼンテーションを行ったり、また意見交換をしたりいたしまして、まずそれだけ地元と誘致企業との関係というのが深まっているということが今回の特徴であります。27社でしたか、約30社お集まりいただいたということについても、その後いろんなところでその話をしますと、随分たくさん集まられたのですねというような反応をいただいています。課題とかアイデア、こういうふうにした方がいいというのは本当にたくさん出たものですから、それだけ非常に実務的にしっかりと話を進めていける関係になっているなと、知事としてはそういうことをそれぞれの担当ごとに深めていって、課題は解決し、アイデアは活用し、自動車産業集積振興というものを進めていってほしいというふうに思います。

記者
今のお話の流れもあるかと思うのですけれども、日銀の短観で3期連続の改善とか、東北でも一番の伸び率だったりとか、そういった県内の経済情勢、すごくいい数字、雰囲気が出てきていますけれども、知事としてもそういったところを実感できるようなお話をお伺いになっていたりとか、また自分でも実感できるようなところがあれば、教えていただきたいのですけれども。

知事
一つ一つの工場の生産規模が拡大したり、雇用も増えたり、また新しい施設を拡充したり、そして今までこっちの方に来ていなかった企業さんが新たに進出してきたりということが目に見えて出てきていますので、そういうところは経済が順調にいっている実感を感じます。

記者
県としても、今の段階では明かせるものはないのかもしれないのですが、当初予算で何かそういったところを支援するようなものというのはお考えでしょうか。

知事
ものづくり産業振興というのは、これは復興計画の中にも位置付けられていて、岩手全体の経済産業がしっかり成長していくことが沿岸の復興を支えていくということにも必要不可欠でありますので、来年度予算に向けても必要な事業を展開していけるようにしていきたいと思います。

記者
もう一つなのですけれども、年末年始のお過ごし方、よろしければ教えてください。

知事
特に遠くに行くような予定はなく、基本は待機しているといいますか、いろいろ本を読んだり、周りの片づけをしたりしながら、災害など起きないことを祈るというような過ごし方になると思います。

記者
来年度の国の予算の関係で、閣議決定がきょうあるということで、ILCの調査費についても盛り込まれそうだという話があるのですが、これについてどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事
ILCの調査費は盛り込まれたというふうに聞いています。これは大きい一歩でありまして、国際リニアコライダーILCということで5,000万円という調査費が盛り込まれるというのは、ILC建設に向けて大きく一歩踏み出したというふうに思います。

記者
今年はいろいろ場所の候補地の決定ということもあって、ILCについては前向きなニュースだったと思うのですが、来年以降に向けて誘致の活動、それからいろいろ受け入れの態勢の準備もあると思うのですが、その辺の県の取り組みについても改めて一言お願いします。

知事
政府の方では、何年かかけて検討していくということですので、その間盛り上がりが沈滞してしまわないように、地元の方でもILCに関する理解を深める活動でありますとか、それから全国的にILC建設ということを盛り上げていくような、そういう働きかけをしっかり進めていきたいと思いますし、またILC建設が実現したときには、研究者の皆さんやその家族の生活、医療とか、教育とか、そういったことへの準備をしていかなければなりませんので、そういった準備も進めていきたいというふうに思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月7日(火曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。