平成25年9月17日知事会見記録

ID番号 N12170

(平成25年9月17日15時45分~16時17分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事、お願いします。

知事
それでは、発表事項の1つ目、「平成25年度一般会計9月補正予算について」です。手元の資料を参考にしてください。補正予算の規模は409億円、補正後の現計予算額は1兆1,977億円になります。
今回の予算編成の考え方ですが、震災分として復旧・復興事業の進捗に伴う予算を計上し、通常分として、7月と8月に発生した大雨洪水被害に対応する予算や、国庫補助事業の確定に伴う補正などの予算を計上しています。また、震災分・通常分いずれにも地域活性化のための予算を追加しています。
補正予算の主な内容は、まず震災分として「安全の確保」に係る予算66億円、「暮らしの再建」に係る予算13億円、「なりわいの再生」に係る予算73億円と、復旧・復興事業を着実に進めるため164億円を追加しています。通常分では、大雨洪水被害対応の49億円を含め、合計で245億円計上しています。特に地域活性化のための予算として、震災分では、ILC建設に向けた情報発信、テレビドラマで注目されている県北・沿岸地域の誘客の拡大、通常分では若者の活動を促進する取組、国体の競技施設整備への補助など、地域活性化の取組に厚みを加える予算が盛り込まれています。
主な事業は、次のページ以降で示しているとおりであります。
今回の補正によって、大震災津波の復旧・復興事業に着実に取り組みながら、大雨被害からの迅速な復旧や、地域の活性化につながる事業にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
次に、発表事項2番目、「若者が活躍する地域づくり」について、これも配付資料を参考にしてください。県は、岩手の地域づくり・復興を担う若者の自主的活動の機会を確保するとともに、これを支える組織、人脈、ネットワークを形成することを通じ、県内外の多様な主体のつながりによる元気な地域づくりに資することを目的として、若者が活躍する地域プロジェクトを始動します。
取組の1つ目は、9月補正予算案に計上した「いわて若者会議」の設置です。県の取組開始に当たってのキックオフイベントの開催、県内外で活躍している方々にもお入りいただいての意見交換会の実施、さまざまな活動事例の実態調査等を行って、若者の活動の場の確保、活動団体や人脈など、ネットワーク形成につなげます。
2つ目は、「庁内CFT、クロス・ファンクショナル・チームの設置」。これは、施策体系と各部局の役割を整理することを目指した庁内関係部局職員による部局横断チームです。
3つ目は、「若手ゼミ」。庁内若手職員による若手施策研究会の設置です。
当面のスケジュールですが、既に庁内CFTはスタートしており、若手ゼミについてもワークショップを開始するところです。その取りまとめ等については、11月頃に中間報告、年度内に最終報告を考えています。9月補正予算に計上しているいわて若者会議については、予算案をお認めいただいてから具体的にスタートすることになります。
3番目、「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会開催決定イベントの開催及びイメージソング」についてです。国体の格好をしている「そばっち」に入ってもらいました。お辞儀をしています。このたび平成28年の国体と全国障害者スポーツ大会の本県開催の正式決定を記念して、10月19日に北上総合運動公園において、「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会開催決定イベント‐希望郷いわてスポーツフェスタ‐」を開催します。当日は、国体強化選手の決意表明、アスリートのトークショー、復興応援ライブなど、さまざまな催しを行います。
また、両大会のイメージソングが完成しましたので、お聴きください。曲名は「笑顔の賛歌」、歌は大槌町に住んでいる復興の歌姫、臼澤みさきさんです。作詞も臼澤みさきさんです。開催決定イベントでは、臼澤みさきさん本人がイメージソングを初披露し、復興応援ライブにも参加をします。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
それでは、ただいまの3件の発表事項について各社から質問があればお願いします。

記者
補正予算が公表されましたけれども、改めて知事の思いをお聞かせください。

知事
7月末、8月初旬の大雨洪水被害への対応を予算に盛り込むことができましたので、これをきちっと審議をいただいて、議会で決定いただいて、早く実行に移していきたいと思います。

記者
もう一つお願いします。国体開催決定イベントで臼澤さんの歌が披露されるようですけれども、作詞、臼澤さんということで、知事の評価をお聞かせいただければと思います。

知事
大変透明感のある、岩手らしい、素直に希望を持って未来に向かっていく岩手全体の姿勢が歌詞から感じられる、そういう歌になっていて、県民に親しまれるとともに、県外に対してもアピールできるのではないかなと思います。

幹事社
では、他にないようでしたら、各社の質問に移ります。まず9月11日に震災から2年半という節目を迎えました。復興の現状に対しての知事の現在のご認識と、また節目を迎え、今後の復興への意気込みを聞かせてください。

知事
大震災津波から2年半ということで、来し方を振り返り、そしてこれからに思いを致すいい機会だと思います。三陸鉄道の復旧でありますとか、あるいは国が直轄でやっている復興道路、また湾口防波堤、そういった順調に進んでいるもの、箇所によっては予定より早く進んでいるようなところもありますし、また、がれきの処理のように予定どおり進んでいるところもあります。水産業の復旧、再生、そして商工業や観光業の再生のように、大ざっぱに言って七、八割の回復ということで、ほぼ順調に進んでいる分野もあると思います。
一方で、終の住み家、高台移転でありますとか、低地のかさ上げでありますとか、その土地の取引関係、かなり時間がかかりそうなところも見えてきまして、そういったところをさまざまな工夫をして克服していくということ、またそれに伴って仮設住宅生活の長期化ということが見えてきていますので、これも克服できるような生活支援や、また仮設住宅団地というコミュニティーの豊かな生活の確保といったことを力を入れていかなければならないと思います。
それから、復興公営住宅という形で、それぞれの本格的な持ち家と仮設住宅ということの中間には、そういう公による住宅の確保という復興公営住宅というものが中間的な事業としてありますので、これもしっかり進めていくことが大事だと思っています。
それから、県の復興計画、復興実施計画が最初の3年間が終わって、次の3年間が来年度から始まりますので、これを充実させることが大事だと思っていまして、その関係で若者や女性が活躍できる復興という形をつくっていくというのが一つのポイントだと思っていまして、今回は年度内にもそういう事業を始めますし、補正予算でも盛り込ませていただいているというところです。

幹事社
続けて、復興に関してなのですけれども、具体的なもので1つお伺いいたします。(国民健康保険後期高齢者医療の)医療費減免措置の件なのですけれども、昨年10月に国が8割にしまして、その後県としては独自に支援を打ち出して、ことしの12月末まで支援が続くということで措置がとられているのですけれども、その後について、この措置についてどのように考えていらっしゃるかを聞かせてください。

知事
予算のサイクルからすれば、来年度予算とかそういったことにはまだ時間がありますので、やはり復興の現場の実態、被災者の皆さんの生活の実態を踏まえて考えていかなければならないことだと思いますので、そういうふうに進めていきたいと思います。

幹事社
前向きに検討されているということでよろしいでしょうか。

知事
自分で経済的な自立ができればそれにこしたことはないわけですけれども、そういう意味で被災地の実態を踏まえて決めていくということになります。

幹事社
参考までに、宮城県の方で、先日低所得者に対象を限定して、支援措置を国に要請していくという考えを示したのですけれども、そのように対象者を今後絞って措置継続ということもあり得ると考えてよろしいのでしょうか。

知事
被災者生活支援全体については、やはり仮設住宅生活長期化の中で、国に対する手厚い措置の要望というのはしておりますので、具体的には宮城県さんの要望とぴったり一致しているわけではないのですけれども、1つは岩手県内の実態に合わせてということ、もう一つは、今初めて聞いた話なので、少し私も勉強してみたいと思います。宮城県さんのケースについて勉強したいと思います。

幹事社
また宮城の話になってしまうのですけれども、同じく村井知事が先日再出馬への表明、出馬表明をしたのですけれども、その際に復興への強い思いを示して、それが再選出馬への動機になったということで語っていたのですけれども、達増知事も被災時からずっと県政運営を担われてきて、復興にかける思いとしては共感する部分も多いと思うのですが、今後の、2年後ですか、達増知事に関してはどのようにお考えなのか聞かせてください。

知事
宮城のことは宮城のことで置いておいて、達増知事はどうするのかという話ですね。宮城県知事さんも、最近になって自分がどういうふうに先に進んでいくかを明言されたということで、やはり任期の折り返し地点としては、いただいた任期の中で、今この瞬間、復興にしっかり取り組んでいくということかなと思っています。

幹事社
まだ具体的には考えていませんということなのでしょうか。

知事
そうですね、白紙です。

幹事社
達増知事が出馬された際に、公約としては2期までということを明言されていたのですけれども、それが今白紙というのは、前向きな白紙と捉えてよろしいのでしょうか。

知事
それはそれ、これはこれでありまして、知事の多選ということが原則としては好ましくないという考え方には変わりはありません。ただ、原則という解釈の問題として、一方では東日本大震災の発生とその後の復興という実態というのは、そういう原則ということが厳しく当てはまるような事態ではないなということは思っています。

幹事社
次に、県政会の動きに関してご所見をお願いしたいのですけれども、昨日新会派が結成されました。民主党を離党された方々と、あと地域政党いわてと無所属の、10人となりました。こうした新会派結成の動きについて、県政運営の影響をどのように見ていらっしゃいますか。

知事
議会の中の会派のつくり方については、これは高度に議員さん方の自治に関わるもの、議員さん方の自らの責任において進めていくやり方に関わるものですから、執行部の側からそれについてとやかく言うことはありません。
ちなみに、聞くところによりますと、まず復興第一、そしてTPPへの反対、そしてILC推進ということで、そこは達増県政で執行部側が今やっていること、また今までやってきたことと内容的にも優先度的にも一致していると思いますので、ぜひ執行部に対してご理解、ご支援をよろしくお願いしたいと思います。

幹事社
確かに執行部と議会とまたそれぞれ独立しているのですけれども、ただ民主党離党組の方々は、かつて小沢さんと一緒にやって、民主党からたもとを分かった方々で、あと地域政党の方々はもともと達増県政にちょっと厳しい主張をとっていらっしゃった方で、今後新会派は達増県政に対して厳しい姿勢をとるのではないかという見方もあるのですけれども、そういった見方に対してはどのように。

知事
地域政党いわての過去の県政要望、特に予算関係の毎年の執行部への要望の内容を見れば、別にそこには達増県政に対する批判的なスタンスという原則があるわけでは全くなく、それぞれ考えて独自の政策を練られているとことであって、あとは新しい会派の中でそれをどう調整していくかということだと思うのですけれども、そこはまさに議員さん同士の中で決めていかれることだと思います。

幹事社
今回の新会派結成による県政運営への影響というのは、特にないと見ていらっしゃるということでよろしいですか。

知事
復興ということをまず第一に掲げ、そして達増県政執行部と一致するような政策の方向性を持ったある程度のまとまりの人数の会派ができたということは、達増県政執行部にとってはいいことだと思っています。

幹事社
あと他に各社ありましたらお願いいたします。

記者
平泉に続いて、きょう官房長官の方から釜石の高炉跡を含む(「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について)世界遺産の推薦ということで話が出ましたけれども、これについて、被災地も含まれるということなわけですけれども、知事の所見を一言お願いします。

知事
個人的な考えなのですけれども、平泉というのを挟んで縄文文化から釜石の橋野高炉跡というのは一つながりだと思っていまして、縄文時代の人と自然との共生、人と自然が一体となる中で、また人と人の力を合わせて仲よく共生してきたというのが平泉で、縄文時代からずっとそうだったのが平泉で大きく花開き、そして岩手においてものづくり、製造業の近代的な最先端が日本全体の中でも岩手においても花開いたというのは、地下に埋まっている鉄とか石炭とか、そういったものに働きかけて、人間の役に立つようなものに人と自然が一体となってつくり上げていくということで、そういう精神性も踏まえた近代産業の先進地ということで、ユネスコ世界遺産にふさわしいものだと思っていますので、県としても、今までもやってきましたが、改めて関係の市、また他の関係の県、そして国と力を合わせて世界遺産になっていくように頑張っていきたいと思います。

記者
今の関連なのですが、菅官房長官は会見の中で、釜石の遺産も含んでおり、我が国の最優先課題である復興支援にも大きく貢献すると、そんなふうに言及していますが、被災地からも選ばれていると、そういうことですが、そこについても知事の所感をお願いします。

知事
平泉が世界遺産登録されたことも復興に大きく弾みをつけることになったと思いますし、釜石橋野高炉跡が含まれたところが世界遺産に認められるということも、平泉と同じで、まず地元の人たちが底力を振り絞ってでも復興させていく価値のある地域であり、人々の歴史の流れがあるのだということを確認できることと、またそれだけの価値があるところだから全国や世界からも応援をしていくのだという、そういうことが確認できれば、復興の地元の底力、さまざまなつながりの力をさらに高めるというのに役に立つと思います。

記者
この週末の台風の関係なのですけれども、県内にも大きな被害が出まして、まだ全貌は明らかになっていないと思うのですが、被害を受けて知事はどのようにお考えになられたか教えてください。

知事
自然の脅威というのは、やはり侮れないものでありまして、きちんと備えをし、また災害になっていくときには、迅速に対応していかなければならないということを改めて感じました。
今回も自衛隊に出動いただいておりまして、市町村の取組と県の対応と、そして国の動きというのが一体になって、まずきちんと対応することができたというふうに言えるのではないかと思います。

記者
被害で、結構住宅への被害とか、あと農作物への被害とか、大きいのが出るということなのですけれども、そのことに関して9月補正に何か追加で予算措置するなどお考えがあったら教えてください。

知事
被害については、まずお亡くなりになられた方がいらっしゃったこと、改めてお悔やみを申し上げたいと思います。行方不明者の捜索には、みんなで力を合わせていかなければならないと思います。そして、物的な被害に関しましては、これはまず実態把握、被害額の集計というのが第一の作業でありまして、その結果を踏まえながらその後の対応を決めていくということになります。

記者
台風18号の被害の件に追加して質問なのですけれども、被災された方への手当に関しては、今さまざま調査をした上でこれから対応をということでしたけれども、前回の集中豪雨もそうなのですが、これまで氾濫したことがないような川で氾濫したりですとか、全く予想もしていないような災害がやはり次々起こって、市町村レベルでもそういう防災体制の見直しをしなければいけないかと思うのですが、県としてもそういったこれまで予想されなかったような被害に対する防災ですとか、あるいは先ほど知事は国と県と市町村がうまく協力して救助できたというお話でしたけれども、現場の方では、なかなか救助が来てくれなくて困ったというような声も聞くのですが、そういった見直し等についてお考えがあればお聞かせください。

知事
いわゆるゲリラ豪雨のような短期集中の大きな被害をもたらすような豪雨などが増えてきているというようなことを踏まえて、防災の体制というのは常に見直していかなければならないのですけれども、そこでゲリラ豪雨的なこともやはり考慮に入れなければならないと思います。特に特別警報というのが今回初めて京都、滋賀、福井を対象にして出されたわけですけれども、今までの注意報、警報以上の特別警報のような事態というのは、ちょっとここは特別扱いするような制度、制度的にもですね、ということを、既に7月末、8月初旬の豪雨に関して国に求めているところですし、また今回の補正予算でも今まで例がないような被害支援について盛り込んであるのですけれども、そういう工夫をしていく必要があると思います。

記者
国の方に要望するというのがまず直接的な取組かと思うのですが、あとは例えば県の方でリーダーシップをとって、そういった危機管理とか防災に関して何か取組を進めるといったような考え方はないでしょうか。

知事
今回の補正予算で、国の生活再建支援法の基準からすると、支援金が出ないような全壊、大規模半壊の家屋に対しても支援をするということ、またそもそも国の制度だと全然対象にならない床上浸水ですね、浸水も対象にして支援するというようなことは今回前例がないことですけれども、思い切って県として盛り込んだところになります。それから、温泉対策もそうですね。つなぎ温泉の湯元の被害に対する支援、まさにこれは県と市が力を合わせて支援するというスキームになるのですけれども、そういうことを盛り込んでいます。

記者
先ほどの質問に関連してなのですけれども、前例もない思い切った支援も盛り込んだということでしたが、先日の台風被害でも、被害の実態が分かってきて、もし必要があればそういった前例のない支援を盛り込みたいという考えはおありでしょうか。

知事
それはまさに一般論として、どんな災害であれ、必要な対応はするということは、それは常に言えることです。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月27日(金曜日)の予定です。

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