平成25年11月18日知事会見記録

ID番号 N16666

(平成25年11月18日15時30分~16時01分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
きょうの発表事項は、「原子力損害賠償紛争解決センターへの和解仲介申立てについて」です。
原発放射線影響対策に関して県が要した費用については、東京電力に対して損害賠償請求を行って、速やかな支払いを求めて交渉を重ねております。しかし、東京電力は賠償範囲を原則として政府指示等に基づき負担を余儀なくされた費用等に限定しています。直接の交渉では、これ以上の進展が期待できないと判断いたしましたことから、県では市町村と協調して平成26年1月に原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆる「原発ADR」に対して和解仲介の申立てを行うこととしました。この申立ての実施については、12月議会に議案を提案します。議会の議決を経ることによって、県が一体となって東京電力に完全賠償を求めていくという強い意志を表すことになると考えます。
一方、11月15日、県が東京電力に対して行ってきた損害賠償請求のうち、牧草地の再生対策に関する費用26億4千万円余りについて、東京電力と賠償金の一部支払いの合意に達し、近く賠償金が支払われることになりました。これによって、原発ADRに和解仲介を申し立てる額は、現時点で21億百万円余りとなりますが、1月の申立てまでに、東京電力と賠償金の一部支払いに合意した場合には、その合意額を除いた額で申立てを行うということになります。
原発ADRという公的な紛争解決機関での審理を通じ、県や市町村が実施してきた原発放射線影響対策の必要性、妥当性を明らかにして、東京電力に対して全ての費用について賠償に応じるよう求めてまいります。
あと、資料は無いのですけれども、もう一点発表いたします。「台風30号によって被害を受けたフィリピンへの支援について」であります。まず、大変なことになっておりまして、改めて被害を受けた皆さんにお見舞いを申し上げます。岩手県在住のフィリピン人の方もご実家が被害を受けた、あるいは実家と連絡が取れない、そういう皆さんが岩手県内にもいらっしゃいます。また、岩手県は東日本大震災津波のときに世界中から多くの支援をいただいたわけでありますけれども、フィリピンからもさまざまな支援をいただいておりまして、そういう中で、きょう県庁1階県民室にフィリピン支援コーナーを設けました。募金箱を置きますし、また、さまざまな関連情報を掲示するコーナーをつくってあります。それから、布製の「寄せ書き」も用意しまして、まず私が先に書きましたけれども、こういう感じでさまざまフィリピンにご縁のある方々が岩手にもいらっしゃいますし、また特定のご縁がなかったとしてもフィリピンに何かしたい思いを届けたいという方は、県庁1階県民室にこの寄せ書きを置いてありますので、どんどんメッセージをお書きいただければと思います。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
それでは、ただいまの発表事項について各社から質問があればお願いします。

記者
ADRの関係なのですが、実際に知事も東電の本社の方に足を運ばれて、全額きちんと賠償するようにという働きかけをこれまでもされてきたと思いますが、実際にこういう法的な手続きを取るということについて、ちょっと改めて所感をいただければと思います。

知事
まず、原因者である東京電力において原発事故に由来するさまざまな被害に対してきちんと賠償を行ってくれればいいわけでありますけれども、残念ながら被害を受けた側からの指摘に対して十全に賠償が行われていないということで、法的なレベルを上げざるを得ないことになったわけでありますけれども、そういう意味でも今まで以上に誠実な対応を求めたいと思います。

記者
何度もお伺いしていることであるのですが、これまでの東電の対応というものはどのように捉えていらっしゃいますか。

知事
もう全然足りないので、もっと踏み込んだ対応をしてもらわなければと思います。
あと一方では、そもそも民事の枠組みで対等な当事者同士が話し合って決めるというような紛争解決の仕方でいいのかということもあると思います。東電という巨大企業、そして原発事故という巨大な災害、それに対して全く未経験の被害をさまざま受けて試行錯誤しながらその被害への賠償を求める地方自治体はじめ、さまざまな事業者、生産者という図式の中で、被害を受けた側は満足できないような状態の中で、さらに法的なレベルを高めてそういう民事の紛争解決をしていかなければならないのでありますけれども、こうした紛争の解決に当たっては、やはり政府が法的にこのような解決が行われるべきだということを法的に決定するということもあるのだと思います。対等な当事者間で話し合って決着がつかない部分を司法当局に委ねるというやり方で本当にいいのかということも一方では思っておりまして、今はそれしかないので、被害を受けた側の救済のために全力を尽くすという意味でADRへの申立てを決断しているわけでありますけれども、一方では政府においてそうしたおよそ原子力政策ということ、また原子力政策を推進する上で事故が起きて、国民が困難に陥っているときに、それを国として救済していくということに当たって、まさに国が前面に出て福島における事故の収束ということだけではなく、原発事故によるさまざまな影響全体について国が前面に出て解決していくという姿勢は、やはり国に対して求めていきたいと思います。

幹事社
では、他に各社から質問があればお願いします。

記者
先ほどの台風30号のフィリピンへの支援についてちょっと1つ教えてもらいたくてお願いいたします。このメッセージに知事が込められた思いというのはどんなものでしょうか。

知事
東日本大震災津波からの復旧・復興を進めていく中で、二度と津波で人が犠牲になるようなことがあってはならないということで取り組んでいるわけでありますけれども、フィリピンにおいて、地震の津波とは違うのですけれども、台風、高潮で一種の津波が発生し、台風の暴風雨と相まって多くの方々が犠牲になっているということについては何もできないことのもどかしさがありますし、また難を逃れた皆さんも、さまざま物資補給がなかなか届かないということで大変困窮されているということで、何かしたいという思いがありますし、そういう思いは岩手県民の中に広くあると思いますので、まず受け皿を県の方でも用意しようということで県民室にコーナーを設け、募金箱も置き、また寄せ書きをできるところもつくったということです。

記者
募金はいつまでとか、そういう期限はありますでしょうか、寄せ書きもです。

知事
今は明確な期限は特にありません。

記者
もう一点別の件でお聞きします。岩手県軽米町で県の農業振興事業で建てた建物22棟が建築確認をしていなかったという事案が発覚しました。このことに関しまして、知事としての見解をちょっとお伺いしたいと思っております。

知事
今、実態を調査しているところですので、その調査結果を踏まえて適切に対応していきたいと思います。

記者
今後なのですけれども、調査はどのように進めていかれるご予定でしょうか。

知事
既に担当のところで必要な調査をしているところです。そこについては、けさの庁議で確認したところでありまして、また県全体としても同様のことがないように注意しようということも確認したところであります。

記者
その注意の仕方というのは、何か紙(文書)でとか、それからもしくは振興局ですとか、土木センターですとか、そういうところを通じてのものになるのか、どういった形になるのでしょうか。

知事
一般論としては、まず会議の場で口頭で確認したところでありますけれども、今問題になっているところの実態を調査中ですので、その実態が明らかになるプロセスで何か県全体として共有すべき情報等があればしかるべき形で共有をしていくということになります。

記者
最後になりますが、今調査中ということなのですけれども、このように建築確認がされていない建物が実際に存在するということに関しましてはどのようにお考えか、見解をお聞かせください。

知事
まさになぜそういうことになっているのか、どういう趣旨でそうなっているのかということを明らかにしなければならないと思っています。

記者
今のことに関連してなのですけれども、町の方で(建築確認)申請を確認してなかったということで、県の方もそれは気づかなかったというか、把握できなかったということになるのでしょうか、町と同様に。

知事
そこは調査中です。

記者
それも調査中ですね。県の補助金が(建築確認)申請しないものに使われたこと自体について、知事はどのようにお考えでしょうか、使い道について。

知事
直ちに補助金を引き揚げるというようなことではないというように聞いていますけれども、どういう経緯でそうなったかということは明らかにしなければならないと思いますので、今調査しているところです。

記者
今後何かチェック機能を強化するだとか、そういった再発防止に向けてどのようなやり方が望ましいかということについて、今の時点で何かお考えはありますか。

知事
一般論として、普通にきちんとやっていれば起きないことですので、それぞれの部署、県庁全体として注意しようということを確認したところでありますけれども、何かこれこれこういう理由でこうなったということで全体の参考になり、注意しなければならないようなことが出てきたら、そういう情報を共有するということになります。

記者
先日、「本音で語ろう県議会」を取材をさせていただきました。そこで県議の方と県民の方とのやりとりが幾つかあったのですけれども、その中で出席した方から、県庁の職員の方たちの庁舎内でのサンダル履きというのがちょっと話題になりまして、来庁者がいらしたときの対応とか、あと喫煙に向かうときにサンダル履きをしているのが非常にみっともないというような意見が出ていたのですけれども、いいか悪いかということは私はちょっとわからないのですけれども、知事はそういう声に対してどのように思うかということと、あと実際にそのサンダル履きをしていることについてどのようにお考えになるか教えていただければと思います。

知事
一般論として、地方自治法や地方公務員法にのっとりながら県としてやらなければならないことをきちんとやっていくために、まず仕事は効率よく、やりやすいような形でそれぞれ工夫して職員にはやってほしいと思っています。
一方で、ことさらに県民を不快にさせるような仕事のやり方というのは好ましくないというのもありますので、そういうこともないようにということだと思います。

記者
あくまでもお一人の方からの意見だったので、それが全体として不快と捉えて、例えばそれはやめるようにというようなことにはならないのかなとは思うのですけれども、どうですかね。

知事
いわゆる過剰反応というのは好ましくないと思いますが、一方ではたった1人の1つの指摘であってもそれが県政推進にとって参考になることであれば尊重していかなければならないと思います。

記者
知事ご自身としてはどう思われますか、庁舎内をサンダルで県民の方とか、来庁者が見えるところで履いて移動しているということに関しては、知事ご自身はどうお考えでしょうか。

知事
それはちょっとケース・バイ・ケースですし、そうすることが仕事の遂行とか、あと県民のためにもいい場合にはその方がいいのだと思いますし、そうでない場合にはそうはしない方がいいということで、その中でそれぞれがきちんと判断してやっていくことかと思います。

記者
先日、震災遺構の件で復興庁の根本大臣が表明されましたけれども、1市町村に対して1カ所というように方針が出ておりますが、それについて改めて知事の所感をお願いします。

知事
復興交付金の使途として、震災遺構の整備にも認める。ただしということでいろんな基準が設けられた中で、1市町村1カ所ということだと思うのですが、そもそも復興交付金の趣旨として被災市町村、被災自治体の使い勝手のいいようにできるだけ自由に使う交付金としてつくられているということがあるので、今までもさまざま基準とか、目安とかがある中で交渉、やりとりしながら、自治体の被災地のニーズに応えるような形を工夫してきた経緯もありますから、そのように運用されていけばいいのではないかと思います。

記者
陸前高田市のように複数施設の保存を考えている自治体もありまして、そういったもうちょっと柔軟に使えるようにといったことを国の方に要望したりとかするようなご予定はありますでしょうか。

知事
震災遺構保存の制度設計みたいな視点から入っていくと、何かそういうルールをめぐる線引きみたいな話になると思うのですけれども、要は個別具体的な被災地の復興をどう進めていくかということを被災自治体のイニシアチブ、主導権、主体性を重視しながらやっていくかということですので、まず陸前高田というまちを復興させていくために何が必要かという観点から必要なことには復興交付金がきちんと使えるようにという発想でやっていけばいいのではないかと思います。

記者
それは逆に復興庁の方が線引きしているようなイメージがあるのですが、それについて今知事のご趣旨のご発言だと、そういった線引きについてはどういうふうに改めてお考えですか。

知事
もうこれは常に復興交付金については、あるいは復興予算全体については被災地のニーズにきちんと応えられるような柔軟な運用、また必要な額は確保できるようにということをずっと要望し続けていますので、今回のこともその線に沿って運用していただきたいと思います。

記者
踏み込んだような発言になってしまうかもしれないのですが、1市町村1カ所に限らずもうちょっと柔軟にというような要望というのは今後はされていくということでよろしいのでしょうか。

知事
問題の立て方として、我々としては震災遺構をめぐる制度設計というような要望の仕方はしていないわけでありまして、それぞれの被災地が復興していくに当たって必要な財政措置は、これはお願いしますよということでやってきたし、これからもそうするということです。

記者
今の問題で追加で質問なのですけれども、1市町村1つということでもし進めていくことになりますと、選ぶ作業というものが今後必要になってくる可能性があります。その際、県が主体性を持っていくのか、それとも市町村が主体性を持っていくのか、今の知事のお考えをお伺いできますか。

知事
それぞれ個別具体的に見ていかなければならない話で、また市が主導か、県が主導かとか、例えばジオパークをめぐる専門家の皆さんが岩手の場合、一つの目安でこれらは5つぐらいでしたか、これらは残した方がいいということをジオパーク関係の専門家の方々が指摘してくれているというケースもあるわけですし、だから何か制度的な枠組みに無理に被災地をはめ込み、それに合わせるというような発想ではなくて被災の実態、復興の実態、そして被災者の皆さんの思いというのを実現していくようなやり方を個別具体的に工夫していけばそうそう悪いようにはならないと思っています。

記者
では、別の話題ですみませんが、もう一つお伺いなのですけれども、福祉灯油の実施について、沿岸市町村でやる場合に、県がこれまで補助金を出してきましたけれども、知事としての2年間の福祉灯油の補助への手応え、評価、それから今後に向けての思いを教えていただけますでしょうか。

知事
沿岸市町村の方からは、ポジティブな反応をいただいていると聞いていますので、この冬に向けても県と市町村と連携しながらきちんと対応していきたいと思います。

記者
改めて福祉灯油の必要性についてはどのように考えていらっしゃいますか。

知事
制度が必要かどうかという発想ではなくて、仮設住宅にお住まいの方々がいまだに3万6千、3万7千と大勢いらっしゃる、そういう沿岸被災地の人たちが健康を損ねず、健康を守り、生活を再建させ、そして地域が復興していくというために何が必要かという発想の中で、いわゆる福祉灯油というのが効果的だということだと思うので、この冬についてもきちんとやっていきたいと思います。

記者
今回の12月定例会の中で、補正予算の中でも福祉灯油の額面が記載されていましたけれども、今回のこの予算についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

知事
被災地のニーズに応える予算を調製したと思っています。

記者
今のことに追加というか、関連で福祉灯油なのですけれども、沿岸の被災地ということで、今回灯油の価格もかなり上がっているという中での対策だと思うのですが、内陸の方にも避難されている方というのはいらっしゃいますし、その中で大変な生活をされている方もいると思うのですけれども、その内陸に避難されている方への支援とかということはどのようにお考えになっていますか。

知事
例えば盛岡市であれば県庁のすぐそばですけれども、もりおか復興支援センターをつくって、市としてさまざまな支援の取り組みをしています。内陸市町村それぞれのそういう取り組みや、また、もともとのそれぞれの市町村の住民の皆さんの灯油をめぐるさまざまな困難の度合い、また、別途、福祉的なことはいろいろやっている中で、その兼ね合いの中で著しく困窮して健康を害するような人が出てこないようにしていくというところを実現していけばいいので、そういう中で内陸市町村については福祉灯油というやり方ではないやり方で支援をしていくという格好なわけです。

記者
震災遺構の話に戻ってしまうのですけれども、ちょっと質問がかぶるかもしれないのですが、宮城県の方はこの間の国の支援策を受けて、市町村と協議していって、県として統一の考え方を出していくということを村井知事がおっしゃっているのですけれども、岩手としてはそういう市町村との協議の場とかはもうないということなのでしょうか。

知事
岩手は岩手で、例えば陸前高田市については、いち早く国営メモリアル公園を高田松原のところにつくろうということを大体市と県で合意し、国にも働きかけて、国もそれはいいですねというような方向性が出て、国営公園という形ではないような形にはなるのですけれども、そういう方向性の話というのが早い段階から出ていたと。あとはジオパークという形の中で残すべき震災遺構というのを、これは地元県のみならず、広く全国的な有識者の方々にもいろいろ選んでもらったり、認めてもらったりしていたとか、それぞれ県によって震災遺構をめぐる取り組みと違う経緯を経て進んできていますので、岩手は岩手として被災地のニーズというもの、被災者の皆さんの思いというものがきちんと実現するように県としても取り組んでいきたいと思います。

記者
宮城県なのですけれども、南三陸町の防災庁舎の関係で、町としては解体を決めていたのですけれども、県が解体待ったということを言っていたりするのですけれども、今、岩手県は岩手県という話があったのですけれども、そういう動きについてどう思われますか。

知事
南三陸町防災庁舎については、私も現場に行ったことがあるわけでもなく、報道でいろいろ見聞きしているところではあるのですけれども、非常に独特といいますか、ものすごい強い悲しみと、一方で今回の津波の悲惨さを象徴する報道のされ方とかも含めて非常に特有な存在なのだなと思っていますので、なかなか一般論的にああした方がいい、こうした方がいいとは言えないなと思っております。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月26日(火曜日)の予定です。

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